JP6768633B2 - 自己免疫疾患を治療するために調節性t細胞を選択的に活性化する分子 - Google Patents
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Description
Stromおよび共同研究者により、高親和性IL−2受容体を発現するT細胞の活性化を排除する目的で、IL−2とFcタンパク質のN末端を融合した融合タンパク質が構築された(Zheng, X. X.ら、1999年、J Immunol. 1999年、163巻:4041〜8頁)。この融合タンパク質は、T1DのT細胞移入マウスモデルにおける自己免疫性糖尿病の発生を阻害することが示された。IL2−Fc融合タンパク質は、T1Dにかかりやすい雌NODマウス由来の疾患促進性T細胞の機能を、疾患にかかりにくい雄NODマウスに移植に移植した場合に阻害することが示された。Stromおよび共同研究者は、IL−2−Fc融合タンパク質により、in vitroにおいて高親和性IL−2受容体を発現する細胞を死滅させるができることも実証した。当該研究者らは、さらに、エフェクター機能コンピテントIgG2b Fcに由来するFcから構築したIL2−Fc融合タンパク質と変異したエフェクター機能欠損IgG2b Fcから構築したIL2−Fc融合タンパク質とを比較した。エフェクター機能コンピテントFcを含有するIL2−Fc融合タンパク質のみが疾患の発症の予防に効果的であった。したがって、当該研究者らにより、エフェクター機能を有するIL2−Fc融合タンパク質により、疾患を引き起こす活性化T細胞を排除できること、およびFcエフェクター機能がIL2−Fc融合タンパク質の治療活性に必要であることが教示された。これらの教示は、全身曝露を増加させ、Treg増大を最適化する目的で、免疫抑制性Treg細胞の成長および活性を促進するIL−2選択的アゴニストをエフェクター機能欠損Fcタンパク質部分と融合した本発明の技術とは全く異なる。Stromおよび共同研究者による他の研究により、移植耐容性の促進におけるIL2−Fc融合タンパク質の使用が教示されている(Zheng, X. X.ら、2003年、Immunity、19巻:503〜14頁)。この研究では、IL2−Fc融合タンパク質を、それとIL15−Fc受容体アンタゴニストおよびラパマイシンを組み合わせる「三重療法」において使用する。再度、当該研究者らにより、IL2−Fc融合タンパク質が効果的なものになるにはFcエフェクター機能を有さなければならないことが教示され、さらに、このIL−2−Fc融合タンパク質が効果的なものになるには2種の他の分子と組み合わせなければならないことが教示されている。
と接触させ、次いで、タンパク質と結合する細胞をフローサイトメトリーによって検出す
ることによって、ヒト血液試料中のTreg細胞の数を測定する方法。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
a.N末端ヒトIL−2改変体タンパク質部分と、
b.C末端IgG Fcタンパク質部分と
を含む融合タンパク質であって、
前記IL−2融合タンパク質が、高親和性IL−2受容体を選択的に活性化し、それにより、ヒト調節性T細胞を選択的に活性化する能力を有する、融合タンパク質。
(項目2)
前記IL−2改変体タンパク質が、ヒトIL2タンパク質(配列番号1)と比べてN88R、N88I、N88G、D20H、Q126L、Q126F、D84G、またはD84Iからなる群より選択される置換を伴うヒトIL−2を含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目3)
前記IL−2改変体タンパク質が、置換C125Sを伴うヒトIL−2を含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目4)
前記IL−2改変体タンパク質と前記IgG Fcタンパク質の両方がN末端とC末端とを有し、前記ヒトIL−2改変体タンパク質がそのC末端で前記IgG Fcタンパク質のN末端と融合している、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目5)
前記IL−2改変体タンパク質部分と前記IgG Fcタンパク質部分の間に位置するリンカーペプチドをさらに含む、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目6)
前記IgG Fcタンパク質が、前記融合タンパク質のFc部分のエフェクター機能を低下させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する、項目1に記載の融合タンパク質。
(項目7)
a.ヒトIL−2(配列番号1)と比べてアミノ酸置換N88RおよびC125Sを有するIL−2改変体タンパク質と、
b.配列番号15に記載のリンカーペプチドと、
c.配列番号2に記載のヒトIgG1 Fcタンパク質と
を含む融合タンパク質であって、
高親和性IL−2受容体を選択的に活性化し、それにより、ヒト調節性T細胞を選択的に活性化する能力を有する、融合タンパク質。
(項目8)
a.ヒトIL−2(配列番号1)と比べてアミノ酸置換N88RおよびC125Sを有するIL−2改変体タンパク質と、
b.配列番号2に記載のリンカーペプチドと、
c.配列番号3に記載のヒトIgG2 Fcタンパク質と
を含む融合タンパク質。
(項目9)
項目1に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(項目10)
ヒト調節性T細胞を選択的に活性化する方法であって、ヒトIL−2(配列番号1)と比べてアミノ酸置換N88RおよびC125Sを有するIL−2改変体タンパク質と、配列番号15に記載のリンカーペプチドと、配列番号3に記載のヒトIgG1 Fcタンパク質とを含む医薬組成物を投与するステップを含み、ここで前記医薬組成物は、ヒト調節性T細胞濃度が所望のレベルに達するまで、治療有効用量で投与される、方法。
(項目11)
ヒト調節性T細胞を選択的に活性化する方法であって、項目2に記載のIL−2改変体タンパク質と、
a.配列番号2に記載のヒトIgG1 Fcタンパク質または
b.配列番号3に記載のヒトIgG2 Fcタンパク質
のいずれかから選択されるヒトIgG Fcタンパク質とを含む医薬組成物を投与するステップを含み、ここで前記医薬組成物は、ヒト調節性T細胞濃度が所望のレベルに達するまで、治療有効用量で投与される、方法。
(項目12)
ヒト血液細胞を1nMから0.01nMの間の濃度の項目1に記載の融合タンパク質と接触させ、次いで、前記タンパク質と結合する細胞をフローサイトメトリーによって検出することによって、ヒト血液試料中のTreg細胞の数を測定する方法。
(項目13)
2つの同一の鎖を含む二量体タンパク質であって、ここで各鎖がN末端ヒトIL−2改変体タンパク質部分とC末端IgG Fcタンパク質部分とを含み、
前記N末端ヒトIL−2改変体タンパク質部分が、
a.N末端とC末端とを有し、
