JP3031822B2 - ポリイミド系樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド系樹脂組成物

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JP3031822B2
JP3031822B2 JP6177803A JP17780394A JP3031822B2 JP 3031822 B2 JP3031822 B2 JP 3031822B2 JP 6177803 A JP6177803 A JP 6177803A JP 17780394 A JP17780394 A JP 17780394A JP 3031822 B2 JP3031822 B2 JP 3031822B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可溶性かつ熱可塑性を
有するポリイミド系樹脂組成物、およびその製造方法、
さらにその射出成形体に関し、詳しくは、汎用の有機溶
剤に対して良好な溶解性を有し、かつ熱可塑性を有する
ポリイミドと炭素繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド
繊維および/またはチタン酸カリウム繊維等の繊維状補
強材とを含有してなるポリイミド系樹脂組成物、および
その製造方法、さらにこの樹脂組成物を用いて得られる
射出成形体に関する。また、本発明はポリイミド系複合
体に関し、詳しくは、上記の可溶性、かつ熱可塑性を有
するポリイミドを繊維状補強材とともに成形して得られ
るポリイミド系積層複合体およびそれを成形する方法に
関する。さらにまた、本発明は、上記ポリイミドを用い
て表面を改質された繊維状補強材に関する。本発明に使
用される上記ポリイミドを用いて、表面改質された繊維
状補強材は、繊維状補強材としての適用性が改善され
る。すなわち、本発明に使用されるポリイミドは、繊維
状補強材の表面改質剤として、特に溶剤に溶解した溶液
で適用できる。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリイミドはその高耐熱性に
加え、力学的強度、寸法安定性に優れ、難燃性、電気絶
縁性など併せ持つため、電気・電子機器、宇宙航空用機
器、輸送用機器等の分野に広く用いられている。従来、
優れた特性を示すポリイミドが種々開発されているが、
耐熱性に優れていても、明瞭なガラス転移温度を有しな
いために成形材料として用いる場合に焼結成形などの特
殊な手法を用いて加工しなければならないとか、また加
工性は優れているがガラス転移温度が低いとか、あるい
は他のエンジニアリングプラスチックに比べ耐吸水・吸
湿性に劣るなど、その性能面では一長一短があった。特
に耐吸水・吸湿性に劣る点は、ポリイミド本来の優れた
性能に加え、さらに耐吸水・吸湿性が要求される用途へ
積極的な適用ができない等の諸問題の要因となりうる。
例えば、宇宙航空機器の分野においては、気象条件、環
状条件などの急激な変化により高温、高湿の激しい条件
下での使用が考えられ、耐吸水・吸湿性に劣る樹脂は、
吸水する事によりその力学的強度・寸法安定性が劇的に
低下することが知られている。また、電気・電子機器の
分野、特に半導体用材料などの分野においても同様で、
電子回路基盤の封止材として使用する場合、力学的強度
・寸法安定性の低下の他、マイクロクラックの発生、発
泡、あるいは電気絶縁性低下の要因となり、これらに耐
える、いわゆる超スーパーエンジニアリングプラスチッ
クの開発が望まれている。
【0003】本発明者らは、式(A)
【化8】 の基本骨格を有するポリイミドについて、そのポリマー
末端を封止することによりポリマーの分子末端の反応性
を封止し、ポリマー分子量を調節し、射出、押出成形が
可能なポリイミドを見いだした(特開平02−0184
19号公報)。しかしながら、このポリイミドも、熱可
塑性は付与されたものの、汎用溶剤に対する溶解性が悪
いために繊維状補強材等に溶液含浸することは困難であ
り、また、従来のエンジニアリングプラスチックに比べ
耐吸水・吸湿性に劣るため前述の様な諸問題を有してい
た。
【0004】ポリイミドの耐熱性及び機械的強度を生か
した用途の一つに、ガラス繊維、炭素繊維などと複合化
して用いる方法がある。このために利用するポリイミド
としては、通常、非熱可塑性のポリイミドであり、その
前駆体であるポリアミド酸の溶液を繊維に含浸させ、溶
剤を蒸発除去した後、加熱加圧してイミド化と同時に硬
化させることが一般に行われている(特開昭60−24
0740号公報、同61−235437号公報)。しか
しながら、この方法では、イミド化と成形を同時に行う
必要があり、イミド化に際し発生する水によってボイド
等の種々の欠陥が生じる恐れがある。これに対して熱可
塑性ポリイミドを利用することが提案されている(特開
平01−113461公報、同03−199234号公
報)。ところが、この場合、耐熱性でなおかつ熱可塑性
を有するポリイミドであっても、溶融流動性が充分なも
のではなく、前記のポリアミド酸を用いる方法と同様
に、ボイド等の欠陥発生を完全に抑えることは困難であ
った。
【0005】上述のように、既に知られているポリイミ
ドでは、非熱可塑性ポリイミドであっても、その前駆体
であるポリアミド酸の溶液を用いれば繊維への含浸は良
好であるが、イミド化時に発生する水の問題がある。一
方、熱可塑性ポリイミドであれば、水等の低分子が発生
するという問題はないが、流動性が不十分でポリイミド
が繊維へ充分に含浸せず、優れた性能の成形物を得るこ
とが困難であった。また、各種樹脂複合体に使用される
繊維状補強材は、補強する樹脂の種類によっては、その
樹脂との相容性を高め、かつ得られる複合体の性能を向
上させるために、その表面を改質したものが使用され
る。例えば、各種繊維状補強材の中でも、炭素繊維はガ
ラス繊維に比べ高弾性、軽量性に優れており、特にポリ
イミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスル
フィドのような超耐熱樹脂の補強材として好適であり、
機械強度等の特性を向上させ、自動車部品、機械部品等
の優れた素材となる。従来、表面を改質した炭素繊維と
しては、エポキシ樹脂で改質したものが広く知られてい
る。しかし、エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の様な熱硬
化性樹脂のマトリックスに対しては表面改質剤として有
効であるが、熱可塑性樹脂のマトリックスに対しては、
マトリックスとの接着性に乏しいことが多く、エポキシ
樹脂で改質した炭素繊維は、成形物の機械強度等の特性
を充分に向上させるには至っていない。したがって、特
開昭53−106752号公報では、熱可塑性樹脂のマ
トリックスに対しては、ポリアミド樹脂を炭素繊維等の
繊維補強材の表面改質剤として用いることが試みられて
いる。
【0006】しかしながら、超耐熱性熱可塑性樹脂をマ
トリックスとする場合、成形温度が300℃を越える高
温であるため、表面改質剤であるポリアミド樹脂が成形
中に熱分解し、ボイドの生成、ウェルド部強度の低下等
の問題を生じ、ポリアミド樹脂では未だ満足できる表面
改質剤を得るに至っていない。一方、上記熱分解の問題
を解決する為に、耐熱性に優れたポリエーテルイミド樹
脂(特開昭62−299580号公報)、ポリイミド樹
脂(特開昭64−40569号公報)を表面改質剤とし
て用いることが提案されているが、マトリックスである
熱可塑性樹脂との接着性に問題を残し、未だ充分な改質
効果を発揮できる改質剤、および表面改質された繊維状
補強材は見出されていない。本発明者らは、既に本願の
ポリイミドと類似の構造を有する有機溶剤可溶性の高耐
熱性ポリイミドを見いだしていたが(特願平05−11
8340号、同05−203871号公報)、これらの
ポリイミドが炭素繊維のような繊維状補強材の表面改質
剤として特に優れた性能を有することを見いだすには至
っていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
イミド樹脂が本来有する高耐熱性等の優れた諸特性に加
えて、高温・高湿の条件下においても耐吸水・吸湿性に
優れ、その優れた機械物性を保持するポリイミド系樹脂
組成物、およびその製造方法、ならびにこの組成物を用
いて得られる成形物を提供することである。また、他の
課題は、前記の特性を有し、構造欠陥の発生しないポリ
イミド系積層複合体およびその製造方法を提供すること
である。さらにまた、他の課題は、前記の特性を有する
ポリイミドで表面が改良された繊維状補強材を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を行った結果、本発明者らがす
でに見いだしていた優れた溶剤溶解性を有する下記一般
式(1)のポリイミドを用いて、耐熱性、機械的特性、
耐吸水・吸湿性に優れたポリイミド系樹脂組成物、ポリ
イミド系積層複合体、および表面を改質した繊維補強材
を製造できることを見出し、また、一般式(1)のポリ
イミドを溶液として用いることにより、構造欠陥の発生
しないポリイミド複合体、ポリイミド系樹脂組成物を効
率的に製造できること、また繊維状補強材の表面を改質
できること、さらにポリイミド系樹脂組成物を用いて、
とくに耐吸水・吸湿性に優れたポリイミド成形物が得ら
れることを見出し本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、一般式(1)
【化9】 〔式中、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整
数であり、Rは
【化10】 (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は独立して水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリー
ル基、アルケニル基、アラルキル基または炭素数1〜5
のアルコキシ基を表し、R5 、R6 、R7 は水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アルケニル
基、アラルキル基または炭素数1〜10で酸素数1〜3
のω−アルキルオキシオリゴ(アルキレンオキシ)アル
キル基を表す)を表し、Arは炭素数6〜27であり、
かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳
香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
合多環式芳香族基である4価の基を表す〕で表される繰
り返し構造単位の少なくとも一種を必須構造単位として
含有するポリイミドと、繊維状補強材を含有してなるポ
リイミド系樹脂組成物であり、
【0010】この組成物において、ポリイミドの対数粘
度が0.3dl/g以上であり、またポリイミド100
重量部に対して、0.5〜65重量部の繊維状補強材を
