JP4384527B2 - インフレーターガス導入ホースおよび側面衝突用エアバッグ装置 - Google Patents

インフレーターガス導入ホースおよび側面衝突用エアバッグ装置 Download PDF

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Description

本発明は、エアバッグ装置、殊に車両の側面衝突時に乗員を保護する側面衝突用エアバッグ装置に好適な部品に関するものであり、詳しくは上記エアバッグ内にインフレーターガスを導入するのに最適なインフレーターガス導入ホースと、該ホースを有する側面衝突用エアバッグ装置に関するものである。
なお、本発明のインフレーターガス導入ホースは、側面衝突用エアバッグ装置に限定されず、他のエアバッグ装置にも適用可能であるが、本明細書では、代表的な用途である側面衝突用エアバッグ装置に適用される場合を中心に説明する。ただし、上記の通り、本発明のインフレーターガス導入ホースの用途は、側面衝突用エアバッグ装置に限定される訳ではない。
近年の乗用車両では、運転席や助手席などには、車両の衝突時にエアバッグを膨張させて乗員を保護するためのエアバッグ装置が搭載されている。かかるエアバッグ装置は、ガス発生装置であるインフレーター、インフレーターガスで膨張するエアバッグ、エアバッグにインフレーターからのガスを導入するインフレーターガス導入ホースおよびこれらを収納するエアバッグケースから構成されている。
更に最近では、運転席および助手席の前面衝突に加え、側部衝突時の衝撃緩和を目的として、主に乗員の頭部を保護するためのカーテンエアバッグと呼ばれる側面衝突用エアバッグ装置の需要が増大しており、種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1および2)。かかる側面衝突用エアバッグは、センターピラーやフロントピラーに折り畳んで収納されており、衝突時に、インフレーターガスがエアバッグ内に導入されることによりドア部と乗員との間で展開して、乗員に対する側面からの衝撃を和らげるものである。
特開平10−100840号公報 特開2001−270415号公報
ところで、側面衝突用エアバッグは、上記の如くセンタービラ−やフロントピラーに折り畳んで収納されるものであり、できるだけ場所を取らないようにコンパクトに収納できることが、車両の内装デザイン上重要である。よって、インフレーターガス導入ホースにおいても、高度な折り畳み性の確保が重要な課題となっている。
また、側面衝突用エアバッグは、車両の衝突時に瞬時に展開する必要があり、更に展開までの時間は運転席や助手席用エアバッグ以上に短いことが求められるので、特にインフレーターガス導入ホースでは、部分的にガス圧力が非常に高くなり易く、例えば分配孔部分がインフレーターガスの圧力によりバーストしてその形状が変形し、エアバッグ展開時の膨張形態が不均一となることや、ガス導入口付近の繊維が切断されてエアバッグ内に散乱、溶融したり、エアバッグ自体の破損につながるという問題がある。
このような部分的な圧力上昇により生じる問題の改善策として、太径の繊維やアラミド繊維などの高強力繊維を使用し、エアバッグやインフレーターガス導入ホースの強度を全体的に高める方法がある。ところが、太径の繊維を用いると、エアバッグ自体が嵩高となり、収納スペースを確保する必要性から自動車の内装デザインが制限されるため好ましくない。また、高強力繊維は高価であるため、これを用いることでコストアップが問題となる。更に、乗用車などでは、燃費向上の観点から軽量化が求められることも多いが、特に太径の繊維を用いた場合では、インフレーターガス導入ホースの重量増加は避けられず、エアバッグ装置、延いては車両の軽量化を阻害してしまう。
さらに、インフレーターガス導入ホースは、織物製のホースが一般的であるが、これを製造する装置としては、消防ホースを製織するような環状織機や、シートベルトを製織するようなニードル織機が多用されている。これらの織機で、ホースに適用する袋状織物の如き幅の狭い織物を製織する際には、生産性を上げる目的で、緯方向(ホース円周方向)織密度はできるだけ小さく設定し、例えば同じ回転数で操業した場合に、より出来高が向上するように条件設定するのが通常である。そのため、緯糸は繊度の大きなものを適用することが一般的であり、その結果、織り上がったホース状織物(以下、「ジャケット」ということがある)では、表面凹凸が大きくなることがある。
表面凹凸が大きなジャケットに、その後の工程でゴムや合成樹脂によるコートを施す場合、特に塗布法によるコートを行う場合には、凹部分において塗布物の堆積が起こり易く、部分的に塗布量が多くなったり、厚みが大きくなったりすることがある。また、コートされたゴムや合成樹脂は、織物よりも剛性が高い場合もあり、その影響によってインフレーターガス導入ホースが剛直になることがある。これらの現象が生じた場合には、インフレーターガス導入ホースの折り畳み性が悪くなったり、軽量化が困難となったりする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、側面衝突用エアバッグ装置に用いられても、エアバッグ展開時の圧力に十分に耐え得ると共に、エアバッグの収納性を向上させて、車両内部で必要となる収納スペースを低減可能であると共に、軽量化も達成したインフレーターガス導入ホースと、該ホースを有する側面衝突用エアバッグ装置を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のインフレーターガス導入ホースの第1の態様は、エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入するための織物製ホースであって、該ホース表面をコートするためのゴムまたは合成樹脂の量が、コート前のホース質量に対して、0質量%以上25質量%未満であるところに要旨を有するものである。すなわち、第1の態様に係るインフレーターガス導入ホースは、ホース片端(インフレーター側に配される端部とは反対側の端部)のみが、インフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入するための導入口として作用するものである。
