JP2017087864A - 頭部保護エアバッグ - Google Patents

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正晃 奥原
Masaaki Okuhara
正晃 奥原
功士 河村
Koji Kawamura
功士 河村
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Abstract

【課題】窓の上縁側に円滑に収納させることができ、かつ、乗員保護性能も確保可能な頭部保護エアバッグを提供すること。
【解決手段】経糸と緯糸とからなる袋織りによって形成されて、外表面を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成とされ、膨張用ガスを流入させて車内側壁部23Aと車外側壁部23Bとを離隔させるように膨張するガス流入部22と、ガス流入部22と隣接して配置される非流入部46と、を備える頭部保護エアバッグ20。車内側壁部23A及び車外側壁部23Bが、それぞれ、非流入部46との境界を構成する周縁境界部24と、周縁境界部24に囲まれた一般壁部25と、を備える。一般壁部25が、交錯度を周縁境界部24よりも低く設定される低交錯部LCから、構成される。低交錯部LCが、織り組織を、n×m組織(n,mはともに1以上の整数、ただし、1×1組織を除く)から、構成される。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両の窓の車内側における上縁側に折り畳まれて収納されるもので、経糸と緯糸とからなる袋織りによって形成されるとともに、外表面を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成の頭部保護エアバッグに関する。
袋織りにより形成される頭部保護エアバッグは、膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離隔させるように膨張するガス流入部と、ガス流入部と隣接して配置されて膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備える構成とされている。そして、従来では、非流入部において、ガス流入部との境界部位から、ガス流入部から離れる側にかけての織り組織を変化させて、ガス流入部と非流入部との境界部位の気密性を確保している頭部保護エアバッグがあった(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2003−267176公報 国際公開第2005/031052号パンフレット
しかし、従来の頭部保護エアバッグでは、ガス流入部を構成する車内側壁部及び車外側壁部は、織り組織を変化させるものではなく、全体を、1×1組織の平織りから、構成されている。平織りは、経糸と緯糸との交錯点の度合いを示す交錯度が高く、丈夫であるが、織成した基布の柔軟性に欠ける場合がある。頭部保護エアバッグは、下縁側を上縁側に接近させるように、上下方向の幅寸法を縮められて、折り畳まれた長尺状の折り完了体として、窓の上縁側に収納される構成である。窓の上縁側は、狭く、また、車体側の部材に合わせて、折り完了体を、部分的に屈曲させつつ収納させる必要がある場合もあって、このような場合に、折り畳まれた頭部保護エアバッグ(折り完了体)を、円滑に収納部位に収納させる点に、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、窓の上縁側に円滑に収納させることができ、かつ、乗員保護性能も確保可能な頭部保護エアバッグを提供することを目的とする。
本発明に係る頭部保護エアバッグは、車両の窓の車内側における上縁側に折り畳まれて収納されるもので、経糸と緯糸とからなる袋織りによって形成されるとともに、外表面を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成とされ、
膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離隔させるように膨張するガス流入部と、ガス流入部と隣接して配置されて膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備える構成の頭部保護エアバッグであって、
車内側壁部及び車外側壁部が、それぞれ、非流入部との境界を構成する周縁境界部と、周縁境界部に囲まれた一般壁部と、を備える構成とされ、
一般壁部が、少なくとも一部を、経糸と緯糸との交錯点の度合いを示す交錯度を周縁境界部よりも低く設定される低交錯部から、構成され、
低交錯部が、織り組織を、n×m組織(n,mはともに1以上の整数、ただし、1×1組織を除く)から、構成されていることを特徴とする。
本発明の頭部保護エアバッグでは、ガス流入部を構成する車内側壁部及び車外側壁部が、非流入部との境界を構成する周縁境界部に囲まれた一般壁部の少なくとも一部を、交錯度を低く設定される低交錯部から、構成している。一般に、同一の経糸及び緯糸を用いて織成する織布において、交錯点が多ければ(交錯度が高ければ)、織成される織布は、経糸と緯糸とが相互に滑りがたく、引張強度が高く、丈夫である反面、硬くなる。逆に、交錯点が少なければ(交錯度が低ければ)、織成される織布は、経糸と緯糸とが相互に滑りやすく、引張強度が低下するものの、柔軟性は増大することとなる。そして、本発明の頭部保護エアバッグでは、一般壁部の少なくとも一部を、交錯度を低く設定される低交錯部から構成することにより、一般壁部を、少なくとも一部を柔軟性を高めて構成することができる。そのため、上下方向側の幅寸法を縮めるように(一般壁部を幾重にも重ねるようにして)頭部保護エアバッグを折り畳んで形成される折り完了体において、低交錯部の配置される領域を屈曲させやすいことから、収納部位の形状(周囲の車体側の部材の形状)に容易に沿わせることが可能となって、窓の上縁側に円滑に収納させることができる。また、本発明の頭部保護エアバッグは、外表面側を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成であることから、一般壁部が柔軟性の高い低交錯部から構成されていても、気密性を確保することができて、この低交錯部の部位から、内部に流入した膨張用ガスが漏れることを抑制できる。さらに、本発明の頭部保護エアバッグでは、ガス流入部を構成する車内側壁部及び車外側壁部において、非流入部との境界を構成する周縁境界部は、低交錯部より交錯度を高く設定されていることから、低交錯部と比較して、引張強度が高く、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する際に、この周縁境界部の部位に応力集中が生ずることとなっても、この部位からガス漏れが生じることを、抑制することができて、充分な乗員保護性能を確保することができる。
