JP5369468B2 - 熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法 - Google Patents

熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法と、それを用いた熱延金属帯の製造方法に関する。
熱間圧延とは、一般的に、連続鋳造または造塊、分塊によって製造されたスラブ状の金属材料を、加熱炉にて数百〜千数百℃に加熱した後、熱間圧延ライン上に抽出し、一対または複数対のロールで挟圧しつつそのロールを回転させることで、薄く延ばし、コイル状に巻き取るプロセスをいう。
図8は、従来から一般的に用いられている熱間圧延ライン100の一例を示す。加熱炉10により数百〜千数百℃に加熱された厚み140〜300mmの金属材料(以下、被圧延材。仕上圧延後は熱延金属帯ともいう。)8は、粗圧延機12、仕上圧延機18により厚み0.8〜25mmまで圧延されて金属帯状に薄く延ばされる。そして、冷却設備26にて所望の温度まで水冷された後、コイラー24にて巻き取られる。
粗圧延機12は、図8に示す熱間圧延ライン100の場合、R1乃至R5の5基であるが、必ずしも基数はこれに限らない。
これら基数の違いはあるが、粗圧延機12は、往復圧延あるいは一方向圧延あるいは両者により、一般的に、合計で6回あるいは7回(6パスあるいは7パスのように呼称することもある)の粗圧延を行なって、粗圧延後の被圧延材8を、それにつづく仕上圧延機18に向け供給する。
図8中には図示していないが、粗圧延機12のすぐ上流に幅プレス9を設置したものもある。
仕上圧延機18は、数百〜千数百℃の高温の被圧延材8を複数の圧延機で同時に圧延するタンデム圧延機の形式をとるが、仕上タンデム圧延機ではなく、略して単に「仕上圧延機」と称されることが多い。19はワークロールである。
仕上圧延機18を構成する各圧延機の数は、図8に示す熱間圧延ライン100の場合、F1〜F7の7基であるが、6基のものもある。
このほか、熱間圧延ライン100には、仕上圧延機18を構成する各圧延機間を除いて、その他の圧延機同士の間には、多数(百以上)のテーブルロール7が設置されており、被圧延材8を搬送する。
また、被圧延材8には、加熱炉10から抽出されたとき、その表裏面に酸化物の層(以下、スケール)が生成しており、圧延され薄く延ばされるとともに放熱により降温していく過程でも、被圧延材8は高温の状態で大気に曝されるため、新たなスケールが被圧延材8の表裏面に生成する。このため、粗圧延機12を構成する各圧延機の入側には、ポンプからの供給圧にして10〜30MPa内外の高圧水を被圧延材8の表裏面に吹き付けてスケールを除去するデスケーリング装置16が設置され、スケールを除去している。
14はクロップシャーであり、仕上圧延前に被圧延材8の先尾端のクロップ(被圧延材8の先尾端の、いびつな形状の部分)を切断除去し、仕上圧延機18にスムーズに噛み込みやすい略矩形の平面形状に整形する。
15は仕上入側温度計、151は粗出側温度計、21は仕上出側温度計、22は仕上出側板厚計、25はコイラー入側温度計、50は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータである。
さて、熱間圧延ラインにおける被圧延材の温度制御は非常に重要である。引張強さ、伸びなどの製品熱延金属帯の材質を所望の範囲内に収める品質保証上の要求や、過加熱に伴う仕上圧延前オシレーションによる生産能率低下防止の要求があるからである。
被圧延材の温度制御を精度良く行うには、被圧延材の温度予測が精度良く行える必要がある。特に、過加熱に伴う仕上圧延前オシレーションによる生産能率低下防止の目的からは、粗圧延における温度予測が重要になる。
従来、熱間粗圧延あるいはさらに仕上圧延を含む熱間圧延ラインにおける被圧延材の温度予測あるいは制御方法には、特許文献1、特許文献2のような、差分法を用いた計算を、被圧延材が一本一本実際に圧延されていく過程でリアルタイムに行うものが知られている。
しかも、特許文献1は被圧延材の上面と側面からの熱伝達を、熱伝達係数を別にして計算するという点に、また、特許文献2は被圧延材の厚みに応じて差分法を用いた計算のためのメッシュの分割数を変更する点に、それぞれ特徴がある。
図9(a)は特許文献1でのメッシュの分割のしかた、図9(b)は、特許文献1の方法に従った場合の計算の結果をそれぞれ示している。
図10(a)は特許文献2でのメッシュの分割のしかた、図10(b)は、特許文献2の方法に従った場合に、メッシュの分割数を変更するようすをそれぞれ示している。8A,8Bは上面、下面をそれぞれ意味し、Qは熱流速をそれぞれ意味する。
