JP6813441B2 - 配向セラミックス焼結体及びその製法 - Google Patents
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Description
[条件]
前記曲面部の表面の点Aで法線Nを引き、前記法線Nを含むように前記配向セラミックス焼結体を切断した断面において、点Aと前記法線Nが底面と交わる点Dとを結んだ線分ADを3等分した点を点Aに近い側から点B、点Cとし、長さLの線分AB、線分BC、線分CDをそれぞれ含む長方形状の領域1〜3を、各長辺の中点を線分ADが通過し、各短辺が長さL、各長辺が長さLの1.33倍となるように定義し、
前記断面に対する法線ZをND(Normal Direction)、ベクトルBA,ベクトルCB,ベクトルDCをRD(Reference Direction)としたEBSD測定を行い、各領域1〜3につき、RDに対するa面とc面の極点図を作成し、a面のMUD(Multiple Uniform Density)とc面のMUDを算出して両MUDのうち大きい方で且つ値が10以上である面を各領域1〜3の配向面に決定すると共に、各領域1〜3の結晶全体の平均配向方位を表すオイラー角を算出し、各領域1〜3のオイラー角を各領域1〜3の配向方位を示す点P1(α1,β1),点P2(α2,β2),点P3(α3,β3)(α1,α2,α3は倒れ角、β1,β2,β3は回転角を表す)に変換し、
点P1を原点である点P1’(0,0)に移動し、点P2,点P3を点P1の点P1’への移動量と等量だけ移動して点P2’(α2’,β2’),点P3(α3’,β3’)とし、線分P1’P2’と線分P1’P3’とのなす角度をγ=|β3’−β2’|としたとき、
α2’<α3’
1°<α2’<30°
1°<α3’−α2’<30°
γ≦90°
となる。なお、倒れ角α、回転角βの詳細については後述する。
少なくとも板状粉末を含む原料粉末100質量部に対して有機バインダーを2〜30質量部含む原料混合物を、前記板状粉末が所定方向に配向するように成形することにより成形体を作製し、前記成形体を有機溶媒に含浸することにより前記成形体に含まれる前記有機バインダーを膨潤させ、膨潤した前記成形体を曲げ加工用の型に入れてプレスすることにより曲げ加工を施し、曲げ加工後の前記成形体を焼成することにより配向セラミックス焼結体を得る、
ものである。
・加速電圧:15kv
・スポット強度:70
・ワーキングディスタンス:22.5mm
・ステップサイズ:10μm
・試料傾斜角:70°
・EBSDカメラピニングモード:1×1
・フレーム平均:5フレーム
・静的バックグラウンド補正:オン
・自動バックグラウンド補正:オン
・Z軸の規定:サンプル台座表面、即ちサンプル断面に対する法線方向をZ0(ND)とする
・Y軸の規定:領域1はベクトルBA方向、領域2はベクトルCB方向、領域3はベクトルDC方向をY0(RD)とする
・測定プログラム: Aztec (version 3.3)
※EBSDの測定面積が2×3mm以上の大面積となる場合、測定プログラムAztec(version3.3) Large Area Mappingを用いて分析範囲を指定し、画像結合を行う。
・解析プログラム:OXFORD HKL CHANNEL5(version 5.12.57.0)
・ソフト内のアプリケーション「Manbo」を使用し、極点図を作成。
・「countering」をHalf Width=10°、Data Clustering=5°で実行し、極点図からMUDを算出。
・解析プログラム: OXFORD HKL CHANNEL5(version 5.12.57.0)
・ソフト内のアプリケーション「Tango」を使用。
・RD方向のIPFマップを作成。
・Critical misorientationを「1000」に設定し、Detect Grainsにより、配向方位を算出。
<RDの配向面がa面の場合>
a= sin(φ1)cos(φ2)+cos(φ1)sin(φ2)cos(φ)
b= −sin(φ1)sin(φ2)+cos(φ1)cos(φ2)cos(φ)
c= −cos(φ1)sin(φ)
d= (a2+b2)1/2/(a2+b2+c2)1/2
e= a/(a2+b2)1/2
α=arcsin(d×180/π)
β=arccos(e×180/π)
<RDの配向面がc面の場合>
a= sin(φ2)sin(φ)
b= cos(φ2)sin(φ)
c= cos(φ)
d= (a2+b2)1/2/(a2+b2+c2)1/2
e= a/(a2+b2)1/2
α=arcsin(d×180/π)
β=arccos(e×180/π)
領域1:点P1(α1,β1)→点P1’(0,0)、
領域2:点P2(α2,β2)→点P2’(α2−α1,β2−β1)=(α2’,β2‘)
領域3:点P3(α3,β3)→点P3’(α3−α1,β3−β1)=(α3’,β3’)とする。
