JP4079098B2 - 熱延鋼板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法及び製造装置に関し、例えば、連続鋳造スラブを加熱炉により加熱してから粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとし、さらにこの粗バーに仕上圧延機により仕上圧延を行うことにより、所定の板厚を有するとともに機械特性及び表面性状がいずれも優れた熱延鋼板を製造するための製造方法及び製造装置に関する。
周知のように、熱延鋼板は、連続鋳造機により製造された連続鋳造スラブを加熱炉により所定の温度に加熱し、粗圧延機により粗圧延を行って粗バー(粗圧延材)とし、次いで、この粗バーを粗圧延機から仕上圧延機まで搬送テーブルにより所定の搬送パターンで搬送した後、搬送された粗バーに仕上圧延機により仕上圧延を行って所定の板厚とすることによって、製造される。
このような熱延鋼板の製造工程では、仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度は、例えば低炭素鋼板等の場合には機械的特性を確保するために下限値が830℃と定められているとともに、仕上圧延機の圧延ロールの肌荒れの発生を防止するために上限値が880℃と定められている。したがって、実際の圧延では、適正な機械的特性を確保するために、仕上圧延機の出口における熱延鋼板の目標温度は、例えば860±10℃と設定されている。
高張力鋼板は、低炭素鋼板よりも、仕上圧延機の出口における目標温度が低い。このため、仕上圧延機、とりわけ圧下率が高い第1スタンドや第2スタンド等の前段スタンドの圧延負荷が相当に高まる傾向にある。
また、熱延鋼板の先端部は、仕上圧延機を通過する際に一般的に熱延鋼板の長手方向の中央部に比較すると低い圧延速度で圧延され、先端部が仕上圧延機を通過した後、生産能率の上昇及び、仕上圧延機の出口温度の上昇を目的として圧延速度は高められ、高速で圧延される。そして、後端部が仕上圧延機の第1スタンドを通過した時点から熱延鋼板は減速を開始し、低い圧延速度で仕上圧延機を通過した後に、コイラーによりコイルに巻き取られる。
このように、特に熱延鋼板の先端部及び後端部は、圧延速度が低いことから抜熱量の増大に起因した著しい温度降下によって目標の仕上圧延機の出口温度を得られないことや、これとは逆に、仕上圧延機で行う高速圧延のために仕上圧延機の出口温度が目標値を超えてしまうこともあり、仕上圧延機の出口温度を熱延鋼板の長手方向の全長について目標値通りに制御することは難しかった。
そこで、特許文献1には、粗圧延機と仕上圧延機との間に加熱装置を設けて粗バーの幅方向の全体を適宜加熱とともに、仕上圧延機の複数スタンドの少なくとも一つのスタンド間に冷却装置を設けて粗バーを適宜水冷却することにより、仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御する発明が、開示されている。
一方、熱延鋼板は、圧延時に空気中の酸素により酸化され、表面に酸化スケールが発生する。発生した酸化スケールは、通常の場合には仕上圧延機の入側に設置されたデスケーラにより除去されるものの、スケールが非常にタイトに密着して発生した場合にはデスケーラによっても剥離し難く、製品である熱延鋼板の表面性状を悪化させていた。
そこで、特許文献2には、Siを含有するスラブを1000〜1173℃の表面温度になるように加熱して粗圧延を行い、この粗バーを(1050×t-0.1; ただしtは目標板厚)〜1173℃の表面温度に加熱した後、吐出圧100kg/cm2 以上の高圧水によるデスケーリングを行ってから仕上圧延を行うことによって、表面性状が優れた熱延鋼板を製造する発明が、開示されている。
特開2002−11502号公報 特開平9−249914号公報
特許文献1により開示された発明は、仕上圧延機の各スタンドの圧延負荷(圧延荷重及び圧延動力)が設備限界値を超えないように、粗バーの加熱装置の入側に設置した温度計の測定値に基づいて加熱装置により粗バーを加熱しながら、仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値とするように各スタンド間に少なくとも1つ設けられた冷却装置により被圧延材を冷却するものである。
また、特許文献2に記載された発明は、仕上圧延機の入側に設置された加熱装置により熱延鋼板の表面温度を1173℃程度の高温に加熱することによりデスケーラによるデスケーリング性を向上して熱延鋼板の表面性状を向上させるものである。
このように、特許文献1及び2に記載された発明は、いずれも、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を高くするとともに出口における熱延鋼板の温度を比較的低くして仕上圧延を行うものである。このため、これらの発明によれば、仕上圧延機の出口における熱延鋼帯の温度を目標値に制御することは確かに可能であるものの、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を目標値以上に制御することは難しく、粗バーのスケールを充分に除去できないことに起因して、製造される熱延鋼板の表面性状が劣化するおそれがある。
つまり、過剰な能力を有する加熱装置及び冷却装置を配置し、これら装置の加熱能力及び冷却能力を最大限に発揮し、加熱装置により粗バーを最大限加熱して高いデスケーリング性を確保してから、加熱し過ぎた被圧延材を冷却装置で最大限冷却することとすれば、仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値に強引に制御することは可能である。しかし、非常に大規模な加熱装置及び冷却装置を設ける必要があり、設備費が著しく嵩むとともにその後のランニングコストも嵩んでしまうため、このような加熱装置及び冷却装置を設けることは現実には不可能である。そして、仕上圧延機の出口における熱延鋼板のの温度を目標値に制御することは必ず行わなければならないことから、不可避的に、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を目標値以上に制御することは難しくなり、粗バーのスケールを充分に除去できないことに起因して、製造される熱延鋼板の表面性状が劣化してしまうおそれがある。