含有し、また、前記一般式(1)で表される繰り返し構
造単位を有するポリイミドが、そのポリマー分子末端を
芳香族ジカルボン酸無水物および/または芳香族モノア
ミンで封止されたもの、すなわち、このポリイミドを製
造するに際して、式(4)
【化11】 (式中、Z1 は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳
香族基、縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接ま
たは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族
基である2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン
酸無水物および/または一般式(5) Z2−NH2 (5) (式中、Z2 は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳
香族基、縮合多環式芳香族基おあるいは芳香族基が直接
または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香
族基である1価の基を表す)で表される芳香族モノアミ
ンを共存下に反応させて得られるポリマー分子末端を封
止したもの、またはこのポリマー分子末端が封止された
ものを含むであるポリイミド系樹脂組成物、およびそれ
らの製造方法である。
【0011】また、本発明は、含浸の際の条件下におい
て、溶剤に可溶でしかも加熱溶融可能である一般式
(1)で表される繰り返し構造単位を有するポリイミド
を繊維状補強材に含浸させ、このプリプレグを積層して
成形して得られるポリイミド系複合体、実際的には積層
複合体である。
【0012】さらに、本発明は前記一般式(1)で表さ
れる繰り返し構造単位のポリイミド、すなわち、このポ
リイミドの溶剤溶液を用いて、表面が改質された繊維状
補強材である。好ましくは、一般式(1)で表される繰
り返し構造単位のポリイミドが、式(6)
【化12】 および/または式(7)
【化13】 で表されるジアミン化合物と、ピロメリット酸二無水
物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテ
トラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二無
水物、ビス〔(ジカルボキシフェニル)フェニル〕プロ
パン二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン
二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二
無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロ
プロパン二無水物から選ばれた少なくとも1種のテトラ
カルボン酸二無水物とを加熱下に反応することによって
得られるポリイミドであり、このポリイミドを含有する
表面改質剤で、表面が改質された炭素繊維である。
【0013】また、これらのポリイミド系複合体および
表面改質繊維状補強材において、ポリイミドが、ジアミ
ン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とをジカルボン
酸無水物および/またはモノアミノ化合物を共存下に加
熱反応させることによって得られるポリイミドである
か、またはこのポリイミドを含有するものである。本発
明のポリイミドから成る繊維表面改質剤は、粉末または
溶液の形態で実用に供せられ、販売することができる。
【0014】本発明で使用されるポリイミドは、一般式
(1)
【化14】 (式中、m、n、RおよびArは前記の通りである)で表
される繰り返し構造単位を有するものであり、一般式
(1)で表される繰り返し構造単位を有する2種以上の
ポリイミドの混合物、または、一般式(1)で表される
繰り返し構造単位の2種以上を含むポリイミド共重合体
であってもよい。
【0015】とくに好ましいポリイミド共重合体は、一
般式(2)
【化15】 (式中、m、RおよびArは一般式(1) の場合と同じで
ある)で表される構造単位および一般式(3)
【化16】 (式中、m、RおよびArは一般式(1) の場合と同じで
ある)で表される構造単位を含む共重合体である。
【0016】本発明で使用されるポリイミドの製造方法
は、一般式(8)
【化17】 (式中、m、nおよびRは一般式(1)の場合と同じ)
で表される芳香族ジアミン類、例えば、Rがフェニルで
ある一般式(9)
【化18】 (式中、nおよびR1-4 は一般式(1)の場合と同じで
ある)で表される繰り返し構造単位を有するポリイミド
と、一般式(10)
【化19】 (式中、Arは、炭素数6〜27であり、かつ単環式芳
香族基、縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接ま
たは架橋員により相互に連結された非縮合式多環式芳香
族基である4価の基を示し、具体的には式(a)
【化20】 で表される単環式芳香族基、式(b)
【化21】 で表される縮合多環式芳香族基、または式(c)
【化22】 〔式中、Xは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 2 −、−C(C
3 2 −および式(d)、式(e)または、式(f)
【化23】
【化24】 (ここで、Yは直接結合、−CO−、−O−、−S−、
−SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 2 −、−C
(CF3 2 −を示す。)で表される芳香族基が直接ま
たは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族
基である4価の基である。)で表される芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物とを重合させて得られるポリイミドで
ある。
【0017】ここで用いられるジアミン化合物は、具体
的には、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフ
ェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフ
ェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフ
ェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノ
ン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、
3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'
−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジ
アミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−
ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'
−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,
3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'
−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−
ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジ
アミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジア
ミノ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミ
ノ−5,5'−ジメトキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ
−4,5'−ジメトキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−
4−メトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−メ
トキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5−メトキシベンゾ
フェノン、
【0018】1,3-ビス(3-アミノ−4-フェノキシベンゾ
イル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ−4-フェノキシベ
ンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ−5-フェノキ
シベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ−5-フェ
ノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ−4-
ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミ
ノ−4-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス
(4-アミノ−5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,
4-ビス(4-アミノ−5-ビフェノキシベンゾイル)ベンゼ
ン、1,3-ビス(3-アミノ−4-メトキシベンゾイル)ベン
ゼン、1,4-ビス(3-アミノ−4-メトキシベンゾイル)ベ
ンゼン、1,3-ビス(4-アミノ−5-メトキシベンゾイル)
ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ−5-メトキシベンゾイ
ル)ベンゼンなどが例示される。これらの芳香族ジアミ
ンは単独または2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】本発明のポリイミドは以上の芳香族ジアミ
ンを必須の原料モノマーとして用いるが、このポリイミ
ドの良好な物性を損なわない範囲で他の芳香族ジアミン
を混合して使用することも可能である。また、本発明の
表面を改質された繊維状補強材において、繊維状補強材
が炭素繊維であるとき、その改質用として式(6)
【化25】 で表される3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾ
フェノンおよび/または式(7)
【化26】 で表わされる1,3-ビス(3-アミノ−4-フェノキシベンゾ
イル)ベンゼンが、好ましく使用される。
【0020】すなわち、ポリイミドの改質および物理的
性質を損なわない範囲内で他のジアミンを一種以上混合
