JP6811472B2 - Iii族窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本明細書の技術分野は、III 族窒化物半導体素子の製造方法に関する。
GaNに代表されるIII 族窒化物半導体では、絶縁破壊電界の強度が高く、かつ融点が高い。そのため、III 族窒化物半導体は、GaAs系半導体に代わる、高出力、高周波、高温用の半導体デバイスの材料として期待されている。そのため、III 族窒化物半導体を用いるHEMT素子などが研究開発されている。
例えば、電子走行層としてGaNを用い、電子供給層としてn−AlGaNを用いるHEMT素子が開発されている(特許文献1の段落[0002]および図2等参照)。このHEMT素子は、チャネル層の表面において高いキャリア濃度を有する。また、HEMT素子における電子の移動度も大きい。そのため、高速高周波トランジスタとして鋭意研究開発がなされてきている。特に、III 族窒化物半導体は、シリコンよりもバンドギャップが大きい。そのため、III 族窒化物半導体では、耐圧性が優れており、高温条件での動作が可能である。したがって、III 族窒化物半導体は、シリコンに代わるパワーデバイスとして有望である。
また、非特許文献1では、III 族窒化物半導体を用いた発光素子について種々の成果が記載されている。
特開2003−179082号公報 特開2016−134613号公報
T. Egawa and O. Oda, "III-Nitride Based Light Emitting Diodes and Applications" (Springer, 2013) Chapter 3.
ところで、HEMT素子は安価なSi基板を用いて製造されることが多い。しかし、Si基板とIII 族窒化物半導体との間の格子不整合および熱膨張係数差は大きい。そして、近年では、より大口径のSi基板が用いられるようになってきている。この基板の大口径化にともなって、積層した半導体層にクラックが入るという問題が生じてきている。また、基板に反りが生じることもある。したがって、格子不整合および熱膨張係数差に起因する問題が、実用化の障害となっている。また、Si基板以外の基板に対しても、同様の問題は生じうる。
特許文献2に示すように、本発明者らは、Si基板の上にInN層を形成し、InN層の上にAlN層を形成する技術を研究開発した。ここで、InN層において比較的低温の500℃程度で窒素原子が脱離する。一方、AlN層は比較的高温の1200℃程度で成膜すると、結晶性のよいAlN層が形成される。そして、AlN層を低温で成膜するとそのAlN層の結晶の品質はそれほど高くない。とはいえ、AlN層を高温で成膜しようとするとInN層が熱分解され、半導体層を堆積すること自体が困難となる。その結果、結晶性に優れた半導体層を得ることが難しかった。これは、Al組成が大きい他のAlInGaN層であっても同様である。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。その課題とは、In組成が大きい第1のIII 族窒化物半導体層の上に結晶性に優れたIII 族窒化物半導体層を成長させることを図ったIII 族窒化物半導体素子の製造方法を提供することである。
第1の態様におけるIII 族窒化物半導体素子の製造方法は、基板の上に第1のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第1のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第1のIII 族窒化物半導体層の上に第2のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第2のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第2のIII 族窒化物半導体層の上に第3のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第3のIII 族窒化物半導体層形成工程と、を有する。第1のIII 族窒化物半導体層形成工程では、素原子を含有するとともに水素ガスを含まないガスをプラズマ化して基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板に供給し、In組成X1が0.5以上1.0以下の範囲内のInX1AlY1Ga(1-X1-Y1) N層を形成する。第2のIII 族窒化物半導体層形成工程では、基板の温度を0℃以上500℃未満にし、素原子を含有するとともに水素ガスを含まないガスをプラズマ化して基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板に供給し、In組成X2が0以上0.1以下でAl組成Y2が0以上0.1以下のInX2AlY2Ga(1-X2-Y2) N層を形成する。第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、基板の温度を第2のIII 族窒化物半導体層形成工程より高い温度とし、窒素原子を含有するガスをプラズマ化して基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板に供給し、InX3AlY3Ga(1-X3-Y3) N層を形成する。
このIII 族窒化物半導体素子の製造方法では、In濃度が高い第1のIII 族窒化物半導体層の上に比較的低温で成膜することのできる第2のIII 族窒化物半導体層を成長させる。そのため、第1のIII 族窒化物半導体層が応力を好適に緩和するとともに、第2のIII 族窒化物半導体層より上層で結晶性に優れた半導体層を成長させることができる。これにより、高品質なIII 族窒化物半導体素子を製造することができる。
本明細書では、In組成が大きい第1のIII 族窒化物半導体層の上に結晶性に優れたIII 族窒化物半導体層を成長させることを図ったIII 族窒化物半導体素子の製造方法が提供されている。
実施形態におけるIII 族窒化物半導体素子を示す概略構成図である。 第1の実施形態に係るHEMT素子を示す概略構成図である。 実施形態における製造装置の概略構成を示す図である。 第1の実施形態の変形例におけるHEMT素子を示す概略構成図(その1)である。 第1の実施形態の変形例におけるHEMT素子を示す概略構成図(その2)である。 第2の実施形態に係る半導体レーザーを素子示す概略構成図である。 実施例におけるサンプルのX線回折の結果をまとめたグラフである。
以下、具体的な実施形態について、III 族窒化物半導体素子とその製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。なお、図面中の各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。本実施形態のIII 族窒化物半導体素子は、III 族窒化物半導体層を有する。
