JP4377746B2 - インフレーターガス導入分配ホースおよびその製造方法 - Google Patents

インフレーターガス導入分配ホースおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両の側面衝突時に乗員を保護する側面衝突用エアバッグ装置部品に関するものであり、詳しくは上記エアバッグ内にインフレーターガスを導入するのに最適なインフレ−ターガス導入分配ホースおよびその製造方法に関するものである。
運転席及び助手席などには、車両の衝突時にエアバッグを膨張させて乗員を保護するエアバック装置が搭載されている。かかるエアバッグ装置は、ガス発生装置であるインフレ−ター、インフレ−ターガスで膨張するエアバッグ、エアバッグにインフレーターからのガスを導入するインフレーターガス導入分配ホース(以下、ホース)、およびこれらを収納するエアバッグケースから構成されている。
近年、運転席および助手席の前面衝突に加え、側面衝突時の衝撃緩和を目的として、主に頭部を保護する目的でカーテンエアバッグと呼ばれる側面衝突用エアバッグ装置の需要が増大している。かかる側面衝突用エアバッグは、センターピラーやフロントピラーに折り畳んで収納されており、衝突時にインフレーターガスがエアバッグ内に導入されることにより、ドア部と乗員との間に展開して、乗員に対する側面からの衝撃を和らげるものである。
この側面衝突用エアバッグは、上述したように、センターピラーやフロントピラーに折り畳んで収納されるため、車両の内装デザインを考慮したときに、できるだけ場所を取らないようにコンパクトに収納することがデザイン設計上重要である。また、該側面衝突用エアバッグは衝突時瞬時に展開する必要があり、また、展開までの時間は運転席や助手席用エアバッグ以上に短いことが求められるので、ガス出力が比較的大きいタイプのインフレーターが使用されることが多いため、インフレーターガスを導入するエアバッグ本体の部分ではガス圧力が非常に大きくなりやすく、該部分の破損や破裂につながりエアバッグの機能を果たさなくなる問題があった。
このように部分的な圧力上昇により生じる問題の改善策として、太径の繊維やアラミド繊維などの高強力繊維を使用し、エアバッグの強度を全体的に高める方法がある。ところが繊維を太くすると嵩が高くなり、収納性が問題となり自動車の内装デザインに制限が出るため問題となり、また高強力繊維を用いるとコストが高くなり実用性に欠け問題となる。
従来、インフレーターガス導入分配ホースに関しては、各膨張室へのガス導入通路内にインフレーターから遠い下流側膨張室から先にガスを供給するための補強用ライナーチューブを有する頭部保護用エアバッグ装置や(特許文献1)、インフレーターから膨張用ガスを膨張部に案内し、ガス流入部の内周部にインナーチューブが配設される頭部保護エアバッグ装置(特許文献2)が提案されている。
しかしながら、これらの提案はインフレーターからの高圧ガスによるエアバッグ本体の破損を防止するための補助布として利用したり、ガスの流れを制御するための記載はあるが、具体的にホース(ライナーチューブ、インナーチューブ)に関する特性については、何ら考慮されていない。特に、エアバッグ内に収納された後に、センターピラーやフロントピラーに折り畳んで収納されるときの収納性の良さや、エアバッグ膨張部につながるホースのガス孔特性についての特性については全く考慮されていない。
一方、インフレーターガス導入分配ホースを得る方法として、消防ホースを製織するような円筒織機や、シートベルトを製織するようなニードル織機で製織した袋状織物に樹脂を付与したものが開示されている(特許文献3、特許文献4)。しかしジャガード織機等を利用した袋織りで形成されており、製造工程が煩雑で、かつ、製造コストも増大させることにもなっていた。
特開平11−235965号公報(特許請求の範囲など) 特開2002−29359号公報(特許請求の範囲など) 特開2003−127818号公報 特開2003−127819号公報