b.N88R、N88I、N88G、D20H、Q126L、およびQ126Fからなる群より選択される少なくとも1つの置換によって配列番号1のヒトIL−2野生型と異なり、
c.配列番号1に対して少なくとも97%の配列同一性を有し、そして
d.Treg細胞上のIL2Rαβγに結合することによってTreg細胞を活性化する能力を有し、
前記N末端ヒトIL−2改変体タンパク質がそのC末端でアミノ酸残基6〜20個のアミノ酸リンカーのN末端と接合しており、前記リンカーもC末端を有し、そして
前記アミノ酸リンカーのC末端が、配列番号3に対して97%の配列同一性を有しかつシステイン残基を含むIgG Fcタンパク質部分のN末端と接合しており、前記2つの鎖が、前記IgG Fcタンパク質部分のシステイン残基を通じて互いと連結している、
二量体タンパク質。
(項目14)
前記IL−2改変体タンパク質が、置換C125Sを伴うヒトIL−2をさらに含む、項目13に記載の二量体タンパク質。
(項目15)
前記アミノ酸リンカーが、グリシン残基、セリン残基、およびグリシン残基とセリン残基のミックスの群より選択されるリンカーからなる、項目13に記載のタンパク質。
(項目16)
前記IL−2改変体タンパク質部分が、置換N88Rを有する、項目13に記載のタンパク質。
(項目17)
前記リンカーが、12個から17個の間のセリン残基とグリシン残基のミックスを含む、項目13に記載のタンパク質。
(項目18)
前記リンカーが、4:1の比率のグリシン残基とセリン残基を含む、項目13に記載の融合タンパク質。
(項目19)
項目1に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
本発明は、3つの重要なタンパク質要素:(1)Treg細胞に対して高度に選択的になるように改変された、工学的に操作されたIL−2サイトカイン、(2)タンパク質の循環半減期を増大させるエフェクター機能欠損Fcタンパク質、および(3)融合タンパク質の高い生物学的活性のために必要である、2つの部分の間のリンカーペプチドを含む新規の治療用融合タンパク質である。本発明を構成する融合タンパク質は、IL−2融合タンパク質に関する先行技術の教示に反する最初の予期しない知見によって発見され、これらの分子を導いた研究により、それらの生物学的なおよび治療活性にとって重要である、鍵となる構造と活性の関連性が定義された。本発明によって定義される分子により、自己免疫性病理および炎症性病理を抑制するT細胞の小さな亜集団の産生を刺激する新規の機構によって自己免疫疾患を安全かつ有効に治療することが可能になる。このパラダイムを破壊する治療薬により、いくつかの異なる自己免疫疾患が治療される可能性があり得る。
「配列番号1に対する少なくともあるパーセント(例えば、97%)の配列同一性」とは、本明細書で使用される場合、2つまたはそれ超の核酸またはポリペプチドの配列が同じである程度を指す。評価のウインドウにわたる、例えば、目的の配列の長さにわたる、目的の配列と第2の配列の間のパーセント同一性は、配列をアラインメントし、同一性を最大にするためにギャップを導入し、評価のウインドウ内の、同一の残基と対向する残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を決定し、ウインドウ内に入る目的の配列または第2の配列の残基の総数(どちらか大きい方)で割り、100を掛けることによって計算することができる。特定のパーセント同一性を達成するために必要な同一の残基の数を計算する場合、分数を丸めて最も近い整数にする。パーセント同一性は、種々のコンピュータプログラムを使用して算出することができる。例えば、BLAST2、BLASTN、BLASTP、Gapped BLASTなどのコンピュータプログラムにより、目的の配列間でアラインメントが生成され、パーセント同一性がもたらされる。KarlinおよびAltschul、Proc. Natl. Acad. ScL USA 90巻:5873〜5877頁、1993年と同様に改変したKarlinおよびAltschulのアルゴリズム(KarlinおよびAltschul、Proc. Natl. Acad. ScL USA 87巻:22264〜2268頁、1990年)をAltschulら(Altschulら、J. Mol. Biol. 215巻:403〜410頁、1990年)のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み入れる。比較する目的でギャップが挿入されたアラインメントを得るために、Altschulら(Altschulら、Nucleic Acids Res. 25巻:3389〜3402頁、1997年)に記載の通りGapped BLASTを利用する。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの初期パラメータを使用することができる。PAM250またはBLOSUM62マトリックスを使用することができる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)を通じて公的に入手可能である。これらのプログラムに関してはURL ワールドワイドウェブアドレス:「ncbi.nlm.nih.gov」のウェブサイトを参照されたい。特定の実施形態では、パーセント同一性を、BLAST2を使用し、NCBIによって提供される初期パラメータを用いて算出する。
本発明のIL−2改変体タンパク質は、IL−2αβγ選択的アゴニストである。これらは、機能的に、IL2Rβγ受容体複合体と比べてIL2Rαβγ受容体複合体を選択的に活性化する。これは、配列番号1の野生型IL−2に対して少なくとも95%の配列同一性を有するとして構造的に定義され、Treg細胞を優先的に活性化する能力によって機能的に定義される野生型IL−2タンパク質に由来する。タンパク質は、CD4+CD25−/low T細胞またはNK細胞と比較したTreg細胞におけるリン酸化STAT5タンパク質のレベルによって、または、NK細胞に対する、フィトヘマグルチニンにより刺激したT細胞の選択的活性化によって測定される、TregにおけるIL−2受容体シグナル伝達を選択的に活性化する能力によって機能的に定義することもできる。
「Treg」または「Treg細胞」とは、調節性T細胞を指す。調節性T細胞は、他の免疫細胞の活性を抑制するT細胞のクラスであり、フローサイトメトリーを使用し、細胞マーカー表現型CD4+CD25+FOXP3+によって定義される。FOXP3は細胞内タンパク質であり、染色には細胞の固定および透過処理が必要であるので、生存Tregを定義するためには、細胞表面表現型CD4+CD25+CD127−を使用することができる。Tregは、tTreg(胸腺由来)およびpTreg(末梢由来、末梢中のナイーブなT細胞から分化する)などの種々のTregサブクラスも包含する。Tregは全てIL2Rαβγ受容体を発現し、それら自体のIL−2は産生せず、成長に関してIL−2に依存し、どちらのクラスも、IL2Rαγβ選択的アゴニストによって選択的に活性化されることが当業者には理解されよう。
