JP2006055887A - 熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法及び熱延金属板の製造方法 - Google Patents
熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法及び熱延金属板の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】圧延荷重の上昇による通板トラブルの発生を回避しながら、良好な材質、寸法精度を確保し、生産性の向上も図る。
【解決手段】仕上圧延機30で被圧延材8を圧延する際に、仕上圧延機を構成する各圧延機に付帯して設置された、冷却水を噴射する冷却装置361〜366のうち、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を、対象とする1つの被圧延材の圧延中に変化させることにより被圧延材の温度を被圧延材全長にわたり制御する熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法において、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を変化させる場合、その優先順を、該被圧延材上のその変化させる冷却対象位置についての各圧延機の予測圧延荷重Piと、該被圧延材先端の各圧延機の予測圧延荷重Psetiと、から求められる評価関数値Jを、最適化するように決定する。
【選択図】図1
【解決手段】仕上圧延機30で被圧延材8を圧延する際に、仕上圧延機を構成する各圧延機に付帯して設置された、冷却水を噴射する冷却装置361〜366のうち、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を、対象とする1つの被圧延材の圧延中に変化させることにより被圧延材の温度を被圧延材全長にわたり制御する熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法において、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を変化させる場合、その優先順を、該被圧延材上のその変化させる冷却対象位置についての各圧延機の予測圧延荷重Piと、該被圧延材先端の各圧延機の予測圧延荷重Psetiと、から求められる評価関数値Jを、最適化するように決定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法及び熱延金属板の製造方法に関する。
金属帯、中でも、帯鋼に代表される薄鋼板は、溶製後、鋳造されてスラブ状の被圧延材にされ、しかる後、熱間圧延、冷間圧延を経て製造され、あるいは更に鍍金処理等を施される場合もある。
図7は、従来から多くある熱間圧延ライン100の一例を示す。加熱炉10により数百〜千数百℃に加熱された厚み150〜300mmの金属材料(以下、被圧延材)8は、粗圧延機(列)20、仕上圧延機(列)30により厚み1〜25mmまで圧延されて薄く延ばされる。
粗圧延機20は、図7に示す熱間圧延ライン100の場合、R1、R2、R3の3基であるが、必ずしも基数はこれに限らない。1基だけのものや2基のもののほか、最も一般的なのは4基のものであり、基数の多いものだと6基のものまである。
最も一般的な4基のものの場合、4基のうち一部(多くの場合1機)を往復圧延するものとし、残る圧延機が一方向圧延を行う3/4連続と呼ばれるタイプが多い。しかし、4機中3機が一方向のタイプに限らず、例えば3機中1機が一方向のタイプも含め、3/4連続という。
粗圧延機20のすぐ上流に幅プレス16を設置したものもある。
仕上圧延機30を構成する各圧延機(スタンド)の数は、図7に示す熱間圧延ライン100の場合、F1〜F7の7基であるが、6基のものもある。
これら各種基数の違いはあるが、粗圧延機20は、往復圧延あるいは一方向圧延あるいは両者により、一般的に合計で6回あるいは7回の粗圧延を行なって、粗圧延後の被圧延材8を、それに続く仕上圧延機30に向け供給する。6回あるいは7回というように複数回圧延することを、6パスで圧延するとか7パスで圧延するとも言う。
仕上圧延機30は、数百〜千数百℃の高温の被圧延材8を複数の圧延機で同時に圧延する熱間タンデム圧延機の形式をとるが、略して単に「仕上圧延機」と称されることが多い。
熱間圧延ライン100には、仕上圧延機30の各スタンド間を除いて、その他の圧延機(スタンド)間には図示しない多数(熱間圧延ライン100全体で百以上)のテーブルローラが設置されており、被圧延材8を搬送する。
