JP6769061B2 - スラブ搬送方法、スラブ搬送システム及びプログラム - Google Patents
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Description
この工程におけるスラブの搬送に関する技術として、特許文献1には次のようなスラブ供給ヤードが開示されている。特許文献1のスラブ供給ヤードでは、連続鋳造装置で鋳造されたスラブが、スラブ搬出ヤードへ搬出される際に、スラブを圧延スラブと冷片保存スラブとに分類し、これらスラブをそれぞれ有手入れスラブと無手入れスラブのスラブ幅、圧延単位別に分ける。
しかしながら、特許文献1では、スラブ搬出ヤードへ搬出されるときに、スラブがスラブ幅等で分けられる。よって、スラブの搬送の早い段階でスラブが小さいまとまりに分けられる。したがって、搬送によってスラブの温度が大きく低下するおそれがある。
本発明のスラブ搬送システムは、複数の拠点を備え、拠点の1つである製鋼工場で製造されたスラブを、他の拠点を経由して、加熱炉に搬送するスラブ搬送システムであって、前記複数の拠点のうちの着目する拠点である自拠点において、前記スラブの次の搬送先に基づいて、1枚以上の前記スラブからなるスラブ群を組み替える配替を行う拠点配替手段を備え、前記複数の拠点のうちの少なくとも一つには、前記スラブ群を構成するスラブの順序が指定された順序指定スラブ群を払出す順序指定拠点があり、前記拠点配替手段は、前記自拠点が前記順序指定拠点であって、配替を行える状態の拠点であるとき、前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行い、前記自拠点が前記順序指定拠点でなく、配替を行える状態の拠点であるとき、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い前記順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しないか又は前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由し、かつ、前記直近順序指定拠点が前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態のとき、前記自拠点の受入れ及び払出し時、又は払出し時に、前記直近順序指定拠点が受入れる前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行うことを特徴とする。
本発明のプログラムは、複数の拠点を備え、拠点の1つである製鋼工場で製造されたスラブを、他の拠点を経由して、加熱炉に搬送するスラブ搬送システムを制御するためのプログラムであって、前記複数の拠点のうちの着目する拠点である自拠点において、前記スラブの次の搬送先に基づいて、1枚以上の前記スラブからなるスラブ群を組み替える配替を行う拠点配替ステップをコンピュータに実行させ、前記複数の拠点のうちの少なくとも一つには、前記スラブ群を構成するスラブの順序が指定された順序指定スラブ群を払出す順序指定拠点があり、前記拠点配替ステップでは、前記自拠点が前記順序指定拠点であって、配替を行える状態の拠点であるとき、前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行い、前記自拠点が前記順序指定拠点でなく、配替を行える状態の拠点であるとき、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い前記順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しないか又は前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由し、かつ、前記直近順序指定拠点が前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態のとき、前記自拠点の受入れ及び払出し時、又は払出し時に、前記直近順序指定拠点が受入れる前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行うことを特徴とする。
はじめに、図1を参照して、物流システム1について説明する。図1は物流システム1の概念図である。なお、物流システム1は、本発明のスラブ搬送システムの一例であり、後に説明するようなスラブ搬送を実現する。
物流システム1は、製鋼工場10と、圧延前面ヤード20と、搬送ルート30と、搬送設備40と、中間ヤード50と、加熱炉装入テーブル60と、加熱炉61と、熱間圧延機62とを備える。
製鋼工場10は、転炉と連続鋳造機とを備える。転炉は溶鋼を生成し、連続鋳造機は、転炉で生成された溶鋼を冷やしながら板状等の形状にし、所定の長さで切断してスラブ70を製造する。製鋼工場10で製造されたスラブ70は、圧延前面ヤード20等を経由して加熱炉61に搬送されて加熱された後、熱間圧延機62に搬送されて圧延される。また、製鋼工場10は、製造されたスラブ70を一時的に保管できる置場を備える。
搬送設備40は、搬送ルート30を通ってスラブ70を搬送する。本実施形態において、搬送設備40は列車であり、牽引車両41と貨車42とを備え、搬送ルート30を走行してスラブ70を搬送する。牽引車両41は、例えばディーゼル機関車であり、牽引車両41に連結された貨車42を牽引する。貨車42は、スラブ70を載せることができる車両である。搬送設備40は、図1に示す例では、1台の牽引車両41と4台の貨車42からなるが、これ以外の台数であってもよい。搬送ルート30上を複数の搬送設備40が運行してもよい。
搬送設備40には、第1搬送設備40Aと第2搬送設備40Bとがある。第1搬送設備40Aは、第1ルート31を運行して、スラブ70を製鋼工場10から圧延前面ヤード20又は中間ヤード50に搬送する。第2搬送設備40Bは、第2ルート32を運行して、スラブ70を中間ヤード50から圧延前面ヤード20に搬送する。
なお、搬送設備40は、コンベアや車両(例えば電動車、電車又はトレーラ)等であってもよい。
