以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示すバルブタイミング調整装置10は、車両の内燃機関80のクランク軸90に対するカム軸91の回転位相を変化させることによって、カム軸91が開閉駆動する吸気弁81又は排気弁82のうち吸気弁81のバルブタイミングを調整するものである。バルブタイミング調整装置10は、クランク軸90からカム軸91に動力を伝達する経路に設けられている。この場合、クランク軸90が駆動軸に相当し、カム軸91が従動軸に相当し、吸気弁81がバルブに当する。
バルブタイミング調整装置10の構成について図1〜図5を参照して説明する。バルブタイミング調整装置10は、回転式アクチュエータ11および位相調整部12を備えている。
図1に示すように、回転式アクチュエータ11は、例えばブラシレスモータ等の電動モータであり、カム軸91の軸方向の延長上に設けられている。回転式アクチュエータ11は、内燃機関80のチェーンカバー92に固定されるケーシング20と、ケーシング20内に設けられている図示しないステータおよびロータと、当該ロータに接続され、ケーシング20により正逆回転自在に支持されている回転軸21と、を有している。チェーンカバー92はカバー部材に相当する。ケーシング20は、チェーンカバー92の外側に設けられる露出部22と、チェーンカバー92の通孔93に挿入される挿入部23と、を有している。回転軸21は、挿入部23からカム軸91側に向かって突き出すよう設けられている。
回転式アクチュエータ11はさらに、例えばケーシング20内に設けられる図示しない通電制御部を有している。露出部22は、通電制御部を外部の電子制御ユニットと電気接続するためのコネクタ24を有している。通電制御部は、駆動ドライバおよびその制御用マイクロコンピュータ等から構成されており、ステータへの通電を制御することにより回転軸21を回転駆動する。
図1〜図5に示すように、位相調整部12は、駆動回転体25と、従動回転体26と、減速機構27とを備えている。
駆動回転体25は、カム軸91の回転軸心AX1上に設けられた有底筒状の第1ハウジング28と第2ハウジング29とシグナルプレート30とを、ボルト31で締結してなる。第1ハウジング28は、外壁に一体に形成されたスプロケット32を有している。第1ハウジング28は、スプロケット32とクランク軸90のスプロケット94とに環状のタイミングチェーン95が掛け渡されることによって、クランク軸90と接続されている。この接続により、クランク軸90の機関トルクがタイミングチェーン95を通じてスプロケット32に伝達されるとき、駆動回転体25がクランク軸90と連動して回転する。なお、駆動回転体25の回転方向は、図2〜図4の時計方向に設定されている。
シグナルプレート30は、図示しないカム角センサにカム軸91の回転角度を検知させるための円盤状の部材である。図2に示すように位相調整部12をチェーンカバー92側から見たとき、シグナルプレート30は第2ハウジング29の全体を覆っている。
図1、図5に示すように、従動回転体26は、有底筒状に形成されており、駆動回転体25に対して相対回転可能なよう第1ハウジング28の周壁部の内側に嵌合している。従動回転体26の底壁部は、センターボルト34を使用した螺子留めによりカム軸91の端部に直接固定されている。この固定により、従動回転体26はカム軸91と連動して回転する。なお、従動回転体26の回転方向は、駆動回転体25と同じ図5の時計方向に設定されている。
図1、図4に示すように、駆動回転体25および従動回転体26には、それぞれ駆動側ストッパ部35および従動側ストッパ部36が設けられている。駆動側ストッパ部35は、第1ハウジング28の周壁部の四箇所から径方向内側に突出している。従動側ストッパ部36は、従動回転体26の周壁部の四箇所から径方向外側に突出している。
図4に示すように特定の従動側ストッパ部36が遅角方向の駆動側ストッパ部35に当接する場合、駆動回転体25に対する従動回転体26の遅角方向への相対回転が止められ、駆動回転体25と従動回転体26との間の位相が遅角側の最端位相に規制される。以下、駆動回転体と従動回転体との間の位相を「回転体間位相」と記載する。本実施形態では、遅角側の最端位相は、内燃機関80の始動を許容するための初期位相に設定されている。一方、特定の従動側ストッパ部36が進角方向の駆動側ストッパ部35に当接するときには、駆動回転体25に対する従動回転体26の進角方向への相対回転が止められて、回転体間位相が進角側の最端位相に規制される。
