以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.画像形成装置の構成]
図1に、本実施の形態の画像形成装置1の機能構成を示す。また、図2に、画像形成装置1の印刷機構の構成例を示す。この画像形成装置1は、連続紙やロール紙のような連続した帯状の長尺媒体に印刷を行うことで、長尺媒体上にモノクロやカラーの画像を形成するものである。尚、ここでは、画像形成装置1で扱う長尺媒体として、連続した帯状の台紙の表面に、台紙の長手方向に連続して四角形のラベルが張り付けられたラベル紙Lmを用いる。
この画像形成装置1は、図1に示すように、機能構成として、主制御部10と、データ受信部11と、編集展開処理部12と、大容量記憶装置13と、操作パネル部14と、印刷処理部15と、機構制御部16とを有している。主制御部10は、画像形成装置1の全体を制御する。データ受信部11は、外部の上位装置2から送信されてくる印刷データを受信する。編集展開処理部12は、データ受信部11により受信された印刷データをページ単位でビットマップイメージの画像データに編集展開して、フラッシュメモリなどの大容量記憶装置13に保存する。
操作パネル部14は、例えばタッチパネルであり、各種画面を表示する表示部、及びユーザによる操作を受け付ける操作部として機能する。印刷処理部15は、中間転写方式の印刷機構を備え、編集展開処理部12により編集展開されたページ単位の画像データに基づくページ画像をラベル紙Lmに印刷する。機構制御部16は、ラベル紙Lmを搬送するためのモータなどの機構を制御する。画像形成装置1の機能構成は、以上のようになっている。
またこの画像形成装置1は、図2に示すように中間転写方式のカラープリンタであり、印刷機構として、媒体供給部20と本体部21とを有している。尚、ここでは、図2の右側を画像形成装置1の前側、図2の左側を画像形成装置1の後側と定義して説明する。
媒体供給部20は、本体部21の前面下部に取り付けられていて、媒体保持部30と、給紙検知部31Aと、搬送ローラ32Aと、カッター33とを有している。媒体保持部30は、媒体供給部20の前端に設けられ、ロール状に巻回されたラベル紙Lmを回転可能に保持する。媒体供給部20内には、この媒体保持部30と本体部21との間に前後方向に延びる搬送路R1が設けられていて、この搬送路R1に沿って、給紙検知部31A、搬送ローラ32A、カッター33が、媒体搬送方向上流側(つまり媒体保持部30に近い側)から順に設けられている。
給紙検知部31Aは、例えば光学センサであり、搬送路R1を通るラベル紙Lmの有無、搬送異常、ラベル紙Lm上のラベル位置等を検知する。搬送ローラ32Aは、媒体保持部30から後方に引き出されたラベル紙Lmを、搬送路R1に沿って本体部21へと搬送する。また、カッター33は、主制御部10による制御により、ラベル紙Lmを搬送方向と直交する短手方向にカットする。
一方、本体部21は、給紙検知部31Bと、複数の搬送ローラ32B〜32Dと、媒体先端書き出し検知部40と、二次転写部41と、定着部42と、媒体排出検知部43と、複数(例えば5個)の画像形成部44A〜44Eと、転写ベルト45とを有している。
本体部21内の下部には、本体部21の前面から後面へと前後方向に延び、媒体供給部20の搬送路R1と接続される搬送路R2が設けられている。そして、この搬送路R2に沿って、給紙検知部31B、搬送ローラ32B、搬送ローラ32C、媒体先端書き出し検知部40、二次転写部41、定着部42、搬送ローラ32D、媒体排出検知部43が、媒体搬送方向上流側(つまり媒体供給部20に近い側)から順に設けられている。給紙検知部31B、媒体先端書き出し検知部40、媒体排出検知部43も、給紙検知部31Aと同様、例えば光学センサであり、搬送路R2を通るラベル紙Lmの有無、搬送異常、ラベル紙Lm上のラベル位置等を検知する。媒体供給部20から本体部21へと供給されたラベル紙Lmは、搬送ローラ32B、32Cにより、搬送路R2に沿って二次転写部41へと搬送される。
さらに、本体部21内の上部には、5個の画像形成部44A〜44Eが、前後方向に並べて配置され、さらに、これら5個の画像形成部44A〜44Eと搬送路R2との間に転写ベルト45が配置されている。
5個の画像形成部44A〜44Eは、それぞれ5色のうちの各色に対応していて、対応する色の現像剤を用いてそれぞれの感光ドラム50A〜50E上に現像剤像を形成する。また、感光ドラム50A〜50Eのそれぞれの下側には、転写ベルト45を間に挟んで一次転写ローラ51A〜51Eが対向配置されていて、感光ドラム50A〜50E上に形成された各色の現像剤像は、一次転写ローラ51A〜51Eによって、順に転写ベルト45上に転写(一次転写)される。
転写ベルト45は、環状であり、内側に設けられたベルトローラ52A、52Bと、二次転写部41の二次転写ローラ53とにより、上側が平坦で下側が下方に突出する略逆三角形状に張架されている。二次転写ローラ53は、転写ベルト45の下方に突出する部分に設けられ、さらに二次転写ローラ53の下側には、転写ベルト45を間に挟んで二次転写部41のバックアップローラ54が対向配置されている。
転写ベルト45は、上側の平坦部分が、感光ドラム50A〜50Eと一次転写ローラ51A〜51Eとの間を通るようになっていて、この平坦部分の上側に、感光ドラム50A〜50E上に形成された現像剤像が転写(一次転写)される。転写ベルト45に転写された現像剤像は、転写ベルト45が図中時計回り方向に走行することにともなって、二次転写部41へと搬送される。ここで、二次転写ローラ53とバックアップローラ54との間のニップ部は、搬送路R2上に設けられていて、このニップ部をラベル紙Lmが通過する際に、転写ベルト45により搬送されてきた現像剤像が、ラベル紙Lm上に転写(二次転写)される。このとき、画像形成装置1は、転写ベルト45に転写した1ページ目の現像剤像の搬送位置及び搬送速度と、媒体先端書き出し検知部40により検知したラベル紙Lmの先頭ラベルの先端位置とをもとに、転写ベルト45により搬送されてくる1ページ目の現像剤像がニップ部に到達するタイミングに、ラベル紙Lmの先頭ラベルがニップ部に到達するタイミングを合わせるようにラベル紙Lmの搬送を制御することで、ラベル紙Lmの先頭ラベルに1ページ目の現像剤像を転写(すなわちラベルにページ画像を印刷)する。画像形成装置1は、以降、同様にして、ラベル紙Lmの各ラベルに、各ページの現像剤像を転写していく。
現像剤像が転写されたラベル紙Lmは、二次転写部41により、搬送路R2に沿って定着部42へと搬送される。定着部42は、加熱及び加圧により、現像剤像をラベル紙Lmに定着させる。そして、現像剤像が定着したラベル紙Lmが、定着部42及び搬送ローラ32Dにより搬送され、本体部21の外部に排出されていく。画像形成装置1の印刷機構は、以上のようになっている。
