JP6092015B2 - 単結晶体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固相成長法による単結晶体の製造方法に関する。
単結晶体を形成する方法として、作製しようとする単結晶の原料融液を調製し、種となる単結晶上に結晶育成させる方法がある。しかしながら、非常に高い融点を有する原料や高温下で分解し易い原料を用いる場合、原料融液を得ることが容易ではなく、上記方法の実施は困難を伴うものであった。そのような原料の例としては、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物、窒化ガリウム(GaN)等の窒化物、炭化珪素(SiC)等の炭化物等が挙げられる。そこで、これらの単結晶体を製造するための種々の代替方法が提案されている。
例えば、特許文献1(米国特許第5868837号明細書)には、GaNの単結晶を作製しようとする場合において、ナトリウム(Na)をフラックスとして原料を溶解し、種に析出させて単結晶を得るNaフラックス法が提案されている。また、特許文献2(特開2003−178984号公報)には、サファイア等の異種基板上にハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy)等を用いてGaN層を形成し、GaN層の成長後に異種基板を除去することにより、自立したGaNの単結晶基板を得る方法が提案されている。しかしながら、これらの従来技術に係る方法は、結晶の成長速度が遅いという問題を有する。
一方、固相成長法によって単結晶膜を製造することもできる(例えば、特許文献3(特開2003−267796号公報)及び特許文献4(特許第3985144号公報)参照)。これらの文献には、単結晶を製造する1つの方法として、多結晶の焼結体と単結晶からなる種基板とを接触させた状態で、接触部分を加熱すると共にそれ以外の当該焼結体の末端部分を冷却する温度制御を行うことにより所定の温度勾配を生じさせて、種基板を起点として多結晶の焼結体を単結晶化又は配向化することが開示されている。しかしながら、この方法においては、温度勾配が小さい場合、焼結体と種基板との界面では固相成長するものの、当該界面から離れた焼結体の内部では個々の粒子において別個に粒成長が進みうる。この結果、固相成長が進むにつれて種結晶に取り込まれる粒子が粗大となり、最終的には固相成長が停止しうる。
ところで、結晶方位を配向させた多結晶焼結体が知られている。例えば、特許文献5(特許第3128861号公報)には、(101)結晶配向の配向比率が所定範囲内にある結晶配向性酸化亜鉛焼結体が、スパッタリングターゲットとして開示されている。また、特許文献6(特許第4502493号公報)には、(110)結晶配向性酸化亜鉛焼結体が開示されている。
米国特許第5868837号明細書 特開2003−178984号公報 特開2003−267796号公報 特許第3985144号公報 特許第3128861号公報 特許第4502493号公報
本発明者らは、今般、配向成形体又は配向焼結体を種基板に密着させ、加熱処理により固相反応を生じさせることで、原料融液を得ることが困難な組成系においても、従来の固相成長法よりも容易に厚肉の単結晶体を製造できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、従来の固相成長法よりも容易に厚肉の単結晶体を製造することができ、原料融液を得ることが困難な組成系にも適用可能な、単結晶体の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、多結晶粒子で構成され且つ特定面に配向した配向成形体又は該配向成形体を焼成して得られた配向焼結体と、単結晶体又は単結晶層が成膜された基板からなる種基板とを用意する工程と、
前記配向成形体又は配向焼結体と前記種基板とを密着させ、加熱処理により固相反応を生じさせ、それにより単結晶体を製造する工程と、
を含む、単結晶体の製造方法が提供される。
本発明の方法における、配向成形体又は配向焼結体が単結晶体に変化する過程を示す図である。
単結晶体の製造方法
本発明による単結晶体の製造方法は、配向成形体又は配向焼結体と種基板とを用意する工程と、配向成形体又は配向焼結体と種基板とを密着させ、加熱処理により固相反応を生じさせる工程とを含む。種基板は、単結晶体又は単結晶層が成膜された基板からなる。一方、この種基板と密着させる配向成形体又は配向焼結体は、多結晶粒子で構成され且つ特定面に配向した配向成形体、又はこの配向成形体を焼成して得られた配向焼結体である。そして、加熱処理による固相反応を経て単結晶体を製造することができる。
前述のとおり固相反応による単結晶体の製造方法は既に知られているが、本発明においては、種基板に密着させる材料として配向成形体又は配向焼結体(以下、配向体と総称するものとする)を用いることを特徴としている。すなわち、本発明においては、図1に模式的に示されるように、種基板10と配向体12とを密着させる。配向体12は多結晶粒子で構成されており、各構成粒子12aが特定面に配向している。そして、本発明者らの知見によれば、このような配向体12を基板10と密着させた状態で加熱することで固相成長が生じ、従来の固相成長法よりも容易に厚肉の単結晶体14を得ることができる。このメカニズムの詳細は定かではないが、配向体12を用いることで固相成長時に物質移動しやすくなり、その結果、配向体12の構成粒子が単結晶に効率良く取り込まれて単結晶化促進されるものと考えられる。その結果、従来の固相成長法よりも容易に厚肉の単結晶体を製造することができる。また、この方法は、原料融液を得ることが困難な組成系にも適用可能であるとの利点もある。