「ペプチドリンカー」とは、融合タンパク質を構成する2つのタンパク質の間に位置するアミノ酸配列と定義され、したがって、リンカーペプチド配列は、パートナータンパク質のいずれにも由来しない。ペプチドリンカーは、構成成分タンパク質部分の適切なタンパク質フォールディングおよび安定性を促進するため、タンパク質の発現を改善するため、または2つの融合パートナーのより良好な生物活性を可能にするために、融合タンパク質にスペーサーとして組み入れられる(Chenら、2013年、Adv Drug Deliv Rev. 65巻(10号):1357〜69頁)。ペプチドリンカーは、構造化されていない柔軟なペプチドまたは剛性の構造化されたペプチドのカテゴリーに分けることができる。
「Fc融合タンパク質」は、哺乳動物IgGタンパク質のFcドメインの翻訳リーディングフレームを別のタンパク質(「Fc融合パートナー」)のものと融合して新規の単一の組換えポリペプチドを生じさせる組換えDNA技術によって作出されたタンパク質である。Fc融合タンパク質は、一般には、ヒンジ領域に位置するジスルフィド結合によって一緒に接合した、ジスルフィド連結二量体として作製される。
「生物活性」とは、定量的な細胞に基づくin vitroアッセイにおける生物学的活性の測定値を指す。
Fc融合タンパク質の設計および構築には多数の選択肢があり、所望の生物学的活性および薬学的特性を有する分子の生成を可能にするために、これらの設計選択肢の中での選択を以下に示す。重要な設計選択肢は、(1)IL2選択的アゴニストの性質、(2)Fcタンパク質部分の選択、(3)融合タンパク質における融合パートナーの構成、(4)Fcと融合パートナータンパク質の間の接合部のアミノ酸配列である。
一般に、本発明の融合タンパク質の調製は、本明細書に開示されている手順、および認められている関連する組換えDNA技法、例えば、ポリメラーゼ連鎖増幅反応(PCR)、プラスミドDNAの調製、制限酵素を用いたDNAの切断、オリゴヌクレオチドの調製、DNAのライゲーション、mRNAの単離、適切な細胞へのDNAの導入、宿主の形質転換またはトランスフェクション、宿主の培養によって達成することができる。さらに、融合分子を、カオトロピック剤および周知の電気泳動方法、遠心分離方法およびクロマトグラフィー方法を使用して単離し、精製することができる。これらの方法に関する開示に関しては、一般に、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版(1989年);およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York(1989年)を参照されたい。
置換N88Rを伴うIL−2は、IL2Rαβγ受容体に対するIL2選択的アゴニストの代表例である(Shanafelt, A. B.ら、2000年、Nat Biotechnol.18巻:1197〜202頁)。IL2/N88Rは、IL2Rβ受容体サブユニットおよびIL2Rβγ受容体複合体への結合を欠損しているが、IL2Rαβγ受容体複合体には結合し、IL2Rαβγを発現するPHA活性化T細胞の増殖をwt IL−2と同様に有効に刺激することができ、一方、IL2Rβγを発現するNK細胞の増殖を刺激する能力は3,000分の1に低下する。同様の活性プロファイルを有する他のIL2Rαβγ選択的アゴニストとしては、置換N88I、N88G、およびD20Hを伴うIL−2が挙げられ、また、置換Q126LおよびQ126F(IL2RGサブユニットとの接触残基)を伴う他のIL2改変体もIL2Rαβγ選択的アゴニスト活性を有する(Cassell, D. J.ら、2002年、Curr Pharm Des.、8巻:2171〜83頁)。これらのIL2選択的アゴニスト分子のいずれかをIL2/N88R部分の代わりに使用することができ、Fc融合タンパク質が同様の活性を有することが予測されることが当業者には理解されよう。上述の変異は全て、wt IL−2、または、不対のシステイン残基を排除することによってIL−2安定性を促進する置換である置換C125Sを伴うwt IL−2のバックグラウンドに対して行うことができる。本発明は、IL−2受容体活性化活性に著しい影響を与えることなく産生または安定性を改善する他の変異または短縮と共に使用することもできる。
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)セリン(S)、トレオニン(T);
3)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
4)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
5)システイン(C)、メチオニン(M);
6)アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);
7)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V);および
8)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
重要な設計選択は、Fcタンパク質部分の性質である。Fc融合タンパク質の主要な治療への適用は、(1)融合パートナータンパク質に免疫グロブリンFcエフェクター機能を付与すること;または(2)融合パートナータンパク質の循環半減期を増大させることである(Czajkowskyら、2012年、EMBO Mol Med. 4巻:1015〜28頁)。IgGタンパク質の主要なエフェクター機能は、補体依存性細胞傷害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)であり、これらの機能は、それぞれ補体タンパク質C1qおよびIgG−Fc受容体(FcγR)へのFc結合によって媒介される。これらのエフェクター機能は、特定の抗原標的または細胞に対する免疫応答を導くまたは増強するために治療用タンパク質を使用する場合に重要である。本発明の融合タンパク質は、単にIL2選択的アゴニスト部分の循環半減期が増大するように設計され、エフェクター機能は必要なく、さらには毒性であり得、したがって、明白に望ましくない。例えば、エフェクター機能コンピテントFcを有するIL2選択的アゴニスト−Fc融合タンパク質により、本発明の融合タンパク質によって活性化し、増大させようとするTreg細胞が死滅する潜在性があり、これはまさに自己免疫疾患に対する治療目標の逆である。エフェクター機能(CDC、ADCC)、循環半減期、および安定性が異なる4種のヒトIgGサブクラスが存在する(Salfeld, J. G.、2007年、Nature Biotechnology 25巻:1369〜72頁)。IgG1は、Fcエフェクター機能を有し、最も豊富なIgGサブクラスであり、また、US FDAによる認可を受けた治療用タンパク質に最も一般的に使用されているサブクラスである。IgG2は、Fcエフェクター機能が欠損しているが、他のIgG2分子との二量体を形成しやすく、また、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合がスクランブルすること(scrambling)に起因して不安定になりやすい。