JP6769428B2 - Rh真空脱ガス装置における副原料の添加方法 - Google Patents

Rh真空脱ガス装置における副原料の添加方法 Download PDF

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本発明は、RH真空脱ガス装置の真空槽内に溶鋼成分調整用の金属(合金鉄及び純金属)やスラグ組成調整用のフラックスなどの副原料を、真空槽に設置された副原料投入口を介して添加する方法に関し、特に、粒子の平均単重の小さい副原料を添加する方法に関する。
鉄鋼製造工程の製鋼過程では、溶銑の脱炭吹錬(「一次精錬」という)を転炉にて行い、その後、溶製した溶鋼を取鍋に出湯し、取鍋内の溶鋼をRH真空脱ガス装置の真空槽へ環流し、溶鋼を減圧下で精錬(「二次精錬」という)することが広く行われている。この減圧下の精錬によって、溶鋼内の水素や窒素が除去されると同時に、非金属介在物の浮上が促進されて、溶鋼の清浄性が高められている。
また、真空槽には副原料投入口(合金投入口ともいう)が設けられており、減圧下の真空槽内に投入された溶鋼成分調整用の金属(合金鉄及び純金属)は空気と接触しないので、添加した金属は空気酸化することなく添加され、大気中で添加した場合に比べて、添加歩留まりが高くなる。そのため、溶鋼成分を所望する狭い成分範囲に調整することが可能となり、したがって、通常、RH真空脱ガス装置では、溶鋼の最終成分調整が行われている。また、取鍋内のスラグの組成を調整するために、MgOなどの酸化物粉体を、真空槽に設置された副原料投入口から投入することも行われている。
しかしながら、RH真空脱ガス装置では、真空槽内にアルゴンガスなどの不活性ガスを環流用ガスとして吹き込んでおり、しかも、真空槽の圧力を低く保つことを目的として、常に、排気しているので、平均単重の小さい軽量な副原料(合金鉄、純金属、フラックス)は、排気される不活性ガスに随伴して真空槽から排出され、歩留まりが悪いことが課題であった。
この課題に対し、特許文献1には、真空槽の上部に副原料投入口及び排気ダクトを備えたRH真空脱ガス装置において、副原料投入孔を、真空槽を上方からみた平面において、真空槽内のガス流速が低い位置の天井部領域に設置したRH真空脱ガス装置が提案されている。
また、特許文献2には、溶鋼中炭素濃度が0.005質量%以下の極低炭素鋼をRH真空脱ガス装置で溶製する際に、溶鋼中炭素濃度が0.005質量%以下の目標値に到達した時点で副原料投入口から金属アルミニウムを添加して脱酸し、その後、設定真空度を65torr(8.66kPa)以上としたうえで副原料投入口から金属マンガンを添加してマンガン濃度の調整を行い、更に、65torr以上の圧力下の条件で、アルミニウム、マンガン以外の成分を製品用途に応じた成分に調整し、その後、RH真空脱ガス精錬を終了する精錬方法が提案されている。
特開2000−273526号公報 特開平8−291319号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1に提案される手法による歩留まり向上対策は、新規設備においては有効であるが、既設のRH真空脱ガス装置においては改造工事を伴うものであり、多額の設備投資が必要であるという問題がある。
また、特許文献2に提案される手法による歩留まり向上対策は、脱ガス精錬時の真空槽内の圧力が高く、水素及び窒素といったガス成分の除去が十分ではなく、RH真空脱ガス装置の本来の目的である水素及び窒素といったガス成分を溶鋼から除去する処理が必要な場合には、適用できないという問題がある。
尚、後述するように、本発明者らは、平均単重が20.0gのアルミショットは、真空槽を最大の排気能力で排気している状態であっても、排気ガスに随伴して真空槽から排出する比率は極めて少ないことを確認している。つまり、平均単重が20.0g以上の副原料を添加する場合には、特に対策を行わなくても、高い歩留まりで添加できることを確認している。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特許文献1で好適とされない設備仕様のRH真空脱ガス装置においても設備投資を伴わず、且つ、特許文献2とは異なり、水素及び窒素といったガス成分を溶鋼から除去する処理においても、平均単重が20.0g未満の副原料を、真空槽に設置された副原料投入口を介して真空槽内の溶鋼に高い歩留まりで添加することのできる、RH真空脱ガス装置における副原料の添加方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]RH真空脱ガス装置の真空槽に設置された副原料投入口を介してRH真空脱ガス装置で精錬されている真空槽内の溶鋼に副原料を添加する方法であって、