また、本発明のインフレーターガス導入ホースの第2の態様は、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するための分配孔を1個以上有してなる織物製ホースであって、該ホース表面をコートするためのゴムまたは合成樹脂の量が、コート前のホース質量に対して、0質量%以上25質量%未満であり、且つ該分配孔を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように切り出された、幅3cm、長さ5cmの試料について、JIS L1096 8.21.3に規定されるピン引掛け法により測定される引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも70N/3cm以上であるところに要旨が存在する。
エアバッグでは、平面視で円形、楕円形、矩形などといった比較的単純な形状のものばかりでなく、例えば側面衝突用エアバッグ装置では、より効果的に乗員を保護できるように、インフレーターからエアバッグ袋部(エアバッグ展開時に膨張する部分)までの距離が大きい場合もあり、また、袋部が手袋の如き複雑な形状をしていたり、袋部が分割されていたりする場合も多い。第2の態様でいう分配孔とは、インフレーターからエアバッグ袋部までの距離が大きい場合に、あるいは上記の如き複雑な形状を有する袋部を有する場合に、これら袋部を確実に膨張させるために、インフレーターガス導入ホースの側面部に設けられて、エアバッグ内部にガスを分配導入するための導入口として作用するものである。なお、第2の態様では、インフレーター側と反対側のホース端部が、綴じ部(すなわち、ホースが袋状)となっていてもよく、開口してガス導入口として作用しても構わない。
なお、本発明のホースでは、例えば、環状織機やシャトル織機、ニードル織機など、直接ホース状の織物を製織できる装置で製造する場合には、ホース長手方向の糸が経糸、ホース円周方向の糸が緯糸になるが、平らな織物を製織し、これを両端部で縫製したり接着・溶着などして筒状にしても製造できる。この場合でも、ホース長手方向の糸を経糸、ホース円周方向の糸を緯糸として本明細書では説明する。後者の場合、筒状とする前の織物における緯糸が、ホース長手方向となるように筒状としてホースが製造されるときには、後記の経糸の記載を緯糸に、緯糸の記載を経糸に読み替えればよい。
上記第2の態様においては、下記の各構成を採用していることが好ましい。上記引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも100N/3cm以上であること;上記分配孔の内周縁に強化部が形成されていること;上記分配孔内周縁の強化部が、接着剤を分配孔内周縁に塗布することにより形成されたものであること;上記分配孔内周縁の強化部が、分配孔をレーザー裁断によって形成する際に同時に形成されたものであること;上記分配孔内周縁の強化部が、加熱体を分配孔内周縁部に直接接触させることにより形成したものであること。
また、上記第1の態様、第2の態様のいずれにおいても、上記織物製ホースを構成する糸の総繊度が1400dtex以下であり、且つ下記式で求められる該織物製ホースのカバーファクターCFが、経糸方向[CF(経糸)]、緯糸方向[CF(緯糸)]共に1000〜2000であることが望ましい。
Figure 0004384527
さらに、上記のインフレーターガス導入ホースを有する側面衝突用エアバッグ装置も本発明に包含される。
本発明のインフレーターガス導入ホースでは、高圧ガスの流通に対する耐久性を保持しつつ、折り畳み性の向上や軽量化が図られており、該インフレーターガス導入ホースを用いたエアバッグ装置において、コンパクト化や軽量化が達成できる。また、本発明のインフレーターガス導入ホースでは、その耐久性が良好であることから、側面衝突用エアバッグ装置にも好ましく適用できる。
本発明の側面衝突用エアバッグ装置は、コンパクト化、軽量化が可能であり、インフレーターガス導入ホースに基づくトラブルの発生も抑制されており、優れた品質のものである。
本発明者等は、側面衝突用エアバッグ装置に好適なインフレーターガス導入ホースにおいて、基布強度や、分配孔を有する態様(第2の態様)では、分配孔周辺部の強度を高めて高圧ガスの流通の際の耐久性を向上させつつ、ホースの柔軟性を損なう一因であるコート剤(ゴムまたは合成樹脂)の量を低減することで、上記課題が解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。
なお、本発明のインフレーター導入ホースは、車両の側面衝突用エアバッグ内に設置する場合に限らず、運転席用や助手席用のエアバッグ装置、運転席または助手席に設置されるニーエアバッグ装置など種々のエアバッグ装置に用いることができる。
以下、本明細書では、最初に、第1の態様、第2の態様に共通する事項について説明し、続いて、第2の態様に特有の事項、本発明のインフレーターガス導入ホースが適用される側面衝突用エアバッグ装置の順に説明する。
<インフレーターガス導入ホース>
[第1の態様、第2の態様に共通する事項]
