JP6795641B2 - 鞍乗型車両用内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗型車両用内燃機関に関し、特にその空冷用の冷却フィンに関する。
従来の鞍乗型車両用内燃機関のシリンダヘッドやシリンダブロック等の内燃機関構成部材に一体鋳造成型された空冷用の冷却フィンは、例えば下記特許文献1に示されるように、抜き角度が一定であった。抜き角度は鋳抜きの容易さからある程度以上のものが求められるが、抜き角度が大きくなると冷却フィンが分厚い印象を生じ外観性上の課題を生じ、また、冷却フィンを全体に薄く形成すると鋳抜きの困難性のほか強度上の課題を生じた。
特開2015−175368公報(図2、図5)
本発明は、かかる従来技術に鑑み、外観的には冷却フィンが薄く見えながら、鋳抜きが容易となり、強度も確保できるシリンダヘッドやシリンダブロック等の内燃機関構成部材の空冷用の冷却フィンを備えた鞍乗型車両用内燃機関を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明によれば、
クランクケースからシリンダ軸線方向に延びる内燃機関構成部材を有し、
前記内燃機関構成部材は、車両搭載時の左、右側面に、走行風を受ける複数の冷却フィンを備え、同冷却フィンはシリンダ軸線直交左右方向に延伸するとともに前記内燃機関構成部材の外周に周方向に配設された鞍乗型車両用内燃機関において、
前記内燃機関構成部材は、前記左、右側面にシリンダ軸線直交左右方向に延伸してシリンダ軸線方向に配置され前記冷却フィンに対して交差する複数の直交リブを備え、
前記冷却フィンは、延伸方向に従って厚さを減ずる断面形状をなして、シリンダ軸線直交面に対する表面傾斜角度が先端部側より大きい基端部側の大角度部と、シリンダ軸線直交面に対する表面傾斜角度が基端部側より小さい先端部側の小角度部とを形成する側面冷却フィン部を有し、
同側面冷却フィン部は、車両搭載時に前記内燃機関構成部材の前方向最外側に位置する前記直交リブと後方向最外側に位置する前記直交リブとの間のみに位置し、
前記冷却フィンのうち、前、後方向最外側の前記直交リブより外側に位置する前側冷却フィン部と後側冷却フィン部は、延伸方向に従ってシリンダ軸線直交面に対して単一の表面傾斜角度で厚さを減ずる断面形状をなして形成され
前記側面冷却フィン部のうち、シリンダ軸線方向で最も上端に位置する側面冷却フィン部の上方を向く上端面、または最も下端に位置する側面冷却フィン部の下方を向く下端面は、シリンダ軸線直交面に対して単一の表面傾斜角度で形成されたことを特徴とする鞍乗型車両用内燃機関が提供される。
本発明の鞍乗型車両用内燃機関によれば、
鞍乗型車両用内燃機関の冷却フィンにおいて、内燃機関構成部材の左、右側面の側面冷却フィン部の先端部側が、シリンダ軸線直交面に対する表面傾斜角度が小さい小角度部をなし、前側冷却フィン部と後側冷却フィン部が単一の表面傾斜角度で形成されたので、冷却フィンの先端部が薄く見え、且つ板厚の平行感が増し冷却フィン表面の段差が目立たず、側面冷却フィン部の基端部側の大角度部によって、製造時の鋳抜きの良好性と冷却フィンの強度を担保しつつ、冷却フィンの外観性が向上する。
前記側面冷却フィン部のうち、シリンダ軸線方向で最も上端に位置する側面冷却フィン部の上方を向く上端面、または最も下端に位置する側面冷却フィン部の下方を向く下端面は、シリンダ軸線直交面に対して単一の表面傾斜角度で形成される。
そのため、側面冷却フィン部の表面が一様となり、内燃機関構成部材をシリンダ軸線方向の上方または下方から見た時の外観性を向上させることができる。
本発明の好適な実施形態によれば、
前記前側冷却フィン部と前記後側冷却フィン部の表面傾斜角度は、前記側面冷却フィン部の小角度部と同じ表面傾斜角度で形成される。
そのため、前側冷却フィンと後側冷却フィンが側面冷却フィン部の小角度部と同じ表面傾斜角度で連続した表面をなすことができ、走行風の流れを良好とし、外観性が向上する。