平均単重が20.0g未満の副原料を添加する際は、真空槽内の圧力を上昇させた後に添加し、添加後、真空槽内の圧力を低下させることを特徴とする、RH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
[2]前記副原料の平均単重は5.0g以下であることを特徴とする、上記[1]に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
[3]前記副原料投入口の真空槽内壁での開口部下端は、真空槽内を排気する排気ダクトの真空槽内壁での開口部上端よりも鉛直方向上方に設置されていることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
[4]真空槽内の圧力を0.50kPa以上に上昇させて副原料を添加し、副原料の添加後、真空槽内の圧力を0.27kPa以下に低下させることを特徴とする、上記[1]ないし上記[3]のいずれか1項に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
本発明によれば、RH真空脱ガス装置で、金属(合金鉄、純金属)やフラックスなどの単重の小さい副原料を真空槽内に添加する際に、真空槽内の圧力を一時的に上昇させるので、RH真空脱ガス装置の設備仕様に拘わらず、単重の小さい副原料を高い歩留まりで真空槽内の溶鋼に添加することができる。また、副原料の添加後、速やかに真空槽内の圧力を低下させるので、水素や窒素といったガス成分は溶鋼から除去され、ガス成分の低い鋼種であっても、単重の小さい副原料を高い歩留まりで真空槽内の溶鋼に添加することができる。
本発明に係る副原料の添加方法を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の一例の概略縦断面図である。 試験で使用した脱酸用金属アルミニウムの外観写真であり、図2(A)は、アルミショットの外観写真で、図2(B)は、アルミペレットの外観写真である。 真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持した状態で、アルミショット及びアルミペレットを添加して未脱酸の溶鋼を脱酸したときのロスアルミニウム量を比較して示す図である。 真空槽内の圧力を0.40〜0.70kPaに上昇させてアルミペレットを添加した試験と、真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持してアルミショットを添加した試験とで、ロスアルミニウム量を比較して示す図である。 真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持してアルミショットを添加した試験と、真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させてアルミペレットを添加した試験とで、RH真空脱ガス精錬終了時点での溶鋼中水素濃度を比較して示す図である。 本発明例と従来例とで、マンガン純分添加原単位と溶鋼中マンガン濃度上昇量との関係を比較して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る副原料の添加方法を実施する際に用いるRH真空脱ガス装置の一例の概略縦断面図である。
図1において、符号1はRH真空脱ガス装置、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は真空槽、6は上部槽、7は下部槽、8は上昇側浸漬管、9は下降側浸漬管、10は環流用ガス吹き込み管、11は排気ダクト、12は副原料投入口、13は上吹きランスであり、真空槽5は上部槽6と下部槽7とから構成されている。上吹きランス13は、真空槽内を上下移動が可能となっており、酸素ガスを真空槽内の溶鋼3に吹き付けたり、CaO系脱硫剤などの粉体を搬送用ガスとともに真空槽内の溶鋼3に吹き付けたり、先端部にバーナー火炎を形成させて真空槽内を加熱したりする装置である。
RH真空脱ガス装置1では、取鍋2を昇降装置(図示せず)にて上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋内の溶鋼3に浸漬させる。そして、環流用ガス吹き込み管10から上昇側浸漬管8の内部に環流用ガス(アルゴンガス、窒素ガスまたはアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガス)を吹き込むとともに、真空槽5の内部を排気ダクト11に連結される排気装置(図示せず)にて排気して真空槽5の内部を減圧する。真空槽5の内部が減圧されると、取鍋内の溶鋼3は、環流用ガス吹き込み管10から吹き込まれる環流用ガスによるガスリフト効果によって、環流用ガスとともに上昇側浸漬管8を上昇して真空槽5の内部に流入し、その後、下降側浸漬管9を経由して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成してRH真空脱ガス精錬が施される。