このように、本発明の方法においては、配向体12と種基板10とを密着させ、加熱処理により固相反応を生じさせ、それにより単結晶体を製造する。密着させるための積層手法としては特に限定されず、図1に示されるように種基板10上に配向体12を載置してもよいし、配向体上に種基板を載置してもよい。あるいは、種基板を2枚の配向体で挟持させる構成としてもよいし、配向体を2枚の種基板で挟持させる構成としてもよい。加熱の際又はそれに先立ち、種基板と配向体の密着性を向上するために加圧を行うのが好ましい。加熱処理は、1000℃以上2300℃未満の温度で行われるのが好ましく、より好ましくは1000〜2000℃であり、さらに好ましくは1000〜1500℃である。加熱処理における雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気であってもよいし、窒素等の不活性雰囲気下、又は水素等が存在する還元雰囲気下であってもよい。加熱処理は、通常の常圧焼成により行ってもよいし、加熱しながら加圧する手法により行ってもよい。加熱しながら加圧する手法を用いた場合には、密着性を向上させながら加熱を行なえるとの利点がある。加熱しながら加圧する手法の例としては、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)、及び放電プラズマ焼結(SPS)が挙げられるが、量産性が高く、製造コストを安く抑えられることからホットプレス(HP)及び熱間静水圧プレス(HIP)のいずれかが好ましい。
上記加熱処理の前に、配向成形体又は配向焼結体12と種基板10を密着させるための予備加熱が行われてもよく、これにより密着状態を向上させることができる。この予備加熱によって、配向成形体を配向焼結体にすることもできる。予備加熱の際又はそれに先立ち、種基板と配向体の密着性を向上するために加圧を行うのが好ましい。予備加熱は、500℃以上1000℃未満の温度で行われるのが好ましい。予備加熱における雰囲気は特に限定されず、大気雰囲気であってもよいし、窒素等の不活性雰囲気下、又は水素等が存在する還元雰囲気下であってもよい。予備加熱は、通常の常圧焼成により行ってもよいし、前述のように加熱しながら加圧する手法により行ってもよい。加熱しながら加圧する手法を用いた場合には、密着性を向上させながら予備加熱を行なえるとの利点があり、この場合、後続の加熱処理を常圧焼成により行ったとしても向上された密着状態を保持することができる。加熱しながら加圧する手法の例としては、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)、及び放電プラズマ焼結(SPS)が挙げられるが、量産性が高く、製造コストを安く抑えられることからホットプレス(HP)や熱間静水圧プレス(HIP)が好ましい。
種基板10は、単結晶体又は単結晶層が成膜された基板からなる。すなわち、種基板10を構成する単結晶体又は単結晶層が種結晶として機能する。種基板を構成する単結晶体又は単結晶層は、所望の単結晶を製造できるかぎりその材質ないし組成は特に限定されず、例えば、サファイア、酸化亜鉛、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化マグネシウム、炭化硼素、窒化硼素、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、炭化チタン、及び酸化イットリウム等の希土類酸化物やそれらの各種固溶体、チタン酸バリウム、スピネルなどの複合酸化物等であってよいが、サファイア、酸化亜鉛、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムから選ばれる1種で構成されるのが好ましく、特に好ましくは酸化亜鉛である。
配向体12は、多結晶粒子で構成され且つ特定面に配向した配向成形体、又はこの配向成形体を焼成して得られた配向焼結体である。すなわち、配向体12は、多数の単結晶粒子からなる成形体又は焼結体であり、多数の単結晶粒子が特定面を一定の方向に向けるようにして配向したものである。配向成形体は、例えば、板状原料粉末等の異方形状粉末をせん断力によって特定面に配向させて成形することにより好ましく得ることができ、配向焼結体はそのような配向成形体を焼成することにより好ましく得ることができる。せん断力を用いた手法の好ましい例としては、テープ成形、押出し成形、ドクターブレード法、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。配向成形体は公知の条件に従い脱脂されているのが好ましい。また、配向成形体12は脱脂等を目的とした熱処理を行ったものとしてもよい。その際、脱脂等の熱処理によって配向成形体12の構成粒子間で一部が焼結し、粒成長することもあるが、本発明においては多数の単結晶粒子が特定面を一定の方向に向けるようにして配向している限り、配向成形体12の一種として取り扱うものとする。
配向体12及び種基板10は互いに密着面において同じ面方位を有するように構成されるのが好ましい。こうすることで、固相反応時における配向体12の構成粒子の単結晶への取り込みを促進することができる。配向体12の配向面方位は特に限定されるものではない。例えば酸化亜鉛の場合、(101)面、(100)面、(002)面、(110)面等いかなる面であってもよい。
配向体12は、ロットゲーリング法で測定した場合に、50%以上の配向度を有するのが好ましく、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上の配向度を有する。この配向度は、XRD装置を用い、配向体12の結晶配向表面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定し、この測定結果を用い、ロットゲーリング法によって下記式:
Figure 0006092015
を用いて算出することができる。なお、上記式中、ΣI(hkl)が配向体で測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、ΣI(hkl)が配向体と同一組成であり無配向のものについて測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、Σ’I(HKL)が配向体で測定された結晶学的に等価な特定の結晶面のX線回折強度の総和であり、Σ’I(HKL)が配向体と同一組成であり無配向のものについて測定された特定の結晶面のX線回折強度の総和である。
配向体12は、種基板10を構成する単結晶体又は単結晶層と同じ材質ないし組成で構成されてもよいし、異なる材質ないし組成で構成されてもよい。配向体12は、所望の単結晶を製造できるかぎりその材質ないし組成は特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化ガリウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化マグネシウム、炭化硼素、窒化硼素、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、炭化チタン、及び酸化イットリウム等の希土類酸化物やそれらの各種固溶体、チタン酸バリウム、スピネルなどの複合酸化物等であってよいが、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムから選ばれる1種で構成されるのが好ましく、特に好ましくは酸化亜鉛である。酸化亜鉛配向体の好ましい例として配向多結晶酸化亜鉛成形体/焼結体が挙げられ、その製造方法については後述する。
配向体12は、ドーパント元素をさらに含むものであってもよい。ドーパント元素の好ましい例としては、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、窒素(N)、硼素(B)、リン(P)、砒素(As)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、カーボン(C)、シリコン(Si)、硫黄(S)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、テルル(Te)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、及び銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
配向体12を構成する多結晶粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.1〜5μmであり、さらに好ましくは0.1〜1μmである。これは、本発明の方法は単結晶中に接触粒子を取り込ませて固相成長させる手法であるため、多結晶粒子の粒径が微細な方が単結晶中に取り込まれやすく、単結晶化が促進されるためである。この平均粒径は次のようにして決定することができる。まず、配向体12の板面と垂直な面を研磨した後、走査電子顕微鏡にて画像を撮影する。視野範囲は、板面に平行及び垂直な直線を引いた場合に、いずれの直線も10個から30個の粒子と交わるような直線が引けるような視野範囲とする。板面に平行に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、同様に、板面に垂直に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、(a+a)/2を平均粒径とする。なお、撮影に先立ち、配向体12の研磨面に対してエッチングを行うのが好ましく、例えば濃度0.3Mの硝酸で10秒間エッチングを行えばよい。なお、配向体12に配向成形体を用いる場合は、配向成形体を樹脂埋めし、板面と垂直な面を研磨した後、上記の手法を用いて平均粒径を測定すればよい。こうすることで研磨に伴う脱粒を抑制することができる。
配向多結晶酸化亜鉛成形体/焼結体の製造方法
前述のとおり、配向体12として用いる酸化亜鉛配向体の好ましい例として配向多結晶酸化亜鉛成形体/焼結体が挙げられる。配向多結晶酸化亜鉛成形体/焼結体は、以下に説明するように、原料に板状酸化亜鉛粉末を用いて成形、又は成形及び焼結を行うことにより製造することができる。なお、以下に示す説明は酸化亜鉛に関するものではあるが、材質によらずに採用可能な工程ないし操作(例えば成形及び焼成工程の一部又は全部)については他の材質にも適用可能である。例えば、市販の板状粉末を適宜用いて以下に示される成形工程、又は成形及び焼成工程の一部又は全部を適用することにより、酸化亜鉛以外の材質についても配向多結晶成形体/焼結体を得ることができる。
(1)板状酸化亜鉛粉末の作製
原料となる板状酸化亜鉛粉末は、後述する成形及び/又は焼成工程によって配向体が得られる限り、いかなる方法により製造されたものであってもよい。例えば(101)面配向体を得るには、特許文献5に記載される方法に従って製造した板状酸化亜鉛粉末を原料として用いればよい。
本発明の好ましい態様によれば、(002)面配向体を得るには、以下の製法を持って製造した板状酸化亜鉛粉末を原料として用いればよい。該板状酸化亜鉛粉末は、亜鉛イオン含有原料溶液を用いて溶液法により酸化亜鉛前駆体板状粒子を生成させる工程と、前駆体板状粒子を150℃/h以下の昇温速度で仮焼温度まで昇温させて仮焼し、複数の酸化亜鉛板状粒子からなる酸化亜鉛粉末を生成させる工程とを有する方法により作製することができる。