したがって、本発明の頭部保護エアバッグでは、窓の上縁側に円滑に収納させることができ、かつ、乗員保護性能も確保することができる。
具体的には、本発明の頭部保護エアバッグにおいて、周縁境界部の織り組織を、1×1組織から、構成すれば、周縁境界部の引張強度を一層高くすることができて、ガス漏れを一層抑制することが可能となって、好ましい。
また、上記構成の頭部保護エアバッグにおいて、エアバッグを、折り畳み後に屈曲される屈曲予定部位を備える構成として、この屈曲予定部位に、低交錯部を配設させる構成とすれば、屈曲予定部を円滑に屈曲させることができる。
さらに、上記構成の頭部保護エアバッグにおいて、一般壁部の前後方向側の一部の領域を、状げの略全域にわたって低交錯部から構成してもよく、このような構成とする場合、例えば、折り完了体をこの低交錯部の部位で屈曲させる際に、一層円滑に折り完了体を屈曲させることができる。
さらに具体的には、一般壁部を、全域にわたって低交錯部から形成してもよく、このような構成とする場合、折り完了体を前後の略全域にわたって屈曲させやすく、収納部位への収納作業性が一層向上することとなって、好ましい。
さらにまた、上記構成の頭部保護エアバッグにおいて、非流入部を、ガス流入部との境界部位に配置される非流入境界部と、非流入境界部におけるガス流入部から離れた側に隣接して配置される非流入一般部と、を備える構成とし、
非流入境界部を、車内側壁部と車外側壁部とを結合させるように一枚状に袋織りした袋織り組織から構成し、
非流入一般部を、非流入境界部から車内側と車外側とに分離させるように織成される車外側部位と車内側部位との二枚から、構成し、
車外側部位及び車内側部位を、低交錯部と同一の織り組織から、構成するとともに、車外側部位若しくは車内側部位のうち少なくとも一方を織成する際に使用する経糸若しくは緯糸を他方の部位に織り込んで形成した接結部を、点在させて、構成することが、好ましい。
頭部保護エアバッグを上記構成とすれば、ガス流入部における車外側壁部及び車内側壁部の一般壁部に加えて、非流入部における車外側部位及び車内側部位も、低交錯部から構成されることから、折り完了体の柔軟性を、より一層向上させることができる。また、この非流入部における車外側部位及び車内側部位は、一般壁部と同一の織り組織から構成されることから、一般壁部と異なる織り組織から構成する場合と比較して、袋織り時に、エアバッグを安定して織成することができる。さらに、この非流入部における車外側部位及び車内側部位は、点在される接結部によって部分的に連結されることから、車外側部位と車内側部位とが相互にずれることも防止できて、エアバッグの折畳作業時等における取扱作業性が良好である。
さらにまた、上記構成の頭部保護エアバッグにおいて、エアバッグの上縁側に、窓の上縁側に取り付けられる取付片部を、上方に突出するように、形成し、
取付片部の織り組織を、周縁境界部と同一として、構成することが、好ましい。
頭部保護エアバッグをこのような構成とすれば、取付片部を、引張強度の高い織り組織から構成することができて、エアバッグの展開膨張時に、大きな引張力が作用しても、破損することなく、安定して、エアバッグの上縁側を窓の上縁側に取り付けておくことができる。
本発明の一実施形態である頭部保護エアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置を車内側から見た概略正面図である。 図1の頭部保護エアバッグ装置において、リヤピラー部の上方の領域を示す前後方向に沿った概略横断面図である。 実施形態のエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。 図3のエアバッグを構成するエアバッグ素材を平らに展開した状態を示す正面図である。 図4のV−V部位の部分拡大断面図である。 図4のVI−VI部位の部分拡大断面図である。 図4のエアバッグ素材における織りの領域を詳細に説明する概略部分拡大図である。 実施形態のエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を車内側から見た概略正面図である。 織り組織における交錯点を示す概略図であり、(A)は1×1組織の平織り、(B)は2×1組織の斜文織り、(C)は2×2組織の斜子織りを示す。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の頭部保護エアバッグ(以下「エアバッグ」と省略する)20は、車両Vの側面衝突時、若しくは、ロールオーバー時に、乗員の頭部を保護可能に構成されるもので、図1,8に示すように、車両Vに搭載される頭部保護エアバッグ装置Mに使用される。
頭部保護エアバッグ装置Mは、図1,8に示すように、エアバッグ20と、インフレーター14と、取付ブラケット11,16と、エアバッグカバー9と、を備えて構成されている。エアバッグ20は、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。