このように構成されるRH真空脱ガス装置1では、一般的に、溶鋼3に対して、上吹きランス13から真空槽内の溶鋼3に酸素ガスを吹き付けて行う真空脱炭処理、上吹きランス13から真空槽内の溶鋼3に粉状のCaO系脱硫剤を搬送用ガスとともに吹き付けて行う脱硫処理、溶鋼3を真空槽5と取鍋2とを所定時間環流させて行う脱水素処理及び脱窒素処理が行われる。尚、上吹きランス13から酸素ガスを吹き付けなくても、溶鋼3が未脱酸の場合には、溶鋼3が真空槽内で減圧下に晒されることで、溶鋼中の溶存酸素と溶鋼中の炭素とが反応して脱炭処理が行われる。
これらの処理のうちの真空脱炭処理の場合、真空脱炭処理が施されて、溶鋼3の炭素濃度が所望する炭素濃度になったなら、まず、副原料投入口12から脱酸用の金属アルミニウムを真空槽内の溶鋼3に添加して、未脱酸状態の溶鋼3を脱酸する。その後、更に他の成分(珪素、マンガン、ニオブ、バナジウム、チタン、クロム、ボロンなど)の成分調整が必要な場合には、副原料投入口12からそれぞれの成分を含有する合金鉄または純金属を真空槽内の溶鋼3に添加して、RH真空脱ガス精錬が終了する。
また、溶鋼3を金属アルミニウムで脱酸した状態で行う脱硫処理、及び、脱水素処理や脱窒素処理においても、これらの処理が施された後、溶鋼中のアルミニウム濃度が規格値に対して不足する場合には、副原料投入口12から金属アルミニウムを真空槽内の溶鋼3に添加して溶鋼3のアルミニウム濃度を調整し、その後、更に他の成分(珪素、マンガン、ニオブ、バナジウム、チタン、ボロンなど)の成分調整が必要な場合には、副原料投入口12からそれぞれの成分を含有する合金鉄または純金属を真空槽内の溶鋼3に添加して、RH真空脱ガス精錬が終了する。
また、RH真空脱ガス装置1においては、溶鋼中の非金属介在物(主にアルミナ)を溶鋼3から効率的に浮上・分離させる、または、取鍋内のスラグ4による溶鋼3の酸化を防止して溶鋼3の清浄性を向上させるために、真空槽5に設置された副原料投入口12から、MgOなどの酸化物粉体(「フラックス」という)を真空槽内の溶鋼3に投入することも行われている。
本発明では、副原料投入口12から合金鉄、純金属及びフラックスなどの副原料を添加する際に、副原料の平均単重が20.0g未満の場合には、真空槽内の圧力を、それ前の圧力に対して一旦上昇させ、その状態で、平均単重が20.0g未満の副原料を投入・添加し、平均単重が20.0g未満の副原料の添加後、真空槽内の圧力を元の圧力に低下させる。ここで、「単重」とは、副原料の粒子1個の質量であり、「平均単重」とは、荷受けした副原料から無作為に副原料粒子80個を採取し、採取した副原料粒子1個ずつの質量を単位gで小数点下1桁まで測定し、これらの測定値の平均値である。
排気ダクト11に繋がる、RH真空脱ガス装置1の排気装置は、直列または並列に繋がった複数のブースター(図示せず)及び複数のエジェクター(図示せず)などで構成されており、一般的に、RH真空脱ガス精錬時は、真空槽5の内部は最大の排気能力で排気されている。その場合の真空槽内の圧力は、通常、0.27kPa(約2torr)以下に達する。つまり、本発明では、真空槽内の圧力を、最大の排気能力で排気している状態である0.27kPa以下の状態から、所定の圧力以上に上昇させ、所定の圧力以上に上昇させた状態で、平均単重が20.0g未満の副原料を副原料投入口12から投入して添加する。ここで、所定の圧力としては、0.40kPa(3torr)以上、望ましくは、0.50kPa(3.75torr)以上とすることが好ましい。そして、平均単重が20.0g未満の副原料の投入完了後、直ちに、最大の排気能力で排気する。つまり、最大の排気能力で排気して、真空槽内の圧力を0.27kPa以下に低下させることが好ましい。
真空槽内の圧力の調整は、排気装置のうちのブースターまたはエジェクターの1基または2基以上を停止させる方法で実施する。副原料の投入完了は、炉内監視カメラ(図示せず)などによって確認することができる。平均単重が20.0g未満の副原料を添加するときの真空槽内の圧力を過剰に高くする必要はなく、1.33kPa(10torr)程度を最高値とすればよい。
このように、排気ダクト11からの排気ガスの流量を下げた状態で平均単重が20.0g未満の副原料を副原料投入口12から投入するので、排気ガスに随伴して排気ダクト11から排出する副原料が減少し、その分、溶鋼3に到達する副原料が増加し、添加歩留まりが向上する。
平均単重が20.0g未満の副原料添加時の真空槽内の圧力を上昇させる際に、真空槽内の圧力が0.40kPa未満では、排気ガスに随伴する副原料の排出を十分に抑制することができない。