α2’<α3’
1°<α2’<30°(好ましくは5°<α2’<30°)
1°<α3’−α2’<30°(好ましくは5°<α3’−α2’<30°)
γ≦90°(好ましくはγ≦70°、より好ましくはγ≦50°)
成形体を作製する方法は、板状粉末が配向する方法であればどのようなものでもよい。例えば、テープ成形、押出成形、鋳込み成形、ゲルキャスト成形、射出成形、一軸プレス成形、及びそれらと磁場配向の組み合わせ等が挙げられる。このうち、テープ成形が好ましい。
有機バインダーを膨潤させることができればどのような方法でもよく、例えば、成形体に有機溶媒を少量ずつかけて徐々に膨潤させてもよいし、成形体を有機溶媒の中に漬けて含浸させてもよい。膨潤状態としては、膨潤後の曲げ加工のし易さ(成形精度や成形体の均質性)の観点から、成形体中の樹脂成分が均質に飽和状態となるまで膨潤させるのが好ましい。そのため、成形体を成形体の形状よりも大きな容器に入れ、成形体全体が浸かるように有機溶媒を注ぎ、含浸させるのが好ましい。含浸させる時間については、成形体中の樹脂成分量、形状により、成形体中に含まれる全ての樹脂成分が均質に膨潤する時間は異なるが、少なくとも5秒以上浸けるのが好ましい。
成形体の曲げ加工は、有機溶媒を含浸させた成形体を曲げ加工用の型に入れて、プレスする方法であればどのような方法であってもよい。例えば、曲げ加工用の型は、上型と下型からなり、上型は曲面部を形成するための凹部を有していてもよく、下型は底面部(平面)を形成するため平板であってもよい。プレス方法としては、例えば、一軸プレスや冷間等方圧加圧(CIP)処理が挙げられる。プレスする際には加熱していてもよいし、加熱してあってもよい。
曲げ加工した成形体を脱脂後、焼成することにより配向セラミックス焼結体が得られる。焼成後の形状精度(焼成時の反りやうねりを少なくする)を良くするには、成形体・脱脂体の密度を高くするのが好ましい。このため、成形体・脱脂体に一軸プレス又はCIP処理を行い密度を高めておくのが好ましい。
1.アルミナ焼結体の作製
(1)板状アルミナ粉末の作製
高純度γ−アルミナ粉末(TM−300D、大明化学製)96質量部と、高純度AlF3粉末(関東化学製、鹿特級)4質量部と、種結晶として高純度α−アルミナ粉末(TM−DAR、大明化学製、D50=1μm)0.17質量部とを、溶媒をIPA(イソプロピルアルコール)としてφ2mmのアルミナボールを用いて5時間ポットミルで混合した。ポットミル混合した後、IPAをエバポレータにて乾燥し、混合粉末を得た。得られた混合粉末300gを純度99.5質量%の高純度アルミナ製のさや(容積750cm3)に入れ、純度99.5質量%の高純度アルミナ製の蓋をして電気炉内でエアフロー中、900℃、3時間熱処理した。エアーの流量は25000cc/minとした。熱処理後の粉末を大気中、1150℃で42.5時間アニール処理した後、φ2mmのアルミナボールを用いて4時間粉砕して平均粒径2μm、厚み0.3μm、アスペクト比約7の板状アルミナ粉末を得た。粒子の平均粒径、平均厚み、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で板状アルミナ粉末中の任意の粒子100個を観察して決定した。平均粒径は、粒子板面の長軸長の平均値、平均厚みは、粒子の短軸長(厚み)の平均値、アスペクト比は、平均粒径/平均厚みである。図11は、板状アルミナ粒子の模式図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。板状アルミナ粒子は、平面視したときの形状が略六角形状であり、その粒径は図11(a)に示したとおりであり、厚みは図11(b)に示したとおりである。
上記(1)で作製した板状アルミナ粉末2.0質量部と、平均粒径がこの板状アルミナ粉末の厚みより小さい微細アルミナ粉末(AKP−20、住友化学製)98.0質量部とを混合した。この混合アルミナ粉末100質量部に対し、酸化マグネシウム(500A、宇部マテリアルズ製)0.025質量部と、バインダーとしてポリビニルブチラール(品番BM−2、積水化学工業製)8質量部と、可塑剤としてジ(2−エチルヘキシル)フタレート(黒金化成製)4質量部と、分散剤としてトリオレイン酸ソルビタン(レオドールSP−O30、花王製)0.5質量部と、分散媒としてキシレンとブタノールの1:1混合溶液とを加えて混合した。分散媒の量は、スラリー粘度が20000cPとなるように調整した。このようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によってPETフィルムの上に乾燥後の厚さが100μmとなるようにシート状に成形した。得られたテープをφ35mmに切断した後150枚積層した。積層体が剥がれないようにφ5mmフェライト磁石にて上下面から挟み、90mm角のアルミナ容器に入れた。