IgG3は、Fcエフェクター機能を有し、また、非常に長い、剛性のヒンジ領域を有する。IgG4は、Fcエフェクター機能が欠損しており、他のサブクラスよりも循環半減期が短く、また、IgG4二量体はヒンジ領域における単一のジスルフィド結合のみにより異なるIgG4分子間でのH鎖の交換が導かれることに起因して生化学的に不安定である。IgG2およびIgG4に由来するFcタンパク質部分は、エフェクター機能を有さず、本発明に使用することができることが当業者には理解されよう。Fc配列の改変は当技術分野に記載されており、したがって、凝集が妨げられるようにIgG2 Fcヒンジ領域を改変できること、または、二量体が安定化するようにIgG4 Fcのヒンジ領域を改変できることも当業者には理解されよう。あるいは、IgG1のエフェクター機能が欠損した改変体が生成されている。そのような改変体の1つは、N−連結グリコシル化部位の場所であるN297位にアミノ酸置換を有する。このアスパラギン残基の置換により、グリコシル化部位が除去され、ADCC活性およびCDC活性が有意に低下する(Tao, M. H.ら、1989年、J Immunol. 143巻:2595〜2601頁)。本発明ではこの改変体を代表例として使用する。別のエフェクター機能欠損IgG1改変体は、C1qおよびFcγR結合部位におけるアミノ酸を変異させるIgG1(L234F/L235E/P331S)(Oganesyanら、2008年、Acta Crystallogr D Biol Crystallogr. 64巻:700〜4頁)であり、エフェクターが欠損しており、かつ安定なIL2SA−Fc融合タンパク質を生成するための、これらのまたは同様のFc改変体の使用が当業者には検討されよう。二量体ではなく安定な単量体になるように工学的に操作されるFcタンパク質部分の形態も(Dumont, J. A.ら、2006年、BioDrugs 20巻:151〜60頁;Liu Zら、J Biol Chem. 2015年 20;290巻:7535〜62頁)、本発明のIL−2選択的アゴニストと組み合わせることができることも当業者には理解されよう。さらに、IL−2−Fc H鎖ポリペプチドとFc H鎖ポリペプチドの組合せで構成され、二重特異性抗体技術(Zhu Zら、1997年 Protein Sci. 6巻:781〜8頁)を使用して組み立てられる、機能的に単量体であるヘテロ二量体も本発明のIL−2選択的アゴニストと組み合わせることができることが当業者には理解されよう。IgG部分に抗原特異性を有する(Penichet, M. L.ら,1997年、Hum Antibodies. 8巻:106〜18頁)または有さない(Bellら、2015年、J Autoimmun. 56巻:66〜80頁)インタクトなIgG抗体分子を用いて、いくつかのIL−2 Fc融合タンパク質が作出されている。さらに、ヒンジ領域の一部または全部を欠くFc改変体を本発明と共に使用することができることが当業者には理解されよう。
Fcと融合パートナータンパク質の間の接合部のアミノ酸配列は、(1)2つのタンパク質配列の直接融合、または(2)間に入るリンカーペプチドを伴う融合のいずれであってもよい。現在US FDAにより臨床使用に関して認可を受けている10種のFc融合タンパク質(表I)のうち、8種が融合パートナータンパク質とFcの直接融合であり、2種がリンカーペプチドを有し、したがって、多くのFc融合タンパク質がリンカーペプチドを伴わずに機能的であり得る。リンカーペプチドは、2つのタンパク質部分の間のスペーサーとして含まれる。リンカーペプチドにより、構成成分タンパク質部分の適切なタンパク質フォールディングおよび安定性が促進し、タンパク質の発現を改善し、また、構成成分タンパク質部分のより良好な生物活性を可能にすることができる(Chenら、2013年、Adv Drug Deliv Rev. 65巻:1357〜69頁)。多くの融合タンパク質に使用されるペプチドリンカーは、構造化されていない柔軟なペプチドになるように設計される。天然のタンパク質内の独立した構造的ドメイン間のリンカーペプチドの長さ、配列、およびコンフォメーションに関する試験により、柔軟なペプチドリンカーを設計するための理論的基礎がもたらされている(Argos、1990年、J Mol Biol. 211巻:943〜58頁)。Argosにより、グリシンのような小さな非極性残基とセリンおよびトレオニンのような小さな極性残基で構成される長い柔軟なリンカーペプチドであり、多数のグリシン残基により高度に柔軟なコンフォメーションが可能になり、セリンまたはトレオニンによりペプチド内または構成成分である融合タンパク質部分との疎水性相互作用が限定される極性表面エリアがもたらされるリンカーペプチドの手引きがもたらされた。文献に記載されている多くのペプチドリンカーは、例えば配列GGGGSの反復など、グリシンおよびセリンに富むものであるが、Argosの一般的な推奨に従った他の配列(Argos、J Mol Biol. 1990年 20;211巻(4号):943〜58頁)も使用することができることが当業者には理解されよう。例えば、本明細書に記載のタンパク質のうちの1つは、グリシンとアラニンで構成されるリンカーペプチド(配列番号15)を含有する。十分に伸長されたベータ鎖コンフォメーションを有する柔軟なリンカーペプチドは、端から端までの長さが残基当たりおよそ3.5Åである。したがって、5残基、10残基、15残基、または10残基のリンカーペプチドの最大の十分に伸長された長さはそれぞれ17.5Å、35Å、52.5Å、または70Åになる。ペプチドリンカーの最大の端から端までの長さは、本発明におけるペプチドリンカーの特性を定義するための指針にもなり得る。本発明内でのリンカーペプチドの目的は、IL−2選択的アゴニスト部分とその同族受容体を会合させ、またFcRnへFc部分を結合させて融合タンパク質の再利用および循環半減期の延長を可能にするために、個々の融合タンパク質部分の適切なコンフォメーションおよび配向を達成し得ることである。これらの相互作用に影響を及ぼす因子は予測することが難しいので、リンカーペプチドに対する要件およびその適切な長さは、経験的に試験し、決定しなければならない。表Iに列挙されているUS FDAによる認可を受けたFc融合タンパク質10種のうち8種がそのようなペプチドを欠くことによって証明されるように、多くのFc融合タンパク質にはリンカーペプチドは必要ない。対照的に、GLP−1とFcの融合物であるデュラグルチドは、生物活性に強力に影響を及ぼす15残基のペプチドリンカーを含有する(Glaesner、米国特許第7,452,966B2号)。IL−2−Fc融合タンパク質に関する当技術分野における先行研究では、リンカーペプチドは生物活性に必要なものではないことが示されている。wt IL−2または置換C125Sを伴うIL−2をFc−X配向で含有するIL−2融合タンパク質は、ペプチドリンカーを有さずに(Gilliesら、1992年、Proc Natl Acad Sci、89巻:1428〜32頁;Gavinら、米国特許出願第20140286898A1号)またはペプチドリンカーを有して(Bellら、2015年、J Autoimmun. 56巻:66〜80頁)、遊離のIL−2サイトカインのものと同様のIL−2生物活性を有することが報告されている。X−Fc配向では、Zhengらにより、X−Fc構成のIL−2融合タンパク質のIL−2生物活性はIL−2自体のものと基本的に区別できないことが報告された(Zheng, X. X.ら、1999年、J Immunol. 1999年、163巻:4041〜8頁)。この広範囲にわたる先行技術は、高いIL−2生物活性を有するためには、IL−2タンパク質とFcの融合にリンカーペプチドは必要ではないことを教示するものである。しかし、Gavinらは、受容体選択性が変更された、ある特定のIL−2改変体を含有するX−Fc構成のFc融合タンパク質では、ペプチドリンカーを有さなくても5残基のペプチドリンカーを有しても生物活性が低下したまたは生物活性がないことを報告した(Gavinら、米国特許出願第20140286898A1号)。
