JP6800649B2 - 空気調和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和装置に関する。
半導体製造設備等において用いられる精密温調用の空気調和装置として、空気取込口及び空気吐出口を有する筐体を備え、当該筐体内に送風機、加熱部及び冷却部を収容する空気調和装置がある。このような空気調和装置は、送風機の駆動によって装置外部から空気取込口に空気を取り込み、取り込んだ空気を加熱部及び冷却部によって所望の温度に調節して空気吐出口から吐出する。空気取込口及び空気吐出口は、筐体の任意の位置に設けられ得るが、多くの場合、空気取込口は筐体の側面に設けられ、空気吐出口は筐体の上面又は側面に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
この種の空気調和装置は、一般に、空気吐出口にダクトを接続することにより、温度制御された空気をダクトを介して温度制御対象空間に供給するように用いられる。また、ダクトの下流側端部に複数の穴を有する中空のボックスを接続し、当該ボックスにおける複数の穴に分岐用のダクトを接続することにより、温度制御された空気を複数の温度制御対象空間に供給する場合もある。例えば半導体製造設備においては、上記のようなボックスを用いることで、一つの空気調和装置から吐出される空気を、クリーンルーム及び当該クリーンルーム内に設置された複数の装置の内部等に分配する場合がある。
また、半導体製造設備において用いられる際、この種の空気調和装置は前記設備が設置される空間の階下の空間に配置される場合がある。この場合においては、空気吐出口に接続されたダクトが、階上の空間に向けて上方に延びるように配置されることになる。
特開2009−63242号公報
ところで、特許文献1に開示された空気調和装置では、一つの空気吐出口が筐体の上面又は側面に設けられているが、この構成では、空気吐出口から温度制御対象空間に向けてダクトを延ばす場合に、ダクトを不所望に多く屈曲させなければならない状況が生じ得る。そのため、ダクトの屈曲部分の増加による圧損の増加によって、所望の風量を得るための送風機の出力を不所望に増加させなければならない状況が生じ、送風機の運転効率が低下する場合がある。具体的には例えば、筐体の側面に空気吐出口が設けられ且つ温度制御対象空間が空気調和装置に対して上方に位置する場合、ダクトを上方に屈曲させる必要がある。この場合、ダクトを直線的に延ばせる場合に比較して圧損が増加することで、送風機の運転効率が低下する。
また、この種の空気調和装置では、空気吐出口に接続するダクトとして、一般的に、空気吐出口の直径に合致する直径のダクトが用いられる。ここで、特許文献1に開示されるように、装置の上面又は側面に空気吐出口が一つのみ設けられている構成では、設置条件によっては、ダクトの占有領域が不所望に大きくなってしまい、空気調和装置の設置自由度が制約される状況や、当該装置の周辺部材の配置自由度が制約される状況が生じる場合がある。また、温度制御対象空間に求められる要求風量に対してダクトが小さくなり過ぎることで、送風機の出力を不所望に増加させなければならない状況も生じ得る。
また、空気調和装置から複数の温度制御対象空間に空気を供給する際には、上述したように、空気吐出口に接続したダクトの下流側端部に複数の穴を有する中空のボックスを接続し、且つ当該ボックスにおける複数の穴に分岐用のダクトを接続してもよい。しかしながら、この場合、ダクトの増加によるコスト上昇及び構成の煩雑化という問題が生じる。そのため、構造を煩雑化することなく複数の空間に空気を供給可能な構成が望まれる。
本発明は、このような実情を考慮してなされたものであり、温度制御対象空間へ空気を供給するためのダクトを種々のパターンで接続することができ、状況に応じて好適なダクトの配置パターンを柔軟に設定することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明は、空気を取り込む空気取込口及び取り込まれた空気を吐出する空気吐出口を有し、その内部に前記空気取込口と前記空気吐出口とを連通させる空気通流路を画成する筐体と、前記空気取込口から前記空気吐出口へ空気を通流させる送風機と、前記筐体に収容され、前記空気通流路を通流する空気を温度制御する温調部と、前記空気吐出口を覆うように前記筐体に取り付けられ、且つその内部空間を前記空気吐出口に連通させる分配ボックスと、を備え、前記分配ボックスには、ダクトが接続される穴であって、前記内部空間から前記ダクトへ空気を供給するための、上方に開口する第1ダクト接続穴と、前記第1ダクト接続穴とは異なる方向に開口する第2ダクト接続穴と、が設けられている、ことを特徴とする空気調和装置、である。前記空気通流路は、前記空気取込口から上方に延びた後、水平方向に延びるように屈曲し、前記温調部は前記空気通流路内に配置されている。
この空気調和装置によれば、接続されたダクトを温度制御対象空間まで延ばす際にダクトの屈曲部分を極力抑制できるダクト接続穴を、上方に開口する第1ダクト接続穴及びこれとは異なる方向に開口する第2ダクト接続穴の中から温度制御対象空間の位置に応じて適宜選択することが可能となる。これにより、ダクトに形成される不所望な屈曲部分による圧損の増加を抑制できることで、送風機の運転効率の低下を抑制できる。また、複数の温度制御対象空間がある場合には、複数のダクト接続穴に接続したダクトを対応する温度制御対象空間まで延ばすことにより、ダクトの増加を抑制しつつ複数の温度制御対象空間に温度制御された空気を供給できる。したがって、温度制御対象空間へ空気を供給するためのダクトを種々のパターンで接続することができ、状況に応じて好適なダクトの配置パターンを柔軟に設定することができる。
本発明に係る空気調和装置においては、前記分配ボックスに、複数の前記第1ダクト接続穴が設けられていてもよい。