また、実施形態では、折り畳まれたエアバッグ20(折り完了体70)は、取付片部を取り付けられるボディ1側のインナパネル2に合わせて、屈曲させるようにして、収納されるもので、具体的には、図2に示すように、折り完了体70(エアバッグ20)は、後端側部位70bを、車内側Iに位置させるように、屈曲された状態で、収納されている。この折り完了体70の後端側部位70bは、図1,2に示すように、リヤピラー部RPの上方となる位置に収納される部位であり、リヤピラー部RPの車内側を覆うように配置されるリヤピラーガーニッシュ7は、窓W2よりも車内側に突出して配置され、この部位におけるインナパネル2も部分的に車内側に突出するように配置されることから、折り完了体70の後端側部位70bも、インナパネル2に沿って屈曲されることとなる。
エアバッグカバー9は、図1,2に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁から、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、それぞれ、ボディ(車体)1側のインナパネル2における車内側に、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ20の車内側を覆って、展開膨張時のエアバッグ20を車内側下方へ突出可能とするために、エアバッグ20に押されて車内側に開き可能に、構成されている。
インフレーター14は、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ20の後述するガス流入口部32に挿入させ、ガス流入口部32の外周側に配置されるクランプ15を用いて、エアバッグ20に対して連結されている。また、インフレーター14は、インフレーター14を保持する取付ブラケット16と、取付ブラケット16をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト17と、を利用して、インナパネル2において窓W2の上方となる位置に、取り付けられている(図1参照)。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両Vの図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が、車両Vの側面衝突やロールオーバーを検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
各取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、エアバッグ20の後述する各取付片部55,取付部68aを、表裏から挟むようにして、各取付片部55,取付部68aに取り付けられ、ボルト12を利用して、各取付片部55,取付部68aを、ボディ1側のインナパネル2に取付固定している(図1及び図2の二点鎖線参照)。
エアバッグ20は、図1の二点鎖線及び図8に示すように、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折畳状態から展開して、窓W1,W2や、センターピラー部CP及びリヤピラー部RPのピラーガーニッシュ6,7の車内側を覆うように展開膨張する構成とされている。具体的には、エアバッグ20は、膨張完了時の外形形状を、窓W1からセンターピラー部CP,窓W2を経て、リヤピラー部RPの前側にかけての車内側を覆い可能に、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされるもので、実施形態の場合、膨張完了時の下縁20bを、窓W1,W2の下縁から構成されるベルトラインBLより下方に位置させるように、構成されている(図8参照)。また、エアバッグ20は、折り完了体70の後端側部位70bを構成する後端20d側の領域を、上述したごとく、折り畳み後に屈曲される構成であり、このエアバッグ20における後端20d側の部位が、折り畳み後に屈曲される屈曲予定部位20eを、構成している。
エアバッグ20は、図3,4に示すように、後述する連結ベルト68を除いて、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した経糸と緯糸とからなる袋織りにより、一体的に製造されている。また、実施形態では、エアバッグ20の外表面側には、ガス漏れ防止用のシリコーン樹脂からなるコーティング剤を塗布されて、コーティング層21が、形成されている。エアバッグ20は、図3〜6に示すように、膨張完了時に車内側Iに位置する車内側壁部23Aと車外側Oに位置する車外側壁部23Bとを離隔させるように内部に膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部22と、膨張用ガスを流入させない非流入部46と、を備えている。
ガス流入部22を構成する車内側壁部23A及び車外側壁部23Bは、図5,7に示すように、それぞれ、非流入部46との境界を構成する周縁境界部24と、周縁境界部24に囲まれた一般壁部25と、を備える構成とされている。周縁境界部24は、ガス流入部22において非流入部46との境界となる部位に、全域にわたって、連続的に形成されている。すなわち、周縁境界部24は、後述する周縁部54との境界のみならず、ガス流入部22の領域内に配置される区画部56,57,59,60,64,65との境界にも、区画部56,57,59,60,64,65の周囲を全周にわたって囲むように、形成されている。周縁境界部24は、一定の幅寸法を有した略帯状の領域として、構成されるもので、実施形態の場合、幅寸法L1(図7参照)を、3〜20mmの範囲内に、設定されている。周縁境界部24の幅寸法L1が3mm未満では、狭すぎて、エアバッグ20の膨張時において、周縁境界部24の部位に応力集中が生じた際に、周縁境界部24近傍の部位が大きなダメージを受ける虞れがあり、逆に、20mmを超えると、広すぎて、エアバッグ20を折り畳んで形成される折り完了体70の柔軟性に影響を与える場合があるためである。そして、一般壁部25は、周囲を、全周にわたって周縁境界部24に囲まれた領域に、形成されている。実施形態のエアバッグ20では、一般壁部25は、全域にわたって、経糸と緯糸との交錯点の度合いを示す交錯度を周縁境界部24よりも低く設定される低交錯部LCから、構成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ20では、後端20d側の部位である屈曲予定部位20eも、低交錯部LCから構成されている。