候補タンパク質の生物学的活性を特徴付けるためにはロバストな定量的バイオアッセイが必要である。これらのアッセイでは、IL2受容体の活性化の測定、Tregにおける活性化の下流の機能的結果の測定、ならびに治療的に関連性のある転帰および活性化されたTregの機能の測定がなされるべきである。これらのアッセイは、IL2選択的アゴニスト分子の治療活性および効力を測定するために使用することができ、また、動物またはヒトにおけるIL2選択的アゴニストの薬力学を測定するためにも使用することができる。1つのアッセイでは、シグナル伝達タンパク質であるSTAT5のリン酸化を測定し、これは、リン酸化されたタンパク質(pSTAT5)に特異的な抗体を用いたフローサイトメトリーで測定される。STAT5のリン酸化は、IL−2シグナル伝達経路における必須のステップである。STAT5は、Tregの発生に必須であり、IL−2の不在下でのTreg細胞の産生には、CD4+CD25+細胞において発現する構成的に活性された形態のSTAT5が十分である(Mahmud, S. A.ら、2013年、JAKSTAT 2巻:e23154頁)。したがって、Treg細胞におけるリン酸化STAT5(pSTAT5)の測定は、これらの細胞におけるIL−2による活性化の反映として当業者には理解され、また、適切な曝露時間および条件でなされたIL−2処理の他の生物学的転帰を予測するものになる。機能的活性化に関する別のアッセイでは、IL−2により刺激されたTreg細胞の増殖を測定する。Treg増殖は、精製されたTreg細胞にトリチウム標識チミジンを組み入れることにより、フローサイトメトリーによって測定される混合細胞集団内のTreg細胞数の増加およびCD4+CD25+FOXP3+またはCD4+CD25+CD127−マーカー表現型の頻度によって、Ki−67などの増殖関連細胞周期タンパク質のTreg細胞における発現の増加によって、または、Treg細胞におけるフローサイトメトリーによるカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)などの生体蛍光色素の細胞分裂関連希釈の測定によって、測定できることが当業者には理解されよう。IL−2を用いたTregの機能的活性化に関する別のアッセイは、Tregの安定性の増大である。pTreg細胞は、一部では、不安定であり、Th1エフェクターT細胞およびTh17エフェクターT細胞に分化する潜在性があると考えられている。TregのIL−2による活性化により、Tregを安定化し、この分化を予防することができる(Chen, Q.ら、2011、J Immunol. 186巻:6329〜37頁)。TregのIL−2による刺激の別の転帰は、Tregの免疫抑制性活性に寄与するCTLA4、GITR、LAG3、TIGIT、IL−10、CD39、およびCD73などのTreg機能的エフェクター分子のレベルの刺激である。
製剤
本発明の融合タンパク質の医薬組成物は、従来の方法に従って非経口(特に、静脈内または皮下)送達用に製剤化されるものと定義される。一般に、医薬製剤は、本発明の融合タンパク質を、例えば食塩水、緩衝食塩水、水中5%デキストロースなどの薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて含む。製剤は、バイアル表面などでのタンパク質の喪失を予防するために、1種または複数種の賦形剤、防腐剤、可溶化剤、緩衝剤、アルブミンをさらに含んでよい。製剤化の方法が当技術分野で周知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton, Pa.、第19版、1995年において開示されている。
実例として、医薬製剤は、本発明の融合タンパク質を含む容器を含むキットとして供給することができる。治療用タンパク質は、単回用量または複数回用量用の注射可能な溶液の形態で、注射前に再構成する滅菌散剤として、または充填済みシリンジとして提供することができる。そのようなキットは、医薬組成物の適応症および使用に関する書面の情報をさらに含んでよい。さらに、そのような情報は、本発明の融合タンパク質が、本発明の融合タンパク質に対する既知の過敏症を有する患者には禁忌である旨の記載を含んでよい。
本発明のIL−2選択的アゴニスト融合タンパク質は、医薬組成物を含めた組成物に組み入れることができる。そのような組成物は、一般には、タンパク質および薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、これだけに限定されないが、薬学的投与に適合する食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張化剤(isotonic agent)および吸収遅延剤などを含む。追加の活性化合物(例えば、抗生物質)も組成物に組み入れることができる。
医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化する。本発明のIL−2選択的アゴニスト融合タンパク質は、非経口経路によって投与される可能性が高い。投与の非経口経路の例としては、例えば、静脈内、皮内、および皮下が挙げられる。非経口適用のために使用される溶液または懸濁物は、以下の構成成分を含んでよい:注射用水、食塩水溶液、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸またはリン酸などの緩衝液、および、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの、張度を調整するための薬剤。pHは、一塩基および/または二塩基リン酸ナトリウム、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基を用いて調整することができる(例えば、約7.2〜7.8、例えば、7.5のpHまで)。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアルに封入することができる。
