(実施形態1)
図1に示す研削装置1は、研削手段4によって保持テーブル30に保持された板状ワークWを研削する装置である。研削装置1のベース10上の前方(−Y方向側)は、保持テーブル30に対して板状ワークWの搬入出が行われる領域である搬入出領域Aとなっており、ベース10上の後方(+Y方向側)は、研削手段4によって保持テーブル30上に保持された板状ワークWの研削加工が行われる領域である加工領域Bとなっている。
図1に示す板状ワークWは、円形板状の半導体ウエーハ(例えば、シリコンウェーハ)であり、その表面Waには、複数の図示しないデバイスが形成されている。板状ワークWの表面Waには、例えば図示しない保護テープが貼着されており、表面Waは保護テープによって保護されている。そして、板状ワークWの裏面Wbは、研削加工が施される被研削面となり、板状ワークWは裏面Wbを上側にした状態で保持テーブル30に保持される。
ベース10の正面側(−Y方向側)には、例えば、第1のカセット載置部150及び第2のカセット載置部151が設けられており、第1のカセット載置部150には加工前の板状ワークWが収容される第1のカセット150aが載置され、第2のカセット載置部151には加工後の板状ワークWを収容する第2のカセット151aが載置される。
第1のカセット150aの後方(+Y方向側)には、第1のカセット150aから加工前の板状ワークWを搬出するとともに加工後の板状ワークWを第2のカセット151aに搬入するロボット155が配設されている。ロボット155に隣接する位置には、仮置き領域152が設けられており、仮置き領域152には位置合わせ手段153が配設されている。位置合わせ手段153は、第1のカセット150aから搬出され仮置き領域152に載置された板状ワークWを所定の位置に位置合わせする。
位置合わせ手段153と隣接する位置には、板状ワークWを保持した状態で旋回するローディングアーム154aが配置されている。ローディングアーム154aは、位置合わせ手段153において位置合わせされた板状ワークWを保持し、ローディングアーム154aの近傍に位置付けられた保持テーブル30へ板状ワークWを搬送する。ローディングアーム154aの隣には、加工後の板状ワークWを保持した状態で旋回するアンローディングアーム154bが設けられている。アンローディングアーム154bと近接する位置には、アンローディングアーム154bにより搬送された加工後の板状ワークWを洗浄する枚葉式のスピンナー洗浄手段156が配置されている。スピンナー洗浄手段156により洗浄された板状ワークWは、ロボット155により第2のカセット151aに搬入される。
研削装置1のベース10上に配設され板状ワークWを保持する保持手段3は、図2に示すように、板状ワークWを吸引保持する保持テーブル30と、保持テーブル30の底面側の中央に一端を固定した回転軸31と、回転軸31を回転させる回転手段35とを備えている。保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり板状ワークWを吸引保持する保持部300と、保持部300を支持する枠体301とを備える。保持部300は図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が保持面300aに伝達されることで、保持テーブル30は保持面300a上で板状ワークWを吸引保持する。回転軸31の下端側に連結されたモータ等からなる回転手段35が回転軸31を回転させることにより、保持テーブル30を所定の回転速度で回転させることができる。また、保持テーブル30は、カバー39によって周囲から囲まれており、カバー39下に配設された図示しないY軸方向送り手段によって、ベース10上をY軸方向に往復移動可能となっている。
加工領域Bの後方(+Y方向側)には、コラム12が立設されており、コラム12の−Y方向側の側面には研削手段4を保持テーブル30に対して離間又は接近する上下方向に研削送りする研削送り手段2が配設されている。研削送り手段2は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ20と、ボールネジ20と平行に配設された一対のガイドレール21と、ボールネジ20の上端に連結しボールネジ20を回動させるモータ22と、内部のナットがボールネジ20に螺合し側部がガイドレール21に摺接する昇降板23と、昇降板23に連結され研削手段4を保持するホルダ24とを備えており、モータ22がボールネジ20を回動させると、これに伴い昇降板23がガイドレール21にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ24に保持された研削手段4がZ軸方向に研削送りされる。なお、モータ22は、例えば、制御手段9から供給されるパルス信号によりボールネジ20を回動させるパルスモータである。
保持テーブル30に保持された板状ワークWを研削加工する研削手段4は、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)である回転軸40と、回転軸40を回転可能に支持するハウジング41と、回転軸40を回転駆動するモータ42と、回転軸40の下端に接続された円環状のマウント43と、マウント43の下面に着脱可能に接続された研削ホイール44とを備える。
研削ホイール44は、ホイール基台441と、ホイール基台441の底面に環状に配設された略直方体形状の複数の研削砥石440とを備える。研削砥石440は、例えば、レジンボンドやメタルボンド等でダイヤモンド砥粒等が固着されて成形されている。なお、研削砥石440の形状は、環状に一体に形成されているものでもよい。
回転軸40の内部には、研削水の通り道となる図示しない流路が回転軸40の軸方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。この流路はマウント43を通り、ホイール基台441の底面において研削砥石440に向かって研削水を噴出できるように開口している。
保持テーブル30の移動経路脇の近傍には、保持テーブル30により保持され研削手段4により研削される板状ワークWの厚みを測定する厚み測定手段19が配設されている。厚み測定手段19は、例えば、板状ワークWの厚みを接触式にて測定する一対のハイトゲージである。厚み測定手段19は、保持テーブル30の保持面300aの高さ位置測定用の第1のハイトゲージ191と、保持テーブル30で保持された板状ワークWの裏面Wbの高さ位置測定用の第2のハイトゲージ192とを備えており、第1のハイトゲージ191(第2のハイトゲージ192)は、その先端に上下方向に昇降するコンタクト191a(192a)を備えており、板状ワークWの厚みを研削中に随時測定することができる。
図1に示すように、厚み測定手段19で測定した研削前の板状ワークWの厚みと予め設定される板状ワークWの設定厚みとの差を研削量として算出する研削量算出部80と、研削量算出部80が算出した研削量を予め設定した研削送り速度で研削したときの研削時間を算出する研削時間算出部81とを備える算出手段8が、厚み測定手段19に接続されている。
研削装置1は、装置全体の制御を行う制御手段9を備えており、制御手段9は、例えば、制御プログラムに従って演算処理するCPU、制御プログラム等を格納するROM、及び演算結果等を格納するRAM等から構成されている。そして、制御手段9は、図示しない配線によって、研削送り手段2及び厚み測定手段19等に接続されており、制御手段9の制御の下で、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作や、厚み測定手段19による板状ワークWの厚み測定動作等が制御される。