ところで、先述のように数百〜千数百℃に加熱された高温の被圧延材8には、加熱炉10から抽出されたとき、その表裏面に酸化物の層(以下、スケール)が生成している。この他、圧延され薄く延ばされるとともに放熱により降温していく過程でも、被圧延材8は高温の状態で大気に曝されるため、新たなスケールが被圧延材8の表裏面に生成する。このため、粗圧延機20の中の各圧延機の入側には、ポンプからの供給圧にして10〜30MPa内外の高圧水を被圧延材8の表裏面に吹き付けてスケールを除去するデスケーリング装置18が設置され、スケールを除去している。
図7において、24はクロップシャーであり、仕上圧延前に被圧延材8の先後端のクロップ(被圧延材8の先後端の、いびつな平面形状の部分)を切断除去し、仕上圧延機30にスムーズに噛み込みやすい略矩形の平面形状に整形する。
40は冷却ゾーンであり、仕上圧延後の被圧延材8を水冷する。42は冷却ゾーンのテーブルローラ群であり、ランナウトテーブル(ROT)と呼ばれる。50はコイラであり、冷却後の被圧延材8を巻き取る。
60は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータである。
26は仕上入側温度計であり、仕上圧延前の被圧延材8の温度を測定し、仕上圧延機30に被圧延材8が噛み込む際の、ロール間隙その他の各種の設定(セットアップ)を、プロセスコンピュータ70内での計算により設定値の決定を行なった結果に基づいて行なうための、その計算の起動の役割と、温度データの制御装置60とプロセスコンピュータ70への提供の役割と、を兼ねて果たす。
34は仕上出側温度計を示し、温度データを制御装置60とプロセスコンピュータ70に提供する役割を果たす。
21、31は、それぞれ、粗圧延機20、仕上圧延機30のワークロール、22、32は、同じくエッジャロールである。
図8に仕上圧延機30の周辺を抜き出したものを拡大して示す。仕上圧延機30を構成する各圧延機(スタンド)の間には、被圧延材8に向け冷却水を噴射する冷却装置361〜366が設置されている。
かような熱間圧延ラインで製造される金属材料としては、JISG3131に規定される熱延鋼板(鋼帯を含む)、JISG3141に規定される冷延鋼板(鋼帯を含む)が代表的であり、JISG3303に規定されるぶりき原板の他、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板等も製造されることがある。本発明にいう冷延金属板は、これらを総称したものとする。
熱延鋼板等の熱延金属板の材質及び寸法精度を向上させるためには、被圧延材8を仕上圧延する際に、仕上圧延機30で圧延する時の温度を適正な値に制御することが重要である。仕上圧延機30で圧延する時の温度は測定が困難であるため、仕上圧延機出側での被圧延材8の温度(以下、仕上出側温度という)で以って代表させ、これを可及的に目標値に近づけるよう、従来から制御が行なわれてきた。このような熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法としては、従来から、大別して次の2つの方法があった。
まず1つ目の方法は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載の、仕上圧延機30で被圧延材8を圧延する際の圧延速度を制御する方法である。これは、熱延金属板の仕上圧延機30の入側における被圧延材8の温度が、被圧延材8の長手方向に見たときに、それが先端から尾端にかけて減少する現象、いわゆるサーマルランダウンによる仕上出側温度の低下を補償するために、圧延速度を加速させる、いわゆる加速圧延(ズーミング)を行なう方法である。
この加速圧延は、被圧延材8の仕上圧延機30内での温度降下量が、被圧延材8が仕上圧延機30内を通過するのに要する時間にほぼ比例することを利用したものであり、多くの場合、一定の加速度により加速を行いながら圧延を行う。
具体的な加速度は、例えば特許文献1に記載の方法によって求めることができる。しかしながら、本方法では、圧延速度の上限がサーマルランダウンによる温度低下を補償するために必要な速度に制限されるため、更なる加速ができず、そのため、圧延時間短縮による生産性の向上に限界がある、という問題がある。
そこで、2つ目の方法であるが、これは、前記の問題を解決するため、被圧延材8の温度を可及的に目標値に近づけるよう冷却制御する方法である。多くの場合、仕上圧延機30の各圧延機(スタンド)の間に冷却装置361〜36nを設置し、これら冷却装置361〜36nから被圧延材8に向け冷却水を噴射することによって被圧延材8の温度を可及的に目標値に近づけるよう制御する方法が採られる。