なお、特許文献3には、図11(a)に示すような加熱炉内での被圧延材の温度分布の予測を、図11(b)に示すようなメッシュの差分法を用いた計算により行うことについて言及があり、特許文献4には、粗圧延ではなくて仕上圧延後ランナウトテーブル上での被圧延材の冷却制御について、被圧延材の上面と下面からの熱伝達を分けて考えることについて言及がある。
特開平08−257614号公報 特開2001−269702号公報 特開2002−248515号公報 特許第3480366号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の技術によってもなお、粗圧延後の被圧延材の温度予測精度には改善の必要があり、品質保証、生産能率低下防止の要求に応える必要があった。
本発明は、かような要求に応えるべくなされたものであり、金属材料(被圧延材)を熱間粗圧延する際の被圧延材の温度予測を精度良く行える、温度予測方法と、それを用いた熱延金属帯の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法であって、
前記被圧延材の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にして計算する
ことを特徴とする熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法。
(2)差分法を用いた熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法であって、
被圧延材の厚さ方向のメッシュ分割における刻み幅を、被圧延材の上面および下面に近づくほど刻み幅が密になるよう偏分割し、
前記被圧延材の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にして計算する
ことを特徴とする熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法。
(3)(1)または(2)の熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
本発明によれば、金属材料(被圧延材)を熱間粗圧延する際の被圧延材の温度予測を精度良く行える、温度予測方法と、それを用いた熱延金属帯の製造方法を提供できる。
「原初的な熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法」
原初的に、熱間粗圧延における被圧延材の温度予測は、概略、以下に述べるようにして行われる。なお、熱間粗圧延とは、熱間圧延ラインにおける粗圧延のことを意味するものとし、粗圧延は加熱炉からの被圧延材の抽出を制御装置が指令してから仕上入側温度計(これがない場合は粗出側温度計)に被圧延材の先端が到達するまでをいうものとする。
以下、先述の図8に示した熱間圧延ライン100に本発明を適用した場合を例に説明する。
加熱炉10に、ある被圧延材8を装入して以降、加熱炉10から別の被圧延材8が抽出されるたびに、前記したある被圧延材8は、次第に加熱炉10内を図2中に示した予熱帯、加熱帯、均熱帯、と進んでいくが、加熱炉10から別の被圧延材8が抽出されるたびに、その別の被圧延材8が抽出されてからさらにまた次の別の被圧延材8が同じ加熱炉10から抽出されるまでの所要時間を制御装置50経由でプロセスコンピュータ70にデータとして取り込み、その間の各帯の雰囲気温度の実績の平均も制御装置50経由で取り込んでいたデータをもとにプロセスコンピュータ70内で計算する。
そして、例えば先述の図11(b)に示したようなメッシュの差分法を用いた計算を、加熱炉10から被圧延材8が抽出されるたびに、そして、前記したある被圧延材8が加熱炉10から抽出されるまで、繰り返し行う。
熱間粗圧延における被圧延材8の温度予測を行うためには、前記したある被圧延材8が抽出されて以降その先端が仕上入側温度計15に到達するまでに要する粗圧延所要時間が予測できることが必要である。この予測はミルペーシング機能を用いて行う。
ミルペーシング機能とは、熱間圧延ライン100上の各設備と、その間にあるテーブルローラ7と、による被圧延材8の搬送速度と、各圧延機における各パスにて圧延後の被圧延材8の板厚が、予め定めてある予定通りの搬送速度および板厚(速度、板厚の各スケジュール)に従って処理されると仮定し、熱間圧延ライン100上のある区間の被圧延材8の搬送所要時間や、熱間圧延ライン100上のあるポイントへの被圧延材8の先端あるいは尾端の到達時刻を、各被圧延材8について予測し、熱間圧延ライン100上のある区間を、先行する被圧延材8の尾端が通過後、その熱間圧延ライン100上のある区間に、後続する被圧延材8の先端が到達するまでに、その熱間圧延ライン100上のある区間の設定変更所要時間の理論値を確保できるような時刻に、後続する被圧延材8を熱間圧延ライン100の加熱炉10から抽出する機能のことであり、プロセスコンピュータ70内で一連の予測計算が行われる。