1.III 族窒化物半導体素子の基本的構成
1−1.III 族窒化物半導体素子の構造
図1は、本実施形態のIII 族窒化物半導体素子100を示す概略構成図である。図1に示すように、III 族窒化物半導体素子100は、基板110と、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、半導体層群150と、を有している。第1のIII 族窒化物半導体層120は、基板110の上に直接形成されている。第2のIII 族窒化物半導体層130は、第1のIII 族窒化物半導体層120の上に直接形成されている。第3のIII 族窒化物半導体層140は、第2のIII 族窒化物半導体層130の上に直接形成されている。半導体層群150は、第3のIII 族窒化物半導体層140の上に直接形成されている。
基板110は、例えば、Si基板である。Si基板は、安価である。
第1のIII 族窒化物半導体層120は、InX1AlY1Ga(1-X1-Y1) N層である。第2のIII 族窒化物半導体層130は、InX2AlY2Ga(1-X2-Y2) N層である。第3のIII 族窒化物半導体層140は、InX3AlY3Ga(1-X3-Y3) N層である。半導体層群150は、InX4AlY4Ga(1-X4-Y4) N層を有する。このように、いずれのIII 族窒化物半導体層も、InX AlY Ga(1-X-Y) N層である。ただし、第1のIII 族窒化物半導体層120におけるIn組成X1は、第2のIII 族窒化物半導体層130におけるIn組成X2よりも十分に大きい。
1−2.第1のIII 族窒化物半導体層
第1のIII 族窒化物半導体層120は、In組成X1が高い第1のバッファ層である。第1のIII 族窒化物半導体層120として、例えば、InN層が挙げられる。第1のIII 族窒化物半導体層120のIn組成X1は、
0.5 ≦ X1 ≦ 1.0
である。
好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120のIn組成X1は、
0.7 ≦ X1 ≦ 1.0
である。
より好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120のIn組成X1は、
0.9 ≦ X1 ≦ 1.0
である。
第1のIII 族窒化物半導体層120のAl組成Y1は、
0 ≦ Y1 ≦ 0.3
である。
好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120のAl組成Y1は、
0 ≦ Y1 ≦ 0.2
である。
より好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120のAl組成Y1は、
0 ≦ Y1 ≦ 0.1
である。
第1のIII 族窒化物半導体層120の膜厚は、2nm以上1000nm以下の範囲内である。好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120の膜厚は、2nm以上300nm以下の範囲内である。より好ましくは、第1のIII 族窒化物半導体層120の膜厚は、2nm以上100nm以下の範囲内である。
1−3.第2のIII 族窒化物半導体層
第2のIII 族窒化物半導体層130は、In組成X2およびAl組成Y2が低い第2のバッファ層である。また、第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度は、後述するように比較的低い。第2のIII 族窒化物半導体層130として、例えば、低温GaN層が挙げられる。第2のIII 族窒化物半導体層130のIn組成X2は、
0 ≦ X2 ≦ 0.1
である。
好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130のIn組成X2は、
0 ≦ X2 ≦ 0.05
である。
より好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130のIn組成X2は、
0 ≦ X2 ≦ 0.01
である。
第2のIII 族窒化物半導体層130のAl組成Y2は、
0 ≦ Y2 ≦ 0.1
である。
好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130のAl組成Y2は、
0 ≦ Y2 ≦ 0.05
である。
より好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130のAl組成Y2は、
0 ≦ Y2 ≦ 0.01
である。
第2のIII 族窒化物半導体層130の膜厚は、2nm以上1000nm以下の範囲内である。好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130の膜厚は、10nm以上300nm以下の範囲内である。より好ましくは、第2のIII 族窒化物半導体層130の膜厚は、15nm以上100nm以下の範囲内である。
1−4.第3のIII 族窒化物半導体層
第3のIII 族窒化物半導体層140は、第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度より高い温度で成膜されたIII 族窒化物半導体層である。第3のIII 族窒化物半導体層140として、例えば、高温GaNが挙げられる。
1−5.半導体層群
半導体層群150は、1層以上のIII 族窒化物半導体層を備えている。下記に説明する種々の半導体素子においては、この半導体層群150およびこの半導体層群150に形成される電極構造が、互いに異なっている。
1−6.III 族窒化物半導体素子の効果
本実施形態における第1のIII 族窒化物半導体層120では、In組成X1が非常に高い。そのため、第1のIII 族窒化物半導体層120の形成時には、第1のIII 族窒化物半導体層120は、ほぼInNに近い組成である。InN層では、500℃程度以上で窒素が脱離する。第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度は500℃未満である。そのため、第2のIII 族窒化物半導体層130を成長させる際には、第1のIII 族窒化物半導体層120は固体状態にある。第3のIII 族窒化物半導体層140の成長温度は500℃以上であり、InN層の窒素原子の少なくとも一部は脱離する。第3のIII 族窒化物半導体層140を成長させる際には、第1のIII 族窒化物半導体層120の組成は、金属Inに非常に近い。ここで、金属Inは、変形しやすい。すなわち、金属Inは、基板110とIII 族窒化物半導体層との間の格子不整合を緩和することができる。よって、第1のIII 族窒化物半導体層120は、III 族窒化物半導体素子100の反りの発生を抑制するとともに、クラックの発生を抑制することができる。
