JP3208179B2 - 液晶性ポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

液晶性ポリイミドおよびその製造方法

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JP3208179B2 JP17679492A JP17679492A JP3208179B2 JP 3208179 B2 JP3208179 B2 JP 3208179B2 JP 17679492 A JP17679492 A JP 17679492A JP 17679492 A JP17679492 A JP 17679492A JP 3208179 B2 JP3208179 B2 JP 3208179B2
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶性ポリイミドに関
する。更に詳しくは、液晶性を有する熱可塑性ポリイミ
ドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリイミドはその優れた耐熱
性に加え、機械物性、耐薬品性、難燃性、電気特性等の
点において優れた特性を有しているために、成形材料、
複合材料、電気・電子部品等の分野において幅広く用い
られている。しかしながら、耐熱性に優れていても、明
瞭なガラス転移温度を有しないため、成形材料として用
いる場合に焼結成形などの手法を用いて加工しなければ
ならないとか、また、加工性は優れているがガラス転移
温度が低く、しかもハロゲン化炭化水素系の溶媒に可溶
で、耐熱性、耐溶剤性の面から満足が行かないなど、そ
の性能には一長一短があった。
【0003】一方、最近高機能性エンジニアリングプラ
スチックとして一群の液晶性高分子が注目されている。
液晶性高分子は、その性質上からサーモトロピック液晶
とライオトロピック液晶に分類されるが、特にサーモト
ロピック液晶は、溶融時に光学的異方性を示し、また溶
融成形時にせん断力をかけると分子鎖が配向して成形体
の機械的強度が向上するとともに、溶融粘度を低減させ
るなどの性質があるため、成形材料、複合材料などの分
野では幅広く用いられている。現在知られている液晶性
高分子は、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリア
ゾメチン(以上サーモトロピック液晶)、ポリアミド、
ポリベンゾチアゾール(以上ライオトロピック液晶)等
がある。また、最近ではポリエステルイミド、ポリエス
テルエーテルイミドなど分子骨格中にイミド基を含有す
る液晶高分子が報告されているが(例えば、特開昭60
−4531、特開平4−33925、USP−4,38
3,105等)、これらのポリマーの液晶性を発現する
部位は実質的にエステル部分であり、液晶性ポリイミド
とはいいがたい。また、これらのポリマーのガラス転移
温度は最高でも180℃前後であるから十分な耐熱性を
有しているとは言えない。すなわち、従来には液晶性を
示すポリイミドは全く知られていない。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポ
リイミドが本来有する優れた耐熱性に加え、液晶性で、
なおかつ成形加工性良好な熱可塑性ポリイミドを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定構造の芳
香族ジアミンをモノマー成分とするポリイミドが、ポリ
イミド固有の諸性能を損なう事なく、液晶性の優れた成
形加工性を有する熱可塑性ポリイミドであることを見い
出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は一般式
(1)〔化12〕
【0006】
【化12】 (式中、XはF、CH3 、Rは炭素数2〜27の脂肪族
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結され
た非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の
基を示す)で表される繰り返し構造単位を有するポリイ
ミド、その製造方法、およびこの繰り返し構造単位を有
するポリマー分子の末端が本質的に置換基を有しない
か、あるいはアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性
を有しない基で置換された芳香族環であるポリイミドで
あり、本ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸をジメ
チルアセトアミドに0.5g/dlの濃度で溶解した
後、35℃における対数粘度の値が、0.01〜3.0
dl/gであるポリイミド、または本ポリイミド粉を9
重量部のp−クロロフェノールと1重量部のフェノール
の混合溶媒に0.5g/dlの濃度で加熱溶解した後3
5℃において測定した対数粘度の値が0.01〜3.0
dl/gであるポリイミド、ならびにそれらの製造方法
である。より詳細には、本発明は一般式(1)〔化1
3〕
【0007】
【化13】 (式中、XはF、CH3 、Rは炭素数2〜27の脂肪族
基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結され
た非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の
基を示す)で表される繰り返し構造単位を有するポリイ
ミド、並びにこのポリイミドを式(3)〔化14〕
【0008】
【化14】 (式中、Xは前記に同じ。)で表される芳香族ジアミン
と、主として一般式(4){化15〕
【0009】
【化15】 (式中、Rは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す)で表
されるテトラカルボン酸二無水物を反応させ、得られる
ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化して製造す
る方法である。さらには、前記一般式(1)で表される
繰り返し構造単位の末端が本質的に置換基を有しない
か、あるいはアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性
を有しない基で置換された芳香族環であるポリイミド、
並びにこれらのポリイミドを前記式(3)で表される芳
香族ジアミンと、主として前記一般式(4)で表される
テトラカルボン酸二無水物を、式(5)〔化16〕
【0010】
【化16】 (式中、Z1 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す)で表
される芳香族ジカルボン酸無水物または、式(6)〔化
17〕
【0011】
