JP2011111092A - カーテンバッグ - Google Patents
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Abstract
【課題】外周接合部や内側接合部に対して局所的に過度の負荷を加えることなく、短時間で必要な膨張状態が得られ、特に側面衝突により、乗員が車外に放出されることを抑制する性能を向上させたカーテンバッグの提供。
【解決手段】少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたことを特徴とする。また、実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状を特徴とする。また、単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状を特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたことを特徴とする。また、実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状を特徴とする。また、単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状を特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車の側面が他の自動車や障害物と衝突したとき、主として乗員の頭部を保護するために、自動車の側面窓部と乗員との間にバッグを膨張させて乗員の頭部の衝撃を緩和するカーテンバッグ(インフレータブルカーテンやカーテンエアバッグとも称される)、特に前記衝突により、乗員が車外に放出されることを抑制する性能に優れたカーテンバッグに関する。
現在生産されている殆どの乗用自動車には、自動車の前面が他の自動車や障害物と衝突(正面衝突)した際に、乗員と自動車車内構造物との間に急速に袋体を膨張させて乗員の安全を図るために、所謂運転席用および助手席用エアバッグが搭載されている。
近年この正面衝突だけでなく、自動車の側面が他の自動車や障害物と衝突(側面衝突)した際の乗員の頭部などを保護するために、自動車の側面窓部上の天井部やピラー部に折り畳んで収納されているカーテンバッグが衝突時に側面窓部を覆うように膨張するカーテンバッグシステムが本格的に搭載され始めている。
従来、カーテンバッグの一例として、特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1のカーテンバッグは、図13に示すように、コーティングを施した2枚の布を、外周縁部に設けられてバッグの外周形状を規定する外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部とで接合したものとなっている。内側接合部は、膨張部(ガスの導入により膨張される部分)の膨張形状を規定するもので、外周接合部と連続した直線、曲線または両者を組み合わせたU字型に設けられている。また、特許文献1に示されるカーテンバッグは、カーテンバッグの後方上部に、ガス発生器(インフレータ)が接続されるガス流入孔を有している。
新たなカーテンバッグとして、特許文献2に示されるものが知られている。この特許文献2のカーテンバッグは外周縁部に設けられてバッグの外周形状を規定する外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた相互に独立した複数のドット状内側接合部とで接合したものとなっている。ドット状内側接合部を設けることで、ガス発生器(インフレーター)からのガス流入がスムーズで迅速であり、展開が早いという特徴を有している。
上記外周接合部と内側接合部の形成には、ミシン縫製による方式や、ジャガード機を搭載した織機を利用し、所定の位置、形状に製織段階で織り糸を交錯させて接合部を形成する方式(以下OPW方式と称する)が実用化されている。また、バックの上部にガス流入孔を有するタイプもある。さらに、カーテンバッグシステムには、単に側面衝突した直後のみ乗員を保護する方式(ファーストインパクト対応型)と、側面衝突後に自動車が横転した場合も乗員の保護に配慮する方式(ロールオーバー対応型)の二種類の方式がある。
ところで、側面衝突を想定した場合に、乗員と、乗員が打ちつけられる自動車車内構造物との距離は、乗員と側面窓部との間の距離となる。これは、正面衝突を想定した場合の運転席の乗員とステアリングホイールとの間の距離や、助手席の乗員とインパネ間の距離に比べて小さい。このため、カーテンバッグに対する重要な要求性能の一つに、短時間に必要な部分に適正にガスが流れ、乗員の頭部がバッグと接触する迄に所定の内圧に膨張することが求められている。
ところが、従来のカーテンバッグは、図13に示すように、外周接合部と連続した直線、曲線または両者を組合せたU字型の少数の内側接合部により、数個の比較的大きな膨張部を形成している。このため、バッグ内のガスの流速が遅く、ガス発生器からのガスを短時間に膨張部に分配することが困難である。特に、内側接合部をU字型とし、セルまたはキャビンと称される膨張部を形成したカーテンバッグにおいては、あるキャビンは膨張しているが他の膨張すべきキャビンは未だ膨張過程にあるという現象が起こる。