注射による使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液または分散物、および滅菌された注射可能な溶液または分散物を即時調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与に関しては、適切な担体として、生理的食塩水、静菌水、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、滅菌されているべきであり、また、容易な注射可能性(syringability)が存在する限りでは流体であるべきである。組成物は、製造および保管の条件下で安定であるべきであり、また、細菌および真菌などの微生物の混入作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適切なそれらの混合物を含有する溶媒または分散媒であってよい。必要な粒子サイズの維持は、分散物の場合では、界面活性剤、例えば、ポリソルベートまたはTweenを使用することによって容易にすることができる。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムが組成物中に含まれることが好ましい。
滅菌された注射可能な溶液は、必要量の活性化合物を、適切な溶媒中に、上に列挙されている成分の1つ、または成分の組合せと一緒に組み入れ、その後、必要に応じて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散物は、活性化合物を、基本的な分散媒および上に列挙されているものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌された注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合では、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過したその溶液から活性成分と任意の追加的な所望の成分の粉末を得る真空乾燥および凍結乾燥である。
一実施形態では、IL−2選択的アゴニスト融合タンパク質を、埋め込み物およびマイクロカプセル封入送達系を含めた制御放出製剤などのIL−2選択的アゴニスト融合タンパク質を体からの迅速な排除から保護する担体を用いて調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤は、標準の技法を使用して調製することができる。
医薬組成物は、投与に関する指示と一緒に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
投与
本発明の融合タンパク質は、非経口経路によって投与することが好ましい。好ましい経路は皮下経路であるが、静脈内、筋肉内、および真皮下(subdermal)投与も使用することができる。皮下または筋肉内経路に関しては、デポおよびデポ製剤を使用することができる。ある特定の疾患に対しては、特殊化された投与経路を使用することができる。例えば、炎症性眼疾患に対して、眼内注射を使用することができる。融合タンパク質は、総体積1ml当たり約0.1〜10mcgの濃度で使用することができるが、0.01mcg/ml〜100mcg/mlの範囲の濃度を使用することができる。
用量の決定は当技術分野における通常の技術のレベルの範囲内に入る。投薬は、治療期間にわたって毎日または毎週であるか、または別の断続的な頻度であってもよい。静脈内投与は、1時間〜数時間の典型的な期間にわたるボーラス注射または注入によるものである。持続放出製剤も使用することができる。一般に、本発明の融合タンパク質の治療有効量は、循環Treg細胞の臨床的に有意な変化、患部組織内に存在するTreg細胞の臨床的に有意な変化、または疾患症状の臨床的に有意な変化などの、治療される状態の臨床的に有意な変化を生じさせるために十分な量である。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータをヒトにおける使用のためのさまざまな投与量の製剤化に使用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんどまたは全く伴わずに、最大半量の有効濃度(EC50;すなわち、Treg細胞の最大半量の刺激が達成される試験化合物の濃度)を含む循環濃度の範囲内に入ることが好ましい。投与量は、使用する剤形および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本発明の方法において使用する化合物のいずれに関しても、最初に細胞培養アッセイから治療有効用量を推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養において決定されたEC50を含む循環血漿中濃度範囲が達成されるように製剤化することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、酵素結合免疫吸着検定法によって測定することができる。
本明細書で定義されている通り、IL−2選択的アゴニスト融合タンパク質の治療有効量(すなわち、有効な投与量)は、選択されるポリペプチドおよび投薬頻度に左右される。例えば、患者の体重1kg当たりおよそ0.001〜0.1mgの範囲の単回投薬量を投与することができ、一部の実施形態では、約0.005mg/kg、約0.01mg/kg、約0.05mg/kgを投与することができる。組成物は、1日おきに1回を含め、1日当たり1回から1週間当たり1回もしくは複数回、または1カ月当たり1回もしくは複数回までで投与することができる。これだけに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の治療、被験体の全体的な健康および/または年齢、患者に存在するTreg細胞のレベル、ならびに存在する他の疾患を含めた、ある特定の因子が、被験体を有効に治療するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼす可能性があることが当業者には理解されよう。さらに、治療有効量の本発明のIL−2選択的アゴニスト融合タンパク質を用いた被験体の治療は、一連の治療になる可能性がある。
本発明の療法から利益を受け得る疾患のいくつかが確認されている。しかし、自己免疫疾患におけるTreg細胞の役割は非常に活発な研究分野であり、追加の疾患が本発明によって治療可能であると同定される可能性がある。自己免疫疾患は、免疫系により自身のタンパク質、細胞、および組織が攻撃されるヒト疾患と定義される。自己免疫疾患についての包括的な一覧表および総説は、The Autoimmune Diseases(RoseおよびMackay、2014年、Academic Press)に見いだすことができる。
