JP6761211B2 - チオグリコールウリル類及びその製造方法 - Google Patents

チオグリコールウリル類及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なモノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類、並びにそれらの製造方法に関する。
グリコールウリル類は、尿素系窒素原子を環構造中に4個有するヘテロ環化合物であり、上記の尿素系窒素原子上に種々の置換基を有するグリコールウリル類が製造され、機能性化合物として用いられている。
例えば、1分子中に4個のメトキシメチル基を有する1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルは、エポキシ樹脂の架橋剤としてよく知られている(特許文献1参照)。
一方、グリコールウリル類の環構造中の酸素原子が硫黄原子に置換された化合物、例えば、モノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類も知られている。モノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類の、尿素系窒素原子上又はチオ尿素系窒素原子上、及び橋頭位炭素原子上に置換基を有する、チオグリコールウリル類が合成されている(非特許文献1、2、3及び4参照)。
置換基を有さないグリコールウリル1分子に、4個のメトキシメチル基を導入する方法が、例えば特許文献2に開示されている。しかし、モノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類の少なくとも1個の窒素原子上の水素原子がメトキシメチル基等のアルコキシメチル基で置換された化合物は、特許文献1及び2並びに非特許文献1、2、3及び4に記載されていない。
特開2013−33276号公報 特許第3154819号明細書
European Journal of Organic Chemistry,pp.933−940(2014) Journal of Organic Chemistry,62,8834−8840(1997) Chemistry A European Journal,21,536−540(2015) Tetrahedron Letters,56,6085−6088(2015)
分子内に複数のアルコキシメチル基、例えば、1分子中に2個以上のアルコキシメチル基を有するモノチオグリコールウリル類又はジチオグリコールウリル類は、例えば、エポキシ樹脂用架橋剤として有用である。また、グリコールウリル類の環構造中の2つの酸素原子のうち少なくとも1つが硫黄原子に置換されたモノチオグリコールウリル類又はジチオグリコールウリル類は、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルとは異なる光学特性を有し、特に前記2つの酸素原子のうち1つのみ硫黄原子に置換されたモノチオグリコールウリル類は、分子の対称性が低下することで溶剤への溶解性が優れると期待される。
本発明は、上記背景に基づいてなされたものであり、新規なモノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表されるチオグリコールウリル類である。
(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、4つのRはそれぞれ、水素原子、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
前記式(1)で表されるチオグリコールウリル類は、下記式(2)で表されるモノチオグリコールウリルである。
(式中、4つのRは前記式(1)と同義である。)
前記式(1)で表されるチオグリコールウリル類はまた、下記式(3)で表されるジチオグリコールウリルである。
(式中、4つのRは前記式(1)と同義である。)
更に本発明は、塩基性水溶液中でホルムアルデヒドと下記式(4a)で表される化合物を反応させた後下記式(2a)で表される化合物を単離する第一工程、及び前記式(2a)で表される化合物と下記式(5)で表されるアルコール類とを当該アルコール類を溶媒とする酸性溶液中で反応させた反応液に塩基性水溶液を添加して得られた生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより当該生成物から不純物を除去し、下記式(2b)で表されるモノチオグリコールウリル類を得る第二工程を有する、モノチオグリコールウリル類の製造方法である。
(式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
本発明はまた、塩基性水溶液中でホルムアルデヒドと下記式(4b)で表される化合物を反応させた後下記式(3a)で表される化合物を単離する第一工程、及び前記式(3a)で表される化合物と下記式(5)で表されるアルコール類とを当該アルコール類を溶媒とする酸性溶液中で反応させた反応液に塩基性水溶液を添加して得られた生成物を、水で洗浄することにより当該生成物から不純物を除去し、下記式(3b)で表されるジチオグリコールウリル類を得る第二工程を有する、ジチオグリコールウリル類の製造方法である。
(式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
本発明によるチオグリコールウリル類は、4個の窒素原子に結合した水素原子が−CH−O−R基(但し、Rは前記式(1)と同義である。)にて置換された化合物であり、当該化合物は、新規な含硫黄ヘテロ環化合物である。1分子中に2個以上の前記−CH−O−R基を有するチオグリコールウリル類は、例えば、エポキシ樹脂用架橋剤として有用である。特に、すべての窒素原子上の水素原子がメトキシメチル基で置換された、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル及び1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルは、架橋性に優れる。
また、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル及び1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルは、硫黄原子を含むため、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルとは異なる光学特性を有することが期待される。特に、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリルは、分子が非対称構造となり、当該分子の対称性が低下するため、例えばエポキシ樹脂用架橋剤として用いた場合、従来の1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリルよりも、溶剤への溶解性に優れる。