熱間粗圧延における被圧延材8の温度予測に必要な、前記したある被圧延材8が抽出されて以降その先端が仕上入側温度計15に到達するまでに要する粗圧延所要時間の予測は、前記したミルペーシング機能により計算される、熱間圧延ライン上のある区間(加熱炉10からの抽出以降仕上入側温度計15到達まで)の被圧延材8の搬送所要時間を流用するかたちで、プロセスコンピュータ70内にて行われる。
なお、そのある被圧延材8に対しては、前記したある被圧延材8が抽出される時点で目標とする抽出温度に加熱が完了することを目標に加熱炉燃焼制御が別途行われるが、これも、前記したミルペーシング機能により予測計算される、各被圧延材8の抽出を行う時間的な間隔(ピッチ)の予定を流用し、各被圧延材8について累積計算するかたちで、プロセスコンピュータ70内にて行われる。
熱間粗圧延における被圧延材8の温度予測は、前記したある被圧延材8が抽出される直前の、例えば、次の次に抽出される予定になった時点で、抽出予定時刻には何度に加熱されるかの予測に基づき、その予測結果が目標とする抽出温度に一致する場合も幾分違う場合も、前記したミルペーシング機能により予測計算される、前記したある被圧延材8が抽出されて以降その先端が仕上入側温度計15に到達するまでに要する粗圧延所要時間の予測計算結果に基づいて行われる。
「本発明の熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法」
粗圧延では仕上圧延に比べ比較的板厚が厚いことから、被圧延材の厚み方向の温度分布が無視できない。そのため、厚み方向の温度分布が考慮できる差分計算を適用することで、温度計算するのが好ましい。
被圧延材の厚さ方向の温度分布を考慮した熱伝導方程式は次式(1)で表される。
Figure 0005369468
ここに、y:被圧延材の厚さ方向の座標、t:時間、Ts:被圧延材の温度、λs:被圧延材の熱伝導率、ρs:被圧延材の密度、cs:被圧延材の比熱、qp:被圧延材の単位体積、単位時間あたりの発熱量をそれぞれ意味する。
また、被圧延材表面での境界条件として次式(2)が成り立つ。式(2)は被圧延材表面での被圧延材外部との熱収支を示す式でもある。
Figure 0005369468
ここで、h:熱伝達係数、Text:被圧延材外部の雰囲気温度、q:単位時間あたり単位表面積を通過する熱流束をそれぞれ意味する。
本実施の形態では、板厚方向の温度分布を表現できる利点から、熱伝導方程式を差分法で解く。差分法とは、微分方程式を差分近似して数値的に解く方法である。
本実施の形態では、微分方程式(1)を式(3)のように差分近似し、Crank-Nicolson法を用いて式(4)のように解く。この方法は、計算時間を短くしても比較的精度の良い解が得られるという利点を持つ。
Figure 0005369468
Figure 0005369468
式(4)中のTsjkは、図3に示したように、時刻t=kΔtにおける板厚方向i番目のメッシュ点の温度を表している。初期条件としてt=0での温度Tsi0(i=0,・・・,n)を与え、t=kΔt(=0,1・・・)での温度Tsjk(i=0,・・・,n)を順次求めることができる。
本実施の形態では、粗圧延における被圧延材の温度の時間的な変化を差分法で計算するにあたっては、境界条件における熱流束の有無や、被圧延材内部における発熱の有無により、加熱炉抽出から仕上圧延機の入側に至るまでの区間を、図1のように空冷、水冷、圧延(ロールバイト)の各状態に分けて考える。各状態における熱流束、発熱量の求め方を以下に示していく。
空冷では、被圧延材のもつエネルギーの放射熱伝達と、被圧延材から空気層への対流熱伝達を考える。被圧延材から空気に向けての熱流束は、放射熱伝達による熱流束と、対流熱伝達による熱流束との和であり、以下の式(5)(6)(7)で示される。
Figure 0005369468
Figure 0005369468
Figure 0005369468
ここに、qa:空冷での被圧延材表面から空気に向けての熱流束、qr:空冷での放射熱伝達による熱流束、qc:空冷での対流熱伝達による熱流束、hr:空冷での放射熱伝達における熱伝達係数、hc:空冷での対流熱伝達における熱伝達係数、Tsu:被圧延材の表面温度、Ta:大気温度、ε:放射率、σ:ステファンボルツマン定数をそれぞれ意味する。
水冷でも、放射熱伝達と、被圧延材から水への対流熱伝達を考える。粗圧延においては、デスケーリングによる水冷と、ロールクーラント(図8中では図示しなかったが、ロールが被圧延材と接触することで加熱されすぎるのを防ぐため、ロールに冷却水を供給している)による水冷が考えられる。被圧延材から水に向けての熱流束は、空冷の場合と同様に、放射熱伝達による熱流束と、対流熱伝達による熱流束との和であり、以下の式(8)(9)(10)で示される。