(002)面配向体を得るための板状酸化亜鉛粉末の製造方法においては、まず、亜鉛イオン含有原料溶液を用いて溶液法により酸化亜鉛前駆体板状粒子を生成させる。亜鉛イオン供給源の例としては、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の有機酸塩、亜鉛アルコキシド等が挙げられるが、硫酸亜鉛が後述する硫酸イオンも供給できる点で好ましい。溶液法による酸化亜鉛前駆体板状粒子の生成手法は特に限定されず公知の手法に従って行うことができる。
原料溶液は水溶性有機物質及び硫酸イオンを含むのが多孔質として比表面積を大きくできる点で好ましい。水溶性有機物質の例としてはアルコール類、ポリオール類、ケトン類、ポリエーテル類、エステル類、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、セルロース類、糖類、スルホン酸類、アミノ酸類、及びアミン類が挙げられ、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グルセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール、フェノール、カテコール、クレゾール等の芳香族アルコール、フルフリルアコール等の複素環を有するアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ポリオキシアルキレンエーテル、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等のエーテルあるいはポリエーテル類、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、グリシンエチルエステル等のエステル類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、酪酸、蓚酸、マロン酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、サリチル酸、安息香酸、アクリル酸、マレイン酸、グリセリン酸、エレオステアリン酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸コポリマー等のカルボン酸、ポリカルボン酸、あるいはヒドロキシカルボン酸やその塩類、カルボキシメチルセルロース類、グルコース、ガラクトース等の単糖類、蔗糖、ラクトース、アミロース、キチン、セルロース等の多糖類、アルキルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類やその塩類、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン等のアミノ酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ブタノールアミン等のヒドロキシアミン類、トリメチルアミノエチルアルキルアミド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキルベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸等が挙げられる。これらの水溶性有機物質の中でも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基のうち少なくとも一種の官能基を有するものが好ましく、水酸基とカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸やその塩類が特に好ましく、例えばグルコン酸ナトリウム、酒石酸等が挙げられる。水溶性有機物質は、後述するアンモニア水が添加された原料溶液中に約0.001重量%〜約10重量%の範囲で共存させるのが好ましい。好ましい硫酸イオン供給源は、上述したとおり硫酸亜鉛である。原料溶液は前述したドーパント等の添加物質を更に含むものであってもよい。
このとき、原料溶液は70〜100℃の前駆反応温度に加熱されるのが好ましく、より好ましくは80〜100℃である。また、この加熱後又はその間に原料溶液にアンモニア水が添加されるのが好ましく、アンモニア水が添加された原料溶液が70〜100℃で0.5〜10時間保持されるのが好ましく、より好ましくは80〜100℃で2〜8時間である。
次に、前駆体板状粒子を150℃/h以下の昇温速度で仮焼温度まで昇温させて仮焼し、複数の酸化亜鉛板状粒子からなる酸化亜鉛粉末を生成させる。昇温速度を150℃/h以下と遅くすることで、前駆物質から酸化亜鉛に変化する際に前駆物質の結晶面が酸化亜鉛に引き継がれ易くなり、成形体における板状粒子の配向度が向上するものと考えられる。また、一次粒子同士の連結性が増大して板状粒子が崩れにくくなるとも考えられる。好ましい昇温速度は120℃/h以下であり、より好ましくは100℃/h以下であり、更に好ましくは50℃/h以下であり、特に好ましくは30℃/h以下であり、最も好ましくは15℃/h以下である。仮焼前に、酸化亜鉛前駆体粒子は洗浄、濾過及び乾燥されるのが好ましい。仮焼温度は水酸化亜鉛等の前駆化合物が酸化亜鉛に変化できる温度であれば特に限定されないが、好ましくは800〜1100℃、より好ましくは850〜1000℃であり、このような仮焼温度で前駆体板状粒子が好ましくは0〜3時間、より好ましくは0〜1時間保持される。このような温度保持条件であると水酸化亜鉛等の前駆化合物を酸化亜鉛により確実に変化させることができる。このような仮焼工程により、前駆体板状粒子が多くの気孔を有する板状酸化亜鉛粒子に変化する。
