以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる圧延順管制装置および圧延順管制方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる圧延順管制装置の一構成例を示すブロック図である。また、図1には、本実施の形態にかかる圧延順管制装置1が適用される圧延製品の製造ライン100と、この製造ライン100に関連するプロセスコンピュータ群150とが図示されている。以下では、圧延製品の製造ライン100について説明した後、圧延順管制装置1について説明する。
まず、本実施の形態にかかる圧延順管制装置1が適用される圧延製品の製造ライン100について説明する。製造ライン100は、プロセスコンピュータ群150によって管制されつつ、コイルまたは圧延板等の圧延製品を製造するラインであり、図1に示すように、製鋼ライン110と、手入れ処理ライン120と、熱間圧延ライン130,140とを備える。
製鋼ライン110は、圧延製品の製造に用いるスラブの連続鋳造工程を担うラインであり、例えば図1に示すように、5つの連続鋳造機111〜115を備える。連続鋳造機111〜115の各々は、圧延製品のオーダー情報に対応して、連続的にスラブを鋳造する。これらの連続鋳造機111〜115には、搬出ヤード111a〜115aが各々配置される。搬出ヤード111a〜115aは、鋳造されたスラブをその搬出前に仮置きする一時保管場所である。具体的には、連続鋳造機111によるスラブ11は搬出ヤード111aに仮置きされ、連続鋳造機112によるスラブ12は搬出ヤード112aに仮置きされ、連続鋳造機113によるスラブ13は搬出ヤード113aに仮置きされる。また、連続鋳造機114によるスラブ14は搬出ヤード114aに仮置きされ、連続鋳造機115によるスラブ15は搬出ヤード115aに仮置きされる。その後、スラブ11〜15は、図1の太線矢印に示されるように、ヤード間搬送用のクレーンまたはコンベア等の搬送手段(図示せず)によって、搬出ヤード111a〜115aから手入れ処理ライン120へ搬送される。
手入れ処理ライン120は、スラブの手入れ処理工程を担うラインであり、中間ヤード121と、クレーン122と、手入れ設備123とを備える。中間ヤード121は、手入れ処理前のスラブを仮置きする一時保管場所であって、製鋼ライン110と熱間圧延ライン130,140との各間においてスラブの受払いを行う中間的なスラブヤードである。具体的には、中間ヤード121は、製鋼ライン110の搬出ヤード111a〜115aから、鋳造後のスラブ11〜15を受け入れる。また、中間ヤード121は、手入れ設備123による手入れ処理後のスラブを受け入れる。一方、手入れ処理後のスラブは、中間ヤード121から熱間圧延ライン130の被圧延材ヤード131または熱間圧延ライン140の被圧延材ヤード141へ払い出される。
クレーン122は、中間ヤード121内のスラブを搬送するための設備である。具体的には、クレーン122は、手入れ処理の条件等に基づいて、中間ヤード121内の各領域にスラブ11〜15を振り分ける。また、クレーン122は、スラブ11〜15等の手入れ処理前のスラブを中間ヤード121上に積み重ねる。なお、図1に示す中間ヤード121上のスラブ山21は、手入れ処理前のスラブを積み重ねてなる。クレーン122は、手入れ処理の順序に沿って、中間ヤード121から手入れ設備123へ手入れ処理前のスラブ(例えばスラブ山21内の各スラブ)を順次搬送する。なお、ここでいう手入れ処理の順序は、手入れ設備123による手入れ処理が行われるスラブの順序である。以下では、手入れ処理の順序を手入れ処理順と略す場合がある。
手入れ設備123は、鋳造後のスラブの手入れ処理を行う。具体的には、手入れ設備123は、切削等によってスラブ表層の疵および介在物等のスラブ品質に悪影響を及ぼす部分を除去する手入れ処理を行う。これによって、手入れ設備123は、手入れ処理前のスラブを良質なスラブに仕上る。なお、手入れ処理後のスラブは、手入れ設備123から搬出された後、クレーン122によって中間ヤード121に仮置きされる。ついで、手入れ処理後のスラブは、図1の太線矢印に示されるように、ヤード間搬送用のクレーンまたはコンベア等の搬送手段(図示せず)によって、中間ヤード121から熱間圧延ライン130,140へ搬送される。
熱間圧延ライン130は、スラブの熱間圧延処理を担うラインであり、被圧延材ヤード131と、クレーン132と、装入テーブル133と、デパイラ装置134と、加熱炉135と、圧延装置136とを備える。
被圧延材ヤード131は、被圧延材、すなわち、熱間圧延処理前のスラブを仮置きする一時保管場所である。具体的には、被圧延材ヤード131は、手入れ処理ライン120の中間ヤード121から、手入れ処理後のスラブを順次受け入れる。被圧延材ヤード131に受け入れられたスラブは、被圧延材ヤード131に仮置きされた後、熱間圧延ライン130の加熱炉135へ装入される前までの期間、被圧延材ヤード131上において保管される。
クレーン132は、被圧延材ヤード131内のスラブを搬送するための設備である。具体的には、クレーン132は、スラブの加熱炉装入順またはスラブ属性等に基づいて、被圧延材ヤード131内の各領域に手入れ処理後のスラブを振り分け、また、被圧延材ヤード131上に手入れ処理後のスラブを適宜積み重ねる。ここで、図1に示す被圧延材ヤード131内のスラブ山31〜35は、手入れ処理後であって熱間圧延処理前のスラブを積み重ねてなる。クレーン132は、スラブの加熱炉装入順に沿って、被圧延材ヤード131から加熱炉135の装入テーブル133へ手入れ処理後のスラブ(例えばスラブ山31内の各スラブ)を順次搬送する。
なお、ここでいうスラブの加熱炉装入順は、熱間圧延ライン130の加熱炉135へスラブを装入する順序である。また、スラブ属性は、手入れ処理後のスラブの寸法(幅、厚さ、長さ等)、重さ、鋼種等に例示されるスラブの物理的諸元によって分類される属性である。
装入テーブル133は、熱間圧延処理前のスラブを加熱炉135内へ装入するための設備である。具体的には、装入テーブル133は、スラブを搬送する機能を備える。装入テーブル133の入側は、被圧延材ヤード131の近傍に配置され、装入テーブル133の出側は、加熱炉135の装入口に接続される。装入テーブル133は、その入側から出側に向かう方向(図1の太線矢印参照)に沿って、加熱炉装入順にスラブを搬送し、出側に到達したスラブを加熱炉135内に装入する。
デパイラ装置134は、図1に示すように、装入テーブル133の入側近傍に配置される。デパイラ装置134は、装入テーブル133の入側に積み上げられた複数のスラブの中から、加熱炉装入順にスラブを1つずつ取り出し、その都度、取り出したスラブを装入テーブル133へ投入する。
加熱炉135は、装入テーブル133によって加熱炉装入順に搬送されたスラブを受け入れ、オーダー情報に基づいて決まる必要温度まで、受入後のスラブを加熱処理する。加熱炉135は、必要温度まで加熱処理したスラブを、圧延順管制装置1によって制御されたスラブ圧延順に順次、圧延装置136へ投入する。なお、ここでいうスラブ圧延順は、圧延装置136によって熱間圧延処理されるスラブの順序である。
圧延装置136は、スラブの熱間圧延処理を行って圧延製品を仕上るための設備である。具体的には、圧延装置136は、搬送ロール、粗圧延機および仕上圧延機等のスラブの熱間圧延処理に必要な各種設備を用いて実現される。圧延装置136は、圧延順管制装置1によって制御されたスラブ圧延順に順次、加熱炉135から抽出された加熱処理後のスラブを受け入れ、その後、所定の搬送方向(図1の太線矢印参照)に加熱処理後のスラブを順次搬送する。続いて、圧延装置136は、この搬送方向に沿ってスラブ圧延順に並ぶ加熱処理後の各スラブに対し、オーダー情報に基づいて決まる条件の熱間圧延処理(幅プレス、粗圧延および仕上圧延等)を順次行う。これによって、圧延装置136は、需要者からの受注オーダーに則した圧延製品を製造する。
熱間圧延ライン140は、上述した熱間圧延ライン130と同様にスラブの熱間圧延工程を担うラインであり、被圧延材ヤード141と、クレーン142と、装入テーブル143と、デパイラ装置144と、加熱炉145と、圧延装置146とを備える。このような熱間圧延ライン140の各構成部は、熱間圧延ライン130の各構成部とほぼ同様の機能を有する。
具体的には、被圧延材ヤード141は、熱間圧延ライン130の被圧延材ヤード131と同様に、熱間圧延処理前のスラブを仮置きする一時保管場所として機能し、手入れ処理ライン120の中間ヤード121から、手入れ処理後のスラブを順次受け入れる。クレーン142は、熱間圧延ライン130のクレーン132と同様に、被圧延材ヤード141内のスラブの搬送機能を有する。なお、図1に示す被圧延材ヤード141内のスラブ山41〜45は、手入れ処理後であって熱間圧延処理前のスラブを積み重ねてなる。
また、装入テーブル143は、熱間圧延ライン130の装入テーブル133と同様の機能および構造を有し、クレーン142によって搬入された熱間圧延処理前のスラブを加熱炉装入順に加熱炉145内へ装入する。デパイラ装置144は、熱間圧延ライン130のデパイラ装置134と同様に、入側に積み上げられた複数のスラブの中から、加熱炉装入順にスラブを1つずつ取り出し、その都度、取り出したスラブを装入テーブル143へ投入する。
さらに、加熱炉145は、熱間圧延ライン130の加熱炉135と同様の加熱処理機能を有する。加熱炉145は、必要温度まで加熱処理したスラブを、圧延順管制装置1によって制御されたスラブ圧延順に順次、圧延装置146へ投入する。圧延装置146は、熱間圧延ライン130の圧延装置136と同様の熱間圧延処理機能を有する。すなわち、圧延装置146は、搬送方向(図1の太線矢印)に沿ってスラブ圧延順に並ぶ加熱処理後の各スラブに対し、オーダー情報に基づいて決まる条件の熱間圧延処理を順次行う。これによって、圧延装置146は、需要者からの受注オーダーに則した圧延製品を製造する。なお、ここでいうスラブ圧延順は、圧延装置146によって熱間圧延処理されるスラブの順序である。
なお、上述した熱間圧延ライン130,140のうち、加熱炉135,145は、互いに異なる加熱炉構造のものであってもよい。すなわち、加熱炉135,145内に配列される各加熱通路の数は、単一または複数の何れであってもよいし、互いに同数または異なる数の何れであってもよい。一方、圧延装置136,146は、需要者からの受注オーダーに則した圧延製品を製造するものであればよく、互いに異なる態様の圧延製品(例えばコイルおよび鋼板)を製造してもよい。また、圧延装置136,146の各通板経路の数は、単一または複数の何れであってもよいし、互いに同数または異なる数の何れであってもよい。