本発明は、従来の技術が有するかかる課題に鑑みてなされたものであり、加熱装置や冷却装置に要する設備費やランニングコストをできるだけ抑制して、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を目標温度以上に制御することができるとともに出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御することができ、これにより、所定の板厚を有するとともに機械特性及び表面性状がいずれも優れた熱延鋼板を低コストで製造することができる方法及び装置を提供することを目的とする。
加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとした後にこの粗バーに仕上圧延を行い熱延鋼板を製造する工程を、異なる鋼片に対して行う際に、仕上圧延の開始時における粗バーの温度がその目標値以上となるように、粗バーの厚さの設定値及び/又は仕上圧延の圧延速度の設定値を、一つの工程内で又は複数の工程間で、修正して設定することにより熱延鋼板製造することができる
また、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとし、この粗バーに複数のスタンドを有する仕上圧延機の入側に設置された加熱装置による加熱、及び/又は、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置された冷却装置による冷却を行いながら仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、圧延を行う前に事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値及び/又は、粗バーの厚さの設定値を、仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、修正して設定することにより熱延鋼板製造することができる
また、加熱された鋼片に粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとし、この粗バーに複数のスタンドを有する仕上圧延機の入側に設置された加熱装置による加熱、及び/又は、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置された冷却装置による冷却を行うことによって仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御しながらこの仕上圧延機により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、この仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された粗バーの厚さの設定値を、修正して設定することにより熱延鋼板製造することができる
本発明は、加熱された鋼片に粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとし、この粗バーに複数のスタンドを有する仕上圧延機の入側に設置された加熱装置による加熱、及び/又は、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置された冷却装置による冷却を行うことによって仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御しながらこの仕上圧延機により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、粗圧延が開始される前に、粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値に基づいて仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された粗バーの厚さの設定値を、修正して設定することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
また、加熱された鋼片に粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとし、この粗バーに複数のスタンドを有する仕上圧延機の入側に設置された加熱装置による加熱、及び/又は、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置された冷却装置による冷却を行うことによって仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御しながら仕上圧延機により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、粗圧延が終了した後であって仕上圧延が開始される前に、粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値又は実測値に基づいて仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、この仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値を、修正して設定することにより熱延鋼板製造することができる
また、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとした後にこの粗バーに仕上圧延を行い熱延鋼板を製造する工程を、異なる鋼片に対して行う際に、先行する第1の熱延鋼板の仕上圧延の開始時における粗バーの温度とその目標値との偏差に基づいて、この第1の熱延鋼板に後続する第2の熱延鋼板についての仕上圧延の開始時における粗バーの温度がその目標値以上となるように、この第2の熱延鋼板の粗バーの厚さの設定値、及び/又は、仕上圧延の圧延速度の設定値を修正して設定することにより熱延鋼板製造することができる
これらの熱延鋼板の製造方法では、(i)熱延鋼板が、質量%で、C:0.005〜0.25%、Mn:0.5〜2.0%、Si:0.3〜2.0%を含有する高張力鋼板であること、(ii)仕上圧延機の入口における粗バーの温度の目標値が1100℃であることが、それぞれ例示される。
別の観点からは、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとするための粗圧延機と、複数のスタンドを有するとともに粗バーに仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機と、この仕上圧延機の入側に設置されて粗バーを加熱するための加熱装置と、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置と、望ましくは、粗圧延機と加熱装置との間に粗バーの温度を測定する温度検出器と、圧延を行う前に事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、粗バーの厚さの設定値を、仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、修正して設定するための温度制御装置とを備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置である。