図1〜図4に示すように、減速機構27は、駆動側内歯車部37と、従動側内歯車部38と、入力回転体39と、遊星回転体40とを備えた遊星歯車機構である。
駆動側内歯車部37は、第2ハウジング29の周壁部の内壁に一体に設けられている。駆動側内歯車部37の軸心は回転軸心AX1と一致する。駆動側内歯車部37は、径方向内側に向けて延びた複数の内歯37aを有している。ボルト31は、駆動側内歯車部37の歯先部と同じ周方向位置に設けられている。本実施形態では、ボルト31は、周方向において不等間隔に4本設けられている。
従動側内歯車部38は、従動回転体26の周壁部の内壁に一体に設けられている。従動側内歯車部38の軸心は回転軸心AX1と一致する。従動側内歯車部38は、径方向内側に向けて延びた複数の内歯38aを有しており、従動側内歯車部38の径は駆動側内歯車部37の径よりも小さく設定され、また従動側内歯車部38の歯数は駆動側内歯車部37の歯数よりも少なく設定されている。この場合、駆動側内歯車部37のピッチ円直径であるピッチ円内径Db1は、従動側内歯車部38のピッチ円直径であるピッチ円内径Db2より大きくなっている。
なお、駆動側内歯車部37が駆動歯車部に相当し、従動側内歯車部38が従動歯車部に相当する。また、駆動側内歯車部37及び従動側内歯車部38のうち一方が内歯車部に相当する。
入力回転体39は、全体として筒状であり、ベアリング41を介して第2ハウジング29により回転軸心AX1まわりに回転可能に支持されている。ベアリング41は、第2ハウジング29の底壁部に設けられている。入力回転体39の内壁には、軸方向へ延び且つ径方向内側に向かって開口する一対の嵌合溝42が形成されている。嵌合溝42は、入力回転体39の一端面から他端面まで延びている。入力回転体39は、嵌合溝42に回転軸21の継手部43が嵌合することによって、当該回転軸21と連結されている。この連結により入力回転体39は、回転軸21と共に回転駆動可能となっている。
入力回転体39はさらに、回転軸心AX1に対して偏心する偏心部44を有している。偏心部44には、径方向外側に向かって開口する凹部46が当該偏心部44の偏心側に偏って一対設けられている。それら凹部46内には、復原力を発生する弾性部材47が収容されている。本実施形態では、弾性部材47は、概ねU字状の断面を有する金属製の板ばねである。
遊星回転体40は、遊星ベアリング48および遊星歯車49を組み合わせてなる。遊星ベアリング48の内輪は、入力回転体39の偏心部44の外側に所定のクリアランスをあけて配置されている。遊星ベアリング48は、偏心部44により各弾性部材47を介して内側から支持された状態下、各弾性部材47から受ける復原力を遊星歯車49へ伝達するようになっている。
遊星歯車49は、段付円筒状に形成され、遊星ベアリング48を介して偏心部44により偏心軸心AX2まわりに回転可能に支持されている。遊星歯車49の大径部は、駆動側内歯車部37と噛み合う駆動側外歯車部50である。遊星歯車49の小径部は、従動側内歯車部38と噛み合う従動側外歯車部51である。駆動側外歯車部50及び従動側外歯車部51は、径方向外側に向けて延びた複数の外歯50a,51aをそれぞれ有している。駆動側外歯車部50および従動側外歯車部51の歯数はそれぞれ、駆動側内歯車部37および従動側内歯車部38の歯数よりも同数ずつ少なく設定されている。この場合、駆動側外歯車部50のピッチ円直径であるピッチ円外径Da1は、従動側内歯車部37のピッチ円直径であるピッチ円外形Da2より大きくなっている。
遊星歯車49は、入力回転体39が回転軸心AX1まわりに回転すると、偏心軸心AX2まわりに自転しつつ回転軸心AX1まわりに公転する遊星運動を行う。このときの遊星歯車49の自転速度は、入力回転体39の回転速度に対して減速される。従動側内歯車部38および従動側外歯車部51は、遊星歯車49の自転を従動回転体26に伝達する伝達手段に相当する。
なお、遊星歯車49が遊星回転体に相当し、駆動側外歯車部50が第1遊星歯車部に相当し、従動側外歯車部51が第2遊星歯車部に相当する。また、駆動側外歯車部50及び従動側外歯車部51のうち一方が外歯車部に相当する。