【化17】Z2 −NH2 (6) (式中、Z2 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた1価の基を示す)で表
される芳香族モノアミンの存在下に反応させ、得られる
ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化することを
特徴とするポリイミドの製造方法である。本発明のポリ
イミドは、一般式(1)〔化18〕
【0012】
【化18】 (式中、XおよびRは前記の通りである。)で表される
繰り返し構造単位を有するポリイミドであり、またこの
ポリイミドの末端が芳香族であるポリイミドである。こ
の繰り返し構造単位のポリイミドは芳香族ジアミン成分
として、前記の式(3)〔化19〕
【0013】
【化19】 (式中、Xは前記に同じ。)が使用される。本発明の原
料として使用する前記式(3)の芳香族ジアミン、すな
わち、1,3-ビス[4-(4- アミノー6- フルオロフェノキ
シ)-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼン、および1,3-
ビス[4-(4- アミノ-6- メチルフェノキシ)-α, α- ジ
メチルベンジル]ベンゼンの製造方法は、それぞれ、1,
3-ビス[4-(4- ニトロ-6- フルオロフェノキシ)-α, α
- ジメチルベンジル]ベンゼンと1,3-ビス[4-(4- ニト
ロ-6- メチルフェノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]
ベンゼンを還元することにより製造できる。これら両ニ
トロ化合物は、例えば、1,3-ビス[(4- ヒドロキシ)-
α, α- ジメチルベンジル]ベンゼンと2-クロロ-5- ニ
トロフルオロベンゼン、あるいは、2-クロロ-5- ニトロ
メチルベンゼンとを、塩基の存在下、非プロトン性極性
溶媒中で反応させる方法によりそれぞれ製造される。ジ
ニトロ化合物を還元する方法は特に制限なく、通常ニト
ロ基をアミノ基に還元する方法、例えば、新実験化学講
座,15巻,酸化と還元,丸善(1977)に記載の方
法を適用できるが、工業的にはパラジウム触媒等の金属
触媒を用いて接触還元法により製造できる。
【0014】本発明のポリイミドは、前記式(3)、す
なわち1,3-ビス[4-(4- アミノ-6-フルオロフェノキシ)
-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼン、および/また
は1,3-ビス[4-(4- アミノ- 6-メチルフェノキシ)-α,
α- ジメチルベンジル]ベンゼンを芳香族ジアミンの必
須モノマー原料として用いる。これらのジアミンは単独
でも、あるいは混合して用いてもよい。さらに、ポリイ
ミドの良好な物性を損なわない範囲で他の芳香族ジアミ
ンを混合して使用することもできる。
【0015】混合して使用できるジアミンとしては、例
えばm-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-
フェニレンジアミン、m-アミノベンジルアミン、p-アミ
ノベンジルアミン、4,4'- ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3'- ジアミノジフェニルエーテル、3,4'- ジアミ
ノジフェニルエーテル、ビス(3- アミノフェニル) スル
フィド、ビス(4- アミノフェニル) スルフィド、(3- ア
ミノフェニル)(4-アミノフェニル)スルフィド、ビス(3
- アミノフェニル) スルホキシド、ビス(4- アミノフェ
ニル) スルホキシド、(3- アミノフェニル)(4-アミノフ
ェニル) スルホキシド、ビス(3- アミノフェニル) スル
ホン、ビス(4- アミノフェニル) スルホン、(3- アミノ
フェニル)(4-アミノフェニル) スルホン、3,3'- ジアミ
ノベンゾフェノン、4,4'- ジアミノベンゾフェノン、3,
4'- ジアミノベンゾフェノン、3,3'- ジアミノジフェニ
ルメタン、4,4'- ジアミノジフェニルメタン、3,4'- ジ
アミノジフェニルメタン、ビス[4-(3- アミノフェノキ
シ) フェニル]メタン、ビス[4-(4- アミノフェノキ
シ) フェニル]メタン、1,1-ビス[4-(3- アミノフェノ
キシ) フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(3- アミノフェ
ノキシ) フェニル]エタン、1,1-ビス[4-(4- アミノフ
ェノキシ) フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(4-アミノ
フェノキシ) フェニル]エタン、2,2-ビス[4-(3- アミ
ノフェノキシ) フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-
アミノフェノキシ) フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-
(3- アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2-ビス
[3-(3- アミノフェノキシ) フェニル]-1,1,1,3,3,3-
ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4- アミノフェ
ノキシ) フェニル]-1,1,1,3,3,3- ヘキサフルオロプロ
パン、1,3-ビス(3- アミノフェノキシ) ベンゼン、1,3-
ビス(4- アミノフェノキシ) ベンゼン、1,3-ビス(4- ア
ミノフェノキシ) ベンゼン、1,4-ビス(3- アミノフェノ
キシ) ベンゼン、1,4-ビス(4- アミノフェノキシ) ベン
ゼン、4,4'- ビス(3- アミノフェノキシ) ビフェニル、
4,4'- ビス(4- アミノフェノキシ) ビフェニル、ビス
[4-(3- アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス
[4-(4- アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス
[4-(3- アミノフェノキシ) フェニル]スルフィド、ビ
ス[4-(4- アミノフェノキシ) フェニル]スルフィド、
ビス[4-(3- アミノフェノキシ) フェニル]スルホキシ
ド、ビス[4-(4- アミノフェノキシ) フェニル]スルホ
キシド、ビス[4-(3- アミノフェノキシ) フェニル]ス
ルホン、ビス[4-(4- アミノフェノキシ) フェニル]ス
ルホン、ビス[4-(3- アミノフェノキシ) フェニル]エ
ーテル、ビス[4-(4- アミノフェノキシ) フェニル]エ
ーテル、1,4-ビス[4-(3- アミノフェノキシ) ベンゾイ
ル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3- アミノフェノキシ) ベ