また、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとするための粗圧延機と、複数のスタンドを有するとともに粗バーに仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機と、仕上圧延機の入側に設置されて粗バーを加熱するための加熱装置と、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置と、望ましくは、粗圧延機と加熱装置との間に粗バーの温度を測定する温度検出器と、加熱装置の加熱量及び/又は冷却装置の冷却水量を設定することによって仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、この仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された粗バーの厚さの設定値を、修正して設定するための温度制御装置とを備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置である。
また、本発明は、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとするための粗圧延機と、複数のスタンドを有するとともに粗バーに仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機と、仕上圧延機の入側に設置されて粗バーを加熱するための加熱装置と、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置と、望ましくは、粗圧延機と加熱装置との間に粗バーの温度を測定する温度検出器と、加熱装置の加熱量及び/又は冷却装置の冷却水量を設定することによって仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、粗圧延が開始される前に、粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値に基づいて仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、この仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された粗バーの厚さの設定値を、修正して設定するための温度制御装置とを備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置である。
さらに、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとするための粗圧延機と、複数のスタンドを有するとともに粗バーに仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機と、この仕上圧延機の入側に設置されて粗バーを加熱するための加熱装置と、複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置と、望ましくは、粗圧延機と加熱装置との間に粗バーの温度を測定する温度検出器と、加熱装置の加熱量及び/又は冷却装置の冷却水量を設定することによって仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標温度に制御するとともに、粗圧延が終了した後であって仕上圧延が開始される前に、粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値又は実測値に基づいて仕上圧延機の入口における熱延鋼板の温度を予測し、仕上圧延機の入口における熱延鋼板の温度の予測値が目標値以上となるように、事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値を、修正して設定するための温度制御装置とを備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置である。
なお、これらの発明では、「冷却装置」にはデスケーラが包含される。すなわち、各スタンド間にデスケーラが設置されている仕上圧延機では、冷却装置の代わりにデスケーラーを使用しても良いことはいうまでもない。また、これらの発明で規定した粗圧延機、加熱装置、冷却装置及び仕上圧延機の各間、又はこれらの装置列の前後に、これら以外の他の装置が設置されている場合や、他の工程が付加されている場合も包含される。さらに、これらの発明は、仕上圧延機の入側において先行材の後端部と後続材の先端部とを接合して連続的に圧延する、いわゆるエンドレス圧延に対しても適用可能である。
本発明によれば、圧延条件である仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、粗バーの厚さの設定値を修正して設定して、仕上圧延前における粗バーの加熱、及び仕上圧延時における被圧延材の冷却を行いながら、粗圧延及び仕上圧延を行うため、加熱装置や冷却装置を必要以上に大型化せずに初期コスト及びランニングコストの上昇を可及的に抑制しながら効率的に、仕上圧延機の入口における粗バーの温度を目標値以上に制御できるとともに仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御できる。したがって、操業コストの低下及び熱延鋼板の表面性状の向上に寄与するところ大である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る熱延鋼板の製造方法及び製造装置を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、熱延鋼板の中で仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御することが容易ではない薄物材として、C:0.09質量%、Si:0.7質量%、Mn:1.40質量%の鋼組成を有するとともに板厚が3.2mmであって板幅が1050mmである高張力熱延鋼板を製造する状況を数値シミュレーションした場合を例にとって、本発明を詳細に説明する。なお、高張力熱延鋼板としては、例えばC:0.005〜0.25質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Si:0.3〜2.0質量%を含有する高張力熱延鋼板であっても同様に適用可能である。