さらに、エアバッグ用の織物にコーティングを施し、裁断して縫製したものをホースとすることも技術的には可能であるが、このようにコーティング後に縫製するものは縫製時に空く針穴から空気が漏れやすく、ひいては側面衝突用のエアバッグ袋体の展開完了時間が長くなったり、該ホースにガス分配孔を空けてあり、その部分からエアバッグ本体の膨張部にインフレーターからのガスを分配する場合、本来その穴からガスが効率的に噴出し、エアバッグを均一に素早く展開させるべきところが、縫製部からのガス漏れが大きくなり、設計通りエアバッグが展開できないといった問題があるばかりでなく、エアバッグ織物へのコーティングが端部で厚み斑になっており、一定割合の基布は使用することができず(図2)、コスト増大の問題は解決できていない。
本発明者らは鋭意検討の結果、インフレーターガス導入分配ホースは縫製部からの空気漏れが最も大きいことに着目したものであって、詳しくは、側面衝突用エアバッグの収納性を向上させ、収納スペースを低減し、コスト的に有利で、通気度を低く抑えた側面衝突用エアバッグ用インフレーターガス導入分配ホースを提供することにある。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するための織物製ホースであって、織物を筒状に縫製した外側の少なくとも縫製部に樹脂が付与もしくはテープが貼附されていることを特徴とするインフレーターガス導入分配ホース。
2.縫製による針穴が樹脂もしくはテープで覆われていることを特徴とする上記1に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
3.縫製により袋状にならなかった側の織物端部間に樹脂が付着していることを特徴とする上記1または2に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
4.縫製部分を含むホースの通気度が3L/cm2/分以下であることを特徴とする上記1から3のいずれかに記載のインフレーターガス導入分配ホース。
5.樹脂が熱硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする上記1から4のいずれかに記載のインフレーターガス導入分配ホース。
6.側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するための織物製ホースであって、織物を筒状に縫製した後で樹脂をディッピング法で付与することを特徴とするインフレーターガス導入分配ホースの製造方法。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは、一般的な織機で作られる平織物を無駄なく使用できるため低コストで作ることができるだけでなく、縫製後に樹脂加工を施すことで、縫製時に空いた針穴を樹脂で埋め、縫製部分からの空気漏れを極力抑えることができる。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは織物を筒状に縫製された外側に樹脂が付与されていることが好ましい。縫製された筒状織物の外側に樹脂がない物は通気度が大きくなりやすくなり、側面衝突用のエアバッグ袋体の展開完了時間が長くなってしまうという問題があるため好ましくない。樹脂コート織物を樹脂面を内側にして筒状に縫製し、その後外側に樹脂加工しても構わないが、ホースが硬くなりやすいことや、コストが高くなることから、ホース内面には樹脂が施されておらず、ホース外側のみに樹脂が施されていることが好ましい。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは縫製による針穴が樹脂もしくはテープで覆われていることが好ましい。インフレーターから噴出したガスの熱による基布の溶融を抑えるために、樹脂コート織物の樹脂面を内側にして縫製したホースは縫製時に空く針穴が残ったり、該ガスが噴出された際のガスの通気孔が織物本体にはほとんど無いため、縫製針穴部に集中する傾向があるため、更に縫製部針穴が大きくなりやすい欠点がある。一方、本発明のように縫製後に樹脂加工を施すことやあるいはテープを貼附すると、縫製時に空いた針穴が樹脂またはテープによって埋められるため、縫製部分から漏れる空気の量を顕著に抑制することができる。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは縫製により袋状にならなかった側の織物端部間に樹脂が付着されていることが好ましい。