JP6766794B2 - 熱延鋼板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法及び製造装置に関するものである。
一般に、熱延鋼板を製造する熱延工程では、まず、板厚260[mm]程度のスラブを加熱炉で1100〜1200[℃]程度の温度まで加熱した後、HSB(Hot Scale Breaker)からの高圧水流によって表面のスケールを除去してからサイジングプレス装置で幅を調整する。次に、続く粗圧延では、各圧延スタンドの前後に設置されている高圧水流によるデスケーリング冷却装置を用いて圧延中に生成されるスケールを除去しつつ、リバース圧延スタンドと順方向の圧延スタンドとを組み合わせて板厚約30〜40[mm]までスラブを圧延する。そして、その後の仕上圧延において、スラブは、1〜10[mm]程度の所望の板厚まで圧延され、ランナウトテーブル上での冷却後に500〜600[℃]程度の温度で巻き取られる。一般に、加熱炉から抽出されてからのスラブの温度管理は、粗圧延機の出側、仕上圧延機の入側、仕上圧延機の出側、及び巻き取り前の地点で行われており、その温度はそれぞれRDT,FET,FDT,CTと呼ばれている。
加熱炉では各スラブの抽出温度(SRT)には下限値が設定されており、その下限値を上回る温度で加熱炉から各スラブを抽出する必要がある。従って、加熱炉の燃料原単位の観点では、SRTの下限値でスラブを抽出することが望ましい。ところが、加熱炉での加熱条件の変更はスラブ単位で行うことはできない。このため、対象とするスラブのSRTの下限値よりも加熱炉内において隣接するスラブのSRTの下限値の方が高い場合には、対象とするスラブはそのSRTの下限値よりも高い温度で抽出されることになる。また、圧延トラブル等の要因によって加熱炉内にスラブが滞留した場合も同様に、スラブはそのSRTの下限値よりも高い温度で抽出されることになる。このようにスラブがそのSRTの下限値よりも高い温度で抽出されることを過加熱と呼ぶ。
スラブに過加熱が発生すると、管理温度であるRDTやFETが高くなり、RDTやFETが上限値を超えると、仕上圧延機の入側でスラブをオシレーションによって待機させてスラブの冷却を待たなければならなくなるために、圧延能率が低下する。このような背景から、特許文献1には、厚鋼板を制御圧延する場合において、厚鋼板の搬送速度及び冷却パス数を調整することによって、制御圧延までの冷却待ち時間を短縮して生産性を向上させる方法が記載されている。また、特許文献2には、熱延工程において仕上圧延機の入側における被圧延材の温度予測値が上限値より高い場合、粗圧延ゾーンにて被圧延材を冷却することによって待機時間を削減して圧延能率の向上を図る方法が記載されている。なお、特許文献2に記載の方法は、デスケーリング冷却装置の使用回数を増加させたり、被圧延材の搬送速度を減速したりすることにより、粗圧延ゾーンにて被圧延材を冷却している。
特開2015−91604号公報 特開2002−126814号公報
特許文献1,2に記載の方法は、温度予測モデルを用いた被圧延材の温度予測値が正しいことを前提にしている。しかしながら、実際には温度予測モデルは予測誤差を有し、被圧延材の温度予測値は温度実績値から乖離する。このため、特許文献1,2に記載の方法によれば、温度予測モデルの予測誤差を考慮せずにデスケーリング冷却装置や被圧延材の搬送速度を設定することによって、被圧延材の温度が温度管理範囲から外れてしまう可能性がある。例えば、仕上圧延機の入側における被圧延材の温度予測値が温度実績値より大きく低めに外れ、且つ、RDTの上限値が被圧延材の温度予測値と温度実績値との間に設定されている場合、デスケーリング冷却装置による冷却や搬送速度の減速が行われないので、スラブの待機時間が発生して圧延能率が低下する。一方、被圧延材の温度予測値が温度実績値より高めに外れた場合には、デスケーリング装置及び搬送速度は被圧延材を過剰に冷却する設定となり、被圧延材の温度が温度管理範囲の下限値を下回ってしまう可能性がある。そして、被圧延材の温度が温度管理範囲の下限値を下回った場合には、仕上圧延を行うことができないために、加熱炉でスラブを再加熱する又はライン上からスラブを除去する必要が生じ、生産に大きな影響を与える。