図1は、この数値シミュレーションの対象とした本実施の形態の熱延鋼板の製造装置0を模式的に示す説明図である。
図1において、符号1は粗バーを、符号2は粗圧延機をそれぞれ示す。粗圧延機2は、その上流側に配置された図示しない加熱炉により加熱された連続鋳造スラブを粗バー1へ粗圧延する。
符号3は仕上圧延機である。仕上圧延機3は、7基のスタンドF1〜F7からなるタンデム圧延機であって、7基のスタンドF1〜F7により粗バー1を同時に圧延する。符号4はダウンコイラであり、仕上圧延機3により仕上圧延された熱延鋼板をコイルに巻き取る。符号5はランナウトテーブルに設置された水冷装置であって仕上圧延された熱延鋼板を所定の温度に冷却する。
符号6は、粗バー1を加熱するための加熱装置であって、誘導加熱等の適宜方法によって粗バー1を板幅方向の全体にわたって加熱して所定温度だけ昇温する。
符号71、72、73は冷却装置であり、仕上圧延機3により仕上圧延を行われている被圧延材の板幅方向の全体にわたって冷却水を噴射することにより被圧延材を所定温度だけ冷却する。冷却装置は、仕上圧延機3の前段側のスタンド間、すなわち第1スタンドF1と第2スタンドF2との間、及び/又は第2スタンドF2と第3スタンドF3との間に設けることが好ましく、本例では、第1スタンドF1と第2スタンドF2との間であるF1/F2間、第2スタンドF2と第3スタンドF3との間であるF2/F3間、及び、第3スタンドF3と第4スタンドF4との間であるF3/F4間に設置してある。なお、冷却装置は本例とは異なり、各スタンド間のいずれか1箇所にだけ設けるようにしてもよいし、あるいは2箇所以上に設けてもよい。
さらに、図1において、符号8は粗圧延機2の出口における粗バー1の温度を測定するために温度計を示し、符号9は仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を測定するための温度計を示し、符号10は粗バー1の長さを測定するためのメジャリングロールを示し、さらに符号11は温度制御装置である。
つまり、本実施の形態の製造装置0は、(a)加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バー1とするための粗圧延機2と、(b)7基のスタンドF1〜F7を有するとともに粗バー1に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機3と、(c)仕上圧延機3の入側に設置されて粗バー1を加熱するための加熱装置6と、(d)7基のスタンドF1〜F7のF1/F2間、F2/F3間、F3/F4間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置71〜73と、(e)加熱装置6の加熱量及び/又は冷却装置71〜73の冷却水量を設定することによって仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を予測し、この仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延に関して事前に設定された圧延速度の設定値、及び/又は、粗バー1に関して事前に設定された厚さの設定値を、修正して設定するための温度制御装置11とを備える。
そして、加熱された鋼片に粗圧延機2により粗圧延を行って粗バー1とする。次に、この粗バー1に仕上圧延機3の入側に設置された加熱装置6による加熱、及び/又は、冷却装置71〜73による冷却を行うことによって仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御しながらこの仕上圧延機3により所定の圧延速度の設定値での仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する。
本実施の形態では、このようにして粗バー1に粗圧延を行って仕上圧延を行うことにより熱延鋼板を製造しようとする際に、はじめに、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を予測する。次に、この仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、粗バー1の厚さの設定値を、修正して設定して、粗圧延〜仕上圧延を行って熱延鋼板1を製造する。
略述すると、本実施の形態は、圧延前に事前に設定された仕上圧延の圧延速度の設定値及び/又は、粗バー1の厚さの設定値を、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、修正して設定するという特徴を有する。
仕上圧延機3の入口及び出口における温度を制御するこの本実施の形態の特徴による効果を、下記のケース0〜3についての数値シミュレーションの結果を参照しながら説明する。
ケース0は特許文献1に記載された発明を実施した従来例であり、ケース1はケース0に対して圧延速度を100mpm減速した本発明例であり、ケース2はケース0から粗バー厚を10mm増加した本発明例であり、さらにケース3はケース0から圧延速度を100mpm減速するとともに粗バー厚を10mm増加した本発明例である。表1には、ケース0〜3の圧延スケジュールを示す。その他の圧延条件は以下に列記する。
Figure 0004079098
[圧延条件]
加熱炉からのスラブ抽出温度 :1250℃
仕上圧延機3の入口温度目標値:1100℃
仕上圧延機3の出口温度目標値:860±10℃
熱延鋼板の板厚 :3.2mm
熱延鋼板の板幅 :1050mm
Figure 0004079098
表2には、ケース0〜3について粗圧延機2の出口から仕上圧延機3の出口までの間における鋼板の温度の平均値の推移をシミュレーションした結果を示す。
表2に示すように、ケース0では、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標温度として仕上圧延することができたものの、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標温度以上にすることはできなかった。本例では、熱延鋼板の板幅が1050mmと比較的狭いとともに板厚が3.2mmと比較的厚いために仕上圧延機3の負荷はそれほど大きくなく、仕上圧延機3の負荷を抑制するために必要となる加熱装置6の昇温量は小さいため、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値にすることは可能であるものの、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標温度である1100℃と非常に高い温度に上昇させるだけの加熱装置6の昇温量が設定されないからである。
