JP6815072B2 - 調理済みひき肉およびひき肉加工食品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、そぼろ料理やひき肉ソース等のひき肉含有食品に好適に用いることができる調理済みひき肉に関し、さらにこの調理済みひき肉を用いるひき肉含有食品に関する。
ステーキのような塊肉を鉄板で焼き上げると、肉内部のボイル臭と表面のロースト臭が生じ、これらが相まって官能的な芳香が生じる。その一方で、ひき肉を調理した場合には、ジューシー感、粒状感、崩壊感といったひき肉独特の食感を有する食品が得られるものの、それらの食品は、肉の香りの点では質、量ともに塊肉に比べて劣る。
特許文献1には、ひき肉、水、および水酸化カルシウムと酸化カルシウムと炭酸カルシウムからなる群から選択されたカルシウム化合物とクエン酸カルシウムとの反応生成物を含むひき肉製品が開示されている。特許文献2には、ひき肉とみじん切り玉ねぎを混練して成形した生地を、表面に焦げ目を付し、内部を生の状態で保持するように焦熱加工し、次いで冷凍する冷凍ハンバーグの製造方法が開示されている。特許文献3には、ひき肉に段階的にアルカリ剤と酸性剤を添加するひき肉加工食品の製造方法が開示されている。しかし、これらはいずれもひき肉を含む食品の食感や保形性の改良に関する技術であり、ひき肉食品の香りを改良するものではなかった。
特許文献4には、挽肉を庫内温度200℃程度のオーブンで品温が70℃〜105℃になるまで焼成することを特徴とする、肉の臭みがなく好ましい香りを有する挽肉入りソースの製造方法が記載されている。しかし挽肉のどのような成分が臭みや香りをもたらしているのかは明らかにされていない。
特開平6−153865号公報 特開平9−47265号公報 特開2013−176308号公報 特開2014−113076号公報
本発明は、ひき肉含有食品の材料として好適に用いることができる、肉の芳香が引き立てられた調理済みひき肉に関する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、調理後のひき肉から得られる香気性成分中におけるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の含有量が特定の割合になるように生ひき肉を加熱調理することにより、調理した塊肉のような芳香を有し、かつひき肉独特の粒状感ある食感を有する調理済みひき肉が得られることを見出した。
すなわち本発明は、香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対して、該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が合計で75質量%以上であり、かつ該含窒素化合物の含有量が0.18質量%以上である、調理済みひき肉を提供する。
また本発明は、加熱後のひき肉の香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対して、該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が合計で75質量%以上、かつ該含窒素化合物の含有量が0.18質量%以上となるように、生ひき肉を加熱することを含む、調理済みひき肉の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記調理済みひき肉を含むひき肉含有食品を提供する。
本発明の調理済みひき肉は、調理肉の甘い香りと香ばしい香りとを呈する芳香を有し、しかも、ひき肉独特の粒状感のある食感を有する。本発明の調理済みひき肉は、特にそぼろ料理やひき肉ソースのようなひき肉含有食品の材料として好適である。
本発明の調理済みひき肉の原料となる肉の種類としては、特に限定がなく、牛、豚、羊、猪、鶏、鴨などの畜肉、家禽肉および鳥獣肉を挙げることができる。これらの肉は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。本発明の調理済みひき肉の製造においては、上記の原料肉をミンチした生ひき肉が用いられる。原料肉のミンチは、食肉をミンチ状に加工する公知のミンチ機を用いて通常の要領で行えばよい。原料肉のミンチの程度は特に限定されず、粗挽き、中挽き、細挽きなどのいずれも採用できる。
好ましくは、本発明で用いられる生ひき肉は、牛ひき肉、豚ひき肉、またはそれらの組み合わせ(例えば牛豚合いびき肉)である。これらの生ひき肉を用いた場合、極めて香り高い調理済みひき肉を得ることができる。また、本発明で好ましく用いられる生ひき肉の一例として、原料肉をミンチ機で2回挽いた2度挽きの生ひき肉が挙げられ、さらに好ましい例は、原料肉を細挽きした後に粗挽きして得られる2度挽きの生ひき肉である。2度挽きの生ひき肉は、加熱しても硬くなりにくく、かつ加熱後の食感、味、香りがより向上するため、本発明で好ましく用いられる。よって好ましくは、本発明の調理済みひき肉は、2度挽きひき肉の調理品である。
