JP2021055598A - エンジンシステム - Google Patents

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Tatsuhiro Oba
辰誕 大庭
貴裕 増田
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貴裕 増田
謙一 梶原
Kenichi Kajiwara
謙一 梶原
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Abstract

【課題】エンジンユニットの大型化を抑制しつつ、エンジンユニットを安定して始動させる。【解決手段】エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行うように駆動源22を制御し、クランクシャフト31が始動用逆転を行う前に、逆転前正転を行うように駆動源22を制御する。エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が逆転前正転を行っておりかつ燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間である正転吸気期間内、または、正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように燃料噴射装置40を制御する。エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行う期間またはクランクシャフトが始動用逆転を行った後に、燃焼室34内の混合気に点火するように点火装置39を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンシステムに関する。
自動二輪車等の鞍乗型車両に適用され、かつ、エンジンユニットおよびエンジンユニットの始動に用いられるモータを有するエンジンシステムが知られている。エンジンユニットを始動させるときにクランクシャフトが正転しながら最初の圧縮上死点に対応する角度を超えて回転するには、クランクシャフトに大きなトルクを発生させる必要がある。そこで、クランクシャフトに大きなトルクを発生させるために、クランクシャフトを一旦逆転させて、その後にクランクシャフトを正転させるエンジンシステムが提案されている。特許文献1および特許文献2は、このタイプのエンジンシステムを開示している。
特許文献1および特許文献2に記載されているエンジンシステムのエンジンユニットは逆転吸気機構を備えている。逆転吸気機構は、クランクシャフトが逆転するときに吸気口を開くように吸気バルブを駆動することにより、吸気通路部に噴射された燃料(燃料および空気を含む混合気)を燃焼室に流入させる。逆転吸気機構を備えたエンジンシステムは、エンジンユニットの始動時に以下のように動作する。
まず、エンジンユニットを制御するエンジン制御装置が、クランクシャフトが逆転するようにモータを制御する。そして、クランクシャフトが逆転している間に、エンジン制御装置は、吸気通路部内に燃料を噴射するように燃料噴射装置を制御する。その後、クランクシャフトが逆転している間に、吸気バルブが吸気口を開きかつピストンがシリンダ内を下降することにより燃焼室を拡大する。そのため、吸気通路部内の混合気が吸気口を介して燃焼室内に流入する。続いて、エンジン制御装置は、クランクシャフトの逆転中または逆転終了後に、燃焼室内で圧縮された混合気に点火するように点火装置を制御する。それにより、混合気が燃焼する。その燃焼のエネルギーが、クランクシャフトを正転させる。よって、クランクシャフトは、最初の圧縮上死点に対応する角度を超えて正転できる。その結果、エンジンユニットの始動性が向上する。なお、エンジンユニットの始動性とは、エンジンユニットのかかり易さのことである。
さらに特許文献1のエンジンユニットは、クランクシャフトが逆転している間に排気バルブが排気口を開くことを規制する逆転用排気バルブ制御機構を有している。そのため、吸気バルブが吸気口を開くときに排気口が排気バルブによって閉じられる。そのため、クランクシャフトが逆転するときに、吸気通路部内から吸気口を介して燃焼室内に流入する混合気の流速が大きくなる。従って、吸気バルブが吸気口を開くときに排気バルブが排気口を開く場合と比べて、吸気通路部内の燃料が吸気口を介して燃焼室内に流入し易く、かつ、吸気通路部の内面への燃料の付着量が小さくなる。換言すると、吸気バルブが吸気口を開くときに排気バルブが排気口を開く場合と比べて、クランクシャフトが逆転した後の最初の燃焼状態にばらつきが生じ難い。そのため、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
一方、特許文献2に記載されるエンジンユニットは逆転用排気バルブ制御機構を有していない。そのため、特許文献2のエンジンシステムでは、クランクシャフトが逆転している間に、吸気バルブが吸気口を開きかつ排気バルブが排気口を開く状態が発生する。そして、この状態が発生している間にピストンが下降する。そのため、クランクシャフトが逆転している間に、吸気通路部内の燃料(混合気)および排気通路部内の気体が燃焼室に流入する。
特開2014−77405号公報
特開2015−108322号公報
特許文献1のエンジンユニットは、逆転用排気バルブ制御機構を有しているため大型化してしまう。
一方、特許文献2のエンジンシステムは、逆転用排気バルブ制御機構を有していない。そのため、クランクシャフトが逆転している間に、吸気通路部内の燃料(混合気)および排気通路部内の気体が燃焼室に同時に流入する。そのため、吸気通路部内から吸気口を介して燃焼室内に流入する燃料(混合気)の流速が小さくなる。そのため、吸気通路部内の燃料(混合気)が燃焼室に流入し難く、かつ、吸気通路部の内面への燃料の付着量が多くなる。従って、クランクシャフトが逆転した後の最初の燃焼状態にばらつきが生じ易い。即ち、特許文献2のエンジンユニットは、逆転用排気バルブ制御機構を有していないため、特許文献1に比べて小型化できる。特許文献2のエンジンシステムは、エンジンユニットを安定して始動させる点については改善の余地がある。
本発明は、エンジンユニットの大型化を抑制しつつ、エンジンユニットを安定して始動させることができるエンジンシステムを提供することを目的とする。
(1)本発明のエンジンシステムは、4ストローク式のエンジンユニット、前記エンジンユニットの始動に用いられる駆動源、および前記エンジンユニットと前記駆動源とを制御するエンジン制御装置を有するエンジンシステムである。前記エンジンユニットが、燃焼室、および、前記燃焼室に設けられる吸気口に接続される第1吸気通路部を有するエンジン本体と、前記エンジン本体に正転および逆転を行うように設けられたクランクシャフトと、前記燃焼室の一部を構成し、前記クランクシャフトの回転に連動して前記エンジン本体内を往復移動することで前記燃焼室の容積を増減させるピストンと、前記クランクシャフトの回転に連動して、前記燃焼室に設けられる前記吸気口を開閉する吸気バルブと、前記クランクシャフトの回転に連動して、前記燃焼室に設けられる排気口を開閉する排気バルブと、前記エンジン本体の外部に配置され、前記第1吸気通路部に接続されており、スロットルバルブが配置される第2吸気通路部と、前記第1吸気通路部内または前記第2吸気通路部内で燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記燃焼室内において、空気と燃料との混合気に点火する点火装置と、前記クランクシャフトが前記エンジンユニットを始動させるための逆転である始動用逆転を行いかつ前記燃焼室の容積が増加しているときに、前記排気バルブが前記排気口を開く期間の少なくとも一部と重なる期間に前記吸気口を開くように前記吸気バルブを駆動する逆転吸気始動動作を実行する逆転吸気機構と、を備える。前記駆動源は、前記クランクシャフトを正転および逆転させる。前記エンジン制御装置は、前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行うように前記駆動源を制御し、かつ、前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う前に、前記クランクシャフトが前記始動用逆転の開始角度まで回転するための正転である逆転前正転を行うように前記駆動源を制御し、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行っておりかつ前記燃焼室の容積が増加しつつ前記吸気バルブが前記吸気口を開いている期間である正転吸気期間内、または、前記正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように前記燃料噴射装置を制御し、前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う期間または前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行った後に、前記燃焼室内の混合気に点火するように前記点火装置を制御する。
この構成によると、エンジン制御装置は、クランクシャフトが逆転前正転を行っておりかつ燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開いている期間である正転吸気期間内、または、正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように燃料噴射装置を制御する。そのため、燃料噴射装置が第1吸気通路部内または第2吸気通路部内で噴射した燃料を含む混合気は、正転吸気期間内に吸気口から燃焼室に流入する。そのため、クランクシャフトが逆転前正転を行っているときに、吸気口から燃焼室に流入する燃料(混合気)の流速が大きくなる。従って、噴射された燃料(混合気)が燃焼室内に流入し易くなり、かつ、第1吸気通路部の内面および第2吸気通路部の内面への燃料の付着量が小さくなる。クランクシャフトは逆転前正転を行った後、駆動源によって始動用逆転を行う。クランクシャフトが始動用逆転を行っているとき、燃焼室の容積が減少しつつ吸気バルブが吸気口を開く。このとき、燃焼室内の混合気が、吸気口から第2吸気通路部に流出する。その後、逆転吸気機構が逆転吸気始動動作を実行する。つまり、燃焼室の容積が増加しているときに、排気バルブが排気口を開き、吸気バルブが吸気口を開く。このとき、第2吸気通路部に流出した混合気が再び燃焼室に吸入される。その後、燃焼室で混合気が点火される。本発明によると、クランクシャフトが逆転している間に燃料が噴射される従来のエンジンユニットと比べて、噴射された燃料をより多く、点火直前の燃焼室に供給できる。そのため、エンジンユニットが始動するときの最初の燃焼状態にばらつきが生じ難く、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
さらに、クランクシャフトが逆転している間に燃料が噴射される従来のエンジンユニットと比べて、噴射された燃料をより多く燃焼室に供給できる。従って、エンジンユニットは逆転用排気バルブ制御機構を有する必要がない。そのため、エンジンユニットが大型化するのを抑制できる。
このように本発明によれば、エンジンユニットの大型化を抑制しつつ、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
(2)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン制御装置が、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行う前に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転の開始角度まで逆転するように前記駆動源を制御する。
この構成によると、クランクシャフトが逆転前正転を行う前に、クランクシャフトを所望の開始角度まで逆転させることが可能である。この開始角度を適切な角度に設定することにより、クランクシャフトが逆転前正転を行ったときに、燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開くようにすることが可能になる。従って、クランクシャフトが逆転前正転を行っている間に、燃料が吸気口を介して燃焼室内により流入し易くなる。その結果、エンジンユニットをより安定して始動させることができる。
(3)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン制御装置は、
冷機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転および前記始動用逆転を行い、暖機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行わない。
