JP2015178773A - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料が吸気口側から排気口側に吹き抜けるのを抑制し、燃料の気化を促進して、エンジンの燃焼効率を向上させる。【解決手段】本発明は、燃焼室27の吸気口28を開閉する吸気バルブ33及び燃焼室27の排気口31を開閉する排気バルブ35を備えたエンジン14と、燃焼室27の吸気口28と連通する吸気通路86に向かって燃料を噴射する燃料噴射装置88と、を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、エンジン14は、所定のタイミングで吸気バルブ33が開く第1の運転状態と、第1の運転状態よりも遅いタイミングで吸気バルブ33が開く第2の運転状態と、を切り替え可能に設けられ、燃料噴射装置88は、エンジン14が第2の運転状態で運転している場合に、エンジン14の排気行程で燃料を噴射する排気行程噴射を実行可能であることを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明は、自動二輪車等に設けられるエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
従来、自動二輪車等のエンジンは、燃焼室の吸気口を開閉する吸気バルブと、燃焼室の排気口を開閉する排気バルブと、を備えている。また、吸気口を介して燃焼室に取り込まれる燃料は、吸気口と連通する吸気通路に向かって燃料噴射装置から噴射されるようになっている。
例えば、特許文献1には、吸気バルブ(特許文献1の「吸気弁11」参照)のリフト量を変更可能な可変動弁機構と、吸気通路に燃料を噴射供給する燃料噴射装置(特許文献1の「燃料噴射弁52」参照)と、を備えた可変動弁機構付き内燃機関が開示されている。この従来技術では、吸気バルブのリフト量が所定リフト量より大きい時に、吸気バルブが開く前に燃料噴射を終了させることで、燃料の気化を促進しようとしている。
特開2003−247443号公報
上記の「吸気バルブのリフト量が所定リフト量より大きい時」とは、エンジンが高回転の時又はエンジンが低回転から高回転に向かう時と考えられるが、このような時にはエンジンの1サイクルの期間は非常に短い。そのため、上記のように吸気バルブが開く前に燃料噴射を終了させたとしても、燃料の気化を十分に促進することはできず、エンジンの燃焼効率を向上させることは困難である。
また、一般的なエンジンでは、吸気バルブが開いている期間と排気バルブが開いている期間のオーバーラップ時間が存在する。そのため、上記のように吸気バルブが開く前に燃料噴射を終了させたとしても、吸気バルブが開いた時(オーバーラップ時間になった時)に吸気口側から排気口側へと燃料が未燃のまま吹き抜けてしまい、燃費が低下する恐れがある。
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、燃料が未燃のまま吹き抜けるのを抑制し、燃料の気化を促進して、エンジンの燃焼効率を向上させることを目的とする。
本発明は、燃焼室の吸気口を開閉する吸気バルブ及び前記燃焼室の排気口を開閉する排気バルブを備えたエンジンと、前記吸気口と連通する吸気通路に向かって燃料を噴射する燃料噴射装置と、を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、前記エンジンは、所定のタイミングで前記吸気バルブが開く第1の運転状態と、前記第1の運転状態よりも遅いタイミングで前記吸気バルブが開く第2の運転状態と、を切り替え可能に設けられ、前記燃料噴射装置は、前記エンジンが前記第2の運転状態で運転している場合に、前記エンジンの排気行程で燃料を噴射する排気行程噴射を実行可能であることを特徴とする。
このように排気行程噴射を実行することで、燃料噴射のタイミングを大幅に進角させることが可能となり、燃料を気化させるための時間を十分に確保することができる。そのため、燃料の気化を促進することができ、エンジンの燃焼効率を向上させることが可能となる。
また、第2の運転状態では第1の運転状態よりも遅いタイミングで吸気バルブが開くため、吸気バルブが開いている期間と排気バルブが開いている期間のオーバーラップが第1の運転状態よりも短い。そのため、排気行程噴射を実行しても、吸気口側から排気口側に燃料が未燃のまま吹き抜けにくくなり、燃費の悪化を防止することが可能となる。
前記燃料噴射装置は、前記エンジンが前記第2の運転状態で運転している場合に、前記エンジンの吸気行程で燃料を噴射する吸気行程噴射を前記排気行程噴射と併用しても良い。
このような構成を採用することで、排気行程噴射で噴射された燃料は吸気通路の熱によって気化させ、吸気行程噴射で噴射された燃料は吸気バルブが開いた際の高速流によって霧化させることができる。これに伴って、エンジンの燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
前記第2の運転状態は、前記吸気バルブの開くタイミングが異なるように複数パターン設けられ、前記燃料噴射装置は、複数パターンの前記第2の運転状態のうちで前記吸気バルブの開くタイミングが遅い運転状態である程、早いタイミングで前記排気行程噴射を実行しても良い。
このような構成を採用することで、吸気バルブの開くタイミングに応じた適切なタイミングで排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジンの燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が所定値以上の時に、前記排気行程噴射を実行しても良い。
このような構成を採用することで、エンジンの冷機時に排気行程噴射が実行されることによって燃料の気化効率が低下したり燃焼室の温度が過度に低下したりするのを抑制することが可能となる。これに伴って、エンジンの燃焼効率の低下を防止することができる。
