JP4986036B2 - 車両用シートのスライド機構 - Google Patents
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- B60N2/0722—Constructive details
- B60N2/0727—Stop members for limiting sliding movement
Description
第1の発明は、車両用シートをフロアに対してスライド可能に連結する車両用シートのスライド機構であって、車両用シートに組み付けられたスライド方向に長尺なアッパレールと、アッパレールのスライドを案内するガイド部材としてフロアに組み付けられたスライド方向に長尺なロアレールと、を有する。アッパレールには、そのスライド方向に離間した2箇所の位置に、下方に突出する形に切り起こされた係止面部が形成されている。ロアレールにも、上記各係止面部が形成された箇所の間に、上方に突出する形に切り起こされた規制面部が形成されている。アッパレールに形成された各係止面部は、アッパレールの平板形状の上面部の幅方向の両サイドから垂下する各側面部から切り起こされて形成されている。ロアレールに形成された規制面部は、上記アッパレールの上面部と高さ方向に対面するロアレールの平板形状の下面部から横断面方向に切り起こされて、各係止面部の幅方向の外側から内側へ延出する突出形状に形成されている。上記規制面部は、アッパレールの形状によって外部に対して被覆された配置構成とされている。アッパレールのスライドによって各係止面部が規制面部と当接することにより、車両用シートのスライドが係止されるようになっている。
この第1の発明によれば、アッパレールがどの位置にスライドしても、ロアレールに突出形成された規制面部は外部に対して露出しない。すなわち、規制面部は、アッパレールのスライド方向の2箇所の位置に形成された各係止面部に挟まれた配置構成とされており、その突出形状が外部に露出することがない。
この第2の発明によれば、車両用シートとフロアとの間に一対で配設された各アッパレール及びロアレールにおいて、車両用シートのスライドの規制が行われる。
第1の発明によれば、アッパレールがどの位置にスライドしても、ロアレールに突出形成された規制面部が外部に対して露出しないように構成したことにより、ストッパ構造を設けても、外部に対して下面から突出する突起物がないため、ストッパ構造内に異物が入り込んで挟まらないようにすることができる。また、各係止面部及び規制面部を互いに高さ方向に近い位置で切り起こすようにしたことにより、これらの切り起こし量を少なく抑えることができ、かつ、係止強度を高めることができる。
更に、第2の発明によれば、ストッパ構造を一対のスライド機構のそれぞれに配設したことにより、車両用シートとフロアとの間にかかるスライド移動の規制力を左右で偏らせることなく均等に作用させることができる。
ここで、図1には、車両用シート1全体の概略構成が斜視図によって示されている。この車両用シート1は、背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を有する。そして、この車両用シート1は、シートクッション3とフロアFとの間に左右一対で設けられたスライド機構4,4によって、フロアFに対する前後方向のスライド位置が調整できるようになっている。
これらスライド機構4,4は、常時は、車両用シート1の前後方向のスライド移動を規制したロック状態とされて保持されている。そして、スライド機構4,4は、シートクッション3の前方側の下部位置に配設された操作レバーLの引き上げ操作を行うことにより、上記のロック状態が一斉に解除操作されるようになっている。したがって、操作レバーLの引き上げ操作を行うことにより、各スライド機構4,4のロック状態が解除されるため、車両用シート1を前後方向にスライド移動させられるようになる。そして、各スライド機構4,4は、操作レバーLの引き上げ操作をやめることにより、再び、車両用シート1のスライド移動を規制可能なロック状態に戻されるようになっている。
以下、各スライド機構4,4の構成及びその組み付け構造について詳しく説明する。なお、各スライド機構4,4は、互いに左右で対称な形状に形成されているが、実質的には同じ構成となっている。したがって、以下では、図1の向かって右側に示されている一方側のスライド機構4の構成についてのみ説明する。
前者のスライド部品であるアッパレール10は、シートクッション3に対して組み付けられる。そして、ロアレール20は、その図示下側に示されている前後の支持具40F,40Rによって、フロアFに一体的に組み付けられる。このロアレール20は、その横断面がU字状に両サイドに囲いのある形状に形成されている。そして、このロアレール20には、その長手方向の前側或いは後側の開口部分から、そのU字の囲い形状の内部に、アッパレール10が長手方向に挿通されている。これにより、アッパレール10が、ロアレール20のU字の囲い形状によって、その前後方向へのスライド移動が案内されるようになっている。なお、アッパレール10がロアレール20に組み付けられた状態は、図3に示されている。