通気度が高くなる要因は縫製時に空く針穴部分からの空気漏れであるが、その他の原因の一つに縫製部の生地の間からも空気が漏れていることがわかった。本縫いでは通常2〜3mmのピッチで縫い上げるため、生地と生地は2〜3mmの自由な部分があり、空気圧がかかるとその部分から空気が漏れてしまう。本発明では縫製後に樹脂加工を施し、袋状にならなかった側の織物端部の生地と生地の間にも樹脂が付与されている。樹脂が付着していないと通気度が高くなりやすいため好ましくない。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは縫製部分を含むホースの通気度が3L/cm2/分以下であることが好ましい。通気度が3L/cm2/分を越えると側面衝突用のエアバッグ袋体の展開完了時間が長くなってしまうため好ましくない。より好ましくは2L/cm2/分以下であり、さらには1.5L/cm2/分以下が一層好ましい。
本発明のインフレーターガス導入分配ホースは樹脂が熱硬化型シリコーン樹脂であることが好ましい。上記樹脂に使用可能なゴムまたは合成樹脂としては、ネオプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコーンゴム、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れたシリコーンゴムが好ましく、より好ましい具体例としては、熱硬化型付加重合シリコーンゴム、二液型RTV(室温硬化型)シリコーンゴム等が挙げられる。
なお、シリコーンゴムには、接着性を向上させるためにアミノ系シランカップリング剤、エポキシ変性シランカップリング剤、ビニール系シランカップリング剤、クロル系シランカップリング剤等を添加することも有効である。
ここで、本発明の特徴である収納性を上げる目的で、シリコーン自体の柔軟性を上げることも有効である。具体的には、一定伸度時の応力が低い低モジュラスタイプのシリコーンゴムを用いることで、シリコーンが持つ剛性によってホースの剛性が上がることをできるだけ抑制し、ホースの折り曲げ・丸め時にシリコーン自体の反発性を抑えることが可能になるため効果的である。
このホースは、車両に搭載するものであることから、軽量化および収納性の観点より織物製であるのが好ましく、この織物を構成する繊維は特に限定されないが、例えばポリアミド繊維やポリエステル繊維等をもちいることができるがこの限りで無い。これらの繊維で構成される糸の強度は、解反糸強度で5cN/dtex以上、好ましくは6cN/dtex以上、更に好ましくは7cN/dtex以上である。解反糸強度とは、ホースを構成している経糸および緯糸をほぐし、原糸に付着しているゴムや樹脂を除去した後に測定した糸の強度を意味する。
上記分配ホースを構成する糸の総繊度は、110dtex以上、1400dtex以下であるのが好ましい。これらの糸は、撚糸や加工糸であってもよく、またモノフィラメントであっても構わないが、折り畳む際の柔らかさの観点から糸を構成するフィラメントは細い方が好ましく、通気度を低くする為にはフィラメント原糸が好んで使用される。撚糸や加工糸を使用する場合、撚糸や加工後の繊度をここで糸の総繊度という。より好ましくは167dtex以上、700dtex以下である。更に好ましくは235dtex以上、585dtex以下である。110dtex未満では、ホースの強度が不十分となるため好ましくない。またホースを構成する糸の総繊度が1400dtexを超えると、ホース自体が嵩高くなりエアバッグ本体内への収納時の作業性が悪くなったり、収納後、エアバッグを折畳み、ピラー内へ収納する際の収納性が悪くなるため、好ましくない。
本発明に係るホースの製織に使用される織機としては、ウォータージェットルームやレピアルーム等の汎用織機等の使用が可能である。上記汎用織機を使用して広幅の織物を得、これを裁断し、所望の形状に縫製してホース状に加工すればよい。
なお、織組織は特に限定されないが、強度に優れることや通気度を低くすること、目ずれし難さ考慮すると、平織、綾織が好ましい。また、このとき得られる織物は、一般に織密度の指標として用いられ、下記式より求められるカバーファクター(CF)が、袋部の経方向、緯方向とも900以上であるのが好ましい。より好ましくは、袋部の経方向、緯方向とも1100以上である。