具体的には、特許文献4等に記載のような、被圧延材8の長手方向の複数の位置(ポイント)を対象として、当該ポイントの圧延速度等から、当該ポイントに対して冷却水を噴射することが必要な冷却装置の数を計算により求め、この計算により求めた、当該ポイントに対して冷却水を噴射することが必要な冷却装置の数に従って、実際に被圧延材8の各ポイントの冷却を当該被圧延材8の全長にわたって行なうようにするものである。
しかしながら、仕上圧延機30の各圧延機(スタンド)間に冷却装置361〜36nを設置し、これら冷却装置361〜36nから被圧延材8に向け冷却水を噴射することは、一方で、その冷却水を噴射する冷却装置の直近下流にある圧延機(スタンド)で被圧延材8を圧延する際の圧延荷重の上昇を伴うため、その圧延機の設備仕様上の荷重上限の超過や荷重変動に伴う被圧延材8の蛇行による通板トラブルを招く恐れがある。
従来は、このような問題が予想される場合は、仕上出側温度の変動をある程度許容した上で、仕上圧延機30の各圧延機(スタンド)の間での冷却を実施しないか、もしくは使用する冷却装置を、一部の冷却装置に制限するか、仕上圧延機30の各圧延機(スタンド)の間での冷却を行わなくても被圧延材8の仕上出側温度を目標範囲に収めるために圧延速度の制御を併用する、等の方法が採られてきた。しかしながら、最初あるいは二番目の方法では材質、寸法精度の悪化につながり、三番目の方法では先に述べたように生産性の向上に限界がある、という問題がある。
本発明の目的は、圧延荷重の上昇による通板トラブルの発生を回避しながらも、良好な材質、寸法精度の確保が可能で、生産性の向上も図ることができる熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法及び熱延金属板の製造方法を提供することにある。
本発明は、熱間タンデム仕上圧延機で被圧延材を圧延する際に、仕上圧延機を構成する各圧延機に付帯して設置された、冷却水を噴射する冷却装置のうち、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を、対象とする1つの被圧延材の圧延中に変化させることにより被圧延材の温度を被圧延材の長手方向に制御する熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法において、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を変化させる場合、その優先順を、該被圧延材上のその変化させる冷却対象位置についての各圧延機の予測圧延荷重と、該被圧延材先端の各圧延機の予測圧延荷重と、から求められる評価関数値を、最適化するように決定することで、前記目的を達成するものである。
本発明は、又、前記の熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法を用いることを特徴とする熱延金属板の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、被圧延材の圧延中、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を追加する場合、圧延荷重上昇に伴う通板トラブル等、通板性に及ぼす影響の最も少ない冷却装置から順に、優先的に追加することができるので、圧延荷重上昇に伴う通板トラブルの発生を回避しつつ、良好な材質、寸法精度を確保し、生産性の向上も図ることができるようになる。
本発明によれば、圧延荷重の上昇による通板トラブルの発生を回避しながら、良好な材質、寸法精度の確保が可能で、生産性の向上も図ることのできる熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法及び熱延金属板の製造方法を提供できる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、その実施例を図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明中、被圧延材の温度とは、特に断らない限り、被圧延材表面の温度を意味するものとする。また、変化させる、とは、追加する場合のほか、減少させる場合も含む意味とする。
本実施例が適用される熱間タンデム仕上圧延機は、図1に示すように、第1スタンドF1〜第7スタンドF7までを有する7スタンドのタンデム圧延機の形式を採る(以降、仕上圧延機30)。その入側には、被圧延材8の表面に生成しているスケールを除去するためのデスケーリング装置18が備えられ、更にその入側には被圧延材8の温度を測定するための仕上入側温度計26が、仕上圧延機30の出側には同目的で仕上出側温度計34が、それぞれ備えられている。
