JP6908871B2 - 水洗大便器 - Google Patents
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Description
例えば、図6に示すように、従来の排水トラップ管路122の入口部122aの中央に向かって直線的に延びているゼット吐水部132を備えた水洗大便器において、ゼット吐水部132から吐水された洗浄水のゼット吐水流が、対向する正面の排水トラップ管路122の底面の領域Eに衝突し、洗浄水の流れにロスが生じる様子が解析により示されている。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水口部の出口部の出口部底面に沿って吐出されるゼット吐水流の一部が、コアンダ効果により、出口部底面の先端から出口部底面よりも下方に斜めに傾斜する曲面を形成するボウル部の底面に沿った流れを形成するので、ボウル部の底面に沿って比較的早期に排水トラップ管路に到達することによりサイホン作用の起動のタイミングを早めるゼット吐水流と、ゼット吐水口部から排水トラップ管路に向けて汚物を押込む流れを形成するゼット吐水流と、を形成することができ、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器において、より少ない洗浄水量であっても、排水トラップ管路内からの汚物の排出性能を向上させることができる。
また、このように構成された本発明においては、ゼット吐水口部は、排水トラップ管路の入口内の中央部より下方側に向けてゼット吐水流を吐水するので、ゼット吐水流が、コアンダ効果によるボウル部の底面に沿った流れと、ボウル部の底面に沿った流れが比較的強い水勢を保っている状態で合流され、両者の流れが相俟ってスムーズに排水トラップ管路内を流れる流れを形成でき、ゼット吐水流が排水トラップ管路の内面に衝突するようにして排水トラップ管路内の流れを妨げる流れを生じさせることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水口部は、排水トラップ管路の入口内の中央部より下方側に向けてゼット吐水流を吐水するので、ゼット吐水流が、コアンダ効果によるボウル部の底面に沿った流れと、ボウル部の底面に沿った流れが比較的強い水勢の状態で合流され、両者の流れが相俟ってスムーズに排水トラップ管路内を流れる流れを形成でき、ゼット吐水流が排水トラップ管路の内面に衝突するようにして排水トラップ管路内の流れを妨げる流れを生じさせることを抑制することができる。
このように構成された本発明においては、ゼット吐水口部の出口部底面と、この出口部底面の先端から下方に延びるボウル部の底面の接線との間の角度は、140度〜165度の範囲の角度に形成されているので、ゼット吐水口部の出口部底面に沿って流出されるゼット吐水流のうちの一部が、コアンダ効果により、ボウル部底面に引き寄せられ且つボウル部底面に沿って流れることができる。よって、ボウル部の底面に沿って比較的早期に排水トラップ管路に到達することによりサイホン作用の起動のタイミングを早めるゼット吐水流と、ゼット吐水口部から排水トラップ管路に向けて汚物を押込む流れを形成するゼット吐水流と、を形成することができ、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器において、より少ない洗浄水量であっても、排水トラップ管路内からの汚物の排出性能を向上させることができる。
まず、図1は本発明の一実施形態による水洗大便器を示す斜視図であり、便蓋及び便座を上方位置まで回動させた状態を示し、図2は図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体部分を示す平面図であり、図3は本発明の一実施形態による水洗大便器における左右方向の中央断面を左側から見た断面図であり、便蓋及び便座を下方位置まで回動させた状態を示し、図3bは図3の領域Cを拡大して示す部分拡大断面図であり、図4は図1に示す本発明の一実施形態による水洗大便器のゼット導水路のゼット吐水部を排水トラップ管路側から見た状態を示す部分拡大図である。
また、図3に示すように、機能部8は、便器本体2の後方上部に配置されて、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部として機能する衛生洗浄系機能部10と、この衛生洗浄系機能部10に近接して配置されて、便器本体2への給水機能に関与する給水系機能部12とを備えている。
また、図3に示すように、便器本体2は、ボウル部20の下方に入口部22aが接続されて、ボウル部20内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路22を備えている。
さらに、図2に示すように、リム通水路24の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)から供給される洗浄水をリム通水路24に供給する導水路である導水管28に接続されている。この導水管28の上流側は、洗浄水源である水道(図示せず)に直結されており、この水道の給水圧力を利用して、導水管28からリム通水路24内に供給された洗浄水は、リム通水路24内で前方へ導かれ、その後、内側且つ後方側に屈曲し、下流側のリム吐水口26まで導かれるようになっている。