なお、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を満足するために昇温量を上げると、この条件では加熱装置6の能力が不足する場合がある。そこで、加熱装置6を大型にして加熱能力を上げると、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度が高くなり過ぎる。これらの両方の温度を満足するためには、加熱装置6及び仕上圧延機3内の冷却装置71〜73の両方を大型化する必要がある。したがって、設備大型化による初期コスト及びランニングコストがいずれも嵩むことになる。
ケース1では、ケース0から圧延速度を100mpm減速しているため、加熱装置6の内部を粗バー1が通過する時間が長くなり、粗バー1を充分に加熱することができるため、仕上圧延機3の入口における温度を1100℃以上と目標値を達成することができる。また、この際、加熱したことによる温度上昇分は、仕上圧延機3による圧延速度を小さくすれば抜熱量が多くなるため、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値にすることができる。
ケース2は、ケース0から粗バー1の厚さを10mm増加したため、粗バー1自体の熱容量が大きくなるとともに加熱装置6による加熱効率が大きくなることから昇温効果が向上する。本例の条件では、これにより仕上圧延機3の入口におけ粗バー1の温度の目標値を達成すること自体は難しかったものの、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を上昇させることができることが示唆されている。
さらに、ケース3は、ケース0から仕上圧延の圧延速度を100mpm減速するとともに粗バー1の厚さを10mm増加したものである。仕上圧延機3による圧延速度を減速したことによる効果と、粗バー1の厚さを増加したことによる効果とが相まって、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標値以上とすることができるとともに出口における熱延鋼板の温度を目標値とすることができる。そして、ケース2に比較すると、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度をより高くすることができるため、スケール除去性能が向上する。
このように、本発明は、粗圧延を終了した後であって仕上圧延を開始する前に粗バー1を加熱するとともに、仕上圧延機3の内部で冷却することにより仕上圧延機3の出口における温度を目標値にする際に、圧延条件である仕上圧延機3による圧延速度の設定値、及び/又は粗バー1の厚さの設定値を変更することにより、加熱装置6、冷却装置71〜73を必要以上に大型化することなく、初期コスト及びランニングコストの上昇をいずれも抑えて、仕上圧延機3の入口における温度を目標値以上とすることができ、これにより、効率的に圧延を行うことができる。
さらに具体的に説明すると、図1において、粗圧延機2の上流側に配置された図示しない加熱炉により加熱された厚さが260mmのスラブは、粗圧延機2によって途中製品である板厚が30mmである粗バー1にまで圧延される。この粗圧延の段階で、粗圧延機2の出口における温度計8により粗バー1の温度が測定される。
温度計8により測定された粗バー1の測定温度は、温度制御装置11に格納されたサンプリング装置(図示しない)によって粗バー1の長手方向の定長ピッチにより各サンプリング点と対応させてサンプリングされる。
粗バー1が加熱装置6の直前に設置されたメジャリングロール10に到達した時点から、温度制御装置11により、粗バー1の各サンプリング点が加熱装置6及び冷却装置71〜73に到達するタイミングが逐次トラッキングされ、各サンプリング点が加熱装置6及び冷却装置71〜73の直下に到達するタイミングが計算される。粗バー1の各サンプリング点が加熱装置6および冷却装置71〜73の直下に到達したタイミングで、温度制御装置11により計算された昇温量に基づいて加熱され、冷却装置71〜73により同様に計算された冷却量に基づいて冷却される。
次に、本実施の形態の特徴である、仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、粗バー1の厚さの設定値を、修正して設定する手順を、具体的に説明する。
まず、粗バー1の長手方向の温度変動を温度計8により測定し、粗バー1の長手方向の各位置の温度を初期値として、各位置における粗圧延機2の出口から仕上圧延機3の出口までの温度履歴を、搬送テーブルの速度パターンの設定値と、仕上圧延機3の速度パターンの設定値とに基づいて計算する。そして、仕上圧延機3の出口における温度の計算による予測値が目標値となるように、加熱装置6の昇温パターンを決定して、粗バー1を加熱する。
温度制御装置11は、トラッキング装置であるメジャリングロール10から送られてくる各サンプリング点の粗圧延機2の出口における粗バー1の温度と、図示しない圧延ライン総括計算機(圧延ラインの全体を監視し、圧延する材料の情報、圧延情報等を送信するプロセスコンピュータ)から送信される粗圧延機2及び仕上圧延機3間の搬送テーブル速度パターンの設定値と、仕上圧延機3の速度パターンの設定値とに基づいて、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度を初期値として、下記(1)式に基づいて仕上圧延機3の出口の温度を計算により予測する。
[ 数1]
T =T0 −△T+ΔTBH
△T =△Tc+△Ta +△Tr −△Tq
△Tc=hw(T−Tw )・tw/(c ・ρ・H) ・・・(1)
△Ta =ha(T−Ta )・ta/(c ・ρ・H)
△Tr =hr(T−Tr )・tr/(c ・ρ・H)
△Tq =G・η/(c ・ρ・H)
ΔTBH=P/(c・ρ・H・B・V)