以下に、図1に示す研削装置1において、保持テーブル30に保持された板状ワークWを研削砥石440で研削する場合の研削装置1の動作について説明する。板状ワークWの研削においては、まず、図1に示す搬入出領域A内において、保持テーブル30の中心と板状ワークWの中心とが略合致するように、板状ワークWが、表面Waを下にして保持面300a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が、保持面300aに伝達されることにより、保持テーブル30が保持面300a上で板状ワークWを吸引保持する。
次いで、板状ワークWを保持した保持テーブル30が、搬入出領域Aから加工領域B内の研削手段4の下まで+Y方向へ移動して、研削手段4に備える研削ホイール44と板状ワークWとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、研削ホイール44の回転中心が保持テーブル30の回転中心に対して所定の距離だけ+Y方向にずれ、研削砥石440の回転軌道が保持テーブル30の回転中心を通るように行われる。
次いで、例えば、制御手段9から厚み測定手段19に指令が送られ、厚み測定手段19の第1のハイトゲージ191が、コンタクト191aの先端が板状ワークWで覆われていない保持テーブル30の枠体301の上面へ接触する状態にセットされ、第2のハイトゲージ192が、コンタクト192aの先端が板状ワークWの裏面Wbへ接触する状態にセットされる。そして、第1のハイトゲージ191により、基準面となる枠体301の上面の高さ位置が検出され、第2のハイトゲージ192により、研削される板状ワークWの裏面Wbの高さ位置が検出され、両者の検出値の差を算出することで、厚み測定手段19が研削前の板状ワークWの厚みT0(μm)を測定する。研削前の板状ワークWの厚みT0についての情報は、厚み測定手段19から算出手段8に送信される。この後、制御手段9は厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークWの厚み測定を一旦終了させる。
算出手段8には、予め、研削後の板状ワークWの所望の厚み、すなわち、板状ワークWの設定厚みT1(μm)が設定されており、研削量算出部80は、厚み測定手段19で測定された研削前の板状ワークWの厚みT0と板状ワークWの設定厚みT1との差を研削量H(μm)として算出する。制御手段9には、予め、研削手段4を1分毎にどれだけの距離下降させるかについての研削送り速度V0(μm/分)が設定されている。例えば、制御手段9は、制御手段9から研削送り手段2のモータ22に送出するパルス信号数を制御することで、研削手段4を予め設定した研削送り速度V0で下降させることができる。そして、算出手段8の研削時間算出部81は、研削量算出部80が算出した研削量Hを予め設定した研削送り速度V0で研削手段4を−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t1を算出する。算出手段8は、研削時間算出部81が算出した研削時間t1についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t1についてのデータを記憶する。
制御手段9が、研削送り手段2のモータ22に対して、研削手段4を研削送り速度V0で下降させるだけのパルス信号を供給し始めることで、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始される。また、回転軸40が回転駆動されるのに伴って研削ホイール44が回転し、回転する研削ホイール44の研削砥石440が板状ワークWの裏面Wbに当接することで研削加工が行われる。研削中は、回転手段35が回転軸31を回転させて保持テーブル30を回転させるのに伴って、保持面300a上に保持された板状ワークWも回転するので、研削砥石440が板状ワークWの裏面Wbの全面の研削加工を行う。研削加工中は、研削水を研削砥石440と板状ワークWとの接触部位に対して供給して、研削砥石440と板状ワークWの裏面Wbとの接触部位を冷却・洗浄する。
制御手段9は、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始され、研削砥石440が板状ワークWの上面である裏面Wbに接触して研削加工を開始した時点からの時間の経過を計測し続け、板状ワークWの研削加工が進行していき、研削時間算出部81が算出した研削砥石440が板状ワークWの裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークWが設定厚みT1になるまでの研削時間t1が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、厚み測定手段19に対して板状ワークWの厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた厚み測定手段19は、研削前の板状ワークWの厚みT0を測定した場合と同様に、研削加工が施されている板状ワークWの厚みの測定を開始する。そして、厚み測定手段19が測定する板状ワークWの厚みについての情報は、随時制御手段9に送信される。
さらに板状ワークWの研削加工が進行し、厚み測定手段19が測定する板状ワークWの厚みが設定厚みT1に達した場合には、研削送り手段2に対する研削手段4を研削送り速度V0で下降させるだけの数のパルス信号の供給を制御手段9がすぐに停止して、研削手段4の下降を停止させて研削手段4による板状ワークWの研削を終了させる。
研削加工中における厚み測定手段19による板状ワークWの厚み測定では、厚み測定手段19の第1のハイトゲージ191及び第2のハイトゲージ192を正確な位置に位置付ける制御が必要とされ、また、厚み測定手段19による板状ワークWの厚み測定に必要な演算処理等は制御手段9のCPUによっても行われるため、制御手段9に対する負荷を大きく増加させる要因となる。そして、厚み測定手段19による板状ワークWの厚み測定についての制御手段9による正確な制御は、研削後の板状ワークWを所望の厚みにできるか否かに大きく影響する。本発明に係る研削装置1では、上記のように、制御手段9は、研削送り手段2が研削送り動作を開始し研削時間算出部81が算出した研削時間t1が経過する直前から厚み測定手段19により板状ワークWの厚みを測定し、厚み測定手段19が測定する板状ワークWの厚みが予め設定した厚みT1に達したら研削を終了させる制御を行うため、厚み測定手段19が研削加工開始時から研削加工終了時まで継続して厚み測定を行う場合に比べて、制御手段9に対して掛かる制御負荷が大きく減少する。そのため、厚み測定手段19が測定する板状ワークWの厚みが設定厚みT1に至ったことについての情報が厚み測定手段19から制御手段9に送られた場合に、制御手段9がこの情報をすぐに処理することができ、その結果、制御手段9は、研削送り手段2へ研削を終了させる旨の指令を即時に発報することができる。このように、板状ワークWが所定厚みに至ったことについての測定がなされた時点から研削を終了させる指令が発報されるまでの間のタイムラグがなくなるため、研削加工後の板状ワークWの厚みを設定厚みT1にする正確な加工制御を制御手段9が行うことができる。
