JP6826306B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
しかしながら、図8に示すように、排水トラップ管路222の入口部222aの下部側領域Bにおける洗浄水の水勢が強く且つ流速が速くされる一方で、上部側領域A側のゼット吐水流の勢いが弱くなり、汚物をうまく排出できず、残存させてしまう等の課題が生じている。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水部の出口流路部は、ゼット吐水部の出口に向かい且つボウル部の下部のボウル部底面に向かって延びる底面を形成しているので、給水初期にゼット吐水部から吐水されるゼット吐水流により、ボウル部の下部の底面から排水トラップ管路の底面に沿う水流を形成し、比較的早期に排水トラップ管路を満水にすることにより、汚物を排出させるサイホン作用の起動のタイミングを早めることができる。また、ゼット吐水部の出口流路部は、出口に向かって延び且つ底面の傾斜よりも上方に向かう傾斜を有する天井面を形成しているので、コアンダ効果によって天井面に沿って流れる一部のゼット吐水流の流れにより、排水トラップ管路の上部側領域においても汚物を下流側に押し込む流れを形成することができ、排水トラップ管路からの汚物の排出を効率よく行うことができる。よって、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器において、排水トラップ管路内からの汚物の排出性能を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、給水初期にゼット吐水部から吐水されるゼット吐水流を、ゼット吐水部の出口流路部の底面からボウル部の下部のボウル部底面に沿う滑らかな水流として形成することができ、ボウル部底面から排水トラップ管路の底面に沿う水流をより早く形成し、比較的早期に排水トラップ管路を満水にすることにより、汚物を排出させるサイホン作用の起動のタイミングをより早めることができる。
このように構成された本発明においては、天井面は、排水トラップ管路の入口部の頂部とその中央との間の上部側領域を指向するように形成されているので、コアンダ効果によって天井面に沿って流れる一部のゼット吐水流の流れにより、排水トラップ管路の上部側領域において汚物を下流側に押し込む流れを形成することができ、排水トラップ管路からの汚物の排出を効率よく行うことができる。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水部の出口流路部の天井面は、出口に向かってほぼ水平に延びているので、コアンダ効果によって天井面に沿って流れる一部のゼット吐水流の流れにより、排水トラップ管路の上部側領域において汚物を下流側に向かって水平方向に押し込む流れを形成することができ、排水トラップ管路からの汚物の排出をより効率よく行うことができる。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水部がゼット吐水部の出口流路部よりも上流側の流路の流路断面積を絞る絞り部を備えているので、ゼット吐水部から吐水されるゼット吐水流の流速を上昇させることができる。よって、給水初期にゼット吐水部から吐水されるゼット吐水流の流速が上昇され、比較的早期に排水トラップ管路を満水にし、汚物を排出させるサイホン作用の起動のタイミングをより早めることができる。また、コアンダ効果によって天井面に沿って流れる一部のゼット吐水流の流れの流速が上昇され、排水トラップ管路の上部側領域において汚物を下流側に押し込むより強い流れを形成することができ、排水トラップ管路からの汚物の排出を効率よく行うことができる。よって、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器において、排水トラップ管路内からの汚物の排出性能をより向上させることができる。
まず、図1は本発明の一実施形態による水洗大便器を示す斜視図であり、便蓋及び便座を上方位置まで回動させた状態を示し、図2は図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体部分を示す部分平面図であり、図3は本発明の一実施形態による水洗大便器における左右方向の中央断面を左側から見た断面図であり、便蓋及び便座を下方位置まで回動させた状態を示し、図4は図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のゼット導水路のゼット吐水部を排水トラップ管路側から見た状態を示す部分拡大図である。
また、図3に示すように、機能部8は、便器本体2の後方上部に配置されて、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部として機能する衛生洗浄系機能部10と、この衛生洗浄系機能部10に近接して配置されて、便器本体2への給水機能に関与する給水系機能部12とを備えている。
また、図3に示すように、便器本体2は、ボウル部20の下方に入口部22aが接続されて、ボウル部20内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路22を備えている。本発明の一実施形態による水洗大便器1は、サイホン作用を利用してボウル部20内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路22から一気に外部に排出する、いわゆる、サイホン式の水洗大便器である。