本発明の好適な実施形態によれば、
前記直交リブの延伸方向の端部は、前記冷却フィンの延伸方向の端部よりも同冷却フィンの基端部側に位置する。
直交リブに囲まれた範囲は表面積が狭くなるが、直交リブの端部位置の突出を抑えたことにより、直交リブに囲まれた範囲への走行風の流量を増やして、冷却効率を一定以上に保つことができる。
本発明の好適な実施形態によれば、
前記側面冷却フィン部の表面傾斜角度が切り替わる切替え部は、前記直交リブの延伸方向の端部より前記側面冷却フィン部の基端部側に位置する。
そのため、側面冷却フィン部の表面傾斜角度の切替え部が奥まって位置するので、内燃機関構成部材を直交リブの延伸方向から見た場合に切替え部が視認し難く外観性が向上する。
本発明の好適な実施形態によれば、
前記大角度部と前記小角度部との切替え部は、前記大角度部および前記小角度部と連続する曲面で形成される。
そのため、側面冷却フィン部の断面傾斜角度が切り替わったことが視認され難くなり、内燃機関構成部材の外観性がより向上する。
本発明の鞍乗型車両用内燃機関によれば、
鞍乗型車両用内燃機関の冷却フィンにおいて、内燃機関構成部材の左、右側面の側面冷却フィン部の先端部側が、シリンダ軸線直交面に対する表面傾斜角度が小さい小角度部をなし、前側冷却フィン部と後側冷却フィン部が単一の表面傾斜角度で形成されたので、冷却フィンの先端部の板厚の平行感が増し冷却フィン表面の段差が目立たず、側面冷却フィン部の基端部側の大角度部によって、製造時の鋳抜きの良好性と冷却フィンの強度を担保しつつ、冷却フィンの外観性が向上する。
側面冷却フィン部の表面が一様となり、内燃機関構成部材をシリンダ軸線方向の上方または下方から見た時の外観性を向上させることができる。


本発明の一実施形態に係る自動二輪車の左側面概要図である。 図1中の内燃機関を取り出して示す左側面図である。 図2中III−III矢視によるシリンダヘッドの上面図である。 図3中のシリンダヘッドの立面断面図であり、図中(IV部)は、図3中IV−IV矢視によるシリンダヘッドの部分立面断面図であり、図中(IV部)は、図3中IV−IV矢視によるシリンダヘッドの部分立面断面図である。 図3中V−V矢視によるシリンダヘッドの右側面斜視図である。
図1から図5に基づき、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両用内燃機関につき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る鞍乗型車両用内燃機関を搭載した鞍乗型車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両は自動二輪車である。
また、図中矢印FRは本実施形態に係る鞍乗型車両の車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車(本発明における「鞍乗型車両」)1の左側面概要図である。
本実施形態の自動二輪車1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ20からは、メインフレーム21が燃料タンク16に上部から覆われながら後方に延び、若干下方に傾斜して延出した後に、下方に屈曲してピボットフレーム21aを形成している。ヘッドパイプ20からはさらに車幅方向中央を斜め後下方に向けてダウンフレーム22が延出している。
内燃機関(本発明における「鞍乗型車両用内燃機関」)3におけるクランクケース30の前部が、ダウンフレーム22の下部の支持ブラケット22aに取り付けられ、クランクケース30の後部が、ピボットフレーム21aに取り付けられて、内燃機関3が車体フレーム2に支持される。
メインフレーム21からは左右一対のシートレール23が後方に延出しており、シートレール23とピボットフレーム21aとを連結したバックステー24がシートレール23を支持している。