(1)式において、符号Tは粗バー1の温度を示し、T0 は粗バー1の初期温度を示し、△Tは粗バー1の温度降下量を示し、△Tcは水冷による温度降下量を示し、△Ta は空冷による温度降下量を示し、△Tr はロール接触による温度降下量を示し、ΔTq は圧延時の加工発熱による温度上昇量を示し、ΔTBHは加熱装置による温度上昇量を示す。また、tw、ta、trはそれぞれ水冷、空冷、圧延に要した時間を示しており、それぞれ、圧延機や搬送テーブルの速度パターンから算出する。また、Tw は冷却水の温度を示し、Ta は空気の温度を示し、Tr はロールの表面温度を示し、hw、ha、hrはそれぞれ、水冷、空冷、ロール接触による熱伝達係数を示す。c、ρ、Hはそれぞれ鋼板の比熱、密度、厚さを示す。Gは圧延トルクを示し、ηは圧延トルクが加工発熱に変化する割合を示す。Pは加熱装置の実効出力を示し、Bは鋼板の幅を示し、Vは鋼板が加熱装置を通過する速度である。
この(1)式を用いた温度計算を行うことによって、後述する図2又は図3に示す計算フローにしたがって、加熱装置6による昇温量、冷却装置71〜73による冷却量と、仕上圧延機3による圧延速度の設定値の修正量、さらには粗バー1の厚さの設定値の修正量を算出する。
本実施の形態では、圧延条件を、粗圧延を開始する前の第1のタイミング(例えば、熱延鋼板の母材となるスラブを加熱炉に装入して加熱しており、圧延工程に投入することが確定したタイミング)と、粗圧延を終了した後であって仕上圧延を開始する前の第2のタイミング(粗圧延を完了して仕上圧延を開始する前のタイミング)という二つのタイミングで、修正して設定することが可能である。第1のタイミングで修正して設定される圧延条件は、粗圧延〜仕上圧延の全工程に関するものとすることができ、一方、第2のタイミングで修正して設定される圧延条件は、既に粗圧延は終了しているため、仕上圧延に関するものに限定される。以下、これらについて分説する。
[第1のタイミング]
まず、熱延鋼板の母材となるスラブを加熱炉により加熱している第1のタイミングで行う設定計算を、この設定計算のフロー図である図2を参照しながら説明する。
図2におけるステップ(以下、単に「S」と略記する)1では、製造する熱延鋼板の鋼種や製造サイズ等の材料情報と、事前に初期値として設定された、スラブの加熱炉からの抽出温度や目標温度、仕上圧延における圧延速度や目標板厚、粗バー1の目標厚さ、粗圧延速度、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度等の圧延情報とが、温度制御装置11に入力される。そしてS2へ移行する。
S2では、加熱炉から抽出されたスラブの温度を初期値として、粗圧延機2の速度パターンに基づいて粗圧延機2の出口における粗バー1の温度が予測計算される。そしてS3へ移行する。
S3では、加熱装置6の昇温量及び冷却装置71〜73の冷却水量の初期値が設定される。そしてS4へ移行する。
S4では、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の予測計算値又は目標値を初期値として、粗バー1の厚さの初期の設定値と仕上圧延機3における圧延速度の初期の設定値に基づいて、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度と、出口における熱延鋼板の温度とが計算により予測値として算出される。そしてS5へ移行する。
S5〜S7では、S4で算出した仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値と、出口における熱延鋼板の温度の予測値とに基づいて、仕上圧延機3の圧延負荷(圧延荷重及び圧延トルク)が計算され、仕上圧延機3の圧延負荷が設備の許容上限値以内となるように加熱装置6の昇温量が決定される。そしてS8へ移行する。
S8〜S9では、S6で決定された加熱装置6の昇温量に基づいて、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度が目標値(許容範囲内)となるように冷却装置71〜73の冷却水量が決定される。そして、S4へ移行する。
S8では、上述したように決定した昇温量及び冷却水量を仮の設定値とし、S10へ移行する。
S10では、これまでの各ステップによる計算結果として、加熱装置6の昇温量及び冷却装置71〜73の冷却水量を設定する。そしてS11へ移行する。
S11では、S10で決定された、加熱装置6の昇温量及び冷却装置71〜73の冷却水量により、仕上圧延機3の入口における粗バー3の温度を計算により推定し、この温度の推定値が目標温度以上であるか否かを確認する。目標温度以上であれば、初期値として設定された仕上圧延機3の圧延速度の設定値及び粗バー1の厚さの設定値通りに仕上圧延を行うべく、計算を終了して該当する装置を設定する。一方、仕上圧延機3の入口における粗バー3の温度の推定値が目標温度未満である場合には、さらにS12へ移行して、後述する手順で設定計算を行うことにより、仕上圧延機3の圧延速度の設定値及び粗バー1の厚さの設定値を修正して設定する。
S12では、仕上圧延機3の入口における粗バー3の温度の推定値が目標温度未満であることから、はじめに加熱装置6の昇温量をアップすることによって、仕上圧延機3の入口における粗バー3の温度の推定値を目標温度以上とできないか確認する。そして、まだ加熱装置6の昇温量が限界に達していないかどうか確認し、限界内であればS7へ移行し、前述した計算と同じ計算を行うことにより、加熱装置6の新たな昇温量の設定値を求める。一方、加熱装置の昇温量が上限に達している場合には、S13へ移行し、粗バー1の厚さの設定値を変更して新たな設定値を求める。
S13では、粗バー1の厚さの増加量が限界であるか否かを確認し、限界内の場合にはS14へ移行して、上限に達する範囲内で上述したと同じ計算を行うことにより、粗バー1の厚さの新たな設定値を求める。これにより、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標温度以上とすることができる条件が決定される。
一方、粗バー1の厚さの増加量が限界を超えている場合にはS15へ移行する。
S15では、粗バー1の厚さを変更できないことから、圧延速度の減速により仕上出口温度を上昇させるために、圧延速度が下限に達していないか否かを確認し、限界内であればS16に移行して圧延速度を減速した条件でS4に戻って上記と同じ計算を行う。一方、圧延速度が下限に達している場合には、最終条件で計算を終了して該当する装置を設定する。
このように、S14〜S16では、仕上圧延機3の入口と出口とにおける熱延鋼板の温度が目標値となるように圧延速度を減速し、仕上圧延機3の入口と出口とにおける熱延鋼板の温度が目標値となるように圧延速度を決定する。そして、このように決定された操業条件を、該当する装置に送信し、この操業条件で粗圧延〜仕上圧延を行う。
