JP4884192B2 - カーテンバッグ用ガス分配部材 - Google Patents

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本発明は、自動車の衝突時に急速に膨張させる袋体を利用する自動車乗員安全装置のうち、側面衝突用カーテンバッグのガス発生器の導管に装着するガス分配部材に関する。
現在生産されている多くの自動車には、自動車の前面衝突時に自動車の乗員と車内構造物との間に急速に袋体を膨張させ、乗員の安全を図ることを目的とした、所謂運転席用、助手席用エアバッグが搭載されている。近年この前面衝突時だけでなく側面衝突時に乗員の頭部等を保護するために自動車の天井部から窓を覆うように膨張するバッグ(以下カーテンバッグと称する)が搭載され始めている。
カーテンバッグの重要な要求性能の一つとして、バッグをできるだけ早く、且つバッグ全体をほぼ均一な速度で膨張させることが求められている。
このカーテンバッグには、図1に示すようなバッグ(1)の後部にガス発生器(2)を取付ける方式と、図2に示すようなバッグ(1)のほぼ中央部分にガス発生器(2)を取付ける方式とがある。図2中、矢印はガスの流れを示す。
本発明は、後者のバッグのほぼ中央部にガス発生器を取付ける方式のバッグに関するものである。この方式ではバッグ全体をできるだけ早く、且つバッグの前後を出来るだけ均一な速度で膨張させるために、図2に示すように、ガス発生器(2)からのガスをバッグ(1)の前後に分配するガス分配部材(3)が装着されている。
カーテンバッグに使用されるガス発生器には、高圧のヘリュームガスやアルゴンガス或いはそれらの混合ガスをボンベに充填したストアードガス方式と、これらのガスおよび燃焼してガスを発生する固体のガス発生剤とを併用するハイブリット方式とがある。
後者のハイブリッド方式では、エアバッグが作動したとき、固体ガス発生剤の燃焼による高温のガスと高温の燃焼残渣とがバッグの中に流入してくる。また前者のストアードガス方式でも、エアバッグが作動したときガスボンベの封板を少量の火薬系の物質で破壊させる方式が採られているため、ガスの温度自体は断熱膨張するため低いものの、ボンベの封板を破壊するための火薬の高温の燃焼残渣がバッグの中に流入することになる。
ガス分配部材には前記ガス発生器からのガスをバッグの前後に分配する機能以外に、上記高圧のガスの噴射によるバッグ本体への力学的な負荷を緩衝することや、高温のガス或いは高温の燃焼残渣による熱的な負荷を軽減する機能が求められる。換言すればガス分配部材にはガス発生器からの高圧ガスの噴出による力学的な負荷と高温の燃焼残渣やガスによる熱的な負荷とに対する緩衝機能が必要となる。
従来のガス分配部材は、上記力学的および熱的な負荷に対処するために、一般に、繊度が470dtexから940dtexのナイロン66繊維の原糸を製織した平織物に、シリコーン樹脂を被覆加工したコーティング織物が用いられている。例えば、一例として、図3のような形状に裁断し、同図A−A’ラインを折目として被覆加工面を内側にして折り、図4の10で示された位置をミシン糸で縫合し作製される。これらの図中、11はガス入口部であり、12はガス出口部である。
繊度が470dtexクラスのコーティング織物を使用する場合は、一般に前面衝突時用バッグに使用する織物と同種のものであり、これを転用出来るというメリットがあるが、上記力学的および熱的負荷に耐えられず、一般には2枚以上重ねて使用される。
このため、使用する部材の材料費は高くなるし、裁断時間は2倍以上となり、縫製の際に重ねた織物がずれないようにするための特別な工夫、例えば冶具が必要であり縫製作業も熟練を要し、結果として縫製コストも高くなるという問題点がある。