ヘッドパイプ20にはフロントフォーク10が枢支され、その下端に前輪11が軸支され、フロントフォーク10の枢軸の上端に操舵ハンドル12が設けられる。
ピボットフレーム21aの下部に設けられたピボット軸25に前端を軸支されたスイングアーム13が後方へ延出し、その後端に後輪14が軸支され、スイングアーム13とバックステー24との間に図示しないリヤクッションが介装されている。
メインフレーム21には燃料タンク16が左右両側に跨るように架設され、燃料タンク16の後方にシート17がシートレール23に支持されて設けられている。
本実施形態に係る内燃機関3は、図1中の内燃機関3を取り出して示す左側面図である図2に示されるように、そのクランクケース30内の後部に多段変速機5を一体に備えて、いわゆるパワーユニットを構成しており、そのクランク軸31のクランク軸線Xを、自動二輪車1の車幅方向、すなわち左右方向に配向させて、気筒部32を若干前傾させて起立した姿勢で、自動二輪車1に搭載された空冷単気筒のSOHC型4ストロークサイクル内燃機関である。
クランクケース30の後部左側面を貫通して、パワーユニットの出力軸として多段減速機5の出力軸5aが外部に突出し図示しない出力スプロケットが取り付けられ、出力スプロケットに巻掛けられた駆動チェーン15が、後輪14側(図1参照)の被動スプロケット14aに架渡されて、後輪14に動力が伝達される。
クランクケース30の後部左側面にはチェーンカバー18が取付けられ、出力スプロケットが外部から覆われ、安全性と外観性を向上させている。
内燃機関3は、クランクケース30の斜め上方にシリンダブロック(本発明における「内燃機関構成部材」)33およびシリンダヘッド(本発明における「内燃機関構成部材」)34が順次重ねられて、スタッドボルト挿通孔39(図3参照)に挿通されたスタッドボルト39aにより一体に締結され、シリンダヘッド34の上にはシリンダヘッドカバー35が被せられ、シリンダブロック33、シリンダヘッド34、シリンダヘッドカバー35は、シリンダブロック33内に形成されるシリンダボア33aの中心軸線、すなわちシリンダ軸線Cを前傾させて、クランクケース30から僅かに前方に前傾して突設された気筒部32を構成している。すなわち、内燃機関3は、クランクケース30からシリンダ軸線C方向に延びる内燃機関構成部材としてのシリンダブロック33とシリンダヘッド34を有している。
なお、図2において、気筒部32の前方に上下に配向して設けられた管は、冷却用のオイル配管40であり、シリンダブロック33に設けられた複数の冷却フィン33bの内、少なくとも1つの端部はオイル配管40よりシリンダ径方向で外側まで延び、オイル配管40が保護されている。
気筒部32において、シリンダブロック33のシリンダボア33a内にはピストン41が摺動可能に嵌装され、ピストン41の頂部とシリンダヘッド34との間には燃焼室36が形成される。
燃焼室36内での燃料と外気の混合気の燃焼により、ピストン41がシリンダボア33a内を往復動し、その往復動が図示しないコンロッドを介してクランク軸31の回転運動に変換される。
気筒部32の後側には吸気系部品51であるスロットルボディ53が吸気管52を介して接続され、スロットルボディ53には図示しないスロットルバルブが内設され、吸気管52には燃料噴射弁54が設けられている。気筒部32の前側には排気系部品56である排気管57が接続され、排気管57は車両下部右側を後方に延設されて車両右側部に備えられた図示しないマフラに接続している(図1参照)。
シリンダヘッド34の後部内および前部内には、それぞれ吸気ポート37、排気ポート38が形成され、図示しない吸気弁、排気弁により開閉される。