ここまで説明した構成の位相調整部12は、駆動回転体25に対する回転式アクチュエータ11の相対回転を減速して、駆動回転体25に対する従動回転体26の相対回転に変換することにより、それら回転体25、26間の位相である回転体間位相を調整する。具体的には、回転軸21が駆動回転体25と同速回転することで、入力回転体39が駆動回転体25に対して相対回転しないときには、遊星歯車49が遊星運動することなく回転体25、26と連れ回りする。したがって、回転体間位相が保持されることになる。
また、回転軸21が駆動回転体25に対して低速回転又は逆回転することで、入力回転体39が駆動回転体25に対して遅角方向に相対回転するときには、遊星歯車49が遊星運動して従動回転体26が駆動回転体25に対して遅角方向に相対回転する。したがって、回転体間位相が遅角することになる。
また、回転軸21が駆動回転体25に対して高速回転することで、入力回転体39が駆動回転体25に対して進角方向に相対回転するときには、遊星歯車49が遊星運動して従動回転体26が駆動回転体25に対する進角方向に相対回転する。したがって、回転体間位相が進角することになる。
駆動側外歯車部50のピッチ円外径Da1は、駆動側内歯車部37のピッチ円内径Db1に比べて小さく、従動側外歯車部51のピッチ円外径Da2は、従動側内歯車部38のピッチ円内径Db2に比べて大きくなっている。駆動側については、ピッチ円外径Da1とピッチ円内径Db1との差異が外径差ΔD1であり、従動側については、図6に示すように、ピッチ円内径Da2とピッチ円外径Db2との差異が外径差ΔD2である。
バルブタイミング調整装置10においては、各部品が熱膨張することが考えられる。例えば、歯車部37,38,50,51が熱膨張した場合には、外径差ΔD1,ΔD2が変化すると考えられる。本実施形態では、歯車部37,38,50,51の温度上昇に伴って外径差ΔD1,ΔD2が小さくなるように、これら歯車部37,38,50,51の線膨張係数αb1,αb2,αa1,αa2が設定されている。
駆動側については、ピッチ円外径Da1の増加率がピッチ円内径Db1の増加率に比べて大きくなるように、駆動側外歯車部50の線膨張係数αa1が駆動側内歯車部37の線膨張係数αb1より大きくなっている。この場合、温度上昇に伴って外径差ΔD1が小さくなる。従動側については、ピッチ円内径Da2の増加率がピッチ円外径Db2の増加率に比べて大きくなるように、従動側外歯車部51の線膨張係数αa2が従動側内歯車部38の線膨張係数αb2より大きくなっている。これにより、温度上昇に伴って外径差ΔD2が小さくなる。
本実施形態では、駆動側外歯車部50の線膨張係数αa1と従動側外歯車部51の線膨張係数αa2とが同じ値になっている。これら駆動側外歯車部50及び従動側外歯車部51は、例えばS45Cといった同じ鋼材により形成されている。また、駆動側内歯車部37の線膨張係数αb1と従動側内歯車部38の線膨張係数αb2とが同じ値になっている。これら駆動側内歯車部37及び従動側内歯車部38は、例えばSUS440Cといった同じ鋼材により形成されている。また、本実施形態では、歯車部37,38,50,51の加熱及び冷却が同じように進むとして、これら歯車部37,38,50,51の各温度が同じになっているとしている。
ピッチ円外径Da1,Da2の増加率がピッチ円内径Db1,Db2の増加率に比べて大きい場合、バルブタイミング調整装置10での温度が過剰に上昇すると、ピッチ円外径Da1,Da2がピッチ円内径Db1,Db2より大きくなることが懸念される。そこで、本実施形態では、内燃機関80の運転中においては、遊星歯車49の遊星運動が熱膨張によって阻害されないように、線膨張係数αb1,αb2,αa1,αa2が設定されている。
例えば、従動側の熱膨張について説明する。図7に示すように、従動側外歯車部51のピッチ円外径Da2の増加率が、従動側内歯車部38のピッチ円内径Db2の増加率に比べて大きいことに起因して、温度Tx1にてピッチ円外径Da2がピッチ円内径Db2に追いつくことがある。換言すれば、図8に示すように、従動側外歯車部51及び従動側内歯車部38の温度上昇に伴って外径差ΔD2が減少していき、この外径差ΔD2が上記温度Tx2にてゼロになることがある。
ここで、ピッチ円外径Da2がピッチ円内径Db2まで大きくならなくても、外径差ΔD2が所定値より小さくなると、従動側外歯車部51が従動側内歯車部38に噛み合っていない領域において外歯51aと内歯38aとが意図せずに接触することが想定される。本実施形態では、図7、図8に示すように、外歯51aが内歯38aに意図せずに接触しない範囲で外径差ΔD2の極力小さい値を限界径差ΔDy2と称し、外径差ΔD2が限界径差ΔDy2まで小さくなる温度を限界温度Tyと称する。バルブタイミング調整装置10においては、内燃機関80の通常の運転において歯車部37,38,50,51が到達し得る温度(例えば130℃)よりも限界温度Tyが高い温度になるように、歯車部37,38,50,51の鋼材や材料が選択されている。