アルミナ容器に有機溶媒としてキシレンを50cc注ぎ、1分間静置して積層体にキシレンを含浸、膨潤させた。膨潤処理後、キシレンから積層体を取り出して磁石を外し、厚さ10mmのAl板の上に載置した後、真空パックし、各テープ間の隙間の余剰な有機溶媒を排出した。積層体を、真空パックから取り出し、曲げ加工を実施した。図12は曲げ加工に用いた上型60の説明図で、(a)は平面図、(b)はB−B断面図である。上型60は、下面に円形凹部62を有する金型である。本実験例では、円形凹部62の開口の直径は47mm、円形凹部62の凹曲面62aの曲率半径は30mmとした。曲げ加工は、図13に示すように、厚さ10mmのAl板50と上型60とを用いて行った。すなわち、上述した積層体を厚さ10mmのAl板50と上型60とで挟み、それを150℃に加熱した一軸プレス成形機(プレス部上下面に加熱機構を有する)にセットした。そして、一軸プレス成形機で25kgf/cm2の圧力を掛けながら、1min、一軸プレスを行った。一軸プレスによって円形凹部62からはみ出した余剰な部位を切り取り、外周形状をφ47mmに整えて、曲面部を備えた成形体を得た。なお、表1に成形体の組成や膨潤化の条件をまとめた。
曲面部を備えた成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で10時間の条件で脱脂を行った。得られた脱脂体をアルミナ製の鞘に入れ、大気中、1550℃で4時間の条件で常圧焼成し、焼成体を作製した。作製した焼成体を作製した焼成体をアルミナ製の鞘に入れ、熱間等方圧加圧法(HIP)処理をArガス、圧力185MPa、1900℃で2時間の条件で行った。
(1)EBSD測定
得られた焼結体の曲面部の頂点の法線を含むように切断し、断面をダイヤモンド砥粒を用いて予備研磨した後、クロスセクションポリッシャ(CP)(日本電子製、IB−09010CP)で研磨した。CPはイオンミリングの範疇に属する。その得られた断面をカーボン蒸着し、EBSD(オックスフォード・インストゥルメンツ株式会社製、Nordlys Nano)を組み合わせた走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、SU−5000)を用いて、EBSD測定を行った。測定領域は以下のように決定した。図9にしたがって、曲面部の頂点Eと曲面部と底面部の交点Fとを結んだ円弧EFを二分する点A(即ち、∠EOA=∠AOF)の法線と底面部との交わる点をDとし、その線分ADを3等分する点をB、Cとするとき、線分AB、BC、CDが長辺の中心を通る連続する3つ長方形の領域1〜3を測定領域とした。各測定領域は短辺が線分AB、BC、CDの長さであり、長辺が線分AB、BC、CDの1.33倍の長さとした。EBSD測定の諸条件は以下のとおりとした。
・測定プログラム:Aztec(version3.3)
・加速電圧:15kv
・スポット強度:70
・ワーキングディスタンス:22.5mm
・ステップサイズ:10μm
・試料傾斜角:70°
・EBSDカメラピニングモード:1×1
・フレーム平均:5フレーム
・静的バックグラウンド補正:オン
・自動バックグラウンド補正:オン
・Z軸の規定:サンプル台座表面、即ちサンプル断面に対する法線方向をZ0(ND)とする
・Y軸の規定:領域1はベクトルBA方向、領域2はベクトルCB方向、領域3はベクトルDC方向をY0(RD)とする
・解析プログラム:OXFORD HKL CHANNEL5(version5.12.57.0)
・ソフト内のアプリケーション「Manbo」を使用し、領域1〜3のRDにおけるa面、c面の極点図を作成
・結晶系の規定:Trigonalを選択
・「countering」をHalf Width=10°、Data Clustering=5°で実行し、a面、c面それぞれのMUDを算出
・解析プログラム:OXFORD HKL CHANNEL5(version5.12.57.0)
・ソフト内のアプリケーション「Tango」を使用し、領域1〜3のRDにおけるIPFマップを作成
・Critical misorientationを「1000」に設定し、Detect Grainsにより全体の配向方位(オイラー角)を算出
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)の有機溶剤中での静置時間を5分にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)の有機溶剤中での静置時間を10秒にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダーとしてアクリル系ポリマー(品番KC7025T、共栄社化学製)を使用したこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダー添加量を3質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダー添加量を15質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダー添加量を25質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)の含浸させる有機溶媒をトルエンにしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