また、ガス発生器からのガスを素早く適正に分配することができないため、局部的な内圧の上昇が起こり、当該部分周りの外周接合部や内側接合部に過度な負荷が掛かることになる。さらに、従来のカーテンバッグは膨張部が数個であり、一つの膨張部分の容積が大きいため、外周接合部や内側接合部に掛かる負荷が大きくなる。
したがって、従来のカーテンバッグでは、局部的な内圧の上昇や膨張部の容積が大きいことにより、外周接合部や内側接合部に局所的に過度の負荷が加わりやすく、バッグが膨張する過程でバーストすることがある。また、バーストに至らないまでも、コーティング膜の部分的な破損や剥離によりガスが流出し、乗員の保護に必要な所定の内圧が得られない場合を生じる。特に、ロールオーバー対応型カーテンバッグでは、所定の時間所定の内圧を維持することが困難になることがある。
このため、カーテンバッグ内に一般にインナーチューブと称される、ガス分配部材をガス発生器の導管に取付け、上記現象を低減させる方法もある。しかし、バッグは重くなり、収納性も低下し、且つバッグのコストも上昇する。また、OPW方式のバッグでは、上記現象に対処するため、織物の強度のアップと、外周接合部や内側接合部の目開きによるガスリーク防止を図っているが、そのためには、高繊度の糸で高密度の織物とし、且つ多量のコーティング剤を塗布する必要がある。ミシン縫製型バッグでも、部分的な補強を行い、且つ外周接合部や内側接合部の2枚の布の間に厚いシール材を挟み縫い合わせている。いずれにしても、かかる対処の結果としてバッグは重くなり、且つ嵩高く収納性が悪くなり、またコストも上昇することになる。
従来のカーテンバッグでは、しばしば膨張部を、図14に示すように、U字型のキャビンとすることがある。この形状のバッグの場合、同図Xで示す領域のように、特定の経糸および/または特定の緯糸に、他の経糸および/または他の緯糸に比べて、外周接合部101や内側接合部102が形成される比率が高くなる場合がある。
OPW方式のカーテンバッグの外周接合部や内側接合部は、2枚の布の織り糸を交錯させて1枚に織ってあり、布が2枚に分離している膨張部に比して織密度が2倍となるため、織糸の屈曲率は外周接合部や内側接合部の方が膨張部よりも大きくなる。このため外周接合部や内側接合部を形成することの多い経糸(または緯糸)は、外周接合部や内側接合部を形成することの少ない経糸(または緯糸)に比べて、製織段階でより高い張力で織り込まれる結果、織物内に歪みが内在し、両者の間で引きつりや皺を発生させることがある。この引きつりや皺は、以降の工程での不都合の原因となる。例えばコーティング工程ではコーティング剤の塗布ムラの発生原因となり、裁断工程では所定の形状寸法への裁断不良の発生原因となる。
また、外周接合部や内側接合部が特定の経糸(または緯糸)に集中する比率が高い場合は、カーテンバッグが膨張する段階で外周接合部や内側接合部と膨張部との境界部に応力集中を起こし易く、当該部分がカーテンバッグ破断の起点となることがある。ミシン縫製タイプのカーテンバッグでは、通常の平織物を製織、コーティング加工、裁断後に2枚の布を縫合するため、OPW方式のように製織段階での歪みは内在しないが、外周接合部や内側接合部(縫合部)が特定の経糸(または緯糸)に集中する比率が高い場合は、上記と同様に、外周接合部や内側接合部と膨張部との荷重−伸び率特性が異なるので、当該部分に応力集中を起こしやすくなる。
さらに、従来のカーテンバッグは、内側接合部が数個であるため、自動車の形状、特にルーフ形状や乗員の着座位置に応じて、衝突試験においてダミー頭部の傷害値が基準値以下となるようカーテンバッグのデザインを決める必要がある。このため車種毎にカーテンバッグ形状決定のために多大の設計、試験工数や期間を要することになる。
また、現行法規では、ダミーの着座姿勢は規定の正規着座姿勢で傷害値基準を満たせば良いことになっているが、現実には乗員の着座姿勢は非常に様々であり、姿勢如何では十分な保護効果を期待できない可能性を秘めている。
さらに、より高い安全性を求める要求に対応するために、カーテンバッグに求められる性能は一層厳しいものとなっている。例えば、側面衝突時及びその後に自動車が横転した場合に、乗員が車外に放出されることを抑制することが求められつつある。しかしながら、従来のカーテンバッグは、車外放出の抑制まで考慮されずに設計されているために、車外放出の抑制が十分とはいえない可能性を秘めている。
本発明は、カーテンバッグにおいて、外周接合部や内側接合部に対して局所的に過度の負荷を加えることなく、短時間で必要な膨張状態が得られるようにすること、特に側面衝突により、乗員が車外に放出されることを抑制する性能を向上させることを目的とする。
本発明は、少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたことを特徴とするカーテンバッグ、及び/または実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状としたことを特徴とするカーテンバッグ、及び/または単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状としたことを特徴とするカーテンバッグを提供するものである。
本発明のカーテンバッグは、膨張展開時にバッグの一部が窓の下枠に引っ掛かる形状としたこと、及び/または実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状としたこと、及び/または単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状としたことにより、側面衝突時及びその後に自動車が横転した場合に、乗員が車外に放出されることを抑制する効果が高い。
