JP7338599B2 - ブリスタースケールの発生予測方法、圧延機の制御方法およびブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法 - Google Patents

ブリスタースケールの発生予測方法、圧延機の制御方法およびブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法 Download PDF

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Description

本開示は、ブリスタースケールの発生予測方法、圧延機の制御方法およびブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法に関する。本開示は、特に熱間圧延ラインにおけるブリスタースケールの発生予測に関する。また、本開示は、特に熱間圧延ラインに設けられた圧延機の制御方法に関する。
熱延鋼板の製造において、スケールの生成を原因とした表面欠陥による製品歩留まりの低下が問題となることがある。これらの欠陥の一つに、圧延前、また連続して圧延が行われる場合の圧延パス間に表面に生じたスケールが圧延され欠陥となるものがあり、ブリスタースケールなどと呼ばれている。
従来、ブリスタースケールの発生予測方法、防止方法としては、特許文献1で示されているように、仕上圧延スタンド(F2スタンド)を通過する際のF2スタンドの圧下率および鋼板の表面温度があらかじめ定められた所定の値以下になるように、圧延を実施する方法が提案されている。
また、特許文献2で示されているように、スタンド間スプレーと仕上げ入側の加熱装置を制御することにより、仕上げ圧延時の加速度と圧延速度とを大きくしても仕上げ圧延機出側におけるストリップの温度上昇を防止して、スケール疵を発生させることなくストリップの生産性を向上させる方法が提案されている。
また、特許文献3で示されているように、仕上げ圧延機入側での粗バーの表面温度があらかじめ定められた温度となるように、仕上げ入側の加熱装置を制御する方法が提案されている。
特許第5935541号公報 特許第4102156号公報 特許第3582517号公報
しかし、表面スケールの生成には加熱炉内温度履歴も影響する。従来のいずれの方法でもその影響は考慮されていない。そのため、ブリスタースケール予測精度が低下してしまう問題があった。
以上の問題を解決すべくなされた本開示の目的は、高精度に発生有無を予測可能なブリスタースケールの発生予測方法、および、その発生予測方法で用いられるブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法を提供することにある。また、本開示の他の目的は、その発生予測方法を用いて、圧延材の表面欠陥を減少させることが可能な圧延機の制御方法を提供することにある。
本開示の一実施形態に係るブリスタースケールの発生予測方法は、
スラブを加熱する加熱炉と、複数の圧延パスで熱間圧延を行う圧延工程を実行する圧延機と、を含む熱間圧延ラインにおける、ブリスタースケールの発生有無を予測する方法であって、
入力データとして、前記スラブの属性情報から選択した1以上のパラメータと、前記加熱炉における操業パラメータから選択した1以上のパラメータと、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報から選択した1以上のパラメータと、前記圧延工程における操業パラメータから選択した1以上のパラメータとを含み、ブリスタースケールの発生有無を出力データとする、機械学習により生成されたブリスタースケールの発生予測モデルを用いて、ブリスタースケールの発生有無を予測する。
本開示の一実施形態に係る圧延機の制御方法は、
上記のブリスタースケールの発生予測方法を用いて、前記スラブが前記加熱炉から抽出された後であって前記圧延機に装入される前に、前記スラブの属性情報および前記加熱炉における操業パラメータの実績値、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報、ならびに、前記圧延工程における操業パラメータの設定値を用いて、ブリスタースケールの発生有無を予測し、
ブリスタースケールが発生しないように、前記圧延工程における操業パラメータを再設定する。
本開示の一実施形態に係るブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法は、
スラブを加熱する加熱炉と、複数の圧延パスで熱間圧延を行う圧延工程を実行する圧延機と、を含む熱間圧延ラインにおける、ブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法であって、