このように、画像形成装置1では、画像形成部44A〜44Eにより形成した現像剤像を転写ベルト45上に一次転写した後、転写ベルト45からラベル紙Lmに二次転写し、その後、このラベル紙Lmを、定着部42により現像剤像を定着させたうえで、排出するようになっている。
[2.画像形成装置の印刷動作]
次に、画像形成装置1の印刷動作について説明する。尚、画像形成装置1の主制御部10は、印刷動作として、受信した印刷データを編集展開して画像データを準備する準備処理と、準備された画像データがユーザにより指定されるカット単位ページ数分(詳しくは後述する)以上確保されているかどうかをもとにラベル紙Lmをカットするかどうか判定するカット判定処理と、準備された画像データをもとにラベル紙Lmに印刷を行う印刷処理とを並行して実行できるようになっている。
ここで、カット単位ページ数とは、ラベル紙Lmをカットしなければならない状況になったときに、何ページ単位であればカットしてもよいかを示す数である。例えばラベルを3枚つづりで(すなわち3ページ1組で)印刷したい場合には、カット単位ページ数を「3」と指定すればよい。つまり、カット単位ページ数は、連続印刷する際の最小の印刷単位ページ数でもある。このようにカット単位ページ数が「3」と指定された場合、ラベル紙Lm上に印刷された3ページ目と4ページ目の区切り(つまりラベル間の台紙部分)、6ページ目と7ページ目の区切り、9ページ目と10ページ目の区切り、…がそれぞれカット可能位置となる。つまり、カット単位ページ数の整数倍で表されるページの後端側がカット可能位置となる。換言すると、画像形成装置1では、ラベル紙Lmをカットしなければならない状況になったときには、カット単位ページ数に基づくカット可能位置でラベル紙Lmをカットするようになっている。
まず図3に示すフローチャートを用いて、準備処理について説明する。ステップSP1において、主制御部10は、印刷可能なページ数を保持するカウンタ(Pe)(以下、これを印刷可能ページ数(Pe)とする)を「0」に初期化する。尚、印刷可能ページ数(Pe)は、印刷可能ページ数をPeと定義したことを意味する。また、印刷可能なページ数とは、印刷データを編集展開して得られた画像データのうち、まだ印刷されていない画像データの数(ページ数)である。よって、ここでは、編集展開済みで且つまだ印刷されていない画像データを、印刷可能な画像データと呼ぶ。
つづくステップSP2において、主制御部10は、データ受信部11を介して、上位装置2から送信されてくる印刷データの受信有無を判断し、受信有りと判断した場合には、ステップSP2で肯定結果を得てステップSP3に移り、データ受信部11を介して印刷データの受信を開始する。尚、印刷データは、例えば1ページ単位で送信されてくるようになっている。ゆえに、主制御部10は、このステップSP3において、1ページ分の印刷データの受信を開始する。
つづくステップSP4において、主制御部10は、受信した印刷データを編集展開処理部12に供給して編集展開処理を開始させる。つづくステップSP5において、主制御部10は、1ページ分の画像データが準備できる(つまり編集展開完了する)まで待ち受ける。尚、1ページ分の画像データが準備できるまでの間も、主制御部10は、データ受信部11による印刷データの受信、編集展開処理部12による編集展開処理については、継続して行うようになっている。1ページ分の画像データが準備できると、主制御部10は、ステップSP6に移り、1ページ分の画像データを大容量記憶装置13に保存する。
つづくステップSP7において、主制御部10は、1ページ分の画像データが準備できたことにともなって、印刷可能ページ数(Pe)をインクリメント(+1)する。つづくステップSP8において、主制御部10は、ユーザにより印刷を開始するよう要求されたかどうかを判断する。画像形成装置1では、印刷準備中でも、ユーザが任意のタイミングで印刷を開始するよう画像形成装置1に要求できるようになっている。尚、ここで言う印刷準備中とは、印刷データの受信及び編集展開は開始しているが、まだラベル紙Lmへの印刷は行われていない状況を意味する。
ここで、画像形成装置1に印刷開始を要求する方法について簡単に説明する。主制御部10は、印刷データの受信を開始して印刷準備中に移行すると、操作パネル部14上に、図4(A)に示すような、ユーザが印刷開始を要求するための印刷準備中画面60を表示させる。この印刷準備中画面60は、印刷準備中にのみ表示される画面であり、現時点で印刷準備が完了しているページ数N1(つまり印刷可能ページ数(Pe))と、OKボタンB1と、印刷準備が完了しているページから印刷を開始したい場合にはOKボタンB1を押下するよう促すメッセージMs1とが表示される。
主制御部10は、印刷準備中画面60上のOKボタンB1が押下されたことを操作パネル部14を介して認識すると、操作パネル部14上に、図4(B)に示すような、カット単位ページ数をユーザに指定させるためのカット単位ページ数指定画面61を表示させる。このカット単位ページ数指定画面61には、OKボタンB2と、ユーザによりカット単位ページ数として指定されるページ数N2と、印刷を開始するにはカット単位ページ数を指定するようユーザに促すメッセージMs2とが表示されている。このカット単位ページ数指定画面61では、ユーザが操作パネル部14を操作して任意のページ数N2をカット単位ページ数として指定できるようになっている。
主制御部10は、カット単位ページ数指定画面61上のOKボタンB2が押下されたことを操作パネル部14を介して認識すると、ユーザが印刷開始を要求したと判断するとともに、カット単位ページ数指定画面61上に表示されているページ数N2を、カット単位ページ数(Cu)として保持する。このように、画像形成装置1では、印刷準備中画面60とカット単位ページ数指定画面61とを介してユーザが印刷準備中に印刷開始を要求できるようになっている。
つまり、図3のステップSP8では、主制御部10が、印刷準備中画面60とカット単位ページ数指定画面61とを介してユーザにより印刷を開始するよう要求されたかどうかを判断する。ここで、ユーザにより印刷を開始するよう要求されていない場合、主制御部10は、ステップSP8で否定結果を得てステップSP2に戻り、ステップSP2以降の処理を継続する。一方で、ユーザにより印刷を開始するよう要求された場合、主制御部10は、ステップSP8で肯定結果を得てステップSP9に移る。