加熱炉装入テーブル60は、第2ヤード25から運ばれたスラブ70を、加熱炉61に搬送する搬送ラインである。
加熱炉61は、スラブ70を予め定められた所定の温度まで加熱する。加熱炉61は、例えば、第1加熱炉61A、第2加熱炉61B、第3加熱炉61C及び第4加熱炉61Dの4つがある。それぞれの加熱炉61は、加熱炉装入テーブル60に隣接する位置に配置される。加熱炉装入テーブル60は、スラブ70が搬送される予定になっている加熱炉61まで到達すると、スラブ70をこの加熱炉61に入れる。なお、加熱炉61は4基に限定されるものではなく、何基であってもよい。
熱間圧延機62は、加熱炉61から搬入されるスラブを圧延する。熱間圧延機62は、一対の圧延ロールからなる圧延ロールセットを複数備える。そして、圧延ロールを回転させて、それぞれの圧延ロールセットにおいて、一対の圧延ロールの間にスラブを通すことで、スラブを圧延する。
物流システム1は、製鋼管理装置100と、加熱圧延管理装置101と、中間ヤード管理装置102と、圧延前面ヤード管理装置103と、搬送設備管理装置104とを備える。
製鋼管理装置100は、製鋼工場10で製造されるスラブ70のスケジュール、製鋼工場10に一時的に保管されるスラブ70、及び、スラブ70の搬送先や搬送時刻等を管理する。
中間ヤード管理装置102は、中間ヤード50に保管されているスラブ70、及び、スラブ70の搬送先や搬送時刻等を管理する。
圧延前面ヤード管理装置103は、圧延前面ヤード20に保管されているスラブ70、及び、スラブ70の搬送先や搬送時刻等を管理する。
搬送設備管理装置104は、搬送設備40の運行を管理する。
製鋼工場10で製造されるスラブ70は、圧延前面ヤード20の第1ヤード21、第2ヤード25又は中間ヤード50に搬送される。中間ヤード50に搬送されたスラブ70は、中間ヤード50で所定期間保管された後、圧延前面ヤード20の第1ヤード21又は第2ヤード25に搬送される。第1ヤード21に搬送されたスラブ70は、第2ヤード25に搬送される。第2ヤード25に搬送されたスラブ70は、第1加熱炉61Aから第4加熱炉61Dのいずれかに搬送されて加熱されて、熱間圧延機62に搬送される。
スラブ70がどのような流れで熱間圧延機62に搬送されるかは、原則として製鋼工場10で製造されるときに、製鋼管理装置100がスラブ70毎に定める。この情報は、物流システム1のコンピュータシステムの各装置で共有される。ただし、中間ヤード50のスラブ70の量や、搬送ルート30の混雑具合等に応じて、搬送設備管理装置104等の装置等が、スラブ70の搬送中に、スラブ70の搬送の流れを変更することもある。
物流システム1では、1枚以上のスラブ70からなるスラブ群71を単位としてスラブ70の搬送が管理される。そして、本実施形態では、1つのスラブ群71は、スラブ70を積み重ねて山積みされた状態として管理される。例えば、搬送設備40では、1台の貨車42には、山積みされた状態の1つのスラブ群71が積載されて搬送される。また、製鋼工場10のスラブ70の置場、圧延前面ヤード20の第1ヤード21及び第2ヤード25、並びに、中間ヤード50では、スラブ群71が所定の場所に配置されて管理され、スラブ群71毎に次の搬送先に搬送される。
しかし、スラブ群71の構成が製鋼工場10から第2ヤード25まで常に変わらない、とは限らない。例えば、スラブ群71を構成するスラブ70の搬送先が異なったり、スラブ群71の搬送先の拠点が受入れるスラブ群71の構成が決まっていたりするときは、スラブ群71の組み替えである配替を行う必要がある。
本実施形態の拠点には、スラブ70を搬送可能な搬送先が複数ある拠点がある。例えば、製鋼工場10におけるスラブ70を搬送可能な搬送先は、圧延前面ヤード20の第1ヤード21、第2ヤード25及び中間ヤード50である。同様に、中間ヤード50における搬送先は、圧延前面ヤード20の第1ヤード21及び第2ヤード25である。また、第2ヤード25における搬送先は、第1から第4加熱炉61である。
配替には、仕分け、山繰り、及び、追越しがある。
仕分けは、第1ヤード21等の拠点でスラブ群71を受入れるとき、又は、第1ヤード21等の拠点からスラブ群71を払出すときに、拠点への受入れ又は拠点からの払出しと同時に行うスラブ群71の組み替えである。さらに、第1ヤード21から第2ヤード25にスラブ群71を払出すときに、払出しと同時に行われるスラブ群71の組み替えも仕分けである。
図3(a)を参照して、スラブ群71を受入れるときの仕分けの例を説明する。図3(a)は、仕分けの概念図である。図3(a)では、第1ヤード21の受入れ対象のスラブ群71が貨車42で第1ヤード21まで搬送されて来ている。貨車42に載せられているスラブ群71は、上から順に、第1スラブ70から第4スラブ70の4枚のスラブで構成されている。
第1ヤード21には、第1置場22Aから第3置場22Cまで3つの置場がある。それぞれの置場には1つのスラブ群71を保管できる。また、第1ヤード21では、第1スラブ70と第2スラブ70とからなるスラブ群71、及び、第3スラブ70と第4スラブ70とからなるスラブ群71を形成する必要があるものとする。
このように、スラブ群71の受入れと同時に仕分けが行われて、貨車42のスラブ群71が、2つのスラブ群71に組み替えられる。なお、クレーンは、貨車42のスラブ群71の上にあるスラブ70から順番に移動していく。したがって、第1ヤード21にスラブ70が置かれたとき、スラブ群71のスラブ70の順序は、貨車42に積まれていたときのスラブ群71のスラブ70の順序とは逆になる。
なお、本実施形態のクレーンはスラブを1枚ずつ移動できるものとするが、物流システム1にはスラブを複数枚同時に移動できるクレーンを用いてもよい。
図3(b)を参照して、スラブ群71の山繰りの例を説明する。図3(b)は、山繰りの概念図である。第1ヤード21の第1置場22Aに、上から順に、第1スラブ70から第4スラブ70の4枚のスラブで構成されているスラブ群71が置かれている。そして、第1ヤード21では、第1スラブ70と第2スラブ70とからなるスラブ群71、及び、第3スラブ70と第4スラブ70とからなるスラブ群71を形成する必要があるものとする。