前記スラブの属性情報から選択した1以上の実績データと、前記加熱炉における操業実績データから選択した1以上の操業実績データと、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報と、前記圧延工程における操業実績データから選択した1以上の操業実績データと、を入力実績データとして、前記入力実績データを用いたブリスタースケールの発生有無を出力実績データとした、複数の学習データを取得し、
取得した前記複数の学習データを用いた機械学習によって、ブリスタースケールの発生予測モデルを生成する。
本開示によれば、高精度に発生有無を予測可能なブリスタースケールの発生予測方法、および、その発生予測方法で用いられるブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法を提供することができる。また、本開示によれば、その発生予測方法を用いて、圧延材の表面欠陥を減少させることが可能な圧延機の制御方法を提供することができる。
図1は、本開示の実施形態の熱間圧延ラインについて説明するための図である。 図2は、本開示の実施形態の加熱炉について説明するための図である。 図3は、本開示の実施形態の加熱炉について、スラブが存在する加熱炉帯の温度の推移の例を示す図である。 図4は、本開示の実施形態であるブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法について説明するための図である。 図5は、本開示の実施形態であるブリスタースケールの発生予測方法について説明するための図である。
<熱間圧延ラインの構成>
図1は、本開示内容が適用される熱間圧延ラインの構成を示す模式図である。本熱間圧延ラインは、加熱炉1、デスケーリング装置2、幅圧下プレス装置3、粗圧延機4、仕上げ圧延機5、水冷装置6、コイラー7を含む装置から構成される。鋳造スラブ10(図2参照)は、加熱炉1に装入された後、所定の設定温度まで加熱された後に、熱間スラブとして加熱炉1から抽出される。加熱炉1から抽出されたスラブは、デスケーリング装置2により表面に形成された1次スケールが除去され、その後、幅圧下プレス装置3により所定の設定幅まで幅圧下される。そして、スラブは、粗圧延機4において所定厚さまで圧延されることで粗バーとして、仕上げ圧延機5に搬送される。仕上げ圧延機5では、5から7スタンドの連続の圧延により製品厚さまで圧延される。仕上げ圧延機5の下流側にはランアウトテーブルと呼ばれる設備に水冷装置6を備えており、所定の温度まで冷却された後、コイラー7によりコイル状に巻き取られる。
熱間圧延ライン上には粗圧延機4の出側および仕上げ圧延機5の入側などに温度計8が配置され、圧延材の温度を測定できる場合がある。圧延に際し、仕上げ圧延機5の前後に設置された水冷装置9により圧延材の冷却、また圧延材表面のスケールの除去の目的で圧延材に水が噴射される場合がある。
<加熱炉>
本熱間圧延ラインに用いられる加熱炉1は、図2に示す構造の設備である。鋳造スラブ10は、図2の左側から加熱炉1に装入される。加熱炉1に装入される鋳造スラブ10の温度は、鋳造後スラブヤードで冷却され0~600℃ほどの場合がある。また、鋳造スラブ10の温度は、鋳造後スラブヤードを介さず600~800℃ほどの場合がある。加熱炉1の内部は複数の帯域に区切られており、一般に上流側には2~8個の帯域に区切られた加熱帯と、1~3個の均熱帯とから構成される。図2に示す加熱炉1は、5個の加熱帯と1個の均熱帯で構成されており、以下において両者を合わせて「加熱炉帯」と呼ぶ。個々の加熱炉帯は、加熱炉1に装入されたスラブの平均温度が徐々に昇温する。個々の加熱炉帯は、所定の目標加熱温度、すなわち、加熱炉1から抽出される際のスラブ平均温度の目標値にするために、それぞれ異なる雰囲気温度に設定されている。また、いずれの加熱炉帯にも炉内上部には加熱炉帯内の雰囲気温度計を計測する温度計11が設置されている。
加熱炉1に装入されたスラブは、加熱炉1の内部でウォーキングビーム12と呼ばれる搬送設備により順次各加熱炉帯を通過する。また、加熱炉1の内部には複数のスラブが同時に装入されており、加熱炉1に装入される順番で、加熱炉1の出口から抽出されて、熱間圧延が行われていく。
<圧延機>
鋼片を加熱した後、粗圧延機4により圧延が施された後、仕上げ圧延機5により圧延が施される。
<ブリスタースケールの発生予測モデル>
ブリスタースケールの発生予測モデルは、ブリスタースケールの発生有無を予測する場合の入力データに、スラブの属性情報、加熱炉1における操業パラメータ、仕上げ圧延前の圧延材温度情報および圧延工程における操業パラメータから選択したパラメータを含むものである。
<スラブの属性情報>