この構成によれば、ダクトを通して直接的に空気を供給できる温度制御対象空間を増加させることができるため、利便性を向上させることができる。
また、複数の前記第1ダクト接続穴のうちの少なくとも一つの第1ダクト接続穴の開口面積が、他の第1ダクト接続穴の開口面積と異なっていてもよい。
この構成によれば、ダクトの占有領域を小さくすることが求められる場合には、開口面積の小さい第1ダクト接続穴に細いダクトを接続することにより、占有面積抑制の要求に対応することができ、温度制御対象空間に求められる要求風量が大きい場合には、開口面積の大きい第1ダクト接続穴に太いダクトを接続することにより、圧損による送風機の不所望な出力増加を抑制しつつ温度制御対象空間に空気を供給できる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、前記分配ボックスに、複数の前記第2ダクト接続穴が設けられていてもよい。
この構成によれば、ダクトを通して直接的に空気を供給できる温度制御対象空間を増加させることができるため、利便性を向上させることができる。
この場合、複数の前記第2ダクト接続穴のうちの少なくとも一つの第2ダクト接続穴が、他の第2ダクト接続穴とは異なる方向に開口していてもよい。
この構成によれば、例えば、互いに異なる方向に開口する複数の第2ダクト接続穴の中から、接続されたダクトを温度制御対象空間まで延ばす際にダクトの長さを極力抑制できるダクト接続穴を、温度制御対象空間の位置に応じて適宜選択することが可能となる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、この場合、異なる方向に開口する前記第2ダクト接続穴の開口面積が、互いに異なっていてもよい。
この構成によれば、ダクトの接続の向きに加えて、ダクトの径も選択できるため、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、複数の前記第2ダクト接続穴には、同一の方向に開口する少なくとも二つの第2ダクト接続穴が含まれていてもよい。
この構成によれば、ダクトを接続するために選択可能なダクト接続穴が増えるため、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、この場合、同一の方向に開口する少なくとも二つの前記第2ダクト接続穴のうちの少なくとも一つの第2ダクト接続穴の開口面積が、他の第2ダクト接続穴の開口面積と異なっていてもよい。
この構成によれば、ダクトの占有領域を小さくすることが求められる場合には、同一の方向に開口する第2ダクト接続穴において、開口面積の小さい第2ダクト接続穴に細いダクトを接続することにより、占有面積抑制の要求に対応することができ、温度制御対象空間に求められる要求風量が大きい場合には、開口面積の大きい第2ダクト接続穴に太いダクトを接続することにより、圧損による送風機の不所望な出力増加を抑制しつつ温度制御対象空間に空気を供給できる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができる。
また、複数の前記第2ダクト接続穴のうちの一部の第2ダクト接続穴が、平面視で、前記空気取込口側に開口していてもよい。
この場合、前記筐体には、前記空気取込口を覆うようにフィルタ装置が設けられ、前記空気取込口側に開口する前記第2ダクト接続穴と、前記フィルタ装置の下流側で且つ前記空気取込口の上流側の部分とが、リターン流路によって接続されていてもよい。
この構成によれば、第2ダクト接続穴の一部をリターン流路の接続部分として利用でき、空気取込口側に開口する第2ダクト接続穴に接続したリターン流路を空気取込口側に延ばすことにより空気を戻して温度制御の安定性の向上を図ることができる。この際、リターン流路の長さを抑制することができ、且つスムーズに空気を戻すことができる。
また、前記分配ボックスには、前記第1ダクト接続穴及び前記第2ダクト接続穴を閉鎖する閉鎖部材を着脱可能に取り付けるための取付構造が設けられていてもよい。
この構成によれば、使用しない第1ダクト接続穴及び第2ダクト接続穴からの空気の吐出を防止しつつ温度制御対象空間のみに空気を供給できるようになり、温度制御対象空間に効率的に空気を供給することができる。
ここで、前記取付構造は、前記閉鎖部材又は前記ダクトを選択的に取付可能となっていてもよい。
この構成によれば、単一の取付構造で閉鎖部材又はダクトを選択的に取り付けることができるため、構成の煩雑化を抑制しつつ利便性を向上できる。
また、前記第2ダクト接続穴は、水平方向に沿って開口していてもよい。
また、前記第1ダクト接続穴は、鉛直方向に沿って上方に開口していてもよい。
また、前記分配ボックスは、前記筐体の上面に取り付けられていてもよい。
また、本発明は、空気を取り込む空気取込口及び取り込まれた空気を吐出する空気吐出口を有し、その内部に前記空気取込口と前記空気吐出口とを連通させる空気通流路を画成する筐体と、前記空気取込口から前記空気吐出口へ空気を通流させる送風機と、前記筐体に収容され、前記空気通流路を通流する空気を温度制御する温調部と、前記空気吐出口を覆うように前記筐体に取り付けられ、且つその内部空間を前記空気吐出口に連通させる分配ボックスと、を備え、前記分配ボックスには、ダクトが接続される穴であって、前記内部空間から前記ダクトへ空気を供給するための複数のダクト接続穴が設けられており、前記複数のダクト接続穴は、同一の方向に開口した互いに開口面積の異なる複数種の穴で構成されている、ことを特徴とする空気調和装置、である。
この空気調和装置によれば、ダクトの占有領域を小さくすることが求められる場合には、開口面積の小さいダクト接続穴に細いダクトを接続することにより、占有面積抑制の要求に対応することができ、温度制御対象空間に求められる要求風量が大きい場合には、開口面積の大きいダクト接続穴に太いダクトを接続することにより、送風機の不所望な出力増加を抑制しつつ温度制御対象空間に空気を供給できる。また、複数のダクトを用いて複数の温度制御対象空間に温度制御された空気を供給することもできる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンを柔軟に設定することができる。