このような470dtexクラスのコーティング織物を重ねて使用することを避けるため、より高繊度、例えば940dtexの平織物を単体で使用するという方式も提案されている。しかしながらこのクラスの繊度の原糸を利用する場合、比較的パワー(緯糸打ち込み力)のある織機を使用しても、製織し得る織物密度は経、緯密度共に32〜35本/2.54cmがほぼ上限で、これ以上織密度を上げることは機械的或いは幾何学構造的にも困難である。このため、比較的高出力のガス発生器を使用する場合はガス発生器から高速で噴出するガス圧に耐えられずガス分配部材が破断することがある。
本発明は、上記ガス発生器からの高圧、高温のガスや燃焼残渣に耐え、よりシンプルに作製できるカーテンバッグ用ガス分配部材を提供することを目的とする。
本発明者等は、ジャガード機またはドビー機を搭載した織機により2枚の布を部分的に連結した織物をガス分配部材として利用することによって、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明では、ジャガード機またはドビー機を搭載した織機により合成繊維の長繊維原糸を2枚の布に製織中に、上布の経糸および/または緯糸と下布の経糸および/または緯糸を部分的に交錯させた二重織物を製織する。このような織物を製織するための織組織図の一例を図5−1に示す。図6はこの方式で製織された織物の断面のイメージである。これらの図中、20は交錯点、30は上布、40は下布を示している。
このような製織方法により2枚の布が上記交錯点により部分的に連結され、あたかも1枚の織物のようになる結果、当該織物の織り密度は通常の織機で製織された織物の密度の2倍の織物を得ることが可能となる。例えば繊度が470dtexのナイロン66の原糸を使用し、通常の経緯同数の織密度の平織物を製織する場合、比較的パワーの高い織機でも織密度は約50本/2.54cmが製織の限界であるのに対し、この方式では織密度が50本/2.54cmの織物が部分的に2枚連結されたような、換言すると見掛け100本/2.54cmの織物を製織することが可能となる。
この織物を必要に応じて精練及び、またはヒートセットを行った後、シリコーン樹脂などのエラストマーを被覆加工してガス分配部材用原反を製造する。
当該コーティング織物を所定の形状に裁断し、被覆加工面を内側に折り、所定の縫製条件で必要な箇所を縫製することにより、ガス分配部材を作製するものである。
また、本発明はカーテンバッグの中央部にガス発生器を設置する方式用のガス分配部材だけでなく、カーテンバッグの後部にガス発生器を設置し、当該ガス発生器の導管に装着してガスを前方に分配するためのガス分配部材としても利用可能である。
即ち、本発明は下記の発明を提供する。
(1)自動車が側面衝突した際の乗員安全保護装置のカーテンバッグに用いるガス分配部材であって、ジャガード機またはドビー機を装備した織機により製織過程で、合成繊維からなる2枚の布を製織すると同時に、該布を構成する原糸によって該2枚の布を部分的に連結した織物からなることを特徴とするガス分配部材。
(2)合成繊維が235dtexから940dtexの繊度を有するナイロン66であり、連結された織物にシリコーン系エラストマーを被覆加工して使用することを特徴とする上記(1)に記載のガス分配部材。
本発明により、従来の低繊度の織物を利用したガス分配部材のように、部材用コーティング織物を2枚以上重ね合せる方式に比べて裁断時間が短縮され、また縫製時にこの重ねがずれないように縫製するための特別な冶具を必要としないため、大幅に裁断や縫製工数が削減できる。