エンジンユニットが暖機状態で始動するときは、燃料噴射装置が第1吸気通路部内または第2吸気通路部内で噴射した燃料が、エンジンユニットが冷機状態で始動する場合と比べて霧化し易い。即ち、エンジンユニットが暖機状態で始動するとき、燃料を含む混合気が燃焼室に流入し易い。そのため、燃焼室で混合気が点火されると、クランクシャフトを回転させる大きなトルクが生じる。そのため、エンジンユニットが暖機状態で始動するとき、クランクシャフトが逆転前正転を行う必要性が低い。
そのため、この構成によると、エンジンユニットが暖機状態で始動するときにクランクシャフトは逆転前正転を行わない。従って、クランクシャフトが逆転前正転を行う場合と比べて、暖機状態にあるエンジンユニットをより素早く始動させることが可能である。さらに、暖機状態にあるエンジンユニットを確実に始動させることができる。即ち、暖機状態にあるエンジンユニットを安定して始動させることができる。
(4)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン制御装置は、
暖機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を行い、かつ、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を完了する前に前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行っている期間内に前記燃料噴射装置が燃料を噴射するように、前記駆動源および前記燃料噴射装置を制御する。
この構成によると、エンジンユニットが暖機状態で始動するとき、逆転吸気機構が逆転吸気始動動作を行う。さらに、逆転吸気機構が逆転吸気始動動作を完了する前にクランクシャフトが始動用逆転を行っている期間内に燃料噴射装置が燃料を噴射する。従って、暖機状態にあるエンジンユニットを安定して始動させることができる。
(5)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン制御装置は、
操作者による前記エンジンユニットを始動させるための始動操作によって前記エンジンユニットが始動せず、かつ、前記始動操作が実行された後に前記始動操作が行われたときに、前記クランクシャフトが前記逆転前正転および前記始動用逆転を行うように、前記駆動源を制御する。
エンジンユニットが冷機状態で始動する場合、燃料噴射装置から噴射された燃料が霧化し難いため、エンジンユニットが始動し難い。また、例えば、標高が高い場所に位置する車両に搭載されかつ暖機状態にあるエンジンユニットを始動させる場合、燃料噴射装置から噴射された燃料が霧化し難い。即ち、この場合、たとえエンジンユニットが暖機状態であっても、エンジンユニットが始動し難い。そのため、これらの場合に、この車両の乗員(操作者)が、エンジンユニットを始動させるための始動操作を行っても、エンジンユニットが始動しないことがある。この構成によると、これらの場合に、この後に同じ始動操作が行われると、クランクシャフトが逆転前正転および始動用逆転を行うように、エンジン制御装置が駆動源を制御する。そのため、この場合にエンジンユニットを安定して始動させることができる。
(6)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記エンジン制御装置が、
前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う期間または前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行った後に、前記燃焼室内の混合気に点火するように前記点火装置を制御し、かつ、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行う期間に前記燃焼室内の混合気に点火しないように前記点火装置を制御する。
この構成によると、クランクシャフトが逆転前正転を行う期間に、点火装置が燃焼室内の混合気に点火しない。そのため、逆転吸気機構が逆転吸気始動動作を実行した後に燃焼室で混合気が点火されたときに、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
(7)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行うときに、前記吸気バルブが前記吸気口を開いた後に、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を実行する。
この構成によると、クランクシャフトが始動用逆転を行うときに、吸気バルブが吸気口を開く。そのため、クランクシャフトが始動用逆転を行うときに、燃焼室の混合気が吸気口から一旦流出する。その後に、逆転吸気機構が逆転吸気始動動作を実行する。そのため、流出した混合気が再び燃焼室に吸入される。従って、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
(8)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
4ストローク式のエンジンユニットにおいて、クランクシャフトが正転する場合のピストンの吸気下死点に対応するクランクシャフトの角度を第1クランク角と定義し、かつ、クランクシャフトが正転する場合のピストンの圧縮上死点に対応するクランクシャフトの角度を第2クランク角と定義し、
逆転前正転の開始角度が、第2クランク角より正転方向に位置しかつ第1クランク角より逆転方向に位置する角度であり、
逆転前正転の終了角度が、第1クランク角より正転方向に位置し、かつ、第2クランク角より逆転方向に位置する角度である。
この構成によると、クランクシャフトが逆転前正転を行ったときに、燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開く。そのため、クランクシャフトが逆転前正転を行っている間に、第1吸気通路部内および/または第2吸気通路部内の燃料が吸気口を介して燃焼室内に流入し易くなる。従って、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
(9)本発明の1つの観点によると、本発明のエンジンシステムは、以下の構成を有することが好ましい。
4ストローク式のエンジンユニットにおいて、クランクシャフトが正転する場合のピストンの排気上死点に対応するクランクシャフトの角度を第3クランク角と定義し、
4ストローク式のエンジンユニットにおいて、クランクシャフトが正転する場合に排気口を開いていた排気バルブが排気口を完全に閉じたときのクランクシャフトの角度であり、第1クランク角より逆転方向に位置しかつ第3クランク角より正転方向に位置する角度を第4クランク角と定義し、
逆転前正転の開始角度が、第2クランク角より正転方向に位置しかつ第4クランク角より逆転方向に位置する角度であり、
逆転前正転の終了角度が、第1クランク角より正転方向に位置し、かつ、第2クランク角より逆転方向に位置する角度である。
この構成によると、クランクシャフトが逆転前正転を行っている状態で燃焼室の容積が増加しているときに、排気バルブが排気口を開かずかつ吸気バルブが吸気口を開く状態が発生する。そのため、クランクシャフトが逆転前正転を行っている間に、第1吸気通路部内および/または第2吸気通路部内の燃料が吸気口を介して燃焼室内により流入し易くなる。従って、エンジンユニットをより安定して始動させることができる。
<用語の定義>
本発明および本明細書において、クランクシャフトが正方向に回転することを正転という。
本発明および本明細書において、クランクシャフトが逆方向に回転することを逆転という。
本発明および本明細書において、始動用逆転とは、エンジンユニットの始動時に実行されるクランクシャフトの逆転である。始動用逆転は、駆動源の駆動力を利用して実行される。
本発明および本明細書において、逆転前正転とは、エンジンユニットの始動時に実行されるクランクシャフトの正転である。逆転前正転は、始動用逆転の前に駆動源の駆動力を利用して実行される。
本発明および本明細書において、初期逆転とは、エンジンユニットの始動時に実行されるクランクシャフトの逆転である。初期逆転は、逆転前正転の前に駆動源の駆動力を利用して実行される。
本発明において、逆転吸気機構が「クランクシャフトがエンジンユニットを始動させるための逆転である始動用逆転を行う」とは、エンジンユニットの始動時に逆転吸気機構が常に始動用逆転を行うという意味ではない。エンジンユニットの始動時に所定の条件を満たす場合に逆転吸気機構が始動用逆転を行い、エンジンユニットの始動時に所定の条件を満たさない場合には逆転吸気機構が始動用逆転を行わなくてもよい。
本発明において、エンジン制御装置が「クランクシャフトが始動用逆転を行う前に、クランクシャフトが始動用逆転の開始角度まで回転するための正転である逆転前正転を行うように駆動源を制御する」とは、エンジンユニットの始動時にエンジン制御装置が常に、クランクシャフトが逆転前正転を行うように駆動源を制御するという意味ではない。エンジンユニットの始動時に所定の条件を満たす場合にエンジン制御装置がクランクシャフトが逆転前正転を行うように駆動源を制御し、エンジンユニットの始動時に所定の条件を満たさない場合にはエンジン制御装置がクランクシャフトが逆転前正転を行うように駆動源を制御しなくてもよい。
本発明および本明細書において、4ストローク式のエンジンユニットおよびエンジンとは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程を繰り返すエンジンユニットおよびエンジンである。
本発明および本明細書において、回転とは、360°以上の回転に限定されない。本明細書における回転は、360°未満の回転も含む。正転および逆転の定義も、回転のこの定義と同様である。本明細書における揺動は、360°未満の回転を意味する。
本発明および本明細書において、エンジンユニットの始動および始動動作とは、駆動源が回転し始めてから、正転するクランクシャフトのクランク角が最初の圧縮上死点に対応する角度を超えるまでのエンジンユニットの動作をいう。燃焼室内の燃料(混合気)が点火されると、燃焼のエネルギーによってクランクシャフトが正転して最初の圧縮上死点を超える。
例えば、本発明のエンジンシステムが搭載された鞍乗型車両に設けられたメインスイッチがオン位置に位置する状態で、鞍乗型車両に設けられたスタータスイッチがオン位置へ移動させられると、エンジンユニットが始動する。例えば、エンジンユニットの運転中にメインスイッチがオフ位置に移動すると、エンジンユニットの運転が停止する。例えば、予め定められたアイドルストップ条件が満たされたときに、エンジンユニットの運転が自動的に停止されてよい。そして、その後、予め定められたアイドルストップ解除条件が満たされたときに、エンジンユニットが自動的に再始動されてもよい。
本発明および本明細書において、エンジンユニットの冷機状態とは、エンジン本体の温度が所定温度以下のときのエンジンユニットの状態である。
本発明および本明細書において、エンジンユニットの冷間始動とは、冷機状態にあるエンジンユニットが始動することである。
本発明および本明細書において、エンジンユニットの暖機状態とは、エンジン本体の温度が上記所定温度より高いときのエンジンユニットの状態である。本発明および本明細書において、エンジンユニットの暖機状態は、エンジン本体の温度を上昇させるための暖機運転が行われている状態を意味する用語ではない。
この所定温度とは、クランクシャフトが逆転前正転および初期逆転を経ずに始動用逆転を行いかつ燃料噴射が行われた場合にエンジンユニットを安定して始動させることが可能な温度範囲の中で最も低い温度である。例えば、この所定温度として60℃を利用可能である。
エンジン本体の温度とは、例えば、エンジン本体自体の温度であってもよく、エンジン本体内を流れる液体(例えば冷却液または潤滑油)の温度であってもよい。
本発明および本明細書において、ある部品の端部とは、部品の端とその近傍部とを合わせた部分を意味する。
本明細書にて使用される用語「および/または」はひとつの、または複数の関連した列挙された構成物のあらゆるまたはすべての組み合わせを含む。
本発明における通路部とは、経路を囲んで経路を形成する壁体等を意味する。また、経路とは対象が通過する空間を意味する。吸気通路部とは、吸気経路を囲んで吸気経路を形成する壁体等を意味する。吸気経路とは、流体(例えば気体)が通過する空間を意味する。
本明細書において、A方向に沿った直線とは、A方向と平行な直線に限らない。A方向に沿った直線とは、特に限定しない限り、A方向を示す直線に対して−45°以上+45°以下の範囲内で傾斜している直線を含む。同様の定義が、「沿った」を用いた他の表現にも適用される。「沿った」を用いた他の表現とは、例えば、「A方向に沿った方向」や、「複数のBがA方向に沿って配列される」や、「1つのBがA方向に沿っている」等である。なお、A方向は、特定の方向を指すものではない。A方向を、水平方向、前後方向、上下方向、および左右方向に置き換えることができる。
