JPH06173322A - 便 器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラップ内での洗浄水の流れを良好化させ、
排水力を高めることのできる便器の提供を目的とする。 【構成】 ジェット水をトラップ排水路５に供給しサイ
ホン作用を発生させる便器において、前記トラップ排水
路５の内壁周囲に沿って排水方向に向けて洗浄水を流す
洗浄水口７を、該トラップ排水路５内の昇り勾配流域に
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、便器の改良に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】従来、サイホン式便器にお
いては、ジェット孔からトラップ側へ洗浄水を噴出さ
せ、トラップ内でサイホン起動を生じさせて、排水口よ
り洗浄水を排水する構造となっているが、ジェット孔か
ら噴出される洗浄水の水圧および水量が低い場合等にお
いては、良好にトラップ内でサイホン起動が起こらず、
排水効率が悪くなってしまうという問題点があった。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の問題
点に鑑み案出したものであって、排水力を高めることの
できる便器を提供せんことを目的とし、その第１の要旨
は、ジェット水をトラップ排水路に供給しサイホン作用
を発生させる便器において、前記トラップ排水路の内壁
周囲に沿って排水方向に向けて洗浄水を流す洗浄水口
を、該トラップ排水路内の昇り勾配流域に設けたことで
ある。また、第２の要旨は、ジェット水をトラップ排水
路に供給しサイホン作用を発生させる便器において、前
記トラップ排水路内を流れる前記ジェット水の排水方向
に対し略直角に洗浄水を流す洗浄水口を、該トラップ排
水路内の昇り勾配流域に設けたことである。

【０００４】

【作用】前記第１の要旨において、トラップ排水路内の
昇り勾配流域には洗浄水口が形成され、この洗浄水口か
らトラップ排水路の内壁に沿って洗浄水が排水方向に向
けて流されるため、この洗浄水口からの洗浄水により、
ジェット孔から噴出される洗浄水のトラップ排水路内壁
での抵抗が低減されてトラップ排水路内での洗浄水の流
れが極めて良好となり、トラップ排水路内に早期に洗浄
水が満水状態となり、サイホン起動を早期に実現させる
ことができる。また、前記第２の要旨において、排水方
向に対し略直角に洗浄水を流す洗浄水口を設けたため、
この洗浄水口から流される洗浄水はジェット水と直交
し、これによりコアンダ効果によってトラップ排水路内
にスパイラル流が発生し、このスパイラル流により汚物
等の搬送能力を向上させることができる。

【０００５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、便器の断面構成図であり、便器本体１に
は水封水Ｗを貯留する鉢部２が形成され、この鉢部２の
上方にはリム３が形成されている。また、鉢部２の後方
には鉢部２と連通状にトラップ排水路５が形成されてお
り、トラップ排水路５の下端部は排水口６を形成してい
る。トラップ排水路５は、鉢２側から後方側へ上傾する
水路を形成する上傾部５ａと、この上傾部５ａの上端で
湾曲状の水路を形成する頂部５ｂと、頂部５ｂから垂下
状に水路を形成する垂下部５ｃとによる湾曲状の水路を
形成しており、本例においては、このトラップ排水路５
の上傾部５ａの内壁に、図２に拡大して示すように洗浄
水口７が形成されている。

【０００６】この洗浄水口７は、トラップ排水路５の内
壁５Ｐの外側に形成された水路８と連通しており、水路
８から洗浄水口７に供給される洗浄水は、洗浄水口７か
ら内壁５Ｐの内側に沿って頂部５ｂ側へ流されるように
洗浄水口７の開口部は形成されており、前記鉢部２の底
部に形成されているジェット水を噴出するジェット孔４
から噴出される洗浄水の流れ方向と同一の流れ方向に、
洗浄水口７から洗浄水が流されるように構成されてい
る。なお、使用者がフラッシュバルブ等を操作すること
により、前記ジェット孔４からジェット水が噴出される
が、これと同時に水路８内を通り洗浄水が洗浄水口７に
供給されるものとなっている。