また、他の従来の方法である高繊度の平織物を使用する場合は使用する原糸の繊度に応じて織密度限界があり、その密度では前記ガス発生器から噴射するガス圧や、ガス温、高温の燃焼残渣(またはガスボンベを開弁する際に発生する微小な高温残渣)などに耐えられないことがある。本発明の方法ではジャガード機あるいはドビー機を搭載した織機で2枚の布を製織しつつ、上下の布を部分的に織糸で交錯させているため、製織後の織物は2倍の織密度となることにより、前記熱的及力学的な負荷に耐えることが可能となる。またこの2枚の布間には空間が形成されているためこれが断熱層としての役割も期待できる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明に使用する原糸は、特に限定するものではないが、ナイロン6繊維ではナイロン66繊維に比べて融点が低く、またポリエステル繊維ではナイロン66繊維に比べて熱容量が小さく(エンタルピーが高く)上記ガス発生器からの熱ガスや高温の残渣による溶融が懸念されるため、ナイロン66繊維が好ましい。
また、原糸の繊度は235dtexから1400dtexの範囲、更には235dtexから940dtexの範囲、特には470dtexから700dtexの範囲が好ましい。235dtex未満では高圧、高温のガスや燃焼残渣等による力学的負荷や、熱的負荷に耐えられない。また、1400dtexを超える繊度の原糸を使用すると織物が重く、厚くなり、結果として嵩高いガス分配部材となりカーテンバッグをコンパクトに収納し難くなる。
経糸は、サイジングすることなくオイリングのみで製織する事も可能であるが、製織性や織物品位の面で、アクリル系等の糊剤でサイジングするほうが適切である。
連結された織物の織密度は470dtexの原糸で経緯同密度とする場合は90本/2.54cmから112本/2.54cm(1枚の布では45本/2.54cmから56本/2.54cm)が好ましい。この密度以上では製織性や織物品位が低下する。これ以下では、前記ガス発生器からの高圧、高温のガス、燃焼残渣に耐えられない。
織密度は必ずしも経緯同数とする必要はなく、製織効率或いは高圧ガスによる負荷の方向を勘案し、密度差をつけてもよい。
本発明では2枚の布を部分的に連結するが、連結の方法については、2枚の布を点で繋げてもよく、線で繋げてもよい。点で繋げる場合、この連結点の数は、1平方cmあたり1〜30個であることが好ましく、5〜15個が特に好ましい。連結点の数が1平方cmあたり1個未満の場合には、2枚の織物が繋がらなくなるので好ましくなく、30個を超える場合には、2枚の織物の連結部が多くなりすぎるために、製織工程での織機への機械負荷が大きくなって製織性や織物品位を低下させることになる。また、点の間隔はバラバラに点在することが好ましいが、数点が連続したような形であっても構わない。
線で繋げる場合には、縦横に格子状の線を繋げた形でもよく、亀甲形、菱形、丸型等の形を配して、2枚の織物を繋げることができる。線の太さは特に限定しないが、単位面積の0.4〜20%の範囲となるように線を配置すればよく、4〜10%が特に好ましい。線の比率が単位面積の0.4%未満の場合には、2枚の布の接合が不十分であり、製織時や加工時にズレが生じる問題がある。20%を超える場合には、接合部分が増えることによって、製織工程での織機への機械負荷が大きくなって製織性や織物品位を低下させることになることに加え、織物がかたくなって、その後工程での取り扱いが困難になるといった問題が生じる。
2枚の布を連結する点や線の織組織は、特に限定するものではないが、2/2斜子組織や3/3斜子組織に代表される斜子組織、2/1畝組織や2/2畝組織等の畝組織、あるいは2枚の布を構成している各々の糸の位置を入れ替える風通組織等によって構成することができるが、織組織が限定されるものではない。
ガス分配部材は、高圧、高温のガスや燃焼残渣による力学的、熱的負荷に対処するため、一般にエラストマーで被覆加工する。このため、必ずしも必要としない場合があるが、被覆剤と織物の接着性向上のための精練や、被覆加工時の形態安定化や製品の寸法安定化のためのヒートセットを行うことが好ましい。