詳しくは、図5に示されるように、ロック部材30は、連結軸30Rによってアッパレール10に回動可能に軸支されている。そして、ロック部材30は、常時は、アッパレール10との間に掛着された図示しないバネ部材の附勢力によって、図示反時計回り方向に回動附勢されている。これにより、ロック部材30は、常時は、各係合爪32・・を貫通孔12H・・や貫通孔13H・・を貫く挿通方向に附勢されている。
これら貫通孔24H・・は、上記した4個の貫通孔12H・・や貫通孔13H・・と同じ配置間隔で、ロアレール20の右返し面部24Rに長手方向に沿って等間隔に配置形成されている。これにより、アッパレール10を前後方向にスライド移動させることにより、これに形成された4個の貫通孔12H・・及び貫通孔13H・・を、ロアレール20に形成された連続したいずれか4個の貫通孔24H・・の孔形状に対して一定間隔毎に位置合わせさせられるようになっている。
すなわち、アッパレール10は、操作レバーLを引き上げ操作する前の常時は、ロック部材30によってロックされてその前後方向のスライド移動が規制された状態として保持されている。そして、アッパレール10は、操作レバーLを引き上げる操作を行うことにより、ロック部材30によるロック状態が解除されるため、前後方向にスライド移動することのできる状態に切換えられる。
なお、図6に示されるように、アッパレール10の右ひれ面部13Rと左ひれ面部13Lとの両外側の部位には、ベアリングK,K(ボールベアリング)が配設されている。これにより、ロアレール20に対するアッパレール10のスライド移動がスムーズに行えるようになっている。
ところで、この車両用シート1の前後方向のスライド移動可能な調整範囲は、各スライド機構4,4に設定されたストッパ構造によって一定の範囲内に制限されている。具体的には、図4に示されるように、アッパレール10の前方向へのスライド移動は、アッパレール10の後方側の面部に切り起こし形成された係止面部14R,14Rが、ロアレール20の中央付近の面部に切り起こし形成された各規制面部25,25の後面部と当接することによって係止されるようになっている。そして、アッパレール10の後方向へのスライド移動は、アッパレール10の前方側の面部に切り起こし形成された係止面部14F,14Fが、上記したロアレール20の中央付近の面部に切り起こし形成された各規制面部25,25の前面部と当接することによって係止されるようになっている。
先ず、アッパレール10の形状について説明する。このアッパレール10は、図2に示されるように、前述したU字の囲い形状の横断面をもつロアレール20に対して長手方向にスライド移動可能に嵌め込むことのできる横断面形状に形成されている。
このアッパレール10は、鉄鋼材より成る1枚の平板状部材を所々に折り曲げることによって、同図に示されるような一定の横断面形状に形成されている。具体的には、アッパレール10の横断面形状は、図5において良く示されている。同図に示されるように、アッパレール10は、平板形状の上面部11と、その両サイドから真っ直ぐに垂下する平板形状の右側面部12R及び左側面部12Lと、これらの下端から外方に跳ね上げられる形状の右ひれ面部13R及び左ひれ面部13Lと、から成る横断面形状に形成されている。そして、図2に戻って、上記した右側面部12Rや右ひれ面部13Rの前後方向の中央付近の面部には、板厚方向に貫通した4個の貫通孔12H・・や貫通孔13H・・が互いに幅方向に並んで長手方向に沿って等間隔に配置形成されている。
そして、アッパレール10の前後方向の中央付近の面部には、前述したロック部材30を組み付けるための受入口15が、上面部11や右側面部12Rに開口形成されている。
なお、アッパレール10の長手方向の後側の開口部分には、その開口形状を閉じることのできるキャップCが取り付けられている。
このロアレール20は、鉄鋼材より成る1枚の平板状部材を所々に折り曲げることによって、同図に示されるような一定の横断面形状に形成されている。具体的には、ロアレール20の横断面形状は、図5において良く示されている。同図に示されるように、ロアレール20は、平板形状の下面部21と、その両サイドから立ち上がる平板形状の右側面部22R及び左側面部22Lと、これらの上端から内側に水平に折り返される平板形状の上面部23R,23Lと、これらの内端から真っ直ぐに垂下する平板形状の右返し面部24R及び左返し面部24Lと、から成る横断面形状に形成されている。そして、図2に戻って、上記した右返し面部24Rや左返し面部24Lには、その長手方向にわたって板厚方向に貫通した複数の貫通孔24H・・や貫通孔24H・・が等間隔に配置形成されている。なお、左返し面部24Lにも貫通孔24H・・が形成されているのは、ロアレール20を車両用シート1の右側用のレール部品としても左側用のレール部品としても使いまわせるようにするためである。
そして、下面部21の中央よりも前寄りの面部には、上方に突出するかたちで切り起こされた規制面部25,25が形成されている。これら規制面部25,25は、前述したアッパレール10の右側面部12Rに形成された前後の係止面部14F,14Rや、左側面部12Lに形成された前後の係止面部14F,14Rを、アッパレール10のスライド移動によってそれぞれ干渉させることができるように左右に分かれて切り起こし形成されている。
なお、各規制面部25,25とアッパレール10に形成された各係止面部14F,14F,及び係止面部14R,14Rとの干渉状態は、図3のVI線方向から見た構成図である図6において良く示されている。