本発明の調理済みひき肉の製造においては、上記生ひき肉を加熱する。加熱手段としては、加熱空気による加熱、赤外線加熱、またはそれらを併用する方法が採用される。加熱空気による加熱の方法としては、例えば220〜400℃、好ましくは240〜320℃の熱雰囲気中でひき肉を1分30秒〜6分40秒、好ましくは2分〜4分30秒加熱する処理、および220〜360℃、好ましくは230〜300℃の熱風を1分30秒〜6分40秒、好ましくは2分〜4分30秒ひき肉に当ててひき肉を加熱する処理が挙げられる。赤外線加熱の方法としては、温度220〜2000℃の熱放射体(例えば、700〜3000Wのヒーター)から放射される赤外線を2分30秒〜8分、好ましくは3分〜8分当ててひき肉を加熱する処理が挙げられる。
上記の加熱処理には、オーブントースター、ロースターオーブン、ジェットオーブン、コンベクションオーブン、石釜、ほうろくなどのオーブン(釜);ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーター、赤外線ヒーター、直火で加熱しないバーナーなどのヒーター;熱風炉などの炉を利用することができる。これらの中でも、オーブンの庫内に気流を発生させるジェットオーブンおよびコンベクションオーブンは、本発明の加熱手段として好ましい。
さらに、上記加熱処理を水蒸気の存在下で行うと、得られた調理済みひき肉の香りや食感がさらに向上するため好ましい。水蒸気の存在下で上記加熱処理を行うためには、水蒸気が導入されたオーブンの庫内で生ひき肉を加熱処理する方法や、水蒸気を生ひき肉に噴霧しながらヒーターで加熱処理する方法などを採用することができる。
一方、生ひき肉を、上記以外の加熱手段、例えば、フライパンによるソテー、蒸煮(ボイル)、油ちょうなどの熱媒体(例えば鉄板、高温の水若しくは油等)に直接接触させる加熱手段や、マイクロ波加熱、ジュール加熱で加熱しても、調理済みひき肉の香り向上効果は得られない。
本発明の調理済みひき肉の製造においては、生ひき肉全体を均一に加熱する観点から、加熱処理に付される生ひき肉はシート状に成形されていることが好ましい。シート状の生ひき肉の厚さは、一般的には3〜80mm、好ましくは5〜60mm、より好ましくは8〜40mm、さらに好ましくは10〜25mmである。該シート状生ひき肉の長さと幅は、上記加熱処理のための機器のサイズに合わせて適宜設定すればよい。
上記加熱処理において、生ひき肉は、他の食材と組み合わせることなくそれ単独で加熱されることが好ましいが、加熱後のひき肉の香気性成分の構成比が後述する特定範囲に保たれる限り、生ひき肉に下味をつけるための調味料とともに加熱されてもよい。当該調味料としては、塩、コショウなどが挙げられる。
上記の手順で製造された本発明の調理済みひき肉は、その香気性成分が特定の構成比を有する。本発明において、調理済みひき肉の香気性成分の構成比は、該香気性成分中に含まれる揮発性のアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対する当該各揮発性成分の量(質量比)として捉えられる。すなわち、本発明の調理済みひき肉の香気性成分中、該香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対して、アルデヒドおよびケトンの含有量は75質量%以上、好ましくは80〜90質量%であり、より好ましくは83〜88質量%であり、かつ含窒素化合物の含有量は0.18質量%以上、好ましくは0.20〜0.40質量%、より好ましくは0.20〜0.30質量%である。香気性成分の構成比が上記範囲である調理済みひき肉は、肉の甘い香りと香ばしい香りをバランスよく有する香りのよいものとなる。
好ましくは、本発明の調理済みひき肉において、その香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対する環状化合物の含有量は、20質量%以下、より好ましくは17.5質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下である。このような香気性成分構成比を有する調理済みひき肉は、肉の甘い香りと香ばしい香りがより引き立ち、さらに味わい深い香りとなる。
また好ましくは、本発明の調理済みひき肉において、その香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対するカルボン酸の含有量は、1.4質量%以下、より好ましくは1.35質量%以下、さらに好ましくは1.30質量%以下である。このような香気性成分構成比有する調理済みひき肉は、肉の甘い香りと香ばしい香りがより引き立ち、さらに味わい深い香りとなる。