1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリルのH−NMRスペクトルである。 1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルのH−NMRスペクトルである。 1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)チオグリコールウリル及び1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルのUVスペクトルである。
本発明のチオグリコールウリル類は、下記式(2)で表されるモノチオグリコールウリル類である。
(式中、4つのRはそれぞれ、水素原子、炭素原子数1乃至6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
本発明のチオグリコールウリル類はまた、下記式(3)で表されるジチオグリコールウリル類である。
(式中、4つのRは前記式(2)と同義である。)
上記式(2)で表されるモノチオグリコールウリル類及び上記式(3)で表されるジチオグリコールウリル類において、4つのRがそれぞれ、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を表すとき、当該アルキル基の炭素原子数は、例えば、1乃至12であり、好ましくは1乃至4であり、最も好ましくは1である。従って、最も好ましい上記アルキル基はメチル基である。
本発明のモノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類において、4つのRがそれぞれ、上記アルキル基を表す場合の好ましい具体例として、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(エトキシメチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(プロポキシメチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(n−ブトキシメチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(エトキシメチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(プロポキシメチル)ジチオグリコールウリル、及び1,3,4,6−テトラキス(n−ブトキシメチル)ジチオグリコールウリルを挙げることができる。
上記式(2)で表されるモノチオグリコールウリル類及び上記式(3)で表されるジチオグリコールウリル類において、Rが少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有するアルキル基を表すとき、当該少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有するアルキル基の炭素原子数は、例えば、3乃至9であり、好ましくは3乃至5であり、最も好ましくは4である。
本発明のモノチオグリコールウリル類及びジチオグリコールウリル類において、4つのRがそれぞれ、上記少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有するアルキル基を表す場合の好ましい具体例として、1,3,4,6−テトラキス((2−メトキシエトキシ)メチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ)メチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(((1−エトキシプロパン−2−イル)オキシ)メチル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラ(2,5,8,11−テトラオキサドデシル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラ(2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデシル)モノチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス((2−メトキシエトキシ)メチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ)メチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(((1−エトキシプロパン−2−イル)オキシ)メチル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラ(2,5,8,11−テトラオキサドデシル)ジチオグリコールウリル、1,3,4,6−テトラ(2,5,8,11,14−ペンタオキサペンタデシル)ジチオグリコールウリルを挙げることができる。
下記式(2b):
(式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
で表されるモノチオグリコールウリル類は、下記式(2a):
で表される1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリルにアルコール類を作用させて、当該1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリルのメチロール基をエーテル化することによって得ることができる。
下記式(3b):
(式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
で表されるジチオグリコールウリル類は、下記式(3a):
で表される1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリルにアルコール類を作用させて、当該1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリルのメチロール基をエーテル化することによって得ることができる。
メチロール基をエーテル化する方法は知られており、本発明においては、公知の方法を適用することができる。そのような方法として、例えば、塩酸、硝酸及び硫酸からなる群から選択される酸を用いる方法を挙げることができる。使用する酸は、テトラメチロールチオグリコールウリル類に対して、好ましくは、0.1当量乃至1.0当量の割合で用いられる。
上記エーテル化における反応溶媒は、下記式(5)で表されるアルコール類が用いられる。