所望により、酸化亜鉛粉末には添加物質を混合してもよい。そのような添加物質としては、第二成分として、成形体の用途や仕様に応じた所望の特性(例えば導電性や絶縁性)を付与する種々の添加剤や前述したようなドーパントであることができる。これらのドーパント元素はこれらの元素を含む化合物又はイオンの形態で酸化亜鉛粉末に添加すればよい。添加物質の添加方法は特に限定されないが、酸化亜鉛粉末の微細気孔の内部にまで添加物質を行き渡らせるため、(1)添加物質をナノ粒子等の微細粉末の形態で酸化亜鉛粉末に添加する方法、(2)添加物質を溶媒に溶解させた後に酸化亜鉛粉末を添加し、この溶液を乾燥する方法等が好ましく例示される。
本発明の別の好ましい態様によれば、(100)面配向体を得るには、以下の製法を持って製造した板状酸化亜鉛粉末を原料として用いればよい。該板状酸化亜鉛粉末は、亜鉛塩水溶液にアルカリ水溶液を加えて60〜95℃で2〜10時間攪拌することにより沈殿物を析出させ、この沈殿物を洗浄及び乾燥し、さらに粉砕することにより得ることができる。亜鉛塩水溶液は、亜鉛イオンを含む水溶液であればよく、好ましくは、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛塩の水溶液である。アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液であるのが好ましい。亜鉛塩水溶液及びアルカリ水溶液の濃度及び混合比は特に限定されないが、モル濃度が同じ亜鉛塩水溶液及びアルカリ水溶液を同じ体積比で混合するのが好ましい。沈殿物の洗浄はイオン交換水で複数回行うのが好ましい。洗浄された沈殿物の乾燥は100〜300℃で行われるのが好ましい。乾燥された沈殿物は板状の酸化亜鉛一次粒子が凝集した球状の二次粒子であるため、粉砕工程に付されるのが好ましい。この粉砕は、洗浄された沈殿物にエタノール等の溶媒を加えてボールミルで1〜10時間行うのが好ましい。この粉砕によって、一次粒子としての板状酸化亜鉛粉末が得られる。こうして得られる板状酸化亜鉛粉末は、好ましくは0.1〜1.0μmであり、より好ましくは0.3〜0.8μmの体積基準D50平均粒径を有する。この体積基準D50平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。
(2)成形及び焼成工程
上記の方法で製造した板状酸化亜鉛粉末をせん断力を用いた手法により配向させ、配向成形体とする。このとき、板状酸化亜鉛粉末に、ドーパント用の金属酸化物粉末(例えばα−Al粉末)等の他の元素又は成分を添加してもよい。せん断力を用いた手法の好ましい例としては、テープ成形、押出し成形、ドクターブレード法、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。せん断力を用いた配向手法は、上記例示したいずれの手法においても、板状酸化亜鉛粉末にバインダー、可塑剤、分散剤、分散媒等の添加物を適宜加えてスラリー化し、このスラリーをスリット状の細い吐出口を通過させることにより、基板上にシート状に吐出及び成形するのが好ましい。吐出口のスリット幅は10〜400μmとするのが好ましい。なお、分散媒の量はスラリー粘度が5000〜100000cPとなるような量にするのが好ましく、より好ましくは20000〜60000cPである。シート状に成形した配向成形体の厚さは5〜500μmであるのが好ましく、より好ましくは10〜200μmである。このシート状に成形した配向成形体を多数枚積み重ねて、所望の厚さを有する前駆積層体とし、この前駆積層体にプレス成形を施すのが好ましい。このプレス成形は前駆積層体を真空パック等で包装して、50〜95℃の温水中で10〜2000kgf/cmの圧力で静水圧プレスにより好ましく行うことができる。また、押出し成形を用いる場合には、金型内の流路の設計により、金型内で細い吐出口を通過した後、シート状の成形体が金型内で一体化され、積層された状態で成形体が排出されるようにしてもよい。得られた成形体には公知の条件に従い脱脂を施すのが好ましい。こうして得られた酸化亜鉛成形体は、前述した原料となる板状酸化亜鉛粉末の種類により(101)面、(100)面、(002)面等に配向した配向成形体となる。
なお、前述した前駆体板状粒子に対し、上記せん断力を用いた手法により配向させ、配向成形体として使用することもできる。前述のとおり、前駆体板状粒子から板状酸化亜鉛粒子に変化する際に前駆体の結晶面が酸化亜鉛に引き継がれ易い。このため、前駆体板状粒子の配向成形体も加熱処理によって特定面に配向した酸化亜鉛粒子となる。
配向体12として配向焼結体を用いる場合は、引き続き、上記のようにして得られた配向成形体を1000〜1500℃、好ましくは1100〜1400℃の焼成温度で焼成して、酸化亜鉛結晶粒子を配向して含んでなる酸化亜鉛焼結体を形成させてもよい。上記焼成温度での焼成時間は特に限定されないが、好ましくは1〜10時間であり、より好ましくは2〜5時間である。こうして得られた酸化亜鉛焼結体は、前述した原料となる板状酸化亜鉛粉末の種類により(101)面、(100)面、(002)面等に配向した配向焼結体となる。また、(110)面結晶配向焼結体を得るには特許文献6に記載される方法に従って製造すればよい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1:c面配向ZnO(ノンドープ)