上記香気性成分に含まれるアルデヒドおよびケトンは、甘い香りに関与する成分であり、直鎖構造または分岐鎖構造を有する炭素数2〜12のアルデヒド類およびケトン類を指す。該アルデヒドおよびケトンの例としては、アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール等が挙げられる。また、該香気性成分に含まれる含窒素化合物は、香ばしい香りに関与する成分であり、ベンゼン環中に窒素原子を1個または2個含み、かつ任意に炭化水素の側鎖を有する化合物を指す。該含窒素化合物の例としては、2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5ジメチル−ピラジン等が挙げられる。また、該香気性成分に含まれる環状化合物は、濃厚な香りに関与する成分であり、3〜10員環の窒素原子を含まない環状構造を有し、かつ任意に炭化水素の側鎖を有する化合物を指す。該環状化合物の例としては、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタン、1,2,3−トリメチル−シクロペンタン等が挙げられる。また、該香気性成分に含まれるカルボン酸は、炭素数1〜15のカルボン酸を指し、その例としてはペンタン酸、オクタン酸、ノナン酸等が挙げられる。なお、ひき肉の原料肉の種類により、上記各香気性成分の含有量には多少の変動がある。
本発明において、調理済みひき肉の香気性成分に含まれる揮発性のアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いた分析により定量することができる。より詳細には、調理済みひき肉試料100mgを20mL(高さ75.5mm×径22.5mm)のガラス容器に入れ、80℃で60分間加熱したときに放出された成分をガスクロマトグラフ質量分析にかけることで、各香気性成分を定量することができる。なお、調理済みひき肉がひき肉含有食品に加工されている場合は、当該ひき肉含有食品から調理済みひき肉を取出し、必要に応じて付着した他の食材(例えば水分、たれ、ソースなど)を除去した後、上記の手順でガスクロマトグラフ質量分析にかけることによって、香気性成分を定量することができる。
したがって、好ましくは本明細書において、「調理済みひき肉の香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量」とは、上記手順でのガスクロマトグラフ質量分析により検出されたアセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール、2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5ジメチル−ピラジン、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタン、1,2,3−トリメチル−シクロペンタン、ペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の合計量であり、「該香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対するアルデヒドおよびケトンの含有量」とは、上記合計量中におけるアセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナールおよびオクタナールの総量であり、「該香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対する含窒素化合物の含有量」とは、上記合計量中における2,5−ジメチルピラジンおよび2−エチル−3,5ジメチル−ピラジンの総量であり、「該香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対する環状化合物の含有量」とは、上記合計量中におけるベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル-シクロブタンおよび1,2,3−トリメチル−シクロペンタンの総量であり、また「該香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対するカルボン酸の含有量」とは、上記合計量中におけるペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の総量である。
本発明の調理済みひき肉は、そのまま単独で食することもでき、または各種ひき肉含有食品の材料とすることもできる。例えば、当該調理済みひき肉は、それ単独でもしくは他の食材と合わせてひき肉料理、ひき肉入ソース等の各種ひき肉含有食品の製造に使用することができる。また本発明の調理済みひき肉、およびそれを用いて製造したひき肉含有食品は、脱酸素包装またはレトルト滅菌した状態で保存したり、あるいは冷却または凍結した状態で冷蔵または冷凍保存することができる。
本発明の調理済みひき肉を用いて製造することができるひき肉含有食品の例としては、通常ひき肉を用いて製造することができるあらゆる食品が挙げられる。そのような食品の例としては、ひき肉料理およびひき肉入ソースが挙げられ、より詳細な例としては、ハンバーグ、ミートボール、肉団子、肉コロッケ、メンチカツ、焼売、餃子、肉入りオムレツ、麻婆豆腐、ミートソース、ボロネーゼソース、ひき肉入あんかけ、そぼろ、そぼろ丼、キーマカレー、タコライスなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の調理済みひき肉は、調理した塊肉のような良好な味と芳香を有しつつ、ひき肉独特の粒状感のある食感を有するものであるため、上記の中でも、肉入りオムレツ、麻婆豆腐、ミートソース、ボロネーゼソース、ひき肉入あんかけ、そぼろ、そぼろ丼、キーマカレー、タコライスのような、バラバラのひき肉の粒状感のある食感を味わうことができるひき肉含有食品に適用することが好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