さらには、ガス発生器からのガスを短時間に膨張部に分配することが可能であり、接合部に過大な応力集中を起こすことなく、カーテンバッグが安定して損傷なくより早く膨張し、有効に乗員の衝撃の吸収が可能となる。また、この応力集中の低減により、より原糸の低繊度化や、織物の低密度化、さらにはコーティング量の削減が可能となり、カーテンバッグの軽量化や収納性の向上が期待できる。さらに、乗員の頭部を保護する部分のエリアが大きくなり、カーテンバッグの設計や試験の工数、期間を大幅に低減でき、また乗員の着座姿勢の変化にも対応し易くなる。
本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明のカーテンバッグは、少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されており、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたこと、及び/または実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状としたこと、及び/または単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状としたものである。
本発明のカーテンバッグに使用する布は織物で、原糸は、特に限定するものではないが、ポリアミド系、ポリエステル系などの合繊長繊維が好ましい。固体のガス発生剤を使用するパイロタイプインフレータや高圧ガスと固体ガス発生剤を併用するハイブリッドインフレータを使用する場合は、ガス発生器からの高温のガスや燃焼残渣による溶融が懸念されるため、ナイロン66繊維がより好ましい。
原糸の繊度についても特に限定するものではないが、78〜940dTexが好ましく、235〜475dTexがより好ましい。78dTex以上であれば、ガス発生器から噴出するガスによる力学的負荷や、前記パイロタイプインフレータやハイブリッドタイプインフレータを使用する場合は、高温のガスや燃焼残渣などによる熱的負荷にも耐えられる。また、940dTex以下であれば、強度的にも満足でき、高密度に製織しても経糸緯糸の交錯点が多く、作動時内圧による外周接合部や内側接合部の目開きが起こりにくく、当該部分よりガスの流出の恐れがない。また、出来上がった織物は薄く、軽くなり、カーテンバッグの収納性が向上する。
製織時の経糸は、ミシン縫製方式でカーテンバッグを製造する場合は、通常の平織物とするので原糸のまま使用しても良く、場合によってはオイリングやワキシング、あるいはサイジングして使用することが好ましい。OPW方式でカーテンバッグを製造する場合は、2枚の布を同時に製織しながら、2枚の布の所定部分の経糸、緯糸を交錯させて外周接合部や内側接合部を形成するため、外周接合部や内側接合部の織密度は膨張部の2倍の密度となり、製織中の経糸への負荷が大きく、糸が毛羽立ち易く織欠点が多発することや、場合によっては原糸の切断が起こるため、サイジングを施すことが好ましい。
織密度は、使用する原糸の繊度により適切に選択すればよいが、例えば470dTexでは、経緯合わせて90〜110本/2.54cm、350dTexでは125本/2.54cm前後、235dTexでは145本/2.54cm前後が好ましい。この織密度範囲であれば製織が容易になり、製織性や織物品位が向上する。また、前記ガス発生器から噴出するガスによる力学的負荷や熱的負荷に耐え得る。
カーテンバッグの場合はカーテンバッグを出来るだけ早く膨張させる必要があり、さらにロールオーバー対応タイプのカーテンバッグでは、一定時間所定内圧を保持する必要があり、布自体や、外周接合部や内側接合部からのガス流出を防止するため、後述するコーティング加工が施されることが好ましい。上記織密度範囲では、コーティング剤が織物内部に浸透する量が適度であり、織物表面に連続したコーティング皮膜が形成し易くなり、気密性が向上する。
織密度は必ずしも経緯同数とする必要はなく、製織効率または噴出するガスによる力学的負荷の方向を勘案し、密度差をつけてもよい。
本発明に係るカーテンバッグは、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたものである。前記形状とする手段は特に限定されないが、例えば、窓に対して大きな面積とすれば良い。特に、カーテンバッグの幅方向の長さを長くすることが好ましく、窓枠の最大幅に対して、カーテンバッグの最大幅が1.0〜1.3倍、さらに1.1〜1.3倍であることが好ましい。窓の下枠に引っ掛かる形状とすることで支持点増加による荷重分担が図られ、車外放出量が抑制される。