前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が高い程、早いタイミングで前記排気行程噴射を実行しても良い。
このような構成を採用することで、エンジン内の冷却水の温度に応じた適切なタイミングで排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジンの燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が高い程、前記排気行程噴射の噴射量を増加させても良い。
このような構成を採用することで、エンジン内の冷却水の温度に応じた適切な噴射量で排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジンの燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
本発明によれば、燃料が未燃のまま吹き抜けるのを抑制し、燃料の気化を促進して、エンジンの燃焼効率を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る自動二輪車を示す右側面図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車のエンジンを示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、吸気側動弁装置及びその周辺部を示す背面図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、吸気側動弁装置及びその周辺部を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、吸気カム及びその周辺部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、エンジン及びその周辺部を示す模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、バルブリフト量とクランク角の関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、(a)は、低リフト状態(暖機時)の燃料噴射タイミングを示す図であり、(b)は、低リフト状態(冷機時)の燃料噴射タイミングを示す図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、(a)は、中リフト状態(暖機時)の燃料噴射タイミングを示す図であり、(b)は、中リフト状態(冷機時)の燃料噴射タイミングを示す図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、(a)は、高リフト状態(暖機時)の燃料噴射タイミングを示す図であり、(b)は、高リフト状態(冷機時)の燃料噴射タイミングを示す図である。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、(a)は、低リフト状態における噴射量の重み付けを示すグラフであり、(b)は、中リフト状態における噴射量の重み付けを示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、冷却水の温度と排気行程噴射の進角量の関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、燃料噴射制御を示すフローチャートである。
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。以下の実施形態では、本発明を自動二輪車1に適用した場合について説明する。以下、上下、左右、前後等の方向を示す語は、自動二輪車1の乗員から見た方向を基準として用いる。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、Rは、それぞれ自動二輪車1の前方、後方、左方、右方を示している。
まず、図1を用いて、自動二輪車1の概要について説明する。
自動二輪車1には、骨組を構成する車体フレーム2が設けられ、車体フレーム2の前方から下方にかけて設けられたカウリング3により、車両前部が覆われている。車体フレーム2は、例えばツインチューブ型であり、車体フレーム2の前部上端に配置されたヘッドパイプ4と、ヘッドパイプ4から後下方に向かって延びる左右一対のメインフレーム5と、メインフレーム5の後部から後上方に向かって延びる左右一対のシートレール6と、を主体として構成されている。
ヘッドパイプ4には、左右一対のフロントフォーク7が支持されている。フロントフォーク7の下端には前輪8が軸支され、フロントフォーク7の上端にはハンドルバー10が固定され、ハンドルバー10の左右両端部にはハンドルグリップ11が設けられている。
左右一対のメインフレーム5の間には燃料タンク12が設けられ、燃料タンク12の後方には運転者シート13が設けられている。燃料タンク12の下方にはエンジン14が搭載されている。左右一対のメインフレーム5の後下部にはピボット軸15が架設され、ピボット軸15にはスイングアーム16の前端部が上下方向揺動可能に支持されている。スイングアーム16の後端部には後輪17が軸支されている。
次に、図2〜図5を用いて、エンジン14について更に詳細に説明する。エンジン14は、例えば、並列4気筒型エンジンである。
図2に示されるように、エンジン14は、クランクケース20と、クランクケース20から上方に延びるシリンダー21と、シリンダー21から上方に延びるシリンダーヘッド22と、シリンダーヘッド22の上側を覆うヘッドカバー23と、を備えている。なお、図2において、クランクケース20及びシリンダー21は、その概略のみが一点鎖線で表示されている。
クランクケース20内には、クランク軸24が軸支されている。クランク軸24は、シリンダー21内に往復動可能に収納されたピストン25とコンロッド26を介して接続されており、ピストン25の往復動がコンロッド26を介してクランク軸24の回転に変換されるように構成されている。