図2中III−III矢視によるシリンダヘッド34の上面図である図3に示されるように、シリンダヘッド33内には動弁室60が画成され、クランク軸線Xと平行なカムシャフト軸線Yを有するカムシャフト61が備えられ、吸気カム、排気カムを備えた吸排気共用のカムシャフト61による図示しない動弁機構が支持されている。
クランク軸31の動力を動弁機構に伝達する図示しないカムチェーンを収容し、クランクケース30内とシリンダヘッド34内とを連通するカムチェーンチャンバ65が、気筒部32の一側に備えられ、カムシャフト61は、カムチェーンによりクランク軸31と連係駆動され、吸気カム、排気カムによって、吸気弁、排気弁が所定のタイミングで開閉される。
本実施形態において、シリンダヘッド34の前壁部34aには排気ポート38のシリンダヘッド前側開口38aが設けられ、前壁部34bには吸気ポート37のシリンダヘッド後側開口37aが設けられている。
また、シリンダブロック33とシリンダヘッド34は、空冷のために車両搭載時の左側面と右側面に、走行風を受ける複数の冷却フィン7を備えている。
冷却フィン7はシリンダ軸線C直交左右方向に延伸するとともに、シリンダブロック33とシリンダヘッド34の外周に周方向に配設されている。
シリンダヘッド34には、冷却フィン7と同じ延伸方向、すなわち、車両搭載時の左側面と右側面からシリンダ軸線C直交左右方向に延伸して、略シリンダ軸線C方向に配置され冷却フィン7に対して略直交するように交差する複数の直交リブ8が備えられている。
直交リブ8は、延伸するとともに
シリンダヘッド34の左側面と右側面において、車両搭載時にシリンダヘッド34の前方向最外側に位置する直交リブ8と、後方向最外側に位置する直交リブ8との間のシリンダヘッド34の冷却フィン7は、側面冷却フィン部7aを形成している。
図3中IV−IV矢視によるシリンダヘッド34の立面断面図である図4の(IV部)に示されるように、側面冷却フィン部7aは、延伸方向、すなわち車幅方向に延伸するに従って厚さを減ずる断面形状をなしている。
側面冷却フィン部7aは、延伸方向の断面形状において、シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度αが先端部73側より大きい基端部71側の大角度部72と、シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度βが基端部71側より小さい先端部73側の小角度部74とを形成している。
シリンダヘッド34の側面冷却フィン部7aは、片側面側において複数、本実施形態では7層設けられているが、各側面冷却フィン部7aがシリンダ軸線C方向で向かい合う面において、α>βであれば、各表面傾斜角度α:α〜α……は同じくなくてもよい。各表面傾斜角度β:β〜β……も同じくなくてもよい。
本実施形態においては、α=α〜α……=5°、β=β〜β……=3°である。
また、図4の(IV部)に示されるように、側面冷却フィン部7aのうち、シリンダ軸線C方向で最も上端に位置する側面冷却フィン部7aの上方を向く上端面75と、最も下端に位置する側面冷却フィン部7aの下方を向く下端面76は、それぞれシリンダ軸線直交面Hに対する単一の表面傾斜角度θで形成されている。
本実施形態において上端面75の表面傾斜角度θ=θ1と、下端面76の表面傾斜角度θ=θ2とは同じくなくてもよいが、小角度が好ましく、例えば側面冷却フィン部7aの小角度部74の表面傾斜角度β程度以下が好ましい。
図3中IV−IV矢視によるシリンダヘッド34の立面断面図である図4の(IV部)に示されるように、冷却フィン7のうち、後方向最外側の直交リブ8より外側、すなわち後側に位置する後側冷却フィン部7bと、前方向最外側の直交リブ8より外側、すなわち前側に位置する前側冷却フィン部7cは、延伸方向、すなわち車幅方向に延伸するに従って、シリンダ軸線直交面Hに対して単一の表面傾斜角度γで厚さを減ずる断面形状をなして形成されている。