さらに、図2に示すように、リム通水路24の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)から供給される洗浄水をリム通水路24に供給する導水路である導水管28に接続されている。この導水管28の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、この水道の給水圧力を利用して、導水管28からリム通水路24内に供給された洗浄水は、リム通水路24内で前方へ導かれ、その後、内側且つ後方側に屈曲し、下流側のリム吐水口26まで導かれるようになっている。
そして、リム吐水口26に導かれた洗浄水は、後方に向けて吐水(リム吐水)され、リム吐水口26の下流側近傍に形成される通水路30(詳細は後述する)を経てボウル部20内を旋回することにより、ボウル部20内に旋回流が形成されるようになっている。
また、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26は、陶器を加工することで便器本体2に一体に形成されているが、例えば、樹脂等で便器本体2とは別体として形成し、便器本体2に取り付ける構成としてもよい。
また、ゼット吐水部32から吐出された洗浄水は、排水トラップ管路22の入口部22aから、この入口部22aの後方側の上昇管路22b内に流入した後、この上昇管路22b内を排水トラップ管路22の頂部22cから下降管路22dに流出するようになっている。
なお、ゼット導水路31に洗浄水を給水する給水源としては、貯水タンク34の他に、水道又は設備の給水圧力を利用する水道等であってもよい。給水系機能部12の加圧ポンプ36は省略されてもよい。例えば、水道直圧式の給水方式を採用する場合には、水道の給水圧力により加圧された水が供給されるため、加圧ポンプ36は省略されてもよい。
その他、衛生洗浄系機能部10には、局部洗浄装置(図示せず)に供給される洗浄水を貯水する貯水部(図示せず)、この貯水部(図示せず)内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(図示せず)、換気ファン(図示せず)、脱臭ファン(図示せず)、温風ファン(図示せず)、及び、これらの機器の作動を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
一方、給水系機能部12の給水路(図示せず)は、その上流側が給水源である水道(図示せず)に接続されており、貯水タンク(図示せず)の上流側の給水路には、定流量弁(図示せず)、電磁弁(図示せず)、貯水タンク(図示せず)への給水とリム吐水口26への吐水とを切り替える切替弁(図示せず)等が設けられている。また、給水系機能部12には、これら以外にも、電磁弁(図示せず)の開閉操作、切替弁(図示せず)の切替操作、及び、加圧ポンプ(図示せず)の回転数や作動時間等を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
まず、図2乃至図4に示すように、ゼット吐水部32は、ゼット吐水部32の出口32aまで延びる出口流路部60と、この出口流路部60の上流側端部(入口)に接続される出口流路接続部62と、を備えている。
出口流路部60には、ゼット吐水部32の出口32aに向かって斜め下方に延びる出口流路底面60a(底面)と、出口流路底面60aの両側から上方に立ち上がる出口流路側壁60bと、出口32aに向かって延び且つ出口流路底面60aの傾斜よりも上方に向かう傾斜を有する出口流路天井面60c(天井面)と、が形成されている。
ゼット吐水部32の出口流路部60の出口32aは、ボウル部20の下部のボウル部底面20aの最下端よりもわずかに上方に位置している。この出口流路部60の出口32a近傍の後方側におけるボウル部20のボウル部底面20aは、後方側、すなわち排水トラップ管路22の入口部22a側に向かう比較的緩やかな下り傾斜を形成している。ボウル部底面20aは、排水トラップ管路22の上昇管路底面22hに接続される。
なお、出口流路部60の出口流路底面60aが、比較的低い位置に配置され、且つボウル部20のボウル部底面20aに向かってほぼ水平に延びるように形成されていてもよい。このとき、出口流路天井面60cは出口32aに向かって延び且つ出口流路底面60aの傾斜(ほぼ水平の傾斜)よりも上方に向かう傾斜を有していればよい。
図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器を用いて便器洗浄を行ったときのゼット吐水部から吐水される洗浄水の排水トラップ管路の入口部近傍における流速分布を解析した結果の一例を示している。
図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器を用いて便器洗浄を行ったときのゼット吐水部から吐水される洗浄水の排水トラップ管路の入口部近傍における流速分布の状態を、コンピュータシミュレーションにより数値解析した結果の一例を示している。
この数値解析結果において、洗浄水の流れの向きを矢印により示し、さらに、濃淡が濃い色(濃いグレー及び黒に近い色)であり且つ長い矢印が、洗浄水の流速が速く且つ水勢が強い領域を示し、濃淡が淡い色(薄いグレー及びほぼ白に近い色)であり且つ短い矢印が、洗浄水の流速が遅く且つ水勢が弱い領域を示している。
使用者が操作ボタン(図示せず)を操作すると、コントローラは洗浄水を水道等の給水源から導水管28、リム通水路24を通過させ、リム吐水口26から吐出させる。
リム吐水口26から吐出された洗浄水は、ボウル部20内を旋回しながら下方へ流下し、ボウル部20の内壁面が洗浄される。
先ず、コントローラは、加圧ポンプ36に信号を送ってこれを起動させる。貯水タンク34内に貯水されていた洗浄水は、加圧ポンプ36に流入し、加圧される。加圧ポンプ36によって加圧された洗浄水は、ゼット導水路31を通って、ボウル部20の下部(底部)に開口したゼット吐水部32から吐出される。