CF=(糸の総繊度(dtex))1/2×織密度(本/2.54cm)
またホース構成糸の単糸繊度は、10dtex以下であるのが好ましい。特にホース長手方向に直交する方向に使用する単糸繊度は柔軟なホースを得るために、5dtex以下が好ましく、より好ましくは4dtex、更に好ましくは3dtex以下である。
ここでいう、総繊度、単糸繊度の値はホースから解反時の繊度をいう。
軽量化を満足させるためには、ホースの重量が2000g/m2以下であるのが好ましく、より好ましくは1500g/m2、更に好ましくは1000g/m2以下である。ここでいう重量とは、ホース状態(袋状)のままの単位面積当たりの重量をいい、コート分も加えた重量とする。また、収納後の嵩高さを考慮した場合、ホース厚みは2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。
さらに、カバーファクター(CF)が、袋部の経方向、緯方向とも900以上であるのが好ましく、より好ましくは、袋部の経方向、緯方向とも1100以上であるが、軽量化を考慮した場合には、袋部の経方向、緯方向とも2000以下であるのが好ましい。CFが900未満の場合には、織目間へのコート剤の進入が起こりやすくコート量が多くなり軽量化が困難になったり、ガス分配孔周辺のほつれがインフレーターからのガスが通過した場合に発生しやすくなるため好ましくない。
上記繊維および織機を用いて製織し、縫製される本発明に係るホースの内径は、2cm以上、6cm以下とするのが好ましい。ホースの内径が2cm未満では、ホース内における圧力損失が大きくなり、部分的に破損を起こしやすくなる。一方、ホースの内径が6cmを超えるとエアバッグ装置内へ収納し難くなるため好ましくない。より好ましくは3cm以上、5cm以下である。
本発明に係るインフレーターガス導入分配ホースは、インフレーターからのガスをエアバッグ内へ導入・分散させるための分配孔を有する必要性は必ずしもないが、インフレーターからエアバッグ膨張部までの距離が大きい場合には、該ホースは該分配孔を1個以上有することが好ましい。
樹脂付与量は、収納性を考慮した場合、できるだけ少なくすることで、柔軟にしたり、厚みを小さくできるため好ましい。本発明では、樹脂付与量を樹脂付与前のホース重量に対して5wt%以上150wt%未満にすることが重要である。150wt%を越える場合には、ホースは柔軟性を損ない、また厚みも大きくなるため収納性が悪くなり好ましくない。5wt%未満では、針穴を十分埋めることができにくい為好ましくない。より好ましくは10〜100wt%であり、さらには15〜70wt%である。
上記樹脂剤をホースに塗布する方法は限定されず、製織されたホースを直接樹脂剤中にディッピング(浸漬)させる方法や、ホース表面に刷毛などで塗布する方法など、任意の塗布法を採用できるが、工程の簡便さと塗布の均一性からはディッピングが好ましい。ナイフでコーティングする方法もあるが、樹脂量が多くなりやすいためあまり好ましくは採用できない。
なお、樹脂剤の塗布量を測定する方法としては、樹脂剤塗布前後でのホースの質量差を測定する方法の他に、樹脂剤のみを溶解する溶剤を用いて樹脂剤を被覆したホースからゴムあるいは合成樹脂のみを溶解除去した後、構成繊維の質量を測定する方法、あるいは、ホース構成繊維のみを溶解する溶剤を用いて樹脂剤被覆ホースから繊維を除去し、ゴムあるいは合成繊維の質量を測定する方法がある。
上述の様にして、樹脂剤に被覆されたホースに、インフレーターガスをホース導入後、エアバッグ本体の膨張部に効率的にインフレーターガスを導入するための口となるインフレーターガス分配孔を形成することも可能である。分配穴の個数は限定されず、エアバッグの大きさや、膨張形態などを考慮して適宜決定すればよい。また、分配孔の大きさは、0.25cm2以上、16cm2以下が好ましく、さらに好ましくは、1cm2以上、9cm2以下である。分配孔の大きさが16cm2を超えると、該分配孔部分からのインフレーターガスの流量が多くなり、局所的に加温されその部分から破壊が進み、エアバッグの膨張形態が不均一となり、エアバッグ本体の破壊につながる恐れがある。一方、0.25cm2未満では、瞬時にエアバッグを展開させるために多数の分配孔を形成しなければならず、加工の手間やコストが掛かり好ましくない。分配孔の形状は特に限定したものではないが、例えば正方形、長方形、三角形、曲線を持つ形状などが選ばれる。