本発明によれば、温度制御対象空間へ空気を供給するためのダクトを種々のパターンで接続することができ、状況に応じて好適なダクトの配置パターンを柔軟に設定することができる。
本発明の一実施の形態に係る空気調和装置の斜視図である。 図1に示す空気調和装置の概略構成を示す図である。 図1に示す空気調和装置上の分配ボックスを水平方向の一方側から斜め下方に見た斜視図である。 図1に示す空気調和装置上の分配ボックスを、図3とは反対側となる水平方向の他方側から斜め下方に見た斜視図である。 図1に示す空気調和装置のダクト接続穴に閉鎖部材又はダクトを取り付けるための取付構造を示す図である。 図1に示す空気調和装置の適用例を示す図である。 図1に示す空気調和装置の一変形例を示す図である。 図1に示す空気調和装置の一変形例を示す図である。
以下に、添付の図面を参照して、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る空気調和装置1の斜視図であり、図2は、空気調和装置1の概略構成を示す図である。本実施の形態の空気調和装置1は、例えば、フォトレジストの塗布及び現像を行う装置の内部等の複数の温度制御対象空間に対し、温度制御された空気を供給して、各温度制御対象空間の温度を一定に維持するために用いられる。
図1及び図2に示すように、この空気調和装置1は、当該装置外部の空気を取り込む空気取込口31及び空気取込口31から取り込まれた空気を吐出する空気吐出口32を有し、その内部に空気取込口31と空気吐出口32とを連通させる空気通流路30を画成する筐体36と、空気取込口31から空気吐出口32へ向けて空気を通流させる送風機60と、空気通流路30内に収容され、空気取込口31から取り込まれた空気を可変の冷凍能力で冷却する冷却部2と、空気通流路30内に収容され、空気取込口31から取り込まれた空気を可変の加熱能力で加熱する加熱部4と、空気吐出口32を覆うように筐体36に取り付けられ、且つその内部空間Sを空気吐出口32に連通させる分配ボックス80と、冷却部2の下流側で且つ加熱部4の下流側の位置から冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置まで延びるリターン流路100と、冷却部2の冷凍能力や加熱部4の加熱能力等を制御する制御ユニット50と、を備えている。
冷却部2及び加熱部4は、空気通流路30を通流する空気を温度制御する本発明でいう温調部に対応するものである。また図2においては、図示の都合上、制御ユニット50が筐体36の外部に位置するように示されているが、実際上は、制御ユニット50は筐体36内に収容されている。
図1に示すように、筐体36は、一例として直方体状に形成されており、建造物内の床面上に設置されている。筐体36は、水平方向に平行な第1方向d1上で対向する一対の側壁部36A,36Bと、水平方向に平行で且つ第1方向d1と直交する第2方向d2上で対向しつつ一対の側壁部36A,36Bの両端部間を接続する一対の側壁部36C,36Dと、第1方向d1上で対向する一対の側壁部36A,36B及び第2方向d2上で対向する一対の側壁部36C,36Dの各上縁に跨がって設けられた上壁部36Eと、を有している。図1においては、図示の都合上、空気取込口31及び空気吐出口32が破線で示されているが、本実施の形態において、空気取込口31は第1方向d1の一方側に位置する側壁部36Aに設けられ、空気吐出口32は上壁部36Eにおける第1方向d1の他方側の部分に設けられている。
空気取込口31には、外部の空気を空気取込口31に向けて通流させるための取込流路312が接続され、取込流路312にはフィルタ装置313が設けられている。図示の例では、フィルタ装置313が、取込流路312を介して空気取込口31を覆うように筐体36に取り付けられている。本実施の形態では、送風機60の駆動により、外部の空気がフィルタ装置313から取込流路312を通流し、空気取込口31から空気通流路30内に流入するようになっている。上述のフィルタ装置313は、一例としてケミカルフィルタであるが、HEPAフィルタ又はULPAフィルタでもよいし、ケミカルフィルタとHEPAフィルタ又はULPAフィルタとを含んでいてもよい。
図2に示すように、筐体36の空気通流路30は、本実施の形態において、空気取込口31から上方に延びた後、第1方向d1の他方側に延びるように屈曲している。空気通流路30内においては、冷却部2が加熱部4の上流側に配置され、加熱部4の下流側には加湿装置70がさらに設けられている。加湿装置70は制御ユニット50に電気的に接続され、制御ユニット50の制御によって、空気取込口31から取り込まれた空気を可変の加湿量で加湿することが可能となっている。また本実施の形態では、送風機60が、空気通流路30内において加湿装置70の下流側に設けられている。送風機60は、風量を変更可能に構成されているが、空気調和装置1の駆動時においては、送風機60は基本的に一定の風量を出力するように駆動される。なお、本実施の形態では、冷却部2が加熱部4の上流側に配置されているが、冷却部2は加熱部4の下流側に配置されてもよい。また送風機60の位置も、図示の例とは異なる位置であってもよい。
空気吐出口32は、上壁部36Eにおける第1方向d1の他方側の部分に設けられ、上方に、本実施の形態では鉛直方向に沿って上方に向けて開口している。ここで、本実施の形態における分配ボックス80は、筐体36の上壁部36Eの上面に取り付けられているため、空気吐出口32から吐出される温度制御された空気は、上方に向けて分配ボックス80の内部空間Sに供給されることになる。