さらに車体取付け用治具として通常使用されるタブとストラップのうち、タブのみを使用することが好ましい。ストラップは通常、カーテンバッグの前部及び/または後部に取り付けられ、膨張展開時にカーテンバッグが窓から大きく離れてしまうことを抑制する機能を有する。そのため、ストラップには、展開膨張時、カーテンバッグを長手方向に引張る力が発生している。タブのみで窓の上枠または天井部に取付けた場合、膨張展開時にストラップにより長手方向にカーテンバッグが引張る力が発生しないために、幅方向への動きが拘束され難くなり、窓の下枠に引っ掛かりやすくなり、支持点増加による荷重分担が図られ、車外放出量が抑制される。図15にストラップが無い場合の膨張展開後の乗員の頭部ダミー衝突状況を示す。前部ストラップが無いことにより、膨張展開及びその後の乗員衝突時にカーテンバッグが前方に引張られることが抑制され、カーテンバッグの前部が若干「へ」の字型に下方に湾曲することにより、同じカーテンバッグの幅でもカーテンバッグの前部が窓の下枠に引っ掛かりやすくなる。
殊に図1に示す通り、外周接合部の内側に複数のドット状内側接合部が外周接合部から独立し且つ相互に独立して設けられた形状が好ましい。内側接合部がドット状で且つお互いに独立していれば、カーテンバッグの幅方向の長さを長くすることなく、膨張展開時及び/またはその後のカーテンバッグへの乗員衝突時に特定の箇所で折れ曲がりにくくなり、そのために、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状となり、支持点増加による荷重分担が図られ、車外放出量が抑制される。また、カーテンバッグの幅方向の長さを長くして、膨張可能な面積を増加させても、ガス発生器からのガスを短時間に膨張部に分配することが可能であり、接合部に過大な応力集中を起こすことなく、カーテンバッグが安定して損傷なくより早く膨張展開することが可能となる。また、膨張可能な面積を増加させても、複数のドット状内側接合部を適切に設けることで、必要以上に膨張展開時の厚みが増加することを抑制でき、乗員と窓枠の隙間が狭い場合でも、両者の間に膨張展開することが可能となる。
本発明に係るカーテンバッグは、実質的に全面に亘り、膨張可能な形状としたものである。実質的に全面に亘り、膨張可能とは、カーテンバッグ面積に対する膨張可能な部分の面積が80%以上であることを意味し、好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。実質的に全面に亘り膨張可能であれば、カーテンバッグの布張力が向上し、乗員衝突時に膨張した形状を維持しやすく、乗員の車外放出量を抑制する効果が高くなる。
殊に図1に示す通り、外周接合部の内側に複数のドット状内側接合部が外周接合部から独立し且つ相互に独立して設けられた形状が好ましい。本形状であれば、実質的に全面に亘り膨張可能で、膨張可能な面積が増加しても、ガス発生器からのガスを短時間に膨張部に分配することが可能であり、接合部に過大な応力集中を起こすことなく、カーテンバッグが安定して損傷なくより早く膨張展開することが可能となる。また、膨張可能な面積が増加しても、複数のドット状内側接合部を適切に設けることで、必要以上に膨張展開時の厚みが増加することを抑制でき、乗員と窓枠の隙間が狭い場合でも、両者の間に膨張展開することが可能となる。
本発明に係るカーテンバッグは、単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状としたものである。好ましくは2〜65%、特に好ましくは2〜60%とした形状である。単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがこの範囲であれば、該内側接合部で折れ曲がりにくくなり、曲げ剛性が向上する。単独の内側接合部の幅方向に射影した長さとは、図16に示された線分103の長さであり、カーテンバッグの膨張可能な部分の幅104に対し、2〜70%であることが肝要である。
さらに、図3に示す通り、膨張可能な部分の少なくとも一つは、長手方向の長さがカーテンバッグの長手方向の長さの60%以上、殊に70%以上であることが好ましい。前記膨張可能な部分は長手方向に内側接合部で寸断されておらず連続している形状が特に好ましい。該形状であれば、長手方向に十分に長く、内側接合部で寸断されていないため、長手方向に折れ曲がりにくくなっており、曲げ剛性を高められる。
殊に図1に示す通り、外周接合部の内側に複数のドット状内側接合部が外周接合部から独立し且つ相互に独立して設けられた形状が好ましい。内側接合部がドット状で且つお互いに独立していれば、膨張展開時及び/またはその後のカーテンバッグへの乗員衝突時に特定の箇所で折れ曲がりにくくなり、曲げ剛性が向上する。
前記乗員の車外放出量を抑制する形状、即ち、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたこと、及び/または実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状としたこと、及び/または単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状、はそれぞれ単独で用いても良く、2つあるいは3つの形状を組合わせて用いても良い。特に、実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状と単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状を組合わせる事が、カーテンバッグの面積を小さくしつつ乗員の車外放出量を効果的に抑制することが出来、好ましい。具体的な形状を図2に例示するが、この形状に限定されるものではない。