Figure 0005369468
Figure 0005369468
Figure 0005369468
ここに、qwater:水冷での被圧延材表面から空気に向けての熱流束、qw:水冷での対流熱伝達による熱流束、hw:水冷での対流熱伝達における熱伝達係数、Tsu:被圧延材の表面温度、Ta:大気温度、Tw:冷却水やデスケーリング用水の温度をそれぞれ意味する。
圧延では、以下の3つの現象が生じる。
(i)被圧延材の加工発熱
(ii)ロールと被圧延材の接触熱伝達
(iii)ロールと被圧延材の間の摩擦発熱
しかしながら、粗圧延では、仕上圧延や冷間圧延に比べて圧延速度が遅く、すべり現象もあまり生じないと考えられるため、(i)被圧延材の加工発熱、(ii)ロールと被圧延材の接触熱伝達のみを考える。
(i)被圧延材の加工発熱
加工発熱量は被圧延材を変形させるエネルギーが熱に変わることを示す以下の式(11)(12)で示される。
Figure 0005369468
Figure 0005369468
ここに、qp:単位時間・単位体積あたりの被圧延材の加工発熱量、A:仕事の熱当量、Wp:単位体積あたりの塑性変形仕事、pm:平均圧延圧力、Hm:入側板厚、Hout:出側板厚をそれぞれ意味する。
(ii)ロールと被圧延材の接触熱伝達
ロールと被圧延材の接触熱伝達により被圧延材からロールに向けての熱流束は以下の式(13)(14)で示される。
Figure 0005369468
Figure 0005369468
ここに、qR:圧延時の被圧延材表面からロールに向けての熱流束、hR:ロールと被圧延材の接触における熱伝達係数、λR:ロールの熱伝導率、ρR:ロールの密度、cR:ロールの比熱をそれぞれ意味する。
(本発明の実施の形態)
本発明では、図1に示すごとく、被圧延材の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にして計算する。
すなわち、上記式(1)乃至(14)の計算を、被圧延材の上面と下面で分けて行う。よって、上記式(1)乃至(14)中に登場した、h:熱伝達係数、q:単位時間あたり単位表面積を通過する熱流束、qa:空冷での被圧延材表面から空気に向けての熱流束、qr:空冷での放射熱伝達による熱流束、qc:空冷での対流熱伝達による熱流束、hr:空冷での放射熱伝達における熱伝達係数、hc:空冷での対流熱伝達における熱伝達係数、Tsu:被圧延材の表面温度、qwater:水冷での被圧延材表面から空気に向けての熱流束、qw:水冷での対流熱伝達による熱流束、hw:水冷での対流熱伝達における熱伝達係数、Tsu:被圧延材の表面温度、qR:圧延時の被圧延材表面からロールに向けての熱流束、hR:ロールと被圧延材の接触における熱伝達係数などは、上面と下面で添字を別にするなどして、式(4)のような差分計算を行う。
このように、被圧延材の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にして計算する目的は、熱間圧延ライン上、被圧延材の下側には、図4に示すように、テーブルロール7、エプロン7aなどの設備があるため、被圧延材8からの放射熱により加熱されたこれら下側の設備から放射される熱の戻りがあり、被圧延材8の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にすることで、その影響を計算に反映することにある。
ところで、先述したように、特許文献4には、粗圧延ではなくて仕上圧延後ランナウトテーブル上での被圧延材の冷却制御について、被圧延材の上面と下面からの熱伝達を分けて考えることについて言及があるが、ほぼ全長にわたり図5に示すごとく冷却水が被圧延材8に向け噴射されるランナウトテーブル23と先述の図4に示すような熱間圧延ラインにおける粗圧延ゾーンでは、被圧延材の厚さ(ランナウトテーブルでは1乃至24mmに対し粗圧延では25乃至300mm)、被圧延材の温度域(ランナウトテーブルでは300乃至950℃に対し粗圧延では950℃超乃至1300℃)、意識的に冷却を行う装置の有無(ランナウトテーブルでは意識的に冷却を行う装置があり、上面と下面ではテーブルロール7の存在による下面側の設置スペース制約に伴い流量が大幅に相異するのに対し、粗圧延ではロールクーラントやデスケーリング装置からの意識的に被圧延材を冷却しようとするのでないものが粗圧延ゾーン全長のうちのほんの一部にあるに過ぎない)という具合に、状況が大幅に異なるため、特許文献4からでは本発明を容易に想起することはできない。このほか、圧延に伴うロールとの接触の有無などの違いもある。
(本発明における好ましい実施の形態)
本発明では、被圧延材の厚さ方向のメッシュ分割における刻み幅を等分割するよりも、図6に示すごとく、被圧延材の上面および下面に近づくほど刻み幅が密になるよう偏分割するのが好ましい。図6は、隣り合うメッシュの板厚方向寸法比が1:rとなるよう偏分割するようすを示したものである。なお、rは分割比率である。