このとき、第1ヤード21のクレーンは、第1置場22Aの第1スラブ70及び第2スラブ70を順番に第2置場22Bに移動する。次に、第1ヤード21のクレーンは、第1置場22Aの第3スラブ70及び第4スラブ70を順番に第3置場22Cに移動する。
このように山繰りが行われて、第1置場22Aのスラブ群71が、2つのスラブ群71に組み替えられる。
図3(c)を参照して、スラブ群71の追い越しの例を説明する。図3(c)は、追越しの概念図である。第1ルート31にある2つの上りルート31A、Bのうち、一方の上りルート31Aの搬送設備40が製鋼工場10から先に出発しており、他方の上りルート31Bの搬送設備40が後から出発している。
このとき、上りルート31Aの搬送設備40が停止したり減速したりして、上りルート31Bの搬送設備40が上りルート31Aの搬送設備40を追越す。
このように追越しが行われて、スラブ群71の搬送先である圧延前面ヤード20に到着する順序を入れ替えることができる。
中間ヤード50を使った追越しの第1の方法では、搬送設備40が第1ルート31で搬送するスラブ群71のうち、追越されるスラブ群71を一旦中間ヤード50に置く。追越すスラブ群71はそのまま第1ルート31で圧延前面ヤード20に搬送される。
中間ヤード50を使った追越しの第2の方法では、搬送設備40が第1ルート31で搬送するスラブ群71のうち、追越すスラブ群71を、中間ヤード50を経由して第2ルート32に移動する。第2ルート32に移動して搬送設備40に載せられたスラブ群71が、第1ルート31の追越されるスラブ群71を追越して圧延前面ヤード20に搬送される。このように追越しが行われる。
なお、第1ルート31の搬送設備40のスラブ群71を、中間ヤード50に置いたり、第2ルート32の搬送設備40に移動したりするときには、中間ヤード50のクレーンが使われる。
熱ロスとは、スラブ70の温度の減少量のことである。熱ロスが大きいと、スラブ70の温度が大きく下がることになり、その分、加熱炉61がスラブ70を加熱する必要がある。したがって、加熱炉61での燃料使用量が増加し、さらに二酸化炭素の排出量が増加することになる。このため、熱ロスは小さい方が望ましい。
第2に、配替として仕分け又は山繰りが行われると、スラブ群71を構成するスラブ70の数が少なくなっていき、スラブ群71の高さが低くなる場合が多い。よってスラブ群71の体積が小さくなり、体積あたりの表面積が大きくなる傾向になる。したがって、仕分け又は山繰りを行うことで、スラブ群71の温度が下がりやすくなる。ここで、前の工程ほどスラブ70の温度が高いため、温度が下がりやすい。このため、前の工程であるほど、配替を1回行ったときの熱ロスが大きくなる。
したがって、可能な限り配替は後の工程で行うことが望ましい。
仕分けは、拠点への受入れ又は拠点から払出しと同時に行うスラブ群71の組み替えである。スラブ群71を拠点に受入れたり、拠点から払出したりするときは、拠点のクレーンを用いて、スラブ群71のスラブ70を例えば1枚ずつ移動する。仕分けは、この移動と同時に行われる。したがって、スラブ群71を拠点に受入れたり、拠点から払出したりするときに、仕分けをする場合と仕分けをしない場合とを比べると、スラブ70の熱ロスに差がない。
しかし、仕分けによりスラブ群71が分けられていくため、山積みされたスラブ群71の高さが低くなり、仕分けされた後のスラブ群71は温度が下がりやすくなる。したがって、仕分けの後に熱ロスが大きくなる。
このため、仕分けは後の工程で行うことが望ましい。
山繰りを実施するには、仕分けとは異なり、山繰りのみのためにクレーンでスラブ70を移動する必要がある。よって、スラブ群71の配替えを山繰りで実施する場合と仕分けで実施する場合とを比べると、山繰りで実施する場合の方が全体として熱ロスが大きくなる。したがって、同じ配替をするならば、山繰りで実施するよりも仕分けで実施した方が、全体として熱ロスが小さくなるため、好ましい。
次に、中間ヤード50を使った追越しについて説明する。追越されるスラブ群71を搬送設備40から中間ヤード50に置かれるときは、追越されるスラブ群71をクレーンが中間ヤード50に移動するときに熱ロスが生じる。一方、追越すスラブ群71は熱ロスが生じない。
追越すスラブ群71が、第1ルート31の搬送設備40から、中間ヤード50を介して第2ルート32の搬送設備40に移動するときは、追越すスラブ群71をクレーンが第2ルート32の搬送設備40に移動するときに熱ロスが生じる。一方、追越されるスラブ群71は熱ロスが生じない。
配替の第1の目的は、スラブ70の搬送先毎にスラブ70を分類することである。
例えば、製鋼工場10では、スラブ群71は次のように分類されている必要がある。第1に、搬送先が圧延前面ヤード20の第1ヤード21であるスラブ群71である。第2に、搬送先が圧延前面ヤード20の第2ヤード25であるスラブ群71である。第3に、搬送先が中間ヤード50となるスラブ群71である。さらに、2つある第1ルート31の上りルート毎にスラブ群71を分類する必要がある。
また、中間ヤード50では、スラブ群71は次のように分類されている必要がある。第1に、搬送先が圧延前面ヤード20の第1ヤード21であるスラブ群71である。第2に、搬送先が圧延前面ヤード20の第2ヤード25であるスラブ群71である。第3に、中間ヤード50に留めるスラブ群71である。さらに、第1ルート31及び第2ルート32毎にスラブ群71を分類する必要がある。また、2つある第1ルート31の上りルート毎にスラブ群71を分類する必要がある。
第2の目的の配替には次の2種類がある。第1が、スラブ群71を形成できるようにすることである。スラブ群71は、上記のように、スラブ70が山積みされた状態のものである。したがって、スラブ70の幅や長さの差が大きいと、山積みしたときに不安定になるためスラブ群71を形成できない。そこで、スラブ群71を形成できるように、スラブ70の幅や長さが所定の範囲に収まるスラブ70を用いてスラブ群71を形成する必要がある。