シリンダー21とシリンダーヘッド22の間には、燃焼室27が形成されている。燃焼室27の後部には、吸気口28が形成されている。吸気口28は、シリンダーヘッド22の後面に開口された吸気ポート30と連通している。燃焼室27の前部には、排気口31が形成されている。排気口31は、シリンダーヘッド22の前面に開口された排気ポート32と連通している。
シリンダーヘッド22の後部には、吸気バルブ33が気筒ごとに2個ずつ設けられている。吸気バルブ33は、所定の軸方向(本実施形態では、上方に向かって後方に傾斜する方向)に延びている。吸気バルブ33は、その軸方向に移動することで燃焼室27の吸気口28を開閉するように構成されている。吸気バルブ33は、吸気側バルブスプリング34によって燃焼室27の吸気口28を閉止する方向(本実施形態では上方)に付勢されている。
シリンダーヘッド22の前部には、排気バルブ35が気筒ごとに2個ずつ設けられている。排気バルブ35は、所定の軸方向(本実施形態では、上方に向かって前方に傾斜する方向)に延びている。排気バルブ35は、その軸方向に移動することで燃焼室27の排気口31を開閉するように構成されている。排気バルブ35は、排気側バルブスプリング36によって燃焼室27の排気口31を閉止する方向(本実施形態では上方)に付勢されている。
シリンダーヘッド22の上部には、カムハウジング37が設けられ、カムハウジング37の後上方には、ボールスクリューハウジング38が設けられている。
シリンダーヘッド22の後上部には、吸気バルブ33の上方に吸気側動弁装置44が設けられている。図3、図4に示されるように、吸気側動弁装置44は、シリンダーヘッド22の右後隅に設けられる駆動モーター45(駆動源)と、駆動モーター45の左方に設けられるボールスクリュー46と、ボールスクリュー46に支持されるスライドナット47と、スライドナット47に固定されるナットフォーク48と、ボールスクリュー46の前方に配置されるカムフォークシャフト50と、カムフォークシャフト50に固定されるカムフォーク51と、カムフォークシャフト50の下方に配置されるカムシャフト52と、カムシャフト52に支持される吸気カム53と、シリンダーヘッド22の左後隅に設けられるカム位置センサー54と、を備えている。
駆動モーター45には、左方に向かって突出する出力軸55が設けられている。出力軸55の外周には出力ギヤ56が設けられており、駆動モーター45の駆動に伴って出力軸55と出力ギヤ56が一体に回転するように構成されている。
ボールスクリュー46は、左右方向に延びている。ボールスクリュー46の右端部には接続ギヤ57が設けられている。接続ギヤ57は、駆動モーター45の出力ギヤ56と噛合している。これにより、駆動モーター45の駆動に伴ってボールスクリュー46が回転するようになっている。ボールスクリュー46は、ボールスクリューハウジング38(図2等参照)に収容されている。
図3、図4に示されるように、スライドナット47は、ボールスクリュー46の外周に噛合している。スライドナット47は、回転が規制された状態で設けられており、ボールスクリュー46の回転に伴って左右方向に移動するように構成されている。
ナットフォーク48は、フォーク本体60と、フォーク本体60から前方に向かって張り出すベースプレート61と、を備えている。フォーク本体60は、スライドナット47の外周面に固定されている。これにより、スライドナット47が左右方向に移動すると、ナットフォーク48がスライドナット47と一体的に左右方向に移動するようになっている。ベースプレート61は、平板状を成しており、左右方向に延びている。
カムフォークシャフト50は、左右方向に延びている。カムフォークシャフト50は、カムハウジング37に設けられた複数個(本実施形態では5個)の軸受部64によって左右方向に移動可能に支持されている。
カムフォーク51は、カムフォークシャフト50の外周に固定されており、カムフォークシャフト50と一体的に左右方向に移動するようになっている。カムフォーク51は、左右方向に間隔をおいて4個設けられている。4個のカムフォーク51のうちの左右方向中央の2個は、ナットフォーク48のベースプレート61の左右両端部に固定されている。これにより、ナットフォーク48が左右方向に移動すると、カムフォークシャフト50及びカムフォーク51がナットフォーク48と一体的に左右方向に移動するようになっている。
カムシャフト52は、左右方向に延びている。カムシャフト52の右端部には、カムスプロケット65が設けられている。カムスプロケット65は、クランク軸24(図3、図4では図示せず)とカムチェーン(図示せず)を介して接続されている。
吸気カム53は、カムシャフト52に周設されており、左右方向に延びる回転軸Yを中心にカムシャフト52と一体的に回転するように設けられている。つまり、本実施形態では、左右方向が吸気カム53の回転軸方向である。吸気カム53は、カムシャフト52に対して左右方向に移動可能に設けられている。吸気カム53は、左右方向に間隔をおいて4個設けられている。
図5に示されるように、吸気カム53の右端部は、ベアリング66を介してカムフォーク51に取り付けられている。これにより、吸気カム53がカムフォーク51と一体的に左右方向に移動可能となっている。
吸気カム53は、所謂「3次元カム」であり、左右方向(回転軸方向)にカムプロフィールが変化している。吸気カム53には、外径側に向かって隆起するカムロブ67が設けられている。カムロブ67の右端部(左右方向一端部)には低カム部68が設けられ、カムロブ67の左右方向中央部には中カム部69が設けられ、カムロブ67の左端部(左右方向他端部)には、高カム部70が設けられている。低カム部68、中カム部69及び高カム部70は、左右方向に対して平行に設けられている。カム部68〜70のカムプロフィールは、低カム部68、中カム部69、高カム部70の順に大きくなっている。