スラブの属性情報としては、加熱炉1に装入されるスラブのスラブ厚、スラブ幅、スラブ長さの他、スラブの成分組成として、C、Si、Mn、Ti、Crなど、成分元素の含有量を用いることができる。スラブの属性情報としては変形抵抗、C含有量またはSi含有量のいずれかを含むのが好ましい。鋼に含まれる炭素およびケイ素は、スラブの高温での変形抵抗に影響を与えると共に、加熱炉1の内部での表面の酸化物の生成および組成に影響を与える元素だからである。これにより、圧延中の加工発熱による温度変化およびスケール性状に影響が与えられる。特に、スラブ中に含まれるSiは加熱中にスラブ表面に偏析し、また、加熱炉1の内部で酸素と反応し酸化物を形成するため、表面性状への影響が大きい。ここで、加熱炉1の内部で生成した1次スケールは、加熱炉1から抽出後のデスケーリングにより一旦除去されるものの、1次スケールよりも下層に存在する酸化物の状態を通じて、あるいはデスケーリング後の2次スケールの生成挙動を通じて、ブリスタースケールの発生に影響を与えると推測される。スラブの成分組成については、製鋼工程での設定値もしくは測定値を用いればよい。
<加熱炉における操業パラメータ>
加熱炉1における操業パラメータは、ブリスタースケール発生を予測しようとするスラブが加熱炉1の内部にあるときの各種パラメータを用いることができる。例えば、加熱炉1の特定の加熱炉帯における在炉時間、加熱炉1の最終の加熱炉帯の雰囲気温度、加熱炉1の内部での燃焼ガス雰囲気のガス組成、加熱炉1へ装入される前のスラブの表面温度など、加熱炉1から抽出されるスラブの内部の温度分布および表面の酸化物の状態に影響を与えることが想定される各種パラメータを用いればよい。
また、加熱炉1に装入されてから抽出されるまでのスラブが位置する加熱炉帯の雰囲気温度の履歴情報とは、図3に示すように、スラブが加熱炉1に装入されてから、順次、加熱炉1の内部で搬送されるにしたがって変化する加熱炉帯の雰囲気温度に関する履歴全体を指す。
また、本開示の実施形態として、加熱炉1への装入からの抽出までのトータルの在炉時間と、在炉時間をN個に分割した時間ごとのスラブが位置する加熱炉帯の雰囲気温度を組みわせた情報を履歴情報として用いるのが好適である。在炉時間の異なるスラブで比較すると、履歴情報として用いる雰囲気温度の時間区分が異なるものの、加熱炉1の内部での昇温パターンを表す情報であり、トータルの在炉時間のデータと組み合わせることで、学習モデルの内部では加熱炉1の内部での時間経過と雰囲気温度との関係を考慮することができる。時間区分を表すNは3~30が好ましく、Nが10以上であることがより好ましい。
例えば、表1は、図3のような加熱炉帯の温度履歴について、在炉時間を18分割した各時点の加熱炉帯の温度を表したものである。スラブAのように在炉時間が180分であった場合、10分毎の加熱炉帯の温度データが用いられる。一方、スラブBのように在炉時間が150分であった場合、8.3分毎の加熱炉帯の温度データが用いられる。スラブが位置する加熱炉帯の温度は、加熱炉帯に設置された温度計11によって計測される温度が好ましいが、各加熱炉帯の燃焼バーナーに用いられるガスの燃焼温度でよい。
Figure 0007338599000001
<仕上げ圧延前の圧延材温度情報>
仕上げ圧延前の圧延材温度情報は、粗圧延機4の出側および仕上げ圧延機5の入側などに設置された温度計8による測定値を用いることが望ましいが、加熱炉抽出温度設定値など計算した計算値を用いてよい。
<圧延操業パラメータ>
圧延工程における操業パラメータには、仕上げ圧延圧下スケジュール(各スタンドでの入出側板厚)、仕上げ圧延速度、仕上げ圧延ロール径、粗圧延後の各水冷装置の使用状況、を用いることが出来る。
仕上げ圧延圧下スケジュールは、設定値でよいし、圧延後の板厚を測定した値を用いてよい。
圧延速度は、例えば各スタンドにおけるロール速度または入出側板速度を用いてよい。一例として、圧延速度は最終スタンドのロール速度または出側板速度を代表値として用いてよい。別の例として、圧延速度は、各スタンド間の鋼板通過時間を用いて計算されてよい。
粗圧延後の各水冷装置置の使用状況は、各装置の使用有無の情報をパラメータとして用いればよい。各装置の水圧または水量が変化する場合は、その水圧または水量をパラメータとして用いてよい。
ブリスタースケールの発生有無は圧延材の長手方向で変化する。そのため、各パラメータについては圧延材の長手方向各位置における値を用いて、各位置における発生有無を予測することが望ましい。一方で、長手方向各位置におけるパラメータ値を取得することが難しい場合は、各圧延材での代表値を用いてよい。
また、ブリスタースケールの発生予測モデルは、本実施形態ではブリスタースケールの発生有無を予測するよう学習しているが、ブリスタースケールの発生有の場合に学習データにブリスタースケールの程度を準備できるのであれば、発生有の時にはその程度まで予測するようにしてよい。本開示において発生有というのは、ブリスタースケールの発生予測モデルがブリスタースケールの程度を出力する場合も含む。