ステップSP9において、主制御部10は、印刷実行指示フラグがON(立っている)かどうかを判断する。印刷実行指示フラグとは、主制御部10が印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷処理を実行するよう指示したかどうかを示すフラグであり、ON又はOFFに設定され、ONであれば印刷処理を実行するよう指示していることを意味する。ここで、印刷実行指示フラグがOFFであれば、この時点でまだ主制御部10が印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷処理を実行するよう指示していないことを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP9で否定結果を得てステップSP10に移る。
ステップSP10において、主制御部10は、この時点での印刷可能ページ数(Pe)が、ユーザにより指定されたカット単位ページ数(Cu)以上であるかどうかを判断する。ここで、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)未満である場合、主制御部10は、ステップSP10で否定結果を得てステップSP2に戻り、ステップSP2以降の処理を継続する。一方で、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)以上である場合、主制御部10は、ステップSP10で肯定結果を得てステップSP11に移る。ステップSP11において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷実行指示を出すとともに、印刷実行指示フラグをONした後、ステップSP2に戻り、ステップSP2以降の処理を継続する。
このように、主制御部10は、印刷準備中に、ユーザにより印刷を開始するよう要求されると、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)分準備できるまで待ち、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)分準備できた時点で、印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷実行指示を出すようになっている。また、上述のステップSP9で印刷実行指示フラグがONと判断した場合、主制御部10は、既に印刷処理を実行するよう指示しているため、ステップSP10、SP11の処理を飛ばして、ステップSP2に戻り、ステップSP2以降の処理を継続する。
その後、全ページの印刷データの受信が完了すると、主制御部10は、ステップSP2で否定結果を得てステップSP12に移る。ステップSP12において、主制御部10は、印刷可能ページ数(Pe)が0より大きいかどうか、つまり編集展開済みでまだ印刷していない画像データが存在するかどうかを判断する。ここで、編集展開済みでまだ印刷していない画像データが存在しなければ、このことは、全ページの印刷準備が完了していて且つ既に印刷実行指示も出していることを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP12で否定結果を得て、準備処理を終了する。
一方で、編集展開済みでまだ印刷していない画像データが存在する場合、このことは、全ページの印刷準備が完了するまでユーザにより印刷を開始するよう要求されなかった(つまりまだ印刷実行指示を出していない)ことを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP12で肯定結果を得てステップSP13に移る。ステップSP13において、主制御部10は、全ページの印刷準備が完了したとしてステップSP14に移り、ステップSP14において、印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷実行指示を出すとともに、印刷実行指示フラグをONした後、準備処理を終了する。準備処理の流れは以上のようになっている。
次に図5及び図6に示すフローチャートを用いて、カット判定処理について説明する。ステップSP20において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16に対して印刷実行指示を出すまで待ち受け、印刷実行指示を出したタイミングで、ステップSP21に移る。
ステップSP21において、主制御部10は、ラベル紙Lmへの印刷が完了したページ数を保持するカウンタ(Pc)(以下、これを印刷完了ページ数(Pc)とする)を「0」に初期化するとともに、単位ページカットフラグをリセット(OFF)する。単位ページカットフラグとは、カット単位ページ数(Cu)に基づいてカッター33にラベル紙Lmをカットさせるかどうかを示すフラグであり、ON又はOFFに設定され、ONであればカッター33にラベル紙Lmをカットさせることを意味する。
つづくステップSP22において、主制御部10は、カット判定ページ数(Cj)を、カット単位ページ数(Cu)−1に設定する。カット判定ページ数(Cj)とは、ラベル紙Lmをカットするかどうかのカット判定を行うタイミングを示すページ数である。ここでは、一例として、カット判定ページ数(Cj)を、カット単位ページ数(Cu)の1ページ前に設定するようになっている。よって、例えば、カット単位ページ数(Cu)が「3」であれば、主制御部10は、3−1=2ページ目、6−1=5ページ目、9−1=8ページ目、…の印刷が完了したタイミングで、カット判定を行うことになる。
つづくステップSP23において、主制御部10は、印刷可能ページ数(Pe)が0より大きいかどうか、つまり編集展開済みでまだ印刷していない印刷可能な画像データが存在するかどうかを判断する。ここで、印刷可能な画像データが存在する場合、主制御部10は、ステップSP23で肯定結果を得て、ステップSP24に移る。
ステップSP24において、主制御部10は、全ページの印刷準備が完了しているかどうかを判断する。ここで、まだ全ページの印刷準備が完了していない場合、このことは、印刷準備中にユーザが印刷開始を要求したことを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP24で否定結果を得て、ステップSP25に移る。
ステップSP25において、主制御部10は、印刷完了ページ数(Pc)がカット判定ページ数(Cj)と等しいかどうかを判断する。ここで、印刷完了ページ数(Pc)がカット判定ページ数(Cj)と等しい場合、このことは、カット判定を行うタイミングになったことを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP25で肯定結果を得て、ステップSP26に移る。
ステップSP26において、主制御部10は、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)+1以上であるかどうかを判断する。つまり、印刷可能な画像データが、少なくともカット単位ページ数(Cu)+1ページ分準備できている(大容量記憶装置13に保存されている)かどうかを判断する。