次いで、研削送り手段2により研削手段4を+Z方向へと上昇させて研削加工済みの板状ワークWから離間させる。また、保持テーブル30の回転を停止させ、図示しないY軸方向送り手段により保持テーブル30を−Y方向に移動させて搬出入領域Aの元の位置に戻す。そして、アンローディングアーム154bが、保持テーブル30上に吸引保持されている研削加工が施された板状ワークWを保持テーブル30から搬出する。
(実施形態2)
図2に示す加工装置1Aは、研削手段4及び第2の研削手段4A並びに研磨手段5を備える加工装置であって、各保持手段3A〜3Dを構成する各保持テーブル30に保持された板状ワークを、研削手段4及び第2の研削手段4Aにより研削し、さらに、研磨手段5により研磨する装置である。加工装置1Aは、例えば、ベース10の後方(+Y方向側)に第2の装置ベース11を連結して構成している。ベース10上は、板状ワークWの搬出入等が行われる領域である搬出入領域Aとなっている。第2の装置ベース11上は、研削手段4若しくは第2の研削手段4A又は研磨手段5によって保持テーブル30に保持された板状ワークWの加工が行われる領域である加工領域Bとなっている。
図2に示す板状ワークW1〜W4は、円形板状の半導体ウエーハ(例えば、シリコンウェーハ)であり、その表面Waには、複数の図示しないデバイスが形成されている。板状ワークW1〜W4の各表面Waには、例えば図示しない保護テープが貼着されており、表面Waは保護テープによって保護されている。そして、板状ワークW1〜W4の裏面Wbは、研削加工が施される被研削面となり、板状ワークW1〜W4は裏面Wbを上側にした状態で各保持テーブル30に保持される。
加工装置1Aの搬入出領域Aの装置構成は、図1に示す研削装置1の搬入出領域Aの構成と同様に構成されている。加工領域B内の第2の装置ベース11上には、外形が円形状のターンテーブル17が配設され、ターンテーブル17の上面には、例えば4つの保持テーブル30が周方向に等間隔を空けて配設されている。なお、保持テーブル30の配設数は、本実施形態における数に限定されるものではない。ターンテーブル17の底面側には、ターンテーブル17の中心を軸に回転させ研削手段4及び第2の研削手段4A並びに研磨手段5に対して各保持テーブル30を位置付ける位置付け手段13が配設されている。
保持手段3A〜3Dは、それぞれ、図1に示す研削装置1に備える保持手段3の構成と同一であり、板状ワークWを吸引保持する保持テーブル30と、保持テーブル30の底面側の中央に一端を固定した回転軸31と、回転軸31を回転させる回転手段35とを備えている。
図1に模式的に示す位置付け手段13は、例えば、上端がターンテーブル17の底面側に接続された回転軸130と、回転軸130に連結され回転軸130を回転させることでターンテーブル17を自転させるモータ131とを備えており、モータ131は、例えば、制御手段9からのパルス信号により回転軸130を回転させるパルスモータである。位置付け手段13は、制御手段9に内蔵されたパルス発振器から送られるパルス信号数で回転軸130の回転角度及び回転速度を正確に制御しながら、ターンテーブル17を自転させることができる。そして、位置付け手段13は、ターンテーブル17を自転させることで、4つの保持テーブル30を公転させ、仮置き領域152の近傍から、研削手段4の下方、第2の研削手段4Aの下方、及び研磨手段5の下方へと保持テーブル30を順次移動させて位置付けることができる。なお、位置付け手段13は、モータ131をサーボモータとし、また、モータ131に回転軸131の回転角度を認識するエンコーダを備えるものとして、制御手段9に回転軸130の回転角度を通知しフィードバック制御を行うことで、保持テーブル30を所定の位置に位置付けることができるようにしてもよい。
第2の装置ベース11上の後方側(+Y方向側)には、コラム12と第2のコラム12AとがX軸方向に並列して立設されている。コラム12の−Y方向側の側面には、図1に示す研削装置1と同様に、研削手段4を保持テーブル30に対して離間又は接近する上下方向に研削送りする研削送り手段2、及び保持テーブル30に保持された板状ワークWを研削加工する研削手段4が配設されている。
第2のコラム12Aには、保持テーブル30の保持面300aに対して接近又は離間する方向に第2の研削手段4Aを研削送りする第2の研削送り手段2Aが配設されている。第2の研削送り手段2Aの構成は、研削送り手段2の構成と同一である。第2の研削手段4Aは、回転可能に装着した第2の研削砥石440Aで、研削手段2が研削した板状ワークWをさらに研削する。第2の研削砥石440A中に含まれる砥粒は、研削手段4の研削砥石440に含まれる砥粒よりも粒径の小さい砥粒である。したがって、第2の研削手段4Aは、例えば、研削手段4により粗研削が施され仕上げ厚み程度まで薄くなった板状ワークWに対して、第2の研削砥石440Aによって、板状ワークWの裏面Wbの平坦性を高める仕上げ研削を行うことができる。第2の研削手段4Aの第2の研削砥石440A以外の構成については、研削手段4の構成と同様となっている。
研削手段4の近傍でターンテーブル17よりも外側には、保持テーブル30により保持され研削手段4により研削される板状ワークWの厚みを測定する厚み測定手段19が配設されている。厚み測定手段19は、図1に示す研削装置1に備えられている厚み測定手段19と同一のものであり、板状ワークWの厚みを接触式にて測定する一対のハイトゲージである。第2の研削手段4Aの近傍でターンテーブル17よりも外側には、保持テーブル30により保持され第2の研削手段4Aにより研削される板状ワークWの厚みを測定する第2の厚み測定手段19Aが配設されている。第2の厚み測定手段19Aは、厚み測定手段19と同一の構成となっている。
第2の装置ベース11上の側方(−X方向側)には、コラム14が立設されており、コラム14の+X方向側の側面には、保持テーブル30に保持された板状ワークWの被研磨面、すなわち裏面Wbの面方向(Y軸方向)に研磨手段5の研磨パッド54を摺動させる摺動手段18が配設されている。摺動手段18は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ180と、ボールネジ180と平行に配設された一対のガイドレール181と、ボールネジ180を回動させるモータ182と、内部のナットがボールネジ180に螺合し側部がガイドレール181に摺接する可動板183とから構成される。そして、研磨パッド54を板状ワークWの裏面Wbに当接させた状態で、モータ182がボールネジ180を回動させると、これに伴い可動板183がガイドレール181にガイドされてY軸方向に移動し、可動板183上に配設された研磨手段5が可動板183の移動に伴いY軸方向に移動し、研磨パッド54が板状ワークWの裏面Wb上を摺動する。モータ182は、例えば、制御手段9からのパルス信号によりボールネジ180を回動させるパルスモータである。
可動板183上には、研磨手段5を保持テーブル30の保持面300aに対して接近又は離間する方向に研磨送りする研磨送り手段16が配設されている。研磨送り手段16は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心を有するボールネジ160と、ボールネジ160と平行に配設された一対のガイドレール161と、ボールネジ160に連結しボールネジ160を回動させるモータ162と、内部のナットがボールネジ160に螺合し側部がガイドレール161に摺接する昇降板163とから構成され、モータ162がボールネジ160を回動させると、これに伴い昇降板163がガイドレール161にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板163上に配設された研磨手段5が保持テーブル30に対して接近及び離間するZ軸方向に昇降する。モータ162は、例えば、制御手段9から供給されるパルス信号によりボールネジ160を回動させるパルスモータである。