<ブリスタースケール発生実績>
ブリスタースケール発生実績は、熱延後の精整工程および酸洗・冷延などの次工程において目視または検査装置により収集され、上位コンピュータに保存される。これらは、長手方向の位置情報とともに保存されることもある。
<ブリスタースケールの発生予測モデルの生成>
図4は、本開示の実施形態であるブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法を示す。本開示の実施形態として用いるブリスタースケールの発生予測モデル生成部は、スラブの属性情報に関する実績データ、加熱炉1における操業実績データ、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報に関する実績データ、圧延操業実績データ、およびブリスタースケール発生実績データを収集し、機械学習によるブリスタースケールの発生予測モデルを生成するものである。
スラブの属性情報に関する実績データ、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報に関する実績データ、圧延操業実績データ、およびブリスタースケール発生実績データは、プロセスコンピュータなど上位コンピュータにおいて通常の熱間圧延ラインの操業実績情報と採取される実績情報として、ブリスタースケールの発生予測モデル生成部に送られる。ブリスタースケールの発生予測モデル生成部は、上位コンピュータおよび熱間圧延ラインを構成する各種の装置と通信可能なコンピュータによって実現されてよい。コンピュータの構成は、特に限定されるものでなく、例えばメモリ(記憶装置)、CPU(処理装置)、ハードディスクドライブ(HDD)、ネットワークに接続するための通信制御部、表示装置および入力装置を備えるものであってよい。ここで、図4のデータベースはハードディスクドライブで実現されてよい。加熱炉帯温度解析部、および、発生予測モデルを生成する機械学習部はCPUで実現されてよい。ブリスタースケールの発生予測モデルはメモリに記憶されてよい。また、加熱炉帯温度の時系列データ収集部および上位コンピュータとの通信部は通信制御部で実現されてよい。
加熱炉1における操業実績データについては、加熱されるスラブの加熱炉帯における温度履歴が収集されている場合には、上記と同様に上位コンピュータから取得するが、そのような機能がない場合には、スラブごとの加熱炉1における在炉時間と、加熱炉帯の温度履歴に関する情報を別途採取して、加熱炉帯温度解析部において、図3に示すような時間と加熱炉帯の雰囲気温度との履歴情報を求める。さらに、加熱炉帯温度解析部では、図3に例示する履歴情報をスラブの在炉時間を用いて、表1に示すような所定個数で区分された雰囲気温度情報に変換する。
以上のように入力データと出力データのデータセットが複数収集されて、データベースに保存される。また、データベースのデータ数としては、少なくとも100個以上、好ましくは500個以上、より好ましくは700個以上のデータが蓄積されていることが好ましい。
本実施形態では、このようにして作成されたデータベースを用いて、少なくともスラブの属性情報から選択した1以上の実績データと、加熱炉1における操業実績データから選択した1以上の操業実績データと、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報から選択した1以上の実績データと、圧延工程における操業実績データから選択した1以上の操業実績データとを入力実績データとし、その入力実績データを用いたブリスタースケールの発生有無の実績を出力実績データとした、複数の学習データを取得する。そして、取得した複数の学習データを用いた機械学習によるブリスタースケールの発生予測モデルが生成される。
機械学習の方法は、公知の学習方法を適用すればよい。機械学習は、例えば、ニューラルネットワークなどの公知の機械学習手法を用いればよい。他の手法としては、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰などが例示できる。また、ブリスタースケールの発生予測モデルは、最新の学習データを用いて、適宜、更新すればよい。
<ブリスタースケールの発生予測方法>
熱間圧延ラインの操業過程では、上記のようにして予め生成したブリスタースケールの発生予測モデルを用いたブリスタースケールの発生有無の予測を行う。ブリスタースケール発生有無を予測するタイミングとしては、予測対象とする材料が粗圧延後に測温された後で、仕上げ圧延が実施される5~10秒よりも前までに実施するのが好ましい。ブリスタースケールが発生すると予測される場合に、オペレータが設定変更により冷却装置使用数等に設定変更を行うことができるからである。仕上げ圧延前の圧延材温度情報として加熱炉抽出温度設定値など計算した計算値を用いる場合は、加熱炉1から抽出された後で、仕上げ圧延が実施される5~10秒よりも前までに実施すればよい。