なお、上記のように、粗バー1の厚さの設定値を増加しても、また、仕上圧延機の圧延速度を減速しても仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標温度以上とすることができない場合は、設備能力上このような温度を設定できないことを意味するため、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度のみが目標温度となる条件で、計算を終了して該当する装置を設定する。
上述したように、本例は、熱延鋼板の母材となるスラブを加熱炉により加熱している第1のタイミングで設定計算を行うため、設定計算を、実際の圧延操業中だけではなく、圧延に先立ってオフラインで行っておき、それぞれの設備稼働条件を予め決めておくことも可能である。そして、実際の圧延の際には、その設定値を初期条件とすればこの計算の繰り返し数を低減でき、計算速度を高めることができるとともに計算精度を向上することができる。
このように、この例では、加熱された鋼片に粗圧延を行って所定の厚さの設定値を有する粗バー1とするための粗圧延機2と、7基のスタンドF1〜F7を有するとともに粗バー1に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機3と、この仕上圧延機3の入側に設置されて粗バー1を加熱するための加熱装置6と、7基のスタンドF1〜F7のF1/F2間、F2/F3間、F3/F4間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置71〜73と、加熱装置6の加熱量及び/又は冷却装置71〜73の冷却水量を設定することによって仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、粗圧延が開始される前に、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の予測値に基づいて、仕上圧延機3の入口における熱延鋼板の温度を予測し、この仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延に関して事前に設定された圧延速度の設定値、及び/又は、粗バー1に関して事前に設定された厚さの設定値を、修正して設定するための温度制御装置11とを備える熱延鋼板の製造装置0を用いる。
そして、加熱された鋼片に粗圧延機2により粗圧延を行って粗バー1とし、この粗バー1に加熱装置6による加熱、及び/又は、冷却装置71〜73による冷却を行うことによって仕上圧延機3の出口における温度を目標値に制御しながらこの仕上圧延機3により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、粗圧延が開始される前に、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の予測値に基づいて仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を予測する。そして、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延に関して事前に設定された圧延速度の設定値、及び/又は、粗バー1に関して事前に設定された厚さの設定値を、修正して設定することによって、熱延鋼板を製造する。このため、本例によれば、仕上圧延機3の出口における温度を目標値とすることができるとともに、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標値以上とすることもできる。
[第2のタイミング]
次に、粗圧延が完了した第2のタイミングで行う設定計算を、この設定計算のフロー図である図3を参照しながら説明する。
この第2のタイミングで設定計算を行う時点では、粗圧延は既に完了していることから、粗バー1の厚さの設定値を変更することは不可能であるが、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度に、予測値のみではなく実測値も用いることができる。このため、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の実測値を用いれば、予測値を用いた場合よりも、設定計算の精度を向上することができる。
図3において、S1〜S11は、基本的には、図2により示したステップと同じである。ただし、粗圧延が完了した時点で計算を行うため、粗圧延の結果を反映して、S3において、粗バー1の長手方向の全長にわたって各サンプリング点と対応した形で測定した粗圧延機2の出口における粗バー1の測定温度を初期温度として、仕上圧延機3の圧延速度パターンに基づいて各サンプリング点の粗圧延機2の出口から仕上圧延機3の出口までの温度降下量を(1)式に基づいて計算し、この計算結果を粗圧延機2の出口における粗バー1の温度から減算して仕上圧延機3の入口及び出口における熱延鋼板の温度を計算することができる。
このように、本例では、粗圧延機2の出口における粗バー1の測定温度を、仕上圧延機3の入口及び出口における熱延鋼板の温度の推定計算に用いることができるため、仕上圧延機3の入口及び出口における熱延鋼板の温度の予測精度を大幅に向上することができる。
これ以外の各ステップは、図2により示した各ステップと同様である。そして、本例では粗バー1の厚さの設定値を修正して設定することはないため、S12へ移行する。
S12〜S13は、図2のS15〜S16と同じである。
このように、この例では、加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バー1とするための粗圧延機2と、7基のスタンドF1〜F7を有するとともに粗バー1に仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機3と、この仕上圧延機3の入側に設置されて粗バー1を加熱するための加熱装置6と、7基のスタンドF1〜F7のスタンドのF1/F2間、F2/F3間、F3/F4間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置71〜73と、加熱装置6の加熱量及び/又は冷却装置71〜73の冷却水量を設定することによって仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、粗圧延が終了した後であって仕上圧延が開始される前に、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の予測値に基づいて、仕上圧延機3の入口における熱延鋼板の温度を予測し、この仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延に関して事前に設定された圧延速度の設定値を、修正して設定するための温度制御装置11とを備える熱延鋼板の製造装置0を用いる。