また、ガス流入部22は、実施形態の場合、図3,4に示すように、インフレーター14から吐出される膨張用ガスを流入させて膨張する主膨張部30(一次膨張部)と、主膨張部30と連通されて主膨張部30の膨張完了後に膨張を完了させる前側副膨張部36,中央側副膨張部37,後側副膨張部38(二次膨張部)と、主膨張部30と前側副膨張部36,中央側副膨張部37,後側副膨張部38とをそれぞれ連通させる連通部40,41,42,43と、を備えている。実施形態の場合、エアバッグ20は、ロールオーバー時にも乗員の頭部を円滑に保護可能に、主膨張部30,前側副膨張部36,中央側副膨張部37,後側副膨張部38を区画する後述する区画部56,57,59,60,64,65の僅かな領域を除いて、略全面にわたって膨張用ガスを流入させて膨張するように、構成されている。
主膨張部30は、ガス案内流路31、ガス流入口部32、前席用保護部33、及び、後席用保護部34を、備えている。
ガス案内流路31は、エアバッグ20の上縁20a側に配設されて、下側に配設される前席用保護部33及び後席用保護部34に膨張用ガスを案内可能に、前後方向に略沿って延びるように形成されている。ガス案内流路31の前後の略中央となる位置には、インフレーター14と接続されるガス流入口部32が、ガス案内流路31と連通されて、ガス案内流路31から後上方に向かって突出するように、形成されている。このガス流入口部32は、後端32a側を、インフレーター14を挿入可能に開口させている。なお、実施形態のエアバッグ20では、ガス流入口部32からガス案内流路31におけるガス流入口部32の直下にかけての部位に、耐熱性を高めるための別体のインナチューブ(図符号省略)が、配設されている(図3参照)。
前席用保護部33は、エアバッグ20の膨張完了時に前席の側方に配置されるもので、側面衝突時に、前席に着座した乗員の頭部を保護するための部位である。後席用保護部34は、エアバッグ20の膨張完了時に後席の側方に配置されるもので、側面衝突時に、後席に着座した乗員の頭部を保護するための部位である。
前側副膨張部36は、主膨張部30における前席用保護部33の前側に隣接して配置されるもので、図8に示すように、膨張完了形状を、ベルトラインBLより下方に延びる上下方向に略沿った略棒状として、膨張完了時の下端側を、前席用保護部33よりも下方に位置させるように、構成されている。この前側副膨張部36は、後上端側に開口される連通部40と、後下端側に開口される連通部41と、により、前席用保護部33と連通されている。これらの連通部40,41は、開口幅寸法を小さく設定されて、前側副膨張部36内への膨張用ガスの流入開始を、前席用保護部33よりも遅らせるように、構成されている。中央側副膨張部37は、主膨張部30における前席用保護部33の後側であって、ガス案内流路31の下側の領域に配置されるもので、前席用保護部33の後端側に開口される連通部42により、前席用保護部33と連通されている。この連通部42も、開口幅寸法を小さく設定されており、中央側副膨張部37内への膨張用ガスの流入開始を、前席用保護部33よりも遅らせるように、構成されている。後側副膨張部38は、中央側副膨張部37と後席用保護部34との間となるガス案内流路31の下側の領域を埋めるように配置されるもので、後席用保護部34の前端側に開口される連通部43により、後席用保護部34と連通されている。この連通部43も、開口幅寸法を小さく設定されており、後側副膨張部38内への膨張用ガスの流入開始を、後席用保護部34よりも遅らせるように、構成されている。
非流入部46は、ガス流入部22との境界部位に配置される非流入境界部47と、非流入境界部47におけるガス流入部22から離れた側に隣接して配置される非流入一般部48と、を備える構成とされている。
非流入境界部47は、ガス流入部22における周縁境界部24と隣接して形成されるもので、図5に示すように、車内側壁部23Aと車外側壁部23Bとを結合させるように一枚状に袋織りした袋織り組織から構成されている。実施形態の場合、非流入境界部47は、図4,7に示すように、一定の幅寸法を有した略帯状の領域として、構成される。具体的には、非流入境界部47は、実施形態の場合、幅寸法L2(図7参照)を、3〜10mmの範囲内に、設定されている。非流入境界部47の幅寸法L2が3mm未満では、狭すぎて、エアバッグ20の膨張時において、非流入境界部47の部位に応力集中が生じた際に、非流入境界部47の部位が大きなダメージを受ける虞れがあり、また、幅が狭すぎて、織り組織を形成し難い。逆に、幅寸法L2が10mmを超えると、広すぎて、更なる効果を得難いためである。
非流入一般部48は、実施形態の場合、非流入部46において、取付片部55を除いた領域に、形成されている。非流入一般部48は、図5に示すように、非流入境界部47から車内側Iと車外側Oとに分離させるように織成される車外側部位48bと車内側部位48aとの二枚から、構成されている。また、この非流入一般部48には、車外側部位48b若しくは車内側部位48aのうち少なくとも一方を織成する際に使用する経糸若しくは緯糸を他方の部位に織り込んで形成した接結部49が、点在されている(図7参照)。
また、非流入部46は、ガス流入部22の外周縁を構成する周縁部54と、取付片部55と、ガス流入部22の領域内に配置される区画部56,57,59,60,64,65と、を備えて構成されている。
周縁部54は、ガス流入口部32の後端32a側を除いて、ガス流入部22の外周縁側を全周にわたって囲むように、配置されている。
取付片部55は、エアバッグ20の上縁20a側をボディ1側のインナパネル2に取り付けるための部位であり、図3に示すように、エアバッグ20の上縁20a側となる周縁部54の上縁側の部位から上方に突出するようにして、前後方向に沿って複数配置されている。各取付片部55には、取付ボルト12を挿通可能な取付孔(図符号省略)が、形成されている。また、実施形態の場合、各取付片部55は、エアバッグ20を構成するエアバッグ素材75を袋織りにより織成した際には、図4に示すように、上方に延びる略帯状の取付片部素材76として構成され、この取付片部素材76を、上下で二つ折りし、二つ折りした上下両側を縫合糸を用いて結合させることにより、構成されている。