本発明のインフレーターガス導入ホースでは、従来のインフレーターガス導入ホースにおいて、ガス遮断性や補強を目的として適用されているコート剤(ゴムまたは合成樹脂)の量を低減することで、折り畳み性や軽量化を達成している。他方、コート剤の量を低減する関係上、ホース織物(ホース基布)の強度やガス遮断性を確保する必要がある。
本発明のホースでは、ホース織物の織組織を緻密化することで、その強度やガス遮断性の向上を図り、コート剤の適用量の低減を達成している。
また、インフレーターガス導入ホースの折り畳み性や軽量化を達成するには、ホースを構成する織物の表面凹凸を小さくして、凹部にコート剤が堆積することを抑制し、コート厚みを薄く均一にして、その作用を最大限に引き出すと共に、厚み斑などの発生も抑制してその柔軟性を確保することが好ましい。本発明のホースでは、上記の通り、ホース織物の織組織の緻密化により、ホース基布の表面凹凸の低減も達成している。
本発明のホースの織組織を緻密化する観点からは、該ホースを、より細い糸で構成することが好ましい。具体的には、ホースを構成する糸(経糸、緯糸とも)の総繊度が、110dtex以上、より好ましくは167dtex以上、更に好ましくは235dtex以上であって、1400dtex以下、より好ましくは700dtex以下、更に好ましくは585dtex以下であることが推奨される。
経糸の総繊度が上記範囲を下回ると、ホース長手方向の強度が不十分となることに加えて、織物の織密度を高めるには、多量の糸が必要となり、その準備に時間がかかるなど経済的に不利である。また、緯糸の総繊度が上記範囲を下回ると、織物の織密度を高めるためには、製織時に多数の打ち込みを行わなければならず、製織生産性が低下し、経済的に好ましくない。他方、総繊度が上記範囲を超えると、ホース自体が嵩高くなり、エアバッグ内への収納時の作業性が悪化したり、その後、エアバッグを折り畳み、ピラー内へ収納する際の収納性が悪くなるため、好ましくない。
ホースを構成する糸は、撚糸や加工糸であってもよく、モノフィラメントであっても構わないが、製織後の織物表面の凹凸を小さくするためには糸を構成するフィラメントが細い方が好ましいため、フィラメント原糸で構成される糸が好ましい。なお、上記の総繊度は、撚糸の場合には撚糸自体の総繊度を、加工糸の場合には、加工後の総繊度を意味している。
また、ホースを構成する糸の単糸繊度は、10dtex以下であることが望ましい。特に、緯糸(ホース円周方向に用いる糸)の単糸繊度は、柔軟なホースとする観点から、8dtex以下であることがより好ましく、4dtex以下であることが更に好ましく、3dtex以下であることが特に好ましい。なお、単糸繊度の下限は、1dtexであることが望ましい。
ホース構成糸を構成する繊維の種類は特に限定されないが、例えば、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などを用いることができる。また、ホース構成糸の強度は、解反糸強度で5cN/dtex以上が好ましく、より好ましくは6cN/dtex以上であり、さらに好ましくは7cN/dtex以上である。解反糸強度とは、ホースを構成している経糸および緯糸をほぐし、該糸に付着しているゴムや合成樹脂を除去した後に測定した強度を意味する。
なお、上記解反糸強度のみならず、上記の総繊度、単糸繊度についても、ホースから解反した糸について求められる値をいう。こうした総繊度、単糸繊度、解反糸強度を有する糸で構成されるホースを得るに当たっては、原料糸として、総繊度、単糸繊度、強度が解反糸と同じ範囲内にある糸を用いればよい。
本発明のホースの織組織は、特に限定されないが、強度に優れることや織物表面の凹凸を小さくできること、更には、構成糸の目ズレの発生も抑えられることから、平織や綾織、朱子織が好ましい。例えば、ホースのうち、収納の際に折り畳まれる位置(折り曲げられる位置)に当たる箇所では、綾織や朱子織など、経糸・緯糸の交絡点が少ない組織を使用し、他の箇所は平織とすることもできる。なお、詳しくは後述するが、分配孔を設ける箇所には、経糸・緯糸が互いに交差・拘束しており、糸が抜け難い組織である平織を採用することが望ましい。
本発明のホースでは、織組織の緻密化を図るに当たり、より細い糸を用いると共に、その織密度を高めている。具体的には、一般に織密度の指標として用いられている下記式により求められるCFが、CF(経糸)、CF(緯糸)共に1000以上であることが好ましく、1100以上であることがより好ましい。ホース織物のCFを上記下限値以上とすることで、強度やガス遮断性に優れたホースとすることができる。
Figure 0004384527
ホース織物のCFが小さすぎると、強度やガス遮断性が低下傾向にある他、コート剤によるコートをする場合には、織り目間にコート剤が浸入し易く、コート剤の適用量が増大して軽量化や折り畳み性の向上が図り難くなることがある。また、分配孔を設ける場合には、インフレーターからガスが通過したときに、分配孔周辺でほつれが発生し易くなる。
他方、ホースの軽量化を考慮すると、ホース織物のCFは、2000以下とすることが望ましい。
本発明のホースを製織する織機としては、直接ホース状の織物を製織できる環状織機、シャトル織機、ニードル織機の他に、ウォータージェットルームやレピアルームなどの汎用織機などの使用も可能である。上記汎用織機を使用して得られる広幅の織物を用いる場合には、この織物を適宜裁断し、両端部を縫製したり、接着・溶着したりして筒状(第2の態様の場合には、長手方向の端部も閉じて袋状としてもよい)に加工すればよい。ただし、織物表面の凹凸を小さくすることや、両端部の縫製糸周りの厚み増大の抑制、更には製織コスト上の有利さを考慮すると、ドビー装置付きウォータージェットルームやドビー装置付きレピアルームなどの汎用織機を使用して、織機上で一度にホース状体とすることがより好ましい。