本発明において、前記複数のドット状内側接合部が実質的に膨張可能な領域の全面に亘り設けられていることが好ましい。実質的に膨張可能な領域の全面に亘り設けられているとは、前記ドット状内側接合部からカーテンバッグの長手方向長さの50%の距離内に少なくとも1個の他のドット状内側接合部が存在すること及び内側接合部としてドット状内側接合部のみが存在すること、を意味する。好ましくは、前記ドット状内側接合部からカーテンバッグの長手方向長さの40%の距離内、特に好ましくは30%の距離内に少なくとも1個の他のドット状内側接合部が存在することである。本形状であれば、ガス発生器からのガスを短時間に膨張部に分配することが可能であり、接合部に過大な応力集中を起こすことなく、カーテンバッグが安定して損傷なくより早く膨張展開することが可能となり、併せて、バッグの布張力の増加、曲げ剛性の増加により、効果的に乗員の車外放出量を抑制することが可能となる。また、複数のドット状内側接合部を膨張可能な領域の全面に亘り適切に設けることで、必要以上に膨張展開時の厚みが増加することを抑制でき、乗員と窓枠の隙間が狭い場合でも、両者の間に膨張展開することが可能となる。
本発明において、前記複数のドット状内側接合部間の距離はどのようなカーテンバッグの形状を選択するかに応じて、適宜選択すれば良い。即ち、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状を選択した場合、ドット状内側接合部間の距離が幅方向対比、長手方向で大きくなるように選択すれば、カーテンバッグの幅方向の曲げ剛性が向上し、好ましい。また、カーテンバッグの長手方向の曲げ剛性を高くする形状の場合は、ドット状内側接合部間の距離が幅方向対比、長手方向で小さくなるように選択すれば良い。カーテンバッグの一部の領域では内側接合部間の距離が幅方向対比、長手方向で大きく、他の部分で小さくする形状でも構わない。
本発明において、前記ドット状内側接合部が実質的に長手方向に連続して設けられている形状が好ましい。実質的に長手方向に連続して設けられているとは、カーテンバッグの幅方向の上端又は下端に略平行な直線に沿って設けられていること且つ該直線に沿ったドット状内側接合部間の距離がカーテンバッグの長手方向長さの2〜50%であることを意味する。好ましくは、該直線に沿ったドット状内側接合部間の距離がカーテンバッグの長手方向長さの5〜40%、特に好ましくは5〜30%である。本形状であれば、バッグの長手方向の曲げ剛性が高くなり、好ましい。具体的な形状を図3に例示するが、この形状に限定されるものではない。
本発明において、前記ドット状内側接合部の個数は15個以上160個以下設けられていることが好ましい。内側接合部の数が15個より少ない場合では、カーテンバッグ膨張時の厚みを適切にするために、各内側接合部の面積を極端に大きくする必要があり、適切な膨張部を得ることが困難になり、布張力の低下、曲げ剛性の低下を招く。一方、内側接合部が160個を越える場合では、カーテンバッグ膨張時の厚みを適切にするために、各内側接合部の面積を極端に小さくする必要があり、また適切なガスの拡散を妨げる恐れを生じる。
本発明において、前記ドット状内側接合部は、0.7cm2/個〜13cm2/個の面積を有することが好ましく、2cm2/個〜12cm2/個の面積を有することがより好ましい。各ドット状内側接合部の面積が0.7cm2/個以上であれば、膨張部が適度になり、当該部分への負荷が小さく、破断しにくくなる。また、各ドット状内側接合部の面積が13cm2/個以下であれば、同様に膨張部が適度となり、所定の内圧が得られ、カーテンバッグ膨張時の厚みも適度になる。
本発明において、前記ドット状内側接合部は、2枚の布を構成する織り糸の交錯または縫製または接着により2枚の布を一体化して形成した非膨張部分で、非膨張部分全面で上下の布が一体化されている箇所と、非膨張部を囲んで上下の布が一体化され、内部は一体化されていない箇所の両者を含む。ドット状内側接合部は、直線または曲線の線分として形成する他、図4に示されるような形状に形成することができる。例えば円形、楕円形、四角形、菱形、多角形またはこれらを部分的に変形した形状とすることができる。ドット状内側接合部に応力が集中しがたいことから、円形、楕円形が好ましい。本発明において、ドット状内側接合部は、これらの形状の全面を織り糸の交錯または縫製により一体化したものでも、これらの形状の外周縁だけを織り糸の交錯または縫製により一体化し、内部は一体化されていないがガスで膨張しない非膨張部としたものでもよい。
ドット状内側接合部の形状や面積は、カーテンバッグ内で総て同一であっても、異なる形状や面積のものが混在していてもよい。ドット状内側接合部の形状や面積は、カーテンバッグのサイズ、形状、使用するガス発生器の出力、位置などを勘案して定めることが好ましい。
OPWで接合部を形成する場合、膨張部との境界近辺の接合部の織組織は、特に限定するものではないが、例えば図5に示すような各種の(イ)斜子織、(ロ)風通織、(ハ)平織などを組合せ、これらの適切な繰り返しを行なえばよい。また、接合部の膨張部との境界近辺以外の部分の織組織についても、特に限定するものではないが、例えば図6に示すような部分節結織などが交錯点を減少する点で好ましい。
外周接合部、内側接合部、及びこれらの接合部と膨張部のとの境界近辺を除く膨張部の織組織は通常平織組織が使用されている。