従動側と同様に駆動側についても、駆動側外歯車部50及び駆動側内歯車部37の温度上昇に伴って外径差ΔD1が減少していく。ただし、図8に示すように、駆動側の外径差ΔD1は、上記温度Tx1よりも高い温度Tx2にてゼロになる。駆動側について、限界温度Tyでの外径差ΔD1を限界径差ΔDy1と称すると、従動側の限界径差ΔDy2が駆動側の限界径差ΔDy1より小さくなっている。このため、もし歯車部37,38,50,51が限界温度Tyに到達すると、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38との衝突の方が、駆動側外歯車部50と駆動側内歯車部37との衝突に比べて発生しやい。このように、従動側の方が衝突の発生しやすい関係に設定しておくと、外歯車部50,51と内歯車部37,38との衝突に伴う打音を抑制するためには、駆動側及び従動側のうち従動側について歯車部51,38の熱膨張を管理すれば済むことになる。このため、バルブタイミング調整装置10の設計負担を低減することができる。
本実施形態では、図7に示すように、限界温度Tyよりも低い温度を基準温度Tpとし、この基準温度Tpについて、従動側外歯車部51のピッチ円外径Da2を基準径Da2pとし、従動側内歯車部38のピッチ円内径Db2を基準径Db2pとしている。この場合、従属側について、従動側外歯車部51の線膨張係数αa2と、従動側内歯車部38の線膨張係数αb2とを用いると、
Da2p×αa2>Db2p×αb2…(1)
という関係が成り立つ。すなわち、基準径Da2pと線膨張係数αa2との積が、基準径Db2pと線膨張係数αb2との積に比べて大きい、という関係になっている。
従属側と同様に、駆動側についても、基準温度Tpについて、駆動側外歯車部50のピッチ円外径Da1を基準径Da1pとし、駆動側内歯車部37のピッチ円内径Db1を基準径Db1pとしている。この場合、駆動側外歯車部50の線膨張係数αa1と、駆動側内歯車部37の線膨張係数αb1とを用いると、
Da1p×αa1>Db1p×αb1…(2)
という関係が成り立つ。すなわち、基準径Da1pと線膨張係数αa1との積が、基準径Db1pと線膨張係数αb1との積に比べて大きい、という関係になっている。なお、基準温度Tpは例えば20℃等の常温とされる。
ここまで説明した本実施形態によれば、外歯車部50,51の線膨張係数αa1,αa2が内歯車部37,38の線膨張係数αb1,αb2に比べて大きくなっている。このため、バルブタイミング調整装置10での温度上昇に伴って、外径差ΔD1,ΔD2が小さくなる。すなわち、外歯車部50,51と内歯車部37,38とが相対的に移動可能な想定距離CL1,CL2が小さくなる。想定距離CL1,CL2は、噛み合った外歯50a,51aと内歯37a,38aとが離間するように、外歯車部50,51と内歯車部37,38とを径方向に仮想で移動させた場合に、噛み合っていた外歯50a,51aと内歯37a,38aとの離間距離である。想定距離CL1は駆動側についての移動可能な距離であり、想定距離CL2は従動側についての移動可能な距離である。
例えば、想定距離CL2について、図9、図10を参照しつつ説明する。仮想的に移動させる前の状態において従動側外歯車部51と従動側内歯車部38とが噛み合っていた部分の外歯51aと内歯38aとについて、仮想的に移動させた後の図9、図10において最短距離を想定距離CL2としている。図9には、内燃機関80の冷間始動時などバルブタイミング調整装置10の潤滑油等の温度が十分に低下した場合の想定距離CL2が示されている。この場合、潤滑油の粘度が大きいことで従動側外歯車部51と従動側内歯車部38との相対的な移動が潤滑油によって規制されやすいため、想定距離CL2がある程度大きくても、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38とが衝突する際の勢いが大きくなりにくい。