分配ボックス80には、図示の都合上、二点鎖線で示されたダクト120が接続される複数のダクト接続穴91〜94が設けられている(図3及び図4参照)。これにより、本実施の形態に係る空気調和装置1では、複数のダクト接続穴91〜94の中から選択される一つ又は複数のダクト接続穴にダクト120を接続することにより、内部空間Sから一つ又は複数の所望のダクト120へ空気を供給し、所望の温度制御対象空間へ空気を供給することが可能となっている。
図示の例において、分配ボックス80内には、温度センサ41と湿度センサ42とが設けられ、これら温度センサ41及び湿度センサ42は、冷却部2、加熱部4及び加湿装置70を通過した空気の温度又は湿度を検出するようになっている。温度センサ41及び湿度センサ42は、検出した温度又は湿度を制御ユニット50に出力し、これに応じて、制御ユニット50は、温度センサ41が検出した温度に基づいて冷却部2及び加熱部4を制御するとともに、湿度センサ42が検出した湿度に基づいて加湿装置70を制御するようになっている。なお、図1においては、図示の都合上、温度センサ41及び湿度センサ42が、分配ボックス80から離れて示されているが、温度センサ41及び湿度センサ42は空気吐出口32を通過する空気の温度又は湿度を検出可能な任意の態様で配置されている。
本実施の形態における分配ボックス80では、温度制御対象空間への空気供給のためのダクト120の接続の用途に加えて、ダクト接続穴91〜94の一部のダクト接続穴94が上述したリターン流路100の接続のために用いられている。図1及び図2に示すように、リターン流路100は、取込流路312と分配ボックス80とに跨がるように設けられており、リターン流路100の下流側の端部は、取込流路312におけるフィルタ装置313の下流側の位置に連通している。リターン流路100内には、リターン流路100を通流する空気の風量を調節する風量調節用ダンパ101が設けられており、本実施の形態における風量調節用ダンパ101は、手動及び自動でリターン流路100を通流する空気の風量を調節可能となっている。なお、分配ボックス80の詳細については、後述するものとする。
次に、冷却部2及び加熱部4について図2を参照しつつ説明する。まず冷却部2について説明すると、本実施の形態における冷却部2は、第1冷却ユニット10の冷却コイル14と、第2冷却ユニット20の冷却コイル24と、で構成されている。本実施の形態において、冷却コイル14を含む第1冷却ユニット10は、可変運転周波数で運転され回転数を調節可能な圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、及び冷却コイル14が熱媒体を循環させるように当該順序で配管15により接続されることにより構成されており、冷却コイル24を含む第2冷却ユニット20は、可変運転周波数で運転され回転数を調節可能な圧縮機21、凝縮器22、膨張弁23、及び冷却コイル24が熱媒体を循環させるように当該順序で配管25により接続されることにより構成されている。
これら第1及び第2冷却ユニット10,20において、圧縮機11,21は、冷却コイル14,24から流出した低温かつ低圧の気体の状態の熱媒体を圧縮し、高温かつ高圧の気体の状態として、凝縮器12,22に供給する。圧縮機11,21は、可変運転周波数で運転され運転周波数に応じて回転数を調節可能なインバータ圧縮機である。圧縮機11,21では、運転周波数が高いほど、より多くの熱媒体が凝縮器12,22に供給されるようになっている。圧縮機11としては、インバータとモータとを一体に有するスクロール型圧縮機が採用されることが好ましい。しかしながら、インバータによる運転周波数の調節により回転数を調節して熱媒体の供給量(流量)を調節可能であれば、圧縮機11,21の形式は特に限定されるものではない。
また、凝縮器12,22は、圧縮機11,21で圧縮された熱媒体を冷却水によって冷却すると共に凝縮し、所定の冷却温度の高圧の液体の状態として、膨張弁13,23に供給するようになっている。凝縮器12,22の冷却水には、水が用いられてよいし、その他の冷媒が用いられてもよい。また、膨張弁13,23は、凝縮器12,22から供給された熱媒体を膨張させることにより減圧させて、低温かつ低圧の気液混合状態として、冷却コイル14,24に供給するようになっている。冷却コイル14,24は、供給された熱媒体を温度制御対象の空気と熱交換させて空気を冷却するようになっている。空気と熱交換した熱媒体は、低温かつ低圧の気体の状態となって冷却コイル14,24から流出して再び圧縮機11,21で圧縮されるようになっている。
以上のような各冷却ユニット10,20では、圧縮機11,21の運転周波数を変化させ回転数を調節することにより、凝縮器12,22に供給される熱媒体の供給量を調節可能であると共に、膨張弁13,23の開度を調節可能であることで、冷却コイル14,24に供給される熱媒体の供給量を調節可能となっている。このような調節により冷凍能力が可変となっている。なお、本実施の形態では、制御の安定性を向上させる目的で、第1冷却ユニット10の圧縮機11は、一定の周波数で運転される。このような運転を実施する場合には、圧縮機11は固定周波数で運転される圧縮機であってもよく、この場合には、製造コストを低減することが可能となる。
また、冷却部2の配置態様について詳述すると、本実施の形態では、図2に示すように、空気通流路30内に、空気通流路30の一部を空気の流れに沿って延びて二分割する仕切り部材200が設けられ、仕切り部材200によって空気通流路30の一部が、第1流路30Aと第2流路30Bとに区画されている。そして第1流路30Aに、冷却部2が設けられている。また、仕切り部材200の下流側の端部に、第1流路30A及び第2流路30Bの開度を調節する流量調節ダンパ201が設けられている。一方で、空気取込口31内には、上流側温度センサ44が設けられ、上流側温度センサ44は、リターン流路100からの空気と合流した空気取込口31に取り込まれた後の空気の温度を検出するようになっている。ここで、本実施の形態における流量調節ダンパ201は、上流側温度センサ44が検出した温度に応じて制御ユニット50により制御されることで、第1流路30A及び第2流路30Bの開度を調節することが可能となっている。