こうして得られるホース織物の内径は、2cm以上、より好ましくは3cm以上であって、6cm以下、より好ましくは5cm以下とすることが望ましい。ホース織物の内径が小さすぎると、インフレーターからのガスが流入した際に、内部での圧力損失が大きくなり、部分的な破損が発生し易くなる。他方、内径が大きすぎると、エアバッグ装置内への収納性が低下するため、好ましくない。
製織後のホースには、必要に応じて、ホース強度やガス遮断性を高めたり、分配孔を形成する場合には、該分配孔の耐久性を高める目的で、コート剤によるコートを行う。ただし、上述した通り、コート剤はホースの柔軟性を損なう要因となるものであるため、その量を低減して、ホースの柔軟性を確保し、その折り畳み性を向上させる。
具体的には、ホース表面をコートするためのコート剤の量を、コート前のホース質量に対して、25質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは15質量%未満とする。コート剤量が多すぎると、ホースの柔軟性が損なわれると共に、厚みも大きくなって収納性が低下する他、ホース質量も増大してしまう。
なお、コート剤を用いなくても、インフレーターガス導入ホースとして十分に機能し得る場合には、所謂ノンコートホースとしてもよい。よって、コート剤量の下限は、0質量%である。ただし、分配孔を設ける場合などにおいて、コート剤による補強をすることが望ましいときには、その効果を十分に確保する観点から、コート剤量を、コート前のホース質量に対して5質量%以上で用いることが望ましい。ここで、上記の各コート剤量は、全て乾燥後の量である。
コート剤の質量は、コート前後でのホースの質量を測定することにより得られるが、その他に、コート剤のみを溶解し得る溶剤を用いてコート後のホースからコート剤のみを溶解除去し、残されたホース(織物)のみの質量を測定し、この値とコート後のホース質量からコート剤量を求める方法、またはホース織物の構成繊維のみを溶解し得る溶剤を用いてコート後のホースから該構成繊維のみを溶解除去し、コート剤のみの質量を測定する方法も採用できる。
上記コート剤に使用可能なゴムとしては、ネオプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。これらの中でも、熱に対する耐性に優れるという点からはシリコーンゴムが好ましく、より好ましい具体例としては、熱硬化型付加重合シリコーンゴム、二液型RTV(室温硬化型)シリコーンゴムなどが挙げられる。なお、上記シリコーンゴムには、接着性を向上させるために、アミノ系シランカップリング剤、エポキシ変性シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、クロル系シランカップリング剤などを添加することも有効である。
コート剤として使用可能な合成樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなどを用いることができる。
ホースの柔軟性を高めて折り畳み性を向上させる観点からは、コート剤自体の柔軟性を高めることも有効である。例えば、シリコーンゴムであれば、一定伸張時の応力が低い低モジュラスタイプのシリコーンゴムを用いることで、シリコーンゴムの影響によりコート後のホースの剛性が高まることを抑制し、ホースの折り曲げ・丸め時に、シリコーンゴムの作用による反発性を抑えて、ホースの折り畳み性をより高度に保持できる。
上記コート剤をホース表面に適用する方法は限定されず、製織されたホースを直接液状のコート剤(組成物)中に浸漬させる方法や、液状のコート剤(組成物)をホース表面に刷毛などで塗布する方法などの任意の塗布法;コート剤で構成されるフィルムを織物表面に貼り合わせてコートする方法;などが採用できる。なお、コート剤を塗布法によりホース表面に適用する場合には、コート剤(組成物)は液状であるが、常温で液状のゴムなどは、そのまま塗布してもよく、必要に応じて好適な溶剤に溶解または分散させて用いてもよい。また、常温で固体のゴム、合成樹脂では、その種類に応じて通常適用される溶剤を適宜選択し、該溶剤に溶解または分散させて塗布に用いればよい。
また、上記範囲のコート剤量で、良好にコートするには、上記の各構成・手法の採用によりホース織物表面の凹凸を小さくしておくことに加えて、液状のコート剤(組成物)を塗布する場合では、コート刃で織物の表面凹凸に沿ってコート剤を掻き取るようにコーティングする手法を採用し、コート刃の織物に接する面積を極めて小さく設定することが好ましく、また、コート剤で構成されるフィルムを貼り付ける場合では、非常に薄いフィルムを用いることが好ましい。
液状のコート剤(組成物)を、上記コート刃を用いてコーティングする場合、コーティングする方向に直交する方向(通常は織物緯糸方向)の織物の目曲がりが小さい方が好ましい。目曲がりが大きいと、コート刃を織物組織に沿って動かそうとしても、コート刃と緯糸が略平行にならないため、均一にコート剤を掻き取ることができず、薄く且つ均一にコーティングすることが困難となるからである。
具体的な目曲がりの程度としては、例えば、JIS L 1096 8.11の規定に準じて測定されるホース幅方向(緯糸方向)の布目曲がり率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。なお、布目曲がり率は、ホースを扁平状に折り畳んだときに、ホース長手方向に直交するように、ホース幅方向の端部から他方の端部に交わる線を引いたとき、この線分の長さを上記JIS法で示すa(mm)として測定すればよい。上記布目曲がり率を達成するには、例えば、製織後、織機から送り出されたホース織物を巻き取るまでの工程において、ホース織物自体の屈曲を防ぐことが推奨される。すなわち、製織後のホース織物をロールなどを用いて送り、次工程などに供したりする際に、できるだけホース織物が屈曲しないように送りロールなどを配置することが望ましい。また、ホース織物のCFを上記範囲になるように設計してその織組織を緻密化し、ホース構成糸のズレを抑制することも効果的である。