プロセスコンピュータ群150は、圧延製品の製造ライン100を管制するためのものである。具体的には、プロセスコンピュータ群150は、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120、および熱間圧延ライン130,140の各ラインを各々管制する複数のプロセスコンピュータを備える。プロセスコンピュータ群150は、需要者からの受注オーダーに含まれる圧延製品の製品仕様および需要者情報を取得し、その都度、圧延製品の製品仕様および需要者情報をもとに、需要者に要求された圧延製品の製造に必要な製造ラインの条件を設定する。すなわち、プロセスコンピュータ群150は、製鋼ライン110に対して、連続鋳造機111〜115の各スラブ鋳造条件を設定し、手入れ処理ライン120に対して、手入れ設備123によるスラブの手入れ処理条件を設定する。また、プロセスコンピュータ群150は、熱間圧延ライン130,140に対して、装入テーブル133,143およびデパイラ装置134,144の各駆動条件と、加熱炉135,145の加熱処理条件と、圧延装置136,146の熱間圧延処理条件とを設定する。プロセスコンピュータ群150は、上述した各設定条件をもとに、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120、および熱間圧延ライン130,140の各設備を制御する。
また、プロセスコンピュータ群150は、圧延順管制装置1によって指示された加熱炉装入順またはスラブ圧延順に従い、製造ライン100内におけるスラブ搬送を制御する。詳細には、プロセスコンピュータ群150は、加熱炉装入順に従い、搬出ヤード111a〜115aと中間ヤード121との間のスラブ搬送と、中間ヤード121と被圧延材ヤード131,141との間のスラブ搬送と、クレーン122によるスラブ搬送とを制御する。また、プロセスコンピュータ群150は、スラブ圧延順に従い、クレーン132,142によるスラブ搬送を制御する。
さらに、プロセスコンピュータ群150は、製造ライン100の現状を示す情報(以下、ライン情報という)を製造ライン100から収集する。なお、このライン情報には、製鋼ライン110の現状情報と、手入れ処理ライン120の現状情報と、熱間圧延ライン130,140の各現状情報と、スラブの搬送情報とが含まれる。プロセスコンピュータ群150は、このようなライン情報をもとに、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120、および熱間圧延ライン130,140の各現状と、スラブの搬送状況とを管理する。
なお、製鋼ライン110の現状情報には、連続鋳造機111〜115の各稼働状況および各鋳造処理条件等の連続鋳造工程の現状を示す情報が含まれる。手入れ処理ライン120の現状情報には、手入れ設備123の稼働状況および手入れ処理条件等の手入れ処理工程の現状を示す情報が含まれる。熱間圧延ライン130,140の各現状情報には、加熱炉135,145の各稼働状況および各加熱処理条件、圧延装置136,146の各稼働状況および各熱間圧延処理条件等の熱間圧延工程の現状を示す情報が含まれる。
一方、スラブの搬送情報には、製造ライン100における各ヤード間のスラブの搬送情報と、各ヤード内のスラブの搬送情報とが含まれる。ここで、各ヤード間のスラブの搬送情報は、搬出ヤード111a〜115aと中間ヤード121との間のスラブの受払い状況、中間ヤード121と被圧延材ヤード131,141との間のスラブの受払い状況等のヤード間におけるスラブの受払い状況を示す情報である。また、各ヤード内のスラブの搬送情報は、中間ヤード121内のクレーン122によるスラブの搬送状況と、被圧延材ヤード131,141内のクレーン132,142によるスラブの搬送状況と、被圧延材ヤード131,141内のスラブの山積み状況とを示す情報である。なお、山積み状況は、スラブ山31〜35,41〜45に例示されるように被圧延材ヤード131,141内に形成されたスラブ山の数および山順等である。
つぎに、本発明の実施の形態にかかる圧延順管制装置1の構成について説明する。圧延順管制装置1は、製造ライン100の各工程(特に、スラブ圧延順)を管制するための装置であり、図1に示すように、入力部2と、表示部3と、データベース4と、処理部5と、制御部6とを備える。
入力部2は、キーボードおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、操作者の入力操作に対応して各種情報を制御部6に入力する。なお、入力部2による入力情報として、例えば、制御部6に対する指示情報、製造ライン100内の各設備の仕様情報および処理能力情報、スラブ圧延順の変更を指示する変更指示情報等が挙げられる。
表示部3は、制御部6によって表示指示された各種情報を表示する。具体的には、表示部3は、入力部2による入力情報、製造ライン100の各工程の進捗状況、スラブ圧延順の変更操作に関するグラフィカルユーザインターフェース(以下、GUIという)等の製造ライン100の各工程の管制に有用な画面を表示する。例えば、表示部3は、処理部5によって作成されたスラブ圧延順に則した圧延製品の製造工程計画を示す計画画面と、現時刻を示す現時刻バーとを対応付けて表示し、これによって、製造ライン100の各工程の進捗状況を表示する。
データベース4は、プロセスコンピュータ群150によって収集されたライン情報、圧延製品のオーダー情報、各工程におけるスラブの物理的諸元(サイズ、重さ、鋼種等)を示すスラブ情報等の製造ライン100の各工程の管制に有用な各種情報を蓄積する。なお、オーダー情報は、需要者に要求された圧延製品の仕様情報を含み、この仕様情報は、圧延製品の組成、鋼種、強度、寸法(幅、長さ、厚み)、重さ等の各種物理的諸元を示す。このようなオーダー情報に基づいて、各工程におけるスラブの物理的諸元、各工程におけるスラブの処理条件等が決まる。
処理部5は、製造ライン100の各工程の管制に必要な各種処理を実行するものであり、図1に示すように、ステータス判定部5aと、スラブ順決定部5bと、画面処理部5cと、進捗判定部5dとを備える。
ステータス判定部5aは、製造ライン100に配置された各ヤード内のスラブの待機に関する状態、すなわちスラブのステータスを判定する。具体的には、ステータス判定部5aは、データベース4内のライン情報をもとに、搬出ヤード111a〜115aと、中間ヤード121と、被圧延材ヤード131,141との各間におけるスラブの受払い状況を把握する。ステータス判定部5aは、把握したスラブの受払い状況をもとに、搬出ヤード111a〜115a、中間ヤード121、および被圧延材ヤード131,141の各スラブのステータスを判定する。なお、ステータス判定部5aによって判定されるステータスとして、例えば、熱間圧延処理が可能なスラブであることを示す圧延指示可能状態、手入れ処理待ちのスラブであることを示す手入れ待ち状態、搬出ヤード111a〜115aにおいて待機しているスラブであることを示す未搬送状態、搬出ヤード111a〜115aに仮置きされる前のスラブであることを示す未鋳造状態等が挙げられる。
スラブ順決定部5bは、製造ライン100内におけるスラブの処理順序を決定する。具体的には、スラブ順決定部5bは、データベース4内のライン情報およびスラブ情報と、入力部2によって入力された各設備の処理能力情報とをもとに、スラブの鋳造順序と、鋳造後のスラブに対する手入れ処理の順序と、スラブの加熱炉装入順とを決定する。
また、スラブ順決定部5bは、熱間圧延ライン130,140におけるスラブ圧延順を決定する圧延順決定部としての機能を有する。すなわち、スラブ順決定部5bは、データベース4内のライン情報に含まれるスラブの搬送情報をもとに、被圧延材ヤード131,141内のスラブ山の山順を把握する。スラブ順決定部5bは、鋳造後のスラブに対する手入れ処理の順序と、手入れ処理後のスラブの物理的諸元を示すスラブ情報と、被圧延材ヤード131,141内のスラブ山の山順とをもとに、熱間圧延ライン130,140におけるスラブ圧延順を決定する。詳細には、スラブ順決定部5bは、データベース4内のスラブ情報に基づくスラブ属性別に分類されるスラブグループに、手入れ処理後のスラブを分ける。ついで、スラブ順決定部5bは、上述した手入れ処理の順序をもとに、スラブ圧延順を仮決定する。その後、スラブ順決定部5bは、スラブ山の山順、すなわち、スラブ山の頂部から底部へ向かう順序に、この仮決定のスラブ圧延順を変更する。スラブ順決定部5bは、このスラブ圧延順の変更処理をスラブグループ毎に実行して、被圧延材ヤード131,141内の各スラブのスラブ圧延順を本決定する。
さらに、スラブ順決定部5bは、入力部2によって入力された変更指示情報に対応して、スラブ圧延順を変更する。なお、入力部2は、表示部3に表示されたGUI、詳細には、スラブ圧延順の変更操作に関するGUIを用いた入力操作によって、スラブ圧延順の変更指示情報を入力する。
画面処理部5cは、製造ライン100の各工程の管制に有用な画面(GUIを含む)を作成する。具体的には、画面処理部5cは、スラブ圧延順の変更操作に関するGUIと、スラブ属性別のスラブグループの変更操作に関するGUIとを作成する。また、画面処理部5cは、製造ライン100による圧延製品の製造工程計画を作成する計画作成部としての機能を有する。すなわち、画面処理部5cは、上述したスラブのステータスと、各ヤード間のスラブの搬送情報と、鋳造処理の所要時間と、手入れ処理の所要時間と、熱間圧延処理の所要時間とをもとに、圧延製品の製造工程計画を作成する。ついで、画面処理部5cは、この作成した製造工程計画を示す計画画面を作成する。このように作成された製造工程計画は、スラブ順決定部5bが決定したスラブ圧延順に則したものである。
なお、各ヤード間のスラブの搬送情報は、上述したようにデータベース4内のライン情報に含まれており、データベース4からライン情報を読み込むことによって取得可能である。また、鋳造処理の所要時間は、製鋼ライン110において単一スラブの鋳造処理に要する時間であり、連続鋳造機111〜115の各処理能力情報に基づいて算出される。手入れ処理の所要時間は、手入れ処理ライン120において単一スラブの手入れ処理に要する時間であり、手入れ設備123の処理能力情報に基づいて算出される。熱間圧延処理の所要時間は、熱間圧延ライン130,140において1サイクルの熱間圧延処理に要する時間であり、圧延装置136,146の各処理能力情報に基づいて算出される。なお、これら各設備の処理能力情報は、上述したように、入力部2によって入力される。
進捗判定部5dは、製造ライン100における各工程の進捗異常の有無を判定する。具体的には、進捗判定部5dは、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140の各工程の進捗状況と、上述した画面処理部5cによる製造工程計画とを比較する。この比較処理によって、進捗判定部5dは、これら各工程の進捗状況と製造工程計画との間に許容範囲を超える誤差が生じているか否かを判定する。進捗判定部5dは、許容範囲を超える誤差が生じている場合、製造ライン100に工程の進捗異常があると判定し、許容範囲を超える誤差が生じていない場合、製造ライン100に工程の進捗異常が無いと判定する。一方、上述した表示部3は、製造ライン100内の工程に許容範囲を超える誤差が生じている場合、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140のうち、この誤差が生じているラインの進捗異常を知らせる警告を表示する。