研磨手段5は、例えば、軸方向が鉛直方向(Z軸方向)であるスピンドル50と、スピンドル50を回転可能に支持するハウジング51と、スピンドル50を回転駆動するモータ52と、スピンドル50の下端に接続された円形板状のマウント53と、マウント53の下面に着脱可能に取り付けられた円形状の研磨パッド54とから構成されている。研磨パッド54は、例えば、フェルト等の不織布からなる。例えば、スピンドル50の内部には、スラリーが流入する流路が形成されており、この流路に図示しないスラリー供給源が連通している。スラリー供給源からスピンドル50に対して供給されたスラリーは、マウント53の底面に形成された開口から研磨パッド54に対して供給される。
図1に示すように、厚み測定手段19で測定した研削前の板状ワークWの厚みと予め設定される板状ワークWの設定厚みとの差を研削量として算出する研削量算出部80と、研削量算出部80が算出した研削量を予め設定した研削送り速度で研削したときの研削時間を算出する研削時間算出部81と、を備える算出手段8が、厚み測定手段19に接続されている。さらに、算出手段8は、第2の厚み測定手段19Aで測定した研削手段4で研削された板状ワークWの厚みと予め設定される板状ワークWの仕上げ厚みとの差を第2の研削量として算出する第2の研削量算出部83と、第2の研削量算出部83が算出した第2の研削量を予め設定した第2の研削送り速度で研削したときの研削時間を算出する第2の研削時間算出部84とを備えており、第2の厚み測定手段19Aにも接続されている。
加工装置1Aは、装置全体の制御を行う制御手段9を備えており、制御手段9は、図示しない配線によって、研削送り手段2、第2の研削送り手段2A、厚み測定手段19及び第2の厚み測定手段19A等に接続されており、制御手段9の制御の下で、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作や、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークWの厚み測定動作等が制御される。
以下に、図2に示す加工装置1Aにおいて、保持手段3A〜3Dに保持される各板状ワークW1〜W4に対して、仕上げ厚み程度まで薄くする粗研削、被加工面の平坦性を高める仕上げ研削、及び被加工面の研磨を含む一連の加工を行う場合の、加工装置1の動作について説明する。
まず、図2に示す位置付け手段13が+Z軸方向から見て反時計回り方向にターンテーブル17を自転させることで、板状ワークが載置されていない状態の保持手段3Aの保持テーブル30が公転し、保持テーブル30がローディングアーム154aの近傍まで移動する。ロボット155が第1のカセット150aから一枚の板状ワークW1を引き出し、板状ワークW1を位置合わせ手段153に移動させる。次いで、位置合わせ手段153において板状ワークW1が所定の位置に位置決めされた後、ローディングアーム154aが、位置合わせ手段153上の板状ワークW1を保持手段3Aの保持テーブル30上に移動させる。そして、保持テーブル30の中心と板状ワークW1の中心とが略合致するように、板状ワークW1が裏面Wbを上側にして保持テーブル30上に載置され、保持手段3Aの保持テーブル30が板状ワークW1を吸引保持する。
例えば、図2に示すように、位置付け手段13が+Z軸方向から見て反時計回り方向にターンテーブル17を自転させることで、板状ワークW1を保持した保持テーブル30が公転し、加工領域B内の研削手段4の下まで移動して、研削手段4に備える研削ホイール44と保持テーブル30に保持された板状ワークW1との位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、研削ホイール44の回転中心が保持テーブル30の回転中心に対して所定の距離だけ+X方向にずれ、研削砥石440の回転軌道が保持テーブル30の回転中心を通るように行われる。また、ローディングアーム154aの近傍まで移動した保持手段3Bの保持テーブル30上に、ローディングアーム154aにより板状ワークW2が載置され、保持手段3Bの保持テーブル30が板状ワークW2を吸引保持する。
次いで、例えば、制御手段9から厚み測定手段19に指令が送られ、第1のハイトゲージ191により、基準面となる枠体301の上面の高さ位置が検出され、第2のハイトゲージ192により、研削される板状ワークW1の裏面Wbの高さ位置が検出され、両者の検出値の差を算出することで、厚み測定手段19が研削前の板状ワークW1の厚みT2(μm)を測定する。研削前の板状ワークW1の厚みT2についての情報は、厚み測定手段19から算出手段8に送信される。この後、制御手段9は厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークW1の厚み測定を一旦終了させる。
算出手段8には、予め、粗研削後の板状ワークW1についての所望の厚み、すなわち、板状ワークW1の設定厚みT3(μm)が設定されており、研削量算出部80は、厚み測定手段19で測定された研削前の板状ワークW1の厚みT2と板状ワークW1の設定厚みT3との差を研削量H1(μm)として算出する。制御手段9には、予め、研削手段4を1分毎にどれだけの距離下降させるかについての研削送り速度V1(μm/分)が設定されている。例えば、制御手段9は、制御手段9から研削送り手段2のモータ22に送出するパルス信号数を制御することで、研削手段4を予め設定した研削送り速度V1で下降させることができる。そして、算出手段8の研削時間算出部81は、研削量算出部80が算出した研削量H1だけ予め設定した研削送り速度V1で研削手段4を−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t2を算出する。算出手段8は、研削時間算出部81が算出した研削時間t2についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t2についてのデータを記憶する。
制御手段9が、研削送り手段2のモータ22に対して、研削手段4を研削送り速度V1で下降させるだけのパルス信号を供給し始めることで、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始される。また、回転軸40が回転駆動されるのに伴って研削ホイール44が回転し、回転する研削ホイール44の研削砥石440が板状ワークW1の裏面Wbに当接することで研削加工が行われる。研削中は、回転手段35が保持テーブル30を回転させるのに伴って、保持面300a上に保持された板状ワークW1も回転するので、研削砥石440が板状ワークW1の裏面Wbの全面の粗研削加工を行う。研削加工中は、研削水を研削砥石440と板状ワークW1との接触部位に対して供給して、研削砥石440と板状ワークW1の裏面Wbとの接触部位を冷却・洗浄する。