コート後のホース(ノンコートの場合はホース織物)の質量は、軽量化の観点から、2000g/m以下であることが好ましく、より好ましくは1500g/m以下、更に好ましくは1000g/m以下である。ここで、ホース質量を単位面積当たりの質量で表現したが、ここでいう単位面積は、ホースを扁平状に押しつぶした状態での面積を意味する。また、収納後の嵩高さの低減の観点から、コート後のホース(ノンコートの場合はホース織物)の厚みは、2mm以下が好ましく、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下である。
[第2の態様に特有の事項]
本発明のインフレーターガス導入ホースの第2の態様は、特有の構成として、1個以上の分配孔を有する。この分配孔周辺部は、本発明のホースにおいて、最も弱い部分であり、エアバッグ展開の際に高圧のガスが通過することで、破損を受け易く、エアバッグ装置で発生するトラブルの原因になり易い箇所である。通常は、コート剤の適用により分配孔の補強することが行われているが、本発明ではコート剤の適用量を最低限とする関係上、分配孔の耐久性が他の手法により高められていることが要求される。
分配孔周辺部の耐久性としては、ホースの分配孔周辺の引抜き最大抵抗値が、70N/3cm以上に高められていることが好ましい。ここで、引抜き最大抵抗値とは、JIS L1096 8.21.3に規定される織物の試験方法によって求められる織物の強度を示す値のことである。具体的には、ガス分配孔部分を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように、幅3cm、長さ5cmの試料を切り出して緯および経試料を作製し、次いで、得られた試料の端部(ガス分配孔部分)から3mmの位置にピンを指し込み、該試料を織物引張り試験機に取り付けた後、引張りスピード15cm/minで引張ったときに得られる値のことである。
なお、ガス分配孔を構成する辺が、経糸および緯糸に直交しない場合や、円形である場合であっても、同様にガス分配孔部分を試料の端部とし、該分配孔部分の最も突出した部分を基準として、試料の経方向あるいは緯方向がホース基布の経糸および緯糸方向にそれぞれ直交するように上述のサイズで試料を切り出し、分配孔部分より3mmの位置にピンを差し込んで引張り試験を行えばよい。また、ガス分配孔の一辺が3cmよりも小さい場合には、実際の分配孔のサイズを基準として、上述の方法で試料を作製して同様に測定した後、得られる数値を3cmに換算すればよい。
上記のようにして測定される引抜き最大抵抗値が小さすぎると、インフレーターから噴出した高圧ガスがエアバッグの膨張部に送られて、分配孔部分を瞬間的に通過する際に、分配孔部分の経糸および/あるいは緯糸の一部がほつれて分配孔の形状が変形し、配孔が設計サイズよりも大きくなってしまう。このようにガス分配孔が変形し拡大すると、当該部分からのガス流出量が設計値以上に多量となり、エアバッグの膨張形態が一様とならず、特に複数の膨張部を有するエアバッグの場合には、特定部分のエアバッグ膨張部に過度のガスが導入されて破裂するおそれが生じ、衝突時の衝撃緩和機能が著しく損なわれることがある。また、分配孔端部がほつれてエアバッグ内に散乱すると、これが溶融することでエアバッグの破裂を引き起こす虞もある。より好ましい引抜き最大抵抗値は、100N/3cm以上、更に好ましくは160N/3cm以上である。
分配孔の形成は、ホース織物の製織後に行ってもよく、上記のコート剤によるコートを実施する際には、コート後に形成しても構わない。分配孔の個数には制限はなく、エアバッグの大きさや膨張形態などを考慮して適宜決定すればよい。また、分配孔の大きさは、0.25cm以上、より好ましくは1cm以上であって、16cm以下、より好ましくは9cm以下であることが望ましい。分配孔が大きすぎると、該分配孔部分からのインフレーターガスの流量が多くなり、局所的に加温されて当該部分から破壊が進み、エアバッグの膨張形態が不均一となり、エアバッグ本体の破壊につながる虞がある。一方、分配工が小さすぎると、瞬時にエアバッグを展開させるために多数の分配孔を形成しなければならず、加工の手間やコストがかかるため好ましくない。分配孔の形状は特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、三角形、その他曲線を持つ形状(円形、楕円形など)などが挙げられる。
なお、分配孔は、その個数や形成位置を、エアバッグとの関係から適正にすると共に、エアバッグ本体が満遍なく一様に膨張し得るように、インフレーターに近接する部分と離れた部分とで、その大きさを適宜調節することが好ましい。このようにすることで、展開時のエアバッグの膨張形態をコントロールすることができるからである。
分配孔の形成は、例えば、刃物を用いて裁断(打ち抜き)する方法や、レーザーを用いて裁断する方法などが採用できるが、本発明の第2の態様において、分配孔周辺部の強度を高め、上記の引抜き最大抵抗値を確保するためには、分配孔周辺に強化部を設けることが好ましい。強化部は、(1)レーザー裁断によって分配孔を設ける際に同時に分配孔周辺部の繊維を溶融・溶接させる方法;(2)予め形成したガス分配孔断面に加熱体を直接接触させて周辺部の繊維を熱により溶融、溶接させる方法;(3)接着剤を使用して当該部分の繊維を接着する方法;などで形成することができる。