一方、図10には、内燃機関80が運転中でバルブタイミング調整装置10の潤滑油等の温度が高温になった場合の想定距離CL2が示されている。この場合の想定距離CL2は、従動側外歯車部51の線膨張係数αa2が従動側内歯車部38の線膨張係数αb2に比べて大きいことに起因して、冷間始動時の想定距離CL2に比べて小さくなっている。このため、温度上昇に伴って潤滑油の粘度が小さくなっていても、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38とが衝突する際の移動距離が小さいことに起因してその衝突の勢いが大きくなりにくい。したがって、バルブタイミング調整装置10の温度が高い場合でも低い場合でも、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38が衝突する際の打音を低減することができる。
本実施形態によれば、外歯車部50,51の温度上昇に伴うピッチ円外径Da1,Da2の増加率が、内歯車部37,38の温度上昇に伴うピッチ円内径Db1,Db2の増加率に比べて大きい。また、上記(1)の関係及び(2)の関係が成り立っている。これらの場合、線膨張係数αb1,αb2,αa1,αa2に加えて、ピッチ円外径Da1,Da2やピッチ円内径Db1,Db2が考慮されていることになるため、温度上昇に伴って想定距離CL1,CL2が小さくなる構成を確実に実現できる。
本実施形態によれば、駆動側外歯車部50の線膨張係数αa1と駆動側内歯車部37の線膨張係数αb1とが同じ値に設定されているとともに、従動側外歯車部51の線膨張係数αa2と従動側内歯車部38の線膨張係数αb2とが同じ値に設定されている。この場合、駆動側の熱膨張と従動側の熱膨張とについて、設計段階などにおいてまとめて管理することができる。このため、外歯車部50,51と内歯車部37,38との衝突に伴って意図しない打音が発生することの抑制や、予想外に打音が大きいということの抑制を容易化できる。
本実施形態によれば、外歯車部50,51の線膨張係数αa1,αa2と内歯車部37,38の線膨張係数αb1,αb2との比を適正に設定すれば、歯車部37,38,50,51の寸法を専用値に設定しなくても、上記(1),(2)の関係が成立する。このため、バルブタイミング調整装置10の設計段階において、寸法の変更を行うという必要がなくなることで、設計作業についてのコスト負担の増加を抑制することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、バルブタイミング調整装置10の減速機構27が遊星歯車49を有していたが、第2実施形態では、減速機構が遊星歯車49に代えて複数のローラを有している。
図11〜図15に示すバルブタイミング調整装置100は、スプロケット101、カムシャフト102、カバー部材103、位相変更部104を有している。スプロケット101は、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体である。カムシャフト102は、図示しないシリンダヘッド上に軸受144を介して回転自在に支持され、スプロケット101から伝達された回転力によって回転し、カム軸に相当する。カバー部材103は、スプロケット101の前方位置に配置されて、チェーンカバー140にボルトによって取り付け固定された固定部材である。位相変更部104は、スプロケット101とカムシャフト102との間に配置されて、機関運転状態に応じてスプロケット101とカムシャフト102との相対回転位相を変更する。なお、チェーンカバー140は、シリンダヘッドにボルトによって取り付け固定されている。
スプロケット101は、円環状のベース部101a、ギア部101bを有している。ベース部101aは、全体が鉄系金属によって一体に形成され、内周面が段差径状に形成されている。ギア部101bは、ベース部101aの外周に一体に設けられ、巻回されたタイミングチェーン142を介してクランクシャフトからの回転力を受ける。また、ベース部101aの内周側に形成された円形のベース溝101cと、カムシャフト102の前端部に一体に設けられた肉厚なフランジ部102aの外周との間には、第2ボールベアリング143が設けられている。スプロケット101は、この第2ボールベアリング143によってカムシャフト102に回転自在に支持されている。