制御手段9は、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始され、研削砥石440が板状ワークW1の上面である裏面Wbに接触して研削加工を開始した時点から時間の経過を計測し続ける。板状ワークW1の研削加工が進行していき、研削時間算出部81が算出した研削砥石440が板状ワークW1の裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークW1が設定厚みT3になるまでの研削時間t2が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、厚み測定手段19に対して板状ワークW1の厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた厚み測定手段19は、研削前の板状ワークW1の厚みT2を測定した場合と同様に、研削加工が施されている板状ワークW1の厚みの測定を開始する。そして、厚み測定手段19が測定する板状ワークWの厚みについての情報は、随時制御手段9に送信される。
さらに板状ワークW1の粗研削加工が進行し、厚み測定手段19が測定する板状ワークW1の厚みが設定厚みT3に達した場合には、制御手段9が研削送り手段2のモータ22に対するパルス信号の供給を即時停止して、研削手段4の下降を停止させて研削手段4による板状ワークW1の粗研削を終了させる。
図2に示す位置付け手段13が+Z軸方向から見て反時計回り方向にターンテーブル17を自転させることで、粗研削後の板状ワークW1を保持する保持手段3Aの保持テーブル30が公転し、粗研削後の板状ワークWが第2の研削手段4Aの下方まで移動し、第2の研削手段4Aの第2の研削砥石440Aと板状ワークW1との位置合わせが行われる。また、板状ワークW2を保持した保持手段3Bの保持テーブル30が公転し、加工領域B内の研削手段4の下まで移動して、研削手段4の研削砥石440と板状ワークW2との位置合わせがなされる。さらに、ローディングアーム154aの近傍まで移動した保持手段3Cの保持テーブル30上に板状ワークW3が載置され、保持手段3Cの保持テーブル30が板状ワークW3を吸引保持する。
次いで、例えば、制御手段9から第2の厚み測定手段19Aに指令が送られ、第1のハイトゲージ191により、基準面となる枠体301の上面の高さ位置が検出され、第2のハイトゲージ192により、粗研削がされた板状ワークW1の裏面Wbの高さ位置が検出され、両者の検出値の差を算出することで、第2の厚み測定手段19Aが粗研削後の板状ワークW1の厚みT3(μm)を測定する。粗研削後の板状ワークW1の厚みT3についての情報は、第2の厚み測定手段19Aから算出手段8に送信される。この後、制御手段9は第2の厚み測定手段19Aに指令を送り、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定を一旦終了させる。なお、粗研削後の板状ワークW1の厚みT3は、先の粗研削において厚み測定手段19によっても測定されているため、第2の厚み測定手段19Aによる粗研削後の板状ワークW1の厚みT3の測定を行わず、先に厚み測定手段19が測定した板状ワークW1の厚みT3についての情報が、厚み測定手段19から算出手段8に送信されるものとしてもよい。
算出手段8には、予め、仕上げ研削後の板状ワークW1の所望の厚み、すなわち、板状ワークW1の仕上げ厚みT4(μm)が設定されており、第2の研削量算出部83は、第2の厚み測定手段19Aで測定された粗研削後の板状ワークW1の厚みT3と板状ワークW1の仕上げ厚みT4との差を研削量H2(μm)として算出する。制御手段9には、予め、第2の研削手段4Aを1分毎にどれだけの距離下降させるかについての第2の研削送り速度V2(μm/分)が設定されている。例えば、制御手段9は、制御手段9から第2の研削送り手段2Aのモータ22に送出するパルス信号数を制御することで、第2の研削手段4Aを予め設定した第2の研削送り速度V2で下降させることができる。算出手段8の第2の研削時間算出部84は、第2の研削量算出部83が算出した研削量H2を予め設定した設定した第2の研削送り速度V2で第2の研削手段4Aを−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t3を算出する。算出手段8は、第2の研削時間算出部84が算出した研削時間t3についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t3についてのデータを記憶する。
また、制御手段9から厚み測定手段19に指令が送られ、厚み測定手段19が保持手段3Bに保持された研削前の板状ワークW2の厚みT5(μm)を測定する。研削前の板状ワークW2の厚みT5についての情報は、厚み測定手段19から算出手段8に送信される。この後、制御手段9は厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークW2の厚み測定を一旦終了させる。
算出手段8には、予め、粗研削後の板状ワークW2の所望の厚み、すなわち、板状ワーク2の設定厚みT3(μm)が設定されており、研削量算出部80は、厚み測定手段19で測定された研削前の板状ワークW2の厚みT5と板状ワークW2の設定厚みT3との差を研削量H3(μm)として算出する。そして、算出手段8の研削時間算出部81は、研削量算出部80が算出した研削量H3を予め設定した研削送り速度V1で研削手段4を−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t4を算出する。算出手段8は、研削時間算出部81が算出した研削時間t4についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t4についてのデータを記憶する。
制御手段9が、第2の研削送り手段2Aのモータ22に対して所定量のパルス信号を供給することで、第2の研削送り手段2Aによる第2の研削手段4Aの研削送り動作が開始され、研削送り速度V2で第2の研削手段4Aが降下していく。また、回転軸40が回転駆動されるのに伴って研削ホイール44が回転し、回転する研削ホイール44の第2の研削砥石440Aが保持手段3Aで保持された板状ワークW1の裏面Wbに当接することで、板状ワークW1の仕上げ研削加工が行われる。仕上げ研削中は、保持面300a上に保持された板状ワークW1も回転するので、第2の研削砥石440Aが板状ワークW1の裏面Wbの全面の仕上げ研削加工を行う。研削加工中は、研削水を第2の研削砥石440Aと板状ワークW1との接触部位に対して供給して、第2の研削砥石440Aと板状ワークW1の裏面Wbとの接触部位を冷却・洗浄する。
例えば、第2の研削手段4Aによる板状ワークW1の仕上げ研削加工が開始された後、制御手段9が、研削送り手段2のモータ22に対して、研削手段4を研削送り速度V1で下降させるだけの量のパルス信号を供給することで、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始される。また、回転軸40が回転駆動されるのに伴って研削ホイール44が回転し、回転する研削ホイール44の研削砥石440が保持手段3Bで保持された板状ワークW2の裏面Wbに当接することで、板状ワークW1に対する仕上げ研削加工に並行して、板状ワークW2に対する粗研削加工が行われる。粗研削中は、保持手段3Bの保持テーブル30が回転するのに伴って板状ワークW2も回転するので、研削砥石440が板状ワークW2の裏面Wbの全面の粗研削加工を行う。