被覆加工剤としては、合成樹脂系、合成ゴム系エラストマーであればよいが、好ましくは現在大部分のエアバッグに使用されているシリコーン系エラストマーが耐熱性に優れていることや皮膜が比較的柔軟であるため好ましい。また、被覆加工剤の塗布量は使用するガス発生器の特性に応じて決定すればよい。比較的低出力のストアードガス方式の場合は何らの被覆加工を施すことなく使用できる可能性があるが、一般的には20〜200g/m2、特に好ましくは25〜50g/m2の範囲である。被覆剤の塗布量が少な過ぎると熱的な負荷に耐えられず、また多すぎると部材の重量や厚さが大きくなりカーテンバッグをコンパクトに収納できなくなる。
被覆加工剤は、本発明の2枚の布を部分的に連結した織物の片面のみに塗布してもよいし、両面に塗布しても良いが、ガスが直接当たる面のみに被覆するほうが経済的である。
本発明のガス分配部材の裁断に関しては、図3のA−A’線に沿って、経糸あるいは緯糸が平行となるように裁断してもよく、あるいはA−A’線と経糸あるいは緯糸がほぼ45度の角度を取るようなバイアスに裁断してもよい。バイアスに裁断する場合には、ほぼ45度の角度が好ましいが、30〜60度の範囲で角度は任意に選定できるものである。裁断に関しては、レーザー裁断機を使うことが切断端部からのほつれを防止する上で好ましい。しかし、押し切り方式や熱刃による溶断等、任意の裁断方式を選択することができる。
本発明のガス分配部材のガス入口部および出口部に関しては、裁断状態のままでもよいが、折り返しを設けて糸のほつれを防止することを行ってもよい。
ガス分配部材の形状も図示の形状に限定されるものでなく、ガスの流れを考慮し、より早くカーテンバッグを膨張させるため、ガス分配部材の直径や長さを変えることもあり得る。また、ガス出口部は、カーテンバッグの形状によるので、図2のように2箇所の場合もあれば、1箇所や3箇所といった場合もある。
本発明のガス分配部材の縫製条件、例えばミシン糸の材質および太さ(番手)、ステッチ形式(本縫い、二重環縫い・・・)、および縫い目線の本数なども特に限定されるものでなく、使用した原糸の繊度や密度に応じて最大の強度が得られる条件を選択すればよい。通常は1400dtexのナイロン66原糸を樹脂加工したミシン糸で1.5〜3mm/ステッチの本縫いで縫製される。
本発明のガス分配部材の製織には、織機は、例えばエアジェットルーム、レピアルーム、ウォータージェットルームおよびプロジェクタイルルーム等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、経糸の上げ下げを制御する機械には、ジャガード機やドビー機等があるが、電子ジャガードが生産性やデザイン変更に対する迅速性において有利である。ジャガード機の場合の口数は、特に制限されないが、800〜14000口等のものが利用できる。ドビー機の場合の枠枚数は、4〜36枚等のものが利用できる。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
繊度470dtex、単糸繊度3.3dtexのナイロン66繊維を経糸と緯糸に準備し、エアジェットルームと電子ジャガードを用いて、ガス分配部材用の織物を製織した。続いて、精練工程およびコーティング工程を経て、経糸密度が112本/2.54cm(1枚の布では56本/2.54cm)、緯糸密度が98本/2.54cm(1枚の布では49本/2.54cm)の部分連結二重織物を得た。連結部は、図5−1に示すような、連結点が9.6個/cm2となるようにデザインした。
製織は、500rpmの速度で実施し、コーティングは片面に35g/m2のシリコーン樹脂を塗布した。
この織物を図3に示した形状にレーザー裁断機によって裁断した。その際、A−A’線に経糸が45度の角度となるようにした。続いて縫製を行って図4に示したガス分配部材を作製した。縫製では、5番手の糸で2mm/ステッチで本縫いし、ガス出口部を11mm折り返し、閂止め縫いしてこの折り返しを止めて、ガス分配部材を作製した。得られたガス分配部材をカーテンバッグに取り付け、ハイブリッド方式のノミナルタイプのインフレータを取付け、展開実験を実施した。
