JP6786875B2 - ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
1. 熱可塑性ポリイミドと、付加反応性基を有するモノアミン化合物又はジカルボン酸化合物でイミドオリゴマーの末端を封止した末端変性イミドオリゴマーとを含むポリイミド樹脂組成物であって、末端変性イミドオリゴマーの280℃における溶融粘度が0.1〜100Pa・sであり、かつ、280℃で1時間保持した後の溶融粘度の値が初期の値の10倍以内であるポリイミド樹脂組成物。
2. 末端変性イミドオリゴマーが、4−(2−フェニルエチニル)フタル酸無水物でアミン末端イミドオリゴマーの末端を封止したものである、前記項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
3. 前記項1又は2に記載のポリイミド樹脂組成物を成形し、加熱により硬化したポリイミド成形体。
4. 前記項1又は2に記載のポリイミド樹脂組成物と繊維織物とからなるプリプレグ。
5. 前記項4に記載のプリプレグを加熱により硬化した繊維強化プラスチック。
熱可塑性ポリイミドを与えるテトラカルボン酸成分及びジアミン成分を含む原料混合物、並びに末端変性イミドオリゴマーを溶融状態で混練することにより、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて熱可塑性ポリイミドを生成させるとともに、末端変性イミドオリゴマーと熱可塑性ポリイミドとを均一に混合する工程を含むポリイミド樹脂組成物の製造方法。
7. 末端変性イミドオリゴマーの280℃における溶融粘度が0.1〜100Pa・sであり、かつ、280℃で1時間保持した後の溶融粘度の値が初期の値の10倍以内である、前記項6に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
8. 末端変性イミドオリゴマーが、付加反応性基を有するモノアミン化合物又はジカルボン酸化合物でイミドオリゴマーの末端を封止した末端変性イミドオリゴマーである、前記項6又は7に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
9. 末端変性イミドオリゴマーが、4−(2−フェニルエチニル)フタル酸無水物でアミン末端イミドオリゴマーの末端を封止したものである、前記項8に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
11. 前記項10に記載のプリプレグを加熱することにより硬化させる工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法。
以下の記載において、各略号は次の化合物を意味する。
a−BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物
PEPA:4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸
TPE−R:1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
MPD:m−フェニレンジアミン
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
(溶融粘度)
ティー・エイ・インスツルメント社製 粘弾性測定装置 ARES−G2を用い、窒素雰囲気中、昇温速度3℃/minで250〜420℃まで昇温しながら測定し、280℃における溶融粘度を測定した。また、別途、温度280℃で60分間保持した場合の溶融粘度の変化を測定した。
(ガラス転移温度)
セイコーインスツルメンツ社製 SSC5200 DSC 320Cを用いて、窒素雰囲気中で20℃/分で昇温しながらDSC測定を行った。DSC曲線のベースラインと変曲点の接線の交点をガラス転移温度とした。
(機械的特性)
島津製作所製 EZ Test/CEを用いて、引張速度2mm/minで引張試験を行い、引張強度及び破断点伸びを測定した。
セパラブルフラスコにNMP200gとa−BPDA26.6g(90.4mmol)、PEPA39.5g(159mmol)を投入して、40℃で均一に溶解させた。次いで、TPE−R24.8g(84.8mmol)、MPD9.1g(84.2mmol)を投入し、175℃で12時間攪拌し末端変性イミドオリゴマー溶液を得た。この溶液を3kgの常温の蒸留水に投入し、末端変性イミドオリゴマーを析出させた。この末端変性イミドオリゴマー分離し、蒸留水で3回洗浄した後、120℃で24時間乾燥し、粉末状の末端変性イミドオリゴマーを得た。この末端変性イミドオリゴマーのTgは150℃、280℃における溶融粘度は1.2Pa・sであった。また、280℃で60分間保持した後の溶融粘度の値は初期の値の1.2倍であった。
この末端変性イミドオリゴマーをプレス機で370℃、1時間プレスして得られた硬化物のTgは330℃であった。
6FDA18.1g(40.7mmol)、TFMB24.4g(76.2mmol)、PEPA17.6g(70.9mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、250℃で30分間溶融混練を行なって、末端変性イミドオリゴマーを得た。この末端変性イミドオリゴマーのTgは170℃、280℃における溶融粘度は38Pa・sであった。また、280℃で60分間保持した後の溶融粘度の値は初期の値の5.5倍であった。
この末端変性イミドオリゴマーをプレス機で370℃、1時間プレスして得られた硬化物のTgは370℃であった。
6FDA18.1g(40.7mmol)、TFMB24.4g(76.2mmol)、無水フタル酸10.5g(70.9mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、250℃で30分間溶融混練を行なって、イミドオリゴマーを得た。このイミドオリゴマーのTgは179℃であった。
参考例1で得られた末端変性イミドオリゴマー30gとa−BPDA15.6g(53.0mmol)、TPE−R15.4g(52.7mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、280℃で30分間溶融混練を行なって、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは189℃、280℃における溶融粘度は550Pa・sであった。
