JP6809057B2 - 袋織エアバッグ - Google Patents
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Description
1.膨張展開部と、閉部とを備える袋織エアバッグであって、
前記膨張展開部の外表面側に設けられた膨張展開部コーティング層と、前記閉部のうちの所要個所の少なくとも両表面側に設けられた閉部コーティング層とを備え、
前記膨張展開部を構成する緯糸及び経糸において、前記経糸が前記緯糸の外表面側において交差する場合には、前記経糸は前記緯糸と交差する箇所において接合されており、且つ、前記経糸が前記緯糸の内表面側において交差する場合には、前記経糸は前記緯糸と交差する箇所において接合されておらず、
前記閉部を構成する緯糸及び経糸のうち、前記緯糸は前記両表面側に位置する前記経糸のいずれにも接合されており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって形成された個所、前記閉部が曲線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所、又は前記閉部が直線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所のいずれかであり、
前記閉部コーティング層を形成する閉部用コーティング材の最大引張応力が、前記膨張展開部コーティング層を形成する膨張展開部用コーティング材の最大引張応力より大きいことを特徴とする袋織エアバッグ。
2.前記閉部が曲線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所が、前記ガスの噴出方向に向かって凸状に形成されている前記1.に記載の袋織エアバッグ。
3.前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられている前記1.に記載の袋織エアバッグ。
4.前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられている前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の袋織エアバッグ。
5.前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材はシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の袋織エアバッグ。
6.前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所は、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置し、
前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である前記1.に記載の袋織エアバッグ。
7.前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所は、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置し、
前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられており、
前記内側閉部コーティング層のコーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部コーティング層及び前記表面側閉部コーティング層のコーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である前記1.に記載の袋織エアバッグ。
8.前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、
前記曲線状に形成された個所が、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって凸状に形成されており、
前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である前記1.に記載の袋織エアバッグ。
9.前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、
前記曲線状に形成された個所が、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって凸状に形成されており、
前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられており、
前記内側閉部コーティング層のコーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部コーティング層及び前記表面側閉部コーティング層のコーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である前記1.に記載の袋織エアバッグ。
これにより、インフレータから供給されるガスの温度、圧力による膨張展開部と閉部との境界部における閉部の開裂が抑えられ、閉部からの急激なガス漏れが抑制される。そのため、内圧保持性能が向上し、膨張後、所定時間、所要内圧の保持が必要とされるカーテンシールドエアバッグ等として特に有用である。また、ガス漏れ量が減少するため、膨張展開部及び閉部におけるコーティング剤の塗布量を低減させ、コーティング層を薄くすることができるため、エアバッグを軽量化することができる。更に、丸めたり、折り畳んだりすることが容易になるため、収納性を向上させることもできる。
また、閉部コーティング層が、閉部のうちの所要個所の全厚さに亘って設けられている場合は、膨張展開部と閉部との境界部において閉部の糸がよりずれ難くなり、閉部の開裂が十分に抑えられ、閉部からの急激なガス漏れが確実に防止される。
更に、閉部のうちの所要個所が、閉部が曲線状に形成された個所である場合は、閉部が直線状に形成された個所と比べて、織構造の影響もあって、ガス圧の影響をより受け易い。そのため、このような個所に、最大引張応力の大きいコーティング材を用いてコーティング層を形成することで、閉部からのガス漏れを効率よく防止することができる。
また、曲線状に形成された個所が、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって凸状に形成されている場合は、特にガス圧の影響を受け易い。そのため、このような個所に、最大引張応力の大きいコーティング材を用いてコーティング層を形成することで、閉部からのガス漏れをより効率よく防止することができる。
更に、閉部の所要個所が、閉部が直線状に形成された個所であり、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する場合は、曲線状であるときと比べてガスの圧力の影響を受け難い直線状ではあるものの、ガスの噴出方向に位置し、加わるガス圧が大きい個所では、最大引張応力の大きいコーティング材を用いたコーティング層とすることで、閉部からのガス漏れを十分に防止することができる。
また、閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、膨張展開部用コーティング材がシリコーン樹脂又はウレタン樹脂である場合は、合成樹脂の種類又は最大引張応力の異なるポリウレタン樹脂によって、容易に、閉部での開裂が抑えられる袋織エアバッグとすることができる。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本実施形態の袋織エアバッグでは、膨張展開部1を構成する織地の外表面に膨張展開部コーティング層51を形成するためのコーティング剤が塗布され、内部に含浸されて、外表面側に膨張展開部コーティング層51が設けられる。この膨張展開部コーティング層51は、通常、膨張展開部1を構成する織地の全厚さに亘って形成されることはなく、外表面側に所定厚さの膨張展開部コーティング層51が形成される。膨張展開部コーティング層51は膨張展開部1を構成する織地の全厚さに亘って形成されていてもよいが、特にその必要はなく、外表面から所定厚さの膨張展開部コーティング層51が設けられておれば、ガス漏れは十分に防止される。