次に加熱部4について説明すると、本実施の形態における加熱部4は、第1冷却ユニット10における圧縮機11から凝縮器12に向けて流出する熱媒体の一部を分岐させ、加熱コイル16及びその下流側に設けられた加熱量調節弁18を介して圧縮機11の下流側において凝縮器12に流入するように戻す構造を有している。ここで、加熱コイル16は、空気通流路30内に収容されている。
詳しくは、加熱コイル16が、熱媒体入口と熱媒体出口とを有しており、熱媒体入口と、圧縮機11と凝縮器12との間の配管の上流側と、が、他の配管によって接続され、熱媒体出口と、圧縮機11と凝縮器12との間の配管の下流側と、が、さらに他の配管によって接続されている。そして、熱媒体出口から延びる配管に、加熱量調節弁18が設けられている。これにより、加熱部4は、圧縮機11から凝縮器12に向けて流出する熱媒体の一部を分岐させ、加熱コイル16及び加熱量調節弁18を介して凝縮器12に流入するように戻すことが可能となっている。
この加熱部4では、圧縮機11によって圧縮された高温かつ高圧の気体の状態の熱媒体が加熱コイル16に供給される。加熱コイル16は、供給された熱媒体を温度制御対象の空気と熱交換させて空気を加熱するようになっている。そして、空気と熱交換した熱媒体は、加熱コイル16から圧縮機11と凝縮器12との間の配管に戻るようになっている。ここで、加熱量調節弁18が、加熱コイル16からの熱媒体の戻り量を調節することにより、加熱コイル16における加熱能力を変更することが可能である。熱媒体の戻し量が多いほど、加熱能力が増加するようになっている。このような加熱部4の加熱能力は、圧縮機11の運転周波数及び/又は加熱量調節弁18の開度に応じて調節可能である。
次に、分配ボックス80について図3乃至図5を参照しつつ説明する。図3は、空気調和装置1上の分配ボックス80を水平方向(第2方向d2)の一方側から斜め下方に見た斜視図であり、図4は、空気調和装置1上の分配ボックス80を水平方向(第2方向d2)の他方側から斜め下方に見た斜視図である。また、図5は、空気調和装置1のダクト接続穴91〜94に後述する閉鎖部材130又はダクト120を取り付けるための取付構造ASを示す図である。
図3及び図4に示すように、本実施の形態における分配ボックス80は、一例として下方が開放した直方体状に形成されており、第1方向d1上で対向する一対の側壁部80A,80Bと、第2方向d2上で対向しつつ一対の側壁部80A,80Bの両端部間を接続する一対の側壁部80C,80Dと、第1方向d1上で対向する一対の側壁部80A,80B及び第2方向d2上で対向する一対の側壁部80C,80Dの各上縁に跨がって設けられた上壁部80Eと、を有している。上述したように、分配ボックス80には複数のダクト接続穴91〜94が設けられ、本実施の形態では、ダクト接続穴として、上方に開口する第1ダクト接続穴91と、第1ダクト接続穴91とは異なる方向に開口する第2ダクト接続穴92,93,94と、が設けられている。
本実施の形態において、第1ダクト接続穴91は分配ボックス80の上壁部80Eに複数設けられており、各第1ダクト接続穴91は、円形であり、鉛直方向に沿って上方に開口している。また、複数の第1ダクト接続穴91のうちの少なくとも一つの第1ダクト接続穴91の開口面積は、他の第1ダクト接続穴91の開口面積と異なっている。具体的に図示の例では、七つの第1ダクト接続穴91が分配ボックス80に設けられ、このうちの三つの第1ダクト接続穴91の開口面積が、他の四つの第1ダクト接続穴91の開口面積よりも小さくなっている。図示の例では、小径の三つの第1ダクト接続穴91の直径が150mmとなっており、大径の四つの第1ダクト接続穴91の直径が250mmとなっているが、このような第1ダクト接続穴91の寸法や数は、特に限られるものでなく、他の態様であってもよいことは言うまでもない。
また、第2ダクト接続穴92,93,94は、分配ボックス80の側壁部80A,80C,80Dに設けられており、各第2ダクト接続穴92,93,94は、円形であり、水平方向に沿って開口している。本実施の形態においては、複数の第2ダクト接続穴92,93,94が、互いに異なる方向に開口する、第2ダクト接続穴92、第2ダクト接続穴93及び第2ダクト接続穴94の三種の穴で構成されている。
詳しくは、第2ダクト接続穴92は、第2方向d2の一方側に位置する側壁部80Cに複数(図示例では、三つ)設けられ且つ第2方向d2の一方側に開口し、水平方向(第1方向d1)に並ぶように形成されている。図示の例では、各第2ダクト接続穴92の開口面積が互いに同一であり、各第2ダクト接続穴92の直径は、上述した小径の三つの第1ダクト接続穴91の直径と同様に150mmとなっている。また、第2ダクト接続穴93は、第2方向d2の他方側に位置する側壁部80Dに複数(図示例では、二つ)設けられ且つ第2方向d2の他方側に開口し、上述の第2ダクト接続穴92と同様に、水平方向(第1方向d1)に並ぶように形成されている。図示の例では、各第2ダクト接続穴93の開口面積も互いに同一であり、各第2ダクト接続穴93の直径は、上述した大径の四つの第1ダクト接続穴91の直径と同様に250mmとなっている。また、第2ダクト接続穴94は、第2方向d1の一方側に位置する側壁部80Aに複数(図示例では、二つ)設けられ且つ第1方向d2の一方側に開口し、水平方向(第2方向d2)に並ぶように形成されている。図示の例では、各第2ダクト接続穴94の開口面積が互いに同一であり、各第2ダクト接続穴94の直径は、上述した大径の四つの第1ダクト接続穴91の直径と同様に250mmとなっている。