本明細書において、AがBよりも前方向にあるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。Aが、Bの最前端を通り前後方向に直交する平面によって仕切られる2つの空間のうち前方の空間にある。AとBは、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。Bが前後方向に直交する平面または直線の場合、Bの最前端を通る平面とは、Bを通る平面のことである。Bが前後方向の長さが無限の直線または平面である場合、Bの最前端は特定されない。前後方向の長さが無限の直線または平面とは、前後方向に平行な直線または平面に限らない。
なお、Bについて同じ条件の元、AがBより後方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。また、Bについて同様の条件の元、AがBより上方向または下方向にある、AがBより右方向または左方向にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
本明細書において、AがBの前方にあるとは、特に限定しない限り、以下の状態を指す。Aの後面の少なくとも一部が、Bの前面の少なくとも一部と前後方向に向かい合う。さらに、Bの最前端がAの最前端より後方で、且つ、Bの最後端がAの最後端より前方にある。Aの後面とは、Aを後ろから見た時に見える面のことである。Aの後面は、連続した1つの面であってもよく、連続しない複数の面で構成されてもよい。Bの前面の定義も同様である。
なお、AがBの後方にある、AがBの上方または下方にある、AがBの右方または左方にあるという表現にも、同様の定義が適用される。
本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」およびその変形の使用は、記載された特徴、行程、操作、要素、成分および/またはそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、上記(1)の構成により得られる上記効果を奏する。
特許請求の範囲において、ある構成要素の数を明確に特定しておらず、英語に翻訳された場合に単数で表示される場合、本発明は、この構成要素を、複数有していてもよい。また本発明は、この構成要素を1つだけ有していてもよい。
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する実施形態および変形例を適宜組み合わせて実施することができる。
本発明のエンジンシステムは、エンジンユニットの大型化を抑制しつつ、エンジンユニットを安定して始動させることができる。
本発明の実施形態のエンジンシステムの概要構成図である。 本発明の実施形態の具体例1に係る自動二輪車の側面図である。 エンジンシステムの構成を説明するための模式図である。 エンジンユニットの通常動作について説明するためのクランク角とバルブリフト量との関係を表すグラフである。 クランクシャフトが実行する初期逆転を説明するためのクランク角とバルブリフト量との関係を表すグラフである。 クランクシャフトが初期逆転の後に実行する逆転前正転を説明するためのクランク角とバルブリフト量との関係を表すグラフである。 クランクシャフトが逆転前正転の後に実行する始動用逆転を説明するためのクランク角とバルブリフト量との関係を表すグラフである。 クランクシャフトが始動用逆転の後に実行する正転動作を説明するためのクランク角とバルブリフト量との関係を表すグラフである。 本発明の実施形態の具体例1のエンジンユニットの始動動作および通常動作を表すフローチャートである。 本発明の実施形態の具体例2のエンジンユニットの始動動作を表すフローチャートである。
<本発明の実施形態>
以下、本発明の実施形態について図1を参照しつつ説明する。本発明の実施形態のエンジンシステム10は、4ストローク式のエンジンユニット21、駆動源22、およびエンジン制御装置11を有する。駆動源22はエンジンユニット21の始動に用いられる。エンジン制御装置11はエンジンユニット21および駆動源22を制御する。
エンジンユニット21は、エンジン本体30、クランクシャフト31、ピストン32、吸気バルブ35、排気バルブ36、吸気通路部41、燃料噴射装置40、点火装置39、および逆転吸気機構45、を備える。エンジン本体30は、燃焼室34、および、シリンダヘッド吸気通路部30Caを有する。シリンダヘッド吸気通路部30Caは特許請求の範囲の「第1吸気通路部」に相当する。吸気通路部41は特許請求の範囲の「第2吸気通路部」に相当する。シリンダヘッド吸気通路部30Caは、燃焼室34に設けられる吸気口34aに接続される。クランクシャフト31は、エンジン本体30に正転および逆転を行うように設けられている。以下の説明において、クランクシャフト31が正方向に回転することを正転という。クランクシャフト31が逆方向に回転することを逆転という。駆動源22は、クランクシャフト31を正転および逆転させる。ピストン32は、燃焼室34の一部を構成する。ピストン32は、クランクシャフト31の回転に連動してエンジン本体30内を往復移動することで燃焼室34の容積を増減させる。吸気バルブ35は、クランクシャフト31の回転に連動して、燃焼室34に設けられる吸気口34aを開閉する。排気バルブ36は、クランクシャフト31の回転に連動して、燃焼室34に設けられる排気口34bを開閉する。吸気通路部41は、エンジン本体30の外部に配置される。吸気通路部41は、シリンダヘッド吸気通路部30Caに接続されている。吸気通路部41にはスロットルバルブ43が配置される。燃料噴射装置40は、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内または吸気通路部41内で燃料を噴射する。点火装置39は、燃焼室34内において、空気と燃料との混合気に点火する。逆転吸気機構45は、逆転吸気始動動作を実行する。逆転吸気始動動作は、クランクシャフト31がエンジンユニット21を始動させるための逆転である始動用逆転を行いかつ燃焼室34の容積が増加しているときに、排気バルブ36が排気口34bを開く期間の少なくとも一部と重なる期間に吸気口34aを開くように吸気バルブ35を駆動する動作である。逆転吸気機構45の具体的な構成は、上記のように吸気バルブ35を駆動できる構成であれば、特に限定されない。
エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行うように駆動源22を制御する。エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行う前に、逆転前正転を行うように駆動源22を制御する。逆転前正転は、クランクシャフト31が始動用逆転の開始角度まで回転するための正転である。駆動源22は、クランクシャフト31を正転および逆転させる。
エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が逆転前正転を行っておりかつ燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間である正転吸気期間内に、燃料を噴射するように燃料噴射装置40を制御する。または、エンジン制御装置11は、正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように燃料噴射装置40を制御する。
エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行う期間に、燃焼室34内の混合気に点火するように点火装置39を制御する。または、エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行った後に、燃焼室34内の混合気に点火するように点火装置39を制御する。
このように本発明の実施形態のエンジンシステム10のエンジン制御装置11は、駆動源22によってクランクシャフト31が逆転前正転を行っておりかつ燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間である正転吸気期間内、または、正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように燃料噴射装置40を制御する。そのため、燃料噴射装置40がシリンダヘッド吸気通路部30Ca内または吸気通路部41内で噴射した燃料を含む混合気は、クランクシャフト31が逆転前正転を行っており、かつ、燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間内に吸気口34aから燃焼室に流入する。そのため、クランクシャフト31が逆転前正転を行っているときに、吸気口34aから燃焼室34に流入する燃料(混合気)の流速が大きくなる。従って、噴射された燃料(混合気)が燃焼室34内に流入し易くなり、かつ、シリンダヘッド吸気通路部30Caの内面および/または吸気通路部41の内面への燃料の付着量が小さくなる。クランクシャフト31は逆転前正転を行った後、駆動源22によって始動用逆転を行う。クランクシャフト31が始動用逆転を行っているとき、燃焼室の容積が減少しつつ吸気バルブが吸気口を開く。このとき、燃焼室34内の混合気が、吸気口34aから吸気通路部41に流出する。その後、逆転吸気機構45が逆転吸気始動動作を実行する。つまり、燃焼室34の容積が増加しているときに、排気バルブ36が排気口34bを開き、吸気バルブ35が吸気口34aを開く。このとき、吸気通路部41に流出した混合気が再び燃焼室34に吸入される。その後、燃焼室34で混合気が点火される。本実施形態によると、クランクシャフト31が逆転している間に燃料が噴射される従来のエンジンユニットと比べて、噴射された燃料をより多く、点火直前の燃焼室34に供給できる。そのため、エンジンユニット21が始動するときの最初の燃焼状態にばらつきが生じ難く、エンジンユニット21を安定して始動させることができる。
さらにクランクシャフト31が逆転している間に燃料が噴射される従来のエンジンユニットと比べて、噴射された燃料をより多く燃焼室34に供給できる。従って、エンジンユニット21は逆転用排気バルブ制御機構を有する必要がない。そのため、エンジンユニット21が大型化するのを抑制できる。
このように本実施形態によれば、エンジンユニット21の大型化を抑制しつつ、エンジンユニット21を安定して始動させることができる。従って、燃焼室34内の混合気が燃焼すると、燃焼のエネルギーによってクランクシャフト31が正転する。そのため、クランクシャフト31は、最初の圧縮上死点に対応する角度を超えて回転できる。
本発明の実施形態のエンジン制御装置11は、クランクシャフト31が逆転前正転を行っておりかつ燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間である正転吸気期間内、または、正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように燃料噴射装置40を制御する。エンジン制御装置11は、クランクシャフト31が始動用逆転を行う期間またはクランクシャフト31が始動用逆転を行った後に、燃焼室34内の混合気に点火するように点火装置39を制御する。そのため、クランクシャフト31が始動用逆転を実行する間に燃料噴射装置40が燃料を噴射する場合と比べて、燃料が噴射されてから点火装置39が点火動作を行うまでの時間が長い。そのため、クランクシャフト31が始動用逆転を実行する間に燃料噴射装置40が燃料を噴射する場合と比べて、点火装置39が点火動作を行うまでに噴射された燃料がより霧化し易い。従って、本発明の実施形態のエンジンユニット21は、クランクシャフト31が始動用逆転を実行する間に燃料噴射装置40が燃料を噴射する場合と比べて、始動時により大きなトルクを発生し易い。
<実施形態の具体例1>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例1について、図2〜図9を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態と同じ部位についての説明は省略する。具体例1は上述した本発明の実施形態に包含される。本実施形態の具体例1は、本発明を鞍乗型車両である自動二輪車1に適用した一例である。本発明において、鞍乗型車両とは、乗員が鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指している。以下の説明において、特に限定が無い限り、前後方向とは、車両の前後方向のことである。車両の前後方向とは、自動二輪車1の後述するシート5に着座したライダーから見た前後方向のことである。以下の説明において、左右方向とは、車両の左右方向のことである。車両の左右方向とは、自動二輪車1の後述するシート5に着座したライダーから見た左右方向のことである。車両の左右方向は、自動二輪車1の車幅方向でもある。以下の説明において、特に限定が無い限り、上下方向とは、車両の上下方向のことである。車両の上下方向とは、自動二輪車1を水平な路面に直立させた状態における上下方向である。図2に示す矢印F、矢印B、矢印U、矢印Dは、それぞれ、前方、後方、上方、下方を表している。