被圧延材の厚さ方向のメッシュの分割数を510、計算における時間間隔を0.1秒、被圧延材の密度ρsを7850kg/m3、大気温度Taを30℃、放射率εを0.8、ステファンボルツマン定数σを4.88×10−8kcal/m2/h/℃、冷却水やデスケーリング用水の温度Twを30℃、仕事の熱当量Aを9.806/4.19kcal/ton/m、ロールの熱伝導率λRを44.1kcal/m/h/℃、ロールの密度ρRを7850kg/m3、ロールの比熱cRを0.116kcal/kg/℃とし、先述の式(5)および式(8)中の空冷での放射熱伝達における熱伝達係数hrを、上面については式(6)にて求め、下面についてはエプロン、テーブルロールからの輻射熱の戻りを考慮して上面の値に0.6という抑制係数(固定)をかけ算して計算してみた場合の、粗出側温度計151設置位置直下における被圧延材の温度実績から計算による温度の予測結果を差し引いたものを統計解析して本発明例とし、熱伝達係数hrを、上下面とも式(6)にて求め、同様に計算してみた従来の場合について、同じ統計解析の結果を比較例として、両者を比較してみた。結果を図7に示す。本発明例の方が平均値がゼロに近づき、標準偏差も小さくなっていることがわかる。
ここで、式(5)中の空冷での対流熱伝達における熱伝達係数hcは、上面、下面とも7.0kcal/m2/h/℃、式(8)中の水冷での対流熱伝達における熱伝達係数hw(kcal/m2/h/℃)は、上面、下面とも式(15)に従って計算している。ここに、kw:水冷熱伝達率補正係数、w:水量密度(l/min/m2)、Tsu:被圧延材の表面温度(℃)をそれぞれ意味する。
Figure 0005369468
ある時点での熱伝達係数hrの一例を示すと、上面については120kcal/m2/h/℃、下面についてはその0.6倍の72kcal/m2/h/℃である。
以上の通りであるが、本発明は上記の実施の形態に限るものではない。すなわち、式(5)や式(8)中の対流項は放射項に比べて小さいとして無視したり、あるいは、本発明の熱間粗圧延における被圧延材の温度予測を差分法を用いないで解析的な方法により行うなどしても、被圧延材の上面と下面からの熱伝達を、熱伝達係数を各々別にして計算する限りにおいて、本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の実施の形態について説明するための線図 本発明の効果について説明するための線図 本発明の適用対象となる熱間圧延ラインの一例について説明するための線図 従来技術について説明するための線図 従来技術について説明するための線図 従来技術について説明するための線図
符号の説明
7 テーブルロール
7a エプロン
8 被圧延材
81 メッシュ断面
8A 上面
8B 下面
9 幅プレス
10 加熱炉
11a 固定スキッド
11b 移動スキッド
12 粗圧延機
135 エッジャーロール
14 クロップシャー
15 仕上入側温度計
151 粗出側温度計
16 デスケーリング装置
18 仕上圧延機
19 ワークロール
20 ルーパ
21 仕上出側温度計
22 仕上出側板厚計
23 ランナウトテーブル
24 コイラー
25 コイラー入側温度計
26 冷却関連設備
50 制御装置
70 プロセスコンピュータ
90 ビジネスコンピュータ
100 熱間圧延ライン
A 搬送方向
w 冷却水

Claims (3)

  1. 差分法を用いた熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法であって、
    前記温度予測方法は、
    被圧延材の厚さ方向のメッシュ分割における刻み幅を、被圧延材の上面および下面に近づくほど刻み幅が密になるよう偏分割し、
    前記被圧延材の上面と下面からの熱伝達について熱伝達係数を各々別にして計算する際に、下面については、被圧延材の下側の設備から放射される輻射熱の戻りを考慮して、上面の熱伝達係数の計算値に所定の抑制係数を乗算して熱伝達係数を計算することを特徴とする熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
  2. 前記所定の抑制係数は、0.6であることを特徴とする請求項1に記載の熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
  3. 前記メッシュ分割において、隣り合うメッシュの板厚方向寸法比が1:r(rは分割比率)となるよう偏分割することを特徴とする請求項1または2に記載の熱間粗圧延における被圧延材の温度予測方法を用いた熱延金属帯の製造方法。
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