ここで、本実施の形態では、複数の第2ダクト接続穴92,93,94のうちの第2ダクト接続穴92,93の一部又は全部にダクト120が接続されることが想定されている一方で、第2ダクト接続穴94には、上述したリターン流路100が接続されている。詳しくは、図2に示すように、第2ダクト接続穴94と、フィルタ装置313の下流側で且つ空気取込口31の上流側の部分とが、リターン流路100によって接続されている。ここで、第2ダクト接続穴94は、平面視、すなわち鉛直方向に沿って下方に見られた場合に、空気取込口31側に開口している。これにより、リターン流路100の長さを抑えて、リターン流路100を空気取込口31側まで延ばすことが可能となる。
なお、以上のような第2ダクト接続穴92,93,94の寸法や数は、特に限られるものでなく、他の態様であってもよいことは言うまでもない。また、本実施の形態では、同一の方向に開口する例えば複数の第2ダクト接続穴92の開口面積が、同一となっているが、例えば同一の方向に開口する複数の第2ダクト接続穴92のうちの少なくとも一つの第2ダクト接続穴の開口面積が、他の第2ダクト接続穴92の開口面積と異なっていてもよい。
また、分配ボックス80には、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93,94を閉鎖する閉鎖部材130を着脱可能に取り付けるための取付構造ASが、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93,94のそれぞれに対応して設けられている。図5は、一例として二つの第1ダクト接続穴91に対応する取付構造ASを示している。本実施の形態における取付構造ASは、第1ダクト接続穴91の周囲に設けられた複数のボルト締結穴81で構成され、円板状の閉鎖部材130に通された複数のボルト82を対応するボルト締結穴81に締結することにより、閉鎖部材130を取り付けるようになっている。また、図示のように、取付構造ASは、ダクト120の端部のフランジ121に通された複数のボルト82を対応するボルト締結穴81に締結することにより、ダクト120を取り付けることも可能となっている。すなわち、本実施の形態における取付構造ASは、閉鎖部材130又はダクト120を選択的に取付可能となっている。
なお、このような取付構造ASは、図示の例に限られるものではなく、他の態様で構成されてもよい。例えば、取付構造ASは、所定位置まで押し込まれた閉鎖部材130又はダクト120の抜けを防止するように保持するボールジョイント等によって構成されても構わない。また、本実施の形態における取付構造ASは、図5に示すように、閉鎖部材130又はダクト120のフランジ121に通された複数のボルト82を、シール部材131を介して対応するボルト締結穴81に締結することにより、閉鎖部材130又はダクト120を取り付けるように構成されている。図示のシール部材131は、環状に形成されたゴム等の弾性部材であり、閉鎖部材130又はダクト120を気密に保持できる。なお、シール部材131は、このような態様に限られるものでなく、例えば筐体36側に固定される液状の封止材を硬化してなるもの等であってもよい。また、このようなシール部材131は設けられていなくてもよい。
本実施の形態では、上述したように、第2ダクト接続穴94にリターン流路100が接続される。この場合、上述の風量調節用ダンパ101が開いた状態において送風機60が駆動されることにより、リターン流路100を介して冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に供給される空気が、空気取込口31に取り込まれる前の外部の空気に合流される。ここで、本実施の形態に係る空気調和装置1では、風量調節用ダンパ101の調節と、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93に対するダクト120の接続及び閉鎖部材130の取り付けにより、送風機60が出力する風量の0%〜100%の風量の空気を冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に戻すことが可能となる。
なお、本実施の形態では、上述のように、リターン流路100の下流側の端部が取込流路312におけるフィルタ装置313の下流側の位置に連通しているが、リターン流路100の下流側の端部は取込流路312におけるフィルタ装置313の上流側の位置に連通していてもよい。また、リターン流路100の下流側の端部は、空気取込口31の下流側の位置に連通していてもよい。この場合には、リターン流路100を介して冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に供給される空気は、空気取込口31に取り込まれた後の外部の空気に合流されるようになる。
次に、本実施の形態の空気調和装置1の動作について説明する。本実施の形態の空気調和装置1では、温度制御対象の空気取込口31から取り込まれた空気が、冷却部2によって冷却され、加熱部4によって加熱され、予め設定された目標温度に向けて制御される。
本実施の形態の空気調和装置1を運転する際には、まず、制御ユニット50において、目標温度と目標湿度とが入力される。また、送風機60が駆動されることにより、空気通流路30内の空気が空気吐出口32側に流動することにより、空気通流路30の空気取込口31から温度制御対象の空気が取り込まれる。さらに、各冷却ユニット10,20の圧縮機11,21も駆動される。また、この例では、送風機60が出力する風量に対する所定の割合の風量の空気がリターン流路100から冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に戻るように、風量調節用ダンパ101の開度が調節されている。さらに、温度制御対象空間の位置、数、要求風量等に応じて、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93のうちの所望のダクト接続穴にダクト120が接続される。