ンゾイル]ベンゼン、4,4'- ビス[3-(4- アミノフェノ
キシ) ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'- ビス
[3-(3- アミノフェノキシ) ベンゾイル]ジフェニルエ
ーテル、4,4'- ビス[4-(4- アミノ- α, α- ジメチル
ベンジル) フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'- ビス
[4-(4- アミノ- α, α- ジメチルベンジル) フェノキ
シ]ジフェニルスルホン、ビス[4-[4-(4-アミノフェノ
キシ) フェノキシ] フェニル]スルホン、1,4-ビス[4-
(4- アミノフェノキシ) フェノキシ- α, α- ジメチル
ベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4- アミノフェノキ
シ) フェノキシ- α, α- ジメチルベンジル]ベンゼ
ン、1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- トリフルオロメチルフ
ェノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼン等が挙
げられ、またこれらは単独または2種以上を混合して使
用される。また、芳香族テトラカルボン酸二無水物とし
ては、一般式(4)〔化20〕
【0016】
【化20】 で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いる。一般式
(4)において、Rは炭素数2〜27以上の脂肪族基、
環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、
芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非
縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を
示し、具体的には、一般式(4)のRが、炭素数2〜1
0の脂肪族基、炭素数4〜10の環式脂肪族基、式
(a)〔化21〕
【0017】
【化21】 で表される単環式芳香族基、式(b)〔化22〕
【0018】
【化22】 で表される縮合多環式芳香族基、および式(c)〔化2
3〕
【0019】
【化23】 (式中、Xは直接結合、−CO−、−O−、−S−、−
SO2 −、−CH2 −、−C (CH3 )2−、−C( CF
3)2 −、式(d)〔化24〕、式(e)〔化25〕
【0020】
【化24】
【0021】
【化25】 または式(f)〔化26〕、
【0022】
【化26】 (ここで、Yは直接結合、−CO−、−O−、−S−、
−SO2 −、−CH2 −、−C (CH3)2 −、−C (C
3)2 −を示す)で表される芳香族基が直接または架橋
員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基からな
る群より選ばれた4価の基であるテトラカルボン酸二無
水物が使用される。
【0023】本発明で用いられる前記一般式(4)で表
されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エ
チレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテト
ラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,
3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,
3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',
3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス
(2,3- ジカルボキシフェニル) プロパン二無水物、ビス
(3,4- ジカルボキシフェニル) エーテル二無水物、ビス
(3,4- ジカルボキシフェニル) スルホン二無水物、1,1-
ビス(2,3- ジカルボキシフェニル) エタン二無水物、ビ
ス(2,3- ジカルボキシフェニル) メタン二無水物、ビス
(3,4- ジカルボキシフェニル) メタン二無水物、2,2-ビ
ス(3,4- ジカルボキシフェニル) -1,1,1,3,3,3- ヘキサ
フルオロプロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,9,10- ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,
7,- アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-
フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ
る。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられ
る。
【0024】これらの芳香族ジアミン成分と芳香族テト
ラカルボン酸二無水物成分をモノマー成分として得られ
るポリイミドは、主として一般式(1)の繰り返し構造
単位を有するポリイミドであり、また主として一般式
(1)の繰り返し構造単位を有するポリイミドが、その
ポリマー分子末端に置換基を有しないか、あるいはアミ
ンまたはジカルボン酸無水物と反応製を有しない基で置
換された芳香族環を有するポリイミド、またはこれらの
ポリイミドを含有する組成物も含まれる。この末端に置
換基を有しないか、あるいはアミンまたはジカルボン酸
無水物と反応性を有しない基で置換された芳香族環を有
するポリイミドは、前記式(3)の芳香族アミンと、主
として前記一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二
無水物を、式(5)〔化27〕
【0025】
【化27】 (式中、Z1 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す)で表
される芳香族ジカルボン酸無水物または、式(6)〔化
28〕
【0026】
【化28】Z2 −NH2 (6) (式中、Z2 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群より選ばれた1価の基を示す)で表
される芳香族モノアミンの存在下に反応させ、得られる
ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化することに
より得られる。
【0027】ここで、式(5)、式(6)中のZ1およ
びZ2は前記式(1)で表されるポリイミド式中のRと