〔参考例1〕
下記実施例において、調理済みひき肉の香気性成分の分析方法は次のとおりである。
加熱処理後の調理済みひき肉をペーパータオル上に薄く広げ、余分な水分をペーパータオルに吸わせて除去した。該ひき肉100mgを20mL(高さ75.5mm×径22.5mm)のガラス容器に入れ、80℃、60分間加熱して、放出された香気成分を固相マイクロ抽出(SPME)ファイバー(SUPELCO社製)に捕集した。該SPMEファイバーから、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(ISQ;サーモサイエンティフィック社製)を用いて以下の条件にて各香気性成分を分離し、得られたクロマトグラムの面積に基づいて検出した香気性成分を定量し、それらの合計量に対する各成分の割合(質量%)を求めた。
<カラム条件>
カラム:サーモサイエンティフィック社製TR−1MS 0.25mm径×60mL
カラム温度:注入口230℃
カラム流量:1mL/min
<検出した香気性成分>
アルデヒド+ケトン:アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール
含窒素化合物:2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5ジメチル−ピラジン
環状化合物:ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタン、1,2,3−トリメチル−シクロペンタン
カルボン酸:ペンタン酸、オクタン酸、ノナン酸
〔製造例1〜6および比較例1〜2〕
牛肉をミンチ機により細挽きした後に粗挽きして、2度挽きの生ひき肉を得た。該ひき肉200gを厚さ20mmのシート状に成形した。市販のジェットオーブン(株式会社フジマック製)の庫内を予め270℃に加熱しておき、その予熱された庫内にシート状に成形した生ひき肉を投入し、表1記載の条件でオーブン加熱処理して調理済みひき肉を製造した。
〔製造例7〕
予熱されたオーブン庫内に生ひき肉を投入後、水蒸気を0.5MPaの導入圧力で導入しながらオーブン加熱した以外は、製造例2と同様の条件で調理済みひき肉を製造した。
〔試験例1〕
製造例1〜7および比較例1〜2の調理済みひき肉の一部を採取し、参考例1の手順で香気性成分を分析した。別途、各調理済みひき肉を用いてひき肉入りオムレツを製造し、これを10名のパネラーに喫食させてひき肉部分の香りを下記評価基準にて評価させた。
(香り評価基準)
5点:肉の香りが十分にあり、甘い香りと香ばしい香りのバランスが良く極めて良好
4点:肉の甘い香りと香ばしい香りのバランスが良く良好
3点:肉の臭みがわずかにあるが、甘い香りと香ばしい香りがありやや良好
2点:肉の臭みがあり、甘い香りと香ばしい香りのバランスが悪く不良
1点:肉の臭みが強く、甘い香りと香ばしい香りのバランスが悪く極めて不良。
製造例1〜7および比較例1〜2で製造した調理済みひき肉について、香気性成分の分析結果および10名のパネラーによる肉の香りの評価結果の平均値を表1に示す。
Figure 0006815072
〔製造例8〜9〕
加熱手段として、ジェットオーブンに代えて石釜(約330℃)またはオーブントースター(1300W)を用い、表2記載の条件で生ひき肉の加熱を行った以外は、製造例1〜6と同様の手順で調理済みひき肉を製造した。
〔比較例3〕
加熱時間を表2のとおり変更した以外は、製造例9と同様の手順で調理済みひき肉を製造した。
〔比較例4〕
加熱手段として市販のフライパンによるソテー(フライパンに少量の油を用いて加熱する調理方法)を用いた以外は、製造例1〜6と同様の手順で調理済みひき肉を製造した。
〔比較例5〕
加熱手段としてニーダー(加熱撹拌機、株式会社カジワラ製)を用いた以外は、製造例1〜6と同様の手順で調理済みひき肉を製造した。
〔比較例6〕
加熱手段として、ジェットオーブンに代えて沸騰水による蒸煮加熱(ボイル)を用いた以外は、製造例1〜6と同様の手順で調理済みひき肉を製造した。
〔試験例2〕
製造例8〜9および比較例3〜6の調理済みひき肉の一部を採取して、参考例1の手順で香気性成分の分析を行った。また試験例1と同様の手順で、各調理済みひき肉を用いてひき肉入りオムレツを製造し、10名のパネラーにより肉の香りを評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006815072

Claims (10)

  1. 加熱後の牛ひき肉の香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対して、該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が合計で80〜90質量%、該含窒素化合物の含有量が0.20〜0.30質量%、該環状化合物の含有量が20質量%以下、かつ該カルボン酸の含有量が1.4質量%以下となるように、生の牛ひき肉を、240〜320℃の熱雰囲気中で加熱するか、または220〜360℃の熱風をあてることで加熱するか、または温度220〜2000℃の熱放射体から放射される赤外線をあてることで加熱することによって製造された、調理済み牛ひき肉であって、ここで、