また、上記ガス分配孔は、その個数や配置位置を適正化するとともに、エアバッグ本体が万遍なく一様に膨張し得るように、インフレーターに近接する部分と離れた部分とで、その大きさを適宜調整するのが好ましい。このようにすることで展開時のエアバッグの膨張形態をコントロールできるからである。
上記ガス分配孔は、高圧・高温ガスが噴出する際に、該分配孔周辺の繊維がほつれてガス分配穴自体が拡大したり、ほつれた繊維が原因となって、エアバッグの展開不良や破裂などを起こすことがある。このような不良を防ぐため、ガス分配孔周辺に強化部を設けてもよい。該強化部は、(1)レーザー裁断によって分配孔を設ける際に、同時に分配孔周辺部の繊維を溶融・溶接させる方法、(2)予め形成したガス分配孔断面に加熱体を直接接触させて周辺部の繊維を接着する方法、さらに、(3)接着剤を使用して当該部分の繊維を接着する方法、などで形成することができる。
接着剤を使用して強化部を形成する場合には、ガス分配孔の打抜き断面へ直接接着剤を付与する方法の他に、ホース外表面かつ/あるいは内表面のガス分配孔打抜き線から1cm以内の部分に接着剤を含浸・付着させ、固化させても良い。このようにすることで、強化部の強度を一段と高めることができる。なお、この時に使用する接着剤については特に限定されないが、瞬間接着剤のような短時間で固化するものが好ましく、具体的には、短時間で接着性を発現でき、耐熱性にも優れるシアノアクリレート系接着剤(例えば、セメダイン社製3000DXシリーズ)等が挙げられる。
また、上述の様に設けた強化部の強度をさらに向上させるため、加熱体をガス分配穴打抜き端面に接触させ1mm程度、前面、側面に押し込むようにして溶着を確実に行っても良い。
また、ガス分配孔周辺は最も高圧インフレーターガスの通過の際に、力を受けやすいため周辺糸のほつれを生じやすく、そのほつれを防止するために、ガス分配孔周りの織組織は経・緯糸がお互いに交差・拘束し、糸が抜けにくい平織が好んで使用される。一方、ホース本体で収納する際に折り畳む位置にある箇所では、ホース本体の組織は朱子織や綾織などの経・緯糸に交差点が少ない組織を使用することも有効であるが、全体を平織で組織しても構わない。ほつれ防止効果を得るためには、各ガス分配孔の縁からホース本体側に3mm以上の部分は平織にすることが好ましい。より好ましくは5mm以上の部分を平織にすることである。但し、ホース自体の収納性を阻害しない程度に平織部を構成することが重要であり、全く平織部を設けないことでも本発明を達成することは可能であり、必ず平織部が必要というわけではない。
また、インフレーター位置とエアバッグの距離が離れていたり、ホース入口からバッグ膨張部までの距離が短い場合には、ホース本体にガス分配孔を持たない場合もある。
一般に、エアバッグはインフレーターからのガスにより膨張し、車両の衝突時に乗員を拘束して保護するものであるから、インフレーターガス導入による急激な膨張と車両衝突時の乗員との衝撃に対して十分な強度を備えると共に、乗員に与える衝撃が小さいものが望ましい。このような観点から、エアバッグ本体は、例えば、ポリアミド繊維やポリエステル繊維等を用いた織物であるのが好ましい。また、インフレーターガス導入分配ホースと同様、エアバッグからのガス漏れ防止や、強度等の諸特性の向上を目的として、その表面をゴムや合成樹脂でコーティングしても良く、このコーティング剤としては、上述のホース用として挙げたものを同様に使用できる。
上記側突用エアバックの本体を構成する糸の総繊度は、200dtex以上、600dtex以下のものが好ましい。総繊度が600dtexを超えると収納性が問題となり、一方、200dtex未満であるとインフレ−ターのガスの分配をコントロールしても基布強度が足らずバーストする可能性が高くなり好ましくない。より好ましくは300dtex以上、500dtex以下である。
側突用エアバックの本体を構成するマルチフィラメントの単糸繊度は、2dtex以上、10dtex以下であることが好ましく、より好ましくは3dtex以上、6dtex以下である。単糸繊度が10dtexを超えると基布の剛性が高くなり収納性が低下する。一方、単糸繊度が2dtex未満であると製織時単糸切れ等を発生し基布欠点が多くなり好ましくない。