ベース部101aの前端部外周縁には、環状のベース突起101eが一体に設けられている。ベース部101aの前端部には、ベース突起101eの内周側に同軸上に位置決めされた環状部材119が配置されていると共に、この環状部材119の前端面には大径円環状のプレート106がボルト107によって軸方向から共締め固定されている。また、ベース部101aの内周面の一部には、図23に示すように、円弧状の係合部であるストッパ突部101dが周方向に沿って所定長さ範囲まで形成されている。プレート106の前端側外周には、位相変更部104の後述する電動モータ112の一部を構成する円筒状のハウジング105がボルト111によって固定されている。
環状部材119の内周には、波形状の噛み合い部である内歯119aが形成されている。プレート106の前端側外周には、位相変更部104の後述する電動モータ112の一部を構成する円筒状のハウジング105が固定されている。プレート106の前端側外周には、位相変更部104の後述する電動モータ112の一部を構成する円筒状のハウジング105がボルト111によって固定されている。
ハウジング105は、鉄系金属によって横断面がコ字形状に形成されてヨークとして機能し、前端側としての底部側に円環プレート状の保持部105aを一体に有している。また、ハウジング105においては、保持部105aを含めた外周側全体が、カバー部材103によって所定の隙間をもって覆われている。
カムシャフト102は、外周に一気筒当たり2つの吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つの駆動カムを有していると共に、前端部に従動回転体である従動部材109がカムボルト110によって軸方向から結合されている。各吸気弁は、図示しないバルブスプリングによってそれぞれ閉方向に付勢されている。したがって、かかるバルブスプリングのばね力などに起因してカムシャフト102に正負の交番トルクが発生する。
また、カムシャフト102のフランジ部102aには、図13に示すように、ベース部101aのストッパ突部101dが係入するストッパ溝102bが円周方向に沿って形成されている。このストッパ溝102bは、円周方向へ所定長さの円弧状に形成されて、カムシャフト102がこの長さ範囲で回動してストッパ突部101dの端縁101f,101gに周方向の対向縁102c,102dがそれぞれ当接する。これにより、スプロケット101に対するカムシャフト102の最大進角側あるいは最大遅角側の相対回転位置をストッパ溝102bが規制するようになっている。
ここで、カムシャフト102が回転して、図13に示すように、カムシャフト102側の一方の対向縁102dがスプロケット101側の一方の端縁101gに当接規制された状態では、最大遅角側の相対回転位相となる。この場合、逆に他方の対向縁102cが他方の端縁101fに当接規制された状態で最大進角側の相対回転位相になる。この両ストッパ突部101dとストッパ溝102bによってストッパ機構が構成されている。
カムボルト110は、頭部110aと、この頭部110aに一体に有する軸部110bとからなり、頭部110aの軸部110b側の端縁にフランジ状の座面部110cが一体に形成されている。また、軸部110bの外周にカムシャフト102の先端縁から内部軸方向に形成された雌ネジ部102eに螺着する雄ネジ部110dが形成されている。
従動部材109は、鉄系金属材によって一体に形成され、図11に示すように、後端側に形成された円板部109aと、この円板部109aの前端面に一体に形成された円筒状の円筒部109bと、から構成されている。
円板部109aは、後端面の径方向ほぼ中央位置にカムシャフト102のフランジ部102aとほぼ同じ外径で環状の段差突起109cが一体に設けられている。また、円板部109aは、この段差突起109cの外周面とフランジ部102aの外周面が対峙しながら第2ボールベアリング143の内輪143aの内周に挿通配置されている。これによって、組付時におけるカムシャフト102と従動部材109との軸芯作業が容易になる。なお、第2ボールベアリング143の外輪143bは、ベース部101aのベース溝101cの内周面に圧入固定されている。
また、円板部109aの外周部には、図11、図12に示すように、後述する転動体であるローラ134を保持する保持部材である保持器141が一体に設けられている。この保持器141は、円板部109aの外周部に一体に形成された円環状基部から円筒部109bと同じ方向、つまり円筒部109bの軸方向へ突出して形成された複数の突起部141aを有している。この各突起部141aは、ほぼ櫛歯状に形成されて、それぞれ横断面ほぼ矩形状に形成されていると共に、円環状基部の円周方向のほぼ等間隔位置に所定の隙間をもって形成されている。なお、突起部141aがローラ134を保持するローラ保持部に相当する。