第2が、スラブ70の熱ロスが少なくなるように、スラブ70の温度に基づいてスラブ70を分類することである。例えば、1つのスラブ群71に20度のスラブ70と700度のスラブ70とが同数混在すると、スラブ70は、中間の360度程度になる。したがって、700度のスラブが360度程度まで温度が下がり、大きな熱ロスが生じる。このような熱ロスが生じないように、スラブ群71を構成するスラブ70の温度が所定の範囲に収まるようにスラブ70を分類する。スラブ70の温度に基づいてスラブ70を分類することで、スラブ群71は、所定の範囲内の温度に収まるスラブ70から構成されるようになり、熱ロスを抑制できる。
第1温度配替条件は、スラブ70の物流を阻害しないことである。すなわち、第1温度配替条件は、スラブ70の温度に基づく配替を行ったときでも、受入れ対象のスラブ群71及び払出し対象のスラブ群71が滞留しないことである。スラブ70の物流が阻害されると、熱間圧延機62にスラブ70が搬入されなくなり、操業に支障をきたすおそれがあるためである。
第2温度配替条件は、スラブ70の温度に基づく配替によるスラブ70の温度の低下が、スラブ70の温度に基づく配替を行わないときの温度の低下より小さいことである。既に説明したように、配替によってスラブ70の温度が低下する。そこで、スラブ70の温度に基づく配替によるスラブ70の温度の低下と、スラブ70の温度に基づく配替を行わないときの温度の低下とを比較する必要がある。
配替の第3の目的には、次に説明するような、スラブ群71を順序指定スラブ群に組み替えることも含まれる。
第2ヤード25のスラブ群71は、一番上のスラブ70が最も幅広であり、下にいくにつれて幅が狭くなるようにスラブ70が山積みされたスラブ群71である幅広順スラブ群である必要がある。これは、熱間圧延機62では、幅の広いスラブ70から順に圧延するためである。すなわち、第2ヤード25に置かれたスラブ群71が幅広順スラブ群であると、幅広順スラブ群の上にあるスラブ70から順に加熱炉装入テーブル60に払出されることになる。したがって、加熱炉61を通って、熱間圧延機62では、幅の広いスラブ70から順に搬送されることになる。このため、第2ヤード25のスラブ群71は幅広順スラブ群である必要がある。
幅広順スラブ群のようにスラブ群71を構成するスラブ70の順序が定められたスラブ群を順序指定スラブ群と呼ぶ。また、第2ヤード25のように、少なくとも払出すときに順序指定スラブ群が形成される必要がある拠点を順序指定拠点と呼ぶ。
第1の手順として、スラブ群を幅別に配替して、幅別に分類された複数のスラブ群を形成する。この配替を幅別配替と呼ぶ。
図5(a)に示す例では、スラブ群71Aは、上から順に第1スラブ70、第2スラブ70及び第3スラブ70で構成され、スラブ群71Bは、上から順に第4スラブ70、第5スラブ70及び第6スラブ70で構成される。そして、第1スラブ70及び第5スラブ70は幅が同程度であり、他のスラブより幅広である。第2スラブ70及び第4スラブ70は幅が同程度であり、他のスラブより幅狭である。第3スラブ70及び第6スラブ70は幅が同程度であり、第1スラブ70及び第5スラブ70より幅狭であり、第2スラブ70及び第4スラブ70より幅広である。なお、第1から第6スラブ70の幅の相違は、スラブ群71を形成できる範囲内であるものとする。
図5(a)の状態から幅別配替を行うと、図5(b)に示すように、スラブ群71Cと、スラブ群71Dと、スラブ群71Eとが形成される。スラブ群71Cは、幅広の第1スラブ70及び第5スラブ70からなる。スラブ群71Dは、幅が中程度の第3スラブ70及び第6スラブ70からなる。スラブ群71Eは、幅狭の第2スラブ70及び第4スラブ70からなる。
図5(b)の状態で、スラブ群71E、スラブ群71D、スラブ群71Cから順番に1枚ずつスラブ70を移動して、図5(c)に示すように幅広順スラブ群であるスラブ群71F及びスラブ群71Gを形成する。
このようにして、幅広順スラブ群を形成する配替が行われる。
なお、図5では、スラブ70の幅が、幅広、幅狭、幅が中程度の3種類のスラブ群71に幅別配替を行ったが、さらに細かく幅別配替を行ってもよい。また、通常は、幅の狭い順に、幅別に分類された複数のスラブ群71から1枚ずつスラブ70を移動する配替を行う際に、同時に、搬送先毎に分ける配替を行う。
図6の処理は、拠点に搬入される1つのスラブ群71に着目した処理であり、スラブ群71の受入れ処理と、命令待ちと、払出し処理とからなる。受入れ処理で、スラブ群71が配替されて複数のスラブ群71になったときは、それぞれのスラブ群71毎に払出し処理がされる。受入れ処理は図6のステップS100からS104までであり、命令待ちはステップS105であり、払出し処理はステップS106からS110までである。
あるスラブ群71が拠点に到着してからクレーンで拠点に置かれた後に、他のスラブ群71が拠点に到着すると、他のスラブ群71についての図6の処理が開始する。
まず、自拠点に到着したスラブ群71に、自拠点に一定期間留める予定のスラブ70と、自拠点に留めずに搬送する予定のスラブ70とが混在するとき、両者を分けるために配替が必要であると判断される。
また、自拠点に到着したスラブ群71に、所定値の温度差があるスラブ70が混在し、かつ、上記の第1温度配替条件及び第2温度配替条件を満たすとき、スラブ70の温度に基づいてスラブ70を配替することが必要であると判断される。
自拠点が順序指定拠点のときは、自拠点の順序指定スラブ群を形成する必要があると判断される。しかし、自拠点が順序指定拠点ではなくても、第1順序配替条件、及び、第2順序配替条件を満たす場合は、順序指定スラブ群を形成する必要があると判断される。
第1順序配替条件は、スラブ70が経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しない、又は、順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由することである。
第2順序配替条件は、直近順序指定拠点が順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態であることである。
また、自拠点を第1ヤード21とすると、第1ヤード21のスラブ70は第2ヤード25に払出されるため、第1順序配替条件を満たすといえる。したがって、第1ヤード21では、順序指定スラブ群を形成する配替を行う必要があることになる。