硫酸亜鉛七水和物(高純度化学研究所製)173重量部とグルコン酸ナトリウム(和光純薬工業製)0.45重量部をイオン交換水300重量部に溶解した。こうして得られた溶液をビーカーに入れ、マグネットスターラーで攪拌しながら90℃に加熱して溶解させた。この溶液を90℃に保持し、攪拌しながら25重量%アンモニウム水49重量部をマイクロチューブポンプで滴下した。滴下終了後、90℃で攪拌しながら4時間保持した後、溶液を多量のイオン交換水に投入し、静置した。容器の底部に堆積した沈殿物をろ過により分離し、更にイオン交換水による洗浄を3回行い、乾燥して白色粉末状の酸化亜鉛前駆物質を得た。得られた酸化亜鉛前駆物質をジルコニア製のセッターに載置し、電気炉にて大気中で仮焼することにより、体積基準D50平均粒径1.0μmの酸化亜鉛板状多孔質粉末を得た。仮焼時の温度スケジュールは、室温から900℃まで昇温速度100℃/hにて昇温した後、900℃で30分間保持し、自然放冷とした。
上記の方法により得た酸化亜鉛板状粒子100重量部に対し、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)15重量部と、可塑剤(DOP:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、黒金化成株式会社製)6.2重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)3重量部と、分散媒(2−エチルヘキサノール)とを混合した。分散媒の量はスラリー粘度が10000cPとなるように調整した。こうして調製されたスラリーを、ドクターブレード法により、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが20μmとなるようにシート状に成形した。得られたテープを直径50mmの円形に切断した後、100枚の切断テープ片を積層し、板状の成形体を作製した。得られた成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で20時間の条件で脱脂を行った。このような脱脂体を2体作製した。
得られた脱脂体の配向度を確認するため、接合面においてXRDにより(002)面の配向度を測定した。XRD装置(株式会社リガク製、製品名「RINT−TTR III」)を用い、円盤状ZnOの接合面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定した。(002)配向度は、以下の式により算出した。
Figure 0006092015
また、脱脂体の平均粒径を測定するため、別途脱脂体を作製し、下記の手法を用いて焼結体の平均粒径を測定した。すなわち、得られた脱脂体を樹脂埋めし、円盤面と垂直な面を研磨した後、走査電子顕微鏡にて画像を撮影した。視野範囲は、円盤面に平行及び垂直な直線を引いた場合に、いずれの直線も10個から30個の粒子と交わるような直線が引けるような視野範囲とした。円盤面に平行に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、同様に、円盤面に垂直に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、(a+a)/2を平均粒径とした。
得られた脱脂体2体の間に直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μmの市販のc面酸化亜鉛ウェハを挟み、アルミナ製の型を用いて大気中1300℃で5時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。
得られた試料について断面SEM観察を行った。具体的には、各試料を円盤面に研磨し、当該研磨面(断面)を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6390)により5000倍の倍率にて任意の20視野観察した。得られた断面SEM像より、単結晶部の平均厚みと仕込みの種基板の厚み(500μm)の差異を単結晶化厚みとした。結果は表1に示されるとおりであった。
例2:c面配向ZnO(Alドープ)
塩化アルミニウム六水和物(高純度化学研究所製)8.8重量部をエタノール200重量部に投入して溶解させた。その後、例1で作製した酸化亜鉛板状粒子に上記の溶液を亜鉛:アルミニウム=0.2:100(原子比)となるように投入し、ロータリーエバポレーターを用いて乾燥することにより、アルミニウム成分が均一に分散した体積基準D50体積基準D50平均粒径1.0μmの酸化亜鉛板状粒子を作製した。その後の工程及び評価は例1と同様にして行った。結果は表1に示されるとおりであった。
例3:c面配向ZnO(ノンドープ)
例1と同様にして脱脂体を作製し、平均粒径を測定した。得られた脱脂体2体の間に直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μmの市販のc面酸化亜鉛ウェハを挟み、アルミナ製の型を用いて大気中900℃で4時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。 こうして脱脂体は焼結し、配向焼結体2体の間にc面酸化亜鉛ウェハを密着状態で備えた複合体を得た。得られた複合体を大気圧中1400℃で5時間の条件で常圧焼成した。得られた試料について例1と同様にして評価を行った。結果は表1に示されるとおりであった。