実施形態では、取付片部55(取付片部素材76)は、図6に示すように、車外側部位28bと車内側部位28aとを結合させるように一枚状に袋織りした袋織り組織から構成されている。具体的には、周縁部54において、取付片部55(取付片部素材76)の直下となる部位は、図6,7に示すように、周縁部54における他の部位と同様に、ガス流入部22側(下側)に非流入境界部47を配置させ、この非流入境界部47の外周側(上側)に、非流入一般部48を配置させる構成とされ、取付片部55(取付片部素材76)は、非流入一般部48を構成している車内側部位48aと車外側部位48bとを結合させるように一枚状とされている。
区画部56は、前側副膨張部36と前席用保護部33とを区画するように、上下両端側を周縁部54から分離させて上下方向に略沿って延びるような略棒状として、構成されている。この区画部56は、上端56aを、後述する区画部59よりも上方に突出させるように、形成されている。区画部57は、区画部56の上端56a近傍から後方に向かって突出するように形成されるもので、区画部576側となる元部側部位57aを狭幅として、先端側部位57b(後方側)にかけて膨出するように、形成されている。また、区画部57は、先端側部位57bを、上方に向けるように、後上がりに傾斜して形成されており、この先端側部位57bを、区画部56の上端56aと上下方向側で略一致させた位置、すなわち、区画部59よりも上方に突出した位置に、配置させている。実施形態では、区画部56と、区画部57における先端側部位57bと、は、図4,7に示すように、外周側を非流入境界部47に囲まれるようにして、内側の領域を、非流入一般部48から構成している。区画部57の元部側部位57aは、狭幅であることから、非流入境界部47のみから構成されている。
区画部59は、中央側副膨張部37と後側副膨張部38とを区画するように周縁部54の下縁側の部位から斜め前上側に延びるような略棒状として、配置されている。区画部60は、ガス案内流路31の下縁側を構成し、かつ中央側副膨張部37と後側副膨張部38とを、ガス案内流路31と区画するように、区画部59の上端から前後に延びるように、形成されている。この区画部60は、区画部59から前方に延びる前側部位61の元部側部位61aを幅広とし、前側部位61の前端側となる先端側部位61bと、区画部59から後方に延びる後側部位62の後端側となる先端側部位62aと、を、それぞれ、先端側にかけて膨出させるように、構成されている。区画部64は、区画部60における前側部位61の先端側部位61bの下方となる位置において、前席用保護部33と中央側副膨張部37との下側の領域を区画するように、周縁部54の下縁側の部位から斜め後上側に延びて、先端側を下方に向けるように屈曲された略逆V字形状とされている。区画部64は、後下方に向かって傾斜している先端側部位64aを、先端側にかけて膨出させるように、形成されている。区画部65は、後側副膨張部38と後席用保護部34とを区画するように、周縁部54の下縁側の部位から、区画部59に略沿うように、斜め前上側に延びる略棒状として、構成されるもので、先端側部位65aを、先端側にかけて膨出させるように構成されている。各区画部60,64,65においても、図4に示すように、前側部位61の元部側部位61a及び先端側部位61b,後側部位62の先端側部位62b,各先端側部位64a,65aは、それぞれ、外周側を非流入境界部47に囲まれるようにして、内側の領域を、非流入一般部48から構成されている。
また、実施形態のエアバッグ20には、図3に示すように、エアバッグ20と別体の平織りの布材から構成される連結ベルト68が、配置されている。この連結ベルト68は、図8に示すように、エアバッグ20の前端20c側をボディ1側に連結させるためのもので、実施形態の場合、元部側をエアバッグ20の車外側壁部23B側において、区画部56に連結させ、前後方向に略沿って前方に延びるように、構成されている。連結ベルト68の先端側には、フロントピラー部FPの部位においてボディ1側のインナパネル2に固定される取付部68aが、形成されている。この取付部68aは、取付片部55と同様に、取付ブラケット11と取付ボルト12とを用いて、インナパネル2に固定される構成である。
次に、実施形態のエアバッグ20を構成する各部材の織り組織に関して、詳細に説明をする。
交錯点とは、織り組織において、経糸と緯糸との交錯する点である。そして、本明細書において、交錯点の度合い(交錯度)は、完全組織図(織り組織を表す最小構成単位)における交錯点の配置比率によって、定められる。なお、1×1の平織り組織においては、図9の(A)に示すように、完全組織図において、全てのマス目の四辺が交錯点を構成することから、1×1組織からなる平織りが、最も交錯度が高い。1×1組織からなる平織りは、交錯度を100%とされている。図9の(B)には、例示として、2×1の斜文織りの完全組織図を示すが、この2×1の斜文織り組織においては、全てのマス目の四辺が24個あるうち、16個が交錯点を構成していることから、2×1組織からなる斜文織りは、交錯度を66.7%とされることとなる。また、さらなる例示として、図9の(C)に、2×2の斜子織りの完全組織図を示すが、この2×2の斜子織り組織においては、全てのマス目の四辺が40個あるうち、24個が交錯点を構成していることから、2×2組織からなる斜子織りは、交錯度を60%とされることとなる。
一般に、同一の経糸及び緯糸を用いて織成する織布において、通常、交錯度が高い、すなわち、交錯点の多い織り組織で織成される織布は、経糸と緯糸との交錯箇所が多いことから、経糸と緯糸とが相互に滑りがたく、引張強度が高く、丈夫である反面、硬くなる。逆に、交錯度が低い(交錯点が少ない)織り組織で織成される織布は、交錯度の高い織布と比較して経糸と緯糸との交錯箇所が少ないことから、経糸と緯糸とが相互に滑りやすく、引張強度が低下するものの、柔軟性は増大することとなる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、ガス流入部22を構成する車内側壁部23A及び車外側壁部23Bにおいて、一般壁部25が、非流入部46との境界を構成する周縁境界部24よりも交錯度を低く設定される低交錯部LCから、構成されている。