同じ定義の物が含まれ、具体的にはこれらの方法で使用
されるジカルボン酸無水物として、無水フタル酸、2,3-
ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4-ベンゾフェノ
ンジカルボン酸無水物、2,3-ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニ
ルエーテル無水物、2,3-ビフェニルジカルボン酸無水
物、3,4-ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3-ジカルボ
キシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4-ジカルボキ
シフェニルフェニルスルホン無水物、2,3-ジカルボキシ
フェニルフェニルスルフィド無水物、3,4-ジカルボキシ
フェニルフェニルスルフィド無水物、1,2-ナフタレンジ
カルボン酸無水物、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水
物、1,8-ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2-アントラ
センジカルボン酸無水物、2,3-アントラセンジカルボン
酸無水物、1,9-アントラセンジカルボン酸無水物等が挙
げられる。これらのジカルボン酸無水物はアミンまたは
ジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されて
も差し支えない。
【0028】これらのジカルボン酸無水物の中で、無水
フタル酸が得られるポリイミドの性質面及び実用面から
最も好ましい。すなわち、高温成形時における成形安定
性の優れたポリイミドであり、優れた耐薬品性を有して
おり、前記の優れた加工性を考え合わせると、例えば、
宇宙航空機用基材、電気・電子部品として、極めて有用
なポリイミドである。
【0029】また、無水フタル酸を使用する場合、ポリ
イミドの良好な物性を損なわない範囲でその一部を他の
ジカルボン酸無水物で代替して用いることはなんら差し
支えない。
【0030】用いられるジカルボン酸無水物の量は、式
(3)で表される芳香族ジアミン1モル当り0.001
〜1.0モル比である。0.001モル未満では高温成
形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低下の原因とな
る。また、1.0モルを越えると機械的特性が低下す
る。好ましい使用量は0.01〜0.5モルである。
【0031】また、芳香族モノアミンを使用する場合、
芳香族モノアミンとしては、例えばアニリン、o-トルイ
ジン、m-トルイジン、p-トルイジン、2,3-キシリジン、
2,6-キシリジン、3,4-キシリジン、3,5-キシリジン、o-
クロロアニリン、m-クロロアニリン、p-クロロアニリ
ン、o-ブロモアニリン、m-ブロモアニリン、p-ブロモア
ニリン、o-ニトロアニリン、m-ニトロアニリン、p-ニト
ロアニリン、o-アミノフェノール、m-アミノフェノー
ル、p-アミノフェノール、o-アニシジン、m-アニシジ
ン、p-アニシジン、o-フェネジン、m-フェネジン、p-フ
ェネジン、o-アミノベンツアルデヒド、m-アミノベンツ
アルデヒド、p-アミノベンツアルデヒド、o-アミノベン
ゾニトリル、m-アミノベンゾニトリル、p-アミノベンゾ
ニトリル、2-アミノビフェニル、3-アミノビフェニル、
4-アミノビフェニル、2-アミノフェニルフェニルエーテ
ル、3-アミノフェニルフェニルエーテル、4-アミノフェ
ニルフェニルエーテル、2-アミノベンゾフェノン、3-ア
ミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、2-アミ
ノフェニルフェニルスルフィド、3-アミノフェニルフェ
ニルスルフィド、4-アミノフェニルフェニルスルフィ
ド、2-アミノフェニルフェニルスルホン、3-アミノフェ
ニルフェニルスルホン、4-アミノフェニルフェニルスル
ホン、α- ナフチルアミン、β- ナフチルアミン、1-ア
ミノ-2- ナフトール、2-アミノ-1- ナフトール、4-アミ
ノ-1- ナフトール、5-アミノ-1- ナフトール、5-アミノ
-2- ナフトール、7-アミノ-2- ナフトール、8-アミノ-1
- ナフトール、8-アミノ-2- ナフトール、1-アミノアン
トラセン、2-アミノアントラセン、9-アミノアントラセ
ン等が挙げられる。これらの芳香族モノアミンは、アミ
ンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しない基で置
換されても差し支えない。用いられる芳香族モノアミン
の量は、一般式(4)で表されるテトラカルボン酸二無
水物1モル当り、0.001〜1.0モル比である。
0.001モル未満では、高温成形時に粘度の上昇がみ
られ成形加工性低下の原因となる。また、1.0モル比
を越えると機械的特性が低下する。好ましい使用量は、
0.01〜0.5モルの割合である。
【0032】このように、本発明のポリイミドの末端が
置換基を有しないか、または置換芳香環であるポリイミ
ドを製造する場合、テトラカルボン酸二無水物、芳香族
ジアミン、およびジカルボン酸無水物または芳香族モノ
アミンのモル比は、テトラカルボン酸二無水物1モル当
り、芳香族ジアミンは0.9〜1.0モル、ジカルボン
酸無水物または芳香族モノアミンは0.001〜1.0
モルである。ポリイミドの製造にあたって、生成ポリイ
ミドの分子量を調節するために、テトラカルボン酸二無
水物と芳香族ジアミンの量比を調節することは通常行わ
れている。本発明の方法においては、溶融流動性の良好
なポリイミドを得るために適切なテトラカルボン酸二無
水物に対する芳香族ジアミンのモル比は0.9〜1.0
の範囲である。
【0033】本発明のポリイミドの製造方法としては、
ポリイミドを製造可能な方法が公知方法を含め全て適用
できるが、中でも、有機溶媒中で反応を行うことが特に
好ましい方法である。 このような反応において用いら
れる溶媒は、好ましくは、N,N-ジメチルアセトアミドで
あるが、そのほかに使用できる溶媒としては、例えばN,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、
N,N-ジメトキシアセトアミド、N-メチル-2- ピロリド
ン、1,3-ジメチル-2- イミダゾリジノン、N-メチルカプ
ロラクタム、1,2-ジメトキシエタン、ビス(2- メトキシ
エチル) エーテル、1,2-ビス(2- メトキシエトキシ) エ
タン、ビス〔2-(2- メトキシエトキシ) エチル〕エーテ
ル、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキ
サン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホス
ホルアミド、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾー
ル、p-クレゾール、m-クレゾール酸、p-クロロフェノー
ル、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙
げられる。また、これらの有機溶媒は単独でも2種類以
上混合して用いても差し支えない。
【0034】本発明の方法で有機溶媒に、式(3)の芳
香族ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジカ
ルボン酸無水物または芳香族モノアミンを添加、反応さ
せる方法としては、(イ)テトラカルボン酸二無水物と
芳香族ジアミンを反応させた後に、芳香族ジカルボン酸
無水物または芳香族モノアミンを添加して反応を続ける
方法、(ロ)芳香族ジアミンに芳香族ジカルボン酸無水
物を加えて反応させた後、テトラカルボン酸二無水物を
添加し、更に反応を続ける方法、(ハ)テトラカルボン
酸二無水物に芳香族モノアミンを加えて反応させた後、
芳香族ジアミンを添加し、更に反応を続ける方法、
(ニ)テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン、芳
香族ジカルボン酸無水物または芳香族モノアミンを同時
に添加し、反応させる方法等が挙げられ、いずれの添加
方法をとっても差し支えない。
【0035】反応温度は通常250℃以下、好ましくは
50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で
十分実施できる。反応時間はテトラカルボン酸二無水物
の種類、溶媒の種類および反応温度によって異なり、通
常4〜24時間で十分である。更に得られたポリアミド
酸を100〜400℃に加熱してイミド化するか、また
は無水酢酸等のイミド化剤を用いて化学イミド化するこ
とにより、ポリアミド酸に対応する繰り返し構造単位を
有するポリイミドが得られる。
【0036】本ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸
を0.5g/dlの濃度でN,N-ジメチルアセトアミドに
溶解した後、35℃で測定した対数粘度の値は0.01
〜3.0dl/gであり、更に本ポリイミド粉を9重量
部のp−クロロフェノールと1重量部のフェノールの混
合溶媒に0.5g/dlの濃度で加熱溶解した後、35
℃において測定した対数粘度の値は0.01〜3.0d
l/gである。また、式(3)の芳香族ジアミンとテト
ラカルボン酸二無水物、さらにはポリイミドの末端を芳
香環とする場合は芳香族ジカルボン酸無水物または芳香
族モノアミンとを、有機溶媒中に懸濁または溶解させた
後加熱し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の生
成と同時にイミド化を行うことにより目的のポリイミド
を得ることも可能である。更に、本特許におけるポリイ
ミドフィルムの製造方法としては、本ポリイミドの前駆
体であるポリアミド酸のワニスをガラスプレート上に塗
布した後、加熱してイミド化する手法、あるいは、直接
ポリイミド粉を加熱・加圧することによりフィルム状に
する手法が可能である。
【0037】すなわち、従来公知の手法を用いて、フィ
ルム状もしくは粉末状のポリイミドを得ることができ
る。また、本発明のポリイミドは、溶融成形に供する場
合、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹
脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェ
ニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、変成ポリフェニレンオキシド、本発明以外のポリイ
ミド等を目的に応じて適当量を配合することも可能であ
る。また、更に通常の樹脂組成物に使用する次のような
充填剤等を発明の目的を損なわない範囲で用いてもよ
い。すなわち、グラファイト、カーボランダム、ケイ石
粉、二硫化モリブデン、フッ素系樹脂などの耐摩耗性向
上剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強剤、三酸化ア
ンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難燃
性向上剤、クレー、マイカ等の電気的特性向上剤、アス
ベスト、シリカ、グラファイト等の耐トラッキング向上
剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム等の
耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、銅粉等
の熱伝導度向上剤、その他ガラスビーズ、ガラス球、タ
ルク、ケイ藻度、アルミナ、シラスバルン、水和アルミ
ナ、金属酸化物、着色料等である。
【0038】本発明のポリイミドは液晶性を有するた
め、上記に示したような熱可塑性樹脂と配合した場合、
熱可塑性樹脂の溶融粘度を下げることが可能である。ま
た、本発明のポリイミドは、各種成形材料や、フィルム
の形態の他に、繊維としての形態も可能である。更に、
炭素繊維等の繊維類よりなる繊維布に本発明もポリイミ
ドを含浸した複合材料としても用いられる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、実施例中のポリイミドの物性は以下の方法に
より測定した。 Tg,Tc,Tm;DSC(島津DT−40シリーズ、
DSC−41M)により測定。 溶融粘度;島津高化式フローテスター(CFT500
A)により荷重100kgで測定。 対数粘度;p−クロロフェノール/フェノール(重量比
9/1)混合溶媒に、0.5g/100mlの濃度で溶
解した後、35℃において測定。
【0040】合成例1 (1,3-ビス[4-(4- ニトロ-6- フルオロフェノキシ)-
α, α- ジメチルベンジル]ベンゼンの合成) 温度計、還流冷却器、攪拌器を備えた容器に、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)200g、3,4-ジフルオロ
ニトロベンゼン65g(0.409mol)、1,3-ビス
(4- ヒドロキシクミル) ベンゼン69.1g(0.19
9mol)、炭酸カリウム33.1g(0.239mo
l)をそれぞれ装入し、攪拌下に80℃まで昇温した
後、80℃で6時間熟成した。反応終了後、濾過するこ
とによって無機塩を取り除いた。濾液に水50mlを加
え、室温まで冷却して目的物を晶析させた。析出した結
晶を濾別し、更に、イソプロピルアルコールでスラッジ
ングすることにより目的物である1,3-ビス[4-(4- ニト