上述のように送風機60等が駆動されると、空気通流路30の空気取込口31から取り込まれた空気は、上流側温度センサ44で温度を検出された後、まず、冷却部2(第1流路30A)及び/又は第2流路30Bを通過し、その後、加熱部4を通過する。その後、この空気は、加湿装置70によって加湿された後、空気吐出口32から吐出され、分配ボックス80の内部空間Sに至る。そして、空気の一部は、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93の一部又は全部を介して一つ又は複数のダクト120に供給される。また、空気の他の一部が、第2ダクト接続穴94からリターン流路100を介して冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に戻る。ここで、空気吐出口32を通過する空気は、温度センサ41によって温度が検出され、湿度センサ42によって湿度が検出される。そして、温度センサ41は、検出した温度を制御ユニット50に出力し、湿度センサ42は、検出した湿度を制御ユニット50に出力する。
そして、制御ユニット50は、温度センサ41が検出した温度と目標温度との差分に基づいて、加熱量調節弁18の開度、第1冷却ユニット10の膨張弁13の開度、第2冷却ユニット20の膨張弁23の開度、及び圧縮機21の運転周波数を制御し、上記の差分に応じた加熱能力及び冷凍能力が出力されるように制御を行う。また制御ユニット50は、湿度センサ42が検出した湿度と目標湿度との差分に基づいて、加湿装置70の加湿能力も制御する。
そして、本実施の形態では、温度制御された空気が、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93の一部又は全部を介して一つ又は複数のダクト120に供給され、ダクト120から温度制御対象空間に温度制御された空気が供給される。
また、このような運転の際、本実施の形態の空気調和装置1では、リターン流路100によって、冷却部2及び加熱部4を通過した空気の一部を冷却部2の上流側で且つ加熱部4の上流側の位置に供給して、空気通流路30の空気取込口31に取り込まれる前の空気に合流させることができる。これにより、環境温度の著しい変動に応じて空気取込口31に取り込まれる外部の空気の温度が大きく変動した場合であっても、この外部の空気は、温度制御されたリターン流路100からの空気と合流することで、その温度が温度制御されるべき温度に近づくようになる。すなわち、環境変動の影響に対する影響緩和効果が生じる。そのため、外部の空気の温度の大きい変動に応じて冷凍能力又は加熱能力を急激に大きく変化させなくても、リターン流路100からの空気と合流した外部の空気を所望の温度に制御し易くなる。
以上に説明した本実施の形態の空気調和装置1によれば、接続されたダクトを温度制御対象空間まで延ばす際にダクトの屈曲部分を極力抑制できるダクト接続穴を、上方に開口する第1ダクト接続穴91及びこれとは異なる方向に開口する第2ダクト接続穴92,93,94の中から温度制御対象空間の位置に応じて適宜選択することが可能となる。これにより、ダクトに形成される不所望な屈曲部分による圧損の増加を抑制できることで、送風機の運転効率の低下を抑制できる。また、複数の温度制御対象空間がある場合には、複数のダクト接続穴91,92,93,94から選択して接続したダクトを対応する温度制御対象空間まで延ばすことにより、ダクトの増加を抑制しつつ複数の温度制御対象空間に温度制御された空気を供給できる。したがって、温度制御対象空間へ空気を供給するためのダクトを種々のパターンで接続することができ、状況に応じて好適なダクトの配置パターンを柔軟に設定することができる。
また、分配ボックス80に複数の第1ダクト接続穴91が設けられていることで、ダクトを通して直接的に空気を供給できる温度制御対象空間を増加させることができるため、利便性を向上させることができる。
また、複数の第1ダクト接続穴91のうちの少なくとも一つの第1ダクト接続穴91の開口面積が、他の第1ダクト接続穴91の開口面積と異なっている。これにより、ダクトの占有領域を小さくすることが求められる場合には、開口面積の小さい第1ダクト接続穴91に細いダクトを接続することにより、占有面積抑制の要求に対応することができ、温度制御対象空間に求められる要求風量が大きい場合には、開口面積の大きい第1ダクト接続穴91に太いダクトを接続することにより、圧損による送風機の不所望な出力増加を抑制しつつ温度制御対象空間に空気を供給できる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、分配ボックス80に複数の第2ダクト接続穴92,93,94が設けられていることで、上述と同様に、ダクトを通して直接的に空気を供給できる温度制御対象空間を増加させることができるため、利便性を向上させることができる。
また、複数の第2ダクト接続穴92,93,94のうちの少なくとも一つの第2ダクト接続穴が、他の第2ダクト接続穴とは異なる方向に開口している。これにより、例えば、互いに異なる方向に開口する複数の第2ダクト接続穴92,93,94の中から、接続されたダクトを温度制御対象空間まで延ばす際にダクトの長さを極力抑制できるダクト接続穴を、温度制御対象空間の位置に応じて適宜選択することが可能となる。これにより、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、異なる方向に開口する例えば、第2ダクト接続穴92,93の開口面積が、互いに異なっていることによっても、ダクトの接続の向きに加えて、ダクトの径も選択できるため、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。また、複数の第2ダクト接続穴92,93,94には、同一の方向に開口する少なくとも二つの第2ダクト接続穴が含まれる。これによっても、ダクトを接続するために選択可能なダクト接続穴が増えるため、状況に応じて好適なダクトの配置パターンをより柔軟に設定することができ、利便性を向上させることができる。