従って、比較的早期に排水トラップ管路22を満水にすることにより、汚物を排出させるサイホン作用の起動のタイミングを早めることができる。さらに、汚物を排水トラップ管路22の入口部22aの下部側領域Bから押し流す比較的強い流れを形成する。ここで、下部側領域Bは、入口部22aの中央部22fとその下部22gとの間の領域として定義される。
図5において、矢印F4により示すように、出口流路天井面60cに沿って流出する流れは、上部側領域Aに向かう流れを形成する。図5に示す解析結果において、出口流路天井面60cの延長線上の上部側領域Aに向かう領域Dにおいても、洗浄水の比較的大きな流速が得られている。従って、排水トラップ管路22の頂部22cの近傍領域や上部側領域Aにおいても、排水トラップ管路22の下流側に向かう洗浄水の比較的大きな流速が得られている。
便器本体2に洗浄水が供給されてから所定時間経過後、コントローラ(図示せず)は、リム吐水口26からの吐水を終了させ、加圧ポンプ36の作動を停止させ、一連の洗浄動作が終了する。
まず、本発明の第1実施形態による水洗大便器1によれば、ゼット吐水部32の出口流路部60は、ゼット吐水部32の出口32aに向かい且つボウル部20の下部のボウル部底面20aに向かって延びる出口流路底面60aを形成しているので、給水初期にゼット吐水部32から吐水されるゼット吐水流(ゼット吐水流)により、ボウル部20の下部のボウル部底面20aから排水トラップ管路22の上昇管路底面22hに沿う水流を形成し、比較的早期に排水トラップ管路22を満水にすることにより、汚物を排出させるサイホン作用の起動のタイミングを早めることができる。また、ゼット吐水部32の出口流路部60は、出口32aに向かって延び且つ出口流路底面60aの傾斜よりも上方に向かう傾斜を有する出口流路天井面60cを形成しているので、コアンダ効果によって出口流路天井面60cに沿って流れる一部のゼット吐水流の流れにより、排水トラップ管路22の上部側領域Aにおいても汚物を下流側に押し込む流れを形成することができ、排水トラップ管路22からの汚物の排出を効率よく行うことができる。よって、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器1において、排水トラップ管路22内からの汚物の排出性能を向上させることができる。
また、コアンダ効果によって出口流路天井面60cに沿って流れる一部のゼット吐水流の流れの流速が上昇され、排水トラップ管路22の上部側領域Aにおいて汚物を下流側に押し込むより強い流れを形成することができ、排水トラップ管路22からの汚物の排出を効率よく行うことができる。よって、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器1において、排水トラップ管路22内からの汚物の排出性能をより向上させることができる。
図6は本発明の一実施形態による水洗大便器のゼット導水路のゼット吐水部のコーナー部の変形例を示すゼット吐水部の部分拡大断面図である。
なお、本発明の一実施形態による水洗大便器1のコーナー部64の変形例については、上述した本発明の一実施形態による水洗大便器1と同様な構成であるため、これらの同様な構成については、同様な符号を付し、これらの説明については省略する。
2 便器本体
4 便座
6 便蓋
8 機能部
10 衛生洗浄系機能部
12 給水系機能部
14 汚物受け面
16 棚面
18 リム部
20 ボウル部
20a ボウル部底面
22 排水トラップ管路
22a 入口部
22b 上昇管路
22c 頂部
22d 下降管路
22e 入口頂部
22f 中央部
22g 下部
22h 上昇管路底面
24 リム通水路
26 リム吐水口
28 導水管
30 通水路
31 ゼット導水路
32 ゼット吐水部
32a 出口
34 貯水タンク
36 加圧ポンプ
60 出口流路部
60a 出口流路底面
60b 出口流路側壁
60c 出口流路天井面
62 出口流路接続部
62c 接続部天井面
64 コーナー部
122 排水トラップ管路
122a 入口部
132 ゼット吐水部
220 ボウル部
220a 底面
222 排水トラップ管路
222a 入口部
232 ゼット吐水部
A 上部側領域
B 下部側領域
C 領域
D 領域
E 領域
F1 矢印
F2 矢印
F3 矢印
F4 矢印
L1 仮想線
Claims (3)
- 洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、この汚物受け面の上縁に形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部の下部に接続され汚物を排出する排水トラップ管路と、
上記ボウル部の下部において上記排水トラップ管路に向けて開口されるゼット吐水部とを有し、
上記ゼット吐水部は、上記ゼット吐水部の出口に向かい且つ上記ボウル部の下部のボウル部底面に向かって下方に延びる底面と、上記出口に向かって延びる天井面と、が形成されている出口流路部を備え、
上記ゼット吐水部の上記出口流路部の上記底面は、平坦面を形成すると共に、上記ボウル部の下部の上記ボウル部底面とほぼ面一に接続され、
上記ゼット吐水部の上記天井面は、平坦面を形成すると共に、上記底面の下向きの傾斜よりも上方に向かう傾斜を有し、且つ上記ゼット吐水部の上記出口における上記天井面の平坦面は、上記底面の平坦面よりも上方に向けて形成されると共に、上記排水トラップ管路の入口における頂部より下方に位置するように形成され、上記天井面の平坦面に接する仮想線が上記排水トラップ管路の入口部の入口頂部と上記入口部の中央部との間を通ることを特徴とする水洗大便器。 - 上記ゼット吐水部の上記出口流路部の上記天井面は、ほぼ水平に延びている請求項1に記載の水洗大便器。
- 上記ゼット吐水部は、さらに、上記ゼット吐水部の上記出口流路部よりも上流側の流路を絞る絞り部を備えている請求項1又は2に記載の水洗大便器。
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