上記エアバッグ本体の製造方法は限定されず、公知の製織方法によって製造することができる。
上述のようにして得られたインフレーターガス導入分配ホースは、エアバッグ本体内に配設した後、インフレーターに装着する。なお、エアバッグ本体とインフレーターガス導入分配ホースとは、ホース縁部でエアバッグ本体と縫製あるいは接着などの手段によって一体化させても良いが、上記ホースはインフレーターに固定されているため特に一体化させなくても良い。
このようにして得られた側面衝突用エアバッグは折り畳まれて、車両のセンターピラーやフロントピラーなどに収納される。
次に実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。実施例中の測定は下記測定法による。
厚み:JIS L1096 8.5.1に準ずる
折り曲げ易さ試験:
実験例で得られたホースよりも畳んだ状態で全幅が5〜10mm大きく、長さ40cmのナイロン66筒状織物(350dtex/108f原糸使用、経織密度59本/2.54cm、緯織密度59本/2.54cm)の中に、各実施例及び比較例で得られたホース(長さを40cmに裁断したもの)を完全に挿入し、ホース長手方向と直交する方向(緯方向)に中央部で1回折り曲げる。その後、再度中央部で1回折り曲げたときの折り曲げ性を確認する。
A:容易に2回折り曲げられる
B:無理をしたら折り曲げられる
C:容易には折り曲げられない
通気度:
高圧通気度試験機(京都精工(株)製:クランパー口径100mm)用い20kPa差圧下で測定。筒状織物の縫製部が中央に来るように、反縫製側を切断したものをサンプルとした。(単位:L/cm2/分)
エアバッグ展開評価:
袋部を5室有する容積20Lのカーテンエアバッグに袋部の位置に合わせガス分配孔を開けたガス導入分配ホースを導入し、窒素ガスを初期2MPa、5リットルの容積に加圧した状態で、導入口より窒素ガスを導入し袋部の展開状況を目視で観察した。
A:全体的に一斉に展開した。
B:若干のずれはあるが、ほぼ問題なく全体が展開した。
C:展開するタイミングが大きくずれていた。
(実施例1)
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維を用い、経糸は470dtex/72f、緯糸は470dtex/72fを使用して、ウォータージェットルームで製織後、通常の精練セットにて織密度を経方向46本/2.54cm、緯方向46本/2.54cmに仕上げた。またCFは経方向、緯方向、それぞれ997、997であった。その基布を経方向に長さ3m、横幅で160mmにカットし、緯方向に重ねて端部から10mmところを約2.5mmの間隔で表面樹脂加工されたナイロン1400dtexで1片道本縫い、筒状織物を得た。熱硬化型無溶剤系シリコーン樹脂を該筒状織物の外側にディッピング法で付与し、もとの基布の重量と乾燥後の重量とから樹脂付与量は25.3wt%であった。得られた加工布はミシン目が樹脂で覆われており、縫製端部の生地の間にも樹脂が付着していた。そのホースを全長で200cmになるようにヒートカットした。得られたホースの全幅は80mm、長さは200cmであった。その後、反縫製側にガス分配孔を展開時に2cm×2cmとなるように反縫製側から1cmまでのところを経方向に2cm分打ち抜き、打抜き部の経、緯糸断面とのクリアランスをゼロになるように接触させ、熱コテで500℃×8秒溶着した。そのガス分配孔をトータルで5個、カーテンエアバッグの袋部に合うような間隔で作製した。そのホースでインフレーターガス導入分配ホースを得た。このホースは収納性にも優れ、かつ高圧インフレーターガスにも十分耐えることができ、エアバッグ展開評価では全体が均一に素早く展開した信頼性の高いホースであった。詳細結果を表1に示す。
(実施例2)
織物密度を経方向56本/2.54cm、緯方向59本/2.54cmで仕上げ、樹脂付与量を45wt%にした以外は実施例1に従った。このホースは収納性にも優れ、かつ高圧インフレーターガスにも十分耐えることができ、エアバッグ展開評価では全体が均一に素早く展開した信頼性の高いホースであった。詳細結果を表1に示す。