1.酸化亜鉛焼結体の作成
(1)板状酸化亜鉛粉末の作製
硫酸亜鉛七水和物(高純度化学研究所製)1730gとグルコン酸ナトリウム(和光純薬工業製)4.5gをイオン交換水3000gに溶解した。この溶液をビーカーに入れ、マグネットスターラーで攪拌しながら90℃に加熱、溶解した。この溶液を90℃に保持し、攪拌しながら25%アンモニウム水490gをマイクロチューブポンプにて滴下した。滴下終了後、90℃にて攪拌しながら4時間保持した後、静置した。沈殿物をろ過により分離し、更にイオン交換水による洗浄を3回行い、乾燥して白色粉末状の酸化亜鉛前駆物質を得た。得られた酸化亜鉛前駆物質のうち100gをジルコニア製のセッターに載置し、電気炉にて大気中で仮焼することにより、65gの板状多孔質酸化亜鉛粉末を得た。仮焼時の温度スケジュールは、室温から900℃まで昇温速度100℃/hにて昇温した後、900℃で30分間保持し、自然放冷とした。
得られた板状酸化亜鉛粉末をボールミルにて体積基準D50平均粒径が3.5μmになるまで粉砕した。粉砕した板状酸化亜鉛粉末と微細酸化亜鉛粒子(堺化学工業製、微細酸化亜鉛、体積基準D50平均粒径:0.3μm)を、板状粒子/微細粒子の混合比が重量比5/95となるように混合して、酸化亜鉛混合粉末を得た。こうして得られた酸化亜鉛混合粉末94.6重量部と、θ−アルミナ(大明化学工業製タイミクロン)0.2重量部と、酸化マグネシウム(岩谷化学製)5.2重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)と、可塑剤(DOP:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、黒金化成株式会社製)と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)と、分散媒(2−エチルヘキサノール)とをトリロール混合した。分散媒の量はスラリー粘度が20000cPとなるように調整した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法により、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが100μmとなるようにシート状に成形した。得られたテープをφ35mmに切断した後150枚積層した。積層体が剥がれないようにφ5mmフェライト磁石にて上下面から挟み、90mm角のアルミナ容器に入れ、有機溶媒としてキシレンを50cc注ぎ、1分間静置して積層体にキシレンを含浸、膨潤させた。膨潤処理後、キシレンから積層体を取り出して磁石を外し、厚さ10mmのAl板の上に載置した後、真空パックし、各テープ間の隙間の余剰な有機溶媒を排出した。積層体を真空パックから取り出し、実験例1と同様にして曲げ加工を実施した。
得られた曲面形状成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で10時間の条件で脱脂を行った。脱脂後、90mm角のアルミナ製の鞘に入れ、大気中、1400℃で5時間の条件で常圧焼成し、焼成体を作製した。作製した焼結体を90mm角のアルミナ製の鞘に入れ、熱間等方圧加圧法(HIP)処理をArガス中、1300℃で2時間の条件で行った。
得られた酸化亜鉛焼結体に対し、実験例1と同様にして領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面、配向方位を求め、角度差α3’−α2’、角度γを算出した。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダー添加量を1質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体の作製を試みたが、テープ成形体を得ることができなかった。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)のバインダー添加量を35質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体の作製を試みたが、テープ成形体を得ることができなかった。