[1]自動二輪車の概略構成
図2に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、スクータである。自動二輪車1は、車体2と、エンジンシステム10とを有する。車体2は、前輪3と、後輪4と、シート5とを有する。車体2は、その前部にステアリングシャフト6を有する。ステアリングシャフト6の上端部は、ハンドルユニット7に連結されている。ハンドルユニット7は、エンジン出力を調整するアクセルグリップ(図示せず)を有する。ハンドルユニット7は、スタータスイッチ12(図3参照)やメインスイッチ(図示せず)などの各種スイッチを有する。ステアリングシャフト6の下端部は、一対のフロントフォーク8に連結されている。一対のフロントフォーク8の下端部は、前輪3を支持する。シート5は、車体フレーム(図示せず)に支持される。
エンジンシステム10は、パワーユニット20と、ECU(Engine Control Unit;エンジン制御装置)11とを有する。パワーユニット20の前部は、車体フレームに揺動可能に支持される。パワーユニット20の後部は、リアサスペンション(図示せず)を介して車体フレームに支持される。パワーユニット20の後部は、後輪4を支持する。ECU11は、パワーユニット20の動作を制御する。ECU11は、本発明におけるエンジン制御装置に相当する。また、自動二輪車1は、バッテリ(図示せず)を有する。バッテリは、ECU11や各種センサなどの電子機器に電力を供給するために設けられる。
[2]エンジンシステムの構成
以下、エンジンシステム10の構成について説明する。図3は、エンジンシステム10の構成を示す模式図である。パワーユニット20は、エンジンユニット21と、ISG(Integrated Starter Generator;モータ機能付発電機)22と、変速機(図示せず)等を有する。エンジンユニット21により発生した動力は、変速機を介して後輪4に伝達される。エンジンユニット21により発生される動力によって後輪4は回転駆動される。
エンジンユニット21の少なくとも一部は、シート5の少なくとも一部の下にある。エンジンユニット21は、シート5の上端5aより下方に配置される。
エンジンユニット21は、エンジン本体30、クランクシャフト31、ピストン32、吸気バルブ35、排気バルブ36、バルブ駆動機構44、点火装置39、燃料噴射装置40、吸気通路部41、および排気通路部42を有する。エンジンユニット21は、水冷式である。エンジンユニット21は、単気筒エンジンである。エンジンユニット21は、4ストローク式のエンジンである。4ストローク式のエンジンとは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程を繰り返すエンジンである。
エンジン本体30は、クランクケース30A、シリンダボディ30B、シリンダヘッド30C、および、ヘッドカバー30Dを有する。これらはこの順で連結されている。クランクシャフト31は、クランクケース30Aに回転可能に設けられる。クランクシャフト31の中心軸は、左右方向に沿っている。シリンダボディ30Bは、シリンダ孔30Baを有する。エンジンユニット21は、シリンダ孔30Baの中心軸が、前後方向に沿った方向となるように配置される。ピストン32は、シリンダ孔30Ba内で往復動可能に設けられる。ピストン32は、コネクティングロッド33を介してクランクシャフト31に連結される。ピストン32の往復運動は、クランクシャフト31の回転運動に変換される。エンジンユニット21の通常動作時、クランクシャフト31は正転する。
ISG22は、クランクシャフト31に設けられる。ISG22は、モータの機能を有する発電機である。ISG22は、クランクシャフト31の正転時の回転力を受けて電力を生成する。また、ISG22は、ECU11によって制御されて、エンジンユニット21を始動するときに、クランクシャフト31を正転および逆転させる。ISG22は、本発明における駆動源に相当する。クランクシャフト31と後輪4との間にワンウェイクラッチ(図示せず)が設けられている。クランクシャフト31の正転はワンウェイクラッチを介して後輪4に伝達される。クランクシャフト31の逆転は後輪4に伝達されない。
エンジン本体30は、燃焼室34、シリンダヘッド吸気通路部30Ca、およびシリンダヘッド排気通路部30Cbを有する。なお、本明細書において、通路部とは、経路を形成する構造物を意味する。経路とは、流体(例えば気体)が通過する空間を意味する。燃焼室34は、シリンダヘッド30C、シリンダ孔30Ba、およびピストン32によって形成される。燃焼室34は、吸気口34aおよび排気口34bを有する。シリンダヘッド吸気通路部30Caは、吸気口34aに接続される。シリンダヘッド排気通路部30Cbは、排気口34bに接続される。シリンダヘッド吸気通路部30Caおよびシリンダヘッド排気通路部30Cbは、シリンダヘッド30Cに形成される。
吸気バルブ35は、吸気口34aを開閉するように設けられる。排気バルブ36は、排気口34bを開閉するように設けられる。吸気バルブ35および排気バルブ36は、バルブ駆動機構44によって駆動される。図示は省略するが、バルブ駆動機構44は、クランクシャフト31の回転によって吸気バルブ35および排気バルブ36を駆動する。バルブ駆動機構44は、例えば、SOHC(Single Over Head Camshaft)型であってもよく、DOHC(Double Over Head Camshaft)型であってもよい。また、バルブ駆動機構44は、ロッカーアーム式であっても、直打式(直動式ともいう)であってもよい。また、バルブ駆動機構44がロッカーアーム式の場合、ロッカーアームは、シーソー式であってもスイングアーム式であってもよい。バルブ駆動機構44は、シリンダボディ30Bにカムシャフトが配置されるOHV(Over Head Valve)型であってもよい。
例えば、バルブ駆動機構44がSOHC型の場合、シリンダヘッド30C内に、吸気カムと排気カムを有するカムシャフトが設けられる。吸気カムおよび排気カムは、カムシャフトと一体的に回転する。また、シリンダヘッド30C内には、吸気ロッカーアームと排気ロッカーアームがそれぞれ揺動可能に設けられる。吸気ロッカーアームの一端は、吸気カムに接触し、他端は、吸気バルブ35に接触する。吸気バルブ35は、バネによって吸気口34aを閉じる方向に押圧される。吸気カムのカムローブに吸気ロッカーアームが接触することで、吸気バルブ35が吸気口34aを開くように移動する。
バルブ駆動機構44は、逆転吸気機構45を有する。逆転吸気機構45は逆転吸気始動動作を行うために設けられる。逆転吸気機構45は、クランクシャフト31が逆転するとき、排気バルブ36が排気口34bを開く期間と少なくとも一部が重なる期間に、吸気口34aを開くように、吸気バルブ35を駆動する機構である。つまり、逆転吸気機構45によって吸気バルブ35が吸気口34aを開く期間の少なくとも一部は、排気バルブ36が排気口34bを開く期間と重なる。例えば、逆転吸気機構45によって吸気バルブ35が吸気口34aを開く期間の全てが、排気バルブ36が排気口34bを開く期間内であってもよい。また、逆転吸気機構45によって吸気バルブ35が吸気口34aを開く期間の一部のみが、排気バルブ36が排気口34bを開く期間内であってもよい。この場合、逆転吸気機構45によって吸気バルブ35が吸気口34aを開く期間の残りの一部は、排気バルブ36が排気口34bを開く期間外である。逆転吸気機構45は、クランクシャフト31が正転するとき、吸気バルブ35を駆動しない。逆転吸気機構45の具体的な構成は、上記のように吸気バルブ35を駆動できる構成であれば、特に限定されない。逆転吸気機構45は、例えば、上述の特許文献2(特開2015−108322号公報)に記載された構造と同様の構成であってもよい。また、逆転吸気機構45は、例えば、上述の特許文献1(特開2014−77405公報)に「実施の形態」として記載された構造と同様の構成であってもよい。また、逆転吸気機構45は、例えば、国際公開第2016/203687号公報に記載された構造と同様の構成であってもよい。また、逆転吸気機構45は、電力を使う構成であってもよい。例えば、バルブ駆動機構44がSOHC型の場合、逆転吸気機構45は、カムシャフトに回転可能に設けられた吸気サブカムを有していてもよい。そして、逆転吸気機構45は、クランクシャフト31が逆転する際に、排気バルブ36が排気口34bを開く期間と少なくとも一部が重なる期間に、吸気ロッカーアームが吸気サブカムのカムローブに接触するように構成されていてもよい。
図3に示すように、点火装置39は、点火プラグ39aと点火コイル(図示せず)とを含む。点火プラグ39aの先端部は、燃焼室34内に配置される。点火プラグ39aは点火コイルに接続される。点火コイルへの通電によって、点火プラグ39aは火花放電を発生させる。点火プラグ39aは、この火花放電によって、燃焼室34内の燃料と空気とを含む混合気に点火する。
図3に示すように、吸気通路部41および排気通路部42は、エンジン本体30の外部に配置されかつエンジン本体30に接続される。なお、図2において吸気通路部41および排気通路部42の表示を省略している。吸気通路部41は、シリンダヘッド吸気通路部30Caに接続される。排気通路部42は、シリンダヘッド排気通路部30Cbに接続される。吸気通路部41に流入した空気が、エンジン本体30に供給される。吸気通路部41内には、スロットルバルブ43が配置される。スロットルバルブ43は、外部から流入する空気の流量を調整するために設けられている。スロットルバルブ43の開度は、ライダーがハンドルユニット7のアクセルグリップを回す操作をすることで変更される。
スロットルバルブ43の制御方式は、機械制御式であっても電子制御式であってもよい。機械制御式のスロットルバルブ43は、スロットルワイヤ(図示せず)を介してアクセルグリップに接続される。電子制御式の場合、自動二輪車1は、アクセルグリップの操作量を検出するアクセルセンサ(図示せず)を有する。そして、電子制御式のスロットルバルブ43は、アクセルセンサの信号に基づいてECU11によって制御される。また、機械制御式の場合、吸気通路部41に、スロットルバルブ43を迂回するバイパス通路部(図示せず)が接続されている。このバイパス通路部には、エアカットバルブが設けられている。そのため、アクセルグリップが操作されない場合には、エアカットバルブと最小の開度のスロットルバルブ43をそれぞれ通り抜けた空気が燃焼室34に供給される。一方、電子制御式の場合、バイパス通路部は設けられない。アクセルグリップが操作されない場合、スロットルバルブ43の開度はECU11によって制御される。それにより、機械式の場合と同量の空気が燃焼室34に供給される。
混合気の燃焼によって生じた排ガスは、排気通路部42を通って、大気に排出される。排気通路部42内には、排ガスを浄化する触媒(図示せず)が配置される。
燃料噴射装置40は、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内で燃料を噴射するように配置される。なお、燃料噴射装置40は、吸気通路部41内で燃料を噴射するように配置されてもよい。燃料噴射装置40は、燃料タンク(図示せず)に接続される。燃料タンク内の燃料は、燃料ポンプ(図示せず)によって燃料噴射装置40に圧送される。
ECU11は、エンジンユニット21およびISG22の動作を制御する。ECU11は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリを含む。CPUおよびメモリの代わりに、マイクロコンピュータが用いられてもよい。ECU11は、離れた位置に配置された複数の装置で構成されていてもよい。ECU11は、スタータスイッチ12やメインスイッチ(図示せず)等の各種スイッチと電気的に接続される。さらに、図3に示すように、ECU11は、吸気圧力センサ13、吸気温度センサ14、クランク角センサ15等の各種センサと電気的に接続される。吸気圧力センサ13は、吸気通路部41内の圧力を検出する。吸気温度センサ14は、吸気通路部41内の温度を検出する。クランク角センサ15は、クランクシャフト31の回転角度であるクランク角を検出する。