(実施例3)
樹脂付与量を15wt%にした以外は実施例1に従った。得られた加工布はミシン目が樹脂で覆われており、縫製端部の生地の間にも樹脂が付着していた。このホースは収納性にも優れ、かつ高圧インフレーターガスにも十分耐えることができ、エアバッグ展開評価では全体が均一に素早く展開した信頼性の高いホースであった。詳細結果を表1に示す。
参考例1
樹脂のわりに市販のシームシーリングテープ(目止めテープ)を縫製部上に両面施した以外は実施例1に従った。このホースは収納性にも優れ、かつ高圧インフレーターガスにも十分耐えることができ、エアバッグ展開評価では全体が均一に素早く展開した信頼性の高いホースであった。詳細結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の基布に乾燥重量比が30.3wt%となるように樹脂をコーティングし、実施例1と同様に、カットし、樹脂面が内側に来るようにして実施例1の条件で縫製した。その後には樹脂加工を施さなかった。得られた加工布はミシン目が樹脂で覆われていなかった。このホースは収納性にも優れ、かつ高圧インフレーターガスにも十分耐えることができたが、エアバッグ展開評価では全体が均一に展開せず、縫製部の空気漏れが原因でインフレーター近くから順に展開した。詳細結果を表1に示す。
(参考例
比較例1の縫製品に実施例1の樹脂加工を施した。通気度は低く、エアバッグ展開評価では全体が均一に素早く展開した信頼性の高いホースであったが、風合い硬く、折り畳みにくいものであった。
Figure 0004377746
(表1)からも明らかなように、本発明の規定要件を満たす実施例1〜のインフレーターガス分配ホースは、いずれも収納性に優れ、かつ、ガス分配孔がある場合には、高圧インフレーターガスにも十分耐えられるガス分配孔強度を有した信頼性の高い分配ホースとして適していることが判る。
これらに対して比較例1のホースは、コート剤の塗布量も十分であり、またガス分配孔周縁の繊維を熱コテで溶融、溶接させて強化部を形成したため、ガス分配孔周縁における不良発生を効果的に抑制できた一方、縫製部への樹脂付与等が無かったため、通気度が高く、縫製部の空気漏れが原因でエアバッグはインフレーター近くから順に展開してしまい、全体が均一に展開せず、信頼性に著しく欠けるものとなった。
本発明に係る一実施形態のインフレーターガス分配ホースの模式図。 コート布を裁断して使用する場合の使用可能な布帛部分。
符号の説明
1・・・コート斑部分
2・・・使用可能領域
3・・・ガス分配孔
4・・・縫製部

Claims (4)

  1. 側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するためのガス分配孔を1個以上有する織物製ホースであって、
    織物製ホースの内面には樹脂が付着されておらず、織物製ホースは、分配孔の断面に加熱体を直接接触させて形成された強化部を有し、織物を筒状に縫製した外側のうち少なくとも縫製部、及び縫製により袋状にならなかった側の織物端部間に樹脂が付着され、縫製による針穴が樹脂で覆われていることを特徴とするインフレーターガス導入分配ホース。
  2. 縫製部分を含むホースの通気度が3L/cm/分以下であることを特徴とする請求項1に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  3. 樹脂が熱硬化型シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のインフレーターガス導入分配ホース。
  4. 側面衝突用エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するためのガス分配孔を1個以上有する織物製ホースの製造方法であって、織物を筒状に縫製した後で樹脂をディッピング法で付与し、次いでガス分配孔を打ち抜き、さらに前記分配孔の断面に加熱体を直接接触させて強化部を形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインフレーターガス導入分配ホースの製造方法。
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