具体的な例を用いて説明すると、現在の印刷完了ページ数(Pc)は、カット判定ページ数(Cj)、つまりカット単位ページ数(Cu)−1である。したがって、カット単位ページ数(Cu)が例えば「3」に指定されているとすると、現在の印刷完了ページ数(Pc)は、3−1=2となる。つまり現在2ページ目の印刷が完了した状態となる。
ここで、ステップSP26のように、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)+1以上であるかどうかを判断するということは、2ページ目の印刷が完了した時点で、少なくとも後続の3+1=4ページ分の画像データが準備できているかどうかを判断するということである。換言すると、2ページ目の印刷が完了した時点で、少なくとも2+4=6ページ目までの画像データが準備できているかどうかを判断するということである。
つまり、ステップSP26では、カット単位ページ数(Cu)−1ページ目(例えば3ページのうちの2ページ目)の印刷が完了した時点で、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データ(例えば4ページ目、5ページ目、6ページ目の3ページ分の画像データ)が準備できているかどうかを判断するようになっている。
ここで、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データがまだ準備できていない場合、このことは、このまま連続印刷を継続すると、次のカット単位ページ数(Cu)分のページを印刷している途中で、オーバーランが発生する可能性があることを意味する。そこで、画像形成装置1は、このような場合、オーバーランする前に、ラベル紙Lmをカット単位ページ数(Cu)に基づくカット可能位置でカットして、カットした部分を先に排出するようになっている。
すなわち、主制御部10は、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データがまだ準備できていないことにより、ステップSP26で否定結果を得ると、ステップSP27に移る。ステップSP27において、主制御部10は、単位ページカットフラグをONして、ステップSP28に移る。単位ページカットフラグがONされると、後述するステップSP35(図6)でラベル紙Lmが次のカット可能位置でカットされる。例えば、現在の印刷完了ページ数(Pc)が2ページ目だとすると、3ページ目が印刷されるラベルと4ページ目が印刷されるラベルとの区切りでラベル紙Lmがカットされる。
一方で、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データが準備できている場合、少なくとも次のカット単位ページ数(Cu)分のページを印刷している途中でオーバーランが発生する可能性はない。ゆえに、この場合、画像形成装置1は、このまま連続印刷を継続するようになっている。すなわち、主制御部10は、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データが準備できていることにより、ステップSP26で肯定結果を得ると、ステップSP27を飛ばして(つまり単位ページカットフラグをONすることなく)、ステップSP28に移る。
ステップSP28において、主制御部10は、カット判定ページ数(Cj)を、現在のカット判定ページ数(Cj)+カット単位ページ数(Cu)に更新して、ステップSP29(図6)に移る。つまり、カット単位ページ数が例えば「3」に設定されている場合、カット判定ページは、2ページ目、5ページ目、8ページ目、…のように、3ページ1組のページの最終ページ−1ページの印刷完了後となるように更新されていく。また、カット判定を行うタイミングになっていないことにより上述のステップSP25で否定結果を得た場合、主制御部10は、ステップSP26〜SP28を飛ばして、ステップSP29に移る。
ステップSP29において、主制御部10は、印刷完了ページ数(Pc)が0であるかどうかを判断する。ここで、印刷完了ページ数(Pc)が0である場合、このことは、このとき印刷するページが1ページ目であり、まだラベル紙Lmへの印刷が開始されていないことを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP29で肯定結果を得て、ステップSP30に移る。ステップSP30において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して、給紙検知部31Aによりラベル紙Lm上の連続するラベルの位置を検知しながら、媒体先端書き出し検知部40がラベル紙Lm上の先頭ラベルの先端を検知するまでラベル紙Lmを搬送させ、ステップSP31に移る。
一方で、印刷完了ページ数(Pc)が0ではない場合、このことは、このとき印刷するページが2ページ目以降であり、既にラベル紙Lmへの印刷が開始されていることを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP29で否定結果を得、ステップSP30を飛ばして、ステップSP31に移る。
ステップSP31において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して、Pc+1ページ目の画像データを用いて印刷を開始する。つづくステップSP32において、主制御部10は、Pc+1ページ目の画像データを用いて印刷を開始したことにともなって、印刷可能ページ数(Pe)をデクリメント(−1)する。つづくステップSP33において、主制御部10は、Pc+1ページ目の画像データを用いて印刷を開始したことにともなって、印刷完了ページ数(Pc)をインクリメント(+1)する。
つづくステップSP34において、主制御部10は、単位ページカットフラグがONかどうかを判断する。ここで、単位ページカットフラグがOFFであれば、このことは、現時点でラベル紙Lmをカットする必要はないことを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP34で否定結果を得て、ステップSP23(図5)に戻り、再度、印刷可能な画像データの有無を確認する。
一方で、単位ページカットフラグがONであれば、このことは、次のカット可能位置でラベル紙Lmをカットする必要があることを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP34で肯定結果を得て、ステップSP35に移る。ステップSP35において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して、給紙検知部31Aにより検知したラベル紙Lm上のラベル区切りと、給紙検知部31Aからカッター33までの距離とラベル紙Lmの搬送速度とをもとに、次のカット可能位置がカッター33に到達するタイミングを算出し、次のカット可能位置がカッター33に到達したタイミングでラベル紙Lmをカッター33でカットする。