【０００７】このような構造において、ジェット孔４か
らトラップ排水路５の上傾部５ａ内に洗浄水が噴出され
ると、この洗浄水は水封水Ｗをトラップ排水路５の頂部
５ｂ側へ押し流し、同時に洗浄水口７から内壁５Ｐに沿
って洗浄水が流されるため、ジェット水のトラップ排水
路内壁５Ｐに対する抵抗が、洗浄水口７から流される洗
浄水により軽減されて、ジェット水は強力に水封水Ｗを
押し出して頂部５ｂから垂下部５ｃへ洗浄水を流し、早
期にトラップ排水路５内を満水状態として、トラップ排
水路５内でサイホン起動を早期に発現させることがで
き、ジェット水は洗浄水口７から流される水の流れとの
相乗効果により強力にトラップ排水路５内を流れるた
め、従来に比べてサイホン起動が早くなり、かつ排水力
が高められることとなる。なお、ジェット水の水圧およ
び水量が低い場合にも、洗浄水口７から流される洗浄水
により、トラップ排水路５内の満水状態を早期に実現さ
せることができるため、ジェット水の水量を少なくして
洗浄水の節減を図ることもできる。

【０００８】次に、図３は変更例を示すものであり、本
例においては、トラップ排水路５の上傾部５ａの内周
に、前記ジェット孔４から噴出されるジェット水の流れ
方向に対し略直角方向に洗浄水を流すことのできる洗浄
水口７を形成したものである。このような洗浄水口７を
形成したことにより、ジェット水がトラップ排水路５の
上傾部５ａ内を頂部５ｂに向かって流れる際に、洗浄水
口７から流される洗浄水がこのジェット水に直角方向に
作用し、この際にトラップ排水路５の上傾部５ａ内でコ
アンダ効果によってスパイラル流が発生し、このスパイ
ラル流は強力に汚物等を排水口６側へ排水することがで
きるものであり、汚物等の搬送能力が格段に向上され、
より良好に排水力を高めることができるものである。

【０００９】即ち、コアンダ効果とは、管路方向の流体
のベクトルに管半径方向のベクトルを加えると、流体が
旋回し、この旋回流に基づき管内壁近傍に動的境界渦が
形成されるとともに、流体はスパイラル（螺旋）を描き
つつ管路方向へ高速で進行する現象であり、この場合、
進行方向の反対側には強い吸引力の負圧が形成され、汚
物等が強力に吸引されて排水口６側へ排水されるのであ
る。

【００１０】

【発明の効果】本発明の便器は、ジェット水をトラップ
排水路に供給しサイホン作用を発生させる便器におい
て、前記トラップ排水路の内壁周囲に沿って排水方向に
向けて洗浄水を流す洗浄水口を、該トラップ排水路内の
昇り勾配流域に設けたことにより、洗浄水口から流され
る洗浄水により、ジェット水のトラップ排水路内壁での
抵抗が低減されて、ジェット水と洗浄水口から流れる洗
浄水の相乗効果により、トラップ排水路内での水の流れ
が極めて良好となり、トラップ排水路内を早期に満水状
態として、サイホン起動を早期に発現させることがで
き、排水力を向上させることができる効果を有する。

【００１１】また、トラップ排水路内を流れるジェット
水の排水方向に対し略直角に洗浄水を流す洗浄水口を、
トラップ排水路内の昇り勾配流域に設けたことにより、
ジェット水と洗浄水口から流される洗浄水の作用によ
り、コアンダ効果によってトラップ排水路内にスパイラ
ル流が発生し、このスパイラル流により汚物等の搬送能
力が高められ、より強力な排水力が得られる効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】便器の縦断面構成図である。

【図２】図１におけるトラップ排水路の上傾部の要部拡
大構成図である。

【図３】便器の変更例を示す縦断面構成図である。

【符号の説明】

１ 便器本体 ２ 鉢部 ４ ジェット孔 ５ トラップ排水路 ５ａ 上傾部 ５ｂ 頂部 ５ｃ 垂下部 ５Ｐ 内壁 ６ 排水口 ７ 洗浄水口 ８ 水路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 淳 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株式 会社イナックス内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ジェット水をトラップ排水路に供給しサ
   イホン作用を発生させる便器において、前記トラップ排
   水路の内壁周囲に沿って排水方向に向けて洗浄水を流す
   洗浄水口を、該トラップ排水路内の昇り勾配流域に設け
   たことを特徴とする便器。
2. 【請求項２】 ジェット水をトラップ排水路に供給しサ
   イホン作用を発生させる便器において、前記トラップ排
   水路内を流れる前記ジェット水の排水方向に対し略直角
   に洗浄水を流す洗浄水口を、該トラップ排水路内の昇り
   勾配流域に設けたことを特徴とする便器。