このポリイミド樹脂組成物をプレス機で370℃、1時間プレスして得られたポリイミド成形体を得た。このポリイミド成形体のTgは293℃、引張強度は119MPa、破断点伸びは12%であった。
なお、別途調製したa−BPDAとTPE−RとからなるポリイミドのTgは253℃であった。
末端変性イミドオリゴマー18g、a−BPDA21.7g(73.8mmol)、TPE−R21.3g(72.9mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは215℃、280℃における溶融粘度は5200Pa・sであった。
このポリイミド樹脂組成物をプレス機で370℃、1時間プレスして得られたポリイミド成形体を得た。このポリイミド成形体のTgは271℃であった。
参考例2で得られた末端変性イミドオリゴマー36gと6FDA13.9g(31.3mmol)、TFMB10.0g(31.2mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、280℃で30分間溶融混練を行なって、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは189℃であった。
このポリイミド樹脂組成物をプレス機で370℃、1時間プレスして得られたポリイミド成形体を得た。このポリイミド成形体のTgは370℃であった。
なお、別途調製した6FDAとTFMBとからなるポリイミドのTgは330℃であった。
参考例1で得られた末端変性イミドオリゴマー30gとa−BPDA15.6g(53.0mmol)、TPE−R15.4g(52.7mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、280℃で30分間溶融混練を行なって、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは193℃、280℃における溶融粘度は700Pa・sであった。
このポリイミド樹脂組成物を炭素繊維織物(東レ製CO6364、FAW:198g/m2)に単位面積当たり100g/m2付着させ、温度280℃、圧力3MPaで5分間プレスして、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを10枚積層し、真空プレス装置を用いて真空下で温度280℃、圧力1.5MPaでプレスして、そのまま370℃まで昇温して1時間保持した。その後、250℃まで冷却し大気圧に放圧して繊維強化プラスチックを得た。この繊維強化プラスチックの曲げ強さは677MPaであった。
参考例1で得られた末端変性イミドオリゴマー30gとa−BPDA17.8g(59.4mmol)、MPD6.4g(59.3mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、280℃で30分間溶融混練を行なって、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは213℃、280℃における溶融粘度は560Pa・sであった。
このポリイミド樹脂組成物を炭素繊維織物(東レ製CO6364、FAW:198g/m2)に単位面積当たり100g/m2付着させ、温度280℃、圧力3MPaで5分間プレスして、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを10枚積層し、真空プレス装置を用いて真空下で温度280℃、圧力1.5MPaでプレスして、そのまま370℃まで昇温して1時間保持した。その後、250℃まで冷却し大気圧に放圧して繊維強化プラスチックを得た。この繊維強化プラスチックの曲げ強さは750MPaであった。
参考例3で得られたイミドオリゴマー36gと6FDA13.9g(31.3mmol)、TFMB10.0g(31.2mmol)をドライブレンドしてバッチ式溶融混練機(内容量:60cm3)に投入し、280℃で30分間溶融混練を行なって、ポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物のTgは210℃であった。
Claims (6)
- 熱可塑性ポリイミドと、イミドオリゴマーの末端をモノアミン化合物又はジカルボン酸化合物で封止した末端変性イミドオリゴマーとを含むポリイミド樹脂組成物の製造方法であって、
熱可塑性ポリイミドを与えるテトラカルボン酸成分及びジアミン成分を含む原料混合物、並びに末端変性イミドオリゴマーを溶融状態で混練することにより、テトラカルボン酸成分とジアミン成分とを反応させて熱可塑性ポリイミドを生成させるとともに、末端変性イミドオリゴマーと熱可塑性ポリイミドとを均一に混合する工程を含むポリイミド樹脂組成物の製造方法。 - 末端変性イミドオリゴマーの280℃における溶融粘度が0.1〜100Pa・sであり、かつ、280℃で1時間保持した後の溶融粘度の値が初期の値の10倍以内である、請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法
- 末端変性イミドオリゴマーが、付加反応性基を有するモノアミン化合物又はジカルボン酸化合物でイミドオリゴマーの末端を封止した末端変性イミドオリゴマーである、請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
- 末端変性イミドオリゴマーが、4−(2−フェニルエチニル)フタル酸無水物でアミン末端イミドオリゴマーの末端を封止したものである、請求項3に記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で得られたポリイミド樹脂組成物を溶融して繊維織物に含浸させる工程を含むプリプレグの製造方法。
- 請求項5に記載のプリプレグを加熱することにより硬化させる工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法。
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