吸気カム53のカムロブ67には、低カム部68と中カム部69の間に第1移行部71が設けられ、中カム部69と高カム部70の間に第2移行部72が設けられている。第1移行部71及び第2移行部72は、右方から左方に向かって徐々に拡径しており、左右方向に対して傾斜している。
以上のように、本実施形態の吸気カム53は、左右方向(回転軸方向)の一端部から他端部まで連続的にカムプロフィールが変化する無段階式3次元カムでは無く、カムプロフィールが変化しない部分(低カム部68、中カム部69、高カム部70)の間にカムプロフィールが変化する部分(第1移行部71、第2移行部72)が配置される3段階式3次元カム(多段階式3次元カム)である。
吸気カム53の下方には、タペット73が設けられている。タペット73は、タペットガイド74に支持されている。タペット73は、左右方向に延びるタペットアーム75と、タペットアーム75の左右方向中央部に回転可能に支持されるタペットローラー76と、を備えている。タペットアーム75の左右両端部は、吸気バルブ33の上端部の上方に位置している。タペットアーム75の左右両端部と吸気バルブ33の上端部の間には、シム58が介装されている。タペットローラー76は、吸気カム53に当接している。
カム位置センサー54(図3、図4参照)は、ロータリーエンコーダー等によって構成されている。カム位置センサー54は、吸気カム53の左右方向(回転軸方向)の位置を検出するように構成されている。なお、カム位置センサー54は、吸気カム53の左右方向の位置を直接検出しても良いし、吸気カム53と一体的に左右方向に移動する部材(例えば、スライドナット47、ナットフォーク48、カムフォークシャフト50又はカムフォーク51)の位置を検出することで、吸気カム53の左右方向の位置を間接的に検出しても良い。
図2に示されるように、シリンダーヘッド22の前上部には、排気バルブ35の上方に排気側動弁装置77が設けられている。排気側動弁装置77は、排気カムシャフト78と一体に回転する排気カム79を備えている。排気カム79は、3次元カムによって構成される吸気カム53とは異なり、平板状のカムによって構成されている。排気側動弁装置77の詳細については、説明を省略する。
次に、上記したエンジン14及びその周辺部について、図6を用いて更に説明する。図6では、エンジン14は、その要部のみが模式的に表示されている。
シリンダー21には、ウォータージャケット81が内設されている。ウォータージャケット81内には、エンジン14を冷却するための冷却水が収容されている。以下、「冷却水」と記載する場合には、ウォータージャケット81内に収容された冷却水のことを指すものとする。冷却水は、例えば、ウォーターポンプ(図示せず)によってウォータージャケット81内を循環するようになっている。シリンダー21には、冷却水の温度を検出する水温センサー82が設けられている。
シリンダーヘッド22には、燃焼室27の吸気口28と吸気ポート30の間に下流側通路83が形成されている。吸気ポート30には吸気管84が接続されており、吸気管84の内部には上流側通路85が形成されている。上流側通路85は、下流側通路83と共に吸気通路86を構成している。
吸気管84の下流端部には、燃料噴射装置88が取り付けられている。燃料噴射装置88は、吸気ポート30に臨んでおり、吸気通路86の下流側通路83に向かって燃料を噴射するように構成されている。吸気管84には、燃料噴射装置88よりも上流側の部分にエアクリーナー(図示せず)が接続されており、エアクリーナーから導入された空気と燃料噴射装置88から噴射された燃料が混合された後、吸気口28を介して燃焼室27に導入されるように構成されている。
シリンダーヘッド22には、燃焼室27の排気口31と排気ポート32の間に第1通路91が形成されている。排気ポート32には排気管92が接続されており、排気管92の内部には第2通路93が形成されている。第2通路93は、第1通路91と共に排気通路94を構成しており、燃焼室27からの排気が排気通路94を介して排出されるようになっている。
シリンダーヘッド22には、燃焼室27の上端中央付近に点火プラグ95が設けられている。点火プラグ95は、イグニッションコイル96に接続されており、イグニッションコイル96が発生させた高電圧を用いて点火プラグ95が燃焼室27内の混合気に点火するようになっている。
エンジン14は、制御部97によって制御されている。制御部97は、例えば、ECU(Engine Control Unit)等によって構成されている。制御部97は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶部と、を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する機能を有している。
制御部97は、シリンダー21に設けられた水温センサー82に接続されている。制御部97は、燃料噴射装置88に接続されている。制御部97は、イグニッションコイル96に接続されている。
制御部97は、吸気側動弁装置44に設けられた駆動モーター45と接続されており、制御部97からの信号に基づいて駆動モーター45が駆動するようになっている。制御部97は、吸気側動弁装置44に設けられたカム位置センサー54に接続されている。
制御部97は、アクセルグリップ98に接続されており、アクセルグリップ98の操作量が制御部97に出力されるようになっている。制御部97は、エンジン14の回転数を検出する回転数センサー99と接続されている。制御部97は、クランク角を検出するクランク角センサー100と接続されている。
上記のように構成された自動二輪車1の走行時には、エンジン14のクランク軸24が回転する。このようにクランク軸24が回転すると、この回転がカムチェーン(図示せず)を介してカムシャフト52に伝達され、カムシャフト52が回転する。このようにカムシャフト52が回転すると、回転軸Yを中心に吸気カム53が回転し、吸気カム53に設けられたカム部68〜70のいずれかがタペット73のタペットローラー76を下方に押圧する。これに伴って、タペット73のタペットアーム75がシム58を介して吸気バルブ33を下方に押圧し、吸気バルブ33が燃焼室27の吸気口28を開放する。以上のようにして、吸気カム53のカム部68〜70のいずれかが吸気バルブ33を作動させる。