また、複数の第2ダクト接続穴92,93,94のうちの第2ダクト接続穴94が、平面視で、空気取込口31側に開口する。そして、第2ダクト接続穴94と、フィルタ装置313の下流側で且つ空気取込口31の上流側の部分とが、リターン流路100によって接続されている。この構成によれば、第2ダクト接続穴92,93,94の一部をリターン流路100の接続部分として利用でき、空気取込口31側に開口する第2ダクト接続穴94に接続したリターン流路100を空気取込口31側に延ばすことにより空気を戻して温度制御の安定性の向上を図ることができる。この際に、リターン流路100の長さを抑制することができ、且つスムーズに空気を戻すことができる。
また、分配ボックス80には、第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93,94を閉鎖する閉鎖部材130を着脱可能に取り付けるための取付構造ASが設けられている。これにより、使用しない第1ダクト接続穴91及び第2ダクト接続穴92,93,94からの空気の吐出を防止しつつ温度制御対象空間のみに空気を供給できるようになり、温度制御対象空間に効率的に空気を供給することができる。しかも、取付構造ASは、閉鎖部材130又はダクトを選択的に取付可能となっているため、構成の煩雑化を抑制しつつ利便性を向上できる。
ここで、図6は、空気調和装置1の適用例を示す図である。図6においては、空気調和装置1が、温度制御対象空間(具体的には、半導体製造設備S)が配置される空間F2の階下の空間F1に配置されている。図6に示すように、複数の温度制御対象空間が空気調和装置1の上方に位置する場合、本実施の形態に係る空気調和装置1によれば、上方に開口する第1ダクト接続穴91にダクトを接続することにより、接続したダクトの屈曲部分を極力抑えてダクトを所望の温度制御対象空間まで延ばすダクト配置パターンを設定することができる。また、複数の第1ダクト接続穴91を用いることにより、ダクトの増加を抑制しつつ複数の温度制御対象空間に温度制御された空気を供給できる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態の変形例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施の形態では、分配ボックス80が筐体36の上面に取り付けられたが、図7に示すように、分配ボックス80は、筐体36の側面に設けられてもよい。図7に示す分配ボックス80では、上方に開口する第1ダクト接続穴91と、これとを異なる方向に開口する第2ダクト接続穴95と、が設けられている。なお、この場合、空気吐出口32は、筐体36の側面で開口するように形成される。
また、上述の実施の形態では、第2ダクト接続穴92,93,94の全てが水平方向に開口しているが、その一部又は全部が、図8に示す第2ダクト接続穴96のように、斜め上方に開口してもよい。また、図8に示す変形例では、分配ボックス80が七面体状に形成されているが、分配ボックス80は、その他の多面体状であってもよいし、球殻状のように曲面を含む形状であってもよい。また、上述の実施の形態では、二つの冷却部2と一つの加熱部4が設けられているが、冷却部2及び加熱部4の数等も、上述の実施の形態の態様に限定されるものではない。
1…空気調和装置
2…冷却部
4…加熱部
30…空気通流路
31…空気取込口
32…空気吐出口
36…筐体
36A,36B,36C,36D…側壁部
36E…上壁部
60…送風機
80…分配ボックス
80A,80B,80C,80D…側壁部
80E…上壁部
91…第1ダクト接続穴
92〜96…第2ダクト接続穴
100…リターン流路
101…風量調節用ダンパ
120…ダクト
130…閉鎖部材
313…フィルタ装置
S…内部空間
d1…第1方向
d2…第2方向
AS…取付構造

Claims (2)

  1. 空気を取り込む空気取込口及び取り込まれた空気を吐出する空気吐出口を有し、その内部に前記空気取込口と前記空気吐出口とを連通させる空気通流路を画成する筐体と、
    前記空気取込口から前記空気吐出口へ空気を通流させる送風機と、
    前記空気通流路内配置され、前記空気通流路を通流する空気を温度制御する温調部と、
    前記空気通流路内に配置された加湿器と、
    前記空気吐出口を覆うように前記筐体に取り付けられ、且つその内部空間を前記空気吐出口に連通させる分配ボックスと、を備え、
    前記空気通流路は、前記空気取込口から上方に延びた後、水平方向に延びるように屈曲し、
    前記分配ボックスには、ダクトが接続される穴であって、前記内部空間から前記ダクトへ空気を供給するための、上方に開口する第1ダクト接続穴と、前記第1ダクト接続穴とは異なる方向に開口する複数の第2ダクト接続穴と、が設けられており、
    複数の前記第2ダクト接続穴のうちの少なくとも一つの第2ダクト接続穴が、他の第2ダクト接続穴とは異なる方向に開口し、平面視で、前記空気取込口側に開口しており、
    前記筐体には、前記空気取込口を覆うようにフィルタ装置が設けられ、空気が前記フィルタ装置から前記空気取込口に流入するようになっており、
    前記空気取込口側に開口する前記第2ダクト接続穴と、前記フィルタ装置の下流側で且つ前記空気取込口の上流側の部分とが、リターン流路によって接続され、
    前記温調部を通過した空気の一部が前記リターン流路を介して前記温調部の上流側に供給される、ことを特徴とする空気調和装置。
  2. 前記分配ボックスは、前記筐体の上面に取り付けられている、ことを特徴とする請求項に記載の空気調和装置。
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