前側冷却フィン部7cの各表面傾斜角度γ:γ〜γ……、後側冷却フィン部7bの各表面傾斜角度γ:γ′〜γ′……は同じくなくてもよいが、小角度が好ましく、例えば側面冷却フィン部7a小角度部74の表面傾斜角度β程度が好ましい。
本実施形態では、γ=γ〜γ……=γ′〜γ′……=β=3°、α=5°である。
なお、図4に示されるように、直交リブ8の延伸方向の端部8aは、冷却フィン7の延伸方向の端部7dよりも冷却フィン7の基端部71側に位置している。
図3中V−V矢視によるシリンダヘッド34の右側面斜視図である図5、および図4に示されるように、本実施形態において、側面冷却フィン部7aの大角度部72の表面傾斜角度αと小角度部74の表面傾斜角度βが切り替わる切替え部77は、直交リブ8の延伸方向の端部8aより側面冷却フィン部7aの基端部71側に位置している(図4中、小丸印の位置参照)。大角度部72と小角度部74との切替え部77は、大角度部72および小角度部74と連続する曲面78で形成さており、切替え部77が目立たなくなっている。
以上記載した本実施形態の内燃機関3の特徴的構成と作用効果を以下述べる。
シリンダヘッド34は、車両搭載時の左、右側面34c、34dに、走行風を受ける複数の冷却フィン7を備え、冷却フィン7はシリンダ軸線C直交左右方向に延伸するとともにシリンダヘッド34の外周に周方向に配設される。
また、シリンダヘッド34の左、右側面34c、34dにはシリンダ軸線C直交左右方向に延伸してシリンダ軸線C方向に配置され冷却フィン7に対して交差する複数の直交リブ8を備えている。
冷却フィン7は、延伸方向に従って厚さを減ずる断面形状をなしており、シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度αが先端部73側より大きい基端部71側の大角度部72と、シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度βが基端部71側より小さい先端部73側の小角度部74とを形成する側面冷却フィン部7aを有している。
側面冷却フィン部7aは、車両搭載時にシリンダヘッド34の前方向最外側に位置する直交リブ8と後方向最外側に位置する直交リブ8との間のみに位置している。
また、冷却フィン7のうち、前、後方向最外側の直交リブ8より外側に位置する前側冷却フィン部7cと後側冷却フィン部7bは、延伸方向に従ってシリンダ軸線直交面Hに対して単一の表面傾斜角度γで厚さを減ずる断面形状をなして形成されている
内燃機関3の冷却フィン7において、シリンダヘッド34の左、右側面34c、34dの側面冷却フィン部7aの先端部73側が、シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度βが小さい小角度部74をなし、前側冷却フィン部7cと後側冷却フィン部7bが単一の表面傾斜角度γで形成されたので、冷却フィン7の板厚が薄く見え、且つ冷却フィン7の先端部の板厚の平行感が増し冷却フィン7表面の段差が目立たず、側面冷却フィン部7aの基端部71側の大角度部72によって、製造時の鋳抜きの良好性と冷却フィン7の強度を担保しつつ、冷却フィン7の外観性が向上している。
なお、図3に2点鎖線で示すように、シリンダヘッド34は鋳造時において、前側の鋳型M1、左側の鋳型M2、右側の鋳型M3、後側の鋳型M4によって鋳造され、図中2点鎖線矢印で図示のように、前後左右の4方向に型抜きされる。
シリンダヘッド34の左、右側面34c、34dの冷却フィン7と直交リブ8はいずれも、延伸方向に従って厚さを減ずる断面形状をしており、型抜きに障害がない。特に側面冷却フィン部7aは、基端部71側の大角度部72と、先端部73側の小角度部74とで形成されるので、鋳抜きの良好性と冷却フィン7の強度と外観性が両立している。
また、本実施形態においては、前側冷却フィン部7cと後側冷却フィン部7bの表面傾斜角度γは、側面冷却フィン部7aの小角度部74と同じ表面傾斜角度βで形成さている。