得られた織物の特性を表1に示す。裁断〜縫製時間が目標時間内であり、縫製時にも新たな冶具の必要もなく、展開試験後のカーテンバッグは破れも無く、大変良好な結果であった。
なお、ガス分配部材1枚をつくるために要した裁断から縫製までの時間は、量産時と同様に、複数の作業内で複数枚のガス分配部材が作製されている状態を測定し、工程完了までの時間を作製枚数で割り出した数値である。
[実施例2]
実施例1において、経糸密度が96本/2.54cm(1枚の布では48本/2.54cm)、緯糸密度が96本/2.54cm(1枚の布では48本/2.54cm)になるように経糸と緯糸の密度を変更し、続いて精練工程およびコーティング工程を経て、部分連結二重織物を得た。連結部は、図5−2に示すような亀甲状の線が繋がった形のもので、亀甲状の線の割合は単位面積の5.8%となるようにデザインした。
評価は、実施例1と同様に行った。得られた織物の特性は表1に示すとおりで、裁断〜縫製時間が目標時間内であり、縫製時にも新たな冶具の必要もなく、展開試験後のカーテンバッグは破れも無く、大変良好な結果であった。
[比較例1]
繊度940dtex、単糸繊度6.7dtexのナイロン66繊維を経糸と緯糸に準備し、レピアルームを用いて、ガス分配部材用の織物を製織した。続いて、精練工程およびコーティング工程を経て、経糸密度が28本/2.54cm、緯糸密度が27本/2.54cmの平織物を得た。
製織は300rpmの速度で実施し、コーティングは片面に35g/m2のシリコーン樹脂を塗布した。
この織物を実施例1と同様に、レーザー裁断機を使用して裁断し、続いて縫製を行って図4に示したガス分配部材を作製した。得られたガス分配部材をカーテンバッグに取付け、ハイブリッド方式のノミナルタイプのインフレータを取付け、展開実験を実施した。
評価は、実施例1と同様に行った。得られた織物の特性は表1に示すとおりで、裁断〜縫製時間は目標時間内であり、縫製時には新たな冶具は必要なかった。また、展開試験後のカーテンバッグは、ガス分配部材のガス出口付近のカーテンバッグの袋部と閉じ部の境界部あたりにおいて、黄色の残渣があり、破れまでは至らないものの織物の目が開いた状態(経糸と緯糸の間隔が通常部分よりも大きい状態)が見られた。
[比較例2]
繊度470dtex、単糸繊度3.3dtexのナイロン66繊維を経糸と緯糸に準備し、ウォータージェットルームを用いて、ガス分配部材用の織物を製織した。続いて、精練工程およびコーティング工程を経て、経糸密度が46本/2.54cm、緯糸密度が46本/2.54cmの平織物を得た。
製織は700rpmの速度で実施し、コーティングは片面に35g/m2のシリコーン樹脂を塗布した。
この織物を実施例1と同様に、レーザー裁断機を使用して裁断し、続いて2枚重ねにして縫製を行って図4に示したガス分配部材を作製した。得られたガス分配部材をカーテンバッグに取り付け、ハイブリッド方式のノミナルタイプのインフレータを取り付けて、展開実験を実施した。
評価は、実施例1と同様に行った。得られた織物の特性は表1に示すとおりで、裁断〜縫製時間は多くを要し、目標時間外となり、縫製時には新たな冶具が必要であった。展開試験後のカーテンバッグは破れも無く、大変良好な結果であった。
[実施例3]
繊度235dtex、単糸繊度3.3dtexのナイロン66繊維を経糸と緯糸に準備し、エアジェットルームと電子ジャガードを用いて、ガス分配部材用の織物を製織した。続いて、精練工程およびコーティング工程を経て、経糸密度が146本/2.54cm(1枚の布では73本/2.54cm)、緯糸密度が140本/2.54cm(1枚の布では70本/2.54cm)の部分連結二重織物を得た。連結部は、図5−2に示すような亀甲状の線がつながったデザインとした。亀甲状の線の割合は単位面積の5.8%であった。
製織は600rpmの速度で実施し、コーティングは片面に25g/m2のシリコーン樹脂を塗布した。