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、温度予測モデルの予測誤差を考慮して被圧延材の温度を温度管理範囲内に適切に制御して熱延鋼板を製造可能な熱延鋼板の製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、被圧延材が加熱炉から抽出される前又は抽出された直後に、被圧延材の加熱炉抽出温度の実績値又は計算値を起点として、粗圧延機の出側から仕上圧延機の入側までの間に設定された温度管理地点までの被圧延材の搬送速度の予測値と前記粗圧延機に設けられたデスケーリング冷却装置の初期設定値と粗圧延条件の設定値とを用いて、温度予測モデルにより前記温度管理地点における被圧延材の温度予測値を算出する管理地点温度予測ステップと、前記温度予測モデルの予測誤差分布に従って前記温度予測値の分布の上下限値を予測温度上下限値として算出する予測温度上下限値計算ステップと、前記予測温度上下限値が温度管理範囲内に収まるように、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の設定替え、及び/又は、被圧延材の搬送速度の設定替えを行う設定替えステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、上記発明において、前記設定替えステップは、予測温度下限値が温度管理範囲下限値を下回らないように設定替えを行うステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、前記設定替えステップは、予測温度下限値を温度管理範囲下限値に設定したときの予測温度上限値よりも温度管理範囲上限値が大きい場合、予測温度上限値が温度管理上限値を超えない範囲で設定替えを行い、予測温度上限値よりも温度管理範囲上限値が小さい場合には、予測温度下限値が温度管理範囲下限値を下回らないように設定替えを行うステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る熱延鋼板の製造装置は、被圧延材が加熱炉から抽出される前又は抽出された直後に、被圧延材の加熱炉抽出温度の実績値又は計算値を起点として、粗圧延機の出側から仕上圧延機の入側までの間に設定された温度管理地点までの被圧延材の搬送速度の予測値と前記粗圧延機に設けられたデスケーリング冷却装置の初期設定値と粗圧延条件の設定値とを用いて、温度予測モデルにより前記温度管理地点における被圧延材の温度予測値を算出する管理地点温度予測手段と、前記温度予測モデルの予測誤差分布に従って前記温度予測値の分布の上下限値を予測温度上下限値として算出する予測温度上下限値計算手段と、前記予測温度上下限値が温度管理範囲内に収まるように、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の設定替え、及び/又は、被圧延材の搬送速度の設定替えを行う設定替え手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る熱延鋼板の製造方法及び製造装置によれば、温度予測モデルの予測誤差を考慮して被圧延材の温度を温度管理範囲内に適切に制御して熱延鋼板を製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態である熱延鋼板の製造方法が適用される熱延ラインの構成を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態である設定制御処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、RDTの予測値と実績値との関係の一例を示す散布図である。 図4は、予測温度下限値の目標温度の算出方法を説明するための概念図である。 図5は、設定替えを行わない方法、従来法、及び発明法における、RDTから各スラブの温度管理下限値を引いた温度の分布を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である熱延鋼板の製造方法について説明する。
〔熱延ラインの構成〕
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態である熱延鋼板の製造方法が適用される熱延ラインの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である熱延鋼板の製造方法が適用される熱延ラインの構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である熱延鋼板の製造方法が適用される熱延ライン1は、加熱炉群2、HSB(Hot Scale Breaker)3、サイジングプレス装置(SZP)4、粗圧延機5、仕上圧延機6、ランナウトテーブル7、及びコイラー8を主な構成要素として備えている。
加熱炉群2は、複数の加熱炉2aを備え、各加熱炉2aにおいてスラブSを設定温度まで加熱する。HSB3は、各加熱炉2aから抽出されたスラブSの表面に高圧水流を噴射することによってスラブSの表面に存在するスケールを除去する。SZP4は、HSB3によってスケールが除去されたスラブSの幅を設定幅まで圧下する。