そのため、前側冷却フィン7cと後側冷却フィン7bが側面冷却フィン部7aの小角度部74と同じ表面傾斜角度γ=βで連続した表面をなすことができ、走行風の流れが良好となり、外観性も向上している。
また、直交リブ8の延伸方向の端部8aは、冷却フィン7の延伸方向の端部7dよりも冷却フィン7の基端部71側に位置している。
直交リブ8に囲まれた範囲は表面積が狭くなるが、直交リブ8の端部8a位置の突出を抑えることで、直交リブ8に囲まれた範囲への走行風の流量を増やして、冷却効率を一定以上に保つことができる。
また、側面冷却フィン部7aのうち、シリンダ軸線C方向で最も上端に位置する側面冷却フィン部7aの上方を向く上端面75、または最も下端に位置する側面冷却フィン部7aの下方を向く下端面76は、シリンダ軸線直交面Hに対して単一の表面傾斜角度θで形成されている。
そのため、側面冷却フィン部7aの上端面75または下端面76の表面が一様となり、シリンダヘッド34をシリンダ軸線C方向の上方または下方から見た時の外観性を向上している。
また、側面冷却フィン部7aの表面傾斜角度α、βが切り替わる切替え部77は、直交リブ8の延伸方向の端部8aより側面冷却フィン部7aの基端部71側に位置している。
そのため、側面冷却フィン部7aの表面傾斜角度α、βの切替え部77が奥まって位置するので、シリンダヘッド34を直交リブ8の延伸方向から見た場合に、切替え部77が視認し難くなり、外観性が向上している。
またさらに、側面冷却フィン部7aの大角度部72と小角度部74との切替え部77は、大角度部72および小角度部74と連続する曲面78で形成されている。
そのため、側面冷却フィン部7aの表面傾斜角度α、βが切り替わったことが視認され難くなり、シリンダヘッド34の外観性がより向上している。
以上、本発明の一実施形態としての上記実施形態においては、本発明における「内燃機関構成部材」として、シリンダヘッド34において本発明の構成を適用した例を示したが、本発明の構成は「内燃機関構成部材」としてのシリンダブロック33に適用してもよく、また、シリンダヘッド34とシリンダブロック33とを合わせて適用してもよく、本発明の実施形態となる。
また、本発明の要旨の範囲で、上記実施形態に対し個々の態様が変更されてもよいことは勿論である。
特に、上記実施形態では「クランクケースからシリンダ軸線方向に延びる内燃機関構成部材」としてのシリンダヘッド34とシリンダブロック33が、クランクケース30から上方に向けシリンダ軸線Cを車載時の方向でやや前傾して突設されたものが示されたが、クランクケース30から上方に向けシリンダ軸線Cを車載時の方向でやや後傾して突設されたものや、クランクケース30から前方に向けシリンダ軸線Cを車載時の方向で略水平に近くなるまで前傾して突設されたものの場合も、本発明に含まれる。その場合、内燃機関構成部材としてのシリンダヘッドやシリンダブロックにおける「上方」はクランクケースから離れる方向、「下方」はクランクケースに向く方向であり、「前方」、「後方」はシリンダ軸線Cの車載時の方向の傾きの関わらず、少なくとも前方、後方を向く側をいう。
「鞍乗型車両」は、本実施形態の自動二輪車に限らず、自動三輪車、2輪、多輪のバギー等多様な鞍乗型車両が含まれる。
なお、上記実施形態は説明の便宜上、上記実施形態に図示の左右配置の構成に基づき説明したが、左右配置が上記実施形態と異なる実施態様も本発明に含まれる。
1…自動二輪車(本発明における「鞍乗型車両」)、2…車体フレーム、3…内燃機関(本発明における「鞍乗型車両用内燃機関」)7…冷却フィン、7a…側面冷却フィン部、7b…後側冷却フィン部、7c…前側冷却フィン部、7d…端部、8…直交リブ、8a…端部、30…クランクケース、31…クランク軸、32…気筒部、33…シリンダブロック(本発明における「内燃機関構成部材」)、33a…シリンダボア、34…シリンダヘッド(本発明における「内燃機関構成部材」)、34c…左側面、34d…右側面、35…シリンダヘッドカバー、36…燃焼室、37…吸気ポート、38…排気ポート、41…ピストン、60…動弁室、61…カムシャフト、71…基端部、72…大角度部、73…先端部、74…小角度部、75…上端面、76…下端面、77…切替え部、78…曲面、C…シリンダ軸線、X…クランク軸線、H…シリンダ軸線直交面、α、β、γ、θ…シリンダ軸線直交面Hに対する表面傾斜角度