周縁境界部24は、非流入部46との境界を構成し、エアバッグ20の膨張時に、応力集中が生じる部位であることから、交錯度を高く設定することが好ましく、具体的には、1×1組織、1×2組織、2×1組織の織り組織から、構成することが好ましい。引張強度の点を考慮すれば、周縁境界部24は、1×1の平織りから形成することが望ましい。
一般壁部25を構成する低交錯部LCは、織り組織を、n×m組織(n,mはともに1以上の整数、ただし、1×1組織を除く)から、構成されている。具体的には、低交錯部LCとしては、周縁境界部24より交錯度を低く設定されているものであれば、1×2組織、2×1組織、2×2組織、2×3組織、3×2組織、3×3組織等を挙げることができる。この低交錯部LCの織りに関しては、具体的には、斜文織り(あや織り)、斜子織り、うね織り等を適宜選択することができる。そして、これらの織りのうちで、斜文織り(あや織り)やうね織りを使用することが、得られる織布の柔軟性が高く(織布がしなやかになって)、好ましい。
非流入部46において、ガス流入部22との境界部位に配置される非流入境界部47は、実施形態の場合、単一の織り組織から構成されず、ガス流入部22に近接した側(周縁境界部23側)からガス流入部22から離れた側(非流入一般部48側)にかけて織り組織を変化させるように構成されている。この非流入境界部47は、ガス流入部22における周縁境界部23と隣接して、周縁境界部23の周囲を囲むように形成されるもので、周縁境界部23と同様に、エアバッグ20の膨張時に、応力集中が生じる部位であることから、このような応力集中に対抗可能に、高い引張強度を有し、目ずれが生じ難いように、構成されている。
非流入部46において、非流入一般部48を構成する車外側部位48bと車内側部位48aとは、それぞれ、ガス流入部22における車内側壁部23Aと車外側壁部23Bとの一般壁部25(低交錯部LC)と同一の織り組織から、構成されている。また、非流入部46において、取付片部55は、ガス流入部22における車内側壁部23Aと車外側壁部23Bとの周縁境界部24と同一の織り組織から、構成されている。
実施形態のエアバッグ20では、具体的には、周縁境界部24及び取付片部55は、1×1の平織りから構成され、低交錯部LC(ガス流入部22における車内側壁部23Aと車外側壁部23Bとの一般壁部25と、非流入一般部48を構成する車外側部位48bと車内側部位48a)は、2×2の斜子織りから構成されている。
この実施形態のエアバッグ20は、まず、図4に示すエアバッグ素材75を直列的に連続させ、かつ、複数個並設させるようにして、織成された図示しないシート体の外表面側に、コーティング剤を塗布してコーティング層21を形成した後、このシート体を裁断して、エアバッグ素材75を形成し、このエアバッグ素材75の取付片部素材76を二つ折りして縫着させて取付片部55を形成するとともに、連結ベルト68を、縫合糸を用いて区画部56の車外側の部位に縫着させれば、製造することができる。具体的には、実施形態の場合、エアバッグ20(エアバッグ素材75)は、緯糸及び経糸として、350dtexの繊度の6,6−ナイロン製の原糸を使用し、経糸の1インチ当たりの打ち込み本数を135本とし、緯糸の1インチ当たりの打ち込み本数を121本として、袋織りされる。
その後、エアバッグ20を折り畳む。具体的には、まず、エアバッグ20の前端20c側の部位を、区画部56の前側近傍となる位置で上下方向に略沿った折目CL(図3参照)を付けて車内側に重ねるように、折り返し、この折り返した状態から、エアバッグ20を、下縁20b側を上縁20a側に接近させるように、折り畳んで、折り完了体70を形成する。具体的には、実施形態では、詳細な図示を省略するが、エアバッグ20において、上縁20a側の領域であるガス案内流路31の部位を、前後方向に沿った複数の折目を付けて蛇腹折りするとともに、ガス案内流路31より下方となる前席用保護部33,後席用保護部34の部位を、下縁20b側を車外側に向かって巻くようにロール折りして、図1に示すように、前後方向に沿うような長尺状の折り完了体70を形成する。この折り完了体70は、図1に示すように、車両Vへの搭載時において、ルーフサイドレール部RRの領域のみに収納され、フロントピラー部FPの部位に収納させないように、構成されている。折り完了体70の形成後には、破断可能な図示しない折り崩れ防止用のラッピング材により、折り完了体70の周囲の所定箇所をくるんでおく。
その後、取付ブラケット16を取付済みのインフレーター14を、クランプ15を利用して、エアバッグ20のガス流入口部32と接続させ、各取付片部55,取付部68aに、取付ブラケット11を固着させて、エアバッグ組付体を形成する。
次いで、取付ブラケット11,16を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させて、ボルト12,16止めし、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を、インフレーター14に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、ピラーガーニッシュ6,7をボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後において、車両Vの側面衝突時、若しくは、ロールオーバー時に、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスが、エアバッグ20内に流入して、膨張するエアバッグ20が、図示しないラッピング材を破断させ、さらに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁から構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出しつつ、図1の二点鎖線及び図8に示すごとく、窓W1,W2、センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの一部の車内側を覆うように、大きく膨張することとなる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、ガス流入部22を構成する車内側壁部23A及び車外側壁部23Bが、非流入部46との境界を構成する周縁境界部24に囲まれた一般壁部25の少なくとも一部を、交錯度を低く設定される低交錯部LCから、構成している。