粗圧延機5は、リバース圧延を実施する圧延スタンド5a,5bと、順方向の圧延を実施する圧延スタンド5cと、スラブSの表面及び裏面に対向させて各圧延スタンドの前後に設置されたデスケーリング冷却装置5dと、を備えている。粗圧延機5は、デスケーリング冷却装置5dから高圧水流を噴射することによって圧延中にスラブSの表面及び裏面に生成されるスケールを除去しつつ、リバース圧延と順方向の圧延とを組み合わせて設定した板厚までスラブSを圧延する。
仕上圧延機6は、複数の圧延スタンド6aと、水冷装置6bと、を備え、粗圧延機5によって圧延されたスラブSを水冷装置6bにより冷却した後に所望の板厚まで圧延する装置である。ランナウトテーブル7には、図示しない複数の冷却水噴霧ノズルが配置され、冷却水噴霧ノズルからスラブSに冷却水を噴射することによってスラブSの温度を設定温度まで冷却する。コイラー8は、ランナウトテーブル7において冷却されたスラブSをコイル状に巻き取る。
また、熱延ライン1は、制御系として、制御装置100及び温度センサ101a〜101eを備えている。制御装置100は、コンピュータ等の情報処理装置によって構成され、管理地点温度予測部100a、予想温度上下限値計算部100b、及び設定替え部100cとして機能する。これら各部の機能については後述する。
温度センサ101aは、加熱炉2aから抽出されたスラブSの温度(SRT)を検出し、検出された温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。温度センサ101bは、粗圧延機5の出側におけるスラブSの温度(RDT)を検出し、検出された温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。
温度センサ101cは、仕上圧延機6の入側におけるスラブSの温度(FET)を検出し、検出された温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。温度センサ101dは、仕上圧延機6の出側におけるスラブSの温度(FDT)を検出し、検出された温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。温度センサ101eは、コイラー7の入側におけるスラブSの温度(CT)を検出し、検出された温度を示す電気信号を制御装置100に出力する。
このような構成を有する熱延ライン1では、制御装置100が、以下に示す設定制御処理を実行することにより、スラブSの温度を温度管理範囲内に適切に制御して熱延鋼板を製造する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、本発明の一実施形態である設定制御処理を実行する際の制御装置100の動作について説明する。
〔設定制御処理〕
図2は、本発明の一実施形態である設定制御処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、加熱炉2aからスラブSが抽出される前又は抽出された直後であって、SRTの実績値又は計算値が制御装置100に入力されたタイミングで開始となり、設定制御処理はステップS1の処理に進む。なお、以下では、RDTによってスラブSの温度管理が行われているとして説明を行うが、FETによってスラブSの温度管理を行うようにしてもよい。
ステップS1の処理では、制御装置100が、RDTを検出する温度センサ101bの設置位置(温度管理地点)までのスラブSの搬送速度の予測値及び粗圧延条件の設定値とデスケーリング冷却装置5dの初期設定値とを用いて、温度予測モデルによりSRTの実績値又は計算値を起点としてRDTの予測値を算出する。具体的には、制御装置100は、以下の数式(1)に示すスラブSの板厚方向の1次元非定常熱伝導方程式を、以下の数式(2),(3)に示す空冷区間、水冷区間、及び圧延区間に応じた境界条件を与えて解くことにより、RDTの予測値を算出する。
Figure 0006766794
Figure 0006766794
Figure 0006766794
ここで、T(x,t)はスラブSの温度[℃]、tは時間[hr]、xはスラブSの厚さ方向位置[m]、λは熱伝導率[kcal/(m・hr・℃)]、ρはスラブSの比重[kg/m]、cはスラブSの比熱[kcal/(kg・℃)]、qはスラブSの表面の熱流束[kcal/m/hr]、qはスラブSの裏面の熱流束[kcal/m/hr]、QはスラブSの内部発熱量(加工発熱量/変態発熱量)[kcal/(m・hr)]を示す。