また、上記のように構成された自動二輪車1の走行時には、エンジン14の回転数又はアクセルグリップ98の操作量に応じて制御部97が駆動モーター45を駆動させる。このように駆動モーター45が駆動すると、ボールスクリュー46が回転し、ボールスクリュー46の外周に噛合するスライドナット47が左右方向に移動する。このようにスライドナット47が左右方向に移動すると、ナットフォーク48、カムフォークシャフト50、カムフォーク51及び吸気カム53が左右方向に移動する。以上のようにして、駆動モーター45が吸気カム53を左右方向に移動させる。これに伴って、吸気カム53のうちで吸気バルブ33を作動させる領域が、低カム部68、中カム部69、高カム部70の間で切り替わる。具体的には、エンジン14の回転数又はアクセルグリップ98の操作量が上昇するのに伴って、吸気カム53のうちで吸気バルブ33を作動させる領域が低カム部68、中カム部69、高カム部70の順に切り替わる。これにより、エンジン14の燃費の向上と出力の向上が図られる。
以下、低カム部68が吸気バルブ33を作動させている時のエンジン14の運転状態を、低リフト状態と称する。また、中カム部69が吸気バルブ33を作動させている時のエンジン14の運転状態を、中リフト状態と称する。更に、高カム部70が吸気バルブ33を作動させている時のエンジン14の運転状態を、高リフト状態と称する。エンジン14は、低リフト状態、中リフト状態、高リフト状態の間で運転状態を切り替え可能に設けられている。
図7に示されるように、低リフト状態では、バルブリフト量が所定の値であり、中リフト状態では、低リフト状態よりもバルブリフト量が多く、高リフト状態では、中リフト状態よりもバルブリフト量が更に多い。つまり、バルブリフト量は、低リフト状態、中リフト状態、高リフト状態の順に多くなる。
また、高リフト状態では所定のタイミングで吸気バルブ33が開き、中リフト状態では高リフト状態よりも遅いタイミングで吸気バルブ33が開き、低リフト状態では中リフト状態よりも更に遅いタイミングで吸気バルブ33が開く。以上のように、吸気バルブ33が開くタイミングは、高リフト状態、中リフト状態、低リフト状態の順に遅くなっている。これに伴って、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間(吸気バルブ33と排気バルブ35の両方が開いている時間)は、高リフト状態、中リフト状態、低リフト状態の順に短くなっている。高リフト状態は吸気バルブ33の開くタイミングが最も早い運転状態であり、低リフト状態は吸気バルブ33の開くタイミングが最も遅い運転状態である。
本実施形態では、高リフト状態がエンジン14の第1の運転状態(所定のタイミングで吸気バルブ33が開く運転状態)であり、中リフト状態及び低リフト状態がエンジン14の第2の運転状態(第1の運転状態よりも遅いタイミングで吸気バルブ33が開く運転状態)である。本実施形態ではこのように、吸気バルブ33の開くタイミングが異なるように、中リフト状態と低リフト状態という2パターンの第2の運転状態が設けられている。
また、吸気バルブ33の閉じるタイミングは、低リフト状態、中リフト状態、高リフト状態の順に遅くなる。つまり、低リフト状態は吸気バルブ33の閉じるタイミングが最も早い運転状態であり、高リフト状態は吸気バルブ33の閉じるタイミングが最も遅い運転状態である。
以上のように本実施形態では、バルブリフト特性(バルブリフト量及びバルブリフトタイミング)が異なるカム部68〜70によって吸気バルブ33を作動させている。つまり、本実施形態の吸気側動弁装置44は、所謂「可変動弁装置」である。なお、排気バルブ35を作動させる排気カム79については、バルブリフト特性(バルブリフト量及びバルブリフトタイミング)は一定である。
次に、主に図7〜図10を用いて、エンジン14の運転状態ごとの燃料噴射タイミングの具体例について説明する。図8〜図10の矢印Iは、燃料噴射タイミングを示している。以下、「暖機時」とは冷却水の温度が所定値X以上の時を示し、「冷機時」とは冷却水の温度が所定値X未満の時を示す。また、エンジン14の吸気行程における燃料噴射を「吸気行程噴射」と称し、エンジン14の排気行程における燃料噴射を「排気行程噴射」と称し、吸気行程噴射を排気行程噴射と併用することを「分割噴射」と称する。
まず、エンジン14が低リフト状態で運転している場合について説明する。
図7に示されるように、エンジン14が低リフト状態で運転している場合には、最も遅いタイミングで吸気バルブ33が開くため、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が最も短い。そして、そのオーバーラップ時間の間は、吸気バルブ33または排気バルブ35のどちらか一方がランプ部(バルブの開動作の開始または終了のカムプロフィール)に相当する低開度状態(ほとんど閉まっている状態)となっている。そのため、排気行程噴射を実行しても、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜ける可能性は最も低く、燃費の悪化が最も起こり難い。
そこで、図8(a)に示されるように、暖機時には、排気行程噴射を1回実行して、吸気ポート30周辺の熱によって燃料を気化させる。上記の排気行程噴射の時期としては、膨張下死点付近(クランク角が180度の付近)が好ましい。これは、膨張下死点付近では、混合気への点火後に燃焼が広がって十分に燃焼圧がピストン25に伝わると共に、吸気ポート30周辺が最も高温になるからである。また、暖機時には、ランプ部が終了して急激に吸気バルブ33が開き始める付近(クランク角が−330度の付近)で吸気行程噴射を1回実行して、吸気バルブ33が開いた際の高速流によって燃料を霧化させる。以上のように、暖機時には、排気行程噴射1回、吸気行程噴射1回の分割噴射を実行する。