して重合させても何等差し支えないが、混合して用いる
ことのできるジアミンとしては、例えば、m-フェニレン
ジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミ
ン、m-アミノベンジルアミン、p-アミノベンジルアミ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエー
テル、ビス(3-アミノフェニル)スルフィド、ビス(4-
アミノフェニル)スルフィド、(3-アミノフェニル)
(4-アミノフェニル)スルフィド、ビス(3-アミノフェ
ニル)スルホキシド、ビス(4-アミノフェニル)スルホ
キシド、(3-アミノフェニル)(4-アミノフェニル)ス
ルホキシド、ビス(3-アミノフェニル)スルホン、ビス
(4-アミノフェニル)スルホン、(3-アミノフェニル)
(4-アミノフェニル)スルホン、3,3'−ジアミノベンゾ
ェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミ
ノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、
4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニ
ル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニ
ル〕メタン、1,1-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェ
ニル〕エタン、1,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エタン、1,1 −ビス〔4-(4-アミノフェノキ
シ)フェニル〕エタン、1,2-ビス〔4-(4-アミノフェノ
キシ)フェニル〕エタン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2-ビス〔3-(3-
アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3-ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)
フェニル〕−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、
【0021】1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビ
ス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-
ジメチルベンジル) ベンゼン 1,3-ビス(4-アミノ-α,α- ジメチルベンジル) ベンゼ
ン 1,4-ビス(3-アミノ-α,α- ジメチルベンジル) ベンゼ
ン 1,4-ビス(4-アミノ-α,α- ジメチルベンジル) ベンゼ
ン 4,4'−ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−
ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(3-
アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(4-ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4-(3-アミ
ノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(4-ア
ミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-
アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4-
(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス
〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス
〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、
【0022】1,4-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)ベン
ゾイル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(3-アミノフェノキ
シ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4'−ビス〔3-(4-アミノ
フェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4'−
ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニ
ルエーテル、4,4'−ビス〔4-(4-アミノ−α,α−ジメ
チルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4'−ビ
ス〔4-(4-アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノ
キシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4-〔4-(4-アミノフ
ェノキシ)フェノキシ〕フェニル〕スルホン、1,4-ビス
〔4-(4-アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、3,3'- ジアミノ
-4,4'-ジフルオロベンゾフェノン、3,3'- ジアミノ-5,
5'-ビス( トリフルオロメチル) ジフェニルエーテル、
4,4'- ジアミノ-5,5'-ビス( トリフルオロメチル) ジフ
ェニルエーテル、1,3-ビス〔4-(4-アミノ−6−トリフ
ルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ−6−フルオロ
フェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、
1,3-ビス〔4-(4-アミノ−6−メチルフェノキシ)−
α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-
(4-アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチ
ルベンジル〕ベンゼン、2,6-ビス〔4-(4-アミノ−α,
α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾニトリル、
2,6-ビス〔4-(4-アミノ−α,α−ビストリフルオロメ
チルベンジル)フェノキシ〕ベンゾニトリル、2,6-ビス
〔4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ〕ベンゾニトリ
ル、2,6-ビス〔4-(4-アミノベンゾイル)フェノキシ〕
ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0023】また、用いられる式(10)のテトラカル
ボン酸二無水物は、具体的には、ピロメリット酸二無水
物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-
ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、
2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水
物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水
物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水
物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無
水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水
物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,
3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-
ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ
プロパン二無水物、1,3-ビス〔(3,4-ジカルボキシ)ベ
ンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4-ビス〔(3,4-ジカル
ボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2-ビス〔4-
〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル〕プロ
パン二無水物、2,2-ビス〔4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)
フェノキシ〕フェニル〕プロパン二無水物、ビス〔4-
〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル〕ケト
ン二無水物、ビス〔4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノ
キシ〕フェニル〕ケトン二無水物、4,4'- ビス〔4-(1,
2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,
4'- ビス〔3-(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェ
ニル二無水物、ビス〔4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェ
ノキシ〕フェニル〕スルホン二無水物、ビス〔4-〔3-
(1,2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル〕スルホン
二無水物、ビス〔4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノキ
シ〕フェニル〕スルフィド二無水物、ビス〔4-〔3-(1,
2-ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル〕スルフィド二
無水物、2,2-ビス〔4-〔4-(1,2-ジカルボキシ)フェノ
キシ〕フェニル〕−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパ
ン二無水物、2,2-ビス〔4-〔3-(1,2-ジカルボキシ)フ
ェノキシ〕フェニル〕−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプ
ロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,
2,3,4-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10
- ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アント
ラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナンス
レンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これら
は単独あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0024】本発明の繊維状補強材の表面改質におい
て、特に炭素繊維の表面改質に用いるポリイミドとして
は、3,3'- ジアミノ-4,4- ジフエノキシベンゾフェノン
および/または1,3-ビス(3-アミノ−4-フェノキシベン
ゾイル)ベンゼンをジアミン成分として用いるときは、
ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、ビフエニルテトラカルボン酸二無水物、
ジフエニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、ビス( ジカルボキシフ
ェニル) スルホン二無水物、ビス( ジカルボキシフェニ
ル) プロパン二無水物、ビス〔(ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(ジカルボキシ
フェニル) ベンゼン二無水物および/又はビス(ジカル
ボキシフェニル) ヘキサフロオロプロパン二無水物のテ
トラカルボン酸二無水物が好ましく用いられる。中でも
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物およびビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。これら上記
のテトラカルボン酸二無水物は単独でも、また2種以上
混合して用いてもなんら問題ない。また炭素繊維用表面
処理剤特性を損なわない範囲で他のテトラカルボン酸二
無水物を混合使用しても差し支えない。
【0025】これらの芳香族ジアミン成分と芳香族テト
ラカルボン酸二無水物をモノマー成分として得られるポ
リイミドは主として一般式(1)、(2)または(3)
の繰り返し構造単位を有するポリイミド、ポリイミド共
重合体または混合物であり、また、これらポリイミドの
ポリマー分子末端が未置換あるいはアミンまたはジカル
ボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されたポリイ
ミドも含まれる。この末端に置換基を有しないか、ある
いはアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しな
い基で置換された芳香族環を有するポリイミドは、前記
一般式(8)および/または(9)等の芳香族ジアミン
と、主として前記一般式(10)で表されるテトラカル
ボン酸二無水物を、前記一般式(4)で表される芳香族
ジカルボン酸無水物または、前記一般式(5)で表され
る芳香族モノアミンの存在下に反応させ、得られるポリ
アミド酸を熱的または化学的にイミド化することにより
得られる。
【0026】ここで、一般式(4)および一般式(5)
で表されるジカルボン酸無水物および芳香族モノアミン
は、従来公知の化合物である。具体的なジカルボン酸無
水物としては、無水フタル酸、2,3-ベンゾフェノンジカ
ルボン酸無水物、3,4-ベンゾフェノンジカルボン酸無水
物、2,3-ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水
物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水
物、2,3-ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4-ビフェニ
ルジカルボン酸無水物、2,3-ジカルボキシフェニルフェ
ニルスルホン無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニ
ルスルホン無水物、2,3-ジカルボキシフェニルフェニル
スルフィド無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニル
スルフィド無水物、1,2-ナフタレンジカルボン酸無水
物、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8-ナフタレ
ンジカルボン酸無水物、1,2-アントラセンジカルボン酸
無水物、2,3-アントラセンジカルボン酸無水物、1,9-ア
ントラセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これら
のジカルボン酸無水物はアミンまたはジカルボン酸無水
物と反応性を有しない基で置換されても差し支えない。
【0027】これらのジカルボン酸無水物の中で、無水
フタル酸が得られるポリイミドの性質面及び実用面から
最も好ましい。また、無水フタル酸を使用する場合、ポ
リイミドの良好な物性を損なわない範囲でその一部を他
のジカルボン酸無水物で代替して用いることはなんら差
し支えない。用いられるジカルボン酸無水物の量は、使
用する芳香族ジアミン1モル当り0.001〜1.0モ
ル比であり、好ましい使用量は0.01〜0.5モルで
ある。
【0028】また、芳香族モノアミンを使用する場合、
芳香族モノアミンとしては、例えばアニリン、o-トルイ
ジン、m-トルイジン、p-トルイジン、2,3-キシリジン、
2,6-キシリジン、3,4-キシリジン、3,5-キシリジン、o-
クロロアニリン、m-クロロアニリン、p-クロロアニリ
ン、o-ブロモアニリン、m-ブロモアニリン、p-ブロモア
ニリン、o-ニトロアニリン、m-ニトロアニリン、p-ニト
ロアニリン、o-アミノフェノール、m-アミノフェノー
ル、p-アミノフェノール、o-アニシジン、m-アニシジ
ン、p-アニシジン、o-フェネジン、m-フェネジン、p-フ
ェネジン、o-アミノベンツアルデヒド、m-アミノベンツ
アルデヒド、p-アミノベンツアルデヒド、o-アミノベン
ゾニトリル、m-アミノベンゾニトリル、p-アミノベンゾ
ニトリル、2-アミノビフェニル、3-アミノビフェニル、
4-アミノビフェニル、2-アミノフェニルフェニルエーテ
ル、3-アミノフェニルフェニルエーテル、4-アミノフェ
ニルフェニルエーテル、2-アミノベンゾフェノン、3-ア
ミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、2-アミ
ノフェニルフェニルスルフィド、3-アミノフェニルフェ
ニルスルフィド、4-アミノフェニルフェニルスルフィ
ド、2-アミノフェニルフェニルスルホン、3-アミノフェ
ニルフェニルスルホン、4-アミノフェニルフェニルスル
ホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1-ア
ミノ−2-ナフトール、2-アミノ−1-ナフトール、4-アミ
ノ−1-ナフトール、5-アミノ−1-ナフトール、5-アミノ
−2-ナフトール、7-アミノ−2-ナフトール、8-アミノ−
1-ナフトール、8−アミノ−2-ナフトール、1-アミノア
ントラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラ
セン等が挙げられる。これらの芳香族モノアミンは、ア
ミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で
置換されても差し支えない。用いられる芳香族モノアミ
ンの量は、使用する芳香族テトラカルボン酸二無水物1
モル当り0.001〜1.0モル比であり、好ましい使
用量は0.01〜0.5モルである。
【0029】本発明のポリイミドの製造方法としては、
ポリイミドを製造可能な方法が公知方法を含め全て適用
できるが、中でも、有機溶媒中で反応を行うことが特に
好ましい方法である。 このような反応において用いら
れる溶媒は、好ましくは、N,N-ジメチルアセトアミドで
あるが、そのほかに使用できる溶媒としては、例えばN,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、
N,N-ジメトキシアセトアミド、N-メチル−2-ピロリド
ン、1,3-ジメチル−2-イミダゾリジノン、N-メチルカプ
ロラクタム、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシ
エチル)エーテル、1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エ
タン、ビス〔2-(2-メトキシエトキシ)エチル〕エーテ
ル、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキ
サン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホス
ホルアミド、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾー
ル、p-クレゾール、m-クレゾール酸、p-クロロフェノー
ル、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙
げられる。また、これらの有機溶媒は単独でも2種以上
混合して用いても差し支えない。特にアミド系の溶剤が
溶液の安定性、作業性としての利用の点から好ましい。
【0030】本発明の方法で有機溶媒に、芳香族ジアミ
ン、芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジカルボ
ン酸無水物または芳香族モノアミンを添加、反応させる
方法としては、(イ)芳香族テトラカルボン酸二無水物
と芳香族ジアミンを反応させた後に、芳香族ジカルボン
酸無水物または芳香族モノアミンを添加して反応を続け
る方法、(ロ)芳香族ジアミンに芳香族ジカルボン酸無
水物を加えて反応させた後、芳香族テトラカルボン酸二
無水物を添加し、更に反応を続ける方法、(ハ)芳香族
テトラカルボン酸二無水物に芳香族モノアミンを加えて
反応させた後、芳香族ジアミンを添加し、更に反応を続
ける方法、(ニ)芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳
香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族
モノアミンを同時に添加し、反応させる方法等が挙げら
れ、いずれの添加方法をとっても差し支えない。
【0031】反応温度は通常250℃以下、好ましくは