ロ-6- フルオロフェノキシ)-α, α- ジメチルベンジ
ル]ベンゼンを得た。 融点 150.7〜151.8℃ 収量 129.4g 収率 97% 元素分析(C36H30N2O6F2) C H N F ──────────────────────────────── 計算値(%) 69.22 4.84 4.48 6.08 実測値(%) 69.41 4.80 4.39 6.10 ────────────────────────────────
【0041】合成例2 (1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- フルオロフェノキシ)-
α, α- ジメチルベンジル]ベンゼンの合成) 温度計、還流冷却器、攪拌器を取り付けた還元装置に、
1,3-ビス[4-(4- ニトロ-6- フルオロフェノキシ)-α,
α- ジメチルベンジル]ベンゼン115g(0.184
mol)、イソプロピルアルコール250gおよび5%
−Pd/C4.8g(50%含水品)を装入し、水素雰
囲気下70〜80℃で4時間反応した。反応終了後、触
媒を濾別し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色結晶の1,3-ビ
ス[4-(4- アミノ-6- フルオロフェノキシ)-α, α- ジ
メチルベンジル]ベンゼンを得た。 融点 103.8〜105.6℃ 収量 84.2g 収率 81% 1.82 [s, 12H(1) ] 3.70 [s, 4H(2) ] 6.65 [dd, 2H(3) ] 6.66 [d, 2H(4) ] 6.94〜7.45 [m, 6H(5) ] 7.00 [d, 4H(6) ] 7.33 [d, 4H(7) ] 注)※ s:singlet,d:doublet,m:multi
【0042】
【化29】 元素分析(C36H34N2O2F2) C H N F ──────────────────────────────── 計算値(%) 76.57 6.07 5.96 6.73 実測値(%) 76.55 6.11 5.91 6.77 ────────────────────────────────
【0043】合成例3 (1,3-ビス[4-(4- ニトロ-6- メチルフェノキシ)-α,
α- ジメチルベンジル]ベンゼンの合成) 温度計、還流冷却器、攪拌器を備えた容器に、N,N-ジメ
チルホルムアミド(DMF)200g、トルエン10
g、2-クロロ-5-ニトロトルエン80g(0.466m
ol)、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミル) ベンゼン7
8.8g(0.227mol)、炭酸カリウム37.7
g(0.273mol)をそれぞれ装入し、攪拌下に1
50℃まで昇温した後、150℃で7時間熟成した。反
応終了後、90℃に冷却し、濾過することによって無機
塩を取り除いた。濾液に水56mlを加え、室温まで冷
却して目的物を晶析させた。析出した結晶を濾別し、更
に、イソプロピルアルコールでスラッジングすることに
より目的物である1,3-ビス[4-(4- ニトロ-6- メチルフ
ェノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼンを得
た。 融点 116.3〜117.6℃ 収量 133.9g 収率 96% 元素分析(C38H36N2O6) C H N ───────────────────────── 計算値(%) 74.01 5.88 4.54 実測値(%) 74.28 5.59 4.70 ─────────────────────────
【0044】合成例4 (1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- メチルフェノキシ)-α,
α- ジメチルベンジル]ベンゼンの合成) 温度計、還流冷却器、攪拌器を取り付けた還元装置に、
1,3-ビス[4-(4- ニトロ-6- メチルフェノキシ)-α, α
- ジメチルベンジル]ベンゼン120g(0.195m
ol)、イソプロピルアルコール400gおよび5%−
Pd/C5g(50%含水品)を装入し、水素雰囲気下
70〜80℃で4時間反応した。反応終了後、触媒を濾
別し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色結晶の1,3-ビス[4-
(4- アミノ-6- メチルフェノキシ)-α, α- ジメチルベ
ンジル]ベンゼンを得た。 融点 118.1〜118.2℃ 収量 89.0g 収率 82% 1.84 [s, 12H(1) ] 2.33 [s, 6H(2) ] 3.52 [s, 4H(3) ] 6.64〜7.47 [m, 10H(4) ] 6.94 [d, 4H(5) ] 7.29 [d, 4H(6) ] 注)※ s:singlet,d:doublet,m:multi
【0045】
【化30】 元素分析(C38H40N2O2) C H N ───────────────────────── 計算値(%) 81.98 7.24 5.03 実測値(%) 82.18 7.22 5.15 ─────────────────────────
【0046】実施例1 攪拌機、還流冷却器、水分離器、および窒素導入管を備
えた容器に、1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- フルオロフェ
ノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼン56.4
7g(0.1モル)、ピロメリット酸二無水物21.3
8g(0.098モル)、無水フタル酸0.592g
(0.004モル)、γ−ピコリン1.40g、m−ク
レゾール311.4gを装入し、窒素雰囲気下において
攪拌しながら150℃まで加熱昇温した。その後、15
0℃で4時間反応した。この間約3.6mlの水の留出
が確認された。反応終了後、室温まで冷却し、約2.0
Lのメチルエチルケトンに排出した後、ポリイミド粉を
濾別した。このポリイミド粉をメチルエチルケトンで洗
浄した後、空気中50℃で24時間、減圧下180℃で
4時間乾燥して72.56g(収率97.0%)のポリ
イミド粉を得た。かくして得られたポリイミド粉の対数
粘度は0.50dl/g、ガラス転移温度は186℃、
融点は350℃であった。このポリイミド粉の赤外吸収
スペクトルを図1に示す。このスペクトル図からイミド
特性吸収帯である1780,1720cm-1付近の吸収
が顕著に認められた。なお、ポリイミド粉の元素分析値
は以下の通りであった。 元素分析値 C H N F 計算値(%) 73.98 4.33 3.75 5.09 測定値(%) 73.42 4.56 3.71 4.99 更に、このポリイミドの成形加工安定性を高化式フロー
テスターを使用し、100Kgの荷重、および直径0.