なお、ステップS100で配替が必要と判断されたときは、この必要な配替がステップS101、S103、S104で行われる。また、この必要な配替は、配替の回数が最小になるようにまとめて行われる。例えば、自拠点に一定期間留める予定のスラブ70と、自拠点に留めずに搬送する予定のスラブ70とを分けるために配替、及び、スラブ70の温度に基づく配替を1度の配替で行えるときは、1度の配替で行うことで熱ロスを抑える。
一方、第1温度配替条件及び第2温度配替条件を満たすとすると、自拠点に留めるスラブ70と留めないスラブ70とに分類し、さらに、温度に基づいて分類する必要がある。したがって、第1から第4スラブ70は、異なる4つのスラブ群71に配替する必要がある。しかし、空いている置場は第1置場22Aと第2置場22Bの2つしかない。
このとき、管理者は、自拠点に留めるスラブ70と留めないスラブ70とに分類する配替を優先するように判断し、自拠点に留めるスラブ70と留めないスラブ70とに分類する配替を行うように、圧延前面ヤード管理装置103に指示を出す。この指示により、圧延前面ヤード20のクレーンは、搬送設備40の第1スラブ70を第1置場22Aに降ろし、次に、搬送設備40の第2スラブ70を第1置場22Aの第1スラブ70の上に降ろす。さらに、圧延前面ヤード20のクレーンは、搬送設備40の第3スラブ70を第2置場22Bに降ろし、次に、搬送設備40の第4スラブ70を第2置場22Aの第3スラブ70の上に降ろす。こうして、第1ヤード21は図7(b)に示す状態になる。
この配替は、拠点でスラブ群71を受入れるとき同時にスラブ70が組み替えられる仕分けである。
このとき、管理者は、温度に基づいてスラブ群71を配替するように、圧延前面ヤード管理装置103に指示を出す。この指示により、圧延前面ヤード20のクレーンは、第1置場22Aの第2スラブ70を第3置場22Cに移動し、次に、第2置場の第4スラブ70を第4置場22Dに移動する。こうして、第1ヤード21は図7(c)に示す状態になり、自拠点に留めるスラブ70と留めないスラブ70とに分類され、さらに、温度に基づいて分類された。
この配替は、拠点の中で行われるスラブ群71の組み替えである山繰りである。
ステップS100において、管理者は、到着したスラブ群71についての配替が必要なとき処理をステップS101に進め、配替が必要ではないとき処理をステップS102に進める。なお、自拠点が配替不可拠点のときは、必要な配替は前拠点までで終了しているため、管理者は、処理をステップS102に進めることになる。
ステップS101において、管理者は、受入れと合わせて仕分けを実施するように、自拠点に対応する装置に指示を出す。この指示により、自拠点のクレーンは、受入れと合わせて仕分けを実施する。図7の例では、ステップS101により、第1ヤード21は図7(b)の状態になる。
ステップS102において、管理者は、受入れを実施するように、自拠点に対応する装置に指示を出す。この指示により、自拠点のクレーンは、受入れを実施し、自拠点に搬送されたスラブ群71が自拠点に置かれる。このとき配替は行われない。
ステップS104において、管理者は、山繰りを1回実施するように、自拠点に対応する装置に指示を出す。この指示により、自拠点のクレーンは、山繰りを1回実施する。図7の例では、第1ヤード21は、山繰りにより、図7(b)の状態から図7(c)の状態になる。
しかし、スラブ70の次の搬送先になる拠点が配替不可拠点であるときは、スラブ70の次の搬送先になる拠点の次の搬送先も考慮して配替する必要があると判断される。詳しく説明すると、スラブ70の次の搬送先になる拠点が配替不可拠点であるときは、次のように配替が必要であると判断される。すなわち、スラブ70が次に搬送される拠点(配替不可拠点)から、スラブ70が経由する拠点を順番に辿っていったときに1箇所以上の連続する配替不可拠点の最後の配替不可拠点の次の搬送先までに基づいて、配替する必要がある。
そこで、第1ヤード21では、第2ヤード25の次の搬送先である第1加熱炉61Aから第4加熱炉61D毎に基づいて配替する必要がある。
例えば、図5の例では、スラブ群71の受入れ時に、図5(b)に示す幅別配替が行われたとき、ステップS106では、図5(c)に示す順序指定スラブ群を形成する配替が必要であると判断される。一方、スラブ群71の受入れ時に、幅別配替条件を満たさず、図5(b)に示す幅別配替が行われていないときは、ステップS106において、図5(b)に示す幅別配替、及び、図5(c)に示す順序指定スラブ群を形成する配替が必要であると判断される。
なお、ステップS106で配替が必要と判断されたときは、この必要な配替がステップS107、S108、S109で行われる。また、この必要な配替は、配替の回数が最小になるようにまとめて行われる。
ステップS106において、管理者は、払出し命令が出たスラブ群71についての配替が必要なとき処理をステップS107に進め、配替が必要ではないとき処理をステップS110に進める。なお、自拠点が配替不可拠点のときは、必要な配替は前拠点までで終了しているため、管理者は、処理をステップS110に進めることになる。
ステップS107において、管理者は、残っている配替の回数が2回以上であるか否かを判断する。管理者は、残っている配替の回数が2回以上のとき処理をステップS108に進め、残っている配替の回数が1回のとき処理をステップS109に進める。
ステップS108において、管理者は、山繰りを1回実施するように、自拠点に対応する装置に指示を出す。この指示により、自拠点のクレーンは、山繰りを1回実施する。図5の例では、スラブ群71の受入れ時に幅別配替が行われていないとき、山繰りにより、図5(a)のスラブ群71A、71Bが、図5(b)のスラブ群71C、71D、71Eに組み替えられる。
ステップS109において、管理者は、払出しと合わせて仕分けを実施するように、自拠点に対応する装置に指示を出す。この指示により、自拠点のクレーンは、払出しと合わせて仕分けを実施する。図5の例では、払出しと同時に、図5(b)のスラブ群71C、71D、71Eが、図5(c)のスラブ群71F、71Gに組み替えられる。