2.HEMT素子
2−1.HEMT素子の構造
図2は、本実施形態のHEMT200を示す概略構成図である。HEMT200は、高電子移動度トランジスタである。図2に示すように、HEMT200は、基板110と、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260と、ソース電極S1と、ゲート電極G1と、ドレイン電極D1と、を有している。
n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260とは、半導体層群150である。n−GaN層250は、チャネル層である。i−AlY5Ga(1-Y5)N層260は、バリア層である。
ソース電極S1およびドレイン電極D1は、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260の上に形成されている。このように、n−GaN層250は、基板110とi−AlY5Ga(1-Y5)N層260との間の位置に配置されている。i−AlY5Ga(1-Y5)N層260からみてn−GaN層250の反対側の位置に、ゲート電極G1と、ソース電極S1と、ドレイン電極D1と、が配置されている。
ここで、n−GaN層250は、単一層であっても複数層であってもよい。i−AlY5Ga(1-Y5)N層260は、単一層であっても複数層であってもよい。また、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260のバンドギャップは、n−GaN層250のバンドギャップに比べて大きい。
第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140とは、いずれも、InX AlY Ga(1-X-Y) N層である。第1のIII 族窒化物半導体層120は、In組成X1が高い第1のバッファ層である。第1のIII 族窒化物半導体層120のIn組成X1は、
0.5 ≦ X1 ≦ 1.0
である。
第2のIII 族窒化物半導体層130は、In組成X2およびAl組成Y2が低い第2のバッファ層である。また、第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度は、後述するように比較的低い。第2のIII 族窒化物半導体層130のIn組成X2は、
0 ≦ X2 ≦ 0.1
である。
第1のIII 族窒化物半導体層120の組成および第2のIII 族窒化物半導体層130の組成は、前述のIII 族窒化物半導体素子の基本的構成の項目で説明した組成と同様であってもよい。
2−2.HEMT素子の効果
第1のIII 族窒化物半導体層120では、In組成X1が非常に高い。そのため、第1のIII 族窒化物半導体層120の形成時には、第1のIII 族窒化物半導体層120は、ほぼInNに近い組成である。InN層では、500℃程度以上で窒素が脱離する。第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度は500℃未満である。そのため、第2のIII 族窒化物半導体層130を成長させる際には、第1のIII 族窒化物半導体層120は固体状態にある。第3のIII 族窒化物半導体層140の成長温度は500℃以上であり、InN層の窒素原子の少なくとも一部は脱離する。第3のIII 族窒化物半導体層140を成長させる際には、第1のIII 族窒化物半導体層120の組成は、金属Inに非常に近い。ここで、金属Inは、変形しやすい。すなわち、金属Inは、基板110とIII 族窒化物半導体層との間の格子不整合を緩和することができる。よって、第1のIII 族窒化物半導体層120は、III 族窒化物半導体素子100の反りの発生を抑制するとともに、クラックの発生を抑制することができる。
3.III 族窒化物半導体素子の製造装置
3−1.製造装置の構成
図3は、本実施形態におけるIII 族窒化物半導体素子の製造装置1000の概略構成図である。製造装置1000は、窒素ガスを含有するガスをプラズマ化してそのプラズマ化したプラズマ生成物を成長基板に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで成長基板に供給する装置である。
製造装置1000は、炉本体1001と、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、加熱器1210と、第1のガス供給管1300と、ガス導入室1410と、第2のガス供給管1420と、金属メッシュ1500と、RF電源1600と、マッチングボックス1610と、第1のガス供給部1710と、第2のガス供給部1810と、ガス容器1910、1920、1930と、恒温槽1911、1921、1931と、マスフローコントローラー1720、1730、1740、1820と、を有している。また、製造装置1000は、排気口(図示せず)を有している。
シャワーヘッド電極1100は、周期的な電位を付与される第1の電極である。シャワーヘッド電極1100は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。シャワーヘッド電極1100は、平板形状の電極である。そして、シャワーヘッド電極1100には、表面から裏面に貫通する複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。そして、これらの複数の貫通孔は、ガス導入室1410および第2のガス供給管1420と連通している。このため、ガス導入室1410から炉本体1001の内部に供給される第2のガスは、好適にプラズマ化される。RF電源1600は、シャワーヘッド電極1100に高周波電位を付与する電位付与部である。
サセプター1200は、基板110を支持するための基板支持部である。サセプター1200の材質は、例えば、グラファイトである。また、これ以外の導電体であってもよい。ここで、基板110は、III 族窒化物半導体を成長させるための成長基板である。
第1のガス供給管1300は、サセプター1200に第1のガスを供給するためのものである。実際には、サセプター1200に支持された基板110に第1のガスを供給することとなる。ここで、第1のガスとは、III 族金属を含む有機金属ガスである。また、その他のキャリアガスを含んでいてもよい。第1のガス供給管1300は、リング状のリング部1310を有している。そして、第1のガス供給管1300のリング部1310には、12個の貫通孔(図示せず)がリング部1310の内側に設けられている。これらの貫通孔は、第1のガスが噴出する噴出口である。そのため、第1のガスは、リング部1310の内側に向けて、噴出することとなる。第1のガス供給管1300は、後述するように、プラズマ発生領域から離れた位置に位置している。