1cm、長さ1cmのオリフィスを用いて測定した。溶
融流動開始温度は350℃、370℃、滞留時間5分に
おける溶融粘度は3940ポイズであった。また、37
0℃においてシリンダー内滞留時間を変えて溶融粘度を
測定した結果を図2に示す。シリンダー内の滞留時間が
長くなっても溶融粘度はほとんど変化せず、熱安定性の
良好なことがわかる。更に、本ポリイミド粉を市販され
ているポリエーテルスルホン(ICI社製、商品名:V
ICTREX PES 4100P)と混合し(重量
比:ポリエーテルスルホン/本ポリイミド=7/3)、
370℃における溶融粘度を測定した(滞留時間5
分)。その結果を以下に示す。
【0047】 すなわち、本ポリイミドをポリエーテルスルホンに混合
することにより、溶融粘度が大幅に低減し、また得られ
たストランドは押し出し方向に配向して繊維状のフィブ
リルが観察されるなど液晶性高分子特有の性質が観察さ
れた。
【0048】実施例2 無水フタル酸を使用しないこと以外は実施例1と全く同
様にしてポリイミド粉77.84g(収率97.3%)
を得た。かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は
0.52dl/g、ガラス転移温度は190℃、融点は
352℃であった。このポリイミドの成形加工安定性を
フローテスターを用いて実施例1と同様にして測定し
た。結果を実施例1の結果と併せて図2に示す。本実施
例で得られるポリイミドは、溶融成形可能であるが、
リンダー内の滞留時間が長くなるに従い溶融粘度が増加
し、実施例1で得られたポリイミドに比較して成形安定
性の悪いことがわかる。
【0049】実施例3 実施例1における1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- フルオロ
フェノキシ)-α, α-ジメチルベンジル]ベンゼン5
6.47g(0.1モル)を1,3-ビス[4-(4- アミノ-6
- メチルフェノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]ベン
ゼン55.68g(0.1モル)に変えた以外は実施例
1と同様に行ってポリイミド粉71.29g(収率9
6.3%)を得た。かくして得られたポリイミド粉の対
数粘度は0.51dl/g、ガラス転移温度は185℃
であった。このポリイミド粉の赤外吸収スペクトルを図
3に示す。このスペクトル図からイミド特性吸収帯であ
る1780,1720cm -1 付近の吸収が顕著に認めら
れた。なお、ポリイミド粉の元素分析値は以下の通りで
あった。元素分析値 C H N 計算値(%) 77.58 5.23 3.84 測定値(%) 77.44 5.30 3.91 更に、このポリイミドの成形加工安定性を高化式フロー
テスターを使用し、100gの荷重、および直径0.
1cm、長さ1cmのオリフィスを用いて測定した。溶
融流動開始温度は320℃、370℃、滞留時間5分に
おける溶融粘度は3360ポイズであった。また、37
0℃においてシリンダー内滞留時間を変えて溶融粘度を
測定した結果を図4に示す。シリンダー内の滞留時間が
長くなっても溶融粘度はほとんど変化せず、熱安定性の
良好なことがわかる。更に、本ポリイミド粉を市販され
ているポリエーテルスルホン(ICI社製、商品名:V
ICTREX PES 4100P)と混合し(重量
比:ポリエーテルスルホン/本ポリイミド=7/3)、
370℃における溶融粘度を測定した(滞留時間5
分)。その結果を以下に示す。
【0050】 すなわち、本ポリイミドをポリエーテルスルホンに混合
することにより、溶融粘度が大幅に低減し、また得られ
たストランドは押し出し方向に配向して繊維状のフィブ
リルが観察されるなど液晶性高分子特有の性質が観察さ
れた。
【0051】実施例4 無水フタル酸を使用しないこと以外は実施例3と全く同
様にしてポリイミド粉72.02g(収率98.0%)
を得た。かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は
0.53dl/g、ガラス転移温度は189℃であっ
た。このポリイミドの成形加工安定性をフローテスター
を用いて実施例3と同様にして測定した。結果を実施例
3の結果と併せて図4に示す。本実施例で得られるポリ
イミドは、シリンダー内の滞留時間が長くなるに従い溶
融粘度が増加し、実施例3で得られたポリイミドに比較
して成形安定性の悪いことがわかる。
【0052】実施例 実施例1と全く同様な方法により、表1に示すようなジ
アミン成分、酸無水物成分を用いて各種ポリイミド粉を
得た。表1には、対数粘度、ガラス転移温度(Tg)、
370℃におけるポリイミド粉単独の溶融粘度、同じく
ポリエーテルスルホン混合(重量比:PES/本ポリイ
ミド=7/3)の溶融粘度を併せて示す。各実施例のポ
リイミド粉とポリエーテルスルホンを混合することによ
り、溶融粘度が大幅に低減し、また得られたストランド
は押し出し方向に配向して繊維状のフィブリルが観察さ
れるなど液晶性高分子特有の性質が観察された。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明のポリイミドは、1,3-ビス[4-(4
- アミノ-6- フルオロフェノキシ)-α, α- ジメチルベ
ンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4- アミノ-6- メチル
フェノキシ)-α, α- ジメチルベンジル]ベンゼンを芳
香族ジアミン成分として用いることを特徴とし、優れた
加工性、耐熱性、さらには液晶性を有するポリイミドで
ある。このポリイミドは、従来のポリイミドと同様な耐
熱性を有しながら、熱可塑性でかつ液晶性を有するため
成形加工性も良好であるため、産業上特に成形材料分
野、あるいは電気・電子材料分野などにおいて利用が大
きく期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明、実施例1で得られたポリイミド粉の
赤外吸収スペクトル図である。
【図2】 実施例1、および実施例2で得られたポリイ
ミド粉のフローテスターのシリンダー内滞留時間と溶融
粘度変化の関係を測定した結果である。
【図3】 本発明、実施例で得られたポリイミド粉の
赤外吸収スペクトル図である。
【図4】 実施例、および実施例4で得られたポリイ
ミド粉のフローテスターのシリンダー内滞留時間と溶融
粘度変化の関係を測定した結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅沼 正 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 藤本 保 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/10 CA(STN)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)〔化1〕 【化1】 (式中、XはF、CH3 、Rは炭素数2〜27の脂肪族
    基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