図5は、本開示の実施形態である仕上げ圧延機5の制御方法について説明するための図である。ブリスタースケールの発生予測部および操業条件設定部は、ブリスタースケールの発生予測モデル生成部を実現するのと同じコンピュータによって実現されてよい。ここで、図5の加熱炉帯温度解析部および操業条件設定部はCPUで実現されてよい。ブリスタースケールの発生予測モデルを用いて予測された発生有無の予測値はメモリに記憶されてよい。また、加熱炉帯温度の時系列実績データ収集部および上位コンピュータとの通信部は通信制御部で実現されてよい。
ブリスタースケールの発生予測部に対して、上位コンピュータからの情報として、スラブの属性情報および予め設定されている圧延操業条件の設定値(初期条件)が送られる。また、ブリスタースケールの発生有無の予測対象であるスラブが加熱炉1から抽出された後に、加熱炉1における操業パラメータの実績値として、加熱炉帯における温度履歴の時系列実績データが送られ、上記と同様の方法により、加熱炉帯温度解析部により加熱炉1における操業実績データが生成される。また、上位コンピュータからの情報として、仕上げ圧延前の圧延材温度情報が送られる。さらに、生成されたブリスタースケールの発生予測モデルを用いて、ブリスタースケールの発生有無の予測値が求められる。
以上のようにして予測されるブリスタースケールの発生有無の予測値が発生無しであれば、初期設定の圧延操業条件のまま制御部へ送られる。予測結果が発生有りであれば、操業条件の設定値を再設定する。
再設定された操業条件を再度、ブリスタースケールの発生予測モデルの入力データとして、ブリスタースケールの発生有無の予測を実施してから、操業条件の設定値が決定されてよい。このようなブリスタースケールの発生有無の予測を繰り返し行うことで、適切な操業条件の設定ができるため、ブリスタースケールが発生する可能性をより低めた操業が可能となる。
再設定する操業条件としては、具体的には、水冷装置の使用数を増やせばよい。水冷により圧延材表面温度が下がり、ブリスタースケールが発生しにくくなると予想されるからである。この時、新たに使用する水冷装置が複数ある場合は、いずれかの水冷装置を使用した場合について再度ブリスタースケールの発生有無の予測を行い、発生有りであれば別の水冷装置を使用した場合で再度ブリスタースケールの発生有無の予測を行うことを繰り返せばよい。いずれの水冷装置を使用してもブリスタースケールが発生する予測となる場合は、水冷装置使用数をさらに追加した条件で判定を行えばよい。
水冷装置を使用することが出来ない場合は、圧延速度を変更して判定を行ってよい。圧延速度を下げることで空冷および圧延ロールへの熱移動により圧延材表面温度が下がり、ブリスタースケールが発生しにくくなると予想されるからである。また、速度を上げた場合もスタンド間でブリスタースケールが生成する時間が短くなることで、ブリスタースケールが発生しにくくなる可能性があるため、速度を増加・減少させた両方の場合について判定を行ってよい。
以下に説明する実施例は、本開示内容を薄鋼板の熱間圧延ラインに適用したものである。厚210~265mmのスラブに対して、粗圧延後板厚を30~40mm、仕上げ圧延後の板厚を2~6mmまで圧延した場合について、本開示例によるブリスタースケールの発生有無の予測が行われた。仕上げ圧延機5は7スタンド(7つの圧延パス)を有し、各スタンドで各1回の圧延を連続して実行した。ロール径の直径は680~880mmであった。圧延速度は、最終スタンド圧延後の板速度が400~1200mpmであった。各スタンドの前に水冷装置9が設置されている。
出力実績データとして必要なブリスタースケール発生実績は、精整工程にて目視により判定した結果を用いた。判定結果は圧延材長手方向の位置情報とともに、上位コンピュータに保存されている。圧延材長手方向に対して10等分した各位置におけるブリスタースケールの有無の実績が用いられた。
予測モデルの入力データとして、スラブ厚さ、スラブのC含有量、Si含有量と、対象とするスラブが存在している加熱炉帯の雰囲気温度と、在炉時間、粗圧延後圧延材温度測定値、仕上げ圧延板厚スケジュール、各水冷装置の使用有無、最終スタンド圧延後の板速度を用いた。
含有C量、含有Si量としては、製鋼工程での測定値を用いた。スラブが存在している加熱炉帯の温度としては、各スラブの在炉時間をそれぞれ18等分した各時点のスラブが存在している加熱炉帯の温度を炉壁に設置された温度計11により測定した値を用いた。長手方向に10等分した各位置で、各スラブについて上記のように測定した値が用いられた。