自動車が他の自動車や障害物との側面衝突時に窓ガラスが破損し、この破損したガラス片により、場合によってはカーテンバッグに損傷を与え、大きく裂けることがまれにある。この損傷の度合いを出来るだけ軽減するために、前記外周接合部、内側接合部、及びこれらの接合部と膨張部のとの境界近辺を除く膨張部の織組織を単純な平織組織でなく、一例として図7に示すように、経糸及び緯糸の一定本数ごとに数本の糸を引き揃えた状態で製職した、所謂格子織またはリップストップと称される織組織とすることが好ましい。
この引き揃える糸の数は、2〜3本程度が好ましく、これ以上では糸間の間隙が大きくなり、コーティング剤の表面被覆効果が減少する。また、引き揃え糸の間隔は5mmから30mm、より好ましくは10mmから20mmである。これ以下の間隔では糸間の間隙が大きくなり、コーティング剤の表面被覆効果が減少する。またこれ以上の引き揃え糸の間隔が大きくなると、ガラス片によるカーテンバッグの損傷を低減する効果が低下する。
ミシン縫製方式によって、接合部を形成する場合は、通常のミシン、或いは形状をミシンに入力して自動的に縫製される所謂パターンミシンを使用し、2枚の織物を縫合すればよい。この際、特に気密度が要求される場合は、2枚の織物の間にシール剤を挟んで縫合することにより、縫目からのガスの流出を防止できる。
接着方式によって接合部を形成する場合は、2枚の織物の間に接着剤を塗布し、加熱機構を有するプレス機や圧延機のように2つのロールの間に挟み込むことで、接着剤が塗布された部分に圧縮力をかけ、接合すればよい。この際の接着剤の種類は問わないが、ガスの流出を防止する場合は、シリコン系の接着剤が用いられる。
OPWの場合、通常、経糸はサイジングした原糸を使用して製織し、次いでバッグの気密性を向上させるためにコーティング加工を施すことが好ましい。特に限定するものではないが、コーティング剤と織物との接着性を阻害しないよう、コーティングに先立って原糸に付着している油剤類、サイジング剤を除去することを目的として、ジッガ精練機あるいは複数の精練槽、水洗槽などを有する連続精練機により精練することが好ましい。精練後、織物をシリンダー乾燥機などにより乾燥する。乾燥後そのままで次のコーティング工程に供されることもあるが、寸法や織密度の制御のために、精練、乾燥後、引続きヒートセットすることが好ましい。
一方ミシン縫製カーテンバッグでは、本発明を実施するに際し特に限定されるものではないが、経糸をサイジングしないで製織する場合は必ずしも精練を必要としないが、サイジング糸などを使用する場合は精練する必要があり、この場合は前記OPW方式と同様乾燥、または乾燥後ヒートセットを行なうことが好ましい。
コーティング剤、コーティング方法についても、本発明を実施するに際し特に限定されるものではないが、コーティング剤としては一般にシリコン系のものが使用され、通常ナイフコーターでコーティングする。コーティング剤塗布量は、使用するシリコン樹脂の特性や、製法がOPW方式かミシン方式か、用途が側面衝突時のみを想定したバッグか側面衝突後自動車の転覆を想定しているバッグかによって異なる。
コーティング剤塗布量は、特に限定されるものではないが、ミシン縫製カーテンバッグやOPW方式のカーテンバッグで自動車の転覆を想定していないカーテンバッグでは20〜50g/m2が好ましく、OPW方式のバッグで自動車の転覆時の乗員保護も想定しているタイプのカーテンバッグでは50〜150g/m2が好ましい。
OPW方式では、コーティング後、レーザー裁断機により所定の寸法、形状に裁断され、カーテンバッグを固定するためのストラップなどの付属品を縫付け、車体への取付け部の補強などを行い、製品(カーテンバッグ)となる。
ミシン縫製方式では、コーティングされた織物を所定の形状、寸法に裁断後2枚の織物を重ねて所定の位置を縫製する。前記のとおり、特に気密性が要求される場合は2枚のコーティング織物の間にシリコーンシートなどのシール剤を縫目付近に挟んで縫製する。
次に、実施例および参考例によって本発明を具体的に説明する。
(1)展開試験
試験用試料に、Autoliv社製コールドガスタイプインフレータ(23.81タンク圧試験において最大圧力220kPa)およびカーテンバッグ内圧測定用センサーを取付け、カーテンバッグ展開試験を行い、カーテンバッグの展開状況の高速度撮影およびカーテンバッグ内圧の変化を測定した。表1に示す展開速度は、カーテンバッグ内圧が60kPaとなる時間とした。
試験用試料に、Autoliv社製コールドガスタイプインフレータ(23.81タンク圧試験において最大圧力220kPa)およびカーテンバッグ内圧測定用センサーを取付け、カーテンバッグ展開試験を行い、カーテンバッグの展開状況の高速度撮影およびカーテンバッグ内圧の変化を測定した。表1に示す展開速度は、カーテンバッグ内圧が60kPaとなる時間とした。
(2)インパクター試験
試験用試料に、カーテンバッグ内圧測定用センサーを取付け、内圧を確認しながら、圧縮空気で40kPaまで展開した。その後、NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)のテストガイドライン(Docket No.NHTSA−2006−26467)に従った方法によりインパクター試験を実施し、車外放出量を求めた。
試験用試料に、カーテンバッグ内圧測定用センサーを取付け、内圧を確認しながら、圧縮空気で40kPaまで展開した。その後、NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)のテストガイドライン(Docket No.NHTSA−2006−26467)に従った方法によりインパクター試験を実施し、車外放出量を求めた。