なお、SRTの計算値としては、加熱炉群2の制御システムで計算している計算温度を使用することができる。また、スラブSの搬送速度の予測値としては、当業者間で知られている熱延工程の速度制御及び加熱炉2aからのスラブ抽出ピッチ制御を実行するミルペーシング制御の結果を使用することができる。また、粗圧延条件の設定値としては、粗圧延機5の各パスでの板厚設定値、圧延荷重、ロール径、ロール材質等があるが、これは粗圧延前に実行される設定計算結果を使用すればよい。これにより、ステップS1の処理は完了し、設定制御処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、予測温度上下限値計算部100bが、温度予測モデルの予測誤差分布に基づいて、ステップS2の処理において算出されたRDTの予測値の分布(予測分布)の上下限値を算出する。ここで、図3を参照して、このステップS2の処理について詳しく説明する。図3は、RDTの予測値と実績値との関係の一例を示す散布図である。一般に、散布図では、対角線L1(図2参照)上にデータがプロットされていれば、予測値と実績値とは一致していることになる。しかながら、実際には図3に示すように、対角線L1上にデータはプロットされてなく、RDTの予測値はRDTの実績値に対して誤差を有している。このような誤差の分布を平均0で標準偏差σの正規分布で近似すると、±2σ[℃]の範囲内に予測値の95[%]が入ることから、予測温度上下限値計算部100bは、予測分布の上限値を(RDTの予測値+2σ)に設定し、下限値を(RDTの予測値−2σ)に設定する。つまり、予測温度上下限値計算部100bは、予測分布の下限値から上限値までが4σの範囲内に入るように予測分布を設定する。なお、温度予測モデルの予測誤差分布(σ値等)は、スラブSの種類や圧延条件に応じて予め算出されているものとする。これにより、ステップS2の処理は完了し、設定制御処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、設定替え部100cが、仕上圧延機6の入側でスラブSをオシレーション(図1に示す双方向矢印)によって待機させるスラブSの温度(待機発生温度)を温度管理上限値に設定し、仕上圧延時の規制温度を温度管理下限値に設定する。そして、設定替え部100cは、予測温度下限値の目標温度Xを算出する。具体的には、スラブSの温度が温度管理下限値を下回ってしまうと過冷却になってしまうので、スラブSの温度は温度管理下限値を下回ってはならない。また、仕上圧延機6の入側でのスラブSの待機時間を最小にするためには、スラブSの温度が温度管理上限値である待機発生温度を超過させない、又は、超過したとしてもその温度を最小にする必要がある。
そこで、設定替え部100cは、図4に示すように予測温度下限値の目標温度Xを算出する。図4(a),(b)は、予測温度下限値の目標温度Xの算出方法を説明するための概念図である。図4(a)に示すように、温度管理下限値+4σ≧温度管理上限値である場合、換言すれば、予想温度上限値よりも温度管理上限値が小さい場合、設定替え部100cは、温度管理下限値を予測温度下限値の目標温度Xに設定する。一方、図4(b)に示すように、温度管理下限値+4σ<温度管理上限値である場合には、換言すれば、予測温度下限値を温度管理下限値に設定したときの予測温度上限値よりも温度管理上限値が大きい場合には、温度管理下限値+{温度管理上限値−(温度管理下限値+4σ)}/2(=温度管理上限値/2−温度管理下限値/2−2σ)を予測温度下限値の目標温度Xに設定する。これにより、ステップS3の処理は完了し、設定制御処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、設定替え部100cが、デスケーリング冷却装置5dの設定変更可能回数を算出する。具体的には、1圧延パスに対してデスケーリング冷却装置5dは1回使用できるものとすると、設定変更可能回数は以下に示す数式により算出することができる。これにより、ステップS4の処理は完了し、設定制御処理はステップS5の処理に進む。
増加変更可能回数=圧延パス回数−デスケーリング冷却装置の初期設定回数
減少変更可能回数=デスケーリング冷却装置の初期設定回数
ステップS5の処理では、設定替え部100cが、予測温度下限値から予測温度下限値の目標温度Xまでの余裕代(=予測温度下限値−予測温度下限値の目標温度X)[℃]を算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、設定制御処理はステップS6の処理に進む。
ステップ6の処理では、設定替え部100cが、デスケーリング冷却装置5dの設定替え数を算出する。具体的には、ステップS5の処理により算出された余裕代が0以上である場合、設定替え部100cは、デスケーリング冷却装置5dの1回当たりの冷却能力[℃/回]を用いて以下に示す数式を用いて設定替え数を算出する。