本発明のFcタンパク質部分の目的は、単に循環半減期を増大させることであるので、分子サイズの増大および腎クリアランスの速度の低下という同じ目標を達成するために、本発明において発見された構造と活性の関連性を使用して、IL−2選択的アゴニスト部分を他のタンパク質のN末端と融合することができることが当業者には理解されよう。IL2選択的アゴニストを血清アルブミンのN末端と融合することができ(Sleep, D.ら、2013年、Biochim Biophys Acta.1830巻:5526〜34頁)、それにより、融合タンパク質の流体力学的半径がIL−2部分と比べて増大し、また、FcRNによる再利用もなされる。本発明のIL2選択的アゴニスト部分を組換え非免疫原性アミノ酸ポリマーのN末端と融合することができることも当業者には理解されよう。この目的のために開発された非免疫原性アミノ酸ポリマーの2つの例は、XTENポリマー、A、E、G、P、S、およびTアミノ酸の鎖(Schellenberger, V.ら、2009年、Nat Biotechnol. 27巻:1186〜90頁))、ならびにPASポリマー、P、A、およびSアミノ酸残基の鎖(Schlapschy, M.ら、2007年、Protein Eng Des Sel. 20巻:273〜84頁)である。
IL−2選択的アゴニスト−IgG Fc融合タンパク質のクローニング、発現、および精製
N88RL9AG1(配列番号4)をコードするcDNAをDNA合成およびPCR集合によって構築した。N88RL9AG1構築物は、マウスIgG1シグナル配列、置換N88RおよびC125Sを伴う成熟ヒトIL−2配列(配列番号1)、9アミノ酸リンカーペプチド配列(配列番号15)、ならびに置換N297Aを含有するヒトIgG1のFc領域(配列番号2)で構成されるものであった。N88R/IL2は、IL2RBへの結合およびIL2Rαβγ受容体を発現する細胞に対する選択的アゴニスト活性が低下したIL2選択的アゴニストである(Shanafelt, A. B.ら、2000年、Nat Biotechnol.18巻:1197〜202頁)。IgG1 FcのN297にあるN結合グリコシル化部位の排除により、Fcエフェクター機能が低下する(Tao, M. H.ら、1989年、J Immunol. 143巻:2595〜2601頁)。D20HL0G2は、マウスIgG1シグナル配列、置換D20HおよびC125Sを伴うIL−2(配列番号1)、ならびにヒトIgG2(配列番号3)に由来するFcタンパク質部分で構成されるものであった。D20H IL−2改変体は、N88Rと同様の選択的アゴニスト活性を有することが報告されている(Cassell, D. J.ら、2002年、Curr Pharm Des.、8巻:2171〜83頁)。
N88RL9AG1およびD20HL0G2の受容体結合活性の決定。
N88RL9AG1およびD20HL0G2が適正にフォールディングされているかどうかを決定するために、IL−2受容体サブユニットIL2RAおよびIL2RBに対するそれらの親和性を、Biacore T−200 instrument(GE Healthcare)を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定した。IL2RA細胞外ドメインタンパク質、IL2RB細胞外ドメインタンパク質およびIL−2タンパク質(R&D Systems、Minneapolis、MN)をCM−5 Biacoreチップ上にNHS/EDCカップリングにより、それぞれ最終的なRU(共鳴単位)値30および484まで固定化した。IL2RAへの結合のカイネティクス(kinetics)を、IL2およびN88RL9AG1を0.6nM〜45nMにわたる5つの濃度で、毎分50μlの流量で測定した。IL2RBへの結合のカイネティクスを、IL2については16.7nM〜450nM、Fc融合タンパク質については14nM〜372nMの5つの濃度、毎分10μlの流量で測定した。解離定数(Kd)を動力学定数(kinetic constant)から、Biacore評価ソフトウェアバージョン2.0を使用し、IL−2については1:1フィット、N88RL9AG1およびD20HL0G2については二価フィットを仮定して算出した。Biacore評価ソフトウェアにより、定常状態の結合値を使用して平衡Kd値を算出した。
N88RL9AG1およびD20HL0G2のT細胞に対する生物活性。
N88RL9AG1およびD20HL0G2のT細胞に対する生物活性を、特定のT細胞サブセットにおけるリン酸化STAT5(pSTAT5)レベルを測定することによって決定した。pSTAT5のレベルを、固定し、透過処理した細胞において、リン酸化STAT5ペプチドに対する抗体を使用してフローサイトメトリーによって測定した。Treg細胞は、CD25を構成的に発現し、CD25発現レベルが上位1%の細胞では高度にTreg細胞が富化されている(Jailwala, P.ら、2009年、PLoS One. 2009年;4巻:e6527頁;Long、S. A.ら、2010年、Diabetes 59巻:407〜15頁)。したがって、フローサイトメトリーのデータで、TregサブセットおよびCD4エフェクターT細胞サブセットについて、それぞれCD25high群(CD25を発現する細胞の上位1〜2%)およびCD25−/low群にゲートをかけた。
生物活性のために重要な構造と活性の関連性の決定。
実施例3に記載の予想外の結果により、IL2生物活性がN88RL9AG1では検出されたがD20HL0G2では検出されなかったことが、リンカーペプチドの存在に起因することが示唆された。この知見を検証するため、ならびにFc部分のアイソタイプおよびIL−2部分における選択性変異などの他の変数の寄与を排除するために、全てIgG1 N297A Fcを使用した類似体のパネルを設計し、作製した(表III)。
ヒトPBMCにおけるIL2選択的アゴニスト−Fc融合タンパク質の選択性
より広範な生物学的状況でN88R/IL2−Fc融合タンパク質の選択性を決定するために、粗製未分画ヒトPBMC中の重要な免疫細胞型の全てにわたってSTAT5活性化を測定するためのアッセイを開発した。ヒトPBMCを正常な志願者からFicoll−Hypaque遠心分離によって単離した。106個のPBMCを、グルコース(Lonza)および10%FBS(Omega)を伴うX−VIVO15培地に懸濁させ、10−8Mの試験タンパク質を用いて37℃で20分処理した。次いで、細胞をFoxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(EBIO)を製造者の指示に従って用いて処理した。次いで、実施例3に記載の通り、細胞をCytofix緩衝液を用いて固定し、Perm Buffer IIIを用いて透過処理した。次いで、固定し、透過処理した細胞を1%FBS/PBSで洗浄し、抗体混合物を用いて室温、暗所中で60分にわたって染色した。次いで、染色された細胞を1%FBS/PBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、Fortessaフローサイトメーター(BD Biosciences)で分析した。抗体ミックスは、抗CD4−PerCP−Cy5.5(BD、#560650)、抗pSTAT5−AF−488(BD、#612598)、抗CD25−PE(BD、#560989)、抗CD56−PE−CF594(BD、#562328)、抗FOXP3−AF647(BD、#560889)、抗CD3−V450(BD、560366)、および抗CD8−BV650(Biolegend、#301041)からなるものであった。この染色手順により、7種の重要な免疫細胞型におけるpSTAT5レベルをモニタリングすることが可能になった。