そして、加熱された鋼片に粗圧延機2により粗圧延を行って粗バー1とし、この粗バー1に加熱装置6による加熱、及び/又は、冷却装置71〜73による冷却を行うことによって仕上圧延機3の出口における温度を目標値に制御しながらこの仕上圧延機3により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、粗圧延が終了した後であって仕上圧延が開始される前に、粗圧延機2の出口における粗バー1の温度の予測値に基づいて仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を予測する。そして、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度の予測値が目標値以上となるように、仕上圧延に関して事前に設定された圧延速度の設定値を、修正して設定することによって、熱延鋼板を製造する。このため、本例によれば、仕上圧延機3の出口における温度を目標値とすることができるとともに、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標値以上とすることもできる。
このように、本実施の形態によれば、仕上圧延前における粗バーの加熱、及び仕上圧延時における被圧延材の冷却を行いながら、圧延条件である仕上圧延の圧延速度および/または粗バー1の厚さの設定値を再度設定して、圧延を行うようにしたため、加熱装置6や冷却装置71〜73を必要以上に大型化して初期コスト及びランニングコストを上昇させることなく、効率的に、仕上圧延機3の入口における粗バー1の温度を目標値以上に制御することができるとともに、仕上圧延機3の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御することができる。
[第2の実施の形態]
次に、熱延鋼板の製造方法の第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、一つの加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとした後にこの粗バーに仕上圧延を行うことにより1つの熱延鋼板を製造する際に、本発明に係る熱延鋼板の製造方法を適用した場合を例にとった。
しかしながら、例えば、加熱された複数の鋼片に粗圧延を行って複数の粗バーとした後にこの粗バーに仕上圧延を行うことによって少なくとも先行する第1の熱延鋼板及び後続する第2の熱延鋼板を製造するような場合にも、等しく適用される。
例えば、第1の熱延鋼板についての仕上圧延の開始時における粗バーの温度の実測値とその目標値との偏差に基づいて、第2の熱延鋼板についての仕上圧延の開始時における粗バーの温度がその目標値以上となるように、第2の熱延鋼板についての粗バーの厚さの設定値、及び/又は、仕上圧延の圧延速度の設定値を修正して設定すればよい。
これにより、先行する第1の熱延鋼板の圧延結果に応じて、後続する第2の熱延鋼板についての粗バーの厚さの設定値、及び/又は、仕上圧延の圧延速度の設定値を修正して設定することができるため、第2の熱延鋼板について行う温度制御の精度を、第1の熱延鋼板について行った温度制御の精度よりも高めることが可能である。
したがって、本実施の形態により、量産時の熱延鋼板の温度制御の精度を高めることができる。
数値シミュレーションの対象とした実施の形態の熱延鋼板の製造装置を模式的に示す説明図である。 熱延鋼板の母材となるスラブを、加熱炉により加熱している第1のタイミングで行う設定計算のフロー図である。 粗圧延が完了した第2のタイミングで行う設定計算のフロー図である。
符号の説明
0 実施の形態の熱延鋼板の製造装置
1 鋼板
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 ダウンコイラ
5 水冷装置
6 加熱装置
71〜73 冷却装置
8 粗圧延機の出口における温度計
9 仕上圧延機の出口における温度計
10 メジャリングロール
11 温度制御装置

Claims (2)

  1. 加熱された鋼片に粗圧延機により粗圧延を行って粗バーとし、該粗バーに複数のスタンドを有する仕上圧延機の入側に設置された加熱装置による加熱、及び/又は、前記複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置された冷却装置による冷却を行うことによって前記仕上圧延機の出口における温度を目標値に制御しながら該仕上圧延機により仕上圧延を行って熱延鋼板を製造する際に、
    前記粗圧延が開始される前に、前記粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値に基づいて前記仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、該仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値がその目標値以上となるように、事前に設定された前記仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された前記粗バーの厚さの設定値を、修正して設定すること
    を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 加熱された鋼片に粗圧延を行って粗バーとするための粗圧延機と、
    複数のスタンドを有するとともに前記粗バーに仕上圧延を行って熱延鋼板を製造するための仕上圧延機と、
    該仕上圧延機の入側に設置されて前記粗バーを加熱するための加熱装置と、
    前記複数のスタンドの少なくとも一つのスタンド間に設置されて被圧延材を冷却するための冷却装置と、
    前記加熱装置の加熱量及び/又は前記冷却装置の冷却水量を設定することによって前記仕上圧延機の出口における熱延鋼板の温度を目標値に制御するとともに、前記粗圧延が開始される前に、前記粗圧延機の出口における粗バーの温度の予測値に基づいて前記仕上圧延機の入口における粗バーの温度を予測し、該仕上圧延機の入口における粗バーの温度の予測値がその目標値以上となるように、事前に設定された前記仕上圧延の圧延速度の設定値、及び/又は、事前に設定された前記粗バーの厚さの設定値を、修正して設定するための温度制御装置と
    を備えることを特徴とする熱延鋼板の製造装置。
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