なお、スラブ群71が製鋼工場10から払出されるときは、スラブ群71は第1搬送設備40Aに積載される。スラブ群71が中間ヤード50から払出されるときは、スラブ群71は第1搬送設備40A又は第2搬送設備40Bに積載される。
ステップS200において、管理者は、搬送設備管理装置104等の出力を参照して、搬送設備40によって搬送されるスラブ群71が決定されたことを確認する。なお、搬送設備40によって搬送されるスラブ群71が決定していないとき、管理者は、搬送設備40によって搬送されるスラブ群71が決定するまで待機する。以降では、ステップS200で管理者が確認した搬送設備40を処理対象搬送設備と呼ぶ。
ステップS201において、管理者は、搬送設備管理装置104等の出力を参照して、処理対象搬送設備に積載されて搬送されるスラブ群71について、搬送先の拠点に到達すべき時刻が定まっているか否かを判断する。管理者は、時刻が定まっているとき処理をステップS202に進めて、時刻が定まっていないとき処理をステップS205に進める。
ステップS203において、管理者は、搬送設備管理装置104等の出力を参照して、処理対象搬送設備が搬送ルート30で追越しができる状態か否かを判断する。管理者は、追越しできる状態のとき処理をステップS204に進め、追越しできない状態のとき処理をステップS205に進める。
ステップS205において、管理者は、搬送を開始する旨を搬送設備管理装置104に入力する。この入力により、処理対象搬送設備は、積載されたスラブ群71の搬送を開始する。このとき、ステップS204で追越しが設定されているときは、設定された追越しが実施される。
図9の例では、本実施形態及び比較例ともに、スラブ70は次のように搬送される。すなわち、スラブ70は、製鋼工場10で製造され、第1ルート31で圧延前面ヤード20の第1ヤード21に搬送される。次に、スラブ70は、圧延前面ヤード20の第2ヤード25に搬送される。次に、スラブ70は、加熱炉装入テーブル60を経由して加熱炉61に搬送される。
また、図9の例では、順序指定スラブ群を形成する配替のみが必要であり、その他の配替は必要ではない状態であるものとする。順序指定スラブ群を形成する配替は、上記の通り、幅別配替と、幅別配替されたスラブ群71から幅広順スラブ群を形成する配替とからなる。また、幅別配替されたスラブ群71から幅広順スラブ群を形成する配替は、スラブ70を加熱炉61に分ける配替が含まれるために、加熱炉別配替と呼ぶことにする。
一方、本実施形態では、図6の受入れ処理及び払出し処理から分かるように、第1ヤード21でのスラブ群71の受入れ時に幅別配替を行い、第1ヤード21からのスラブ群71の払出し時に加熱炉別配替を行う。
第2工程では、スラブ70が製鋼工場10内を搬送されて、第1ルート21の第1搬送設備40Aに払出される。比較例では、払出し時に幅別配替が行われる。この配替は仕分けである。一方、本実施形態では、払出し時に幅別配替が行われない。すなわち、本実施形態では、仕分けは行われない。ここで、上記のように、仕分けはしてもしなくても熱ロスに変わりがない。したがって、第2工程後のスラブの温度は、比較例及び本実施形態で、同じ温度である。例えば、製鋼工場10内の搬送に60分かかり、スラブ70の温度が1分あたり2度下がるとすると、第2工程の終了後、スラブ70は780度になる。
次に、図9(b)を参照して、比較例及び本実施形態における、第3工程でのカバー被服後のスラブ70の温度について説明する。
ここでは、第1スラブ70から第12スラブ70までの12枚のスラブ70がある場合を考える。12枚のスラブ70のうち、奇数番目のスラブ70は幅広で、偶数番目のスラブ70は幅狭とする。ただし、奇数番目のスラブ70と偶数番目のスラブ70とは、幅に大きな違いがなく、奇数番目のスラブ70と偶数番目のスラブ70とを重ねてスラブ群71を形成することはできるものとする。また、製鋼工場10ではスラブ70の番号順に、第1搬送設備40Aに払出すものとする。また、1回の払出しに4分かかるものとする。また、第1搬送設備40Aの貨車42A及び貨車42Bには、それぞれ6枚のスラブ70が載せられるものとする。
図9(b)に示す各スラブ70のカッコ内の時間は、第1スラブ70が貨車42Aに載せられてから各スラブ70がそれぞれの貨車42に載せられるまでの時間である。比較例では、スラブ群71Jが完成するのは、第1スラブ70が貨車42Aに載せられてから40分後である。スラブ群71Jが完成した後、スラブ群71Jにカバー43が被せられる。カバー被服に4分かかるとすると、カバー被服が終了して貨車42Aの準備が整うのは、第1スラブ70が貨車42Aに載せられてから44分後である。
同様に、比較例では、スラブ群71Kが完成するのは、第1スラブ70が貨車42Aに載せられてから48分後である。スラブ群71Kが完成した後、スラブ群71Kにカバー43が被せられる。したがって、貨車42Bの準備が整うのは、第1スラブ70が貨車42Aに載せられてから52分後である。
ここで、比較例におけるそれぞれの貨車42の準備時間について説明する。貨車42の準備時間とは、貨車42に1枚目のスラブ70が載せられてからカバー被服が終了するまでの時間である。比較例の貨車42Aでは、1枚目の第1スラブ70が載せられてから44分後にカバー被服が終了するため、貨車42Aの準備時間は44分である。比較例の貨車42Bでは、1枚目の第2スラブ70が載せられてから48分後にカバー被服が終了するため、貨車42Bの準備時間は48分である。
スラブ70は、貨車42に載せられてからカバー被服が終了するまで1分あたり1度温度が下がるとすると、比較例では、スラブ70の温度が24度下がり、756度になる。
ここで、本実施形態におけるそれぞれの貨車42の準備時間について説明する。本実施形態の貨車42Aでは、第1スラブ70が載せられてから24分後にカバー被服が終了するため、貨車42Aの準備時間は24分である。本実施形態の貨車42Bでは、第7スラブ70が載せられてから24分後にカバー被服が終了するため、貨車42Bの準備時間は24分である。
スラブ群71Lの第1スラブ70は、貨車42Aに載せられてから24分後にカバー被服が終了する。同様に、第2から第6スラブ70は、貨車42Aに載せられてから、それぞれ、20分後、16分後、12分後、8分後、4分後にカバー被服が終了する。したがって、スラブ群71Lでは、スラブ70は、貨車42Aに載せられてから、平均14分後にカバー被服が終了する。同様に、スラブ群71Mでも、スラブ70は、貨車42Bに載せられてから、平均14分後にカバー被服が終了する。