Claims (21)
- a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質であって、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、融合タンパク質。 - a.前記ペプチドリンカードメインが、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
b.前記IgG Fcタンパク質ドメインが、配列番号2のヒトIgG1 Fc改変体、および配列番号3のヒトIgG2 Fcからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の融合タンパク質。 - 前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
- 前記IgG Fcタンパク質ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列と比べてN297A変異を含むIgG1 Fcタンパク質を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
- 前記融合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
- a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質をコードする核酸であって、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、核酸。 - 2つの同一な鎖を含む二量体タンパク質であって、各鎖は、
a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質を含み、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、二量体タンパク質。 - i)前記IgG Fcタンパク質ドメインが、
a.配列番号2のヒトIgG1 Fc改変体、および配列番号3のヒトIgG2 Fcからなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
b.システイン残基を含み、
ii)前記2つの同一な鎖が、前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記システイン残基を介して互いに連結されている、
請求項7に記載の二量体タンパク質。 - 各鎖が、配列番号9である、請求項7に記載の二量体タンパク質。
- a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質を含む医薬組成物であって、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、医薬組成物。 - a.前記ペプチドリンカードメインが、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
b.前記IgG Fcタンパク質ドメインが、配列番号2のヒトIgG1 Fc改変体、および配列番号3のヒトIgG2 Fcからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む
、
請求項10に記載の医薬組成物。 - 前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記IgG Fcタンパク質ドメインが、配列番号2のアミノ酸配列と比べてN297A変異を含むIgG1免疫グロブリンFcタンパク質を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記融合タンパク質が、配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
- 自己免疫疾患を治療するための医薬組成物であって、前記組成物は、
a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質を含み、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、医薬組成物。 - 前記自己免疫疾患が、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病および自己免疫性血管炎からなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
- 前記融合タンパク質が、配列番号9を含む、請求項15に記載の組成物。
- 前記組成物が2つの同一な鎖を含む二量体タンパク質を含み、各鎖は、
a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質を含み、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されている、請求項15に記載の組成物。 - 各鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
- 調節性T細胞を選択的に活性化するための医薬組成物であって、前記組成物は、
a.配列番号1と少なくとも95%の配列同一性を有し、C125Sの置換とN88R、N88G、D20H、Q126LおよびQ126Fからなる群より選択される置換とを含むヒトIL−2改変体タンパク質ドメインと、
b.5から20アミノ酸残基のペプチドリンカードメインと、
c.IgG Fcタンパク質ドメインと
を含む融合タンパク質を含み、
各ドメインは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有し、前記融合タンパク質は、前記ヒトIL−2改変体タンパク質ドメインの前記C末端がペプチド結
合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記N末端に融合され、かつ前記IgG Fcタンパク質ドメインの前記N末端がペプチド結合を介して前記ペプチドリンカードメインの前記C末端に融合されるように構成されており、
前記組成物は、ヒト調節性T細胞濃度が所望のレベルに達するまで、治療有効用量で投与される、
医薬組成物。 - ヒト血液細胞を1nMから0.01nMの間の濃度の請求項1に記載の融合タンパク質とin vitroで接触させる工程と、次いで、前記タンパク質と結合する細胞をフローサイトメトリーによって検出する工程とを含む、ヒト血液試料中の調節性T細胞の数を測定する方法。
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