また、大気中900℃で4時間ホットプレス焼成後の焼結体平均粒径を測定するため、c面酸化亜鉛ウェハなしで別途焼結体を作製し、下記の手法を用いて焼結体の平均粒径を測定した。すなわち、得られた焼結体の円盤面と垂直な面を研磨し、濃度0.3Mの硝酸にて10秒間エッチングを行った後、走査電子顕微鏡にて画像を撮影した。視野範囲は、円盤面に平行及び垂直な直線を引いた場合に、いずれの直線も10個から30個の粒子と交わるような直線が引けるような視野範囲とした。円盤面に平行に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、同様に、円盤面に垂直に引いた3本の直線において、直線が交わる全ての粒子に対し、個々の粒子の内側の線分の長さを平均したものに1.5を乗じた値をaとし、(a+a)/2を平均粒径とした。
さらに、焼結体の配向度を確認するため、接合面においてXRDにより(002)面の配向度を測定した。XRD装置(株式会社リガク製、製品名「RINT−TTR III」)を用い、円盤状ZnOの接合面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定した。(002)配向度は、例1で用いた数式を用いて算出した。
例4:c面配向ZnO(ノンドープ)
種基板としてc面サファイア上にRS−MBE法によってZnO層を成膜したものを用い、かつ、ホットプレス焼成の条件を大気中850℃で4時間としたこと以外は例3と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1に示されるとおりであった。
なお、本例に用いた種基板の作製は以下のようにして行った。市販のc面サファイアウェハ(直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μm)表面に、RS−MBE(ラジカルソース分子線成長)装置を用いて、ZnO層を成膜した。金属材料である亜鉛(Zn)はクヌーセンセルで照射し、基板に供給した。ガス材料である酸素(O)は、RFラジカル発生装置にてOガスを原料とし、酸素ラジカルとして供給した。各種原料の純度はZnが7N、Oが6Nのものを用いた。c面サファイアウェハは抵抗加熱ヒータを用いて700℃に加熱し、ZnとOの比が1:1となるようにガスソースのフラックスを制御しながら、厚さ100nmのZnO種結晶膜をウェハの表裏両面に成膜した。
例5:m面配向ZnO(ノンドープ)
関東化学製硝酸亜鉛六水和物を用い、濃度0.1MのZn(NO水溶液を作製した。また、シグマアルドリッチ製水酸化ナトリウムを用い、濃度0.1MのNaOH水溶液を作製した。NaOH水溶液に対し、Zn(NO水溶液を体積比1:1で混合し、攪拌しながら80℃で6時間保持し、沈殿物を得た。沈殿物をイオン交換水で3回洗浄した後、乾燥することで、板状のZnO一次粒子が凝集した球状の二次粒子を得た。得られた球状の二次粒子に対し、直径2mmのZrO製ボールを用い、エタノールを溶媒として、ボールミル粉砕処理を3時間行うことにより、ZnO二次粒子を体積基準D50平均粒径0.6μmの板状一次粒子を得た。
得られたZnO板状一次粒子100重量部に対し、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)9重量部と、可塑剤(DOP:ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、黒金化成株式会社製)4.5重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)3重量部と、分散媒(2−エチルヘキサノール)を混合した。分散媒の量は、スラリー粘度が12000cPとなるように調整した。上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが20μmとなるように、シート状に成形した。得られたテープを直径50mmの円形に切断した後100枚積層した。得られた成形体を脱脂炉中に配置し、600℃で20時間の条件で脱脂を行った。このような脱脂体を2体作製した。
得られた脱脂体の配向度を確認するため、接合面においてXRDにより(100)面の配向度を測定した。XRD装置(株式会社リガク製、製品名「RINT−TTR III」)を用い、基板接合面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定した。(100)配向度は、以下の式により算出した。
Figure 0006092015
また、例1と同様の方法で脱脂体の平均粒径を測定した。
得られた脱脂体2体の間に直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μmの市販のm面酸化亜鉛ウェハを挟み、アルミナ製の型を用いて大気中1300℃で5時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。得られた試料について例1と同様にして評価を行った。結果は表1に示されるとおりであった。
例6:c面配向Al粉末
原料として、板状Al粉末(キンセイマテック製、グレード00610、体積基準D50平均粒径0.6μm)を用い、例1と同様に直径50mmに切断した厚さ20μmのテープを100枚積層したテープ積層体を2体作製し、例1と同様にして脱脂を行った。
得られた基板の配向度を確認するため、接合面においてXRDにより(006)面の配向度を測定した。XRD装置(株式会社リガク製、製品名「RINT−TTR III」)を用い、円盤状Alの接合面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定した。(006)配向度は、以下の式により算出した。
Figure 0006092015
また、例1と同様の方法で脱脂体の平均粒径を測定した。