また、前記仕上圧延機30の各スタンドF1〜F7の間およびF1の入側には、上下1つずつの冷却装置360〜366が設置されている。更に、これらの冷却装置の使用・不使用(冷却水を噴射する場合が使用、噴射しない場合が不使用)を制御する制御装置60、前記仕上入側温度計26による温度測定位置をトラッキングするためのトラッキング装置(メジャーリングロール)62、および、制御装置60に向け各種設定値を指令するプロセスコンピュータ70が設けられている。
被圧延材8上のある特定の温度測定位置をトラッキングする具体的な方法としては、仕上圧延機30の入側に設置されたメジャーリングロール62の発するパルス数に1パルスあたりの移動距離インクリメントを乗ずるか、仕上圧延機30中F1〜F7のロールの回転軸に設置された図示しないロータリーエンコーダ等の発するパルス数に1パルスあたりの回転角度とロールの直径、被圧延材8の先進率、それに円周率を乗ずる方法があり、そのある特定の温度測定位置が仕上圧延機30の入側にあるか、仕上圧延機30の中間にあるか、あるいは仕上圧延機30の出側にあるか、により、仕上入側における被圧延材厚に対する各位置における被圧延材厚の比の逆数を掛け算することで行われるが、これらの方法に限定されるものではなく、レーザ速度計を用いる等、その他の方法によっても良い。
続いて、プロセスコンピュータ70から、制御装置60に向け各冷却装置360〜366の使用・不使用を指令するに際し、その指令の決め方を、以下に具体的に述べる。
プロセスコンピュータ70では、被圧延材8の先端部に対して予め仕上圧延機30の入側から出側に至るまでの温度を計算により予測し、冷却装置360〜366の使用・不使用を、被圧延材8の先端部の仕上出側温度が仕上出側温度の目標値に可及的に近づくように設定する。温度予測の具体的な方法としては、先述の特許文献1に記載の方法その他、従来から公知のあらゆる方法を踏襲あるいは改良して良い。
また、この温度予測結果を用いて、仕上圧延機30を構成する各圧延機(スタンド)で被圧延材8の先端を圧延した際の圧延荷重を計算により予測して求め、設定圧延荷重として一時記憶しておく。設定圧延荷重の計算による予測の具体的な方法としては、材料ごとに、成分・製品寸法・圧延時の温度予測結果等から、Simsの圧延荷重予測式(Proc.Inst.Mech.Eng.,168(1954),191)等の従来から公知のあらゆる方法をを踏襲あるいは改良して良い。
ここで、被圧延材8の先端とは、厳密な意味での最先端を意味するものではなく、被圧延材8の先端の温度や圧延荷重は、仕上圧延機30の入側の被圧延材8上で、例えば最先端から1mの位置(ポイント)のものを以って代表させる、あるいはその前後数mm〜数千mmピッチの値を平均して求める等、適宜な代表値や平均値を以って表すのが好ましい。
プロセスコンピュータ70では、被圧延材8の先端として代表させたポイントを起点として長手方向にある一定ピッチで位置を決めた、被圧延材8の先端以外の被圧延材8上の複数のポイントにおいて、仕上入側温度計26によって当該ポイントの仕上入側温度を測定し、この仕上入側温度の実績と被圧延材8の熱伝導率、比重、比熱、ロールまたは大気または冷却水と被圧延材表面との間の熱伝達率等から、当該複数のポイントの仕上出側温度を予測する。
さて、被圧延材8の先端以外の各ポイントについて予測した仕上出側温度の予測値は、被圧延材8の先端の仕上出側温度の予測値と異なる場合がある。
これは、被圧延材8の先端よりも被圧延材8の先端以外の方が時間的に後で圧延されることに伴い、時間の経過に伴う空冷によって被圧延材8の後方になるほど仕上入側温度が下がること、および、加速圧延(ズーミング)に伴い、被圧延材8の先端以外の各ポイント毎に、仕上圧延機30を通過するのに要する時間が異なるのと、2つの理由による。
被圧延材8の先端以外のあるポイントについて予測した仕上出側温度が、目標とする仕上出側温度と大きく異なる場合には、冷却装置の使用・不使用を先端部の設定と変える必要がある。
即ち、仕上圧延機を構成する各圧延機に付帯して設置された、冷却水を噴射する冷却装置のうち、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を、対象とする1つの被圧延材の圧延中に変化させることにより被圧延材の温度を被圧延材の長手方向に制御することが必要になるが、先述の通り、これは従来から行なわれていた。
本発明では、それに加え、被圧延材8の先端以外の各ポイント毎に、温度が変化するのに伴って、圧延荷重が変化してしまうので、それが通板性に及ぼす影響が最小限となるような冷却装置を選択して使用すればよいことに想到し、更に、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を追加する場合、その優先順を、該被圧延材上のその追加する対象位置についての各圧延機の予測圧延荷重と、該被圧延材先端の各圧延機の予測圧延荷重と、から求められる評価関数値が、最小となるように決定することにした、というものである。