一方で、冷機時には、吸気ポート30周辺の温度が上昇していないため、排気行程噴射を行っても燃料の気化効率が悪く、却って燃焼効率の低下を招く恐れがある。そのため、図8(b)に示されるように、排気行程噴射を実行せず、急激に吸気バルブ33が開き始める付近(クランク角が−330度の付近)で吸気行程噴射を1回実行する。以上のように、冷機時には分割噴射を実行しない。なお、エンジン14が低リフト状態で運転している時には、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が極めて短いことを考慮し、排気バルブ35が閉じるタイミングではなく吸気バルブ33が開くタイミングで吸気行程噴射を実行する。
次に、エンジン14が中リフト状態で運転している場合について説明する。
図7に示されるように、エンジン14が中リフト状態で運転している場合には、高リフト状態よりも遅いタイミングで吸気バルブ33が開くため、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が比較的短い。そのため、排気行程噴射を実行しても、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜ける可能性は比較的低く、燃費の悪化が比較的起こり難い。
そこで、図9(a)に示されるように、暖機時には、急激な吸気バルブ33の開き動作に先行するランプ部による開動作をしている間(クランク角が330度の付近)で排気行程噴射を1回実行して、吸気ポート30周辺の熱によって燃料を気化させる。また、暖機時には、急激に吸気バルブ33が開き始める付近(クランク角が−350度の付近)で吸気行程噴射を1回実行して、吸気バルブ33が開いた際の高速流によって燃料を霧化させる。以上のように、暖機時には、排気行程噴射1回、吸気行程噴射1回の分割噴射を実行する。
一方で、冷機時には、吸気ポート30周辺の温度が上昇していないため、排気行程噴射を行っても燃料の気化効率が悪く、却って燃焼効率の低下を招く恐れがある。そのため、図9(b)に示されるように、排気行程噴射を実行せず、排気バルブ35がランプ部に相当する低開度状態となる付近(クランク角が−340度の付近)で吸気行程噴射を1回実行する。以上のように、冷機時には分割噴射を実行しない。
次に、エンジン14が高リフト状態で運転している場合について説明する。
図7に示されるように、エンジン14が高リフト状態で運転している場合には、最も早いタイミングで吸気バルブ33が開くため、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が最も長い。そのため、排気行程噴射を実行すると、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜ける可能性が最も高く、燃費の悪化が最も起こりやすい。
そこで、図10(a)に示されるように、暖機時であっても排気行程噴射を実行せず、排気バルブ35がランプ部に相当する低開度状態となる付近(クランク角が−340度の付近)で吸気行程噴射を1回実行する。また、図10(b)に示されるように、冷機時についても排気行程噴射を実行せず、排気バルブ35がランプ部に相当する低開度状態となる付近(クランク角が−340度の付近)で吸気行程噴射を1回実行する。つまり、暖機時と冷機時のどちらについても分割噴射を実行しない。
次に、図11(a)、図11(b)を用いて、分割噴射を行う場合の噴射量の重み付け(吸気行程噴射と排気行程噴射の噴射量割合)について説明する。
本実施形態では、冷却水の温度によって噴射量の重み付けを無段階的に変化させている。具体的には、冷却水の温度が高い程、総噴射量に対する排気行程噴射の噴射量割合を高くし、総噴射量に対する吸気行程噴射の噴射量割合を低くしている。これに伴って、冷却水の温度が高い程、排気行程噴射の噴射量が増加し、吸気行程噴射の噴射量が減少している。
また、低リフト状態(図11(a))と中リフト状態(図11(b))を比較すると、低リフト状態の方が中リフト状態よりも排気行程噴射の噴射量割合が高くなっている。これは、中リフト状態では低リフト状態と比較して吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が長く、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜ける可能性が高いことを考慮したものである。
次に、図12を用いて、冷却水の温度と排気行程噴射の進角量の関係を説明する。
本実施形態では、冷却水の温度によって排気行程噴射の進角量を無段階的に変化させている。具体的には、冷却水の温度が高い程、基準角度(例えば、TDC(排気上死点))に対して、−30度から排気行程噴射の進角量が大きくなっている。換言すると、冷却水の温度が高い程、早いタイミングで排気行程噴射を実行している。
また、低リフト状態と中リフト状態を比較すると、低リフト状態の方が中リフト状態よりも排気行程噴射の進角量が大きくなっている。換言すると、低リフト状態の方が中リフト状態よりも早いタイミングで排気行程噴射を実行している。これは、中リフト状態では低リフト状態と比較して吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が長く、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜ける可能性が高いことを考慮したものである。
次に、図13を用いて、燃料噴射制御について説明する。
まず、制御部97は、カム位置センサー54からの信号に基づいて現在のエンジン14の運転状態が低リフト状態、中リフト状態、高リフト状態のどれであるかを確認する(ステップS101)。
ステップS101の確認の結果、エンジン14の運転状態が高リフト状態(第1の運転状態)である場合には、排気行程噴射は実行されず、吸気行程噴射のみが実行される。そこで、制御部97は、回転数センサー99が検出するエンジン14の回転数及び水温センサー82が検出する冷却水の温度に基づいて、燃料噴射装置88の総噴射量を算出する(ステップS102)。具体的には、制御部97は、その内部に記憶されたマップとエンジン14の回転数及び冷却水の温度を照合し、燃料噴射装置88の総噴射量を算出する。