50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で
十分実施できる。反応時間は芳香族テトラカルボン酸二
無水物や芳香族ジアミン等の原料モノマーの種類、溶媒
の種類および反応温度によって異なり、通常4〜24時
間で十分である。更に得られたポリアミド酸を100〜
400℃に加熱してイミド化するか、または無水酢酸等
のイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、ポ
リアミド酸に対応する繰り返し構造単位を有するポリイ
ミドが得られる。また、芳香族ジアミンと芳香族テトラ
カルボン酸二無水物、さらにはポリイミドの末端を芳香
環とする場合は芳香族ジカルボン酸無水物または芳香族
モノアミンとを、有機溶媒中に懸濁または溶解させた後
加熱し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の生成
と同時にイミド化を行うことにより目的のポリイミドを
得ることも可能である。
【0032】以上の方法により本発明で使用するポリイ
ミド(以下、上記の方法で得られる一般式(1)、
(2)または(3)の繰り返し構造単位を有するポリイ
ミド、ポリイミド共重合体または混合物、また、これら
ポリイミドのポリマー分子末端が未置換あるいはアミン
またはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換
されたポリイミドを単に "本発明で用いるポリイミド"
と言うことがある)が得られる。本発明で用いるポリイ
ミドにおいては、通常の重縮合系ポリマーの場合と同様
に、モノマー成分のモル比を調節して分子量を制御し、
本発明の効果を奏するポリイミドを得る。本発明におい
て、モノマー成分のモル比は、テトラカルボン酸二無水
物の総量1モルに対し、0.8〜1.2モルのジアミン
化合物を使用する。このモル比が0.8未満または1.
2を超えると低分子量のポリイミドが得られ、特に繊維
状補強材の表面改質用ポリイミドとしては好ましくな
い。好ましくは、テトラカルボン酸二無水物1モルに対
してジアミン化合物0.9〜1.1モル比であり、さら
に好ましく0.95〜1.05モル比である。
【0033】本発明で用いるポリイミドは、9重量部の
p−クロロフェノールと1重量部のフェノールの混合溶
媒に0.5g/dlの濃度で加熱溶解した後、35℃にお
いて測定した対数粘度の値が0.30dl/g以上、とく
に0.40dl/g以上のポリイミドが好ましい。対数粘
度が0.30dl/g未満では、ポリイミド樹脂自身の機
械的強度が不充分であり、このようなポリイミドを本発
明の組成物に用いても、樹脂組成物としての物性もまた
十分ではない。
【0034】本発明のポリイミド系樹脂組成物は、本発
明で用いるポリイミド樹脂と、この樹脂100重量部に
対して、5〜65重量部、好ましくは10〜50重量部
の繊維状補強材を含有するものである。繊維状補強材の
含有量が5重量部未満では、十分な補強効果は得られな
い。また、65重量部を越えると射出成形等の溶融成形
で、良好な成形体を得るのが困難である。本発明のポリ
イミド系樹脂組成物は、各種の方法で調製できる。通常
公知の各種方法で繊維状補強材をポリイミド樹脂に添加
する方法で調製できる。例えば、ポリイミド樹脂の粉末
と繊維状補強材を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラムブ
レンダー、タンプラーブレンダー、ボールミル、リボン
ブレンダー等を利用して予備混練した後、溶融混合機、
熱ロール等を用いてペレットや粉末混合物を得る方法が
最も一般的である。
【0035】しかし、本発明で用いるポリイミドの特徴
である溶剤可溶性を活かした、本発明の製造方法がとく
に好ましい。すなわち、本発明で用いるポリイミドの特
徴である溶剤可溶性を活用した予備混練状態を経て製造
することができる。この方法は、所定量の本発明で用い
るポリイミドをハロゲン化炭化水素系溶剤、アミド系溶
剤またはフェノール系溶剤等の有機溶剤に溶解する。こ
の溶液中に所定量の繊維状補強材を添加して、攪拌下分
散させる。その後、この溶液中に繊維状補強材を分散さ
せ、ポリイミドが溶解している溶液を貧溶媒中に高速攪
拌下で排出してポリイミドを析出させて、溶剤を除去し
て、ポリイミドと繊維状補強材が均一に混合した混合物
を得る。このような操作によって析出したポリイミド粉
は、繊維状補強材を均一に分散させた予備混練状態であ
る。これを溶融混合機、熱ロール等を用いてペレットや
粉末混合物のポリイミド系樹脂組成物を得ることができ
る。
【0036】この方法で用いる溶剤としては、具体的に
は、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタ
ン、1,1,2-トリクロロエタン、ジブロモメタン、トリブ
ロモメタン、1,2-ジブロモエタン、1,1,2-トリブロモエ
タン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセト
アミド、N,N-ジメトキシアセトアミド、N-メチル−2-ピ
ロリドン、1,3-ジメチル−2-イミダゾリジノン、N-メチ
ルカプロラクタム、フェノール、クレゾール、キシレノ
ール、ハロゲン化フェノール、ハロゲン化クレゾール、
ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどが挙げら
れる。この方法において、ポリイミド溶液の濃度は、5
〜50wt%であり、作業上の機械粘度の観点から、好ま
しくは15〜40wt%である。また、ポリイミドを析出
させる貧溶媒として、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げら
れ、その使用する量は、全組成物重量の5〜30倍、好
ましくは10〜20倍である。
【0037】このようにして得られる本発明のポリイミ
ド系樹脂組成物は、射出成形法、押し出し成形法、圧縮
成形法、回転成形法等の公知の成形法で成形され実用に
供される。本発明のポリイミド系樹脂組成物は優れた流
動性を有するため、作業効率の点で射出成形法が最も好
ましい。本発明のポリイミド系樹脂組成物から得られる
射出成形体は、金型の形状を変えることにより、いかな
る形状の成形体も作成可能である。とくに、優れた動的
疲労特性が要求される自動車部品、例えばバルブリフタ
ーやインペラー等への適用が期待される。
【0038】また、本発明のポリイミド系樹脂組成物
は、溶融成形に供する場合、本発明の目的を損なわない
範囲内で他の熱可塑性樹脂樹脂、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリ
エーテルイミド、変性ポリエェニレンオキシド、本発明
以外のポリイミド等を本発明の目的に応じて適当量を配
合してもよい。更に、通常の樹脂組成物に使用する次の
ような充填剤等を本発明の目的を損なわない範囲で用い
てもよい。すなわち、グラファイト、カーボランダム、
ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂などの耐摩
耗性向上剤、三酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭
酸カルシウムなどの難燃性向上剤、クレー、マイカなど
の電気的特性向上剤、アスベスト、シリカ、グラファイ
トなどの耐クラッキング向上剤、硫酸バリウム、シリ
カ、メタケイ酸カルシウムなどの耐酸性向上剤、鉄粉、
亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉などの熱伝導度向上剤、
その他ガラスビーズ、ガラス球、タルク、珪藻土、アル
ミナ、シラスバルン、水和アルミナ、金属酸化物、着色
料などである。
【0039】また、本発明のポリイミド系複合体、特に
積層複合体、は繊維状補強材で構成される基材と本発明
で用いるポリイミドから構成される複合体である。この
本発明のポリイミド系複合体は、本発明で用いるポリイ
ミドを有機溶剤に溶解した溶液を、繊維状補強材、すな
わち繊維状補強材で構成される基材に含浸させ、次いで
溶剤を除去した後、前記ポリイミドが流動する温度以上
に加熱、加圧して成形して得られる。本発明で用いるポ
リイミドを含浸した繊維状基材は単層でも、また2層以
上に積層してもよい。
【0040】ポリイミドを溶解するために使用できる有
機溶剤としては、汎用のハロゲン系炭化水素溶剤、アミ
ド系溶剤、フェノール系溶剤などが挙げられる。具体的
には、本発明のポリイミド系樹脂組成物の製造に使用で
きる各種溶剤が挙げられる。それらの溶剤の中で、性質
面および実用面から特に好ましくは、N,N-ジメチルホル
ムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドである。また、こ
れらの溶剤は単独でも、2種以上混合しても使用でき
る。使用するポリイミド溶液の濃度は、ポリイミドの溶
解度の範囲内であれば特に限定はないが、繊維状補強材
への塗工・含浸時の作業性から、1〜50wt%が好まし
い。この時のポリイミド溶液の機械粘度は、10〜10
0,000センチポイズであるが、作業性からは500
〜50,000センチポイズが望ましい。さらに、溶解
温度は特に限定されず、また圧力も常圧で充分である。
使用される繊維状補強材としては、積層板等の基材とし
て用いられる繊維状補強材であれば何れも適用できる。
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊
維、炭化珪素繊維、ホウ素繊維など、およびそれらの織
布、不織布など、さらに紙などが挙げられる。
【0041】これらの繊維状補強材にポリイミド溶液を
含浸させる方法は、繊維状補強材から構成される基材を
ポリイミド溶液で処理し、基材に所望量のポリイミドが
均一に付与される方法であれば良い。通常、ポリイミド
溶液に基材を含浸させたり、基材にポリイミド溶液を塗
布する方法が多用される。繊維状補強材に対するポリイ
ミドの付与量は、繊維状補強材に対して、5 〜50重量
%,好ましくは、10〜30重量%である。繊維状補強
材に対するポリイミド溶液の塗工は、いかなる方法でも
よく、例えば、バーコーター、ドクターブレードを用い
て実施することができる。
【0042】なお、本願においては、ポリイミド溶液が
基材に付与された状態は、塗布または含浸であっても実
質的に同じものとして取扱い、 "含浸”は "塗布または
含浸”を意味する。ついで、ポリイミド溶液を塗工した
繊維状補強材から溶剤の除去は、使用した溶剤の沸点以
上の温度で、窒素気流下または空気気流下で実施すれば
よい。かくして得られた、ポリイミドを含浸した繊維状
補強材(プリプレグシート)は、1枚または2枚以上を
重ね合わせ、ポリイミドが流動する温度以上に加熱、加
圧して成形し、ポリイミド複合体を得ることができる。
成形温度温度および圧力は、250℃〜450℃、1〜
1000kg/cm2 であり、好ましくは300〜40
0℃、10〜500kg/cm2 である。