[実施例1]
Polyamide High Performance社製、ナイロン66原糸の繊度470dTex、単糸数144本の糸を、経糸はポリアクリル酸を主成分とするサイジング剤でサイジングして使用し、ジャガード機(ストーブリー社製)を搭載したエアージェット織機(ドルニエ社製)により、仕上がり織密度が経57本/2.54cm、緯48本/2.54cmとなるよう、図1に示す形状の織物を製織した。ドット状の内側接合部は面積が3cm2で40個、膨張部は平織組織、膨張部との境界部近辺の各内側接合部の織組織は図8に示す組織で、各内側接合部の膨張部との境界部近辺より内側の織組織は図9に示す組織とした。
Polyamide High Performance社製、ナイロン66原糸の繊度470dTex、単糸数144本の糸を、経糸はポリアクリル酸を主成分とするサイジング剤でサイジングして使用し、ジャガード機(ストーブリー社製)を搭載したエアージェット織機(ドルニエ社製)により、仕上がり織密度が経57本/2.54cm、緯48本/2.54cmとなるよう、図1に示す形状の織物を製織した。ドット状の内側接合部は面積が3cm2で40個、膨張部は平織組織、膨張部との境界部近辺の各内側接合部の織組織は図8に示す組織で、各内側接合部の膨張部との境界部近辺より内側の織組織は図9に示す組織とした。
製織後の織物を連続精練機により精練し、乾燥後ピンテンターにより180℃で1分ヒートセットを行った。当該精練およびヒートセット後の織物に、ナイフコーティング法により、シリコン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、品番DC3730)を織物の片面当たり85g/m2塗布し、加熱炉中で180℃3分加熱後、表面平滑剤としてシリコン系平滑剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、品番DC3715)をグラビアコーターにより、片面当たり10g/m2コーティングし、乾燥した。
当該コーティング品をレーザー裁断機(レクトラ社製)により、所定の形状に裁断し、自動車車体への取付け部の補強縫い、フロントストラップの縫付けを行いカーテンバッグ製品とした。さらに、当該製品を図10に示す方式で折り畳み、テープで仮止めし試験用試料を作成した。この試料について、前記展開試験およびインパクター試験を実施した。尚、タブ及びフロントストラップにより試験装置へ取り付けた。
試験結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同一の方法で、図2に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で45個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。
実施例1と同一の方法で、図2に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で45個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。
試験結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同一の方法で、図3に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で22個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。
実施例1と同一の方法で、図3に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で22個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。
試験結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同一の方法で、図11に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で40個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。本実施例は形状が実施例1と同一であるが、カーテンバッグの幅方向長さを20%小さくしたものである。
実施例1と同一の方法で、図11に示す形状で、ドット状の内側接合部は面積が3cm2で40個であるカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。本実施例は形状が実施例1と同一であるが、カーテンバッグの幅方向長さを20%小さくしたものである。
試験結果を表1に示す。
[実施例5]
フロントストラップを縫い付け無い以外は実施例1と同一の方法で、図2に示すカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。フロントストラップによる取付けは行わないで、両試験を実施した。
フロントストラップを縫い付け無い以外は実施例1と同一の方法で、図2に示すカーテンバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。フロントストラップによる取付けは行わないで、両試験を実施した。