なお、上述した製造ライン100の進捗異常として、例えば、工程の進捗遅れ異常および進捗早過ぎ異常が挙げられる。進捗遅れ異常は、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140のうちの少なくとも1つの工程の進捗が製造工程計画に比して時間の許容範囲を超えて遅れる異常である。進捗早過ぎ異常は、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140のうちの少なくとも1つの工程の進捗が製造工程計画に比して時間の許容範囲を超えて進み過ぎる異常である。
制御部6は、圧延順管制装置1の機能を実現するためのプログラム等を記憶するメモリおよびこのメモリ内のプログラムを実行するCPU等を用いて実現される。制御部6は、入力部2、表示部3、および処理部5の各動作を制御し、且つ、これら各構成部との電気信号の入出力を制御する。また、制御部6は、スラブ順決定部5bによって決定されたスラブ圧延順等のスラブの処理順序に従って製造ライン100の各工程を進めるように、プロセスコンピュータ群150へ指示する。制御部6は、このプロセスコンピュータ群150に対する指示を通して、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140の各スラブの処理順序を制御する。例えば、制御部6は、スラブ順決定部5bによって決定されたスラブ圧延順をプロセスコンピュータ群150へ指示し、これによって、このスラブ圧延順を満足するように熱間圧延ライン130,140を制御する。
つぎに、本発明の実施の形態にかかる圧延順管制方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかる圧延順管制方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる圧延順管制方法では、図1に示した圧延順管制装置1が、図2に示す処理手順を実行し、これによって、製造ライン100の各工程の進捗状況を管理しつつ、各工程内のスラブの処理順序、特に、スラブ圧延順を管制する。
すなわち、図2に示すように、圧延順管制装置1は、まず、製造ライン100の現状を確認する(ステップS101)。このステップS101において、処理部5は、データベース4から製造ライン100のライン情報を取得し、この取得したライン情報をもとに、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120、および熱間圧延ライン130,140の各現状を把握する。また、処理部5は、このライン情報をもとに、図1に示した搬出ヤード111a〜115aと中間ヤード121との間におけるスラブの受払い状況と、中間ヤード121と被圧延材ヤード131,141との間におけるスラブの受払い状況とを把握する。さらに、処理部5は、中間ヤード121内のクレーン122によるスラブの搬送状況と、被圧延材ヤード131,141内のクレーン132,142によるスラブの搬送状況と、被圧延材ヤード131,141内のスラブの山積み状況とを把握する。
続いて、圧延順管制装置1は、製造ライン100内の各スラブのステータスを判定する(ステップS102)。このステップS102において、ステータス判定部5aは、ステップS101によって把握した各ヤード間のスラブの受払い状況をもとに、搬出ヤード111a〜115a、中間ヤード121、および被圧延材ヤード131,141の各スラブのステータスを判定する。具体的には、ステータス判定部5aは、製鋼ライン110におけるスラブのステータスとして、未搬送状態または未鋳造状態の何れであるかを判定し、手入れ処理ライン120におけるスラブのステータスとして、手入れ待ち状態であるか否かを判定する。また、ステータス判定部5aは、熱間圧延ライン130,140におけるスラブのステータスとして、圧延指示可能状態であるか否かを判定する。
つぎに、圧延順管制装置1は、製造ライン100内の各工程におけるスラブ処理の所要時間を算出する(ステップS103)。このステップS103において、処理部5は、連続鋳造機111〜115の各処理能力情報をもとに、製鋼ライン110によるスラブの鋳造処理の所要時間を算出する。処理部5は、手入れ設備123の処理能力情報をもとに、手入れ処理ライン120によるスラブの手入れ処理の所要時間を算出する。処理部5は、圧延装置136,146の各処理能力情報をもとに、熱間圧延ライン130,140によるスラブの熱間圧延処理の所要時間を算出する。なお、これら各設備の処理能力情報は、上述したように、入力部2によって入力される。
ついで、圧延順管制装置1は、製造ライン100におけるスラブの処理順序を決定する(ステップS104)。このステップS104において、スラブ順決定部5bは、ステップS101〜S103によって把握または算出した各種情報とスラブ情報とをもとに、スラブの鋳造順序と、スラブの手入れ処理順と、スラブの加熱炉装入順と、スラブ圧延順とを決定する。
その後、圧延順管制装置1は、ステップS104によって決定したスラブの処理順序に従ってスラブ処理を行うように、製造ライン100に指示する(ステップS105)。このステップS105において、制御部6は、スラブ順決定部5bによって決定されたスラブの処理順序を取得し、この取得した処理順序に従ってスラブ処理を行うようにプロセスコンピュータ群150へ指示する。制御部6は、このプロセスコンピュータ群150に対する指示を通して、製造ライン100の各工程におけるスラブの処理順序を制御する。具体的には、制御部6は、スラブの処理順序として、連続鋳造機111〜115によるスラブの鋳造順序と、手入れ設備123によるスラブの手入れ処理の順序と、加熱炉135,145へのスラブの装入順序と、圧延装置136,146によるスラブの熱間圧延処理順序とを制御する。また、制御部6は、搬出ヤード111a〜115aから中間ヤード121へのスラブの搬送順序と、中間ヤード121から被圧延材ヤード131,141へのスラブの搬送順序と、クレーン122,132,142によるスラブの搬送順序とを制御する。
つぎに、圧延順管制装置1は、製造ライン100による圧延製品の製造工程計画を示す計画画面を表示する(ステップS106)。このステップS106において、画面処理部5cは、ステップS102によるスラブのステータスと、各ヤード間のスラブの搬送情報と、ステップS103による各スラブ処理の所要時間とをもとに、圧延製品の製造工程計画を作成する。ついで、画面処理部5cは、この作成した製造工程計画を示す計画画面を作成する。制御部6は、この画面処理部5cによる計画画面を表示するように表示部3を制御する。表示部3は、この制御部6の制御に基づいて、この計画画面と現時刻を示す現時刻バーとを対応付けて表示する。
続いて、圧延順管制装置1は、製造ライン100の各工程ついて、進捗異常の有無を判定する(ステップS107)。このステップS107において、進捗判定部5dは、データベース4からライン情報を取得し、この取得したライン情報をもとに、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140の各工程の進捗状況を把握する。なお、これら各工程の進捗状況には、搬出ヤード111a〜115aと中間ヤード121との間におけるスラブの搬送状況と、中間ヤード121と被圧延材ヤード131,141との間におけるスラブの搬送状況とが含まれる。進捗判定部5dは、これら各工程の進捗状況と、ステップS106による製造工程計画とを比較する。この比較処理によって、進捗判定部5dは、これら各工程の進捗状況と製造工程計画との間に許容範囲を超える誤差が生じているか否かを判定する。
これら各工程の進捗状況と製造工程計画との間に許容範囲を超える誤差が生じている場合、進捗判定部5dは、製造ライン100に工程の進捗異常があると判定する(ステップS107,Yes)。この場合、進捗判定部5dは、発生した進捗異常の種類(進捗遅れ異常または進捗早過ぎ異常)を判定し、進捗異常がある旨および進捗異常の種類を示す判定結果を制御部6に送信する。制御部6は、この進捗判定部5dから取得した判定結果に対応して、進捗異常ありの警告を表示するように表示部3を制御する。表示部3は、この制御部6の制御に基づいて、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120および熱間圧延ライン130,140のうちの進捗異常が生じているラインの計画画面部分に、進捗異常を知らせる警告を進捗異常の種類別に表示する(ステップS108)。その後、圧延順管制装置1は、ステップS109へ進む。
一方、上述した各工程の進捗状況と製造工程計画との間に許容範囲を超える誤差が生じていない場合、進捗判定部5dは、製造ライン100に工程の進捗異常が無いと判定する(ステップS107,No)。この場合、圧延順管制装置1は、上述したステップS108を実行せずにステップS109に進む。
ステップS107またはステップS108を実行後、圧延順管制装置1は、製造ライン100内における各ヤード状況の変化の有無を判定する(ステップS109)。このステップS109において、進捗判定部5dは、データベース4内のスラブの搬送情報をもとに、各ヤード間のスラブの受払い状況を把握する。具体的には、進捗判定部5dは、各ヤード間のスラブの受払い状況として、搬出ヤード111a〜115aと中間ヤード121との間のスラブの受払い状況と、中間ヤード121と被圧延材ヤード131,141との間のスラブの受払い状況とを把握する。進捗判定部5dは、把握した各ヤード間のスラブの受払い状況をもとに、搬出ヤード111a〜115a、中間ヤード121および被圧延材ヤード131,141の各ヤード内のスラブ数が変化したか否かを判定する。
進捗判定部5dは、これら各ヤードのうちの少なくとも1つにおいてスラブ数が変化した場合、各ヤード状況に変化ありと判定する(ステップS109,Yes)。この場合、圧延順管制装置1は、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。すなわち、圧延順管制装置1は、各ヤード状況が変化する都度、各スラブのステータスを更新し、このステータスの更新に合わせて計画画面を更新する。
一方、上述した各ヤードの何れにおいてもスラブ数が変化していない場合、進捗判定部5dは、各ヤード状況に変化無しと判定する(ステップS109,No)。この場合、圧延順管制装置1は、ステップS110へ進む。制御部6は、上述したステップS102による各スラブのステータス判定処理からの経過時間を算出し、算出した経過時間をもとに、ステータス判定処理から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS110)。