スラブ70は、貨車42に載せられてからカバー被服が終了するまで1分あたり1度温度が下がるとすると、本実施形態では、スラブ70の温度が14度下がり、766度になる。
第5工程では、まず、スラブ群71は第1ヤード21に受入れられ、次に、スラブ群71は第1ヤード21で一定時間待機し、次に、スラブ群71は第1ヤード21から払出される。
ここで、比較例では、スラブ群71の受入れ時に、仕分けによって、加熱炉別配替が行われる。この加熱炉別配替によって、スラブ群71の高さが4段(スラブ70が4枚重なった状態)になるとする。また、スラブ群71の高さが4段のとき、スラブ70は1分あたり0.4度温度が下がるものとする。また、第1ヤード21では、300分待機するものとする。このとき、比較例では、スラブ70の温度が120度下がって、573度になる。
また、スラブ70を搬送可能な搬送先が複数ある拠点において、スラブ群71の払出し時に、スラブ70の搬送先に基づいて、配替を行う。よって、スラブ群71が拠点に受入れられてから払出されるまで時間がある場合でも、配替によってスラブ群71が小さくなることを回避して、熱ロスを小さくできる。このため、搬送時のスラブ70の温度の低下を抑えることができる。
また、拠点において、スラブ群71の受入れ時に、スラブ70を受入れた拠点に留めるか否かに基づいて、配替を行う。よって、拠点に到達する前に、スラブ群71について、スラブ70を受入れた拠点に留めるか否かに基づく配替を行う必要がない。したがって、スラブ群71のまとまりが小さくなりにくくなり、スラブ群71の熱ロスが小さくなる。このため、搬送時のスラブ70の温度の低下を抑えることができる。
また、拠点において、スラブ70の温度に基づく配替によるスラブ70の温度の低下が、スラブ70の温度に基づく配替を行わないときの温度の低下より小さいとき、スラブ70の温度に基づいて配替を行う。したがって、スラブ70の温度が下がる配替を回避でき、スラブ70の温度の低下を抑えることができる。
また、拠点において、スラブ70の温度に基づく配替を行ったときでも、受入れ対象のスラブ群71及び払出し対象のスラブ群71が滞留しない場合に、スラブ70の温度に基づいて、配替を行う。したがって、スラブ70の温度に基づく配替が、スラブ70の物流を妨げることを回避できる。
また、拠点において、順序指定スラブ群を形成する複数回の配替の最後の1回はスラブ群71を払出すときに行われる仕分けで行う。したがって、配替による熱ロスを抑えられる。
また、配替を行える状態の拠点において、スラブ70が次に搬送される拠点が配替不可拠点のとき、次のように配替を行う。すなわち、スラブ70が次に搬送される拠点から、スラブ70が経由する拠点を順番に辿っていったときに1箇所以上の連続する配替不可拠点の最後の前記配替不可拠点の次の搬送先までに基づいて、配替を行う。したがって、スラブ70が経由する拠点に配替不可拠点があっても、スラブ70が滞りなく搬送される。
また、搬送設備40は、搬送ルート30を使って追越しを行う。すなわち、第1ルート31にある2つの上りルート31A、Bを使って追越しを行う。この追越しは、上記のように熱ロスがないため、スラブ70の温度を下げずに、スラブ70の順序を入れ替えられる。
また、スラブ群71は、スラブ70が山積みされた状態である。よって、スラブ70の温度の低下を抑えられる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
Claims (16)
- 複数の拠点を備えたスラブ搬送システムにおいて、拠点の1つである製鋼工場で製造されたスラブを、他の拠点を経由して、加熱炉に搬送するスラブ搬送方法であって、
前記複数の拠点のうちの着目する拠点である自拠点において、前記スラブの次の搬送先に基づいて、1枚以上の前記スラブからなるスラブ群を組み替える配替を行う拠点配替ステップを備え、
前記複数の拠点のうちの少なくとも一つには、前記スラブ群を構成するスラブの順序が指定された順序指定スラブ群を払出す順序指定拠点があり、
前記拠点配替ステップでは、
前記自拠点が前記順序指定拠点であって、配替を行える状態の拠点であるとき、前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行い、
前記自拠点が前記順序指定拠点でなく、配替を行える状態の拠点であるとき、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い前記順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しないか又は前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由し、かつ、前記直近順序指定拠点が前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態のとき、前記自拠点の受入れ及び払出し時、又は払出し時に、前記直近順序指定拠点が受入れる前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行うことを特徴とするスラブ搬送方法。 - 前記拠点配替ステップでは、前記スラブを搬送可能な搬送先が複数ある拠点において、前記スラブ群の払出し時に、前記スラブの搬送先に基づいて、配替を行うことを特徴とする請求項1に記載のスラブ搬送方法。
- 前記拠点配替ステップでは、前記スラブ群の受入れ時に、前記スラブを前記自拠点に留めるか否かに基づいて、配替を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のスラブ搬送方法。
- 前記拠点配替ステップでは、さらに前記スラブの温度に基づいて、配替を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスラブ搬送方法。