一般的に、粗研削加工が施される板状ワークW2の研削量H3は、仕上げ研削加工が施される板状ワークW1の研削量H2よりも多い。そのため、板状ワークW1の仕上げ研削時間t3は、板状ワークW2の粗研削時間t4よりも短く、板状ワークW1の仕上げ研削時間t3は板状ワークW2の粗研削時間t4よりも先に経過する。そこで、制御手段9は、第2の研削送り手段2Aによる第2の研削手段4Aの研削送り動作が開始され、第2の研削砥石440Aが研削砥石440で研削された板状ワークW1の裏面Wbに接触して仕上げ研削加工を開始した時点からの時間の経過を計測し続け、板状ワークW1の仕上げ研削加工が進行していき、研削時間t3が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、第2の厚み測定手段19Aに対して板状ワークW1の厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた第2の厚み測定手段19Aは、仕上げ研削加工が施されている板状ワークW1の厚みの測定を開始し、第2の厚み測定手段19Aが測定する板状ワークW1の厚みについての情報が随時制御手段9に送信される。
さらに板状ワークW1の仕上げ研削加工が進行し、第2の厚み測定手段19Aが測定する板状ワークW1の厚みが仕上げ厚みT4に達した場合には、第2の研削送り手段2Aのモータ22に対するパルス信号の供給を制御手段9がすぐに停止して、第2の研削手段4Aによる板状ワークW1の仕上げ研削を終了させる。また、制御手段9は、第2の厚み測定手段19Aに指令を送り、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定を終了させる。
制御手段9は、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始され、研削砥石440が板状ワークW2の上面である裏面Wbに接触して研削加工を開始した時点からの時間の経過を計測し続け、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定が終了した後、研削時間算出部81が算出した研削砥石440が板状ワークW2の裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークW2が設定厚みT3になるまでの研削時間t4が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、厚み測定手段19に対して板状ワークW2の厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた厚み測定手段19は板状ワークW2の厚みの測定を開始し、厚み測定手段19が測定する板状ワークW2の厚みについての情報が随時制御手段9に送信される。
板状ワークW2の粗研削加工が進行し、厚み測定手段19が測定する板状ワークW2の厚みが設定厚みT3に達した場合には、研削送り手段2のモータ22に対するパルス信号の供給を制御手段9がすぐに停止して、研削手段4による板状ワークW2の粗研削を終了させる。また、制御手段9は、厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークW2の厚み測定を終了させる。
加工装置1において、粗研削と仕上げ研削とが並行して二軸で実施され、また、厚み測定手段19による板状ワークW2の厚み測定及び第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定が同時に継続して実施されると、各厚み測定手段の正確な位置付けや各厚み測定手段によるワーク厚み測定に必要な演算処理等により、制御手段9に対して大きな負荷が常時掛かることになる。そして、研削加工中における各厚み測定手段による各板状ワークの厚み測定についての制御手段9による正確な制御は、研削後の板状ワークを所望の厚みにできるか否かに直接的に影響する。本発明に係る加工装置1Aでは、上記のように、制御手段9は、研削送り手段2が研削送り動作を開始し、研削時間算出部81が算出した研削砥石440が板状ワーク2の裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークW2が設定厚みT3になるまでの研削時間t4が経過する直前から厚み測定手段19により板状ワークW2の厚みを測定し、第2の研削送り手段2Aが研削送り動作を開始し、第2の研削時間算出部83が算出した第2の研削砥石440Aが研削砥石440で研削された板状ワークW1の裏面Wbに接触して仕上げ研削加工を開始してから板状ワークW1が仕上げ厚みT4になるまでの研削時間t3が経過する直前から第2の厚み測定手段19Aにより板状ワークW1の厚みを測定し、例えば先に開始した第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定を優先させ、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定が終了した後、厚み測定手段19により板状ワークW2の厚み測定を実施する制御を行う。したがって、厚み測定手段19及び第2の厚み測定手段19Aが、各二軸の各研削加工開始時から各研削加工終了時まで継続して同時に各板状ワークについての厚み測定を行う場合に比べて、制御手段9に対して掛かる制御負荷を大きく減少させることができる。そのため、第2の厚み測定手段19Aが測定する板状ワークW1の厚みが仕上げ厚みT4に至ったことについての情報が、第2の厚み測定手段19Aから制御手段9に送られた場合に、制御手段9がこの情報をすぐに処理することができ、その結果、制御手段9は、第2の研削送り手段2Aへ研削を終了させる旨の指令を即時に発報することができる。このように板状ワークW1が仕上げ厚みT4に至ったことについての測定がなされた時点から仕上げ研削を終了させる指令が発報されるまでの間のタイムラグがなくなるため、研削加工後の板状ワークW1の厚みを仕上げ厚みT4にする正確な加工制御を制御手段9は行うことができる。また、厚み測定手段19が測定する板状ワークW2の厚みが設定厚みT3に至ったことについての情報が、厚み測定手段19から制御手段9に送られた場合に、制御手段9がこの情報をすぐに処理することができ、その結果、制御手段9は、研削送り手段2へ粗研削加工を終了させる旨の指令を即時に発報することができる。このように板状ワークW2が設定厚みT3に至ったことについて測定された時点から研削を終了させる指令が発報されるまでの間のタイムラグがなくなるため、研削加工後の板状ワークW2の厚みを設定厚みT3にする正確な加工制御を制御手段9が行うことができる。
図2に示すターンテーブル17が+Z方向から見て反時計回り方向に自転することで、仕上げ研削後の板状ワークW1を保持する保持手段3Aの保持テーブル30が公転し、研磨手段5に備える研磨パッド54と板状ワークW1との位置合わせが行われる。位置合わせは、例えば、図2に示す研磨パッド54が板状ワークW1の裏面Wb全面に当接するように行われる。また、板状ワークW2を保持した保持手段3Bの保持テーブル30が公転し、第2の研削手段4Aに備える第2の研削砥石440Aと保持手段3Bの保持テーブル30に保持された板状ワークW2との位置合わせがなされる。また、板状ワークW3を保持した保持手段3Cが研削手段4の下まで移動して、研削手段4に備える研削砥石440と保持手段3Cの保持テーブル30に保持された板状ワークW3との位置合わせがなされる。さらに、ローディングアーム154aの近傍まで移動した保持手段3Dの保持テーブル30上に板状ワークW4が載置され、保持手段3Dの保持テーブル30が板状ワークW4を吸引保持する。