接着剤を用いて強化部を形成する場合には、分配孔の打ち抜き断面へ直接接着剤を付与する方法の他に、ホース外表面および/または内表面のガス分配孔打ち抜き線から1cm以内の部分に接着剤を付着させて固化させてもよい。このようにすることで強化部の強度を一段と高めることができる。なお、このときに使用する接着剤は特に限定されないが、瞬間接着剤のように短時間で固化が完了するものが好ましく、具体的には、短時間で接着性を発現でき、耐熱性にも優れるシアノアクリレート系接着剤(例えば、セメダイン社製3000DXシリーズ)などが挙げられる。
また、上記のようにして設けた強化部の強度をさらに向上させるため、加熱体を分配孔打ち抜き端面に接触させ1mm程度押し込むようにして溶着を進めることも有効である。この際の加熱体としては、熱コテや加熱ブロック体などが使用できる。
上記の通り、ホースの織組織としては、例えば、平織、綾織、朱子織などが好適であるが、分配孔周辺部は、高圧のインフレーターガスが通過する際に、最も力を受け易く、糸のほつれが発生し易い箇所であるため、そのほつれを防止する観点からは、該分配孔周辺部の織組織は平織とすることが望ましい。例えば、分配孔の縁からホース本体側に3mm以上、より好ましくは5mm以上の箇所では、平織とすることが推奨される。ただし、平織を採用するに当たっても、ホース自体の収納性を阻害しない程度とすることが望ましく、また、全く平織部分を設けなくても、本発明のホースを得ることは可能である。
また、コートホースの場合には、コートする部分を、分配孔の周辺部(例えば、分配孔の縁からホース本体側に10mm程度の領域)のみとし、他の部分はノンコートとすることで、コート剤量を低減しつつ分配孔周辺部の効果的に補強することもできる。図1に分配孔周辺部のみをコートした本発明のホースの模式図を示す。また、図2は、図1のA−A線の端面を表す図である。1がホース、2がノンコート部、3がコート部、4が分配孔である。
<側面衝突用エアバッグ装置>
本発明の側面衝突用エアバッグ装置は、ガス発生部であるインフレーターと、インフレーターガスにより膨張するエアバッグと、このエアバッグにインフレーターガスを導入するホース(本発明のホース)を有するものである。
一般に、エアバッグは、インフレーターからのガスにより膨張し、車両の衝突時に乗員を拘束して保護するものであるから、インフレーターガス導入による急激な膨張と車両衝突時の乗員との衝撃に対して十分な強度を備えると共に、乗員に与える衝撃が小さいものでなければならない。このような観点から、エアバッグ本体は、例えば、ポリアミド系繊維やポリエステル系繊維などを用いた織物であるのが好ましい。また、インフレーターガス導入ホースと同様、エアバッグからのガス漏れ防止や強度などの諸特性の向上を目的として、その表面をゴムや合成樹脂でコーティングしてもよく、このコート剤としては、ホース用として上で例示したものが使用できる。
上記エアバッグの本体を構成する繊維は、繊度が200dtex以上、600dtex以下のものが好ましい。繊度が大きすぎると、製織されたエアバッグが嵩高くなって収納性不良となり、他方、繊度が小さすぎると十分な基布強度が得られ難くなり、ガス分配孔を多数設けてインフレーターガスの分配をコントロールしても、ガス分配孔付近がバーストする可能性が生じてくるので好ましくない。より好ましくは、300dtex以上、500dtex以下である。
側面衝突用エアバッグ本体を構成するマルチフィラメントの単糸繊度は、2dtex以上、10dtex以下のものが好ましく、より好ましくは3dtex以上、6dtex以下である。単糸繊度が大きすぎると、基布の剛性が高くなりすぎて収納性が低下するばかりか、エアバッグ膨張時の乗員に対する衝撃も大きくなるからである。他方、単糸繊度が小さすぎると、製織時に単糸切れなどを起こし易くなるので好ましくない。
上記エアバッグ本体の製造方法は限定されず、公知の製織方法によって製造することができる。
上記のようにして得られたインフレーターガス導入ホースは、エアバッグ本体内に配設した後、インフレーターに装着する。なお、エアバッグ本体とインフレーターガス導入ホースとは、ホース縁部でエアバッグ本体と縫製あるいは接着などの手段によって一体化させても良いが、上記ホースはインフレーターに固定されているため特に一体化させなくても良い。
このようにして得られた側面衝突用エアバッグは折り畳まれて、車両のセンターピラーやフロントピラーなどに収容され、側面衝突用エアバッグ装置となる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例で行った評価方法は、以下の通りである。
(1)厚み測定
JIS L 1096 8.5.1の規定に準じて測定する。
(2)質量
JIS L 1096 8.4.1の規定に準じて測定する。
(3)折り曲げ易さ試験
内径:50mm、長さ:40cmのポリアミド66繊維製筒状織物[ポリアミド66繊維:350dex/108フィラメント(f)の原糸使用、経織密度:59本/2.54cm、緯織密度:59本/2.54cm]の中に、各実験例で得られたホース(長さを40cmに裁断したもの)を完全に挿入し、ホース長手方向と直交する方向(ホース緯糸方向)の中央部で1回折り曲げ、更に再度同方向の中央部で1回折り曲げたときの折り曲げ性を下記基準に従って評価する。A:2回とも容易に折り曲げられる、B:無理をしたら2回とも折り曲げられる、C:折り曲げられない。
(4)分配孔ほつれ評価(ホース内への加圧ガス導入後の分配孔ほつれ評価)
各実験例(分配孔を設けたもの)で得られたホース(長さ:2m)の片端を縫製して閉じ、他端(開放端)から、初期圧力:400kPa、容積:5リットルに加圧した窒素ガスを導入し、その後の分配孔の状態を観察する。評価は、窒素ガス導入口に一番近い分配孔周縁部のほつれ具合を5段階で評価し、A:形状の変形がほとんど認められない、B:形状の変形がほんの少し認められる、C:形状の変形が少し認められる、D:形状の変形がかなり認められる、E:形状の変形が甚だしく認められる、として、評価がC以上であるものを合格とする。