第2のガス供給管1420は、サセプター1200に第2のガスを供給するためのものである。実際には、第2のガスをガス導入室1410および炉本体1001の内部に導入するとともに、サセプター1200に支持された基板110に第2のガスを供給することとなる。そして、第2のガス供給管1420は、第2のガスを炉本体1001の内部に供給する。ここで、第2のガス供給管1420が供給する第2のガスは、少なくとも窒素ガスを含むガスである。第2のガス供給管1420は、場合によって、窒素ガスと水素ガスとの混合ガスを第2のガスとして供給する。ガス導入室1410は、少なくとも窒素ガスを含むガスを一旦収容するとともに、シャワーヘッド電極1100の貫通孔にこのガスを供給するためのものである。
金属メッシュ1500は、荷電粒子を捕獲するためのものである。金属メッシュ1500は、例えば、ステンレス製である。もちろん、これ以外の金属であってもよい。金属メッシュ1500は、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の位置に配置されている。そのため、後述するようにプラズマ発生領域で発生した荷電粒子が、サセプター1200に支持されている成長基板110に向かうのを抑制することができる。また、金属メッシュ1500は、シャワーヘッド電極と第1のガス供給管1300のリング部1310との間の位置に配置されている。そのため、荷電粒子が、第1のガス供給管1300から噴出されるIII 族金属を含む有機金属分子に衝突するのを抑制することができる。また、金属メッシュ1500は、多数枚をずらして配置されている。つまり、第1のメッシュの開口部の位置に第2のメッシュの線状部を配置している。そのため、直線的に進行する光は、金属メッシュ1500を透過できない。つまり、金属メッシュ1500は、電子、イオン、光を通過させないが、中性のラジカルを通過させる。
炉本体1001は、少なくとも、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200と、第1のガス供給管1300のリング部1310と、金属メッシュ1500と、を内部に収容している。炉本体1001は、例えば、ステンレス製である。炉本体1001は、上記以外の導電体であってもよい。
炉本体1001と、金属メッシュ1500と、第1のガス供給管1300とは、導電性の部材であり、いずれも接地されている。そのため、シャワーヘッド電極1100に電位が付与されると、シャワーヘッド電極1100と、炉本体1001および金属メッシュ1500および第1のガス供給管1300と、の間に電圧が印加されることとなる。そして、炉本体1001および金属メッシュ1500および第1のガス供給管1300の少なくとも1つ以上と、シャワーヘッド電極1100と、の間に放電が生じると考えられる。シャワーヘッド電極1100の直下では、高周波かつ高強度の電界が形成される。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下の位置は、プラズマ発生領域である。
ここで、第2のガス、すなわち、窒素ガスを含有するガスは、このプラズマ発生領域においてプラズマ化されることとなる。そして、プラズマ発生領域でプラズマ生成物が発生する。この場合におけるプラズマ生成物とは、窒素ラジカル等と、電子と、その他のイオン等である。第2のガスが水素ガスを含んでいる場合には、NHと、NH2 と、NH3 と、これらの励起状態と、その他のものとを含む窒化水素系の化合物が生成される。
また、シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200とは、十分に離れている。シャワーヘッド電極1100と、サセプター1200との間の距離は、40mm以上200mm以下である。より好ましくは、40mm以上150mm以下である。シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が短いと、プラズマ発生領域がサセプター1200の箇所にまで広がるおそれがある。シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が40mm以上であれば、プラズマ発生領域がサセプター1200の箇所にまで広がるおそれがほとんどない。そのため、荷電粒子が基板110に到達することを抑制できる。また、シャワーヘッド電極1100とサセプター1200との間の距離が大きいと、窒素ラジカルや、窒化水素系の化合物等が、サセプター1200の保持する基板110に到達しにくくなる。なお、これらの距離は、プラズマ発生領域の大きさと、その他のプラズマ条件にも依存する。
シャワーヘッド電極1100は、サセプター1200からみて第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔よりも遠い位置に配置されている。シャワーヘッド電極1100と、第1のガス供給管1300のリング部1310の貫通孔との間の距離は、30mm以上190mm以下である。より好ましくは、30mm以上140mm以下である。荷電粒子が、第1のガスに混入することを抑制するとともに、窒素ラジカルや、窒化水素系の化合物等が、第1のガスに混入しやすくするためである。このため、プラズマ化された第2のガスと、プラズマ化されない第1のガスとにより、基板110に半導体層が積層されることとなる。なお、これらの距離は、プラズマ発生領域の大きさと、その他のプラズマ条件にも依存する。
加熱器1210は、サセプター1200を介して、サセプター1200に支持される基板110を加熱するためのものである。
マスフローコントローラー1720、1730、1740、1820は、各々のガスの流量を制御するためのものである。恒温槽1911、1921、1931には、不凍液1912、1922、1932が満たされている。また、ガス容器1910、1920、1930は、III 族金属を含む有機金属ガスを収容するための容器である。ガス容器1910、1920、1930には、それぞれ、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、収容されている。もちろん、トリエチルガリウム等、その他のIII 族金属を含む有機金属ガスであってもよい。
3−2.製造装置の製造条件