【0043】また、本発明のポリイミド複合体を製造す
るに際して、本発明で用いるポリイミドの可溶性、溶融
流動性、および接着性を損なわない範囲内で他の樹脂を
配合しても良い。例えば、前記の本発明の組成物におい
て配合することもできる各種の熱可塑性樹脂、フェノー
ル樹脂、ビスマレイミド等の熱硬化性樹脂などがある。
更に、前記の本発明のポリイミド系樹脂組成物に使用す
ることもできる各種充填剤等を発明の目的を損なわない
範囲で用いてもよい。
【0044】さらに、本発明の本発明で用いるポリイミ
ドで表面を改質された繊維状補強材は、本発明で使用す
る前記ポリイミドが繊維状補強材の表面を、効果的に処
理できる上に、得られた表面改質した繊維状補強材が、
樹脂、特にポリイミド系樹脂の繊維状補強材として、優
れた適用性を有することに基づくものである。したがっ
て、本発明で用いるポリイミドは、粉末状ポリイミドま
たはその有機溶剤として繊維状補強材の表面の改質に適
用できる。また、ポリイミドの前駆体であるポリアミド
酸の状態またはこれとポリイミドとの混合物で適用し
て、イミド化して表面改質した繊維状補強材を得ること
もできる。
【0045】本発明の表面を改質された繊維状補強材
は、本発明で用いるポリイミドの有機溶剤溶液を繊維状
補強材の表面に付与し、脱溶剤して得られるものであ
る。好ましくは、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシ
ベンゾフェノンおよび/または1,3-ビス(3-アミノ−4-
フェノキシベンゾイル)ベンゼンとピロメリット酸二無
水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル
テトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二
無水物、ビス〔(ジカルボキシフェニル)フェニル〕プ
ロパン二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン
二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン二無水物から選ばれた少なくとも1種のテト
ラカルボン酸二無水物とを有機溶剤中、100〜250
℃に加熱することにより得られるポリイミドが多用され
る。
【0046】本発明で使用される繊維状補強材として
は、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭
化珪素繊維、ホウ素繊維など、とくに好ましく用いられ
る炭素繊維はアクリル系、レーヨン系、リグニン系、ピ
ッチ系等が挙げられる。この炭素繊維の形態に関しては
特に制約はなく、チョップドストランド、トウ(ロービ
ング)、織物等何れでも良い。本発明の表面が改質され
た繊維状補強材を得る方法は、次のようである。 (1)本発明で用いるポリイミドおよびその前駆体を有
機溶剤に溶解した改質剤溶液を繊維状補強材の表面に付
与し加熱イミド化と脱溶媒を行って表面を改質する方
法、(2)本発明で用いるポリイミドの前駆体であるポ
リアミド酸を繊維状補強材の表面に付与し、炭素繊維上
で加熱イミド化することにより表面を改質する方法、
(3)本発明で用いるポリイミドを有機溶剤に溶解した
改質剤溶液を繊維状補強材の表面に付与し、脱溶媒する
ことにより表面を改質する方法、(4)本発明で用いる
ポリイミドを炭素繊維表面上で加熱溶融させ繊維表面を
被覆した改質する方法に大別される。これらの方法の中
で、(1)または(3)の方法が最も一般的で有用な方
法である。
【0047】通常、繊維状補強材に対する本発明で用い
るポリイミドの表面改質剤としての被覆量は、繊維状補
強材100重量部に対して0.5〜10重量部が好まし
く、0.5重量部未満では、十分な効果が得られず、ま
た10重量部を超えてもさらに物性の向上が得られな
い。特に好ましくは、2〜5重量部である。尚、本発明
で用いるポリイミドを用いて繊維状補強材を表面改質す
るに際して、あらかじめ繊維状補強材を別の表面処理を
施しておくことは、本発明で用いるポリイミドと繊維状
補強材との接着性を高めるので好ましい。他の表面処理
の方法としては特に制約はなく、一般的な繊維状補強材
の表面処理法がいずれも適用できる。例えば薬液酸化
(硝酸、過マンガン酸/硫酸、等)、電解酸化等の液相
酸化、気相(空気、酸素、オゾン、等)中での加熱、プ
ラズマ処理、コロナ放電等の気相酸化法等が挙げられ
る。
【0048】また、本発明で用いるポリイミドを用いて
繊維状補強材の表面を処理した後、さらに加熱処理する
こともできる。加熱温度としては300〜500℃、好
ましくは300〜450℃である、300℃未満では加
熱処理の効果が得られず、また500℃超えても、表面
改質剤が熱分解する可能性があるため好ましくない。
尚、加熱時間は通常、0.1〜30時間である。以上の
ようにして得られたポリイミド樹脂で表面改質した、例
えば、炭素繊維のロービングは1〜150mmの長さに
切断してチョップドストランドとした後、所望の耐熱性
熱可塑性樹脂、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリエーテルスルホン等とドライブレ
ンドし、ついで押し出し機内で溶融・混練しながら押し
出した後、所定の長さに切断することによりペレットと
することができる。当該ペレットは通常公知の成形方
法、即ち圧縮成形、射出成形、押し出し成形により所望
する成形体を得ることができる。
【0049】さらには、表面改質した炭素繊維を一方向
に引き揃えた後、通常の方法で耐熱性熱可塑性樹脂を含
浸させることでプリプレグとすることもできる。このよ
うなプリプレグを製造するには、例えば特開平1−12
1363号公報で開示されている溶融含浸法が挙げられ
る。このようにして得られたプリプレグは、ついで、一
定の長さに切断後、所定の方向に繊維が配向するように
積層し、ついで熱プレス等の通常の方法を用いて成形体
を得ることもできる。また、本発明の表面が改質され繊
維状補強材は、熱可塑性樹脂に対して特に制約がなく、
現在知られている全ての熱可塑性樹脂に適用できる。具
体的にはポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、
熱可塑性イミド樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等が挙げられ
る。
【0050】以下、本発明を合成例、実施例および比較
例により詳細に説明する。尚、ポリイミドの物性は以下
の方法により測定した。 Tg,Tc,Tm:DSC(島津DE−40シリーズ,
DSC−41M)により測定。 5%重量減少温度:空気中にてDTG(島津DT−40
シリーズ,DTG−40M)により測定。 対数粘度(ηinh):p-クロロフェノール/フェノール
(重量比9/1)混合溶媒にポリイミド粉を0.5g/
100mlの濃度で溶解した後、35℃において測定。 射出成形物引張試験:引張試験はASTM D3039
に基づいて測定した。尚、測定条件は、室温(18〜25
℃)水分吸湿率0.2 %以下(RT・DRY)の雰囲気
と、高温(177℃および204 ℃)水分吸湿率0.6 ±0.1 %
(HOT・WET)の雰囲気である。 吸水率 :JIS K−7209に基づいて測定し
た。 機械粘度:東機産業(株)E型粘度計により、室温で測
定。 溶融開始温度:島津高化式フローテスター(CFT50
0A)により、荷重100kg、昇温速度5℃/min
で測定。 溶融粘度:島津高化式フローテスター(CFT500
A)により、荷重100kgで測定。 着試験(引張り剪断接着力):各ポリイミド粉をエタノ
ールに懸濁させてペースト状にした後、2枚の冷間圧延
鋼板(JIS G−3141SPCC.SD.サイズ
1.6×25×100mm)に塗布し、熱プレスで35
0℃,300psiの条件で接着した。接着体の引張り
剪断強さは測定方法は、JIS K−6848に基づい
た。 曲げ強度,曲げ弾性率:25℃,200℃においてAS
TM D−790に基づき測定。
【0051】合成例1 攪拌機、還流冷却器、および窒素導入管を備えた容器
に、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノ
ン396.5g(1.0mol)、3,3',4,4'-ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物315.8g(0.9
8mol)、無水フタル酸5.92g(0.04mo
l)、γ−ピコリン14.0g、m−クレゾール284
9.2gを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら
150℃まで加熱昇温した。その後、150℃で4時間
反応したところ、その間に約30mlの水の留出が確認さ
れた。反応終了後、室温まで冷却し、約20lのメチル
エチルケトンに排出した後、ポリイミド粉を濾別した。
このポリイミド粉をメチルエチルケトンで洗浄した後、
空気中50℃で24時間、窒素中230℃で4時間乾燥
してポリイミド粉670g(収率98.2%)を得た。
かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は0.56dl
/gであった。また、このポリイミド粉のガラス転移温
度は246℃、5%重量減少温度は524℃であった。
【0052】合成例2〜12 表1に示す芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン
酸二無水物を用い、合成例1と全く同様にして各ポリイ
ミド粉を合成した。表1に、芳香族ジアミン、テトラカ
ルボン酸二無水物、収率、ポリイミド粉の対数粘度、ガ
ラス転移温度および5%重量減少温度を示す。
【0053】合成例13 無水フタル酸を用いない以外は、合成例1と全く同様に
してポリイミド粉を得た(収率96.6%)。表1に、
収率、ポリイミド粉の対数粘度、ガラス転移温度および
5%重量減少温度を示す。
【0054】
【表1】 *1 3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノ
ン *2 3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン *3 3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン *4 3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェ
ノン *5 3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン *6 3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン *7 1,3-ビス(3-アミノ−4-フェノキシベンゾイル)ベ
ンゼン *8 1,3-ビス(3-アミノ−4-ビフェノキシベンゾイル)