ステータス判定処理から所定時間が経過した場合(ステップS110,Yes)、圧延順管制装置1は、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。すなわち、制御部6は、ステータス判定処理から所定時間が経過する都度、各スラブのステータスを更新するようにステータス判定部5aを制御し、このステータスの更新に合わせて計画画面を更新するように画面処理部5cを制御する。
一方、ステータス判定処理から所定時間が経過していない場合(ステップS110,No)、圧延順管制装置1は、上述したステップS106に戻り、このステップS106以降の処理手順を繰り返す。すなわち、制御部6は、ステータス判定処理から所定時間が経過するまで、計画画面の表示、各工程の進捗異常の有無判定、および進捗異常の警告表示の各処理を制御する。
つぎに、図2に示したステップS104によるスラブの処理順序を決定する処理、すなわち、スラブ順決定処理について説明する。図3は、スラブ順決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる圧延順管制装置1の処理部5のスラブ順決定部5bは、図3に示す処理手順を実行して、上述した製造ライン100におけるスラブの処理順序を決定する。
すなわち、図3に示すように、スラブ順決定部5bは、まず、製鋼ライン110におけるスラブの鋳造順序を決定する(ステップS201)。このステップS201において、スラブ順決定部5bは、図2に示したステップS102によるスラブのステータスと、ステップS103によるスラブの連続鋳造処理の所要時間と、データベース4内のオーダー情報とをもとに、スラブの鋳造順序を決定する。例えば、スラブ順決定部5bは、連続鋳造機111〜115のうち、未鋳造状態というステータスに対応する連続鋳造機の稼動を優先して、スラブの鋳造順序を決定する。なお、このスラブの鋳造順序は、図1に示した連続鋳造機111〜115による各スラブの鋳造処理の順序に相当する。
続いて、スラブ順決定部5bは、製造ライン100における手入れ処理前のスラブの有無を判断する(ステップS202)。このステップS201において、スラブ順決定部5bは、上述したステップS102によって判定された各スラブのステータスをもとに、製鋼ライン110および手入れ処理ライン120の少なくとも一方に手入れ処理前のスラブがあるか否かを判断する。具体的には、スラブ順決定部5bは、搬出ヤード111a〜115a内に未搬送状態のスラブが存在する場合、製鋼ライン110内に手入れ処理前のスラブありと判断する。また、スラブ順決定部5bは、中間ヤード121内に手入れ待ち状態のスラブが存在する場合、手入れ処理ライン120内に手入れ処理前のスラブありと判断する。
手入れ処理前のスラブがある場合(ステップS202,Yes)、スラブ順決定部5bは、上述したように所在を確認した各スラブのステータスおよびスラブ情報をもとに、スラブの加熱炉装入順を決定する(ステップS203)。このステップS203において、スラブ順決定部5bは、スラブ情報に示されるスラブの寸法(幅、厚さ、長さ等)、重さおよび鋼種等の物理的諸元とスラブのステータスとを加味して、加熱炉装入順の優先順位を決定する。例えば、スラブ順決定部5bは、鋳造中(すなわち未鋳造状態)のスラブよりも未搬送状態のスラブを優先し、未搬送状態のスラブよりも手入れ待ち状態のスラブを優先する。このようにして、スラブ順決定部5bは、スラブの高温状態が可能な限り維持されて加熱炉135,145内にスラブが装入されるように、スラブの加熱炉装入順を決定する。
つぎに、スラブ順決定部5bは、製造ライン100内のスラブの手入れ処理順を決定する(ステップS204)。このステップS204において、スラブ順決定部5bは、上述したステップS203によって決定した加熱炉装入順と、手入れ設備123によるスラブの手入れ処理の所要時間とをもとに、手入れ処理ライン120におけるスラブの手入れ処理順を決定する。例えば、スラブ順決定部5bは、スラブの加熱炉装入順の早い順に優先してスラブの手入れ処理順を決定する。また、スラブ順決定部5bは、手入れ処理の所要時間が短い順に優先してスラブの手入れ処理順を決定する。このようにして、スラブ順決定部5bは、高温状態のスラブを可能な限り早期に加熱炉135,145へ装入可能なスラブの順序に、手入れ処理順を決定する。
なお、ステップS204において用いられる手入れ処理の所要時間は、図1に示したステップS103によって算出される。また、このステップS204によって決定したスラブの手入れ処理順は、搬出ヤード111a〜115aから中間ヤード121へのスラブの搬送順序に対応している。
続いて、スラブ順決定部5bは、製造ライン100内のスラブをスラブ属性別にグループ化する(ステップS205)。このステップS205において、スラブ順決定部5bは、データベース4内のスラブ情報に基づくスラブ属性別に分類されるスラブグループに、手入れ設備123による手入れ処理後のスラブを分ける。このように分類されたスラブグループは、互いに同様のスラブ属性を有する1以上のスラブを含む。すなわち、スラブグループ内のスラブ圧延順は、見かけ上、同一である。
つぎに、スラブ順決定部5bは、熱間圧延ライン130,140におけるスラブ山の有無を判断する(ステップS206)。このステップS206において、スラブ順決定部5bは、上述したステップS102によって判定された各スラブのステータスをもとに、熱間圧延ライン130,140の少なくとも一方に圧延指示可能状態のスラブ山があるか否かを判断する。具体的には、スラブ順決定部5bは、熱間圧延ライン130の被圧延材ヤード131内に圧延指示可能状態のスラブ山(例えば図1に示すスラブ山31〜35)が存在する場合、熱間圧延ライン130内に圧延指示可能状態のスラブ山ありと判断する。また、スラブ順決定部5bは、熱間圧延ライン140の被圧延材ヤード141内に圧延指示可能状態のスラブ山(例えば図1に示すスラブ山41〜45)が存在する場合、熱間圧延ライン140内に圧延指示可能状態のスラブ山ありと判断する。なお、圧延指示可能状態のスラブ山は、ステータスが圧延指示可能状態であるスラブを山積みしたものである。
熱間圧延ライン130,140の少なくとも一方に圧延指示可能状態のスラブ山がある場合(ステップS206,Yes)、スラブ順決定部5bは、上述したように所在を確認したスラブ山のスラブ圧延順を決定する(ステップS207)。このステップS207において、スラブ順決定部5bは、ステップS204によって決定した手入れ処理順をもとに、スラブ山に含まれる各スラブのスラブ圧延順を仮決定する。ついで、スラブ順決定部5bは、データベース4内のスラブの搬送情報に含まれる山積み状況をもとに、各スラブ山の山順を把握する。その後、スラブ順決定部5bは、スラブ山の山順、すなわち、スラブ山の頂部から底部へ向かう順序に、この仮決定のスラブ圧延順を変更する。スラブ順決定部5bは、このスラブ圧延順の変更処理をスラブグループ毎に実行して、被圧延材ヤード131,141内の各スラブのスラブ圧延順を本決定する。
つぎに、スラブ順決定部5bは、スラブ圧延順の変更指示の有無を判断する(ステップS208)。このステップS208において、スラブ順決定部5bは、入力部2(図1参照)によってスラブ圧延順の変更指示情報が入力された場合、スラブ圧延順の変更指示ありと判断する。この変更指示情報の入力において、表示部3(図1参照)は、スラブ圧延順の変更操作に関するGUIを表示し、入力部2は、このGUIを用いた入力操作によって、スラブ圧延順の変更指示情報を入力する。
スラブ圧延順の変更指示ありの場合(ステップS208,Yes)、スラブ順決定部5bは、入力部2によって入力された変更指示情報に対応して、スラブ圧延順を変更する(ステップS209)。その後、スラブ順決定部5bは、図2に示したステップS104にリターンする。
一方、入力部2によってスラブ圧延順の変更指示情報が入力されていない場合、スラブ順決定部5bは、スラブ圧延順の変更指示なしと判断する(ステップS208,No)。この場合、スラブ順決定部5bは、ステップS209を実行せずに、ステップS104にリターンする。
なお、上述したステップS202において、手入れ処理前のスラブがない場合(ステップS202,No)、スラブ順決定部5bは、ステップS203〜S205を実行せずにステップS206へ進む。また、ステップS206において、熱間圧延ライン130,140の何れにも圧延指示可能状態のスラブ山がない場合(ステップS206,No)、スラブ順決定部5bは、ステップS207を実行せずにステップS208へ進む。
つぎに、本実施の形態における圧延製品の製造工程計画を示す計画画面について説明する。図4は、圧延製品の製造工程計画を示す計画画面の一例を示す模式図である。図4に示すように、計画画面50は、製鋼ライン110の工程計画を示す連鋳計画欄51と、手入れ処理ライン120の工程計画を示す手入れ計画欄52と、熱間圧延ライン130,140の各工程計画を示す圧延計画欄53,54とを含む。また、計画画面50は、工程計画の時刻情報を示す時間バー55と、現時刻を示す現時刻バー56とを含む。なお、時間バー55は、図4に向かって左から右へ進む時刻を示す。また、時間バー55の長手方向は、時間軸方向と同じである。
連鋳計画欄51は、製鋼ライン110に配置された5つの連続鋳造機111〜115の各々の工程計画を示す。具体的には、連鋳計画欄51において、「#1」の欄は、連続鋳造機111の工程計画を示し、「#2」の欄は、連続鋳造機112の工程計画を示す。また、「#3」の欄は、連続鋳造機113の工程計画を示し、「#4」の欄は、連続鋳造機114の工程計画を示し、「#5」の欄は、連続鋳造機115の工程計画を示す。
このような連鋳計画欄51は、図4に示すように、サイクル単位のスラブに対応するブロックの表示と時間バー55の時間線および現時刻バー56の表示との組み合わせによって、製鋼ライン110の工程進捗状況および稼働状況を視覚的に示す。例えば、連鋳計画欄51は、ブロック51aの表示と現時刻バー56の表示との組み合わせによって、ブロック51aに対応するスラブが連続鋳造機113によって鋳造処理中である旨を視覚的に示す。連鋳計画欄51は、ブロック51aの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック51aに対応するスラブの鋳造開始時刻と、鋳造終了時刻と、リードタイムとを視覚的に示す。連鋳計画欄51は、ブロック51a,51b,51cの時間軸方向の並び順によって、連続鋳造機113によるスラブの鋳造順序を時系列に沿って視覚的に示す。連鋳計画欄51は、現時刻バー56から離間したブロック51b,51cの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック51b,51cに対応する各スラブの鋳造開始および鋳造終了の予定時刻と、予定リードタイムとを視覚的に示す。また、ブロック51b,51cの先端と現時刻バー56との離間状態によって、ブロック51b,51cに対応する各スラブの鋳造開始までの待ち時間が視覚的に示される。