この織物を図3に示した形状にレーザー裁断機によって裁断した。その際、A−A’線に経糸が45度の角度となるようにした。続いて縫製を行って図4に示したガス分配部材を作製した。縫製では、8番手の糸で1.6mm/ステッチで本縫いし、ガス出口部を11mm折り返し、閂止め縫いしてこの折り返しを止めて、ガス分配部材を作製した。得られたガス分配部材をカーテンバッグに取り付け、ストアードガス方式のノミナルタイプのインフレータを取り付けて、展開実験を実施した。
得られた織物の特性を表1に示す。裁断〜縫製時間が目標時間内であり、縫製時にも新たな冶具の必要もなく、展開試験後のカーテンバッグは破れも無く、大変良好な結果であった。
[実施例4]
繊度940dtex、単糸繊度6.7dtexのナイロン66繊維を経糸と緯糸に準備し、エアジェットルームと電子ドビーを用いて、ガス分配部材用の織物を製織した。続いて、精練工程およびコーティング工程を経て、経糸密度が60本/2.54cm(1枚の布では30本/2.54cm)、緯糸密度が58本/2.54cm(1枚の布では29本/2.54cm)の部分連結二重織物を得た。連結部は、図5−3に示すような接合点が4.2個/cm2となるようにデザインした。
製織は400rpmの速度で実施し、コーティングは片面に50g/m2のシリコーン樹脂を塗布した。
この織物を図3に示した形状にレーザー裁断機によって裁断した。その際、A−A’線に経糸が45度の角度となるようにした。続いて縫製を行って図4に示したガス分配部材を作製した。縫製では、5番手の糸で2.0mm/ステッチで本縫いし、ガス出口部を12mm折り返し、閂止め縫いしてこの折り返しを止めて、ガス分配部材を作製した。得られたガス分配部材をカーテンバッグに取り付け、ハイブリッド方式のノミナルタイプのインフレータを取付け、展開実験を実施した。
得られた織物の特性を表1に示す。裁断〜縫製時間が目標時間内であり、縫製時にも新たな冶具の必要もなく、展開試験後のカーテンバッグは破れも無く、大変良好な結果であった。
本発明は、自動車乗員安全保護装置、特に側面衝突時の乗員の頭部等を保護するカーテンバッグに有効に利用できる。
バッグの後部にガス発生器を装着する方式の一般的なカーテンバッグの模式図である。 バッグの略中央にガス発生器を装着する方式の一般的なカーテンバッグの模式図である。 ガス分配部材を縫製する前の裁断図であり、点線A−A’は折り目線をしめす。 縫製後のガス分配部材であり、点線10は縫い目線を示す。 本発明を適用する場合の織組織の一例を示す図である。 本発明を適用する場合の織組織の別の一例を示す図である。 本発明を適用する場合の織組織の別の一例を示す図である。 本発明のガス分配部材に使用する織物の断面形状の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 バッグ本体
2 ガス発生器
3 ガス分配部材
10 縫い目
11 ガス入口部
12 ガス出口部
20 交錯点
30 上布
40 下布

Claims (2)

  1. 自動車が側面衝突した際の乗員安全保護装置のカーテンバッグに用いるガス分配部材であって、ジャガード機またはドビー機を装備した織機により製織過程で、合成繊維からなる2枚の布を製織すると同時に、該布を構成する原糸によって該2枚の布を部分的に連結し、かつ、その連結部は部分的に連結した部分が経および緯方向に連続することなく、点で繋がっており、該連結部が1平方cm当たり1〜30個である織物からなることを特徴とするガス分配部材。
  2. 合成繊維が235dtexから940dtexの繊度を有するナイロン66であり、連結された織物にシリコーン系エラストマーを被覆加工して使用することを特徴とする請求項1に記載のガス分配部材。
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