つづくステップSP36において、主制御部10は、印刷条件を変更する。ここで言う印刷条件とは、印刷を開始(再開)するタイミングと印刷速度のことを指す。尚、印刷速度は、ラベル紙Lmの搬送速度と同義であり、ラベル紙Lmの搬送速度を下げれば、印刷速度も下がり、印刷に要する時間が長くなることを意味する。上述したように、ラベル紙Lmをカットした後も、そのまま印刷を継続すると、次のカット単位ページ数分のページを印刷している途中で、転写ベルト45又はラベル紙Lmへの転写が間に合わなくなりオーバーランする可能性がある。そこで、画像形成装置1は、ラベル紙Lmをカットした後、印刷条件を変更して印刷を再開することで、オーバーランの発生を抑制するようになっている。
具体的に、主制御部10は、ラベル紙Lmをカットするまでの間の単位時間当たりに受信した印刷データのデータ量をもとに受信速度(例えばbps)を算出する。さらに、主制御部10は、算出した受信速度のうちの最低速度と、ラベル紙Lmをカットするまでの間に受信した各ページの印刷データの最大サイズとをもとに、1ページ分の印刷データを受信するのに要した最長の受信時間(Tr)を算出する。さらに、主制御部10は、ラベル紙Lmをカットするまでの間に受信した各ページの印刷データを編集展開するのに要した編集展開時間のうちの最長の編集展開時間(Te)を得る。さらに、主制御部10は、ラベル紙Lmをカットするまでの間にラベル紙Lmに転写された各ページのページ長(搬送方向の長さ)のうちの最大ページ長と、印刷時のラベル紙Lmの搬送速度とをもとに、ラベル紙Lmに1ページ分の印刷を行うのに要した最長の印刷時間(Tp)を得る。このようにして、主制御部10は、1ページ分の印刷データの受信に要した最長の受信時間(Tr)、1ページ分の印刷データの編集展開に要した最長の編集展開時間(Te)、1ページ分の印刷に要した最長の印刷時間(Tp)を得る。
ここで、主制御部10は、受信時間(Tr)の方が編集展開時間(Te)よりも長い場合、転写ベルト45への転写が間に合わなくなるオーバーランを回避するために、全ページの印刷データの受信が完了した時点を、印刷開始タイミングとすることで、印刷条件を変更する。尚、このように、全ページの印刷データの受信が完了した時点を印刷開始タイミングとする場合、図3に示すステップSP8で否定結果を得るために、主制御部10は、ユーザによる印刷開始要求を有りから無しに変更する。
また一方で、編集展開時間(Te)の方が受信時間(Tr)よりも長い場合、主制御部10は、ラベル紙Lmへの転写が間に合わなくなるオーバーランを回避するために、印刷時間(Tp)の方が編集展開時間(Te)よりも長くなるように印刷速度を下げることで、印刷条件を変更する。このように印刷条件を変更した後、主制御部10は、ステップSP37に移る。
また、主制御部10は、上述のステップSP23で、印刷可能な画像データが存在しないことにより否定結果を得た場合も、ステップSP37に移る。ステップSP37において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して印刷を停止させるとともに、印刷実行指示フラグをOFFした後、カット判定処理を終了する。ここで、上述のステップSP23からステップSP37に移ってきた場合、このことは、全ページの印刷が完了したことを意味する。ゆえに、この場合、主制御部10は、ステップSP37で印刷を終了する。ちなみに、例えば、最終ページの印刷データにカットが指定されているような場合、主制御部10がカッター33を制御して、最終ページが印刷されたラベルと次のラベルとの区切りでラベル紙Lmをカットして印刷済みのラベルのみを排出するようにしてもよい。
一方で、上述のステップSP36からステップSP37に移ってきた場合、このことは、全ページの印刷が完了する前に、ラベル紙Lmをカットしたことを意味する。ゆえに、この場合、主制御部10は、ステップSP37で印刷を中断する。
主制御部10は、ステップSP37で印刷を中断した場合、以降も図3に示す準備処理のステップSP2以降の処理を継続する。そして、主制御部10は、ステップSP11又はステップSP14に達した時点で、印刷を再開する。尚、上述したように、主制御部10は、印刷を中断する際に印刷条件を変更するため、印刷再開後は、変更した印刷条件で印刷を行うようになっている。そして、印刷再開後、主制御部10は、再び、図5及び図6に示すカット判定処理を準備処理と並行して行う。カット判定処理の流れは以上のようになっている。
次に図7に示すフローチャートを用いて印刷処理について説明する。この印刷処理は、主制御部10が、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して印刷を行う処理である。ステップSP40において、主制御部10は、印刷完了ページ数(Pc)が0であるかどうかを判断する。ここで、印刷完了ページ数(Pc)が0である場合、このことは、このとき印刷するページが1ページ目であることを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP40で肯定結果を得て、ステップSP41に移る。
ステップSP41において、主制御部10は、Pc+1ページ目(すなわち1ページ目)の画像データを大容量記憶装置13から読みだして、印刷処理部15に供給する。印刷処理部15は、供給された1ページ目の画像データをもとに、画像形成部44A〜44Eを用いて、転写ベルト45上に、予め設定しておいたラベル紙Lmのラベル周期に合わせて1ページ目の画像(現像剤像)を転写する。
一方で、印刷完了ページ数(Pc)が0でない場合、このことは、このとき印刷するページが2ページ目以降であることを意味する。この場合、主制御部10は、ステップSP40で否定結果を得て、ステップSP42に移る。ステップSP42において、主制御部10は、Pcページ目の画像データにつづけてPc+1ページ目の画像データを大容量記憶装置13から読み出し、印刷処理部15に供給する。印刷処理部15は、供給されたPc+1ページ目の画像データをもとに、画像形成部44A〜44Eを用いて、転写ベルト45上に、予め設定しておいたラベル紙Lmのラベル周期に合わせてPc+1ページ目の画像(現像剤像)を転写する。