    基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結され
    た非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の
    基を示す)で表される繰り返し構造単位を有する液晶性
    ポリイミド。
  2. 【請求項2】 一般式(1)〔化2〕 【化2】 (式中、XはF、CH3 、Rは炭素数2〜27の脂肪族
    基、環式脂肪族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族
    基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結され
    た非縮合多環式芳香族基からなる群より選ばれた4価の
    基を示す)で表される繰り返し構造単位を有し、そのポ
    リマー分子の末端が本質的に置換基を有しないか、ある
    いはアミンまたはジカルボン酸無水物と反応性を有しな
    い基で置換された芳香族環である液晶性ポリイミド。
  3. 【請求項3】 式(1)で表される繰り返し構造単位を
    有するポリイミドの前駆体である下記式(2)〔化3〕 【化3】 (式中XおよびRは、前記に同じ。)で表されるポリア
    ミド酸をN,N-ジメチルアセトアミドに0.5g/dlの
    濃度で溶解した後、35℃において測定した対数粘度の
    値が0.01〜3.0dl/gである請求項1および2
    記載の液晶性ポリイミド。
  4. 【請求項4】 式(1)で表される繰り返し構造単位を
    有するポリイミド0.5gを9重量部のp−クロロフェ
    ノールと1重量部のフェノールとの混合溶媒100ml
    に溶解した後、35℃において測定した対数粘度の値が
    0.01〜3.0dl/gである請求項1または2記載
    の液晶性ポリイミド。
  5. 【請求項5】 式(3)〔化4〕 【化4】 (式中、Xは前記に同じ。)で表される芳香族ジアミン
    と、主として一般式(4)〔化5〕 【化5】 (式中、Rは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族
    基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す)で表
    されるテトラカルボン酸二無水物を反応させ、得られる
    ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化することを
    特徴とする請求項1記載の液晶性ポリイミドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 式(3)〔化6〕 【化6】 (式中、Xは前記に同じ。)で表される芳香族ジアミン
    と、主として一般式(4)〔化7〕 【化7】 (式中、Rは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族
    基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す)で表
    されるテトラカルボン酸二無水物を、式(5)〔化8〕 【化8】 (式中、Z1 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
    基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた2価の基を示す)で表
    される芳香族ジカルボン酸無水物の存在下に反応させ、
    得られるポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化す
    ることを特徴とする請求項2記載の液晶性ポリイミドの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 式(3)〔化9〕 【化9】 (式中Xは、前記に同じ。)で表される芳香族ジアミン
    と、主として一般式(4)〔化10〕 【化10】 (式中、Rは炭素数2〜27の脂肪族基、環式脂肪族
    基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた4価の基を示す)で表
    されるテトラカルボン酸二無水物を、式(6)〔化1
    1〕 【化11】Z2 −NH2 (6) (式中、Z2 は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
    基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
    直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
    芳香族基からなる群より選ばれた1価の基を示す)で表
    される芳香族モノアミンの存在下に反応させ、得られる
    ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化することを
    特徴とする請求項2記載の液晶性ポリイミドの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 芳香族ジカルボン酸無水物が、無水フタ
    ル酸である請求項6記載の液晶性ポリイミドの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 芳香族モノアミンが、アニリンである請
    求項7記載の液晶性ポリイミドの製造方法。
  10. 【請求項10】 芳香族ジカルボン酸無水物の使用量
    が、式(3)で表される芳香族ジアミン1モルに対して
    0.001〜1.0モルの割合である請求項6記載の液
    晶性ポリイミドの製造方法。
  11. 【請求項11】 無水フタル酸の使用量が、式(3)で
    表される芳香族ジアミン1モルに対して0.001〜
    1.0モルの割合である請求項6記載の液晶性ポリイミ
    ドの製造方法。
  12. 【請求項12】 芳香族モノアミンの使用量が、式
    (4)で表されるテトラカルボン酸無水物1モルに対し
    て0.001〜1.0モルの割合である請求項7記載の
    液晶性ポリイミドの製造方法。
  13. 【請求項13】 アニリンの使用量が、式(4)で表さ
    れるテトラカルボン酸無水物1モルに対して0.001
    〜1.0モルの割合である請求項7記載の液晶性ポリイ
    ミドの製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1または2記載のポリイミドを
    含有する組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1または2記載のポリイミドを
    含有するポリイミドフィルム。
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