なお、上述したブロック長は、計画画面内に表示される各ブロックの時間軸方向の長さである。以下、ブロック長は、連鋳計画欄51、手入れ計画欄52および圧延計画欄53,54の各ブロックについて同じ意味をもつ。
手入れ計画欄52は、手入れ処理ライン120に配置された手入れ設備123の工程計画を示す。図4に示すように、手入れ計画欄52は、サイクル単位のスラブに対応するブロックの表示と時間バー55の時間線および現時刻バー56の表示との組み合わせによって、手入れ処理ライン120の工程進捗状況および稼働状況を視覚的に示す。
例えば、手入れ計画欄52は、ブロック52aの表示と現時刻バー56の表示との組み合わせによって、ブロック52aに対応するスラブが手入れ設備123によって手入れ処理中である旨を視覚的に示す。手入れ計画欄52は、ブロック52aの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック52aに対応するスラブの手入れ処理の開始時刻および終了時刻と、リードタイムとを視覚的に示す。手入れ計画欄52は、ブロック52a,52bの時間軸方向の並び順によって、手入れ設備123によるスラブの手入れ処理順を時系列に沿って視覚的に示す。手入れ計画欄52は、現時刻バー56から離間したブロック52bの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック52bに対応するスラブの手入れ処理の開始および終了の予定時刻と、予定リードタイムとを視覚的に示す。また、ブロック52bの先端と現時刻バー56との離間状態によって、ブロック52bに対応するスラブの手入れ処理開始までの待ち時間が視覚的に示される。
圧延計画欄53は、熱間圧延ライン130に配置された加熱炉135および圧延装置136による熱間圧延処理の工程計画を示す。図4に示すように、圧延計画欄53は、サイクル単位のスラブに対応するブロックの表示と時間バー55の時間線および現時刻バー56の表示との組み合わせによって、熱間圧延ライン130の工程進捗状況および稼働状況を視覚的に示す。
例えば、圧延計画欄53は、ブロック53aの表示と現時刻バー56の表示との組み合わせによって、ブロック53aに対応するスラブが既に熱間圧延処理済みである旨を視覚的に示す。圧延計画欄53は、ブロック53aの尾端位置と時間バー55の時間線と現時刻バー56との対応関係によって、ブロック53aに対応するスラブの熱間圧延処理の完了からの経過時間を視覚的に示す。圧延計画欄53は、ブロック53a,53b,53cの時間軸方向の並び順によって、圧延装置136によるスラブ圧延順を時系列に沿って視覚的に示す。圧延計画欄53は、現時刻バー56から離間したブロック53b,53cの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック53b,53cに対応する各スラブの熱間圧延処理の開始および終了の予定時刻と、予定リードタイムとを視覚的に示す。また、ブロック53b,53cの先端と現時刻バー56との離間状態によって、ブロック53b,53cに対応する各スラブの熱間圧延処理開始までの待ち時間が視覚的に示される。
圧延計画欄54は、熱間圧延ライン140に配置された加熱炉145および圧延装置146による熱間圧延処理の工程計画を示す。図4に示すように、圧延計画欄54は、サイクル単位のスラブに対応するブロックの表示と時間バー55の時間線および現時刻バー56の表示との組み合わせによって、熱間圧延ライン140の工程進捗状況および稼働状況を視覚的に示す。
例えば、圧延計画欄54は、ブロック54aの表示と現時刻バー56の表示との組み合わせによって、ブロック54aに対応するスラブの熱間圧延処理が現時刻に完了した旨を視覚的に示す。圧延計画欄54は、ブロック54aの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線との対応関係によって、ブロック54aに対応するスラブの熱間圧延処理の開始時刻および終了時刻と、リードタイムとを視覚的に示す。圧延計画欄54は、ブロック54a,54b,54cの時間軸方向の並び順によって、圧延装置146によるスラブ圧延順を時系列に沿って視覚的に示す。圧延計画欄54は、ブロック54bの先尾端位置およびブロック長と時間バー55の時間線と現時刻バー56との対応関係によって、ブロック54bに対応するスラブの熱間圧延処理が開始直前である旨と、この熱間圧延処理の終了予定時刻と、予定リードタイムとを視覚的に示す。また、ブロック54cの先端と現時刻バー56との離間状態によって、ブロック54cに対応するスラブの熱間圧延処理開始までの待ち時間が視覚的に示される。
上述したように各ラインの進捗状況および稼働状況等を視覚的に示す計画画面50は、図1に示した入力部2を用いたスクロール操作によって、所望の時間範囲の製造工程計画を示すことができる。なお、現時刻バー56は、この計画画面50のスクロール操作に伴って変位するが、時間経過に伴って時間軸方向へ移動しつつ、現時刻を示した状態を維持する。
特に図4には図示されていないが、計画画像50の各ブロック内には、製造ライン100の工程管理に有用な情報が視覚的に示される。具体的には、図2に示したステップS102によるスラブのステータスを示す情報、現時点の進捗状況を示す情報、ロット番号等のブロックに対応するサイクル単位のスラブを特定可能な情報、スラブ属性を示す情報、および高温スラブ比率情報等が、計画画面50の各ブロック内に適宜表示される。このような各ブロック内の表示情報は、図1に示した圧延順管制装置1の処理部5(例えばステータス判定部5aまたは画面処理部5c等)によって、取得または算出され、一定時間毎または各ヤードの受払い状況の変化毎に更新される。
なお、高温スラブ比率情報は、製造ライン100内の全スラブに対する所定温度以上の高温なスラブの比率を示す情報である。また、現時点の進捗状況を示す情報として、例えば、鋳造開始、鋳造済み、手入れ開始、手入れ済み、加熱炉装入、圧延開始、圧延済み等の文字情報が挙げられる。「鋳造開始」は、鋳造処理が開始されたスラブである旨を示す。「鋳造済み」は、既に鋳造処理が完了したスラブである旨を示す。「手入れ開始」は、手入れ処理が開始されたスラブである旨を示す。「手入れ済み」は、既に手入れ処理が完了したスラブである旨を示す。「加熱炉装入」は、加熱炉135,145に装入されたスラブである旨を示す。「圧延開始」は、熱間圧延処理が開始されたスラブである旨を示す。「圧延済み」は、既に熱間圧延処理が完了したスラブである旨を示す。
一方、製鋼ライン110、手入れ処理ライン120、および熱間圧延ライン130,140のうちの少なくとも1つのラインに進捗異常が発生した場合、計画画面50は、図2に示したステップS108の処理に基づいて、進捗異常が生じた工程計画部分に進捗異常を知らせる警告を視覚的に示す。具体的には図4に示すように、進捗異常が生じたブロック54cと正常な進捗状況である他のブロックとを視覚的に識別できるように、このブロック54cの表示態様を他のブロックと異なるものに変える。例えば、ブロック54cの表示色、表示模様、点滅等の表示方法を他のブロックと異なるものにして、進捗異常のブロック54cを強調表示する。また、製造ライン100の実際の進捗状況と製造工程計画との時間的な誤差を示す時間誤差バー59を進捗異常のブロック54cに対応付けて表示する。さらに、この進捗異常の種類を示す情報、例えば、進捗遅れ異常と進捗早過ぎ異常とを視覚的に識別可能な情報が、このブロック54cに対応付けて表示される。このような進捗異常の警告表示は、進捗異常に該当するブロック毎に行われる。
作業者は、上述したような計画画面50の視覚的な情報と、計画画面50内の各ブロックに表示された情報とを視認することによって、高温スラブ比率を監視しつつ製造ライン100の進捗状況および稼働状況を短時間且つ容易に把握できる。また、作業者は、計画画面50内に表示された進捗異常の警告を視認することによって、製造ライン100に進捗異常が発生した旨と、発生した進捗異常の種類とを短時間且つ容易に把握できるとともに、進捗異常が生じたスラブをサイクル毎に早期に特定できる。この結果、作業者は、可能な限り高温なスラブを加熱炉135,145に装入できるように製造ライン100内の各ラインのスラブ流れを管理できるとともに、実際のスラブ流れが製造工程計画通りであるか否かを容易且つ早期に判別できる。これによって、作業者は、熱間圧延ライン130,140の消費燃料を低減してコスト削減しつつ、製造ライン100の進捗状況と製造工程計画との整合性を容易に管理でき、さらには、製造ライン100に発生した進捗異常に対して早期に対処できる。
つぎに、スラブ属性別のスラブグループを再編成するための操作画面について説明する。図5は、スラブグループを再編成するための操作画面の一例を示す模式図である。このグループ再編成画面60は、スラブグループの再編成の操作に関するGUIであり、図5に示すように、グループ情報欄61と、統合アイコン62,63と、分離アイコン64と、属性反映アイコン65とを含む。
グループ情報欄61は、スラブグループに関する各種情報を表示する欄である。例えば、グループ情報欄61は、現時点のスラブグループに含まれるスラブ毎に、圧延属性、属性番号、鋼種、仕上厚グループ、仕上幅グループ、仕上厚、および仕上幅等のスラブの熱間圧延処理に関する情報を示す。なお、圧延属性は、スラブ属性別に分類される熱間圧延処理の属性である。同様の圧延属性同士の各スラブは、同様の条件によって熱間圧延処理を行える。属性番号は、スラブ属性を識別するための番号であり、鋼種は、スラブの鋼種を示す情報である。属性番号および鋼種は、例えば、英数字、文字、および記号等を適宜組み合わせて作成される。仕上厚グループおよび仕上幅グループは、各々、熱間圧延処理の仕上圧延によって仕上がるスラブ(圧延製品)の寸法(厚さ、幅)の範囲を示す情報である。仕上厚および仕上幅は、各々、熱間圧延処理の仕上圧延によって仕上がるスラブ(圧延製品)の寸法(厚さ、幅)の目標値を示す情報である。この仕上厚は仕上厚グループの範囲に含まれ、この仕上幅は仕上幅グループの範囲に含まれる。
統合アイコン62,63は、スラブグループを再編成するために指定のスラブ同士を統合するためのアイコンである。詳細には、統合アイコン62は、グループ情報欄61の中から指定したスラブとその上の欄に表示のスラブとを統合する操作を行うためのアイコンである。統合アイコン63は、グループ情報欄61の中から指定したスラブとその下の欄に表示のスラブとを統合する操作を行うためのアイコンである。