次いで、例えば、制御手段9から第2の厚み測定手段19Aに指令が送られ、第2の厚み測定手段19Aが粗研削後の板状ワークW2の厚みT3(μm)を測定する。粗研削後の板状ワークW1の厚みT3についての情報は、第2の厚み測定手段19Aから算出手段8に送信される。この後、制御手段9は第2の厚み測定手段19Aに指令を送り、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW1の厚み測定を一旦終了させる。なお、粗研削後の板状ワークW2の厚みT3は、先の粗研削加工時において厚み測定手段19によっても測定されているため、第2の厚み測定手段19Aによる粗研削後の板状ワークW2の厚みT3の測定を行わず、先に厚み測定手段19が測定した板状ワークW2の厚みT3についての情報が、厚み測定手段19から算出手段8に送信されるものとしてもよい。
算出手段8には、予め、仕上げ研削後の板状ワークW2の仕上げ厚みT4(μm)が設定されており、第2の研削量算出部83は、粗研削後の板状ワークW2の厚みT3と板状ワークW2の仕上げ厚みT4との差を研削量H2(μm)として算出する。制御手段9には、予め、第2の研削手段4Aについての第2の研削送り速度V2(μm/分)が設定されている。算出手段8の第2の研削時間算出部84は、第2の研削量算出部83が算出した研削量H2を予め設定した設定した第2の研削送り速度V2で第2の研削手段4Aを−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t3を算出する。算出手段8は、第2の研削時間算出部84が算出した研削時間t3についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t3についてのデータを記憶する。
また、制御手段9から厚み測定手段19に指令が送られ、厚み測定手段19が保持手段3cに保持された研削前の板状ワークW3の厚みT6(μm)を測定する。研削前の板状ワークW3の厚みT6についての情報は、厚み測定手段19から算出手段8に送信される。この後、制御手段9は厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定を一旦終了させる。
算出手段8には、予め、粗研削後の板状ワーク3の設定厚みT3(μm)が設定されており、研削量算出部80は、厚み測定手段19で測定された研削前の板状ワークW3の厚みT6と板状ワークW3の設定厚みT3との差を研削量H4(μm)として算出する。そして、算出手段8の研削時間算出部81は、研削量算出部80が算出した研削量H4を予め設定した研削送り速度V1で研削手段4を−Z方向に向かって研削送りしたときの研削時間t5を算出し、研削時間t5についての情報を制御手段9に送信し、制御手段9は研削時間t5についてのデータを記憶する。
制御手段9が、第2の研削送り手段2Aのモータ22に対して所定量のパルス信号を供給することで、第2の研削送り手段2Aによる第2の研削手段4Aの研削送り動作が開始され、研削送り速度V2で第2の研削手段4Aが降下していく。また、回転軸40が回転駆動されるのに伴って第2の研削砥石440Aが回転し、回転する第2の研削砥石440Aが保持手段3Bで保持された板状ワークW2の裏面Wbに当接することで、板状ワークW2の仕上げ研削加工が行われる。
例えば、第2の研削手段4Aによる板状ワークW2の仕上げ研削加工が開始された後、制御手段9が、研削送り手段2のモータ22に対して、所定量のパルス信号を供給することで、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始される。また、回転する研削ホイール44の研削砥石440が保持手段3Cで保持された板状ワークW3の裏面Wbに当接することで、板状ワークW2に対する仕上げ研削加工と並行して、板状ワークW3に対する粗研削加工が行われる。
さらに、板状ワークW2に対する仕上げ研削加工及び板状ワークW3に対する粗研削加工が実施されるのと並行して、制御手段9が、研磨送り手段16のモータ162に対して、所定量のパルス信号を供給し始めることで、研磨送り手段16が研磨手段5を−Z方向に向かって研磨送りする。スピンドル50が回転駆動されるのに伴って研磨パッド54が回転し、回転する研磨パッド54の下面が保持手段3Aで保持された板状ワークW1の裏面Wb全面に当接することで研磨加工が行われる。研磨加工中は、保持面300a上に保持された板状ワークW1も回転するので、研磨パッド54が板状ワークW1の裏面Wbの全面の研磨加工を行う。また、例えば、研磨加工中は、スラリーを研磨パッド54と板状ワークW1との接触部位に対して供給することで、研磨パッド54による化学的機械的研磨法、所謂CMPが行われる。
板状ワークW1に対し先に行われた仕上げ研削加工中において、板状ワークW1の裏面Wbは洗浄水で洗浄されているが、洗浄しきれなかった研削屑が板状ワークW1の裏面Wbに付着した状態で研磨加工が実施される場合があり、この研削屑が研磨パッド54の回転によって板状ワークW1の裏面Wb上を連れ回り、研磨によって、例えば同心円状の縞模様が板状ワークW1の裏面Wbに形成されてしまうことがある。このような縞模様は板状ワークWの抗折強度を低下させる要因となる。そこで、このような縞模様が形成されることを防止するために、研磨加工中においては、例えば、制御手段9が、摺動手段18のモータ182に対して、所定量のパルス信号を供給し始めることで、研磨手段5をY軸方向に移動させて、研磨パッド54を板状ワークW1の裏面Wb上でY軸方向に摺動させる。すなわち、例えば、研磨手段5をガイドレール181の−Y方向側の端から+Y方向側の端まで+Y方向側に移動させていく。研磨手段5がガイドレール181の+Y方向側の端に移動したら、制御手段9が、摺動手段18のモータ182に対して、モータ182の回転を正回転から逆回転させる旨の指令を発しかつ所定量のパルス信号を供給することで、研磨手段5をガイドレール181の+Y方向側の端から−Y方向側の端まで−Y方向側に移動させる。制御手段9が、このような研磨手段5のY軸方向への往復動作(摺動動作)繰り返させる制御を研磨加工中断続的に行う、研磨加工が開始された数秒後に行う、又は研磨加工が終了する数秒前に行うことで、板状ワークW1の裏面Wbに縞模様が形成されることを防止する。
粗研削、仕上げ研削、及び研磨加工が並行して3軸で実施され、厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定及び第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定が同時に継続して実施されると、各厚み測定手段の正確な位置付けや各厚み測定手段によるワーク厚み測定に必要な演算処理等により、制御手段9に対して大きな負荷が常時掛かることになる。さらに、研磨加工中における摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作は、摺動手段18のモータ182の正回転から逆回転への回転動作の切り換え指令や摺動動作の繰り返し回数についての指令等を、逐次制御手段9が演算処理を行いながら摺動手段18に対して発報する必要が生じる。そのため、各厚み測定手段によるワーク厚み測定に加えて、摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作が実施されると、制御手段9に対する負荷が局時的にさらに増大する。研削加工中における各厚み測定手段による各板状ワークの厚み測定についての制御手段9による正確な制御は、研削後の板状ワークを所望の厚みにできるか否かに直接的に影響する。また、摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作についての制御手段9による正確な制御は、一連の加工における最終的な板状ワークW1の製品品質に直接的に影響する。