(式中、Rは前記式(2b)及び式(3b)と同義である。)
上記酸を用いてテトラメチロールチオグリコールウリル類をエーテル化するときの反応温度は、反応溶媒にもよるが、通常、10℃乃至150℃の範囲である。また、反応時間は、反応温度によって変更する必要があるが、通常、1時間乃至48時間の範囲である。
反応終了後、反応液のpHを調整するため水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を添加し、得られた反応生成物を濃縮し、又は適当な溶媒中に溶解させて濾別することによって、目的とするモノチオグリコールウリル類又はジチオグリコールウリル類を含む生成物を得ることができる。
このようにして得られた生成物を、水等の溶媒による洗浄、晶析、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等にて精製し、不純物を除去する。
前記式(2a)で表される1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリルは、下記式(4a):
で表されるモノチオグリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させて、当該モノチオグリコールウリルの窒素原子に結合した水素原子をメチロール化することによって得ることができる。
前記式(3a)で表される1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリルは、下記式(4b):
で表されるジチオグリコールウリルにホルムアルデヒドを作用させて、当該ジチオグリコールウリルの窒素原子に結合した水素原子をメチロール化することによって得ることができる。
窒素原子に結合した水素原子をメチロール化する方法は知られており、本発明においては、公知の方法を適用することができる。そのような方法として、ホルムアルデヒドの水溶液に、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される塩基を用いる方法を挙げることができる。使用する塩基はモノチオグリコールウリル又はジチオグリコールウリルに対して、好ましくは、0.001当量乃至0.01当量の割合で用いられる。
上記メチロール化の反応溶媒は、水が用いられる。
上記塩基を用いてチオグリコールウリル類をメチロール化するときの反応温度は、25℃乃至100℃の範囲である。また、反応時間は、反応温度によって変更する必要があるが、通常、1時間乃至24時間の範囲である。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例によって特に限定されるものではない。
<合成例1>
(モノチオグリコールウリルの合成)
非特許文献1:European Journal of Organic Chemistry,pp.933−940(2014)に記載の方法に従って、前記式(4a)で表されるモノチオグリコールウリルを合成した。
<合成例2>
(ジチオグリコールウリルの合成)
非特許文献4:Tetrahedron Letters,56,6085−6088(2015)に記載の方法に従って、前記式(4b)で表されるジチオグリコールウリルを合成した。
<実施例1>
(1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリルの合成)
冷却機、温度計及び攪拌機を備えた50mLフラスコに、37質量%ホルムアルデヒド水溶液(東京化成工業(株)製)12.84g(158.0mmol)及び0.5N水酸化ナトリウム水溶液0.38g(7.7mmol)を入れ、これを40℃に昇温して撹拌した。同温度にて、合成例1で得られたモノチオグリコールウリル5.00g(31.6mmol)を添加した後、これを55℃に昇温して5時間撹拌を行った。その後、25℃に冷却し、0.5N水酸化ナトリウム水溶液0.09g(1.8mmol)を添加して撹拌を行った。その後、メタノール25.00gを添加して5℃にて撹拌し、結晶を析出させた。析出させた結晶をろ過し、メタノール5.00gによる洗浄を二回行って、得られた残留物を減圧下、乾燥して、上記式(2a)で表される1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリル6.27gを白色固体として得た。収率は71.3%、高速液体クロマトグラフィー(以下、本明細書ではHPLCと略称する。)による純度は100%であった。
得られた1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリルのH−NMRスペクトル(DMSO−d)におけるδ値は下記のとおりであった。
δ:6.06(dd,4H),5.72(s,2H),5.19(dd,2H),5.12(dd,2H),4.84(dd,2H),4.72(dd,2H)。
<実施例2>
(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリルの合成)
冷却機、温度計及び攪拌機を備えた50mLフラスコに、実施例1で得られた1,3,4,6−テトラメチロールモノチオグリコールウリル3.00g(10.8mmol)、メタノール6.91g及び65質量%硝酸0.23g(2.4mmol)を入れ、これを40℃に昇温して25時間撹拌を行った。その後、25℃に冷却し、20質量%水酸化ナトリウム水溶液0.49g(2.4mmol)を添加して、減圧下40℃にて溶媒を留去した。濃縮液に酢酸エチル30.00gを加えて、ろ過し、酢酸エチル3.00gによる洗浄を二回行って、減圧下、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘプタン=3/1(容量比))にて精製して、上記式(2b−1)で表される1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル2.39gを白色固体として得た。収率は66.4%、HPLCによる純度は100%であった。
得られた1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリルのH−NMRスペクトルを図1に示す。また、そのNMRスペクトル(DMSO−d)におけるδ値は下記のとおりであった。
δ:5.74(s,2H),5.21(d,2H),5.11(d,2H),4.75(d,2H),4.71(d,2H),3.26(s,6H),3.20(s,6H)。
<実施例3>
(1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリルの合成)