ステップSP41及びステップSP42につづくステップSP43において、主制御部10は、媒体先端書き出し検知部40がラベル紙Lmの先頭ラベルの先端を検知したかどうかを判断する。ここで、ラベル紙Lmの先頭ラベルの先端が媒体先端書き出し検知部40の位置に到達したことにより肯定結果を得ると、主制御部10は、ステップSP44に移る。ステップSP44において、主制御部10は、転写ベルト45に転写した1ページ目の現像剤像の搬送位置及び搬送速度と、媒体先端書き出し検知部40により検知したラベル紙Lmの先頭ラベルの先端位置とをもとに、転写ベルト45により搬送されてくる1ページ目の現像剤像が二次転写部41のニップ部に到達するタイミングに、ラベル紙Lmの先頭ラベルがニップ部に到達するタイミングを合わせるように機構制御部16によるラベル紙Lmの搬送を制御することで、ラベル紙Lmの先頭ラベルに1ページ目の現像剤像を転写(すなわちラベルにページ画像を印刷)させ、さらにラベル紙Lmに転写された1ページ目の現像剤像を定着部42により定着させる。その後、主制御部10は、再びステップSP40に戻り、転写ベルト45への次ページの転写を行う。
一方で、ラベル紙Lmの先頭ラベルの先端が媒体先端書き出し検知部40の位置に到達していない、もしくは既に通過していることにより、ステップSP43で否定結果を得ると、主制御部10は、ステップSP45に移る。ステップSP45において、主制御部10は、ラベル紙Lmへの転写がすでに開始されているどうかを判断する。ここで、ラベル紙Lmへの転写がまだ開始されていない場合、主制御部10は、再びステップSP40に戻り、転写ベルト45への次ページの転写を行う。
一方で、ラベル紙Lmへの転写がすでに開始されている場合、主制御部10は、ステップSP46に移る。ステップSP46において、主制御部10は、媒体排出検知部43がラベル紙Lmの後端を検知したかどうかを判断する。ここで、媒体排出検知部43がラベル紙Lmの後端をまだ検知していない場合、このことは、印刷が継続されていることを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP47に移る。ステップSP47において、主制御部10は、印刷処理部15及び機構制御部16を制御して、ラベル紙LmのPc+1枚目のラベルにPc+1ページ目の現像剤像を転写(すなわちラベルにページ画像を印刷)させ、さらにラベル紙Lmに転写されたPc+1ページ目の現像剤像を定着部42により定着させる。その後、主制御部10は、再びステップSP40に戻り、転写ベルト45への次ページの転写を行う。
一方で、媒体排出検知部43がラベル紙Lmの後端を検知した場合、このことは、ラベル紙Lmの末端が媒体排出検知部43に到達したこと、もしくはラベル紙Lmがカットされたときのカット部分の後端が媒体排出検知部43に到達したことを意味する。このとき、主制御部10は、ステップSP46で肯定結果を得て印刷処理を終了、もしくは中断する。印刷処理の流れは以上のようになっている。
上述した印刷動作により、画像形成装置1は、印刷準備中にユーザからの要求に応じて印刷を開始する。さらに、画像形成装置1は、印刷中に、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データがまだ準備できていない状況になると、オーバーランが発生する前に、カット単位ページ数(Cu)に基づくカット可能位置でラベル紙Lmをカットして、カットした部分を先に排出するとともに印刷を中断する。その後、画像形成装置1は、オーバーランが発生しないように印刷条件を変更したうえで、印刷を再開するようになっている。
ここで、上述した印刷動作を分かり易くするために、図8(A)、(B)に示すタイミングチャートを用いて、具体的な印刷例について説明する。尚、図8(A)、(B)は、横方向を時間として図中右方向に時間が進んでいくタイイングチャートである。これら図8(A)、(B)はともに、印刷準備中にユーザからの要求に応じて印刷を開始した場合の印刷例であり、図8(A)は印刷開始後にラベル紙Lmをカットすることなく印刷を継続できた場合、図8(B)は印刷開始後に途中でラベル紙Lmをカットした場合の印刷例である。また、図8(A)、(B)どちらも、カット単位ページ数(Cu)が「3」に指定された場合の印刷例である。
まず、図8(A)に示すタイミングチャートについて説明する。図8(A)では、時点t0から印刷データの受信が開始され、1ページ目の印刷データの受信が完了した後、2ページ目の印刷データ、そして3ページ目の印刷データを連続して受信している。さらに、印刷データの受信と並行して、受信した印刷データの編集展開が行われている。例えば1ページ目の印刷データの受信が完了した後、2ページ目の印刷データが受信されるとともに、1ページ目の印刷データの編集展開が行われている。尚、印刷データの受信に要する時間の方が、印刷データの編集展開に要する時間より長いため、印刷データの編集展開は、間欠的に行われている。
そして図8(A)では、6ページ目の印刷データを受信していて且つ5ページ目の印刷データを編集展開している時点t1で、ユーザにより印刷を開始するよう要求されている。このとき、編集展開済みの印刷可能ページ数(Pe)が、カット単位ページ数(Cu)以上の4であり、ステップSP10(図3)の印刷開始条件を満たしているため、この時点t1で印刷が開始される。つまり、この時点t1以降に、連続印刷が行われている。
そして、図8(A)では、2ページ目の印刷が完了した時点t2でカット判定を行っている。このとき、印刷データの編集展開は6ページ目まで完了していて、そのうち1ページ目と2ページ目がすでに印刷完了しているため、このときの印刷可能ページ数(Pe)は6−2=4となる。つまり、この時点t2で、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データ(すなわち6ページ目までの画像データ)がすでに準備されている。よって、このとき、ステップSP26(図5)のカット回避条件を満たすため、次のカット可能位置でのカットは回避されている。この図8(A)に示す印刷例では、印刷準備中に印刷を開始していて、且つラベル紙Lmのカットも回避しているため、例えば、全ページの印刷データの受信が完了してから編集展開を開始するような場合と比べて、印刷に要する時間を大幅に短縮できた例である。
次に、図8(B)に示すタイミングチャートについて説明する。図8(B)も、図8(A)と同様、時点t10から印刷データの受信が開始され、1ページ目の印刷データの受信が完了した後、2ページ目の印刷データ、そして3ページ目の印刷データを連続して受信している。さらに、印刷データの受信と並行して、受信した印刷データの編集展開が間欠的に行われている。