設定替え数[回]=Min(増加変更可能回数,A)
A=Int(余裕代/冷却能力)
ここで、Intは小数点以下切り捨て関数を示す。
一方、ステップS5の処理により算出された余裕代が0未満である場合には、設定替え部100cは、デスケーリング冷却装置5dの1回当たりの冷却能力[℃/回]を用いて以下に示す数式を用いて設定替え数を算出する。これにより、ステップS6の処理は完了し、設定制御処理はステップS7の処理に進む。
設定替え数[回]=Max(−減少変更可能回数,B)
B=floor(余裕代/冷却能力)
ここで、floorは小数点以下切り下げ関数を示す(例:floor(-1.5)=-2)。
ステップS7の処理では、設定替え部100cが、スラブSの搬送速度の減速量(減速設定)[m/sec]を算出する。具体的には、設定替え部100cは、デスケーリング冷却装置5dの設定替え後の予測温度下限値から予測温度下限値の目標温度Xまでの余裕代(=予測温度下限値−予測温度下限値の目標温度X−冷却能力×設定替え数)を算出する。そして、設定替え部100cは、以下に示す数式を用いて単位減速当たりの温度降下量を表す減速影響係数[℃/(m/sec)]によりスラブSの搬送速度の減速量を算出する。これにより、ステップS7の処理は完了し、一連の設定制御処理は終了する。
減速量[m/sec]=デスケーリング冷却装置設定替え後の余裕代/減速影響係数
以後、制御装置100は、粗圧延機5にスラブSが搬送されるまでの間に、デスケーリング冷却装置5dの設定回数を算出された設定替え数に制御すると共に、算出された減速量だけスラブSの搬送速度を減速する。なお、本実施形態では、デスケーリング冷却装置5dの設定回数の設定を替えることとしたが、デスケーリング冷却装置5dの使用水量の設定を替えるようにしてもよい。また、本実施形態では、デスケーリング冷却装置5dとスラブSの搬送速度との両方の設定を替えることとしたが、どちらか一方の設定のみを替えるようにしてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である設定制御処理によれば、管理地点温度予測部100aが、スラブSが加熱炉2aから抽出される前又は抽出された直後に、スラブSのSRTの実績値又は計算値を起点として、粗圧延機5の出側から仕上圧延機6の入側までの間に設定された温度管理地点までのスラブSの搬送速度の予測値と粗圧延機5に設けられたデスケーリング冷却装置5dの初期設定値と粗圧延条件の設定値とを用いて、温度予測モデルにより温度管理地点におけるスラブSの温度予測値を算出し、予測温度上下限値計算部100bが、温度予測モデルの予測誤差分布に従って温度予測値の分布の上下限値を予測温度上下限値として算出し、設定替え部100cが、予測温度上下限値が温度管理範囲内に収まるように、デスケーリング冷却装置5dの使用水量若しくは使用回数の設定替え、及び/又は、スラブSの搬送速度の設定替えを行う。これにより、温度予測モデルの予測誤差を考慮してスラブSの温度を温度管理範囲内に適切に制御して熱延鋼板を製造することができる。
本発明の比較法として、設定替えを行わない方法及び温度予測モデルの予測誤差を考慮せずに設定替えを行う従来法を行った。また、スラブの搬送速度は対象とせず、デスケーリング冷却装置に対してのみ設定替えを行うこととした。従来法では、温度管理下限値を目標温度とし、本発明と同様にしてデスケーリング冷却装置の設定変更可能回数を求め、予測温度から目標温度までの余裕代を求め、本発明と同様にしてデスケーリング冷却装置の設定替え数を算出した。本発明(発明法)では、温度予測モデルの予測誤差の標準偏差σを15[℃]とし、発明法と比較法とでデスケーリング冷却装置の冷却能力は10[℃]とした。また各スラブに対して温度管理範囲としてRDTの上下限値を設定した。
図5は、設定替えを行わない方法、従来法、及び発明法における、RDTから各スラブの温度管理下限値を引いた温度の分布を示す図である。図5に示すように、設定替えを行わない方法及び従来法では、温度管理下限値以下になっているスラブの割合(図中で負の値)が高いことがわかる。これをまとめたのが以下に示す表1であり、設定替えなしの場合で2.96[%]、従来法の場合で4.53[%]であった。これに対して、発明法では0.66[%]まで低下しており、歩留まりの改善が認められた。また、待機時間削減についても、表1に示すように、設定替え無しの場合と比較して発明法は約3[sec]の短縮になっているため、生産能力向上の効果がある。なお、表1を見ると、従来法は待機時間の削減には一番効果があるように思えるが、スラブの温度管理下限値を下回る割合が増えるため、製造コストの意味で有効であるとは言えない。
Figure 0006766794