次に、制御部97は、クランク角センサー100によって検出されるクランク角に基づいて、吸気行程噴射の噴射タイミングを算出する(ステップS103)。詳細には、制御部97は、クランク角速度を求め、クランク角速度に対応した吸気行程噴射の噴射タイミングを算出する。
一方で、ステップS101の確認の結果、エンジン14の運転状態が低リフト状態又は中リフト状態(第2の運転状態)である場合には、制御部97は、回転数センサー99が検出するエンジン14の回転数及び水温センサー82が検出する冷却水の温度に基づいて、燃料噴射装置88の総噴射量を算出する(ステップS104)。
次に、制御部97は、水温センサー82が検出する冷却水の温度が所定値X以上であるか(エンジン14が暖機状態であるか)を確認する(ステップS105)。
ステップS105がYesの時(冷却水の温度が所定値X以上である時)には、排気行程噴射及び吸気行程噴射を含む分割噴射が実行される。そこで、制御部97は、水温センサー82が検出する冷却水の温度に基づいて噴射量の重み付け(吸気行程噴射と排気行程噴射の噴射量割合)を決定する(ステップS106)。
次に、制御部97は、クランク角センサー100によって検出されるクランク角に基づいて、吸気行程噴射の噴射タイミングを算出する(ステップS107)。詳細には、制御部97は、クランク角速度を求め、クランク角速度に対応した吸気行程噴射の噴射タイミングを算出する。
次に、制御部97は、水温センサー82が検出する冷却水の温度に基づいて、排気行程噴射の進角量を算出する(ステップS108)。
一方で、ステップS105がNoの時(冷却水の温度が所定値X未満である時)には、排気行程噴射は実行されず、吸気行程噴射のみが実行される。そこで、制御部97は、クランク角センサー100によって検出されるクランク角に基づいて、吸気行程噴射の噴射タイミングを算出する(ステップS109)。
本実施形態では以上のように、エンジン14が低リフト状態又は中リフト状態(第2の運転状態)で運転している場合に、燃料噴射装置88が排気行程噴射を実行可能である。このように排気行程噴射を実行することで、燃料噴射のタイミングを大幅に進角させることが可能となり、燃料を気化させるための時間を十分に確保することができる。そのため、吸気ポート30周辺の熱によって燃料の気化を促進することができ、エンジン14の燃焼効率を向上させることが可能となる。
また、低リフト状態又は中リフト状態(第2の運転状態)では高リフト状態(第1の運転状態)よりも遅いタイミングで吸気バルブ33が開くため、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が高リフト状態よりも短い。そのため、排気行程噴射を実行しても、吸気口28側から排気口31側に燃料が未燃のまま吹き抜けにくくなり、燃費の悪化を防止することが可能となる。
また、燃料噴射装置88は、エンジン14が低リフト状態又は中リフト状態(第2の運転状態)で運転している場合に、吸気行程噴射を排気行程噴射と併用する分割噴射を実行している。このような構成を採用することで、排気行程噴射で噴射された燃料は吸気ポート30周辺の熱によって気化させ、吸気行程噴射で噴射された燃料は吸気バルブ33が開いた際の高速流によって霧化させることができる。これに伴って、エンジン14の燃焼効率を一層向上させることが可能となる。また、排気行程噴射の噴射量が多すぎて吸気バルブ33周辺が過冷却となったり燃料の気化が阻害されたりするのを防止することができる。
また、エンジン14の第2の運転状態である低リフト状態と中リフト状態を比較すると、低リフト状態の方が中リフト状態よりも早いタイミングで燃料噴射装置88が排気行程噴射を実行している。つまり、エンジン14の第2の運転状態のうちで吸気バルブ33の開くタイミングが遅い運転状態である程、早いタイミングで燃料噴射装置88が排気行程噴射を実行している。このような構成を採用することで、吸気バルブ33の開くタイミングに応じた適切なタイミングで排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジン14の燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
また、燃料噴射装置88は、冷却水の温度が所定値X以上の時(エンジン14の暖機時)に、排気行程噴射を実行している。このような構成を採用することで、エンジン14の冷機時に排気行程噴射が実行されることによって燃料の気化効率が低下したり燃焼室27の温度が過度に低下したりするのを抑制することが可能となる。これに伴って、エンジン14の燃焼効率の低下を防止することができる。
また、燃料噴射装置88は、冷却水の温度が高い程、早いタイミングで排気行程噴射を実行している。このような構成を採用することで、冷却水の温度に応じた適切なタイミングで排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジン14の燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
また、燃料噴射装置88は、冷却水の温度が高い程、排気行程噴射の噴射量を増加させている。このような構成を採用することで、冷却水の温度に応じた適切な噴射量で排気行程噴射を実行することが可能となり、エンジン14の燃焼効率を一層向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、分割噴射を行う場合に、エンジン14の回転数及び冷却水の温度に基づいて算出された燃料噴射装置88の総噴射量を、エンジン14の運転状態(低リフト状態又は中リフト状態)や冷却水の温度に基づいて排気行程噴射と吸気行程噴射に振り分けている。このような構成を採用することで、燃料噴射装置88の総噴射量が多くなり過ぎるのを抑制し、燃料を節約することができる。