一般に、同一の経糸及び緯糸を用いて織成する織布において、交錯点が多ければ(交錯度が高ければ)、織成される織布は、経糸と緯糸とが相互に滑りがたく、引張強度が高く、丈夫である反面、硬くなる。逆に、交錯点が少なければ(交錯度が低ければ)、織成される織布は、経糸と緯糸とが相互に滑りやすく、引張強度が低下するものの、柔軟性は増大することとなる。そして、実施形態のエアバッグ20では、一般壁部25の少なくとも一部を、交錯度を低く設定される低交錯部LCから構成することにより、一般壁部25を、少なくとも一部を柔軟性を高めて構成することができる。そのため、上下方向側の幅寸法を縮めるように(一般壁部25を幾重にも重ねるようにして)エアバッグ20を折り畳んで形成される折り完了体70において、低交錯部LCの配置される領域を屈曲させやすいことから、収納部位の形状(周囲の車体側の部材であるインナパネル2等の形状)に容易に沿わせることが可能となって、窓W1,W2の上縁側に円滑に収納させることができる。また、実施形態のエアバッグ20は、外表面側を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成であることから、一般壁部25が柔軟性の高い低交錯部LCから構成されていても、気密性を確保することができて、この低交錯部LCの部位から、内部に流入した膨張用ガスが漏れることを抑制できる。さらに、実施形態のエアバッグ20では、ガス流入部22を構成する車内側壁部23A及び車外側壁部23Bにおいて、非流入部46との境界を構成する周縁境界部24は、低交錯部LCより交錯度を高く設定されていることから、低交錯部LCと比較して、引張強度が高く、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する際に、この周縁境界部24の部位に応力集中が生ずることとなっても、この部位からガス漏れが生じることを、抑制することができて、充分な乗員保護性能を確保することができる。
特に、実施形態のエアバッグ20は、主膨張部30の膨張完了後に膨張を完了させる前側副膨張部36,中央側副膨張部37,後側副膨張部38を有する構成とされて、車両Vのロールオーバー時にも、乗員の頭部を保護可能な構成とされている。車両Vのロールオーバーは、側面衝突と比較して、乗員の頭部の保護を開始するタイミングが遅く、膨張完了後から所定時間経過後までの内圧を維持する必要があるが、実施形態のエアバッグ20では、応力集中の生じやすいガス流入部22の非流入部46との境界を構成する周縁境界部24を、高い交錯度を有する織り組織から構成していることから、ガス漏れを抑制することができて、車両Vのロールオーバー時にも、十分な乗員保護性能を確保することができる。
したがって、実施形態のエアバッグ20では、窓W1,W2の上縁側に円滑に収納させることができ、かつ、乗員保護性能も確保することができる。
また、実施形態のエアバッグ20では、周縁境界部24の織り組織を、1×1組織から構成していることから、周縁境界部24の引張強度を一層高くすることができて、ガス漏れを一層的確に抑制することができる。なお、このような点を考慮しなければ、周縁境界部24の織り組織は、1×2組織や2×1組織から構成してもよい。
さらに、実施形態のエアバッグ20では、エアバッグ20を折り畳んで形成される折り完了体70が、後端側部位70bを屈曲させるようにして、車両Vに搭載されている。すなわち、実施形態のエアバッグ20では、後端20d側の部位が、折り畳み後に屈曲される屈曲予定部位20eとして構成され、この屈曲予定部位20eも、低交錯部LCから構成されている。そのため、車両搭載時に屈曲させる構成であっても、屈曲予定部位20e(折り完了体70の後端側部位70b)を円滑に屈曲させることができる。特に、実施形態では、屈曲予定部位20eは、上下の略全域にわたって、一般壁部25を低交錯部LCから構成されていることから、屈曲予定部位20e(折り完了体70の後端側部位70b)を一層円滑に屈曲させることができる。なお、屈曲予定部位は、上下の全域にわたって低交錯部から構成しなくとも、一部のみを、低交錯部から構成してもよい。また、実施形態では、折り畳まれたエアバッグ(折り完了体)を、車内外方向側で屈曲させるように収納させているが、上下方向側で屈曲させるように収納させる場合もあり、この場合にも、屈曲させる部位を低交錯部から構成すれば、車両搭載時に円滑に屈曲させて収納させることができる。
さらにまた、実施形態のエアバッグ20では、一般壁部25を、全域にわたって低交錯部LCから構成している。そのため、折り完了体70を全域にわたって屈曲させやすく、収納部位への収納作業性が一層向上することなる。特に、実施形態のエアバッグ20では、車両Vへの搭載時において、ルーフサイドレール部RRの領域のみに収納され、フロントピラー部FPの部位に収納させないように、折り完了体70は、エアバッグ20の前端20c側の領域を折り返された状態で、折り畳まれることとなる。すなわち、実施形態では、折り完了体70は、図1に示すように、前端側部位70aを、他の部位より厚肉として構成されることとなるが、一般壁部25全体が低交錯部LCから構成されて、一般壁部25を幾重にも折り重ねた状態でも、良好な柔軟性を確保できることから、このように前端側を折り返した状態で折り畳まれて収納される構成であっても、窓の上縁側に支障なく収納させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、一般壁部全体を低交錯部から構成しなくともよく、例えば、一般壁部の一部のみ、具体的には、上述した屈曲予定部位のみを、低交錯部から構成してもよく、また、一般壁部における前後方向側の一部の領域を上下の略全域にわたって低交錯部から構成ていもよい。さらに、実施形態のごとく、エアバッグの前端側を折り返す場合、一般壁部において、エアバッグの折り畳み収納時に折り返される領域と、屈曲予定部位のみと、を、低交錯部から構成してもよい。