    該アルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量が、アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール、2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5ジメチル−ピラジン、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタン、1,2,3−トリメチル−シクロペンタン、ペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の合計量であり、
    該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が、アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナールおよびオクタナールの総量であり、
    該含窒素化合物の含有量が、2,5−ジメチルピラジンおよび2−エチル−3,5ジメチル−ピラジンの総量であり、
    該環状化合物の含有量が、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタンおよび1,2,3−トリメチル−シクロペンタンの総量であり、
    該カルボン酸の含有量が、ペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の総量である、
    調理済み牛ひき肉
  2. 前記生の牛ひき肉が2度挽きした牛ひき肉である、請求項1記載の調理済み牛ひき肉。
  3. 前記生の牛ひき肉が厚さ10〜25mmのシート状に成形されている、請求項1又は2記載の調理済み牛ひき肉。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の調理済み牛ひき肉を含む、ひき肉含有食品。
  5. 加熱後の牛ひき肉の香気性成分に含まれるアルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量に対して、該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が合計で80〜90質量%、該含窒素化合物の含有量が0.20〜0.30質量%、該環状化合物の含有量が20質量%以下、かつ該カルボン酸の含有量が1.4質量%以下となるように、生の牛ひき肉を、240〜320℃の熱雰囲気中で加熱するか、または220〜360℃の熱風をあてることで加熱するか、または温度220〜2000℃の熱放射体から放射される赤外線をあてることで加熱することを含む、調理済み牛ひき肉の製造方法であって、ここで、
    該アルデヒド、ケトン、含窒素化合物、環状化合物およびカルボン酸の合計量が、アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、オクタナール、2,5−ジメチルピラジン、2−エチル−3,5ジメチル−ピラジン、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタン、1,2,3−トリメチル−シクロペンタン、ペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の合計量であり、
    該アルデヒドおよび該ケトンの含有量が、アセトイン、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナールおよびオクタナールの総量であり、
    該含窒素化合物の含有量が、2,5−ジメチルピラジンおよび2−エチル−3,5ジメチル−ピラジンの総量であり、
    該環状化合物の含有量が、ベンズアルデヒド、ベンゼンアセトアルデヒド、1,3−ジメチルベンゼン、1,2−ジエチル−シクロブタンおよび1,2,3−トリメチル−シクロペンタンの総量であり、
    該カルボン酸の含有量が、ペンタン酸、オクタン酸およびノナン酸の総量である、
    方法。
  6. 前記生の牛ひき肉が2度挽きした牛ひき肉である、請求項5記載の方法。
  7. 前記生の牛ひき肉が厚さ10〜25mmのシート状に成形されている、請求項5又は6記載の方法。
  8. 前記加熱が、加熱空気による加熱、赤外線加熱、またはそれらの併用による加熱である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記加熱が、前記生の牛ひき肉に水蒸気を噴霧しながら加熱処理することを含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記生の牛ひき肉を単独でまたは調味料とともに加熱する、請求項5〜9のいずれか1項記載の方法。
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