例えば、図5に示すマーク61bによって示されるスラブの欄(スラブ欄61a)に注目し、このスラブ欄61aのスラブ(以下、注目スラブという)とその上のスラブ欄に表示のスラブとを同一スラブグループに統合する場合を説明する。この場合、作業者は、圧延順管制装置1の入力部2(図1参照)を操作して、グループ情報61の中から、この注目スラブを指定する。入力部2は、この入力操作に対応して、この注目スラブが指定された旨を示す情報を制御部6に入力する。表示部3は、制御部6の制御に基づいて、この注目スラブが指定された旨を示すマーク61bを表示する。その後、作業者は、入力部2を用いて統合アイコン62のクリック操作を行う。入力部2は、このクリック操作に対応して、この注目スラブとその上のスラブ欄のスラブとを統合する指示情報を制御部6に入力する。制御部6は、この入力された指示情報に基づいて、これら指定のスラブ同士を統合するように処理部5のスラブ順決定部5bを制御する。スラブ順決定部5bは、これら統合後のスラブ同士を同一スラブグループに分類し、この結果、スラブグループが再編成される。
一方、スラブ欄61aのスラブ(注目スラブ)とその下のスラブ欄に表示のスラブとを同一スラブグループに統合する場合、作業者は、この注目スラブを指定した後、入力部2を用いて統合アイコン63のクリック操作を行う。入力部2は、このクリック操作に対応して、この注目スラブとその下のスラブ欄のスラブとを統合する指示情報を制御部6に入力する。制御部6は、この入力された指示情報に基づいて、これら指定のスラブ同士を統合するように処理部5のスラブ順決定部5bを制御する。スラブ順決定部5bは、これら統合後のスラブ同士を同一スラブグループに分類し、この結果、スラブグループが再編成される。
分離アイコン64は、指定のスラブをスラブグループから分離するためのアイコンである。例えば、作業者は、入力部2の操作によって、グループ情報欄61の中から、スラブグループから分離したいスラブを指定し、その後、分離アイコン64のクリック操作を行う。入力部2は、このクリック操作に対応して、この分離対象のスラブを現スラブグループから分離する指示情報を制御部6に入力する。制御部6は、この入力された指示情報に基づいて、この指定のスラブを現スラブグループから分離するようにスラブ順決定部5bを制御する。スラブ順決定部5bは、この指定のスラブを現スラブグループから除外して、スラブグループを再編する。
属性反映アイコン65は、上述した統合アイコン62,63または分離アイコン64のクリック操作によって統合または分離したスラブのグループ属性を圧延製品の製造工程計画に反映するためのアイコンである。具体的には、作業者が、入力部2の操作によって、属性反映アイコン65のクリック操作を行った場合、入力部2は、このクリック操作に対応して、スラブのグループ再編成結果を製造工程計画に反映する指示情報を制御部6に入力する。制御部6は、この入力された指示情報に基づいて、グループ再編成画面60を用いたスラブの再編成結果を製造工程計画に反映するように表示部3および処理部5を制御する。処理部5の画面処理部5cは、この制御部6の制御に基づき、現在の製造工程計画を、グループ再編成画面60を用いたスラブの再編成結果を反映した製造工程計画に更新する。表示部3は、この制御部6の制御に基づいて、図4に示した計画画面50内に表示のスラブ属性およびブロック等の表示情報を更新する。
ここで、製造ライン100におけるスラブのグループ化は、図3に示したステップS205によって自動的に行われるが、上述したようなグループ再編成画面60を用いた入力操作によって、手動変更可能である。制御部6は、スラブグループの自動変更または手動変更の何れであっても、変更後または再編成後のスラブグループが可能な限り一山内に纏まるようにプロセスコンピュータ群150を指示する。制御部6は、このプロセスコンピュータ群150に対する指示を通して、スラブ属性別またはスラブグループ別にスラブを山積みするようにクレーン122,132,142を制御する。
なお、グループ情報欄61には、図5に示したように、圧延属性、属性番号、鋼種、仕上厚グループ、仕上幅グループ、仕上厚、および仕上幅が表示されているが、グループ情報欄61に表示するスラブの情報は、図5に示すものに限らない。すなわち、熱間圧延処理に関するスラブの所望情報がグループ情報欄61内に表示されてもよく、本発明において、グループ情報欄61内の表示情報の種類は問わない。
つぎに、図3に示したステップS207によるスラブ圧延順の決定処理について詳細に説明する。図6は、スラブ圧延順の決定処理の一例を説明するための模式図である。図7は、スラブ圧延順の決定処理の別例を説明するための模式図である。図8は、1つのスラブ山に異なるスラブグループが混在する場合のスラブ圧延順の決定処理の一例を説明するための模式図である。図9は、1つのスラブ山に異なるスラブグループが混在する場合のスラブ圧延順の決定処理の別例を説明するための模式図である。図10は、複数のスラブ山に跨ったスラブ圧延順の決定処理の一例を説明するための模式図である。
上述したステップS207に示したように、スラブ順決定部5b(図1参照)は、スラブ山の山順に基づき、スラブグループ毎に、熱間圧延ライン130,140内の各スラブのスラブ圧延順を決定する。
熱間圧延ライン130の被圧延材ヤード131内のスラブ山31は、例えば図6に示すように、スラブグループAに属するスラブA1,A2,A4,A9と、別のスラブグループに属するスラブ31a,31bとを含む。このスラブ山31において、スラブA1はスラブ山31の底部に位置し、このスラブA1の上にスラブA9が積まれ、このスラブA9の上にスラブ31bが積まれている。また、このスラブ31bの上にスラブA2が積まれ、このスラブA2の上にスラブ31aが積まれ、このスラブ31aの上にスラブA4が積まれている。なお、このスラブA4は、図6に示すように、スラブ山31の頂部に位置する。
ここで、スラブA1,A2,A4,A9のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「1」、「2」、「4」、「9」に仮決めされている。スラブ順決定部5bは、このようなスラブA1,A2,A4,A9のスラブ圧延順mを、クレーン132によるスラブの搬送負荷が軽減される順序に変更する。すなわち、スラブ順決定部5bは、スラブ山31の頂部から底部へ向かう順序に、スラブ圧延順mを決め直す。具体的には、スラブ順決定部5bは、スラブ山31の頂部のスラブA4の当初のスラブ圧延順m(=4)を「1」に本決定し、このスラブA4に比して下方のスラブA2の当初のスラブ圧延順m(=2)を「2」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA2に比して下方のスラブA9の当初のスラブ圧延順m(=9)を「4」に本決定し、このスラブA9に比して下方のスラブA1の当初のスラブ圧延順m(=1)を「9」に本決定する。
なお、スラブ順決定部5bは、このスラブ山31のうちのスラブグループAと異なるスラブグループに属するスラブ31a,31bのスラブ圧延順を、スラブグループAの場合と同様の手法によって別途決定する。
また、スラブ山32は、例えば図7に示すように、スラブグループAに属するスラブA3,A5,A6,A7,A8,A9を含む。このスラブ山32において、スラブA6はスラブ山32の底部に位置し、このスラブA6の上にスラブA7が積まれ、このスラブA7の上にスラブA9が積まれている。また、このスラブA9の上にスラブA5が積まれ、このスラブA5の上にスラブA3が積まれ、このスラブA3の上にスラブA8が積まれている。なお、このスラブA8は、図7に示すように、スラブ山32の頂部に位置する。
ここで、スラブA3,A5,A6,A7,A8,A9のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「3」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」に仮決めされている。スラブ順決定部5bは、このようなスラブA3,A5,A6,A7,A8,A9のスラブ圧延順mを、クレーン132によるスラブの搬送負荷が軽減される順序に変更する。すなわち、スラブ順決定部5bは、スラブ山32の頂部から底部へ向かう順序に、スラブ圧延順mを決め直す。具体的には、スラブ順決定部5bは、スラブ山32の頂部のスラブA8の当初のスラブ圧延順m(=8)を「3」に本決定し、このスラブA8に比して下方のスラブA3の当初のスラブ圧延順m(=3)を「5」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA3に比して下方のスラブA5の当初のスラブ圧延順m(=5)を「6」に本決定し、このスラブA5に比して下方のスラブA9の当初のスラブ圧延順m(=9)を「7」に本決定する。さらに、スラブ順決定部5bは、このスラブA9に比して下方のスラブA7の当初のスラブ圧延順m(=7)を「8」に本決定し、このスラブA7に比して下方のスラブA6の当初のスラブ圧延順m(=6)を「9」に本決定する。
一方、スラブ山33は、例えば図8に示すように、互いに異なるスラブグループA,Bが混在するスラブ山である。詳細には、スラブ山33は、スラブグループAに属するスラブA1,A4,A6と、スラブグループBに属するスラブB2,B3,B8とを含む。このスラブ山33において、スラブB2はスラブ山33の底部に位置し、このスラブB2の上にスラブB8が積まれ、このスラブB8の上にスラブB3が積まれている。また、このスラブB3の上にスラブA6が積まれ、このスラブA6の上にスラブA1が積まれ、このスラブA1の上にスラブA4が積まれている。なお、このスラブA4は、図8に示すように、スラブ山33の頂部に位置する。
ここで、スラブA1,A4,A6のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「1」、「4」、「6」に仮決めされている。同様に、スラブB2,B3,B8のスラブ圧延順nは、手入れ処理順に基づいて、「2」、「3」、「8」に仮決めされている。スラブ順決定部5bは、スラブグループA,B別に、スラブA1,A4,A6のスラブ圧延順mとスラブB2,B3,B8のスラブ圧延順nとを、クレーン132によるスラブの搬送負荷が軽減される順序に変更する。すなわち、スラブ順決定部5bは、スラブ山33の頂部から底部へ向かう順序に、スラブ圧延順m,nを各々決め直す。具体的には、スラブ順決定部5bは、スラブ山33においてスラブグループAの最上段に位置するスラブA4の当初のスラブ圧延順m(=4)を「1」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA4に比して下方のスラブA1の当初のスラブ圧延順m(=1)を「4」に本決定し、このスラブA1に比して下方のスラブA6の当初のスラブ圧延順m(=6)を「6」に本決定する。これと同様に、スラブ順決定部5bは、スラブ山33においてスラブグループBの最上段に位置するスラブB3の当初のスラブ圧延順n(=3)を「2」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブB3に比して下方のスラブB8の当初のスラブ圧延順n(=8)を「3」に本決定し、このスラブB8に比して下方のスラブB2の当初のスラブ圧延順n(=2)を「8」に本決定する。