アルミナ焼結体を作製するにあたり、上記1.(2)板状アルミナ粉末を用いず、微細アルミナ粉末(AKP−20、住友化学製)を100質量部にしたこと以外は、実験例1と同様にしてアルミナ焼結体を作製し、領域1〜3のRDにおけるa面とc面のMUD、配向面を求めたが、いずれの領域においてもa面とc面のMUDが10以下であり、配向焼結体とはならなかった。成形体の組成や膨潤化の条件を表1に示し、焼結体の特性を表2に示す。
実験例1〜8のアルミナ焼結体、及び実験例9の酸化亜鉛焼結体では、領域1〜3のいずれにおいても結晶粒子はRDにおいてc面配向しており、各領域のMUDは10以上であった。また、配向方位から算出したα2’、α3’、及び角度γは、α2’<α3’、1<α2’<30°、1<α3’−α2’<30°の関係性を持ち、角度γ≦90°以下であった。一方、実験例10,11では、バインダー量が適正でなかったため、テープ成形体を得ることができなかった。また、実験例12では、板状アルミナ粉末を添加していないため、配向焼結体が得られなかった。
Claims (10)
- 曲面部の表面に以下の条件を満たす点Aが存在する、配向セラミックス焼結体。
[条件]
前記曲面部の表面の点Aで法線Nを引き、前記法線Nを含むように前記配向セラミックス焼結体を切断した断面において、点Aと前記法線Nが底面と交わる点Dとを結んだ線分ADを3等分した点を点Aに近い側から点B、点Cとし、長さLの線分AB、線分BC、線分CDをそれぞれ含む長方形状の領域1〜3を、各長辺の中点を線分ADが通過し、各短辺が長さL、各長辺が長さLの1.33倍となるように定義し、
前記断面に対する法線ZをND(Normal Direction)、ベクトルBA,ベクトルCB,ベクトルDCをRD(Reference Direction)としたEBSD測定を行い、各領域1〜3につき、RDに対するa面とc面の極点図を作成し、a面のMUD(Multiple Uniform Density)とc面のMUDを算出して両MUDのうち大きい方で且つ値が10以上である面を各領域1〜3の配向面に決定すると共に、各領域1〜3の結晶全体の平均配向方位を表すオイラー角を算出し、各領域1〜3のオイラー角を各領域1〜3の配向方位を示す点P1(α1,β1),点P2(α2,β2),点P3(α3,β3)(α1,α2,α3は倒れ角、β1,β2,β3は回転角を表す)に変換し、
点P1を原点である点P1’(0,0)に移動し、点P2,点P3を点P1の点P1’への移動量と等量だけ移動して点P2’(α2’,β2’),点P3(α3’,β3’)とし、線分P1’P2’と線分P1’P3’とのなす角度をγ=|β3’−β2’|としたとき、
α2’<α3’
1°<α2’<30°
1°<α3’−α2’<30°
γ≦90°
となる。 - γ≦15°である、
請求項1に記載の配向セラミックス焼結体。 - 両MUDのうち大きい方の値が30以上である、
請求項1又は2に記載の配向セラミックス焼結体。 - 前記配向セラミックス焼結体は、前記曲面部と該曲面部とは反対側の平面状の底面部とを有し、前記曲面部は上に向かって凸状に膨出した面である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の配向セラミックス焼結体。 - 前記曲面部は球面状であり、
前記点Aは、前記曲面部の頂点を通る法線を含むように前記配向セラミックス焼結体を切断したときの断面において、前記曲面部と前記底面部との交点を定め、前記交点と前記頂点とを結んだ曲線断片を二等分する点である、
請求項4に記載の配向セラミックス焼結体。 - 前記配向セラミックス焼結体は配向アルミナ焼結体である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の配向セラミックス焼結体。 - 少なくとも板状粉末を含む原料粉末100質量部に対して有機バインダーを2〜30質量部含む原料混合物を、前記板状粉末が所定方向に配向するように成形することにより成形体を作製し、前記成形体を有機溶媒に含浸することにより前記成形体に含まれる前記有機バインダーを膨潤させ、膨潤した前記成形体を曲げ加工用の型に入れてプレスすることにより曲げ加工を施し、曲げ加工後の前記成形体を焼成することにより配向セラミックス焼結体を得る、
配向セラミックス焼結体の製法。 - 前記成形体は、前記原料粉末100質量部に対して前記有機バインダーを4〜15質量部含む、
請求項7に記載の配向セラミックス焼結体の製法。 - 前記有機バインダーは、ブチラール系ポリマー、アクリル系ポリマー又はメタクリル系ポリマーである、
請求項7又は8に記載の配向セラミックス焼結体の製法。 - 前記配向セラミックス焼結体は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配向セラミックス焼結体である、
請求項7〜9のいずれか1項に記載の配向セラミックス焼結体の製法。
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