製造装置1000における製造条件を表1に示す。表1で挙げた数値範囲は、あくまで目安であり、必ずしもこの数値範囲である必要はない。RFパワーは、100W以上1000W以下の範囲内である。RF電源1600がシャワーヘッド電極1100に付与する周期的な電位の周波数は、30MHz以上300MHz以下の範囲内である。基板温度は、0℃以上1200℃以下の範囲内である。製造装置1000の内圧は、1Pa以上10000Pa以下の範囲内である。
[表1]
RFパワー 100W以上 1000W以下
周波数 30MHz以上 300MHz以下
基板温度 0℃以上 1200℃以下
内圧 1Pa以上 10000Pa以下
3−3.製造装置の効果
この製造装置1000は、アンモニア等の窒素原子を含むガスをプラズマ化するため、比較的低温でIII 族窒化物半導体層を成膜することができる。そのため、In濃度の高いIII 族窒化物半導体層を成膜することができる。具体的には、In組成Xが0.5以上というIn濃度の高いIII 族窒化物半導体層を比較的速い成長速度で成長させることができる。つまり、In濃度の高いIII 族窒化物半導体層を有する半導体素子を量産することができる。また、原料ガスをプラズマ化するため、従来のMOCVD法に比べて、低い温度で半導体層を成長させることができる。例えば、基板温度を100℃以上400℃以下程度として成膜することができる。また、MOCVD炉のように大量のアンモニアを用いる必要がない。そのため、大規模な除害装置を設ける必要がない。したがって、この製造装置1000の製造コストおよびランニングコストは、従来の装置よりも低い。
4.III 族窒化物半導体素子の製造方法
本実施形態では、半導体層の成膜にREMOCVD(Radical Enhanced Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いる。
4−1.基板のクリーニング
ここで、本実施形態の製造装置1000を用いたIII 族窒化物半導体素子の製造方法について、HEMT200を例に挙げて説明する。まず、基板110を準備する。基板110として、例えば、Si(111)基板を用いることができる。また、その他の基板を用いてもよい。基板110を、製造装置1000の内部に配置し、水素ガスを1000sccm程度供給しながら基板温度を900℃程度まで上昇させる。これにより、基板110の表面を還元するとともに、基板110の表面をクリーニングする。基板温度については、より高い温度にしてもよい。
4−2.III 族窒化物半導体層形成工程
このIII 族窒化物半導体層形成工程では、III 族窒化物半導体層を形成する。III 族窒化物半導体層形成工程は、基板110に第1のIII 族窒化物半導体層120を直接形成する第1のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第1のIII 族窒化物半導体層120の上に第2のIII 族窒化物半導体層130を直接形成する第2のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第2のIII 族窒化物半導体層130の上に第3のIII 族窒化物半導体層140を直接形成する第3のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第3のIII 族窒化物半導体層140の上に半導体層群150を直接形成する半導体層群形成工程と、を有する。
4−2−1.第1のIII 族窒化物半導体層形成工程
RF電源1610をONにする。そして、第2のガス供給管1420から、窒素ガスまたは窒素ガスとその他の不活性ガスとの混合ガスを供給する。この混合ガスは、水素ガスを含まない。そして、シャワーヘッド電極1100の貫通孔から炉本体1001の内部に供給された混合ガスは、シャワーヘッド電極1100の直下でプラズマ化する。そのため、シャワーヘッド電極1100の直下にプラズマ発生領域が生成される。この際に、窒素ラジカルが生成される。また、電子やその他の荷電粒子も生成される。
そして、これらの窒素ラジカルと電子とその他の荷電粒子を含んだラジカル混合気体は、基板110に向けて送出される。このラジカル混合ガスの発生箇所は、シャワーヘッド電極1100の直下である。シャワーヘッド電極1100から基板110までの距離は十分に広いため、ラジカル混合気体のうち、電子やイオン等の荷電粒子は、基板110まで到達しにくい。また、金属メッシュ1500は、荷電粒子を捕獲するためのものである。そのため、基板110に向けて供給されるのは、窒素ラジカルであると考えられる。窒素ラジカルは、通常のアンモニアに比べて、反応性が高い。そのため、従来に比べて低い温度で半導体層をエピタキシャル成長させることができる。
一方、第1のガス供給管1300のリング部1310から、III 族金属の有機金属ガスを供給する。例えば、トリメチルガリウムと、トリメチルインジウムと、トリメチルアルミニウムとが、挙げられる。本実施形態では、In濃度の高い半導体層を形成するため、インジウム元素を含む有機金属ガスの供給量は、従来に比べて多い。これらのガスは、基板110に向かうラジカル混合気体に巻き込まれて、基板110に供給されることとなる。III 族金属の有機金属ガスは、プラズマ化されないで、基板110に供給される。
このように、第1のIII 族窒化物半導体層形成工程では、水素ガスを基板110に供給することなく窒素原子を含有するガスをプラズマ化して基板110に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板110に供給する。これにより、In組成X1が0.5以上1.0以下の範囲内のInX1AlY1Ga(1-X1-Y1) N層を形成する。第1のIII 族窒化物半導体層120は、InN層であるとよい。この工程において、前述したように水素ガスを供給しない。水素ガスが第1のIII 族窒化物半導体層120のInをエッチングしてしまうおそれがあるからである。また、このときの基板温度は、0℃以上500℃未満である。
4−2−2.第2のIII 族窒化物半導体層形成工程
第2のIII 族窒化物半導体層形成工程では、水素ガスを基板110に供給することなく窒素原子を含有するガスをプラズマ化して基板110に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板110に供給する。これにより、In組成X2が0以上0.1以下でAl組成Y2が0以上0.1以下のInX2AlY2Ga(1-X2-Y2) N層を形成する。このときの基板温度は、0℃以上500℃未満である。このため、この工程において第1のIII 族窒化物半導体層120は固体状態である。第2のIII 族窒化物半導体層130は、低温GaN層であるとよい。この工程において、前述したように水素ガスを供給しない。水素ガスが第2のIII 族窒化物半導体層130に十分に覆われていない第1のIII 族窒化物半導体層120のInをエッチングしてしまうおそれがあるからである。