粗圧延後材料温度、板厚スケジュール、各水冷装置の使用有無、最終スタンド圧延後の板速度については、長手方向に10等分した各位置での値を用いた。
機械学習手法としてはニューラルネットワークを用い、中間層を2層とした。活性化関数はシグモイド関数を用いた。上記の操業実績データを1400本分用意し、モデル作成用のデータ(学習データ)として1100本が使用されて、残りの300本で予測精度が検証された。モデル予測精度は、検証したすべての点でブリスタースケールの発生の予測結果が実績と一致した。
比較例として、含有C量、含有Si量、各スタンド圧延前の鋼板表面温度、スタンド間時間をパラメータとし、あらかじめラボ実験にてこれらのパラメータによるブリスタースケールの発生予測モデルを用いて、予測が行われた。前述の同じ操業実績データを用いて、モデル作成用のデータとして1100本が使用されて、残りの300本で予測精度が検証された。その結果、42か所でブリスタースケールの発生有無の予測結果が実績と一致しなかった。
以上のように、本開示による予測方法の適用により、ブリスタースケールの発生有無を高精度に予測でき、また、表面欠陥を減少させることができる。
1 加熱炉
2 デスケーリング装置
3 幅圧下プレス装置
4 粗圧延機
5 仕上げ圧延機
6 水冷装置
7 コイラー
8 温度計
9 水冷装置
10 鋳造スラブ
11 温度計
12 ウォーキングビーム

Claims (6)

  1. スラブを加熱する加熱炉と、複数の圧延パスで熱間圧延を行う圧延工程を実行する圧延機と、を含む熱間圧延ラインにおける、ブリスタースケールの発生有無を予測する方法であって、
    入力データとして、前記スラブの属性情報から選択した1以上のパラメータと、前記加熱炉における操業パラメータから選択した1以上のパラメータと、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報から選択した1以上のパラメータと、前記圧延工程における操業パラメータから選択した1以上のパラメータとを含み、ブリスタースケールの発生有無を出力データとする、機械学習により生成されたブリスタースケールの発生予測モデルを用いて、ブリスタースケールの発生有無を予測する、ブリスタースケールの発生予測方法。
  2. 前記スラブの属性情報は、C含有量およびSi含有量を含む前記スラブの成分組成を含む、請求項1に記載のブリスタースケールの発生予測方法。
  3. 前記加熱炉における操業パラメータは、前記加熱炉に装入されてから抽出されるまでの前記スラブが位置する加熱炉帯の雰囲気温度の履歴情報を含む、請求項1または2に記載のブリスタースケールの発生予測方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のブリスタースケールの発生予測方法を用いて、前記スラブが前記加熱炉から抽出された後であって前記圧延機に装入される前に、前記スラブの属性情報および前記加熱炉における操業パラメータの実績値、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報、ならびに、前記圧延工程における操業パラメータの設定値を用いて、ブリスタースケールの発生有無を予測し、
    ブリスタースケールが発生しないように、前記圧延工程における操業パラメータを再設定する、圧延機の制御方法。
  5. スラブを加熱する加熱炉と、複数の圧延パスで熱間圧延を行う圧延工程を実行する圧延機と、を含む熱間圧延ラインにおける、ブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法であって、
    前記スラブの属性情報から選択した1以上の実績データと、前記加熱炉における操業実績データから選択した1以上の操業実績データと、仕上げ圧延前の圧延材の温度情報から選択した1以上の実績データと、前記圧延工程における操業実績データから選択した1以上の操業実績データと、を入力実績データとして、前記入力実績データを用いたブリスタースケールの発生有無を出力実績データとした、複数の学習データを取得し、
    取得した前記複数の学習データを用いた機械学習によって、ブリスタースケールの発生予測モデルを生成する、ブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法。
  6. 前記機械学習は、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、およびサポートベクター回帰から選択される、請求項5に記載のブリスタースケールの発生予測モデルの生成方法。
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