スタータスイッチ12の操作により、操作信号がECU11に与えられる。また、吸気圧力センサ13、吸気温度センサ14およびクランク角センサ15等の各種センサによる検出結果が、ECU11に検出信号として与えられる。ECU11は、与えられた操作信号および検出信号に基づいて、ISG22、点火装置39、および燃料噴射装置40を制御する。
[3]エンジンユニットの動作
例えば、メインスイッチ(図示せず)がオン位置に位置する状態でスタータスイッチ12がオン位置に移動すると、エンジンユニット21が始動する。例えば、メインスイッチがオフ位置に移動させられると、エンジンユニット21の運転が停止する。また、予め定められたアイドルストップ条件が満たされたときに、エンジンユニット21の運転が自動的に停止されてもよい。そして、その後、予め定められたアイドルストップ解除条件が満たされたときに、エンジンユニット21が自動的に再始動されてもよい。なお、メインスイッチがオン位置に位置するとき、バッテリが、ECU11や各種センサなどの電子機器に電力を供給可能になる。
エンジンユニット21の始動動作および通常動作を表す図9のフローチャートに示すように、エンジンユニット21が冷機状態と暖機状態のいずれにあるかによって、具体例1のエンジンユニット21の始動動作は異なる。冷機状態とは、エンジン本体30の温度が所定温度以下のときの状態である。以下の説明では、冷機状態のエンジンユニット21が始動することを、エンジンユニット21の冷間始動と称する場合がある。暖機状態とは、エンジン本体30の温度が上記所定温度より高いときの状態である。以下の説明において、暖機状態のエンジンユニット21が始動することを、エンジンユニット21の温間始動(warm start)と称する場合がある。この所定温度とは、クランクシャフト31が逆転前正転および後述する初期逆転を経ずに始動用逆転を行いかつ燃料噴射が行われた場合にエンジンユニット21を安定して始動させることが可能な温度範囲の中で最も低い温度である。例えば、この所定温度として60℃を利用可能である。
図4は、エンジンユニット21の通常動作を説明するための図である。図5〜図8は、エンジンユニット21の始動動作を説明するための図である。図4〜図8の横軸はクランクシャフト31の2回転(720度)に対応するクランク角を表している。図4〜図8の縦軸は吸気バルブ35および排気バルブ36のバルブリフト量を表している。吸気バルブ35のバルブリフト量とは、吸気バルブ35が吸気口34aを閉じている状態から移動した距離を示す。排気バルブ36のバルブリフト量とは、排気バルブ36が排気口34bを閉じている状態から移動した距離を示す。エンジンユニット21の通常動作時の1サイクルは、クランクシャフト31の2回転に相当する。エンジンユニット21の通常動作時の1サイクルは、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程を含む。図4のクランク角0度は、膨張行程の始まりを示す。圧縮行程から膨張行程への移行時にピストン32が経由する上死点を圧縮上死点と称する。排気行程から吸気行程への移行時にピストン32が経由する上死点を排気上死点と称する。吸気行程から圧縮行程への移行時にピストン32が経由する下死点を吸気下死点と称する。膨張行程から排気行程への移行時にピストン32が経由する下死点を膨張下死点と称する。エンジンユニット21が始動動作を行い、クランクシャフト31が最初の圧縮上死点に対応する角度を超えて正転すると、エンジンユニット21は、始動動作を終了して、通常動作を行う。
クランク角センサ15は、クランクシャフト31の1回転(360度)の範囲における回転角度を検出する。ECU11は、吸気圧力センサ13により検出された吸気通路部41内の圧力に基づいて、クランク角センサ15により検出されたクランク角が、クランクシャフト31の2回転のうちいずれの回転に対応するかを判定する。それにより、ECU11は、クランクシャフト31の2回転(720度)の範囲における回転角度を取得することができる。なお、クランク角センサ15は、クランクシャフト31の2回転(720度)の範囲における回転角度を検出可能であってもよい。
図4〜図8において、クランク角が0度(720度)のときのクランク角を角度A0と定義する。クランク角が180度のときのクランク角を角度A1と定義する。クランク角が360度のときのクランク角を角度A2と定義する。クランク角が540度のときのクランク角を角度A3と定義する。
図4〜図8において、角度A0は、クランクシャフト31が正転する場合にピストン32が圧縮上死点に位置するときのクランク角である。角度A1は、クランクシャフト31が正転する場合にピストン32が膨張下死点に位置するときのクランク角である。角度A2は、クランクシャフト31が正転する場合にピストン32が排気上死点に位置するときのクランク角である。角度A3は、クランクシャフト31が正転する場合にピストン32が吸気下死点に位置するときのクランク角である。図4、図6および図8における矢印R1は、クランクシャフト31の正転時におけるクランク角の変化の方向を表す。図5および図7における矢印R2は、クランクシャフト31の逆転時におけるクランク角の変化の方向を表す。図4、図6および図8における矢印P1〜P4は、クランクシャフト31が正転するときのピストン32の移動方向を表す。図5および図7における矢印P5〜P8は、クランクシャフト31が逆転するときのピストン32の移動方向を表す。ピストン32の移動方向を表す上向きの矢印は、燃焼室34の容積が減少するようにピストン32が移動(上昇)していることを示す。ピストン32の移動方向を表す下向きの矢印は、燃焼室34の容積が増加するようにピストン32が移動(下降)していることを示す。
[3−1]通常動作
図4を参照しながらエンジンユニット21の通常動作について説明する。通常動作においてクランクシャフト31は正転する。そのため、クランク角が矢印R1の方向に変化する。矢印P1は、角度A0から角度A1までの範囲でピストン32が下降することを表している。矢印P2は、角度A1から角度A2までの範囲でピストン32が上昇することを表している。矢印P3は、角度A2から角度A3までの範囲でピストン32が下降することを表している。矢印P4は、角度A3から角度A0までの範囲でピストン32が上昇することを表している。なお、以下の説明において、「角度A0において」という記載またはそれとほぼ同様の記載は、「クランク角が角度A0であるとき」を意味する。この定義は、角度A0以外(例えば、角度の範囲)にも適用される。
角度A11において、燃料噴射装置40がシリンダヘッド吸気通路部30Ca内で燃料を噴射する。図4に示すように、クランク角が角度A11のとき、排気バルブ36のバルブリフト量はゼロより大きい。角度A11は、角度A2よりも逆転方向に位置しかつ角度A1よりも正転方向に位置する。
続いて、角度A12から角度A13までの範囲において、吸気バルブ35により吸気口34aが開かれる。角度A12は、角度A11よりも正転方向に位置しかつ角度A2よりも逆転方向に位置する。角度A13は、角度A3よりも正転方向に位置しかつ角度A0より逆転方向に位置する。
クランクシャフト31が角度A12から角度A13まで正転する間に、燃料(混合気)が吸気口34aを通して燃焼室34内に流入する。特にクランクシャフト31が角度A2と角度A3との間の範囲を正転するときに、エンジンユニット21が吸気行程を実行する。つまり、クランクシャフト31が角度A2から角度A3まで正転するときに、燃焼室34の容積が増加する。そのため、クランクシャフト31が角度A2から角度A3まで正転するときに、燃料(混合気)は燃焼室34内に流入し易い。
角度A12より正転方向に位置しかつ角度A13より逆転方向に位置する角度A16において、排気バルブ36のバルブリフト量はゼロになる。クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで正転するとき、排気バルブ36が排気口34bを開かずかつ吸気バルブ35が吸気口34aを開く状態が発生する。そのため、クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで正転するときは、クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで正転するときよりも、シリンダヘッド吸気通路部30Caおよび吸気通路部41に存在する燃料は燃焼室34内にさらに流入し易い。クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで正転するときに燃焼室34に流入する燃料の量をVa1とし、クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで正転する間に燃焼室34に流入する燃料の量をVb1とする。ここでの「燃料が燃焼室34に流入し易い」とは、燃料の量Va1が燃料の量Vb1よりも多いことを意味するのではない。燃料の量Va1は、燃料の量Vb1よりも多くても少なくてもよい。ここでの「燃料が燃焼室34に流入し易い」とは、角度A16の直前にシリンダヘッド吸気通路部30Caおよび吸気通路部41に存在する燃料の量に対する燃料の量Va1の割合が、角度A2の直前にシリンダヘッド吸気通路部30Caおよび吸気通路部41に存在する燃料の量に対する燃料の量Vb1の割合より多いことを意味する。
次に、角度A14において、点火プラグ39aにより燃焼室34内の混合気が点火される。角度A14は、角度A0とほぼ一致する。これにより、燃焼室34内で混合気が燃焼する。燃焼ガスの膨張エネルギーがピストン32の駆動力となる。その後、角度A15から角度A16までの範囲において、排気バルブ36により排気口34bが開かれる。これにより、燃焼室34から排気口34bを通して排ガスが排出される。
[3−2]冷間始動時の始動動作
図5〜図9を参照しながらエンジンユニット21の冷間始動時の始動動作について説明する。図5〜図8は、冷間始動時の始動動作の過程を順に示している。図6および図8は、図4と同じくクランクシャフト31が正転するときの説明図(グラフ)である。図6および図8に示す矢印R1は、図4に示す矢印R1と同じく、クランクシャフト31が逆転するときのクランク角の変化の方向を示す。図6および図8に示す矢印P1〜P4の意味は、図4に示す矢印P1〜P4の意味と同じである。図5および図7は、クランクシャフト31が逆転するときの説明図(グラフ)である。クランクシャフト31が逆転すると、クランク角が図5および図7の矢印R2の方向に変化する。図5および図7に示す矢印P5は、角度A0から角度A3までの範囲でピストン32が下降することを表している。図5および図7に示す矢印P6は、角度A3から角度A2までの範囲でピストン32が上昇することを表している。図5および図7に示す矢印P7は、角度A2から角度A1までの範囲でピストン32が下降することを表している。図5および図7に示す矢印P8は、角度A1から角度A0までの範囲でピストン32が上昇することを表している。
エンジンユニット21の冷間始動時の始動動作において(図9のステップS1:Yes)、ECU11はまずクランクシャフト31が逆転するようにISG22を制御する(図9のステップS2)。この逆転を「初期逆転」と称する。初期逆転が終了すると、ECU11はクランクシャフト31が正転するようにISG22を制御する(図9のステップS3)。その後、ECU11はまずクランクシャフト31が逆転するようにISG22を制御する(図9のステップS5)。この逆転を「始動用逆転」と称する。始動用逆転の前の正転を「逆転前正転」と称する。エンジンユニット21の冷間始動時の始動動作は、クランクシャフト31が始動用逆転を開始してから、正転するクランクシャフト31が最初の圧縮上死点を超えるまでのエンジンユニット21の動作である。以下、冷間始動時の始動動作の詳細について説明する。
[3−2−1]初期逆転
図5を参照しながら初期逆転について説明する。エンジンユニット21の運転が停止するとき、クランクシャフト31は惰性で正転する。エンジンユニット21が停止される際には、燃料噴射装置40による燃料の噴射および点火装置39による点火動作が行われない。この場合、ピストン32が圧縮上死点に達するときに燃焼室34内の圧力が最大となる。そのため、エンジンユニット21の運転が停止するとき、クランクシャフト31が圧縮上死点(角度A0)の直前で停止する可能性が高い。例えば、図5および図6に示すように、クランクシャフト31が、角度A13より正転方向に位置しかつ角度A0より逆転方向に位置する角度A30で停止した場合を想定する。図6に示すように、クランクシャフト31が角度A30から圧縮上死点(角度A0)の直前まで逆転前正転を実行すると、逆転前正転が実行されている間にエンジンユニット21が吸気行程を実行しなくなる。そのため、この場合は、クランクシャフト31が逆転前正転を実行する間に燃料噴射装置40が燃料を噴射したとしても、クランクシャフト31が逆転前正転を実行する間に燃料が吸気口34aを介して燃焼室34に流入しない。