4−2−3.第3のIII 族窒化物半導体層形成工程
第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、基板110の温度を第2のIII 族窒化物半導体層形成工程より高い温度とし、窒素原子を含有するガスをプラズマ化して基板110に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板110に供給する。これにより、結晶性のよいInX3AlY3Ga(1-X3-Y3) N層を形成する。このときの基板温度は、500℃以上1200℃以下である。好ましくは、基板温度は、850℃以上1150℃以下である。結晶性に優れた第3のIII 族窒化物半導体層140を形成することができるからである。
この基板温度では、第1のIII 族窒化物半導体層120は溶融状態にある。つまり、基板110は固体状態であり、第1のIII 族窒化物半導体層120は溶融状態であり、第2のIII 族窒化物半導体層130は固体状態である。第1のIII 族窒化物半導体層120は、上下の結晶に挟まれた状態で溶融している。このように、基板110および第2のIII 族窒化物半導体層130を固体状態のままとしつつ、第1のIII 族窒化物半導体層120を溶融状態にした状態で、第3のIII 族窒化物半導体層140を形成する。第3のIII 族窒化物半導体層140は、高温GaN層であるとよい。高温GaN層は、低温GaN層に比べて十分に優れた結晶性を備えているからである。
この工程において、水素ガスを供給するとよい。例えば、窒素原子を含有するガスと水素ガスとの混合ガスをプラズマ化して基板110に供給する。第2のIII 族窒化物半導体層130は結晶状態にあるため、水素ガスは第1のIII 族窒化物半導体層120にほとんど影響を与えない。また、仮に水素ガスが第1のIII 族窒化物半導体層120のInを削るようなことがあったとしても、基板温度により第1のIII 族窒化物半導体層120の窒素原子は脱離している最中である。そのため、水素ガスを用いることにより、第2のIII 族窒化物半導体層130より上層の半導体層はほとんどダメージを受けない。このように水素ガスが供給されているため、NHとNH2 とNH3 とこれらの励起状態とその他のものとを含む窒化水素系の化合物が、発生する。そして、これらの窒化水素系の化合物が、第3のIII 族窒化物半導体層140の成長に寄与する。その結果、高品質な第3のIII 族窒化物半導体層140が形成される。
4−2−4.半導体層群形成工程
半導体層群形成工程では、窒素ガスと水素ガスとを含む混合ガスをプラズマ化して、そのプラズマ化した混合ガスを基板110に供給するとともに、III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで基板110に供給する。これにより、n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260と、が形成される。
このようにして、基板110の上に、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260と、を形成する。上記の各半導体層を形成するために、適宜原料ガスを切り替えればよい。
4−3.電極形成工程
次に、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260の上にソース電極S1およびドレイン電極D1を形成する。また、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260の上にゲート電極G1を形成する。以上により、HEMT200の基本的構造が製造される。
4−4.素子分離工程
次に、ウエハ状の基板110を分割して、複数のHEMT200に切り出す。もしくは、基板110から余剰な部分を除去する。そのためには、レーザー装置や、ブレーキング装置等を用いればよい。
4−5.その他工程
また、上記の他に、熱処理工程と、保護膜形成工程と、その他の工程と、を実施してもよい。以上により、本実施形態のHEMT200が製造される。
5.III 族窒化物半導体素子の製造方法の効果
In組成Xの高い半導体層では、窒素が高温状態で脱離しやすい。MOCVD法等の一般的に用いられる気相成長法では、850℃以上1150℃以下の程度と比較的高温の条件下で成膜される。したがって、MOCVD法等では、In組成Xの高い半導体層を成長させるのは困難である。本実施形態では、REMOCVD法を用いる。窒素原子を含有するガスをプラズマ化するため、低温で窒素ラジカルが発生する。そのため、より低温で半導体層を成膜することができる。その結果、窒素原子の脱離を防止しつつ、非常にIn組成Xが高い第1のIII 族窒化物半導体層120を成膜することができる。
そして、第2のIII 族窒化物半導体層130は、この第1のIII 族窒化物半導体層120が熱分解しない程度に比較的低温で成膜される。比較的低温で成膜されるため、第2のIII 族窒化物半導体層130の結晶性は、やや低い。第3のIII 族窒化物半導体層140は、比較的高温で成膜される。第3のIII 族窒化物半導体層140の成膜時に、第1のIII 族窒化物半導体層120が溶融状態になる可能性がある。しかし、第2のIII 族窒化物半導体層130が結晶状態で残留しているため、その上に結晶性の高い第3のIII 族窒化物半導体層140を好適に成長させることができる。
そして、本実施形態のHEMT200においては、第3のIII 族窒化物半導体層140より上層の半導体層の結晶性が優れている。また、第1のIII 族窒化物半導体層120の組成は金属Inに近い。金属Inは非常に軟らかい材料である。そのため、第1のIII 族窒化物半導体層120が基板110からの応力を十分に吸収する。ゆえに、品質の高いHEMT200が実現されている。
6.変形例
6−1.MOS型HEMT(MIS型HEMT)
図4に示すように、MOS型HEMT300についても第1の実施形態の技術を適用することができる。MOS型HEMT300は、基板110と、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260と、絶縁膜I2と、ソース電極S2と、ゲート電極G2と、ドレイン電極D2と、を有している。絶縁膜I2は、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260とゲート電極G2とを絶縁している。絶縁膜I2は、酸化物である。もしくは、絶縁膜I2は、それ以外の絶縁体であってもよい。このように、III 族窒化物半導体素子は、MOS型HEMT素子であってもよい。また、III 族窒化物半導体素子は、MIS型HEMT素子であってもよい。