- 前記拠点配替ステップでは、前記スラブの温度に基づく配替による前記スラブの温度の低下が、前記スラブの温度に基づく配替を行わないときの温度の低下より小さいとき、前記スラブの温度に基づいて、配替を行うことを特徴とする請求項4に記載のスラブ搬送方法。
- 各拠点は、前記スラブ群の受入れ及び前記スラブ群の払出しの少なくとも一方を行い、かつ、前記スラブ群の配替を行う移動設備を備え、
前記拠点配替ステップでは、前記スラブの温度に基づく配替を行ったときでも、受入れ対象の前記スラブ群、及び、払出し対象の前記スラブ群が滞留しない場合に、前記スラブの温度に基づいて、前記移動設備で配替を行うことを特徴とする請求項4又は5に記載のスラブ搬送方法。 - 前記拠点配替ステップでは、前記順序指定スラブ群を形成する配替を、複数回の配替で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスラブ搬送方法。
- 配替には、拠点に前記スラブ群を受入れるとき又は拠点から前記スラブ群を払出すときに行われる前記スラブ群の組み替えである仕分けと、拠点の中で行われる前記スラブ群の組み替えである山繰りと、があり、
前記拠点配替ステップでは、前記順序指定スラブ群を形成する配替の最後の1回は前記スラブ群を払出すときに行われる前記仕分けで行うことを特徴とする請求項7に記載のスラブ搬送方法。 - 前記拠点配替ステップでは、前記自拠点が配替を行える状態の拠点であるとき、さらに、前記スラブが次に搬送される拠点が配替を行えない状態である配替不可拠点のとき、前記スラブが次に搬送される拠点から、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに1箇所以上の連続する前記配替不可拠点の最後の前記配替不可拠点の次の搬送先までに基づいて、配替を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスラブ搬送方法。
- 拠点間で前記スラブを搬送する搬送設備が、前記搬送設備で搬送される前記スラブ群の次の搬送先の拠点に到達すべき時刻に基づいて、前記スラブ群の配替を行う搬送配替ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスラブ搬送方法。
- 前記搬送配替ステップでは、配替として、前記スラブ群の一方が前記スラブ群の他方を追越す追越しを行うことを特徴とする請求項10に記載のスラブ搬送方法。
- 前記搬送配替ステップでは、追越す前記スラブ群と追越される前記スラブ群とが異なるルートを通ることで、前記追越しを行うことを特徴とする請求項11に記載のスラブ搬送方法。
- 前記搬送配替ステップでは、追越される前記スラブ群を拠点に置き、追越す前記スラブ群を前記搬送設備で搬送することで、前記追越しを行うことを特徴とする請求項12に記載のスラブ搬送方法。
- 前記スラブ群は、前記スラブが山積みされた状態であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスラブ搬送方法。
- 複数の拠点を備え、拠点の1つである製鋼工場で製造されたスラブを、他の拠点を経由して、加熱炉に搬送するスラブ搬送システムであって、
前記複数の拠点のうちの着目する拠点である自拠点において、前記スラブの次の搬送先に基づいて、1枚以上の前記スラブからなるスラブ群を組み替える配替を行う拠点配替手段を備え、
前記複数の拠点のうちの少なくとも一つには、前記スラブ群を構成するスラブの順序が指定された順序指定スラブ群を払出す順序指定拠点があり、
前記拠点配替手段は、
前記自拠点が前記順序指定拠点であって、配替を行える状態の拠点であるとき、前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行い、
前記自拠点が前記順序指定拠点でなく、配替を行える状態の拠点であるとき、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い前記順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しないか又は前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由し、かつ、前記直近順序指定拠点が前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態のとき、前記自拠点の受入れ及び払出し時、又は払出し時に、前記直近順序指定拠点が受入れる前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行うことを特徴とするスラブ搬送システム。 - 複数の拠点を備え、拠点の1つである製鋼工場で製造されたスラブを、他の拠点を経由して、加熱炉に搬送するスラブ搬送システムを制御するためのプログラムであって、
前記複数の拠点のうちの着目する拠点である自拠点において、前記スラブの次の搬送先に基づいて、1枚以上の前記スラブからなるスラブ群を組み替える配替を行う拠点配替ステップをコンピュータに実行させ、
前記複数の拠点のうちの少なくとも一つには、前記スラブ群を構成するスラブの順序が指定された順序指定スラブ群を払出す順序指定拠点があり、
前記拠点配替ステップでは、
前記自拠点が前記順序指定拠点であって、配替を行える状態の拠点であるとき、前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行い、
前記自拠点が前記順序指定拠点でなく、配替を行える状態の拠点であるとき、前記スラブが経由する拠点を順番に辿っていったときに最も近い前記順序指定拠点である直近順序指定拠点までに、拠点を経由しないか又は前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態の拠点のみを経由し、かつ、前記直近順序指定拠点が前記順序指定スラブ群を形成する配替を行えない状態のとき、前記自拠点の受入れ及び払出し時、又は払出し時に、前記直近順序指定拠点が受入れる前記順序指定スラブ群を形成するように配替を行うことを特徴とするプログラム。
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