そのためには、まず、今対象としている被圧延材8に対して冷却装置360〜366のうち、ある1つの使用・不使用の状態を変化させた場合の、各圧延機(スタンド)での予測圧延荷重の変化量δPを算出する。算出方法は例えば下記式による。
ここで、δTは、冷却装置360〜366のうち、ある1つの使用・不使用を変化させた場合の、被圧延材8の温度変化量であり、予め実験によって各冷却装置により被圧延材8を冷却した際の熱伝達係数を算出しておき、また、単位時間に仕上圧延機30の入側に設置されたメジャーリングロール62の発するパルスあるいは仕上圧延機30中F1〜F7のロールの回転軸に設置された図示しないロータリーエンコーダ等の発するパルスから算出できる被圧延材8の搬送速度により、今対象としている被圧延材8上のある特定のポイントが各冷却装置を通過するまでに要する時間を算出することによって、例えばニュートンの冷却の法則を用いて算出することができる。
(∂K)/(∂T)は、単位温度降下量あたりの変形抵抗の増加量であり、例えば、鋼を対象とする場合に熱間圧延で広く用いられている美坂・吉本の変形抵抗式等によって求めることができる。
(∂P)/(∂K)は、単位変形抵抗増加量あたりの圧延荷重の増加量であり、例えば、鋼を対象とする場合に熱間圧延で広く用いられているSimsの圧延荷重式等によって求めることができる。
また、冷却装置の使用に伴う圧延荷重の変化量を予測するために、本実施例では下記式のような評価関数Jを導入する場合を例に挙げる。
ここで、Piは今対象としている被圧延材8上の冷却対象位置を第iスタンドで圧延する際の予測圧延荷重、Psetiは第iスタンドで該被圧延材8の先端を圧延する際の予測圧延荷重、kiは、各スタンドごとの重み付け係数である。
冷却装置の使用・不使用を変化させる場合、各冷却装置ごとに、当該冷却装置の使用・不使用を変化させた場合のPiの変化を(1)式より算出し、これを(2)式に代入して、評価関数Jが最適化するような((2)式の場合は最小となるような)冷却装置を選択して使用すればよい。
本発明を図1に示す熱間圧延ラインに適用した結果を以下に述べる。メジャーリングロール62は被圧延材8のトラッキングを行い、被圧延材8の先端が仕上入側温度計26の直下に達した時点で、被圧延材8の温度の測定を開始し、プロセスコンピュータ70において該被圧延材8上の各ポイントの仕上出側温度を予測する。
この予測結果を図2に示す。予測計算の結果、今対象としている被圧延材8の先端の温度の予測値が、仕上圧延機30の出側において、実線Aに示す如く、仕上出側温度の目標値よりも高いことが判明したので、プロセスコンピュータ70から制御装置60に指令を出し、冷却装置360〜366を用いて被圧延材8の先端を冷却することによって、破線Bに示す如く、仕上出側温度を目標値まで低下させる。
指令の出力は、メジャーリングロール62によるトラッキングの結果、被圧延材8の先端が、冷却装置360〜366のうち使用するもののある位置に到達した際に実際に冷却水が被圧延材8にかかるように行う。
この際、冷却装置360〜366のうちどれを使用するかの選択はどのように決めても構わないが、図2には仕上圧延機30のうちの前段スタンドF1〜F4に付帯する冷却装置360〜363を使用した場合の予測計算の結果を示す。
プロセスコンピュータ70は、被圧延材8の先端が仕上入側温度計26を通過した後、メジャーリングロール62から被圧延材8がある一定長進行したことを示す信号が入力される毎に、仕上入側温度計26による被圧延材8の温度の測定結果の実績を収集し、被圧延材8上の各ポイントについて、仕上圧延機30の入側から出側にかけての温度の変化を予測する。
ここで、一例として、被圧延材8上の加速圧延開始以降に仕上入側温度計26を通過する被圧延材8上の先端以外のあるポイントについて、プロセスコンピュータ70が仕上圧延機30の入側から出側にかけての温度の変化を予測した結果を図3に示す。
仕上出側温度の予測値が目標値よりも高いため、冷却装置360〜366のいずれかに対して使用(噴射)の指令を出力する必要がある。この際、どの冷却装置360〜366のうちどれを使用するか選択する必要がある。
そこで、前段スタンド側から順に冷却水を噴射する冷却装置の数を増やした場合(実線C)と同後段スタンド側から順に増やした場合(破線D)を図3に比較して示した。更に、被圧延材の先端(実線E)と先端以外(破線F)のあるポイントの温度の予測計算の結果を図4に、荷重の予測計算の結果を図5に示す。