実験1<インフレーターガス導入ホースの作製>
実験例1
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維で構成される糸で、経糸、緯糸とも470dtex/72fを用いて、ドビー装置付きレピアルームでジャケット(コート前のホース織物)を袋織で製織し、その後、95℃湯中での洗浄工程、および180℃での乾燥セット工程を経て、袋部が68mm、隣り合う袋部同士の間(以下、「綴じ部」という)が20mm、全幅が143cmになるように、16列の袋部が経糸方向に平行に並ぶ織物を得た。袋部の織密度およびCFを表1に示す。
この多列織広幅織物の両面に、添加剤(WACKER社製「Adhesion Promoter HF86」)を含むコート剤(シリコーン樹脂:WACKER社製「ELASTOSIL LR6200」)を、片面当たりの塗布量が25g/mとなるようにナイフコート法で塗布し、170℃で2分硬化させた。その後、経糸に平行に袋部境界部から10mmの部分で、全長が50cmとなるようにヒートカットし、インフレーターガス導入ホース(分配孔を有しないホース)を得た。得られたホースを扁平状に畳んだ時の全幅は88mm、長さは50cmであった。このホースの評価結果を表1に示す。
実験例2
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維で構成される糸で、経糸、緯糸とも470dtex/72fを用いて、ドビー装置付きウォータージェットルームでジャケットを袋織で製織し、その後、95℃湯中での洗浄工程、および180℃での乾燥セット工程を経て、袋部が68mm、綴じ部が20mm、全長が139cmになるように、16列の袋部が経糸方向に平行に並ぶ織物を得た。袋部の織密度およびCFを表1に示す。
この多列織広幅織物を、経糸に平行に袋部境界部から10mmの部分で、全長が2mとなるようにヒートカットしてホースを得た。得られたホースを扁平状に畳んだ時の全幅は88mm、長さは2mであった。このホースの片端を、樹脂加工ナイロン66糸(1400dtex)を使用して、2.5mmピッチで本縫い(3列縫製)して閉じ、ホース開口端から30cmおきに、1辺が3cmの正方形の分配孔5個打ち抜いた。分配孔形成後のホースを図3に示す。図3中、5が縫製部、6が綴じ部、7が袋部である。この打ち抜き部の径糸および緯糸断面に直接熱コテを接触させ、該分配孔周縁の繊維同士を500℃で8秒間加熱して溶融・溶接させることにより、ガス分配孔周縁に強化部を有するインフレーターガス導入ホースを得た。このときの分配孔の各辺は、ジャケットの経糸および緯糸に直交するように形成した。このインフレーターガス導入ホースの評価結果を表1に示す。
実験例3
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維で構成される糸で、経糸、緯糸とも470dtex/144fを用いて、ドビー装置付きレピアルームでジャケットを袋織で製織し、その後、95℃湯中での洗浄工程、および180℃での乾燥セット工程を経て、袋部が68mm、綴じ部が20mm、全幅が143cmになるように、16列の袋部が経糸方向に平行に並ぶ織物を得た。袋部の織密度およびCFを表1に示す。
この多列織広幅織物の両面に、実験例1と同じ添加剤を有するコート剤を、実験例1と同様にして、片面当たり44g/mの塗布量となるように塗布し、実験例1と同じ条件で硬化させた。その後、経糸に平行に袋部境界部から10mmの部分で、全長が2mとなるようにヒートカットしてホースを得た。得られたホースを扁平状に畳んだ時の全幅は88mm、長さは2mであった。このホースについて、実験例2と同様にして片端を閉じると共に、分配孔を設け、更に分配孔周縁に強化部を形成して、インフレーターガス導入ホースを得た。このインフレーターガス導入ホースの評価結果を表1に示す。
実験例4
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維で構成される糸で、経糸は470dtex/72fの5本撚、緯糸は470dtex/72fの、ホースでは見掛け上10本撚となるように5本撚を使用し(5本撚の2本引き揃え)、ニードル織機を用いて、平織で、からみ部幅4mmで織り、全幅7.5cm(ホース内径:4.5cm)となるようにジャケットを製織した。得られたジャケットの織密度およびCFを表1に示す。
得られたジャケットを扁平状に折り畳み、実験例1と同じ添加剤を有するコート剤中に浸漬してから取り出し、塗布量が均一となるように余剰なコート剤をしごき板でしごいて除去することによって、均一両面コートを施し、170℃で2分間硬化させた。なお、このときのコート剤塗布量は、片面当たり42g/m(幅)であった。
その後ホースを2mの長さに裁断し、実験例2と同様にして片端を閉じると共に、分配孔を設け、更に分配孔周縁に強化部を形成して、インフレーターガス導入ホースを得た。このインフレーターガス導入ホースの評価結果を表1に示す。
実験例5
強度8.1cN/dtexのポリアミド66繊維で構成される糸で、経糸は470dtex/72fの5本撚、緯糸は470dtex/72fの、ホースでは見掛け上10本撚となるように5本撚を使用し(5本撚の2本引き揃え)、ニードル織機を用いて、平織で、からみ部幅4mmで織り、全幅7.5cm(ホース内径:4.5cm)となるようにジャケットを製織した。得られたジャケットの織密度およびCFを表1に示す。
得られたジャケットを2mの長さに裁断し、実験例2と同様にして片端を閉じると共に、分配孔を設け、更に分配孔周縁に強化部を形成して、インフレーターガス導入ホースを得た。このインフレーターガス導入ホースの評価結果を表1に示す。