そして、リム吐水口26に導かれた洗浄水は、後方に向けて吐水(リム吐水)され、リム吐水口26の下流側近傍に形成される通水路30(詳細は後述する)を経てボウル部20内を旋回することにより、ボウル部20内に旋回流が形成されるようになっている。
また、本実施形態の水洗大便器1においては、リム吐水部であるリム通水路24及びリム吐水口26は、陶器を加工することで便器本体2に一体に形成されているが、例えば、樹脂等で便器本体2とは別体として形成し、樹脂等の通水路を便器本体2内に取り付ける構成としてもよい。
また、ゼット吐水部32から吐出された洗浄水は、排水トラップ管路22の入口部22aから、この入口部22aの後方側の上昇管路22b内に流入した後、この上昇管路22b内を排水トラップ管路22の頂部22cから下降管路22dに流出するようになっている。
なお、ゼット導水路31に洗浄水を給水する給水源としては、貯水タンク34の他に、水道又は設備の給水圧力を利用する水道等であってもよい。給水系機能部12の加圧ポンプ36は省略されてもよい。例えば、水道直圧式の給水方式を採用する場合には、水道の給水圧力により加圧された水が供給されるため、加圧ポンプ36は省略されてもよい。
その他、衛生洗浄系機能部10には、局部洗浄装置(図示せず)に供給される洗浄水を貯水する貯水部(図示せず)、この貯水部(図示せず)内の洗浄水を適温に温めて温水にする加熱器(図示せず)、換気ファン(図示せず)、脱臭ファン(図示せず)、温風ファン(図示せず)、及び、これらの機器の作動を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
一方、給水系機能部12の給水路(図示せず)は、その上流側が給水源である水道(図示せず)に接続されており、貯水タンク(図示せず)の上流側の給水路には、定流量弁(図示せず)、電磁弁(図示せず)、貯水タンク(図示せず)への給水とリム吐水口26への吐水とを切り替える切替弁(図示せず)等が設けられている。また、給水系機能部12には、これら以外にも、電磁弁(図示せず)の開閉操作、切替弁(図示せず)の切替操作、及び、加圧ポンプ(図示せず)の回転数や作動時間等を制御するコントローラ(図示せず)等が設けられている。
なお、下端部底面60aが出口32a近傍においてほぼ水平に形成されている。そのほぼ水平に形成されている出口32aの下端部底面60aを、排水トラップ管路22の入口部22aに向けて延ばした位置(すなわち、水平面Lを入口部22aへ向けて延ばした位置)は、入口部22aの中央部近傍の位置となっている。なお、出口32aが、下端部底面60aの下り傾斜(出口流路部60の下り傾斜、すなわち、中心線C1の傾き)とほぼ同じ下り傾斜を有するように形成されていてもよい。
なお、出口32aに接続されるボウル部底面20aが、出口32aからほぼ鉛直方向下方に(ほぼ真下に)延びる場合は、下端部底面60aに沿って流出されるゼット吐水流のうちの一部を、コアンダ効果により、ボウル部底面20aに沿って流すことが難しいため、出口32aからほぼ鉛直方向下方に延びるボウル部底面20aは、本発明には含まれない。
図3bに示すように、出口流路部60の出口32aにおける流路を、仮想的に開口向きに延伸させた仮想線Xは、排水トラップ管路22の入口部22aにおいて中央部22fと底面22gとの間に到達する。ゼット吐水部32の出口32aから横向きに吐水される洗浄水は、矢印F2に示すように、排水トラップ管路22の下部側領域Bに向けてゼット吐水流を形成する。排水トラップ管路22の下部側領域Bに向かうゼット吐水流は、排水トラップ管路22に向けて汚物を押込む流れを形成する。より具体的には、排水トラップ管路22の下部側領域Bに向かうゼット吐水流は、ボウル部20の底面22g近傍に向かって落ちてくる汚物(大便、トイレットペーパー等)を排水トラップ管路22に向けて比較的強力に押込む。また、このようなゼット吐水流が、後述する排水トラップ管路22の底面に沿う流れと合流することにより、排水トラップ管路22内に向けて押し込んだ汚物を、排水トラップ管路22の底面22gに沿って比較的強力に排出させることも可能になる。
図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器を用いて便器洗浄を行ったとき、ゼット吐水部から吐水されるゼット吐水流と、このゼット吐水流の一部がゼット吐水部の出口からさらに下方に斜めに傾斜するボウル部底面に沿って流れる流れとの排水トラップ管路の入口部近傍における流速分布を解析した結果の一例を示している。
図5は、本発明の一実施形態による水洗大便器を用いて便器洗浄を行ったときのゼット吐水部から吐水される洗浄水の排水トラップ管路の入口部近傍における流速分布の状態を、コンピュータシミュレーションにより数値解析した結果の一例を示している。この数値解析結果において、洗浄水の流れの向きを矢印により示し、さらに、濃淡が濃い色(濃いグレー及び黒に近い色)であり且つ長い矢印が、洗浄水の流速が速く且つ水勢が強い領域を示し、濃淡が淡い色(薄いグレー及びほぼ白に近い色)であり且つ短い矢印が、洗浄水の流速が遅く且つ水勢が弱い領域を示している。