ここで、(2)式に示す評価関数Jにおいて、簡単のため、一例として、k1,…,k7をいずれも1とした場合を考える。すると、図5より明らかに、後段スタンド側から順に冷却水を噴射する冷却装置の数を増やしたケースのほうが、評価関数の値は小さい。よって、この場合は、後段スタンド側から順に冷却水を噴射する冷却装置の数を増やす設定を行い、制御装置60に向け出力する。
このような制御を、被圧延材8上、ある一定長おきに各ポイントごとに実施することで、被圧延材8の仕上出側温度を目標値に可及的に近づけることができるようになり、圧延荷重の上昇による通板トラブルの発生を回避しながら、熱延金属板の良好な材質、寸法精度の確保が可能になり、生産性の向上も図ることができるようになる。
以上の通りであるが、上記した実施形態は一例にすぎず、本発明の実施形態はこれに限るものではない。即ち、各種の変更を加えることができる。例えば、被圧延材は鋼に限らず、あらゆる種類の金属を対象とすることができるし、被圧延材の温度や圧延荷重の予測は、必ずしも上記に登場する各式によるものでなくても、その他のものによっても良い。また、評価関数も必ずしも上記に登場するものに限るものではない。また、被圧延材上の各ポイントも、必ずしも長手方向にある一定長毎に(ある一定のピッチで)設定する必要はないし、被圧延材の各ポイントが仕上圧延機30を通過するのに要する時間は、必ずしもメジャーリングロール62その他の発するパルスを用いて実測しなくても、予めプロセスコンピュータ70内に各被圧延材8毎に記憶している属性データをキーに決定されるスレッディング速度、加速率、トップ速度、減速率、等の速度パターン決定パラメータを用いて計算により求めるようにする等しても良い。最後に、本発明は、図7、図8、図1に示すような熱間圧延ラインの他、図6に示すような、連続鋳造ライン6と直結した熱間圧延ライン500等にも勿論適用して良い。
本発明によれば、鋼の他、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板等、各種の金属板を熱間圧延するにあたり、通板トラブルの発生を回避しながら、良好な材質、寸法精度の確保が可能になり、生産性の向上も図ることができる、という産業上顕著な効果を有する。
8…被圧延材
10…加熱炉
18…デスケーリング装置
20、R1、R2、R3…粗圧延機
26…仕上入側温度計
30、F1、F2・・・F6…仕上圧延機
34…仕上出側温度計
361〜36n…冷却装置
40…冷却ゾーン
42…ランナウトテーブル(ROT)
50…コイラ
60…制御装置
62…メジャーリングロール(トラッキング装置)
70…プロセスコンピュータ
100、500…熱間圧延ライン
10…加熱炉
18…デスケーリング装置
20、R1、R2、R3…粗圧延機
26…仕上入側温度計
30、F1、F2・・・F6…仕上圧延機
34…仕上出側温度計
361〜36n…冷却装置
40…冷却ゾーン
42…ランナウトテーブル(ROT)
50…コイラ
60…制御装置
62…メジャーリングロール(トラッキング装置)
70…プロセスコンピュータ
100、500…熱間圧延ライン
Claims (2)
- 仕上圧延機で被圧延材を圧延する際に、
仕上圧延機を構成する各圧延機に付帯して設置された、冷却水を噴射する冷却装置のうち、実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を、対象とする1つの被圧延材の圧延中に変化させることにより被圧延材の温度を被圧延材の長手方向に制御する熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法において、
実際に冷却水を噴射する冷却装置の数を変化させる場合、その優先順を、該被圧延材上のその変化させる冷却対象位置についての各圧延機の予測圧延荷重と、該被圧延材先端の各圧延機の予測圧延荷重と、から求められる評価関数値を、最適化するように決定することを特徴とする熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法。 - 前記請求項1の熱間圧延における被圧延材の冷却制御方法を用いることを特徴とする熱延金属板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009241115A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Nippon Steel Corp | 鋼板冷却設備及び鋼板冷却方法 |
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-
2004
- 2004-08-20 JP JP2004240488A patent/JP2006055887A/ja active Pending
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