Figure 0004384527
表1から分かるように、実験例1〜3のインフレーターガス導入ホースでは、折り畳み性が良好であり、また、実験例2および3のインフレーターガス導入ホースでは、分配孔周辺部の強化も達成されており、高圧ガス流通時の耐久性が良好で、いずれも信頼性の高いホースである。
これに対し、実験例4のインフレーターガス導入ホースでは、厚みが大きく、コート剤量も多い。そのため、実験例4のインフレーターガス導入ホースでは、分配孔周辺部の強化は達成されているものの、折り畳み性が不良である。また、実験例5のインフレーターガス導入ホースでは、ノンコートであるが、分配孔周辺部の強化がやや不十分であり、高圧窒素ガス流通時には外表面からガスの漏れが発生し、信頼性が低いホースであった。更に、実験例5のホースでは、折り畳み性はやや良好であるものの、厚みが大きいため、実験例1〜3のホースに比べて劣っている。
実験2<側面衝突用エアバッグ装置の作製>
実験例6
初期圧力が300kPaのインフレーター、および展開時の膨張部を有し且つ全長:1.9m、全幅:50cmのエアバッグを用い、分配孔を7個に変更した他は実験例2と同様にして作製したインフレーターガス導入ホースを用いて、側面衝突用エアバッグ装置を得た。
実験例7
分配孔を7個に変更した他は実験例3と同じようにしてインフレーターガス導入ホースを作製した。このインフレーターガス導入ホースを用いた他は、実験例6と同様にして側面衝突用エアバッグ装置を得た。
実験例8
分配孔を7個に変更した他は実験例4と同じようにしてインフレーターガス導入ホースを作製した。このインフレーターガス導入ホースを用いた他は、実験例6と同様にして側面衝突用エアバッグ装置を得た。
実験例9
分配孔を7個に変更した他は実験例5と同じようにしてインフレーターガス導入ホースを作製した。このインフレーターガス導入ホースを用いた他は、実験例6と同様にして側面衝突用エアバッグ装置を得た。
実験例6および7のエアバッグ装置では、折り畳み性が良好で、且つ作動させると設計通りにエアバッグが膨張した。これに対し、実験例8のエアバッグ装置では、インフレーターガス導入ホースの収納性が悪く、実験例9のエアバッグ装置では、作動時にエアバッグ膨張部が均一に展開せず、またインフレーターに近いインフレーターガス導入ホースの分配孔の箇所に位置するエアバッグ本体部分が破損してしまった。
本発明のインフレーターガス導入ホースの第2の態様の一例を示す側面模式図である。 図1のA−A線の端面を表す図である。 実施例で作製したインフレーターガス導入ホースの側面模式図である。
符号の説明
1 インフレーターガス導入ホース
2 ノンコート部
3 コート部
4 分配孔
5 縫製部
6 綴じ部
7 袋部

Claims (9)

  1. エアバッグ装置に配され、エアバッグ作動時にインフレーターからのガスをエアバッグ内部へ導入分配するための分配孔を1個以上有してなる織物製ホースであって、
    該織物製ホースを構成する糸の総繊度が1400dtex以下であり、且つ、下記式で求められる該織物製ホースのカバーファクターCFが、経糸方向[CF(経糸)]、緯糸方向[CF(緯糸)]共に1000〜2000であり、
    該ホース表面をコートするためのゴムまたは合成樹脂の量が、コート前のホース質量に対して、0質量%以上25質量%未満であり、
    上記分配孔の内周縁に強化部が形成されており、且つ
    上記分配孔を端部とし、ホースを構成する織物の、経、緯糸方向のそれぞれに試料幅方向が直交するように切り出された、幅3cm、長さ5cmの試料について、JIS L1096 8.21.3に規定されるピン引掛け法により測定される引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも220N/3cm以上であることを特徴とするインフレーターガス導入ホース。
    Figure 0004384527
  2. 上記引抜き最大抵抗値が、経、緯方向のいずれも250N/3cm以上である請求項に記載のインフレーターガス導入ホース。
  3. 上記分配孔内周縁の強化部が、接着剤を分配孔内周縁に塗布することにより形成されたものである請求項1または2に記載のインフレーターガス導入ホース。
  4. 上記分配孔内周縁の強化部が、分配孔をレーザー裁断によって形成する際に同時に形成されたものである請求項1または2に記載のインフレーターガス導入ホース。
  5. 上記分配孔内周縁の強化部が、加熱体を分配孔内周縁部に直接接触させることにより形成したものである請求項のいずれかに記載のインフレーターガス導入ホース。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のインフレーターガス導入ホースを用いるものであることを特徴とする側面衝突用エアバッグ装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインフレーターガス導入ホースの製造方法であって、
    袋部とこれに隣り合う綴じ部とが平行に多数形成された多列織広幅織物を袋織で製織した後、カットすることを特徴とするインフレーターガス導入ホースの製造方法。
  8. 上記多列織広幅織物の表面にゴムまたは合成樹脂をナイフコート法で塗布した後、カットする請求項7に記載のインフレーターガス導入ホースの製造方法。
  9. ドビー装置付きウォータージェットルーム又はドビー装置付きレピアルームにより上記多列織広幅織物を製織する請求項7または8に記載のインフレーターガス導入ホースの製造方法。
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