さらにまた、実施形態のエアバッグ20では、非流入部46において、ガス流入部22から離れた側に配置される非流入一般部48が、車内側と車外側とに分離させるように織成される車外側部位48bと車内側部位48aとの二枚から、構成され、さらに、この車外側部位48b及び車内側部位48aも、ガス流入部22における車外側壁部23B及び車内側壁部23Aの一般壁部25に加えて、低交錯部LCから構成されることから、折り完了体70の柔軟性を、より一層向上させることができる。また、この非流入部46における車外側部位48b及び車内側部位48aは、一般壁部25と同一の織り組織から構成されることから、一般壁部25と異なる織り組織から構成する場合と比較して、袋織り時に、エアバッグ20を安定して織成することができる。さらに、この非流入部46における車外側部位48b及び車内側部位48aは、点在される接結部49によって部分的に連結されることから、車外側部位48bと車内側部位48aとが相互にずれることも防止できて、エアバッグ20の折畳作業時等における取扱作業性が良好である。なお、このような点を考慮しなければ、非流入一般部を、車内側部位と車外側部位との二枚に分離させるように構成しなくともよく、非流入境界部から連ならせるように一枚状としてもよい。また、非流入一般部を、車内側部位と車外側部位との二枚から構成する場合にも、低交錯部から構成しなくともよく、さらには、両者を部分的に連結させる接結部を配置させない構成としてもよい。
さらにまた、実施形態のエアバッグ20では、エアバッグ20の上縁20a側を窓W1,W2の上縁側に取り付ける取付片部55が、織り組織を、周縁境界部24と同一として、構成されている。そのため、実施形態のエアバッグ20では、取付片部55を、引張強度の高い織り組織から構成することができて、エアバッグ20の展開膨張時に、大きな引張力が作用しても、破損することなく、安定して、エアバッグ20の上縁20a側を窓W1,W2の上縁側に取り付けておくことができる。なお、このような点を考慮しなければ、取付片部を、周縁境界部と同一の織り組織から構成しなくともよく、例えば、車外側部位と車内側部位との二枚に分離して構成される非流入一般部から、構成してもよい。
20…エアバッグ(頭部保護エアバッグ)、20e…屈曲予定部位、21…コーティング層、22…ガス流入部、23A…車内側壁部、23B…車外側壁部、24…周縁境界部、25…一般壁部、46…非流入部、47…非流入境界部、48…非流入一般部、48a…車内亜側部位、48b…車外側部位、49…接結部、70…折り完了体、LC…低交錯部、W1,W2…窓、V…車両、M…頭部保護エアバッグ装置。

Claims (7)

  1. 車両の窓の車内側における上縁側に折り畳まれて収納されるもので、経糸と緯糸とからなる袋織りによって形成されるとともに、外表面を略全面にわたってコーティング剤により被覆される構成とされ、
    膨張用ガスを流入させて車内側壁部と車外側壁部とを離隔させるように膨張するガス流入部と、該ガス流入部と隣接して配置されて膨張用ガスを流入させない非流入部と、を備える構成の頭部保護エアバッグであって、
    前記車内側壁部及び前記車外側壁部が、それぞれ、前記非流入部との境界を構成する周縁境界部と、該周縁境界部に囲まれた一般壁部と、を備える構成とされ、
    前記一般壁部が、少なくとも一部を、前記経糸と前記緯糸との交錯点の度合いを示す交錯度を前記周縁境界部よりも低く設定される低交錯部から、構成され、
    該低交錯部が、織り組織を、n×m組織(n,mはともに1以上の整数、ただし、1×1組織を除く)から、構成されていることを特徴とする頭部保護エアバッグ。
  2. 前記周縁境界部が、織り組織を、1×1組織から、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ。
  3. 前記エアバッグが、折り畳み後に屈曲される屈曲予定部位を、備える構成とされ、
    該屈曲予定部位が、前記低交錯部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の頭部保護エアバッグ。
  4. 前記一般壁部が、前後方向側の一部の領域を、上下の略全域にわたって低交錯部から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の頭部保護エアバッグ。
  5. 前記一般壁部が、全域にわたって前記低交錯部から構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の頭部保護エアバッグ。
  6. 前記非流入部が、前記ガス流入部との境界部位に配置される非流入境界部と、該非流入境界部における前記ガス流入部から離れた側に隣接して配置される非流入一般部と、を備える構成とされ、
    前記非流入境界部が、前記車内側壁部と前記車外側壁部とを結合させるように一枚状に袋織りした袋織り組織から構成され、
    前記非流入一般部が、前記非流入境界部から車内側と車外側とに分離させるように織成される車外側部位と車内側部位との二枚から、構成され、
    前記車外側部位及び前記車内側部位が、前記低交錯部と同一の織り組織から、構成されるとともに、前記車外側部位若しくは前記車内側部位のうち少なくとも一方を織成する際に使用する前記経糸若しくは前記緯糸を他方の部位に織り込んで形成した接結部を、点在させて、構成されていることを特徴とする請求項5に記載の頭部保護エアバッグ。
  7. 前記エアバッグの上縁側に、前記窓の上縁側に取り付けられる取付片部が、上方に突出するように、形成され、
    該取付片部が、織り組織を、前記周縁境界部と同一として、構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の頭部保護エアバッグ。
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