冷却機、温度計及び攪拌機を備えた50mLフラスコに、37質量%ホルムアルデヒド水溶液(東京化成工業(株)製)0.70g(8.6mmol)、0.5N水酸化ナトリウム水溶液0.023g(0.46mmol)及び水1.50gを入れ、これを40℃に昇温して撹拌した。同温度にて、合成例2で得られたジチオグリコールウリル0.30g(1.7mmol)を添加した後、これを55℃に昇温して1時間撹拌を行った。その後、25℃に冷却し、メタノール1.50gを添加し、結晶を析出させた。析出させた結晶をろ過し、メタノール0.60gによる洗浄を二回行って、得られた残留物を減圧下、乾燥して、上記式(3a)で表される1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリル0.30gを白色固体として得た。収率は59.6%、HPLCによる純度は100%であった。
得られた1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリルのH−NMRスペクトル(DMSO−d)におけるδ値は下記のとおりであった。
δ:6.18(t,4H),5.95(s,2H),5.18(d,8H)。
<実施例4>
(1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルの合成)
冷却機、温度計及び攪拌機を備えた50mLフラスコに、実施例3で得られた1,3,4,6−テトラメチロールジチオグリコールウリル0.29g(1.0mmol)、メタノール1.32g(41.2mmol)及び65質量%硝酸0.049g(0.5mmol)を入れ、これを40℃に昇温して34時間撹拌を行った。その後、25℃に冷却し、20質量%水酸化ナトリウム水溶液0.14g(0.7mmol)を添加して、減圧下40℃にて溶媒を留去した。濃縮物に純水2.6gを添加し、結晶を析出させた。析出させた結晶をろ過し、純水1.3gによる洗浄を二回行って、得られた残留物を減圧下、乾燥して、上記式(3b−1)で表される1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル0.13gを白色固体として得た。収率は36.9%、HPLCによる純度は97.1%であった。
得られた1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリルのH−NMRスペクトルを図2に示す。また、そのNMRスペクトル(DMSO−d)におけるδ値は下記のとおりであった。
δ:5.98(s,2H),5.21(d,4H),5.15(d,4H),3.27(s,12H)。
実施例2で得られた1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリル(以下、本明細書ではTMOM−TGUと略称する。)、実施例4で得られた1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)ジチオグリコールウリル(以下、本明細書ではTMOM−DTGUと略称する。)及び、比較例として市販品の1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル(商品名:POWDERLINK1174,以下、本明細書ではTMOM−GUと略称する。)のUVスペクトルを図3に示す。
図3に示す結果から明らかなように、本発明によるチオグリコールウリル類は、硫黄原子を含まないグリコールウリルと比較して、UV吸収波長がシフトし、248nm付近にUV吸収を有している。
実施例2で得られたTMOM−TGU、実施例4で得られたTMOM−DTGU、及び比較例としてTMOM−GUの溶解性を調べるために、半導体素子の製造プロセスなどで一般的に使用される溶剤であるプロピレングリコール1−モノメチルエーテル(PGME)又はプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)に溶解させた。結果を表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)モノチオグリコールウリルは、分子が非対称構造となり、当該分子の対称性が低下するため、特に溶剤への溶解性に優れる。
本発明によるチオグリコールウリル類は、例えば、エポキシ樹脂の架橋剤として有用であることが期待される。さらに、本発明によるチオグリコールウリル類は、KrFエキシマレーザーの波長に吸収を有するため、反射防止膜形成用組成物の架橋剤として有用である。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるチオグリコールウリル類。
    (式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、4つのRはそれぞれ、水素原子、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
  2. 下記式(2)で表されるモノチオグリコールウリル類である、請求項1に記載のチオグリコールウリル類。
    (式中、4つのRは前記式(1)と同義である。)
  3. 下記式(3)で表されるジチオグリコールウリル類である、請求項1に記載のチオグリコールウリル類。
    (式中、4つのRは前記式(1)と同義である。)
  4. 塩基性水溶液中でホルムアルデヒドと下記式(4a)で表される化合物を反応させた後下記式(2a)で表される化合物を単離する第一工程、及び前記式(2a)で表される化合物と下記式(5)で表されるアルコール類とを当該アルコール類を溶媒とする酸性溶液中で反応させた反応液に塩基性水溶液を添加して得られた生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより当該生成物から不純物を除去し、下記式(2b)で表されるモノチオグリコールウリル類を得る第二工程を有する、モノチオグリコールウリル類の製造方法。
    (式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
  5. 塩基性水溶液中でホルムアルデヒドと下記式(4b)で表される化合物を反応させた後下記式(3a)で表される化合物を単離する第一工程、及び前記式(3a)で表される化合物と下記式(5)で表されるアルコール類とを当該アルコール類を溶媒とする酸性溶液中で反応させた反応液に塩基性水溶液を添加して得られた生成物を、水で洗浄することにより当該生成物から不純物を除去し、下記式(3b)で表されるジチオグリコールウリル類を得る第二工程を有する、ジチオグリコールウリル類の製造方法。
    (式中、4つのRはそれぞれ、炭素原子数1乃至4の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、又は少なくとも1つのエーテル結合を主鎖に有する炭素原子数3乃至9のアルキル基を表す。)
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