本実施形態では、3段階式3次元カムによって吸気カム53を構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、2段階式又は4段階式以上の多段階式3次元カムによって吸気カム53を構成しても良い。また、更に他の異なる実施形態では、左右方向(回転軸方向)の一端部から他端部まで連続的にカムプロフィールが変化する無段階式3次元カムによって吸気カム53を構成しても良い。
本実施形態では、吸気カム53のみを3次元カムによって構成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、吸気カム53と排気カム79の両方を3次元カムによって構成しても良い。
本実施形態では、3次元カムによって吸気バルブ33の開くタイミングを変化させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、油圧式のアクチュエーター等によって吸気バルブ33の開くタイミングを変化させる所謂「可変バルブタイミング機構」を用いても良い。
本実施形態では、エンジン14が低リフト状態又は中リフト状態で運転している時に排気行程噴射を実行する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、エンジン14が低リフト状態で運転している時にのみ排気行程噴射を実行しても良い。
本実施形態では、エンジン14の運転状態(低リフト状態、中リフト状態、高リフト状態)に関わらず、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が存在する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、吸気バルブ33が開くタイミングを遅らせたり、排気バルブ35が閉じるタイミングを早くしたり、吸気バルブ33や排気バルブ35のリフト量を少なくしたりすることで、吸気バルブ33が開いている期間と排気バルブ35が開いている期間のオーバーラップ時間が0となるエンジン14の運転状態を設けても良い。この場合には、燃料が吸気口28側から排気口31側に吹き抜けるのを確実に抑制しつつ、排気行程噴射の噴射時期を大幅に進角させることができる。そのため、吸気ポート30周辺の熱によって燃料を気化させる時間を更に長く確保することができる。
本実施形態では、吸気通路86の下流側通路83(吸気通路86のうちでシリンダーヘッド22の内部に形成される部分)に燃料噴射装置88から燃料を噴射する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、吸気通路86の上流側通路85(吸気通路86のうちで吸気管84の内部に形成される部分)に燃料噴射装置88から燃料を噴射しても良い。即ち、シリンダー21の内部に直接燃料を噴射する所謂「筒内噴射」でなければ、吸気通路86内のどこに燃料を噴射しても構わない。
本実施形態では、並列4気筒型エンジンに本発明の構成を適用したが、他の異なる実施形態では、単気筒型エンジンやV型エンジン等の並列4気筒型エンジン以外のエンジンに本発明の構成を適用することも可能である。
本実施形態では、本発明の構成を自動二輪車1のエンジン14に適用したが、他の異なる実施形態では、自動車その他の車両のエンジン等に本発明の構成を適用することも可能である。
14 エンジン
27 燃焼室
28 吸気口
31 排気口
33 吸気バルブ
35 排気バルブ
86 吸気通路
88 燃料噴射装置

Claims (6)

  1. 燃焼室の吸気口を開閉する吸気バルブ及び前記燃焼室の排気口を開閉する排気バルブを備えたエンジンと、前記吸気口と連通する吸気通路に向かって燃料を噴射する燃料噴射装置と、を備えたエンジンの燃料噴射制御装置であって、
    前記エンジンは、
    所定のタイミングで前記吸気バルブが開く第1の運転状態と、
    前記第1の運転状態よりも遅いタイミングで前記吸気バルブが開く第2の運転状態と、を切り替え可能に設けられ、
    前記燃料噴射装置は、前記エンジンが前記第2の運転状態で運転している場合に、前記エンジンの排気行程で燃料を噴射する排気行程噴射を実行可能であることを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射装置は、前記エンジンが前記第2の運転状態で運転している場合に、前記エンジンの吸気行程で燃料を噴射する吸気行程噴射を前記排気行程噴射と併用することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 前記第2の運転状態は、前記吸気バルブの開くタイミングが異なるように複数パターン設けられ、
    前記燃料噴射装置は、複数パターンの前記第2の運転状態のうちで前記吸気バルブの開くタイミングが遅い運転状態である程、早いタイミングで前記排気行程噴射を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  4. 前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が所定値以上の時に、前記排気行程噴射を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  5. 前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が高い程、早いタイミングで前記排気行程噴射を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  6. 前記燃料噴射装置は、前記エンジン内の冷却水の温度が高い程、前記排気行程噴射の噴射量を増加させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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