すなわち、図1に示されるように、車両用シート1は、操作レバーLを引き上げ操作する前の状態では、そのスライド移動が規制された状態とされている。そこで、車両用シート1の前後のスライド位置を調整するために、操作レバーLの引き上げ操作を行うと、各スライド機構4,4のロック状態が解除される。したがって、操作レバーLの引き上げ状態を維持した状態で車両用シート1を前後にスライド移動させることにより、その前後のスライド位置を調整することができる。そしてその後に、操作レバーLの操作をやめることにより、各スライド機構4,4がロック状態に復帰するため、車両用シート1をその調整したスライド位置に保持することができる。
なお、この車両用シート1の前後方向のスライド移動可能な調整範囲は、前述したストッパ構造によって、一定の範囲内に制限されるようになっている。したがって、車両用シート1は、操作レバーLの引き上げ操作状態を維持していても、この範囲を超えてスライド移動させることができないようになっている。
更に、各係止面部14F,14F及び係止面部14R,14Rや規制面部25,25を、アッパレール10やロアレール20から切り起こして形成したことにより、部品点数を増大させることなくこれらのストッパ構造を構成することができる。
更に、各係止面部14F,14F及び係止面部14R,14Rや規制面部25,25を、互いに上下方向の近い位置で切り起こし形成したことにより、これらの切り起こし量を少なく抑えることができ、かつ、係止強度を高めることができる。
更に、車両用シート1のスライド移動量を規制するストッパ構造を左右のスライド機構4,4のそれぞれに配設したことにより、車両用シート1とフロアFとの間にかかるスライド移動の規制力を偏向させることなく左右で均等に作用させることができる。
例えば、スライド機構を、車両用シートを車両の幅方向にスライド移動させるように配設してもよい。
また、ストッパ構造が車両用シートの両サイドに配設されたスライド機構のそれぞれに配設されたものを示したが、一方のスライド機構にのみストッパ構造を設けるようにしてもよい。但し、この場合には、車両用シートとフロアとの間にかかるスライド移動の規制力が左右で偏向して作用するため、構成部品に曲げ等の負荷がかかり易くなることに留意が必要である。
また、ストッパ構造である係止面部や規制面部がアッパレールやロアレールに切り起こされて形成されたものを示したが、このような突起部品を別途に両レールに組み付けるようにしてもよい。但し、この場合には、かかる部品点数が増加することとなる。また、突起部品を係止強度が確保されるように組み付けなければならないことに留意が必要である。
また、係止面部や規制面部をアッパレールやロアレールの下面部に形成したことで、互いに上下方向に距離が近くなるように配置形成したものを示したが、他の位置に配置形成してもよい。但し、これらの距離が遠くなると、切り起こし量が多くなったり、係止強度が弱化してしまったりすることに留意が必要である。
2 シートバック
3 シートクッション
4 スライド機構
10 アッパレール
11 上面部
12R 右側面部
12L 左側面部
12H 貫通孔
13R 右ひれ面部
13L 左ひれ面部
13H 貫通孔
14F,14R 係止面部
15 受入口
20 ロアレール
21 下面部
22R 右側面部
22L 左側面部
23R,23L 上面部
24R 右返し面部
24L 左返し面部
24H 貫通孔
25 規制面部
30 ロック部材
30R 連結軸
31 操作腕
32 係合爪
40F,40R 支持具
PF,PR ピン
PL ピン
C キャップ
F フロア
L 操作レバー
K ベアリング
Claims (2)
- 車両用シートをフロアに対してスライド可能に連結する車両用シートのスライド機構であって、
前記車両用シートに組み付けられたスライド方向に長尺なアッパレールと、
該アッパレールのスライドを案内するガイド部材として前記フロアに組み付けられたスライド方向に長尺なロアレールと、を有し、
前記アッパレールには、そのスライド方向に離間した2箇所の位置に、下方に突出する形に切り起こされた係止面部が形成され、前記ロアレールにも、前記各係止面部が形成された箇所の間に上方に突出する形に切り起こされた規制面部が形成され、
前記アッパレールに形成された前記各係止面部は、前記アッパレールの平板形状の上面部の幅方向の両サイドから垂下する各側面部から切り起こされて形成され、前記ロアレールに形成された前記規制面部は、前記上面部と高さ方向に対面する前記ロアレールの平板形状の下面部から横断面方向に切り起こされて、前記各係止面部の幅方向の外側から内側へ延出する突出形状に形成され、
前記規制面部は、前記アッパレールの形状によって外部に対して被覆された配置構成とされており、前記アッパレールのスライドによって前記各係止面部が前記規制面部と当接することにより前記車両用シートのスライドが係止されるようになっていることを特徴とする車両用シートのスライド機構。 - 請求項1に記載の車両用シートのスライド機構であって、
前記アッパレール及び前記ロアレールは、前記車両用シートと前記フロアとの間に幅方向に一対で配設されていることを特徴とする車両用シートのスライド機構。
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