そこで本発明に係る加工装置1では、制御手段9が厚み測定手段に19よる板状ワークW3の厚み測定と、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定とのいずれかが実施されているときには摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作を実施せず、また、摺動手段18が摺動動作を実施中は、厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定または第2の厚み測定手段19Aによる板状ワーク2の厚み測定を実施しない制御を行うことで、厚み測定手段19及び第2の厚み測定手段19Aが各二軸の各研削加工開始時から各研削加工終了時まで継続して同時に各板状ワークについての厚み測定を行う場合に比べて、制御手段9に対して掛かる制御負荷を大きく減少させることができる。また、厚み測定手段19又は第2の厚み測定手段19Aによる厚み測定と摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作が同時に行われることがなくなるため、制御手段9が処理しなければならない情報が制御手段9に対して一時に集中することがなくなり、制御手段9が各厚み測定手段の動作制御及び摺動手段18による研磨パッド54の摺動動作の制御を正確に行うことができる。
例えば、一般的に、粗研削加工が施される板状ワークW3の研削量H4は、仕上げ研削加工が施される板状ワークW2の研削量H2よりも多い。そのため、板状ワークW2の仕上げ研削時間t3は板状ワークW3の粗研削時間t5よりも先に経過する。そこで、制御手段9は、第2の研削送り手段2Aによる第2の研削手段4Aの研削送り動作が開始され、第2の研削砥石440Aが研削砥石440で研削された板状ワークW2の裏面Wbに接触して仕上げ研削加工を開始した時点からの時間の経過を計測し続け、板状ワークW2の仕上げ研削加工が進行していき、第2の研削砥石440Aが板状ワークW2の裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークW2が仕上げ厚みT4になるまでの研削時間t3が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、第2の厚み測定手段19Aに対して板状ワークW2の厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた第2の厚み測定手段19Aは、仕上げ研削加工が施されている板状ワークW2の厚みの測定を開始し、第2の厚み測定手段19Aが測定する板状ワークW2の厚みについての情報が随時制御手段9に送信される。
第2の厚み測定手段19Aが測定する板状ワークW2の厚みが仕上げ厚みT4に達した場合には、第2の研削送り手段2Aのモータ22に対するパルス信号の供給を制御手段9がすぐに停止して、第2の研削手段4Aによる板状ワークW2の仕上げ研削を終了させる。また、制御手段9は、第2の厚み測定手段19Aに指令を送り、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定を終了させる。
制御手段9は、研削送り手段2による研削手段4の研削送り動作が開始され、研削砥石440が板状ワークW3の上面である裏面Wbに接触して研削加工を開始した時点からの時間の経過を計測し続け、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定が終了した後、研削時間算出部81が算出した研削砥石440が板状ワークW3の裏面Wbに接触して研削加工を開始してから板状ワークW3が設定厚みT3になるまでの研削時間t5が経過する直前(例えば、3秒〜5秒前)になったら、厚み測定手段19に対して板状ワークW3の厚み測定を開始させる旨の指令を出す。この指令を受けた厚み測定手段19は板状ワークW3の厚みの測定を開始し、厚み測定手段19が測定する板状ワークW3の厚みについての情報が随時制御手段9に送信される。
板状ワークW3の粗研削加工が進行し、厚み測定手段19が測定する板状ワークW3の厚みが設定厚みT3に達した場合には、研削送り手段2のモータ22に対するパルス信号の供給を制御手段9がすぐに停止して、研削手段4による板状ワークW3の粗研削を終了させる。また、制御手段9は、厚み測定手段19に指令を送り、厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定を終了させる。
上記のように、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定及び厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定が終了した後、制御手段9が、摺動手段18のモータ182に対して、所定量のパルス信号を供給し始めることで、板状ワークW1の研磨を行っている研磨手段5をY軸方向に移動させて、研磨パッド54を板状ワークW1の裏面Wb上でY軸方向に摺動させる。そして、板状ワークW1の研磨加工を完了させた後、研磨手段5を+Z方向へと移動させて研磨加工済みの板状ワークW1から離間させる。また、図1に示すターンテーブル17が+Z方向から見て反時計回り方向に自転することで、研磨加工後の板状ワークW1を保持する保持手段3Aの保持テーブル30が公転し、保持テーブル30がアンローディングアーム154bの近傍まで移動する。アンローディングアーム154bが保持テーブル30から板状ワークW1を搬出した後、ローディングアーム154aが研削加工前の別の新しい一枚の板状ワークWを保持テーブル30に搬送して、次いで、上記と同様に一連の加工を板状ワークWに施していく。
なお、本発明に係る加工装置1は本実施形態2に限定されるものではなく、また、添付図面に図示されている加工装置1の各構成の大きさや形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。例えば、本実施形態2においては、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定及び厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定が終了した後、制御手段9が、研磨パッド54を板状ワークW1の裏面Wb上でY軸方向に摺動させる制御を行っているが、例えば、板状ワークW1の研磨加工が、板状ワークW2の仕上げ研削加工又は板状ワークW3の粗研削加工よりも短時間で終えられるものであれば、先に研磨パッド54を板状ワークW1の裏面Wb上で摺動させる制御を制御手段9が実施し、その後、第2の厚み測定手段19Aによる板状ワークW2の厚み測定又は厚み測定手段19による板状ワークW3の厚み測定を実施するものとしてもよい。