そして、図8(B)では、3ページ目の印刷データを受信していて且つ2ページ目の印刷データを編集展開している時点t11で、ユーザにより印刷を開始するよう要求されている。このとき、編集展開済みの印刷可能ページ数(Pe)は、カット単位ページ数(Cu)未満の1であり、ステップSP10(図3)の印刷開始条件を満たしていないため、この時点t11ではまだ印刷が開始されない。その後、3ページ目の印刷データの編集展開が完了した時点t12で、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)以上となり、印刷が開始される。
そして、図8(B)では、2ページ目の印刷が完了した時点t13でカット判定を行っている。このとき、印刷データの編集展開は4ページ目まで完了していて、そのうち1ページ目と2ページ目がすでに印刷完了しているため、このときの印刷可能ページ数(Pe)は4−2=2となる。つまり、この時点t13では、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データ(すなわち6ページ目までの画像データ)がまだ準備できていない。よって、このとき、ステップSP26(図5)のカット回避条件を満たさないため、次のカット可能位置(すなわち印刷された3ページ目のページ画像の後端側となる位置)でカットされている。この図8(B)に示す印刷例は、印刷準備中に印刷を開始した後、オーバーランの発生が予測されたため、オーバーランする前に、ラベル紙Lmをカット可能位置でカットした例である。
このように、ラベル紙Lmをカット可能位置でカットした場合、印刷が中断され、オーバーランしないように印刷条件が変更されたうえで、印刷が再開される。ここで、図9(A)、(B)に示すタイミングチャートを用いて、印刷条件変更後の具体的な印刷例について説明する。
図9(A)は、受信時間(Tr)の方が編集展開時間(Te)よりも長く、全ページの印刷データの受信が完了した時点を印刷開始タイミングとすることで印刷条件を変更した場合の印刷例である。この場合、最終ページである9ページ目の印刷データの受信が完了した時点t20で、印刷が再開される。
一方、図9(B)は、編集展開時間(Te)の方が受信時間(Tr)よりも長く、印刷時間(Tp)の方が編集展開時間(Te)よりも長くなるように印刷速度を下げることで印刷条件を変更した場合の印刷例である。この場合、印刷可能ページ数(Pe)がカット単位ページ数(Cu)以上となった時点t30で、印刷が再開され、以降、印刷時間(Tp)の方が編集展開時間(Te)よりも長くなるように印刷速度を下げて印刷が行われる。
[3.まとめと効果]
ここまで説明したように、画像形成装置1では、印刷準備中に、ユーザにより印刷を開始するよう要求されると、ユーザにより指定されたカット単位ページ数(Cu)分の画像データが準備できた時点で、印刷を開始するようにした。こうすることで、印刷準備が完了する前に印刷を開始でき、且つ印刷開始直後に印刷可能な画像データが足りなくなってオーバーランしてしまうような状況を回避できる。
さらに、画像形成装置1は、印刷を開始した後、次のカット単位ページ数(Cu)分の画像データがまだ準備できてなく、このまま連続印刷を継続すると、次のカット単位ページ数分のページを印刷している途中でオーバーランすると予測される場合に、ラベル紙Lmを次のカット可能位置でカットして印刷を中断し、カットした部分を先に排出してから、印刷を再開するようにした。また、画像形成装置1は、印刷を中断した後、媒体先端書き出し検知部40がラベル紙Lm上の先頭ラベルの先端を検知するまでラベル紙Lmを搬送してから印刷を再開するようになっている為、カット後、再び、ラベル紙Lmの先頭ラベルから順にページ画像を印刷することができる。こうすることで、画像形成装置1は、少なくともユーザにより指定されたカット単位ページ数分のラベルについては、正常に連続印刷して先に排出でき、ラベル紙Lmがユーザの意図しない位置でカットされてしまうことを防ぐことができる。また、画像形成装置1は、オーバーランを未然に防ぐことができるので、ラベル紙Lm上に意図しない空白ページが現れてしまったり、オーバーランにより印刷を途中でエラー終了してしまったりする状況を回避することもできる。
さらに、画像形成装置1は、ラベル紙Lmをカットして印刷を中断した後に印刷を再開する際には、中断前の印刷に関する情報(受信時間(Tr)、編集展開時間(Te)、印刷時間(Tp)など)をもとに、オーバーランせずに印刷できるよう印刷条件を変更するようにした。こうすることで、ラベル紙Lmをカットした後、再度ラベル紙Lmをカットするような状況を極力回避できる。つまり、画像形成装置1では、ラベル紙Lmをカットした以降は、最終ページまでオーバーランすることなく連続印刷することができる。
以上のように、画像形成装置1は、オーバーランの発生を抑制しつつ、全ページの印刷準備が完了してから印刷を開始するような従来技術と比べて印刷に要する時間を大幅に短縮することができる。
[4.他の実施の形態]
[4−1.他の実施の形態1]
上述した実施の形態では、画像形成部44A〜44Eが転写ベルト45に一次転写した現像剤像をラベル紙Lmに二次転写する中間転写方式の画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、転写ベルト45及び二次転写部41を設けず、画像形成部44A〜44Eが直接、ラベル紙Lmに現像剤像を転写するような直接転写方式の画像形成装置に適用してもよい。
中間転写方式の画像形成装置1の場合、転写ベルト45からラベル紙Lmへ或るページの二次転写を行っているときに、画像形成部44A〜44Eから転写ベルト45へ次ページの一次転写が行われている状況が起こり得るため、ページ単位での印刷の中断、再開が難しい。このため、上述した実施の形態では、カット単位ページ数分のページの最終ページより1ページ前の印刷が完了した時点でラベル紙Lmのカット判定を行い、その後、ラベル紙Lmを次のカット可能位置でカットして印刷を中断した後、カットした部分を先に排出して印刷開始前と同様の状態に戻してから、印刷を再開するようになっている。
一方で、例えばモノクロの直接転写方式の画像形成装置の場合、単色の画像形成部44が直接、ラベル紙Lmに現像剤像を転写するため、ページ単位での印刷の中断、再開が容易である。そこで、このような、ページ単位での印刷の中断、再開が容易な印刷機構を有する画像形成装置に本発明を適用する場合には、カット単位ページ数の代わりに、印刷単位ページ数をユーザに指定させるようにしてもよい。印刷単位ページ数とは、印刷を中断しなければならない状況になったときに、何ページ単位であれば中断してもよいか(つまり少なくとも何ページ単位で印刷するか)を示す数である。この場合、画像形成装置の主制御部10は、例えば、印刷中に、次の印刷単位ページ数分の画像データが準備できていない状況になった場合に、印刷単位ページ数分のページ画像の印刷が完了した時点で(つまり次の印刷単位ページ数分のページ画像の印刷を開始する前に)印刷を中断する。その後、主制御部10は、上述した実施の形態と同様に印刷条件を変更したうえで、印刷を再開する。このように、画像形成装置の印刷機構によっては、ラベル紙Lmをカットすることなく印刷の中断、再開のみで、オーバーランを抑制しつつ印刷に要する時間を短縮することができる。またこの場合も、印刷を中断する際に、印刷し終えた印刷単位ページ数分のページ画像の最終ページの後端側でラベル紙Lmをカットして、カットした部分を先に排出するようにしてもよい。