種基板として市販のc面サファイアウェハ(直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μm)を用いた。得られた脱脂体2体の間に種基板を挟み、黒鉛製の型を用い、窒素中1700℃で4時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。得られた試料について例1と同様にして評価を行った。結果は表1に示されるとおりであった。
例7(比較):無配向ZnO
市販のZnO粉末(正同化学製、酸化亜鉛1種、体積基準D50平均粒径0.6μm)に対し、プレス圧100kgf/cmで一軸プレス成形し、直径50mm、厚さ10mmの成形体を2体作製した。得られた成形体2体の間に直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μmの市販のc面酸化亜鉛ウェハを挟み、アルミナ製の型を用いて大気中1300℃で5時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。また、例1と同様の方法で脱脂体の平均粒径を測定した。結果は表1に示されるとおりであった。
例8(比較):c面配向ZnO(Alドープ)
市販のZnO粉末(正同化学製、酸化亜鉛1種)と市販の酸化アルミニウム(Al)粉末(住友化学製、AKP3000)とを、アルミニウム(Al)の原子モル比率が0.2at%となるように秤量し、混合した。得られた混合粉末をポットミルにて湿式混合し、大気中1400℃で5時間焼成し、Alが固溶している酸化亜鉛粉末を合成した。この合成粉末を、体積基準D50平均粒径0.8μmとなるようにポットミルにて湿式粉砕し、酸化亜鉛粉末を作製した。上記の方法により得た酸化亜鉛板状粒子をプレス圧100kgf/cmで一軸プレス成形し、直径50mm、厚さ10mmの成形体を2体作製した。これらの成形体を大気中1400℃で5時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。得られた焼結体を鏡面研磨し、焼結体間に直径2インチ(5.08cm)、厚さ500μmの市販のc面酸化亜鉛ウェハを挟み、アルミナ製の型を用いて大気中1300℃で5時間、プレス圧100kgf/cmの条件でホットプレス焼成した。得られた試料について例1と同様にして評価を行った。また、例1と同様の方法で成形体の平均粒径を測定し、例3と同様の方法で焼結体の平均粒径を測定した。結果は表1に示されるとおりであった。
Figure 0006092015
10 種基板
12 配向体(配向成形体又は配向焼結体)
14 単結晶体

Claims (10)

  1. 多結晶粒子で構成され且つ特定面に配向した配向成形体又は該配向成形体を焼成して得られた配向焼結体と、単結晶体又は単結晶層が成膜された基板からなる種基板とを用意する工程と、
    前記配向成形体又は配向焼結体と前記種基板とを互いに密着面において同じ面方位を有するように密着させ、加熱処理により固相反応を生じさせ、それにより単結晶体を製造する工程と、
    を含み、
    前記配向成形体又は配向焼結体が酸化亜鉛で構成され、前記種基板を構成する単結晶体又は単結晶層が酸化亜鉛で構成される、単結晶体の製造方法。
  2. 前記配向成形体又は配向焼結体を構成する前記多結晶粒子の平均粒径が、0.1〜10μmである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加熱処理が、常圧焼成、ホットプレス(HP)、熱間静水圧プレス(HIP)及び放電プラズマ焼結(SPS)からなる群から選択される手法により行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記加熱処理が、1000℃以上2300℃未満の温度で行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記配向成形体又は配向焼結体が、ロットゲーリング法で測定した場合に、50%以上の配向度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記配向成形体又は配向焼結体が、ロットゲーリング法で測定した場合に、75%以上の配向度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記加熱処理の前に、前記配向成形体又は配向焼結体と種基板を密着させるための予備加熱が行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記予備加熱が、500℃以上1000℃未満の温度で行われる、請求項に記載の方法。
  9. 前記配向成形体又は配向焼結体がドーパント元素をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ドーパント元素が、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、窒素(N)、硼素(B)、リン(P)、砒素(As)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、カーボン(C)、シリコン(Si)、硫黄(S)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、テルル(Te)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、及び銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の方法。
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