6−2.合金散乱防止層
図5に示すように、HEMT400は、合金散乱防止層470を有していてもよい。このとき、半導体層群150は、1層以上の合金散乱防止層470を有する。合金散乱防止層470は、1層以上のIII 族窒化物半導体を備える半導体層である。合金散乱防止層470は、n−GaN層250とi−AlY5Ga(1-Y5)N層260との間に位置する層である。すなわち、合金散乱防止層470は、チャネル層とバリア層との間に位置している。合金散乱防止層470は、バリア層であるi−AlY5Ga(1-Y5)N層260よりもバンドギャップの大きい層である。
6−3.基板
本実施形態の基板110は、Si基板である。その他に、基板110として、SiC基板、サファイア基板、ZnSe基板、ZnO基板等を用いてもよい。また、その他の基板を用いることもできる。ただし、Si基板は、安価であり、大口径基板を用いる場合に好適である。
6−4.金属In層の形成
第1のIII 族窒化物半導体層形成工程では、第1のIII 族窒化物半導体層120としてInN層を形成してもよい。第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、InN層のNを脱離させてInN層を金属In層としてもよい。
この場合には、第1のIII 族窒化物半導体層120が、ほぼ金属In層となる。金属In層は、基板110および第2のIII 族窒化物半導体層130に比べて十分に硬度が低い。そのため、基板110と第2のIII 族窒化物半導体層130との間の応力は十分に緩和される。これにより、III 族窒化物半導体素子100は、ほとんど反ることがない。
6−5.組み合わせ
上記の変形例について、自由に組み合わせてもよい。
7.本実施形態のまとめ
本実施形態のHEMT200は、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、n−GaN層250と、i−AlY5Ga(1-Y5)N層260と、を有する。第1のIII 族窒化物半導体層120のIn組成X1は非常に高い。また、第2のIII 族窒化物半導体層130では、In組成X2およびAl組成Y2が低い。そして、第2のIII 族窒化物半導体層130の成長温度は、500℃未満と十分に低い。そのため、第3のIII 族窒化物半導体層140より上層の半導体層の結晶性は優れている。また、第1のIII 族窒化物半導体層120が格子不整合および熱膨張係数差を効果的に吸収している。そのため、クラックの発生および反りの発生を抑制するIII 族窒化物半導体素子が実現されている。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、半導体レーザー素子について説明する。
1.半導体レーザー素子
1−1.半導体レーザー素子の構造
本実施形態の半導体レーザー素子500は、図6に示すように、基板110と、第1のIII 族窒化物半導体層120と、第2のIII 族窒化物半導体層130と、第3のIII 族窒化物半導体層140と、n−GaN層550と、活性層560と、p−AlGaN層570と、p−GaN層580と、n電極N1と、p電極P1と、を有している。n−GaN層550と、活性層560と、p−AlGaN層570と、p−GaN層580とは、半導体層群150である。
2.半導体レーザー素子の製造方法
半導体レーザー素子500の製造方法について説明する。半導体レーザー素子500の製造方法は、第1のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第2のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第3のIII 族窒化物半導体層形成工程と、半導体層群形成工程と、電極形成工程と、を有する。第1のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第2のIII 族窒化物半導体層形成工程と、第3のIII 族窒化物半導体層形成工程と、半導体層群形成工程とは、第1の実施形態で説明したIII 族窒化物半導体素子の製造装置1000を用いる。
第1のIII 族窒化物半導体層形成工程では、基板110の上に第1のIII 族窒化物半導体層120を形成する。第2のIII 族窒化物半導体層形成工程では、第1のIII 族窒化物半導体層120の上に第2のIII 族窒化物半導体層130を形成する。第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、第2のIII 族窒化物半導体層130の上に第3のIII 族窒化物半導体層140を形成する。
また、第3のIII 族窒化物半導体層140の上にn−GaN層550を形成する。n−GaN層550の上に活性層560を形成する。また、活性層560の上にp−AlGaN層570を形成する。また、p−AlGaN層570の上にp−GaN層580を形成する。
3.変形例
3−1.半導体発光素子
本実施形態のIII 族窒化物半導体素子は、半導体レーザー素子である。ここで、III 族窒化物半導体素子は、半導体発光素子であってもよい。
3−2.製造方法
第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、半導体層を成長させる装置として、図3に示す製造装置1000以外の装置を用いてもよい。第3のIII 族窒化物半導体層140より上層では、比較的高い基板温度で成膜するからである。
1.サンプルの作製
1−1.サーマルクリーニング
10mm角のSi(111)基板を用いた。そのSi(111)基板を前述の製造装置1000のサセプター1200に配置した。そして、H2 を用いて基板のクリーニングを実施した。H2 をシャワーヘッド電極1100の側から流した。H2 の流量は、1000sccmであった。シャワーヘッド電極1100に与えた電力は400Wであった。その周波数は60MHzであった。これにより、H2 ガスはプラズマ化され、ラジカルが発生する。炉本体1001の内圧は100Paであった。そして、Si(111)基板を900℃まで昇温した後、10分間保持した。
1−2.InN層
そして、Si(111)基板の上にInN層を成長させた。基板温度は室温であった。シャワーヘッド電極1100に与えた電力は400Wであった。その周波数は60MHzであった。シャワーヘッド電極1100からN2 を供給した。N2 の流量は750sccmであった。一方、第1のガス供給管1300からトリメチルインジウム(TMI)を供給した。TMIの温度は20℃であった。TMIの蒸気圧は2.28hPaであった。TMIの流量は0.03sccmであった。キャリアガスとしてN2 を4sccmだけ流した。炉本体1001の内圧は85Paであった。
1−3.低温GaN層