試験結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同一の方法で、従来の製品である、内側接合部が5個で外周接合部に連なった図12に示す形状のバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。本形状は実質的に全面に亘り、膨張可能な形状ではなく、且つ、内側接合部の幅方向に射影した長さが長く、長手方向の曲げ剛性が低い形状である。
実施例1と同一の方法で、従来の製品である、内側接合部が5個で外周接合部に連なった図12に示す形状のバッグを製作し、前記展開試験、およびインパクター試験を実施した。本形状は実質的に全面に亘り、膨張可能な形状ではなく、且つ、内側接合部の幅方向に射影した長さが長く、長手方向の曲げ剛性が低い形状である。
試験結果を表1に示す。
表1に示すとおり、本発明に基づくカーテンバッグは展開速度が従来のカーテンバッグに比べて大幅に向上する。また、特定の形状、殊に内側接合部をドット状にすることで、インパクター試験の結果得られた乗員の車外放出量が前記NHTSAのガイドラインに定められた規格値200mm以内を達成するために有効であることが明確である。さらに、従来のカーテンバッグに比べて、カーテンバッグ面積を小さくしても前記規格値を達成することが可能であり、カーテンバッグの収納性向上にも有効であることが明確である。
本発明は、自動車が側面衝突した際、自動車の乗員を保護する装置に有効である。特に乗員の車外放出量を抑制し、安全を確保する装置に有効である。
1 外周接合部
2 内側接合部
3 タブ
4 ストラップ
101 従来カーテンバッグの外周接合部
102 従来カーテンバッグの内側接合部
103 内側接合部の幅方向に射影した長さを示す線分
104 膨張可能な部分の幅
2 内側接合部
3 タブ
4 ストラップ
101 従来カーテンバッグの外周接合部
102 従来カーテンバッグの内側接合部
103 内側接合部の幅方向に射影した長さを示す線分
104 膨張可能な部分の幅
Claims (14)
- 少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部とで相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、外周縁部及び/またはカーテンバッグの一部が、膨張展開時に窓の下枠に引っ掛かる形状としたことを特徴とするカーテンバッグ。
- 前記カーテンバッグにおいて、窓枠の最大幅に対して、カーテンバッグの最大幅が1.0〜1.3倍であることを特徴とする請求項1に記載のカーテンバッグ。
- 前記カーテンバッグにおいて、車体取付け用治具として、タブのみを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテンバッグ。
- 少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、実質的にカーテンバッグの全面に亘り、膨張可能な形状としたことにより布の張力を高めた形状としたことを特徴とするカーテンバッグ。
- 少なくとも2枚の布が、少なくとも外周縁部に設けられた外周接合部と、外周接合部の内側に設けられた内側接合部で相互に接合されたカーテンバッグにおいて、乗員の車外放出を抑制するために、単独の内側接合部の幅方向に射影した長さがカーテンバッグの膨張可能な部分の最大幅の2〜70%であることにより曲げ剛性を高めた形状としたことを特徴とするカーテンバッグ。
- 前記外周接合部の内側に複数のドット状内側接合部が前記外周接合部から独立し且つ相互に独立して設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部が実質的に膨張可能な領域の全面に亘り設けられていることを特徴とする請求項6に記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部間の距離が幅方向対比、長手方向で大きくなるように設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部間の距離が幅方向対比、長手方向で小さくなるように設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部が実質的に長手方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部が15個以上160個以下であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部が0.7cm2/個以上13cm2/個以下の面積であることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部の形状が線分、円形、楕円形、四角形、菱形、多角形またはそれらを部分的に変形した形状であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のカーテンバッグ。
- 前記複数のドット状内側接合部の形状が円形、楕円形であることを特徴とする請求項13に記載のカーテンバッグ。
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