そのため具体例1において、エンジンユニット21の冷間始動時に(図9のステップS1:Yes)、まず、クランクシャフト31が初期逆転を実行する(図9のステップS2)。即ち、ECU11は最初に、クランクシャフト31が初期逆転を実行するようにISG22を制御する。
初期逆転の開始角度は、角度A0の近傍かつ角度A0より逆転方向に位置する可能性が高い。冷間始動時の初期逆転の開始角度は、例えば、角度A13より正転方向に位置しかつ角度A0より逆転方向に位置する角度A30である。図5に示すように、角度A30に位置するクランクシャフト31が逆転すると、クランクシャフト31のクランク角が矢印R2の方向に変化する。ECU11は、クランクシャフト31が、角度A0より正転方向に位置しかつ角度A2より逆転方向に位置する角度Astまで回転したときに初期逆転を終了するようにISG22を制御する。より詳細には、角度Astは角度A0より正転方向に位置しかつ角度A1より逆転方向に位置する。角度A30から角度Astまで初期逆転を行うときの吸気バルブ35および排気バルブ36の動作は、クランクシャフト31が後述する始動用逆転を行うときと同じである。ここでは、クランクシャフト31が初期逆転を行うときの吸気バルブ35および排気バルブ36の動作の説明は省略する。
[3−2−2]逆転前正転
続いて、図6を参照しながら逆転前正転について説明する。クランクシャフト31の初期逆転が終了すると、ECU11はクランクシャフト31が角度Astから逆転前正転を開始するようにISG22を制御する(図9のステップS3)。即ち、角度Astは、クランクシャフト31の逆転前正転の開始角度である。以下、角度Astを開始角度Astと称する。
ECU11は、クランクシャフト31が角度A2から角度A3まで逆転前正転を行う期間内に、燃料噴射装置40に燃料を噴射させる(図9のステップS4)。換言すると、ECU11は、燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間内に、燃料噴射装置40に燃料を噴射させる。例えば、クランクシャフト31のクランク角が角度A23になったときに、燃料噴射装置40が燃料を噴射する。この角度A23は、角度A2より正転方向に位置しかつ角度A16より逆転方向に位置する。
クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで逆転前正転を行うとき、排気バルブ36が排気口34bをわずかに開きかつ吸気バルブ35が吸気口34aを開く。そのため、クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで逆転前正転を行うときに、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/または吸気通路部41内の燃料が吸気口34aを介して燃焼室34内に流入する。クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで逆転前正転を行うとき、排気バルブ36が排気口34bを開かずかつ吸気バルブ35が吸気口34aを開く。そのため、クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで逆転前正転を行うときは、クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで逆転前正転を行うときよりも、吸気口34aから燃焼室34に流入する燃料(混合気)の流速が大きくなる。従って、クランクシャフト31が角度A16から角度A3まで逆転前正転を行うときは、クランクシャフト31が角度A2から角度A16まで逆転前正転を行うときよりも、燃料が燃焼室34に流入し易い。なお、この「燃料が燃焼室34に流入し易い」とは、通常動作における「燃料が燃焼室34に流入し易い」と同義である。
クランクシャフト31が角度A3から角度A13まで逆転前正転を行うときも、吸気バルブ35が吸気口34aを開いている。そのため、このときもシリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/または吸気通路部41内の燃料(混合気)が燃焼室34内に流入可能である。但し、クランクシャフト31が角度A3から角度A13まで逆転前正転を行うとき、エンジンユニット21が圧縮行程を実行しているので、燃焼室34において大気圧より低い負圧が発生しない。このとき燃焼室34の容積が減少しているものの、吸気バルブ35のバルブリフト量が小さい。そのため、クランクシャフト31が角度A3から角度A13まで逆転前正転を行うとき、燃焼室34内の燃料(混合気)が吸気口34aから流出し難い。
ECU11は、クランクシャフト31が図6に示した角度A31まで回転したときに逆転前正転を終了するようにISG22を制御する。逆転前正転の終了角度である角度A31は、角度A13より正転方向に位置しかつ角度A0より逆転方向に位置する角度である。
[3−2−3]始動用逆転
続いて、図7を参照しながら始動用逆転について説明する。クランクシャフト31の逆転前正転が終了すると、ECU11はクランクシャフト31が角度A31から始動用逆転を実行するようにISG22を制御する(図9のステップS5)。
クランクシャフト31は、始動用逆転により、角度A0(圧縮上死点)を超えずに、角度A0より正転方向に位置する角度A32まで回転する。角度A32は、角度A1より逆転方向に位置しかつ角度A0より正転方向に位置する。クランクシャフト31が始動用逆転を実行すると、クランクシャフト31が角度A13から角度A21まで逆転する間に、吸気バルブ35が吸気口34aを開く。クランクシャフト31が角度A16から角度A15まで逆転する間に、排気バルブ36が排気口34bを開く。クランクシャフト31が角度A21から角度A22まで逆転する間に、逆転吸気機構45が、吸気口34aを開くように吸気バルブ35を駆動する。即ち、逆転吸気機構45は、排気バルブ36が排気口34bを開く期間(角度A16〜角度A15に対応する期間)と少なくとも一部が重なる期間(角度A21〜角度A22に対応する期間)に、吸気口34aを開くように吸気バルブ35を駆動する。角度A21は、角度A2より逆転方向に位置しかつ角度A11より正転方向に位置する。角度A22は、角度A1より逆転方向に位置しかつ角度A15より正転方向に位置する。
クランクシャフト31が角度A13から角度A3まで逆転するときにピストン32が下降して燃焼室34の容積が増加する。そのため、クランクシャフト31がこの範囲を逆転するときに、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/または吸気通路部41内に残っている燃料(混合気)が燃焼室34に流入することがある。
クランクシャフト31が角度A3から角度A2まで逆転するときにピストン32が上昇して燃焼室34の容積が減少する。そのため、クランクシャフト31が角度A3から角度A2まで逆転するときに、燃焼室34内の混合気が吸気口34aから一旦シリンダヘッド吸気通路部30Caおよび/または吸気通路部41へ流出する。
クランクシャフト31が角度A2から角度A1まで逆転するときにピストン32が再び下降して燃焼室34の容積が増加する。さらにクランクシャフト31が角度A31から始動用逆転を開始するので、クランクシャフト31が角度A2から角度A1まで逆転するとき、ピストン32の下降速度は大きくなる。換言すると、例えばクランクシャフト31が角度A3から始動用逆転を開始する場合と比べて、クランクシャフト31が角度A2から角度A1まで逆転するときのピストン32の下降速度は大きくなる。そのため、クランクシャフト31が角度A2から角度A1まで逆転するときに、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/または吸気通路部41内の混合気が燃焼室34に流入する。即ち、シリンダヘッド吸気通路部30Caおよび/または吸気通路部41へ一旦流出した混合気が、再び燃焼室34に流入する。
角度A21から角度A22までの範囲において吸気バルブ35の開度が最大となる角度は、角度A13から角度A12(角度A21)までの範囲において、吸気バルブ35の開度が最大となる角度に対して、例えば110度ずれている。
続いて、ECU11は、クランクシャフト31が角度A32まで回転したときに始動用逆転を終了するようにISG22を制御する。ここで、逆転前正転中のクランクシャフト31のクランク角が角度A23に到達したときに、燃料噴射装置40が噴射した燃料の量をV2とする。クランクシャフト31のクランク角が角度A32に到達したときのシリンダヘッド吸気通路部30Caの内面および/またはシリンダヘッド排気通路部30Cbの内面への燃料の付着量をV3とする。この場合、V3/V2は小さい値になる。即ち、シリンダヘッド吸気通路部30Caの内面および/または吸気通路部41の内面への燃料の付着量は小さい。また、V2の一部でありかつクランクシャフト31のクランク角が角度A32に到達したときに燃焼室34内に存在する燃料の量をV4とすると、V4/V2は大きい値になる。始動用逆転が終了した後に、図8に示すように、ECU11は、混合気に点火するように点火装置39の点火プラグ39aを制御する(図9のステップS6)。燃焼室34内の混合気が燃焼すると、燃焼のエネルギーによってクランクシャフト31が正転する。そのため、クランクシャフト31は、最初の圧縮上死点に対応する角度A0を超えて回転できる。点火のタイミング等を調整することにより、クランクシャフト31を正転方向に駆動することが可能であれば、ECU11は、クランクシャフト31の始動用逆転が終了する前に、混合気に点火するように点火プラグ39aを制御してよい。
クランクシャフト31が最初の圧縮上死点に対応する角度A0を超えて正転した後、エンジンユニット21は通常動作を行う(図9のステップS7)。即ち、図4および図8に示すように、角度A15から角度A16までの範囲で、排気バルブ36により排気口34bが開かれる。それにより、点火装置39による点火により発生した排ガスが燃焼室34から排出される。また、クランクシャフト31が角度A11まで回転したときに、燃料噴射装置40が燃料を噴射する。また、角度A12から角度A13までの範囲において、吸気バルブ35により吸気口34aが開かれる。それにより、燃焼室34に混合気が流入する。続いて、角度A14において、点火装置39により燃焼室34内の混合気に点火される。
[3−3]温間始動時の始動動作
次に、エンジンユニット21の温間始動時の始動動作ついて説明する。
上述のように、クランクシャフト31が正転しているエンジンユニット21を停止させたときに、クランクシャフト31が圧縮上死点の直前で停止する可能性が高い。そのため、冷間始動時と同じく、温間始動時も、始動動作を開始するときのクランクシャフト31のクランク角は、圧縮上死点の直前である可能性が高い。
暖機状態にあるエンジンユニット21を始動させる場合(図9のステップS1:No)、ECU11は、クランクシャフト31が初期逆転および逆転前正転を行わないようにISG22を制御する。この場合、ECU11は、クランクシャフト31が初期逆転および逆転前正転を経ずに始動用逆転を行うようにISG22を制御する(図9のステップS8)。従って、クランクシャフト31が始動用逆転を開始してから、正転するクランクシャフト31が最初の圧縮上死点を超えるまでのエンジンユニット21の動作が、エンジンユニット21の温間始動時の始動動作に相当する。
ここで、エンジンユニット21の運転が停止するときに、図7の角度A31でクランクシャフト31が停止した場合を想定する。この場合、クランクシャフト31が角度A31から始動用逆転を開始するように、ECU11がISG22を制御する。ECU11は、クランクシャフト31のクランク角が図7に示す角度A24になったときに、燃料噴射装置40に燃料を噴射させる(図9のステップS9)。角度A24は、角度A13より逆転方向に位置しかつ角度A16より正転方向に位置する。このように、温間始動時の始動動作における燃料噴射のタイミングは、冷間始動時の始動動作における燃料噴射のタイミングと異なる。即ち、逆転吸気機構45が逆転吸気始動動作を完了する前にクランクシャフト31が始動用逆転を行っている期間内に、燃料噴射装置40が燃料を噴射する。
冷間始動時と同じく、この場合も、角度A16から角度A15までの範囲において、排気バルブ36により排気口34bが開かれる。また、逆転吸気機構45によって、角度A21から角度A22までの範囲において、吸気バルブ35により吸気口34aが開かれる。この場合、角度A3から角度A2までの範囲でピストン32が上昇して燃焼室34の容積が減少する。そのため角度A3から角度A2までの範囲において、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/またはシリンダヘッド排気通路部30Cb内の混合気は、燃焼室34にほとんど流入しない。その後、角度A2から角度A1までの範囲でピストン32が下降して燃焼室34の容積が増加する。そのため角度A21から角度A22までの範囲において、混合気が吸気口34aを通して燃焼室34内に流入する。