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 熱延ライン
2 加熱炉群
3 HSB(Hot Scale Breaker)
4 サイジングプレス装置(SZP)
5 粗圧延機
5d デスケーリング冷却装置
6 仕上圧延機
7 ランナウトテーブル
8 コイラー
100 制御装置
100a 管理地点温度予測部
100b 予想温度上下限値計算部
100c 設定替え部
101a〜101e 温度センサ
S スラブ

Claims (5)

  1. 被圧延材が加熱炉から抽出される前又は抽出された直後に、被圧延材の加熱炉抽出温度の実績値又は計算値を起点として、粗圧延機の出側から仕上圧延機の入側までの間に設定された温度管理地点までの被圧延材の搬送速度の予測値と前記粗圧延機に設けられたデスケーリング冷却装置の初期設定値と粗圧延条件の設定値とを用いて、温度予測モデルにより前記温度管理地点における被圧延材の温度予測値を算出する管理地点温度予測ステップと、
    前記温度予測モデルの予測誤差分布に従って前記温度予測値の分布の上下限値を予測温度上下限値として算出する予測温度上下限値計算ステップと、
    前記温度管理地点における温度管理範囲及び前記予測温度上下限値の範囲に基づいて初期設定値変更後の予測温度下限値の目標温度を算出し、初期設定値変更後の予測温度下限値前記目標温度を下回らない範囲で前記目標温度に近づくように、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の初期設定値、及び/又は、被圧延材の搬送速度の初期設定値を変更する設定替えステップと、
    を含むことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記設定替えステップは、初期設定値変更後の予測温度下限値と前記目標温度との差が0より大きい場合、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の初期設定値を増加させ、初期設定値変更後の予測温度下限値と前記目標温度との差が0未満である場合には、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の初期設定値を減少させ、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の初期設定値を変更した後の予測温度下限値前記目標温度を下回らない範囲で前記目標温度に近づくように被圧延材の搬送速度の初期設定値を変更するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板の製造方法。
  3. 前記設定替えステップは、前記温度管理範囲の大きさが前記予測温度上下限値の範囲以下の大きさである場合、温度管理下限値を前記目標温度に設定するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱延鋼板の製造方法。
  4. 前記設定替えステップは、前記温度管理範囲が前記予測温度上下限値の範囲未満の大きさである場合、温度管理下限値+{温度管理上限値−(温度管理下限値+4σ)}/2(ここで、σは前記予測誤差分布を正規分布で近似したときの標準偏差)の値を前記目標温度に設定するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の熱延鋼板の製造方法。
  5. 被圧延材が加熱炉から抽出される前又は抽出された直後に、被圧延材の加熱炉抽出温度の実績値又は計算値を起点として、粗圧延機の出側から仕上圧延機の入側までの間に設定された温度管理地点までの被圧延材の搬送速度の予測値と前記粗圧延機に設けられたデスケーリング冷却装置の初期設定値と粗圧延条件の設定値とを用いて、温度予測モデルにより前記温度管理地点における被圧延材の温度予測値を算出する管理地点温度予測手段と、
    前記温度予測モデルの予測誤差分布に従って前記温度予測値の分布の上下限値を予測温度上下限値として算出する予測温度上下限値計算手段と、
    前記温度管理地点における温度管理範囲及び前記予測温度上下限値の範囲に基づいて初期設定値変更後の予測温度下限値の目標温度を算出し、初期設定値変更後の予測温度下限値前記目標温度を下回らない範囲で前記目標温度に近づくように、前記デスケーリング冷却装置の使用水量若しくは使用回数の初期設定値、及び/又は、被圧延材の搬送速度の初期設定値を変更する設定替え手段と、
    を備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置。
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