使用者が操作ボタン(図示せず)を操作すると、コントローラは洗浄水を水道等の給水源から導水管28、リム通水路24を通過させ、リム吐水口26から吐出させる。
リム吐水口26から吐出された洗浄水は、ボウル部20内を旋回しながら下方へ流下し、ボウル部20の内壁面が洗浄される。
先ず、コントローラは、加圧ポンプ36に信号を送ってこれを起動させる。貯水タンク34内に貯水されていた洗浄水は、加圧ポンプ36に流入し、加圧される。加圧ポンプ36によって加圧された洗浄水は、ゼット導水路31を通って、ボウル部20の下部(底部)に開口したゼット吐水部32から吐出される。
さらに、ボウル部底面20aに沿って分かれた一部の流れは、比較的水勢(流速)が高い状態を維持している位置Aにおいて、ゼット吐水部32から横向きに流出されたゼット吐水流の主流と合流することにより、矢印F4に示すように、汚物を排水トラップ管路22の上昇管路底面22eから押し流す比較的強い流れを形成する。
便器本体2に洗浄水が供給されてから所定時間経過後、コントローラ(図示せず)は、リム吐水口26からの吐水を終了させ、加圧ポンプ36の作動を停止させ、一連の洗浄動作が終了する。
まず、本発明の一実施形態による水洗大便器1によれば、ゼット吐水部32の出口部の下端部底面60aに沿って吐出されるゼット吐水流の一部が、コアンダ効果により、下端部底面60aの先端から下端部底面60aよりも下方に斜めに傾斜する曲面を形成するボウル部20のボウル部底面20aに沿った流れを形成するので、ボウル部20のボウル部底面20aに沿って比較的早期に排水トラップ管路22に到達することによりサイホン作用の起動のタイミングを早めるゼット吐水流と、ゼット吐水部32から排水トラップ管路22に向けて汚物を押込む流れを形成するゼット吐水流と、を形成することができ、サイホン作用により汚物を排出させる水洗大便器1において、より少ない洗浄水量であっても、排水トラップ管路22内からの汚物の排出性能を向上させることができる。
2 便器本体
4 便座
6 便蓋
8 機能部
10 衛生洗浄系機能部
12 給水系機能部
14 汚物受け面
15 下降平坦面
16 棚面
17 溜水部
18 リム部
20 ボウル部
20a ボウル部底面
22 排水トラップ管路
22a 入口部
22b 上昇管路
22c 頂部
22d 下降管路
22e 上昇管路底面
22f 中央部
22g 底面
24 リム通水路
26 リム吐水口
28 導水管
30 通水路
31 ゼット導水路
32 ゼット吐水部
32a 出口
34 貯水タンク
36 加圧ポンプ
60 出口流路部
60a 下端部底面
60b 出口流路側壁
60c 出口流路天井面
62 コーナー部
101 水洗大便器
120 ボウル部
120a ボウル部底面
122 排水トラップ管路
122a 入口部
132 ゼット吐水部
A 位置
B 下部側領域
C1 中心線
C2 接線
E 領域
F1 矢印
F2 矢印
F3 矢印
F4 矢印
F5 矢印
F6 矢印
L 水平面
X 仮想線
α1 角度
α2 角度
α3 角度
α4 角度
Claims (3)
- 洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面と、この汚物受け面の上縁に形成されたリム部と、を備えたボウル部と、
このボウル部の下部に接続される排水トラップ管路と、
上記ボウル部の下部に接続され且つ上記排水トラップ管路に向けて開口されるゼット吐水口部であって、その出口部の出口部底面と上記ボウル部の底面とが接続されるゼット吐水口部と、を有し、
上記ボウル部の上記底面は、上記ゼット吐水口部の上記出口部底面の先端から上記出口部底面よりも下方に斜めに傾斜する曲面を形成し、
上記ゼット吐水口部の上記出口部は、上記排水トラップ管路の入口内の中央部より下方側に向けて開口され、上記出口部の出口流路天井面は、ほぼ平坦な平面を形成し、上記出口流路天井面は、上記出口部の出口に向かって直線的に延び且つ上記排水トラップ管路の入口部の中央部より下方側且つ上記入口部の底面より上方側に向かうような傾斜を有する平面を形成し、上記汚物受け面は、上記ゼット吐水口部の上方における凹部分であって、上記排水トラップ管路の底面の頂部によって規定される水位より下方且つ近傍の上記汚物受け面の前側底面よりもさらに下方に傾斜された上記凹部分と、上記凹部分の下端部から上記ゼット吐水口部の上記出口部に向かって下方向きに傾斜する傾斜面とを備え、
上記凹部分は、上記前側底面の傾斜よりも大きい傾斜を形成する凹部分傾斜面を備え、上記傾斜面の傾斜は、上記凹部分傾斜面の傾斜よりも小さいことを特徴とする水洗大便器。 - 上記排水トラップ管路の上昇管路の水平に対する傾斜角度と、上記ゼット吐水口部の水平に対する傾斜角度との比率は、26:1〜6.5:1の範囲の比率とされている、請求項1に記載の水洗大便器。
- 上記ゼット吐水口部の上記出口部底面と、この出口部底面の先端から下方に延びる上記ボウル部の上記底面の接線との間の角度は、140度〜165度の範囲の角度に形成されている、請求項1又は2に記載の水洗大便器。
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