続いて、ECU11は、クランクシャフト31が角度A32まで回転したときに始動用逆転を終了するようにISG22を制御する。始動用逆転が終了した後に、図8に示すように、ECU11は、混合気に点火するように点火装置39の点火プラグ39aを制御する(図9のステップS6)。燃焼室34内の混合気が燃焼すると、燃焼のエネルギーによってクランクシャフト31が正転する。そのため、クランクシャフト31は、最初の圧縮上死点に対応する角度A0を超えて回転できる。点火のタイミング等を調整することにより、クランクシャフト31を正転方向に駆動することが可能であれば、ECU11は、クランクシャフト31の始動用逆転が終了する前に、混合気に点火するように点火プラグ39aを制御してよい。
温間始動時の始動用逆転において、クランクシャフト31が角度A21から角度A22まで逆転するとき、排気バルブ36が排気口34bを開いている。そのため、吸気口34aを介して燃焼室34へ流入する混合気の流速は大きくない。このときの混合気の流速は、冷間始動時の逆転前正転において、クランクシャフト31が角度A2(角度A16)から角度A3まで正転するときと比べて小さい。
エンジンユニット21が暖機状態にあるときは、エンジンユニット21が冷機状態にある場合と比べて、燃料噴射装置40が噴射した燃料が霧化し易い。そのため、エンジンユニット21の温間始動時のクランクシャフト31の始動用逆転中、燃焼室34へ流入する混合気の流速は大きくないにも拘わらず、混合気が燃焼室34内に流入し易い。そのため、始動用逆転によってクランクシャフト31のクランク角が角度A32に到達したときに点火動作を実行すると、燃焼室34において燃料の燃焼によって大きなエネルギーが発生する。従って、燃焼室34において発生する大きなエネルギーによって、クランクシャフト31は最初の圧縮上死点に対応する角度A0を超えて正転できる。クランク角が角度A0を超えると、エンジンユニット21は通常動作に移行する(図9のステップS7)。
以上、本発明の実施形態の具体例1について説明した。本発明の実施形態の具体例1は、上述した本発明の実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
具体例1のエンジンユニット21の冷間始動時、クランクシャフト31が初期逆転を行うようにISG22が制御される。そのため、クランクシャフト31が逆転前正転を行う前に、クランクシャフト31を所望の角度まで逆転させることが可能である。この角度を上述した開始角度Astに設定することによって、クランクシャフト31が逆転前正転を行うときに、燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開く。従って、クランクシャフト31が逆転前正転を行っている間に、シリンダヘッド吸気通路部30Ca内および/または吸気通路部41内の燃料が吸気口34aを介して燃焼室34内により流入し易くなる。その結果、エンジンユニット21をより安定して始動させることができる。
上述のように、エンジンユニット21が暖機状態で始動するときは、燃料噴射装置40から噴射された燃料が、エンジンユニット21が冷機状態で始動する場合と比べて霧化し易い。即ち、エンジンユニット21が暖機状態で始動するとき、燃料を含む混合気が燃焼室34に流入し易い。そのため、燃焼室34で混合気が点火されると、クランクシャフト31を回転させる大きなトルクが生じる。そのため、エンジンユニット21が暖機状態で始動するとき、クランクシャフト31が初期逆転および逆転前正転を行う必要性が低い。
そのため、具体例1のエンジンユニット21が暖機状態で始動するときにクランクシャフト31は初期逆転および逆転前正転を行わない。従って、クランクシャフト31が初期逆転および逆転前正転を行う場合と比べて、暖機状態にあるエンジンユニット21をより素早く始動させることが可能である。さらに、暖機状態にあるエンジンユニット21を確実に始動させることができる。即ち、暖機状態にあるエンジンユニットを安定して始動させることができる。
<実施形態の具体例2>
次に、上述した本発明の実施形態の具体例2について図10を用いて説明する。以下の説明において、上述した本発明の実施形態の具体例1と同じ部位についての説明は省略する。本発明の実施形態の具体例2は、上述した本発明の実施形態に包含される。具体例2は、自動二輪車1のECU11による制御が具体例1と異なる。具体例2の他の構成は、具体例1と同じである。
例えば、エンジンユニット21が搭載された車両が、標高が高い場所に位置することがある。この場合に、暖機状態にあるエンジンユニット21を始動させると、燃料噴射装置40から噴射された燃料が霧化し難い。即ち、この場合は暖機状態にあるエンジンユニットが始動し難い。
車両の乗員(ライダー)がエンジンユニット21を始動させるための操作である始動操作を行ったにも拘わらず、暖機状態にあるエンジンユニット21が始動しない場合に、この乗員またはこの乗員とは異なる乗員が始動操作を新たに行うことがある。換言すると、メインスイッチがオン位置に位置するときに(図10のステップS10:Yes)、乗員がスタータスイッチ12の位置をオフ位置からオン位置に切り替えたにも拘わらず(図10のステップS11:Yes)、暖機状態にあるエンジンユニット21が始動しない場合がある(図10のステップS12:No)。この場合に、この乗員またはこの乗員とは異なる乗員がもう一度スタータスイッチ12の位置をオフ位置からオン位置に切り替えることがある(図10のステップS13:Yes)。この場合に、ECU11は、クランクシャフト31が初期逆転、逆転前正転、および始動用逆転を行うように、ISG22を制御する(図10のステップS14)。換言すると、ECU11は、具体例1の冷間始動の始動動作と同じ態様で暖機状態にあるエンジンユニット21を始動させる。そのため、この場合にエンジンユニットを安定して始動させることができる。
なお、エンジンユニット21が冷機状態で始動する場合、燃料噴射装置40から噴射された燃料が霧化し難い。そのため、乗員がスタータスイッチ12の位置をオフ位置からオン位置に切り替えたときに(図10のステップS11:Yes)、冷機状態にあるエンジンユニット21が始動しないことがある(図10のステップS12:No)。この場合に、もう一度スタータスイッチ12の位置がオフ位置からオン位置に切り替えられると(図10のステップS13:Yes)、ECU11は、具体例1の冷間始動時の始動動作と同じ態様でエンジンユニット21を始動させる(図10のステップS14)。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態およびその具体例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。以下、本発明の実施形態の変更例について説明する。
具体例1、2において、クランクシャフト31が逆転前正転を行っているときの燃料の噴射タイミングは、クランクシャフト31のクランク角が角度A23のときである。つまり、クランクシャフト31が逆転前正転を行っており、かつ、燃焼室34の容積が増加しつつ吸気バルブ35が吸気口34aを開いている期間内に、燃料噴射装置40が燃料を噴射する。
しかし、本発明において、クランクシャフトが逆転前正転を行っているときの燃料の噴射のタイミングは、燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開いている期間より前であってもよい。つまり、具体例1および具体例2において、クランクシャフトが開始角度Astから角度A2まで逆転前正転を行う期間内に、燃料噴射装置が燃料を噴射してもよい。例えば、クランクシャフトのクランク角が図6に示す角度A25になったときに、燃料噴射装置が燃料を噴射してもよい。クランク角が角度A25になったときに燃料噴射装置が燃料を噴射する場合は、クランク角が角度A23になったときに燃料噴射装置に燃料を噴射させる場合と比べて、燃料が噴射されてから点火装置が点火動作を行うまでの時間が長くなる。従って、この場合、噴射された燃料が、点火装置が点火動作を行う前に霧化し易くなる。そのため、エンジンユニットが始動動作を行うときに、クランクシャフトがより大きなトルクを発生し易い。
具体例1、2のエンジンユニット21の始動動作におけるクランクシャフト31の逆転前正転の開始角度Astは、角度A0より正転方向に位置しかつ角度A2より逆転方向に位置する。
しかし、本発明において、逆転前正転の開始角度Astは、角度A3より逆転方向に位置しかつ角度A2より正転方向に位置する領域および角度A2を含む範囲内の任意の角度であってもよい。この場合は、開始角度Astと角度A3との間で逆転前正転が実行されるときに、燃料噴射装置40が燃料を噴射する。開始角度Astをこのように設定した場合は、開始角度Astを、角度A0より正転方向に位置しかつ角度A2より逆転方向に位置する角度に設定した場合と比べて、エンジンユニット21が始動してからクランクシャフト31が逆転前正転を開始するまでの時間が短くなる。即ち、この場合は、ISG22が始動してからクランクシャフト31が角度A0を超えるまでの時間が短くなる。
本発明のエンジンユニットにおいて、例えば、メインスイッチがオフ位置に移動することによりエンジンユニットの運転が停止するときに、クランクシャフトが初期逆転を行ってよい。つまり、惰性で回転しているかまたは停止しているクランクシャフトを、駆動源(例えばISG)が逆転前正転の開始角度まで逆転させる動作を、エンジンユニットの運転の停止動作が含んでもよい。この後にメインスイッチがオン位置に位置する状態でスタータスイッチがオン位置へ移動させられたとき、クランクシャフトがまず逆転前正転を行い、かつ、クランクシャフトが逆転前正転を行っている間に燃料噴射装置が燃料を噴射する。
具体例1、2において、クランクシャフト31の逆転前正転を含むエンジンユニット21の始動動作における燃料の噴射タイミングは、クランクシャフト31が逆転前正転を行っている期間内である。
しかし、本発明におけるクランクシャフトの逆転前正転を含むエンジンユニットの始動動作において、燃料噴射装置は、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内に燃料を噴射せずに、クランクシャフトが逆転前正転を行なう前に燃料を噴射してよい。例えば、クランクシャフトが初期逆転を行っている期間内に、燃料噴射装置が燃料を噴射してよい。また、例えば、クランクシャフトが初期逆転を行う前に、燃料噴射装置が燃料を噴射してもよい。
本発明において、クランクシャフトの逆転前正転を含むエンジンユニットの始動動作における燃料の噴射は、複数回行われてもよい。
例えば、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内に、燃料噴射装置が燃料を噴射し、その後、逆転吸気機構45による逆転吸気始動動作が完了する前に、クランクシャフトが始動用逆転を行っている期間内に燃料噴射装置40が燃料を噴射してもよい。この場合、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内の燃料の噴射タイミングは、燃料室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開いているタイミングまたは当該タイミングより前のタイミングである。
また、例えば、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間より前に燃料噴射装置が燃料を噴射し、その後、逆転吸気機構45による逆転吸気始動動作が完了する前に、クランクシャフトが始動用逆転を行っている期間内に、燃料噴射装置40が燃料を噴射してもよい。
また、例えば、クランクシャフトが初期逆転を行っている期間内に燃料噴射装置が燃料を噴射し、その後、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内に燃料噴射装置が燃料を噴射してもよい。クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内における燃料の噴射のタイミングは、燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開いているタイミングまたは当該タイミングより前のタイミングである。
また、例えば、クランクシャフトが初期逆転を行う前に燃料噴射装置が燃料噴射を行い、その後、クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内に燃料噴射装置が燃料を噴射してもよい。クランクシャフトが逆転前正転を行っている期間内における燃料の噴射のタイミングは、燃焼室の容積が増加しつつ吸気バルブが吸気口を開いているタイミングまたは当該タイミングより前のタイミングである。