Claims (5)

  1. クランクケース(30)からシリンダ軸線(C)方向に延びる内燃機関構成部材(33,34)を有し、
    前記内燃機関構成部材(34)は、車両搭載時の左、右側面(34c,34d)に、走行風を受ける複数の冷却フィン(7)を備え、同冷却フィン(7)はシリンダ軸線(C)直交左右方向に延伸するとともに前記内燃機関構成部材(34)の外周に周方向に配設された鞍乗型車両用内燃機関(3)において、
    前記内燃機関構成部材(34)は、前記左、右側面(34c,34d)にシリンダ軸線(C)直交左右方向に延伸してシリンダ軸線(C)方向に配置され前記冷却フィン(7)に対して交差する複数の直交リブ(8)を備え、
    前記冷却フィン(7)は、延伸方向に従って厚さを減ずる断面形状をなして、シリンダ軸線直交面(H)に対する表面傾斜角度(α)が先端部(73)側より大きい基端部(71)側の大角度部(72)と、シリンダ軸線直交面(H)に対する表面傾斜角度(β)が基端部(71)側より小さい先端部(73)側の小角度部(74)とを形成する側面冷却フィン部(7a)を有し、
    同側面冷却フィン部(7a)は、車両搭載時に前記内燃機関構成部材(34)の前方向最外側に位置する前記直交リブ(8)と後方向最外側に位置する前記直交リブ(8)との間のみに位置し、
    前記冷却フィン(7)のうち、前、後方向最外側の前記直交リブ(8)より外側に位置する前側冷却フィン部(7c)と後側冷却フィン部(7b)は、延伸方向に従ってシリンダ軸線直交面(H)に対して単一の表面傾斜角度(γ)で厚さを減ずる断面形状をなして形成され
    前記側面冷却フィン部(7a)のうち、シリンダ軸線(C)方向で最も上端に位置する側面冷却フィン部(7a)の上方を向く上端面(75)、または最も下端に位置する側面冷却フィン部(7a)の下方を向く下端面(76)は、シリンダ軸線直交面(H)に対して単一の表面傾斜角度(θ)で形成されたことを特徴とする鞍乗型車両用内燃機関。
  2. 前記前側冷却フィン部(7c)と前記後側冷却フィン部(7b)の表面傾斜角度(γ)は、前記側面冷却フィン部(7a)の小角度部(74)と同じ表面傾斜角度(β)で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用内燃機関。
  3. 前記直交リブ(8)の延伸方向の端部(8a)は、前記冷却フィン(7)の延伸方向の端部(7d)よりも同冷却フィン(7)の基端部(71)側に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗型車両用内燃機関。
  4. 前記側面冷却フィン部(7a)の表面傾斜角度(α、β)が切り替わる切替え部(77)は、前記直交リブ(8)の延伸方向の端部(8a)より前記側面冷却フィン部(7a)の基端部(71)側に位置することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用内燃機関。
  5. 前記大角度部(72)と前記小角度部(74)との切替え部(77)は、前記大角度部(72)および前記小角度部(74)と連続する曲面(78)で形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用内燃機関。
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