副原料の単重が小さい場合ほど、排気ガスに随伴して真空槽外に排出される比率が高くなる。したがって、特に、平均単重が5.0g以下の副原料を添加する場合に本発明を適用することが好ましい。本発明を適用することで、平均単重が5.0g以下の副原料であっても、効率良く溶鋼3に添加できる。また、副原料投入口12の真空槽内壁での開口部下端が排気ダクト11の真空槽内壁での開口部上端よりも鉛直方向上方に設置されたRH真空脱ガス装置1において、排気ガスに随伴して排出する副原料が多いことから、副原料投入口12の真空槽内壁での開口部下端が、排気ダクト11の真空槽内壁での開口部上端よりも鉛直方向上方に設置されたRH真空脱ガス装置1で本発明を適用することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、RH真空脱ガス装置1で、金属(合金鉄、純金属)やフラックスなどの単重の小さい副原料を真空槽内に添加する際に、真空槽内の圧力を一時的に上昇させるので、RH真空脱ガス装置1の設備仕様に拘わらず、単重の小さい副原料を高い歩留まりで真空槽内の溶鋼3に添加することができる。また、副原料の添加後、速やかに真空槽内の圧力を低下させるので、水素や窒素といったガス成分は溶鋼3から除去され、ガス成分の低い鋼種であっても、単重の小さい副原料を高い歩留まりで真空槽内の溶鋼3に添加することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。図1に示すRH真空脱ガス装置を用いた極低炭素鋼の溶製時に、真空脱炭処理後に金属アルミニウムによって溶鋼を脱酸する際、脱酸用の金属アルミニウムの種類及び脱酸用の金属アルミニウムを副原料投入口から添加する時点の真空槽内の圧力を変化させ、脱酸用金属アルミニウムの歩留まりを調査する試験を行った。表1に、用いたRH真空脱ガス装置の真空槽内圧力別の排気能力を示す。
図2に、試験で使用した脱酸用金属アルミニウムの外観を示す。図2(A)は、アルミショットの外観写真であり、図2(B)は、アルミペレットの外観写真である。アルミショットは、アルミニウムの鍛造品であり、アルミペレットは、アルミニウム缶を潰して小径に圧縮加工したものである。アルミペレットは、アルミショットと比較して単価が安いが、嵩比重が小さく軽量である。表2に、アルミショット及びアルミペレットの平均単重、アルミニウム純分、嵩比重を比較して示す。
アルミペレットの平均単重は、アルミショットの20.0gに対して3.6gと軽く、また、アルミペレットの嵩比重は、アルミショットの嵩比重の約1/3の0.52g/cmである。
図3に、真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持した状態で、アルミショット及びアルミペレットを添加して未脱酸の溶鋼を脱酸したときのロスアルミニウム量を比較して示す。アルミペレットでは、ロスアルミニウム量がアルミショットよりも多いことがわかる。これは、真空槽を高真空状態に維持するべく排気していることにより、アルミペレットが排気ダクトに吸引され、溶鋼に添加されないアルミペレットが存在することを意味している。
ここで、ロスアルミニウム量とは、添加したアルミニウム純分原単位(kg/溶鋼−t)から溶鋼中にアルミニウム成分として留まったアルミニウム原単位(kg/溶鋼−t)を差し引いた値である。つまり、ロスアルミニウム量とは、溶鋼中の溶存酸素と反応してアルミナ(Al)となったアルミニウム分、及び、排気ダクトから真空槽外に排出したアルミニウム分を合計した値である。したがって、ロスアルミニウム量は、脱酸前の溶鋼中酸素濃度と相関しており、この相関関係からの増大方向の乖離が大きいほど、排気ダクトを介して真空槽外に排出したアルミニウム分が多いことを示している。図3に示すように、アルミショットの場合は、ロスアルミニウム量が脱酸前の溶鋼中酸素濃度に比例する試験が多い(排気ダクトを介して真空槽外に排出するアルミニウム分が少ない)が、アルミペレットの場合は、ロスアルミニウム量が前記相関関係から増大方向へ乖離している。
このように、アルミペレットは軽量で且つ嵩比重が小さく、更に、図1に示すRH真空脱ガス装置は、副原料投入口の真空槽内壁での開口部下端が排気ダクトの真空槽内壁での開口部上端よりも鉛直上方に設置されており、これらに影響されて、真空槽外に排出したアルミニウム分が多くなったと考えられた。
そこで、アルミペレットを副原料投入口から真空槽内の溶鋼に添加する際に、真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させる試験を実施した。
図4に、真空槽内の圧力を0.40〜0.70kPaに上昇させてアルミペレットを添加した試験と、真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持してアルミショットを添加した試験とで、ロスアルミニウム量を比較して示す。