ベンゼン *9 3,3'−ジアミノベンゾフェノン *10 1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン *11 3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物 *12 ピロメリット酸二無水物
【0055】実施例1 合成例1で得られたポリイミドをN,N-ジメチルホルムア
ミド(DMF)に約30wt%の濃度で溶解した後、ポリ
イミド粉100重量部に対して、40重量部の炭素繊維
(東邦レーヨン社製HTA−C6)を攪拌下で分散させ
た。このポリイミド樹脂組成溶液をポリイミド粉重量に
対して約15倍量のメチルエチルケトンに、高速攪拌下
で排出した。得られた樹脂組成物を、窒素気流下200
℃で約4時間乾燥させて、ポリイミド/炭素繊維混合物
とした。得られた樹脂混合物は、口径30mmの単軸押出機
により溶融混練した後、ストランドを空冷、切断してペ
レットを得た。得られたペレットを用いてアーブルグ射
出成形機(射出圧力500kg/cm2 、シリンダー温度4
10℃、金型温度180℃)でJIS規格の1号ダンベ
ル試験片を得た。尚、ここで得られた樹脂組成物の吸水
率は、0.73%であった。試験片の引張試験は先に述
べたように、室温・乾燥下(以下、RT・DRYとい
う)および高温(177℃,204℃)・吸湿下(以
下、HOT・WETという)で行った。結果を表2に示
す。この結果から、HOT・WETにおける引張強度が
RT・DRYにおける引張強度の約80%程度に保持さ
れていることがわかる。
【0056】実施例2〜11 合成例2〜10および13で得られたポリイミド粉を用
いて、実施例1と同様にして試験片を作成した。得られ
た試験片を用いて実施例1と同様の引張試験を行った。
その結果を吸水率の結果と併せて表2に示す。この結果
から、HOT・WETにおける引張強度がRT・DRY
における引張強度の80〜90%程度に保持されている
ことがわかる。
【0057】比較例1,2 合成例11および12で得られたポリイミド粉はDMF
に不溶のため、ドラムブレンダー混合機(川田製作所社
製)を用いて実施例1と同等比率の樹脂混合物とした。
以下は実施例1と同様にして試験片を作成し、同様の引
張試験を行った。その結果を吸水率の結果と併せて表2
に示す。この結果から実施例11および12で得られる
ポリイミドは、HOT・WETにおける引張強度がRT
・DRYにおける引張強度の約60%程度であることが
わかる。
【0058】比較例3,4 合成例1で得られたポリイミドについて、本発明の組成
範囲外の樹脂組成物試験片を作成し、前記実施例と同様
の引張試験を行った。その結果を表2に示す。炭素繊維
を本発明の範囲内で使用した場合に比べ、使用量が少な
い範囲外で使用した場合引張強度が低下し、また、使用
量が多い範囲外で使用した場合射出成形が不可能であっ
た。
【0059】
【表2】 *1 RT・DRY:18〜25℃・水分吸収率0.2%
以下 177 ℃・WET:177℃・水分吸収率0.6±0.1
% 204 ℃・WET:204℃・水分吸収率0.6±0.1
【0060】実施例12 ジアミン成分が3,3'−ジアミノ-5,5'-フェノキシベンゾ
フェノン、酸無水物成分が3,3',4,4'-ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物からなるポリイミド(ηinh =
0.45dl/g,Tg=245℃,流動開始温度325
℃、380℃の溶融粘度13500ポイズ、引張り剪断
接着力332kg/mm2 )20gを、室温、窒素気流
下でN,N-ジメチルホルムアミド80gに溶解した。得ら
れたポリイミド溶液の機械粘度は5000センチポイズ
であった。このポリイミド溶液を炭素繊維織布(トレカ
T300 KPL)に塗布、含浸させた。ポリイミド溶
液を含浸させた炭素繊維織布は、窒素中170℃に約2
時間放置して脱溶媒した。このポリイミド含浸炭素繊維
織布(プリプレグシート)におけるポリイミドの含浸率
は、約10wt%であった。このプリプレグシートを8枚
積層し、温度350℃、荷重50kg/cm2 で30分
間熱圧成形し、厚さ約2.5mmのポリイミド/炭素繊
維の複合体を得た。得られた複合体の切断面を光学顕微
鏡で観察したところ、ポイド等の欠陥は観察されなかっ
た。また、複合体の曲げ強度および曲げ弾性率、測定温
度25℃の時、89kg/mm2 および7400kg/
mm2 、200℃の時81kg/mm2 および6600
kg/mm2 であった。
【0061】実施例13〜22 実施例12と同様にして、表3に示すようなジアミン成
分、酸無水物成分から得られる可溶性ポリイミドを用い
て、ポリイミド含浸炭素繊維複合体を作成した。表3に
は、ジアミン成分、酸無水物成分、ポリイミド粉の対数
粘度、ガラス転移温度(Tg)、流動開始温度、380
℃の溶融粘度、引張り剪断接着力、ポリイミド溶液の機
械粘度、およひ複合体のポイド欠陥の有無、曲げ強度、
曲げ弾性率を実施例12の結果と併せて示す。
【0062】比較例5 ジアミン成分が3,3'−ジアミノベンゾフェノン、酸無水
物が3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物からなるポリイミド(ηinh =0.44dl/g、ガラ
ス転移温度240℃)を、実施例12と同じくN,N-ジメ
チルホルムアミドに濃度20wt%で溶解しようとした
が、全く溶解不能であり、そのため繊維状補強材への溶
液含浸は不可能であった。
【0063】比較例6 比較例5と全く同様のポリイミド粉(溶融開始温度32
5℃、380℃の溶融粘度12000ポイズ)を、実施
例12と同様の炭素繊維織布に、加熱加圧(温度350
℃、荷重50kg/mm2 )により溶融含浸した。得ら
れたプリプレグシートは、実施例12と同様に8枚積層
し、厚さ約2.5mmのポリイミド/炭素繊維複合体を
得た。得られた複合体の切断面を光学顕微鏡で観察した
ところ、ポイドが見られた。また、複合体の曲げ強度、
曲げ弾性率は、25℃で63kg/mm2 、5000k
g/mm2 であり、前述実施例のポリイミド/炭素繊維
複合体に比べ機械的な物性が劣ることが解った。
【0064】比較例7 ジアミン成分が1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼ
ン、酸無水物成分が3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物からなるポリイミド(ηinh=0.4
2dl/g、ガラス転移温度228℃)を、実施例12と
同じくN,N-ジメチルホルムアミドに濃度20wt%で溶解
しようとしたが、全く溶解不能であり、そのため繊維状
補強材への溶液含浸は不可能であった。
【0065】比較例8 比較例5と全く同様のポリイミド粉(溶融開始温度31
0℃、380℃の溶融粘度8200ポイズ)を、実施例
12と同様の炭素繊維織布に、加熱加圧(温度350
℃、荷重50kg/mm2 )により溶融含浸した。得ら
れたプリプレグシートは、実施例12と同様に8枚積層
し、厚さ約2.5mmのポリイミド/炭素繊維複合体を
得た。得られた複合体の切断面を光学顕微鏡で観察した
ところ、ポイドが見られた。また、複合体の曲げ強度、
曲げ弾性率は、25℃で57kg/mm2 、4800k
g/mm2 であり、前述実施例のポリイミド/炭素繊維
複合体に比べ機械的な物性が劣ることが解った。
【0066】比較例9 市販のポリエーテルイミドであるUltem1000(ゼネ
ラル・エレクトリック社製,ηinh =0.60dl/g)
を実施例12と全く同様にして、炭素繊維織布に溶液含
浸した。しかしながら、このポリエーテルイミドは、ガ
ラス転移温度が216℃と低く、先の実施例のポリイミ
ドに比べて耐熱性が劣ることが解った。また、機械的物
性も、先の実施例のポリイミドに比べて劣っている。本
比較例の結果は、前述の実施例と併せて表3に示す。
【0067】
【表3】 *1 流動開始温度 *2 引張り剪断接着力(23℃,湿度50%において測
定) *3 3,3'-ジアミノ-4,4'-ジフェノキシベンゾフェノン *4 3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物 *5 3,3'-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン *6 3,4'-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン *7 3,3'-ジアミノ-4,4'-ジビフェノキシベンゾフェノ
ン *8 3,3'-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン *9 3,4'-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン *10 3,3'-ジアミノ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン *11 3,3'-ジアミノ-4-メトキシベンゾフェノン *12 3,4'-ジアミノ-4-メトキシベンゾフェノン *13 1,3-ビス(3-アミノ-4-フェノキシ)ベンゼン *14 1,3-ビス(3-アミノ-4-ビフェノキシ)ベンゼン
【0068】実施例23 攪拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に3,
3'−ジアミノ-4,4'-ジフェノキシベンゾフェノン39.
6g(0.10モル)、N,N-ジメチルアセトアミド23
5gを装入し、窒素雰囲気下において、3,3',4,4'-ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物31.2g(0.
97モル)を溶液温度の上昇に注意しながら、分割して
加え、室温で約20時間攪拌した。かくして得られたポ
リアミド酸溶液をさらにN,N-ジメチルアセトアミドで5
重量%まで希釈した。ついで、アクリル系炭素繊維束
(東邦レーヨン社製、商標HTA、フェラメント数12
000本)を60m/分の速度で上記ポリアミド酸溶液
に浸漬し、130℃で60分間加熱乾燥した後、窒素雰
囲気下で260℃、1時間加熱してポリイミド化を行
い、ポリイミド樹脂3重量%を表面に有する炭素繊維を
得た。ついで、得られた炭素繊維を長さ3mmに切断し
てチョップドストランドとし、該ストランド30wt%と
熱可塑性ポリイミド樹脂AURUM#450(三井東圧
化学社製:商標)70wt%とをドライブレンドした後、
40mm径押し出し機にて押し出し温度400℃で溶融
混練しながら押し出す操作を行って均一配合ペレットを
得た。次に得られた配合ペレットを用いて、通常の射出
成形機でシリンダー温度400℃、金型温度210℃の
温度条件下でダンベル試験片を作成し、引張り速度5m
m/分で引張強度を測定したところ3350kg/cm
2 であった。
【0069】実施例24 実施例23に、さらに無水フタル酸0.888g(0.