次に、InN層の上に低温GaN層を成長させた。基板温度は400℃であった。シャワーヘッド電極1100に与えた電力は400Wであった。その周波数は60MHzであった。シャワーヘッド電極1100からN2 を供給した。N2 の流量は750sccmであった。一方、第1のガス供給管1300からトリメチルガリウム(TMG)を供給した。TMGの蒸気圧は46.7hPaであった。TMGの流量は0.85sccmであった。なお、TMGの供給にあたってキャリアガスを用いなかった。
1−4.高温GaN層
次に、低温GaN層の上に高温GaN層を成長させた。基板温度は800℃であった。シャワーヘッド電極1100に与えた電力は600Wであった。その周波数は60MHzであった。シャワーヘッド電極1100からN2 とH2 との混合ガスを供給した。N2 の流量は750sccmであった。H2 の流量は250sccmであった。一方、第1のガス供給管1300からトリメチルガリウム(TMG)を供給した。TMGの蒸気圧は46.7hPaであった。TMGの流量は0.85sccmであった。なお、TMGの供給にあたってキャリアガスを用いなかった。
1−5.その他
InN層を成長させる際には、基板温度を室温として310分間InN層を成長させた後、基板温度を最大で430℃まで上昇させて30分間InN層を成長させた。
以上により、Si(111)基板の上に、InN層、低温GaN層、高温GaN層が形成された。
2.サンプルの性能
図7は、サンプルのX線回折の結果をまとめたグラフである。図7の横軸は成長時間(秒)または成長温度(℃)である。図7の縦軸はX線回折のピークの強度である。図7に示すように、基板温度を室温としてInN層を5秒以上300秒以下の期間だけ成長させた場合に、X線回折のピークの強度は100以上であった。すなわち、高温GaNの結晶性は良好であった。基板温度を室温としてInN層を10秒間成長させた場合に、高温GaNの結晶性は最も良好であった。
一方、図7の左端に示すように、InN層を成長させなかった場合には、良好な高温GaNは得られなかった。また、図7の右端に示すように、第2のIII 族窒化物半導体層130としてAlNを用いた場合にも、良好な高温GaNは得られなかった。
100…III 族窒化物半導体素子
110…基板
120…第1のIII 族窒化物半導体層
130…第2のIII 族窒化物半導体層
140…第3のIII 族窒化物半導体層
150…半導体層群
200、300、400…HEMT
G1、G2…ゲート電極
S1、S2…ソース電極
D1、D2…ドレイン電極
I2…絶縁膜
500…半導体レーザー素子
1000…製造装置
1001…炉本体
1100…シャワーヘッド電極
1200…サセプター
1300…第1のガス供給管
1420…第2のガス供給管
1600…RF電源

Claims (4)

  1. III 族窒化物半導体素子の製造方法において、
    基板の上に第1のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第1のIII 族窒化物半導体層形成工程と、
    前記第1のIII 族窒化物半導体層の上に第2のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第2のIII 族窒化物半導体層形成工程と、
    前記第2のIII 族窒化物半導体層の上に第3のIII 族窒化物半導体層を直接形成する第3のIII 族窒化物半導体層形成工程と、
    を有し、
    前記第1のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    素原子を含有するとともに水素ガスを含まないガスをプラズマ化して前記基板に供給するとともに、
    III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで前記基板に供給し、
    In組成X1が0.5以上1.0以下の範囲内のInX1AlY1Ga(1-X1-Y1) N層を形成し、
    前記第2のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    前記基板の温度を0℃以上500℃未満にし、
    素原子を含有するとともに水素ガスを含まないガスをプラズマ化して前記基板に供給するとともに、
    III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで前記基板に供給し、
    In組成X2が0以上0.1以下でAl組成Y2が0以上0.1以下のInX2AlY2Ga(1-X2-Y2) N層を形成し、
    前記第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    前記基板の温度を前記第2のIII 族窒化物半導体層形成工程より高い温度とし、
    窒素原子を含有するガスをプラズマ化して前記基板に供給するとともに、
    III 族金属を含む有機金属ガスをプラズマ化しないで前記基板に供給し、
    InX3AlY3Ga(1-X3-Y3) N層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載のIII 族窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    前記基板および前記第2のIII 族窒化物半導体層を固体状態のままとしつつ、前記第1のIII 族窒化物半導体層を溶融状態にした状態で、前記第3のIII 族窒化物半導体層を形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のIII 族窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記第2のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    前記基板の温度を0℃以上500℃未満としてGaNを形成し、
    前記第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    前記基板の温度を500℃以上1200℃以下としてGaNを形成すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体素子の製造方法において、
    前記第3のIII 族窒化物半導体層形成工程では、
    窒素原子を含有するガスと水素ガスとの混合ガスをプラズマ化して前記基板に供給すること
    を特徴とするIII 族窒化物半導体素子の製造方法。
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