また、スラブ山34は、例えば図9に示すように、互いに異なるスラブグループA,Bが混在するスラブ山である。詳細には、スラブ山34は、スラブグループAに属するスラブA1,A3,A6,A7と、スラブグループBに属するスラブB2,B8とを含む。このスラブ山34において、スラブA1はスラブ山34の底部に位置し、このスラブA1の上にスラブA6が積まれ、このスラブA6の上にスラブB2が積まれている。また、このスラブB2の上にスラブB8が積まれ、このスラブB8の上にスラブA3が積まれ、このスラブA3の上にスラブA7が積まれている。なお、このスラブA7は、図9に示すように、スラブ山34の頂部に位置する。
ここで、スラブA1,A3,A6,A7のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「1」、「3」、「6」、「7」に仮決めされている。同様に、スラブB2,B8のスラブ圧延順nは、手入れ処理順に基づいて、「2」、「8」に仮決めされている。スラブ順決定部5bは、スラブグループA,B別に、スラブA1,A3,A6,A7のスラブ圧延順mとスラブB2,B8のスラブ圧延順nとを、クレーン132によるスラブの搬送負荷が軽減される順序に変更する。すなわち、スラブ順決定部5bは、スラブ山34の頂部から底部へ向かう順序に、スラブ圧延順m,nを各々決め直す。具体的には、スラブ順決定部5bは、スラブ山34においてスラブグループAの最上段に位置するスラブA7の当初のスラブ圧延順m(=7)を「1」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA7に比して下方のスラブA3の当初のスラブ圧延順m(=3)を「3」に本決定し、このスラブA3に比して下方のスラブA6の当初のスラブ圧延順m(=6)を「6」に本決定する。さらに、スラブ順決定部5bは、このスラブA6に比して下方のスラブA1の当初のスラブ圧延順m(=1)を「7」に本決定する。これと同様に、スラブ順決定部5bは、スラブ山34においてスラブグループBの最上段に位置するスラブB8の当初のスラブ圧延順n(=8)を「2」に本決定し、このスラブB8に比して下方のスラブB2の当初のスラブ圧延順n(=2)を「8」に本決定する。
一方、熱間圧延ライン140の被圧延材ヤード141内のスラブ山41,43は、例えば図10に示すように、互いに異なるスラブグループA,Bが混在するスラブ山であり、スラブ山42は、スラブグループAのみのスラブ山である。詳細には、スラブ山41は、スラブグループAに属するスラブA8,A9,A10と、スラブグループBに属するスラブB1,B3,B5とを含む。スラブ山42は、スラブグループAに属するスラブA2,A4,A6,A7,A11,A15を含む。スラブ山43は、スラブグループAに属するスラブA12,A13,A14と、スラブグループBに属するスラブB28,B29,B30とを含む。
スラブ山41において、スラブA9はスラブ山41の底部に位置し、このスラブA9の上にスラブA8が積まれ、このスラブA8の上にスラブA10が積まれている。また、このスラブA10の上にスラブB1が積まれ、このスラブB1の上にスラブB5が積まれ、このスラブB5の上にスラブB3が積まれている。なお、このスラブB3は、図10に示すように、スラブ山41の頂部に位置する。一方、スラブ山42において、スラブA2はスラブ山42の底部に位置し、このスラブA2の上にスラブA4が積まれ、このスラブA4の上にスラブA11が積まれている。また、このスラブA11の上にスラブA6が積まれ、このスラブA6の上にスラブA7が積まれ、このスラブA7の上にスラブA15が積まれている。なお、このスラブA15は、図10に示すように、スラブ山42の頂部に位置する。他方、スラブ山43において、スラブB29はスラブ山43の底部に位置し、このスラブB29の上にスラブB28が積まれ、このスラブB28の上にスラブB30が積まれている。また、このスラブB30の上にスラブA14が積まれ、このスラブA14の上にスラブA12が積まれ、このスラブA12の上にスラブA13が積まれている。なお、このスラブA13は、図10に示すように、スラブ山43の頂部に位置する。
なお、スラブ山41,42,43のうち、スラブ山41が装入テーブル143の入側に最も近く、ついで、スラブ山42が装入テーブル143の入側に近く、スラブ山43は、装入テーブル143の入側に最も遠い。
ここで、スラブ山41において、スラブA8,A9,A10のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「8」、「9」、「10」に仮決めされ、スラブB1,B3,B5のスラブ圧延順nは、手入れ処理順に基づいて、「1」、「3」、「5」に仮決めされている。スラブ山42において、スラブA2,A4,A6,A7,A11,A15のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「2」、「4」、「6」、「7」、「11」、「15」に仮決めされている。スラブ山43において、スラブA12,A13,A14のスラブ圧延順mは、手入れ処理順に基づいて、「12」、「13」、「14」に仮決めされ、スラブB28,B29,B30のスラブ圧延順nは、手入れ処理順に基づいて、「28」、「29」、「30」に仮決めされている。スラブ順決定部5bは、スラブグループA,B別に、スラブ山41,42,43のスラブ圧延順m,nを、クレーン142によるスラブの搬送負荷が軽減される順序に変更する。すなわち、スラブ順決定部5bは、被圧延材ヤード141上に存在する複数のスラブ山のうちの装入テーブル143の入側に近い方から遠い方に向う順序であり且つ各スラブ山の頂部から底部へ向かう順序に、スラブ圧延順m,nを各々決め直す。
具体的には、スラブ順決定部5bは、装入テーブル143の入側に最も近いスラブ山41において、スラブグループAの最上段に位置するスラブA10の当初のスラブ圧延順m(=10)を「2」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA10に比して下方のスラブA8の当初のスラブ圧延順m(=8)を「4」に本決定し、このスラブA8に比して下方のスラブA9の当初のスラブ圧延順m(=9)を「6」に本決定する。ついで、スラブ順決定部5bは、このスラブ山41の次に装入テーブル143の入側に近いスラブ山42において、スラブグループAの最上段に位置するスラブA15の当初のスラブ圧延順m(=15)を「7」に本決定する。このスラブ圧延順m=7は、スラブ山41におけるスラブグループAの最下段のスラブA9に続く順序である。スラブ順決定部5bは、このスラブA15に比して下方のスラブA7の当初のスラブ圧延順m(=7)を「8」に本決定し、このスラブA7に比して下方のスラブA6の当初のスラブ圧延順m(=6)を「9」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブA6に比して下方のスラブA11の当初のスラブ圧延順m(=11)を「10」に本決定し、このスラブA11に比して下方のスラブA4の当初のスラブ圧延順m(=4)を「11」に本決定する。さらに、スラブ順決定部5bは、このスラブA4に比して下方のスラブA2の当初のスラブ圧延順m(=2)を「12」に本決定する。ついで、スラブ順決定部5bは、このスラブ山42の次に装入テーブル143の入側に近いスラブ山43において、スラブグループAの最上段に位置するスラブA13の当初のスラブ圧延順m(=13)を「13」に本決定する。このスラブ圧延順m=13は、スラブ山42におけるスラブグループAの最下段のスラブA2に続く順序である。スラブ順決定部5bは、このスラブA13に比して下方のスラブA12の当初のスラブ圧延順m(=12)を「14」に本決定し、このスラブA12に比して下方のスラブA14の当初のスラブ圧延順m(=14)を「15」に本決定する。
一方、スラブ順決定部5bは、装入テーブル143の入側に最も近いスラブ山41において、スラブグループBの最上段に位置するスラブB3の当初のスラブ圧延順n(=3)を「1」に本決定する。また、スラブ順決定部5bは、このスラブB3に比して下方のスラブB5の当初のスラブ圧延順n(=5)を「3」に本決定し、このスラブB5に比して下方のスラブB1の当初のスラブ圧延順n(=1)を「5」に本決定する。ついで、スラブ順決定部5bは、このスラブ山41の次に装入テーブル143の入側に近いスラブ山であってスラブグループBを含むスラブ山43において、スラブグループBの最上段に位置するスラブB30の当初のスラブ圧延順n(=30)を「28」に本決定する。このスラブ圧延順n=28は、スラブ山41におけるスラブグループBの最下段のスラブB1に続く順序である。スラブ順決定部5bは、このスラブB30に比して下方のスラブB28の当初のスラブ圧延順n(=28)を「29」に本決定し、このスラブB28に比して下方のスラブB29の当初のスラブ圧延順n(=29)を「30」に本決定する。
なお、複数のスラブ山に跨るスラブグループA,Bの各スラブ圧延順は、装入テーブル143の入側に近い方から遠い方への順序であり且つスラブ山の頂部から底部へ向かう順序に決定されればよく、その決定処理の際のスラブグループ順序は、特に問わない。
つぎに、スラブ圧延順の変更操作に関する画面について説明する。図11は、スラブ圧延順の変更に関する画面の一具体例を示す模式図である。スラブ圧延順は、図3に示したステップS207によって自動的に決定されるが、図11に示す圧延順変更画面71を用いた入力部2の入力操作によって、手動変更可能である。
圧延順変更画面71は、手動操作によってスラブ圧延順を変更するためのGUIであり、図11に示すように、再編成欄72と、ヤード状態欄73と、サイクル番号欄74と、変更アイコン75,76とを含む。
再編成欄72は、手動操作によってスラブ圧延順を変更するために必要な各種情報を表示する欄である。例えば図11に示すように、再編成欄72には、スラブ圧延順の変更対象のスラブ山を示すスラブ山画像72aが表示される。また、再編成欄72は、スラブ山の置場を示す置場情報欄72bと、スラブ圧延順の変更対象をスラブ山単位に指定するためのチェック欄72cとを含む。なお、再編成欄72の表示範囲は、図1に示した入力部2を用いたスクロール操作によって、所望の範囲に調整可能である。