006モル)を添加した以外は全く同様にしてダンベル
試験片を作成して引張り速度を測定したところ3400
kg/cm2 であった。
【0070】実施例25 攪拌器、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に3,
3'−ジアミノ-4,4'-ジフェノキシベンゾフェノン39.
6g(0.10モル)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物31.2g(0.097モル)、
無水フタル酸0.888g(0.006モル)、γ−ピ
コリン0.93g、N−メチル−2−ピロリドン184
g、キシレン36gを加えた後、雰囲気下で180℃ま
で加熱し、この温度で更に6時間攪拌を続けた。この間
約3ccの水の留去が確認された。かくして得られたポ
リイミド溶液をさらにN−メチル−2−ピロリドンで5
重量%まで希釈した。ついで、アクリル系炭素繊維束
(東邦レーヨン社製、商標HTA、フェラメント数12
000本)を60m/分の速度で上記ポリイミド溶液に
浸漬し、130℃で60分、200℃で60分加熱乾燥
し、ポリイミド樹脂3重量%を表面に有する炭素繊維を
得た。ついで、得られた炭素繊維を長さ3mmに切断し
てチョップドストランドとし、該ストランド30wt%と
熱可塑性ポリイミド樹脂AURUM#450(三井東圧
化学社製:商標)70wt%とをドライブレンドした後、
40mm径押し出し機にて押し出し温度400℃で溶融
混練しながら押し出す操作を行って均一配合ペレットを
得た。次に得られた配合ペレットを用いて、通常の射出
成形機でシリンダー温度400℃、金型温度210℃の
温度条件下でダンベル試験片を作成し、引張り速度5m
m/分で引張強度を測定したところ3330kg/cm
2 であった。
【0071】実施例26〜32 実施例25におけるテトラカルボン酸二無水物の種類を
各種変更させた炭素繊維表面改質剤を用いてダンベル試
験片を作成し引張り強度を測定した。その結果を表4に
纏めて示す。
【0072】
【表4】 *1 3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 *2 3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二
無水物 *3 3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二
無水物 *4 1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン
二無水物 *5 2,2-ビス〔(3,4- ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン二無水物 *6 2,2-ビス (3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル
-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物 *7 ピロメリット酸二無水物
【0073】比較例10 本発明で用いるポリイミドで改質された炭素繊維の代わ
りにエポキシ樹脂で表面改質されたアクリル系炭素繊維
(東邦レーヨン社製、商品名HTA)を用いた以外は実
施例23と同様に処理して引張り強度を測定したとこ
ろ、2300kg/cm2 であった。
【0074】比較例11 本発明で用いるポリイミドで改質された炭素繊維の代わ
りに、ポリエーテルイミド(エンジニアリングプラスチ
ック社製、ウルテム1000)で表面改質されたアクリ
ル系炭素繊維(東邦レーヨン社製、商品名HTA)を用
いた以外は実施例25と同様に処理して引張り強度を測
定したところ2250kg/cm2 であった。
【0075】
【発明の効果】本発明のポリイミド樹脂組成物は、ポリ
イミド樹脂本来が持つ高耐熱性等の諸物性に加えて、高
温・高湿下においてもその高機械物性が維持され、また
吸湿性、吸水性がきわめて小さい。また機械的物性など
の諸特性も従来以上の物性を兼ね備えている。なおかつ
その製造方法においても、本ポリイミド自身の溶剤可溶
性を利用することにより、ポリイミド/補強材の溶液中
での混合が可能となった。また、本発明のポリイミド複
合体は、従来の非熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポ
リアミド酸の溶液含浸法、あるいは熱可塑性ポリイミド
の溶融含浸法に比べて、ボイド等の構造欠陥の発生がな
く製造でき、また本発明で用いるポリイミドが耐熱的に
も、また、接着力においても優れているため、得られる
ポリイミド複合体は耐熱的、機械物性的にすぐれてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 15/37 (72)発明者 浅沼 正 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 玉井 正司 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08L 79/00 - 79/08

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔式中、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整
    数であり、Rは、 【化2】 (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は独立して水素原
    子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリー
    ル基、アルケニル基、アラルキル基または炭素数1〜5
    のアルコキシ基を表し、R5 、R6 、R7 は水素原子、
    炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アルケニル
    基、アラルキル基または炭素数1〜10で酸素数1〜3
    のω−アルキルオキシオリゴ(アルキレンオキシ)アル
    キル基を示す)を表し、Arは炭素数6〜27であり、
    かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基である4価の基を表す)で表される繰
    り返し構造単位の少なくとも一種を必須構造単位として
    含有するポリイミドと、繊維状補強材を含有してなるポ
    リイミド系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリイミドが、一般式(2) 【化3】 (式中、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整
    数であり、Rは、 【化4】 (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は独立して水素原
    子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリー
    ル基、アルケニル基、アラルキル基または炭素数1〜5
    のアルコキシ基を表し、R5 、R6 、R7 は水素原子、
    炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アルケニル
    基、アラルキル基または炭素数1〜10で酸素数1〜3
    のω−アルキルオキシオリゴ(アルキレンオキシ)アル
    キル基を示す)を表し、Arは炭素数6〜27であり、
    かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基である4価の基を表す)で表される繰
    り返し構造単位および一般式(3) 【化5】 〔式中、mおよびnはそれぞれ独立して0または1の整
    数であり、Rは、 【化6】 (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は独立して水素原
    子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリー
    ル基、アルケニル基、アラルキル基または炭素数1〜5
    のアルコキシ基を表し、R5 、R6 、R7 は水素原子、
    炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アルケニル
    基、アラルキル基または炭素数1〜10で酸素数1〜3
    のω−アルキルオキシオリゴ(アルキレンオキシ)アル
    キル基を示す)を表し、Arは炭素数6〜27であり、
    かつ単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳
    香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮
    合多環式芳香族基である4価の基を表す)で表される繰
    り返し構造単位を含むポリイミド共重合体である請求項
    1記載のポリイミド系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリイミドが、前記一般式(2) で表さ
    れる構造単位を有するポリイミドと前記一般式(3)で
    表される構造単位を有するポリイミドとの混合物である
    請求項1記載のポリイミド系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリイミドが、当該ポリイミドを製造す
    る際に、一般式(4) 【化7】 (式中、Z1 は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳
    香族基、縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接ま
    たは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族
    基である2価の基を表す)で表される芳香族ジカルボン
    酸無水物および/または一般式(5) Z2−NH2 (5) (式中、Z2 は、炭素数6〜15であり、かつ単環式芳
    香族基、縮合多環式芳香族基あるいは芳香族基が直接ま
    たは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族
    基である1価の基を表す)で表される芳香族モノアミン
    の共存下に反応させて得られる、ポリマー分子末端を封
    止したもの、または該ポリマー分子末端を封止したもの
    を含むものである請求項1〜3記載のポリイミド樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 繊維状補強材が、炭素繊維、ガラス繊
    維、芳香族ポリアミド繊維および/またはチタン酸カリ
    ウム繊維である請求項1記載のポリイミド樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 繊維状補強材が、前記一般式(1)で表
    されるポリイミド100重量部に対し、0.5〜65重
    量部含まれる請求項1記載のポリイミド系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記一般式(1)で表わされるポリイミ
    ドを、有機溶剤に溶解した後、繊維状補強材を混合し、
    次いで溶剤を除去することを特徴とする請求項1記載の
    ポリイミド系樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機溶剤が、ハロゲン系炭化水素溶剤、
    アミド系溶剤および/またはフェノール系溶剤である請
    求項7記載のポリイミド系樹脂組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜3記載のポリイミド系樹脂組
    成物から得られる射出成形体。
  10. 【請求項10】 前記一般式(1)で表されるポリイミ
    ドを、有機溶剤に溶解した溶液を、繊維状補強材に含浸
    させ、次いで溶剤を除去した後、ポリイミドが流動する
    温度以上に加熱、加圧して、成形して得られるポリイミ
    ド系積層複合体。
  11. 【請求項11】 前記一般式(1)で表されるポリイミ
    ドにより表面を改質された繊維状補強材。
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