本実施形態の袋織エアバッグでは、閉部コーティング層52を形成する閉部用コーティング材の最大引張応力が、膨張展開部コーティング層51を形成する膨張展開部用コーティング材の最大引張応力より大きい。このように、閉部2に最大引張応力が大きいコーティング材を用いることで、閉部2における開裂を十分に抑えることができる。特に、閉部2の全厚さに亘って閉部コーティング層52を成形した場合は、最大引張応力が大きく、高強度のコーティング層によって、膨張展開部1と閉部2との境界部における閉部2の糸のずれ、及び開裂を確実に防止することができる。
尚、ポリウレタン樹脂は、閉部用及び膨張展開部用のいずれのコーティング材としても好ましい樹脂として用いることができ、閉部用として膨張展開部用より最大引張応力の大きいポリウレタン樹脂が用いられる。
(1)膨張展開部
膨張展開部1(図1等参照)は袋織組織からなり、車両が衝突したとき、インフレータから供給される高温、高圧のガスがガス供給口3(図1参照)から内部に流入することにより、膨張し、展開して、乗員の頭部、顔面、胸部等に加わる衝撃が緩和される。膨張展開部1は、二重織りにより形成され、一面側及び他面側の各々の織地の織物組織は特に限定されず、例えば、平織組織、斜子組織、斜文組織、朱子組織等の各種の織物組織とすることができる。
閉部2(図1等参照)は、膨張展開部1の端縁部及び他の所要位置に設けられ、膨張展開部1が膨張し、展開して所定の立体形状となるように、膨張展開部1に流入したガスの漏洩を抑えるための通気度の低い帯状部である。閉部2の織物組織は、流入したガスの流通、漏洩を防止、又は少なくとも抑えることができる限り、特に限定されない。この閉部2の織物組織は、例えば、袋織組織、平織組織、斜子組織、斜文組織、朱子組織等の各種の織物組織とすることができる。
本実施形態の袋織エアバッグの製造には、合成樹脂からなるフィラメントが使用される。このフィラメントとしては、マルチフィラメントとモノフィラメントとがあるが、通常、マルチフィラメントが用いられる。フィラメントの材質は特に限定されず、各種の合成樹脂からなるフィラメントを用いることができる。この合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。合成樹脂としては、特にポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましい。
Claims (9)
- 膨張展開部と、閉部とを備える袋織エアバッグであって、
前記膨張展開部の外表面側に設けられた膨張展開部コーティング層と、前記閉部のうちの所要個所の少なくとも両表面側に設けられた閉部コーティング層とを備え、
前記膨張展開部を構成する緯糸及び経糸において、前記経糸が前記緯糸の外表面側において交差する場合には、前記経糸は前記緯糸と交差する箇所において接合されており、且つ、前記経糸が前記緯糸の内表面側において交差する場合には、前記経糸は前記緯糸と交差する箇所において接合されておらず、
前記閉部を構成する緯糸及び経糸のうち、前記緯糸は前記両表面側に位置する前記経糸のいずれにも接合されており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって形成された個所、前記閉部が曲線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所、又は前記閉部が直線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所のいずれかであり、
前記閉部コーティング層を形成する閉部用コーティング材の最大引張応力が、前記膨張展開部コーティング層を形成する膨張展開部用コーティング材の最大引張応力より大きいことを特徴とする袋織エアバッグ。 - 前記閉部が曲線状に形成され、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置する箇所が、前記ガスの噴出方向に向かって凸状に形成されている請求項1に記載の袋織エアバッグ。
- 前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられている請求項1に記載の袋織エアバッグ。
- 前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられている1乃至3のうちのいずれか1項に記載の袋織エアバッグ。
- 前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材はシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の袋織エアバッグ。
- 前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所は、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置し、
前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項1に記載の袋織エアバッグ。 - 前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所は、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、且つインフレータから供給されるガスの噴出方向に位置し、
前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられており、
前記内側閉部コーティング層のコーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部コーティング層及び前記表面側閉部コーティング層のコーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項1に記載の袋織エアバッグ。 - 前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、
前記曲線状に形成された個所が、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって凸状に形成されており、
前記閉部用コーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部用コーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項1に記載の袋織エアバッグ。 - 前記閉部コーティング層が、前記閉部のうちの前記所要個所の全厚さに亘って設けられており、
前記所要個所が、前記閉部が曲線状に形成された個所であり、
前記曲線状に形成された個所が、インフレータから供給されるガスの噴出方向に向かって凸状に形成されており、
前記閉部コーティング層が、内側に設けられた内側閉部コーティング層と表面側に設けられた表面側閉部コーティング層とからなり、前記表面側閉部コーティング層は前記膨張展開部コーティング層の延長により設けられており、
前記内側閉部コーティング層のコーティング材がポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリウレタン樹脂であり、前記膨張展開部コーティング層及び前記表面側閉部コーティング層のコーティング材がシリコーン樹脂又はポリウレタン樹脂である請求項1に記載の袋織エアバッグ。
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