スラブ山画像72aは、図1に示した熱間圧延ライン130,140の被圧延材ヤード131,141に載置されたスラブ山を模式的に示す画像である。スラブ山画像72aとして表示されるブロック集合体は、被圧延材ヤード131,141内の実際のスラブ山に対応し、このブロック集合体内の各ブロックは、実際のスラブ山を構成するスラブに対応する。すなわち、スラブ山画像72aとしてのブロック集合体の数は、実際のスラブ山の数と同数であり、ブロック集合体に含まれるブロック数は、スラブ山に含まれるスラブの数と同数である。また、スラブ山画像72aは、所定の配列順に、再編成欄72の左側から右側へ配列される。この配列順として、例えば、スラブ山に含まれるスラブの仕上幅の大きさ順等が挙げられる。図11には図示されていないが、スラブ山画像72aのうち、スラブ圧延順の変更対象に指定されたサイクル(以下、対象サイクルという)のスラブ山を示すブロック集合体には、スラブに関する各種情報がブロック毎に表示される。このブロック毎に表示される情報として、例えば、対象サイクルを識別可能な識別番号、スラブ属性を示す情報、ロット番号等のサイクル単位のスラブを特定可能な情報等が挙げられる。なお、図11に示すスラブ山画像72aの各ブロックのうち、斜線を付したブロックは、対象サイクルのスラブに対応し、横線を付したブロックは、対象サイクル以外のスラブに対応する。
置場情報欄72bは、実際のスラブ山の置場情報を表示する欄である。なお、置場情報は、被圧延材ヤード131,141内におけるスラブ山の実際の置場(アドレス等)を特定するコード等の特定情報である。置場情報欄72bは、図11に示すように、スラブ山画像72aのブロック集合体毎に形成される。
チェック欄72cは、被圧延材ヤード131,141内のスラブ山の中から、スラブ圧延順の変更対象を部分的に指定するための欄である。チェック欄72cは、図11に示すように、スラブ山画像72aのブロック集合体毎に形成される。チェック欄72cには、スラブ圧延順の変更対象として指定されたスラブ山であることを示すマーク78が表示される。
ヤード状態欄73は、被圧延材ヤード131,141内の各スラブ山の山順とスラブ圧延順との関係が良好であるか否かを示す欄である。具体的には、各スラブ山のスラブ圧延順は、上述したように、スラブ山の頂部から底部へ向かう順序、すなわち山順に調整される。この山順とスラブ圧延順とが整合していれば、各スラブ山の山順とスラブ圧延順との関係は良好である。しかし、この山順とスラブ圧延順とが整合していなければ、各スラブ山の山順とスラブ圧延順との関係は良好ではない。ヤード状態欄73には、このような各スラブ山の山順とスラブ圧延順との関係状態を示す情報が表示される。例えば、この関係状態が良好である場合、ヤード状態欄73には「山順OK」等の関係良好を示す情報が表示され、この関係状態が良好ではない場合、ヤード状態欄73には「山順NG」等の関係不良を示す情報が表示される。
サイクル番号欄74は、スラブ圧延順の変更対象として指定されたサイクルの番号(以下、サイクル番号という)を示す欄である。作業者は、入力部2を用いてサイクル番号を入力することによって、スラブ圧延順の変更対象であるスラブのサイクルを指定できる。サイクル番号欄74は、このように入力されたサイクル番号を表示する。
変更アイコン75,76は、手動操作によってスラブ圧延順を変更(再編成)するためのアイコンである。詳細には、変更アイコン75は、サイクル番号欄74内のサイクル番号に特定される対象サイクルの全スラブのスラブ圧延順を一括に変更する一括変更操作を行うためのアイコンである。変更アイコン76は、サイクル番号欄74内のサイクル番号に特定される対象サイクルの全スラブのうち、チェック欄72cにマーク表示のあるスラブ山画像72aに対応するスラブ山のスラブ圧延順のみを変更する部分変更操作を行うためのアイコンである。
例えば、作業者は、圧延順管制装置1の入力部2を操作して、スラブ圧延順を変更するスラブのサイクル番号を指定する。入力部2は、この入力操作に対応して、この指定のサイクル番号を制御部6に入力する。表示部3は、制御部6の制御に基づいて、この指定のサイクル番号をサイクル番号欄74に表示するとともに、再編成欄72に、この指定のサイクル番号に特定される対象サイクルのスラブのブロックを強調表示する。その後、作業者は、入力部2を用いて変更アイコン75のクリック操作を行う。入力部2は、このクリック操作に対応して、対象サイクルのスラブのスラブ圧延順を一括変更する指示情報を制御部6に入力する。制御部6は、この入力された指示情報に基づいて、対象サイクルの全スラブのスラブ圧延順を一括変更するように処理部5のスラブ順決定部5bを制御する。スラブ順決定部5bは、山順等のクレーン負荷が軽減される順序に、対象サイクルの全スラブのスラブ圧延順を振り直す。この結果、手動操作によるスラブ圧延順の一括変更が達成される。
一方、対象サイクルの全スラブのうちの一部のスラブ圧延順を変更する場合、作業者は、上述した一括変更の場合と同様に対象サイクルを指定した後、入力部2を用いて、チェック欄72cおよび変更アイコン76の各クリック操作を行う。入力部2は、これらの各クリック操作に対応して、対象サイクルの全スラブの中からスラブ圧延順の変更対象のスラブ山を指定する指定情報と、この変更対象のスラブ山のスラブ圧延順のみ変更する指示情報とを制御部6に入力する。制御部6は、入力された指定情報および指示情報に基づいて、指定されたスラブのスラブ圧延順のみを変更するようにスラブ順決定部5bを制御する。スラブ順決定部5bは、対象サイクルの全スラブのうちの指定されたスラブ山のスラブ圧延順のみ、山順等のクレーン負荷が軽減される順序に変更する。この結果、手動操作によるスラブ圧延順の部分変更が達成される。
なお、上述した圧延順変更画面71には、図11に示すように、スラブ一覧画面77が付される。スラブ一覧画面77は、再編成欄72内のスラブ山画像72aに対応する全スラブの情報を一覧表示する。このスラブ一覧画面77に表示される情報として、例えば、サイクル番号および置場情報等のスラブの圧延順変更に有用な情報が挙げられる。作業者は、スラブ一覧画面77内の情報を参照することによって、対象サイクルのスラブの情報を確認し、これによって、スラブ圧延順を変更すべきスラブを正しく認識しつつ、スラブ圧延順の変更操作を容易に行える。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、スラブに例示される金属材を鋳造する鋳造ラインのヤードと、鋳造後の金属材を手入れ処理する手入れ処理ラインのヤードと、金属材を熱間圧延処理する熱間圧延ラインのヤードとの各間における金属材の受払い状況をもとに、これら各ヤード内の金属材の待機に関する金属材ステータスを判定し、手入れ処理の順序と、手入れ処理後の金属材の物理的諸元を示す金属材情報と、金属材を積み重ねてなる金属材山の山順とをもとに、熱間圧延ラインによる金属材圧延順を決定している。また、この金属材圧延順を満足するように熱間圧延ラインを制御し、金属材ステータスと、各ヤード間の金属材の搬送情報と、これら各ラインにおける金属材処理の所要時間とをもとに、この金属材圧延順に則した圧延製品の製造工程計画を作成し、作成した製造工程計画を表示している。
このため、熱間圧延処理等の主要な工程のみならず、クレーン等による各ヤード間の金属材の搬送工程および金属材の手入れ処理工程等の中間的な工程も加味して、圧延製品の製造工程を計画できるとともに、圧延製品の製造ラインにおいて流れる実際の金属材に近似した金属材ステータスを把握できる。また、上述した主要な工程と中間的な工程とを共に加味して、金属材圧延順を決定できる。これによって、実際の製造ラインの各工程に近似した高精度な製造工程計画を視認できることから、製造ラインの進捗状況および進捗異常の情報を容易且つ短時間に取得でき、取得情報をもとに、製造ラインの進捗状況と製造工程計画とのずれを最小限に抑制できる。また、製造ライン内における高温状態の金属材の比率を高めるように金属材圧延順を制御でき、この金属材圧延順に従って、クレーンによる金属材の搬送を効率よく行いつつ、可能な限り高温状態の金属材を熱間圧延ラインの加熱炉へ装入できる。
以上により、実際の製造ラインの進捗状況と製造工程計画との整合性を容易に監視でき、これによって、圧延製品の製造能率の向上を促進できるとともに、仮に進捗異常が発生しても、この進捗異常に対して早期に対処して、意図しない金属材の停滞に起因する金属材の温度低下を低減できる。さらには、金属材の熱間圧延順を適切に制御して、クレーンによる金属材のハンドリング負荷を低減できるとともに、加熱炉の使用燃料の原単位を削減できる。この結果、熱間圧延ラインのコスト削減を促進できるとともに、この熱間圧延ラインを含む圧延製品の製造ラインの工程進捗状況を高精度且つ容易に管理できる。
また、本発明の実施の形態では、金属材圧延順の変更操作を受け付けるGUIを表示し、このGUIを用いた入力操作によって、金属材圧延順の変更指示を入力している。このため、容易な入力操作によって金属材圧延順の変更を指示できるとともに、この指示した順序に金属材圧延順を容易に変更できる。この結果、可能な限り高温状態の金属材を熱間圧延ラインの加熱炉へ装入可能な金属材圧延順をより高精度に決定できる。
なお、上述した実施の形態では、2つの熱間圧延ライン130,140を有する圧延製品の製造ライン100を例示したが、これに限らず、製造ライン100は、単一の熱間圧延ラインを有するものであってもよいし、3つ以上の熱間圧延ラインを有するものであってもよい。同様に、製造ライン100は、5つの連続鋳造機111〜115を有するものに限らない。すなわち、本発明が適用される圧延製品製造ラインにおいて、各工程のライン数および設備数は、特に問わない。
また、上述した実施の形態では、連続鋳造機111〜115に搬出ヤード111a〜115aを設置していたが、これに限らず、複数の連続鋳造機から搬出されるスラブ等の金属材を一括に受け入れるヤードを配置してもよい。すなわち、単一の連続鋳造機に対して単一の搬出ヤードを配置してもよいし、複数の連続鋳造機に対して単一の搬出ヤードを配置してもよい。
さらに、上述した実施の形態では、鋳造ラインのヤードと手入れ処理ラインのヤードとの間において金属材の受け払いを行い、手入れ処理ラインのヤードと熱間圧延処理のヤードとの間において金属材の受け払いを行っていたが、これに限らず、鋳造ラインのヤードと熱間圧延処理のヤードとの間において金属材の受け払いを行ってもよい。すなわち、鋳造後の金属材は、手入れ処理せずに熱間圧延処理してもよい。この場合、ステータス判定部5aは、鋳造ラインのヤードと、手入れ処理ラインのヤードと、熱間圧延処理のヤードとの各ヤード間における金属材の受払い状況をもとに、金属材ステータスを判定すればよい。また、画面処理部5cは、これら各ヤード間の金属材の搬送情報を用いて製造工程計画を作成すればよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。例えば、圧延製品の製造に用いられる金属材は、鉄鋼材(スラブ)に限らず、銅またはアルミニウム等の鉄鋼材以外の金属材であってもよい。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。