本発明のエンジンユニットが冷機状態と暖機状態のいずれの状態で始動する場合も、クランクシャフトが逆転前正転を行う前に、クランクシャフトが逆転前正転の開始角度まで逆転するように駆動源が制御されてよい。
本発明のエンジンユニットが温間始動を実行するときに、クランクシャフトが逆転前正転および初期逆転を行わなくてもよい。この場合に、クランクシャフトが始動用逆転を行ってよい。また、この場合に、クランクシャフトが始動用逆転を行わなくてもよい。
本発明のエンジンユニットが冷機状態と暖機状態のいずれの状態で始動する場合も、クランクシャフトの逆転前正転の終了角度が、角度A13より逆転方向に位置しかつ角度A2より正転方向に位置する所定の角度であってよい。例えば、逆転前正転の終了角度は、角度A13より逆転方向に位置しかつ角度A3より正転方向に位置する所定の角度であってよい。逆転前正転の終了角度は、角度A3または角度A3近傍であってよい。
本発明のエンジンユニットが冷機状態と暖機状態のいずれにある場合も、操作者によるエンジンユニットを始動させるための始動操作によってエンジンユニットが始動せず、かつ、その後に始動操作が行われたときに、クランクシャフトが逆転前正転および始動用逆転を実行してよい。
本発明のエンジンユニットが冷機状態と暖機状態のいずれにある場合も、操作者によるエンジンユニットを始動させるための始動操作によってエンジンユニットが始動せず、かつ、その後に始動操作が行われたときに、クランクシャフトが初期逆転、逆転前正転および始動用逆転を実行してよい。
本発明のエンジンユニットが冷機状態と暖機状態のいずれにある場合も、操作者によるエンジンユニットを始動させるための始動操作によってエンジンユニットが始動せず、かつ、その後に始動操作が行われたときに、クランクシャフトが初期逆転を実行しなくてもよい。
具体例1では、エンジンユニット21が冷機状態と暖機状態のいずれにあるかによって、エンジンユニット21の始動動作は異なる。しかし、本発明のエンジンユニットを始動するときのエンジン制御装置による駆動源、燃料噴射装置および点火装置の制御は、エンジンユニットが冷機状態か暖機状態かに関わらず同じであってもよい。
具体例2では、乗員がエンジンユニット21を始動させるための操作を繰り返し行ったかどうかによって、エンジンユニット21の始動動作は異なる。しかし、本発明のエンジンユニットを始動するときのエンジン制御装置による駆動源、燃料噴射装置および点火装置の制御は、乗員がエンジンユニットを始動させるための操作を繰り返し行ったかに関わらず同じであってもよい。
本発明のエンジンユニットを始動するときのエンジン制御装置による駆動源、燃料噴射装置および点火装置の制御は、エンジンユニットが冷機状態か暖機状態に関わらず同じで、かつ、乗員がエンジンユニットを始動させるための操作を繰り返し行ったかに関わらず同じであってもよい。
本発明のエンジンユニットは、単気筒エンジンであってもよい。または、本発明のエンジンユニットは、多気筒エンジンであってもよい。本発明のエンジンユニットは、多気筒エンジンが好ましい。気筒数は特に限定されない。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、エンジンユニットは独立スロットル式であることが好ましい。独立スロットル式のエンジンユニットは、燃焼室ごとにスロットルバルブを有する。本発明のエンジンユニットが多気筒エンジンの場合、全ての燃焼室に対して、それぞれ、逆転吸気機構が設けられてもよい。また、一部の燃焼室のみに対して、それぞれ、逆転吸気機構が設けられてもよい。本発明の逆転吸気機構は、一列に並んだ複数の気筒のうち両端に配置された2つの気筒、または、一列に並んだ複数の気筒のうち端に配置された1つの気筒に適用されることが好ましい。複数の逆転吸気機構は、構成の一部が共通であってもよい。即ち、ある逆転機構の構成の一部は、他の逆転吸気機構の構成の一部を兼ねていてもよい。
本発明のエンジンシステムが鞍乗型車両に搭載される場合、エンジンユニットのクランクシャフトの中心軸が沿う方向は、いずれの方向であってよい。例えば、クランクシャフトの中心軸が車両左右方向に沿っていてよい。
本発明のエンジンシステムが鞍乗型車両に搭載される場合、エンジン本体の燃焼室の一部を形成するシリンダ孔の中心軸が沿う方向は、車両前後方向に限定されない。例えば、シリンダ孔の中心軸が沿う方向は、車両上下方向であってよい。
本発明における駆動源は、ISG(Integrated Starter Generator;モータ機能付発電機)であることが好ましい。
本発明における駆動源は、発電機と別体のモータであってもよい。この場合、エンジンシステムは、駆動源に加えて、発電機を有することが好ましい。発電機は、クランクシャフトの正転方向の回転力を受けて電力を生成する。
本発明における駆動源は、ISGおよびモータのどちらでなくてもよい。
本発明における駆動源は、クランクシャフトに設けられていることが好ましい。本発明における駆動源は、クランクシャフトに設けられていなくてもよい。
本発明におけるエンジンユニットの冷却方式は、特に限定されない。本発明のエンジンユニットは、潤滑油ではない冷却媒体を用いて冷却する液冷式のエンジンユニットであってもよい。本発明のエンジンユニットは、エンジン本体のシリンダ孔の径方向外側にオイルジャケットを有する油冷式のエンジンユニットであってもよい。本発明のエンジンユニットの冷却方式は、自然空冷式、または、強制空冷式であってもよい。
本発明のエンジンシステムが鞍乗型車両に搭載される場合、鞍乗型車両は、スクータ以外の自動二輪車であってもよい。また、本発明のエンジンシステムが搭載される鞍乗型車両は、自動二輪車に限らない。本発明のエンジンシステムは、自動二輪車以外の鞍乗型車両に搭載されてもよい。本発明のエンジンシステムが搭載される鞍乗型車両には、例えば、自動二輪車、三輪車、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle(全地形型車両))、水上バイク、スノーモービル等が含まれる。自動二輪車としては、例えば、スクータ型、オフロード型、モペット型等がある。
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
10 エンジンシステム
11 ECU(エンジン制御装置)
21 エンジンユニット
22 ISG(駆動源)
30 エンジン本体
30Ca シリンダヘッド吸気通路部(第1吸気通路部)
31 クランクシャフト
32 ピストン
34 燃焼室
34a 吸気口
34b 排気口
35 吸気バルブ
36 排気バルブ
41 吸気通路部(第2吸気通路部)
40 燃料噴射装置
39 点火装置
39a 点火プラグ
43 スロットルバルブ
45 逆転吸気機構

Claims (7)

  1. 4ストローク式のエンジンユニット、前記エンジンユニットの始動に用いられる駆動源、および前記エンジンユニットと前記駆動源とを制御するエンジン制御装置を有するエンジンシステムであって、
    前記エンジンユニットが、
    燃焼室、および、前記燃焼室に設けられる吸気口に接続される第1吸気通路部を有するエンジン本体と、
    前記エンジン本体に正転および逆転を行うように設けられたクランクシャフトと、
    前記燃焼室の一部を構成し、前記クランクシャフトの回転に連動して前記エンジン本体内を往復移動することで前記燃焼室の容積を増減させるピストンと、
    前記クランクシャフトの回転に連動して、前記燃焼室に設けられる前記吸気口を開閉する吸気バルブと、
    前記クランクシャフトの回転に連動して、前記燃焼室に設けられる排気口を開閉する排気バルブと、
    前記エンジン本体の外部に配置され、前記第1吸気通路部に接続されており、スロットルバルブが配置される第2吸気通路部と、
    前記第1吸気通路部内または前記第2吸気通路部内で燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記燃焼室内において、空気と燃料との混合気に点火する点火装置と、
    前記クランクシャフトが前記エンジンユニットを始動させるための逆転である始動用逆転を行いかつ前記燃焼室の容積が増加しているときに、前記排気バルブが前記排気口を開く期間の少なくとも一部と重なる期間に前記吸気口を開くように前記吸気バルブを駆動する逆転吸気始動動作を実行する逆転吸気機構と、
    を備え、
    前記駆動源は、前記クランクシャフトを正転および逆転させ、
    前記エンジン制御装置は、
    前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行うように前記駆動源を制御し、かつ、前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う前に、前記クランクシャフトが前記始動用逆転の開始角度まで回転するための正転である逆転前正転を行うように前記駆動源を制御し、
    前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行っておりかつ前記燃焼室の容積が増加しつつ前記吸気バルブが前記吸気口を開いている期間である正転吸気期間内、または、前記正転吸気期間より前に、燃料を噴射するように前記燃料噴射装置を制御し、
    前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う期間または前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行った後に、前記燃焼室内の混合気に点火するように前記点火装置を制御することを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記エンジン制御装置が、
    前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行う前に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転の開始角度まで逆転するように前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記エンジン制御装置は、
    冷機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転および前記始動用逆転を行い、暖機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記エンジン制御装置は、
    暖機状態にある前記エンジンユニットを始動させる場合に、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を行い、かつ、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を完了する前に前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行っている期間内に前記燃料噴射装置が燃料を噴射するように、前記駆動源および前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする請求項3に記載のエンジンシステム。
  5. 前記エンジン制御装置は、
    操作者による前記エンジンユニットを始動させるための始動操作によって前記エンジンユニットが始動せず、かつ、前記始動操作が実行された後に前記始動操作が行われたときに、前記クランクシャフトが前記逆転前正転および前記始動用逆転を行うように、前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンシステム。
  6. 前記エンジン制御装置は、
    前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行う期間または前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行った後に、前記燃焼室内の混合気に点火するように前記点火装置を制御し、かつ、前記クランクシャフトが前記逆転前正転を行う期間に前記燃焼室内の混合気に点火しないように前記点火装置を制御することを特徴とする請求項1、2、または5に記載のエンジンシステム。
  7. 前記クランクシャフトが前記始動用逆転を行うときに、前記吸気バルブが前記吸気口を開いた後に、前記逆転吸気機構が前記逆転吸気始動動作を実行することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジンシステム。
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