[4−2.他の実施の形態2]
また、上述した実施の形態では、カット単位ページ数(Cu)分のページの最終ページより1ページ前の印刷が完了した時点でラベル紙Lmのカット判定を行うようにした。これに限らず、ページ単位での印刷の中断、再開が容易な印刷機構を有する画像形成装置に本発明を適用する場合には、カット単位ページ数(Cu)分の印刷が完了した時点でカット判定を行うようにしてもよい。また、これに限らず、印刷機構の構成によっては、カット単位ページ数(Cu)分のページの最終ページより2ページ前の印刷が完了した時点でカット判定を行うようにしてもよい。
[4−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した実施の形態では、印刷中断後、編集展開時間(Te)の方が受信時間(Tr)よりも長い場合には、印刷時間(Tp)の方が編集展開時間(Te)よりも長くなるように印刷速度を下げることで印刷条件を変更するようにした。ここで、画像形成装置1で設定可能な最低速度まで印刷速度を下げても、編集展開時間(Te)より印刷時間(Tp)を長くすることができない場合がある。
この場合、画像形成装置1側で、印刷中断時の印刷データの残りページ数(Pt)が印刷データの記述などから特定できるのであれば、印刷中断後、Pt×(Te−Tp)/Teで算出されるページ数分の印刷データの編集展開が完了したタイミングで印刷を再開すればよい。つまり、編集展開時間(Te)より印刷時間(Tp)を長くすることができないのであれば、印刷を再開するタイミングを遅らせることで、オーバーランの発生を抑制するようにすればよい。
また、画像形成装置1側で、印刷中断後の印刷データの残りページ数(Pt)を特定できないのであれば、印刷中断後、全ページの印刷データの編集展開が完了したタイミングで印刷を再開するとともに、画像形成装置1で設定可能な最高速度で印刷を行うようにすればよい。さらに、画像形成装置1側で、印刷中断後の印刷データの残りページ数(Pt)が印刷データの記述などから特定できない場合、例えば印刷中断時に、残りページ数(Pt)をユーザに入力させる画面を操作パネル部14に表示して、ユーザに残りページ数(Pt)を入力させるようにしてもよい。
[4−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した実施の形態では、印刷準備中にユーザにより印刷を開始するよう要求された際に、ユーザにカット単位ページ数(Cu)を指定させるようにした。これに限らず、例えば、操作パネル部14に表示させた設定画面(図示せず)を介して予めユーザにカット単位ページ数(Cu)を指定させておくようにしてもよい。この場合、印刷を開始するよう要求した際のカット単位ページ数(Cu)の入力を省略できる。
また、上述した実施の形態では、印刷準備中にユーザにより印刷を開始するよう要求されると、その後、主制御部10が、カット単位ページ数(Cu)分の印刷可能な画像データが準備できた時点で、印刷を開始するようにした。これに限らず、カット単位ページ数(Cu)がユーザにより予め指定されていて、且つ印刷を自動で開始するよう設定されている場合には、印刷準備中に、カット単位ページ数(Cu)分の印刷可能な画像データが準備できた時点で、主制御部10が、自動的に印刷を開始するようにしてもよい。
[4−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した実施の形態では、図2に示す中間転写方式の印刷機構を有する画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、図2に示す印刷機構とは異なる印刷機構を有する画像形成装置にも適用できる。例えば、転写ベルト45の代わりに転写ローラを備えた印刷機構を有する画像形成装置や、直接転写方式の印刷機構を有する画像形成装置にも適用できる。また、上述した実施の形態では、連続する媒体としてのラベル紙Lmにページ単位で印刷を行う画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、例えばラベル紙Lmとは異なるロール紙などの連続する媒体にページ単位で印刷を行う画像形成装置にも適用できる。また、連続する媒体にページ単位で印刷を行う画像形成装置であれば、プリンタ、ファクシミリ、MFP(Multi Function Product:複合機)など、様々な画像形成装置に適用できる。
[4−6.他の実施の形態6]
また、上述した実施の形態では、印刷データを取得する取得部の具体例としてデータ受信部11を用いた。これに限らず、有線もしくは無線で印刷データを取得できるものであれば、データ受信部11とは異なる取得部を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、印刷データをもとにページ単位の画像データを作成する画像データ作成部の具体例として、編集展開処理部12を用いた。これに限らず、印刷データをもとにページ単位の画像データを作成できるものであれば、編集展開処理部12とは異なる画像データ作成部を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、ページ画像を媒体に印刷する印刷部の具体例として、印刷処理部15及び機構制御部16を用いた。これに限らず、ページ画像を媒体に印刷することができるものであれば、印刷処理部15及び機構制御部16とは異なる印刷部を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、印刷部及びカッターを制御する制御部の具体例として、主制御部10を用いた。これに限らず、印刷部及びカッターを制御できるものであれば、主制御部10とは異なる制御部を用いてもよい。さらに、上述した実施の形態では、ユーザが印刷を開始するよう要求するため、及びユーザにカット単位ページ(もしくは印刷単位ページ)を指定させるための入力部の具体例として、操作パネル部14を用いた。これに限らず、操作パネル部14とは異なる入力部を用いてもよい。
[4−7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。