図4に示すように、アルミペレットを添加する際に真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaまで上昇させたところ、アルミペレット使用時のロスアルミニウム量はアルミショット使用時と同等まで改善した。また、その後、再度真空槽圧力を0.20kPa以下まで低下させて、RH真空脱ガス精錬を5分間継続した。
図5に、真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持してアルミショットを添加した試験と、真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させてアルミペレットを添加した試験とで、RH真空脱ガス精錬終了時点での溶鋼中水素濃度を比較した結果を示す。また、表3に、RH真空脱ガス精錬終了時点での溶鋼中水素濃度の平均値及び標準偏差を示す。
図5及び表3に示すように、真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させた試験と、真空槽内の圧力を0.20kPa以下に保持した試験とで、RH真空脱ガス精錬終了時点での溶鋼の水素濃度に差は優位な差は見られなかった。つまり、真空槽内の圧力を一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させても、精錬で対象とする鋼種を限定せずに、本発明を実施可能であることが確認できた。
実施例1で使用したRH真空脱ガス装置を用い、極低炭素高マンガン鋼(炭素濃度;0.005質量%以下、マンガン濃度;2.0〜3.0質量%、アルミニウム濃度;0.020〜0.050質量%)を溶製する際に、本発明を適用した。
RH真空脱ガス装置では、まず、溶鋼を未脱酸として真空脱炭処理を行い、その後、金属アルミニウム(アルミショット)を添加して溶鋼を脱酸し、その後、溶鋼中のマンガン濃度を調整した。
マンガン濃度調整用のマンガン原料としては、溶鋼の炭素濃度の上昇を抑制するために、電解金属マンガン(マンガン含有量;99.7質量%以上、炭素含有量;0.04質量%以下)を使用した。電解金属マンガンは、平均単重が20.0g未満で、フレーク状であり、脆く粉化しやすい合金である。RH真空脱ガス装置の原料貯蔵ホッパーからの切り出し時や、原料貯蔵ホッパーから副原料投入口への供給時に粉化して更に平均単重が小さくなることから、電解金属マンガンの添加時に、本発明を適用した。
従来は、真空槽内の圧力を0.27kPa以下に保持した状態で電解金属マンガンを添加(従来例)していたが、真空槽内の圧力を0.27kPa以下の状態から一時的に0.40〜0.70kPaに上昇させ、その状態で所定量の電解金属マンガンの全量を添加し、電解金属マンガンの添加後、真空槽内を減圧して真空槽内の圧力を0.27kPa以下に戻し、0.27kPa以下に戻した後、更に3分間溶鋼を環流し、その後、真空槽内の圧力を大気圧に戻し、RH真空脱ガス精錬を終了した(本発明例)。
図6に、本発明例と従来例とで、マンガン純分添加原単位と溶鋼中マンガン濃度上昇量との関係を比較して示す。本発明例では、電解金属マンガンの歩留まりは88.2質量%であり、従来例の歩留まり84.7質量%に比較して大幅に向上した。
1 RH真空脱ガス装置
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 真空槽
6 上部槽
7 下部槽
8 上昇側浸漬管
9 下降側浸漬管
10 環流用ガス吹き込み管
11 排気ダクト
12 副原料投入口
13 上吹きランス

Claims (4)

  1. RH真空脱ガス装置の真空槽に設置された副原料投入口を介してRH真空脱ガス装置で精錬されている真空槽内の溶鋼に副原料を添加する方法であって、
    空槽内の圧力を0.50kPa以上1.33kPa以下に上昇させた後に、平均単重が20.0g未満の副原料を添加し、添加後、真空槽内の圧力を低下させることを特徴とする、RH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
  2. 前記副原料の平均単重は5.0g以下であることを特徴とする、請求項1に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
  3. 前記副原料投入口の真空槽内壁での開口部下端は、真空槽内を排気する排気ダクトの真空槽内壁での開口部上端よりも鉛直方向上方に設置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
  4. 原料の添加後、真空槽内の圧力を0.27kPa以下に低下させることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のRH真空脱ガス装置における副原料の添加方法。
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