円筒部109bは、図11に示すように、中央にカムボルト110の軸部110bが挿通される挿通孔109dが貫通形成されていると共に、外周側に後述するニードルベアリング128が設けられている。
カバー部材103は、図11及び図15に示すように、非磁性である合成樹脂材によって一体に形成され、カップ状に膨出したカバー本体103aと、このカバー本体103aの後端部外周に一体に有するブラケット103bと、から構成されている。
カバー本体103aは、位相変更部104の前端側を覆っている。この場合、カバー本体103aは、ハウジング105の前端側の保持部105aから後端部側のほぼ全体を、所定隙間をもって覆うように配置されていると共に、ほぼ平坦状の前端壁のほぼ中央位置には作業用孔103cが貫通形成されている。この作業用孔103cは、オイルシール150と位相変更部104の同軸を合わせるためのものであって、組付完了後は、横断面ほぼコ字形状の第1栓部129が嵌着固定されて内部を閉塞するようになっている。一方、ブラケット103bには、ほぼ円環状に形成された6つのボス部にそれぞれボルト挿通孔103fが貫通形成されている。
また、カバー部材103は、図11に示すように、ブラケット103bのボルト挿通孔103fを挿通した複数のボルト147によってチェーンカバー140に固定されている。また、カバー本体103aの前端壁の内周面には、内外2重のスリップリング148a,148bが各内端面を露出した状態で一体的に埋設固定されている。各スリップリング148a,148bは、ほぼ薄板円環状に形成されて所定の隙間をもって内外に配置されていると共に、それぞれの軸方向の外端部が前端壁の内面側に埋設状態に固定されている。
さらにカバー部材103の上端部には、コネクタ部149が設けられている。このコネクタ部149は、基端部がカバー部材103の内部に埋設固定された長板状のコネクタ端子149aを有すると共に、カバー部材103の内部に埋設固定されている。また、コネクタ部149は、一端部がコネクタ端子149aの基端部に接続され、他端部が各スリップリング148a,148bに接続されたクランク状の導電部材149bを有している。コネクタ端子149aには、コントローラ121を介して図示しないバッテリー電源から通電あるいは通電が遮断されるようになっている。
カバー本体103aの後端部側の内周面とハウジング105の外周面との間には、図11及び図14に示すように、シール部材である大径な第1オイルシール150が介装されている。この第1オイルシール150は、横断面ほぼコ字形状に形成されて、合成ゴムの基材の内部に芯金が埋設されていると共に、外周側の円環状基部150aがカバー部材103後端部の内周面に形成された円形溝103d内に嵌着固定されている。また、円環状基部150aの内周側には、ハウジング105の外周面に当接するシール面150bが一体に形成されている。
位相変更部104は、カムシャフト102のほぼ同軸上前端側に配置されたアクチュエータである電動モータ112と、この電動モータ112の回転速度を減速してカムシャフト102に伝達する減速機構108と、から構成されている。
電動モータ112は、図11に示すように、ブラシ付きのDCモータであって、スプロケット101と一体に回転するヨークであるハウジング105と、このハウジング105の内部に回転自在に設けられたモータ出力軸113と、ハウジング105の内周面に固定された半円弧状の一対の永久磁石114,115と、ハウジング保持部105aの内底面側に設けられた固定子であるステータ116と、を備えている。
モータ出力軸113は、筒状に形成されてアーマチュアとして機能し、軸方向のほぼ中央位置の外周に、複数の極を持つ鉄心ロータ117が固定されていると共に、この鉄心ロータ117の外周に電磁コイル118が巻回されている。また、モータ出力軸113の前端部外周には、コミュテータ120が圧入固定されている。このコミュテータ120の鉄心ロータ117の極数と同数に分割された各セグメントに、電磁コイル118がハーネスによって接続されている。さらに、モータ出力軸113の内部には、カムボルト110が締結された後に内部を閉塞する横断面ほぼコ字形状の第2栓部131が圧入固定されている。これによって、オイルの自由な排出を阻止するようになっている。
ステータ116は、図15に示すように、保持部105aの内底壁に4本のビス122aによって固定された円環板状の樹脂ホルダ122と、この樹脂ホルダ122と保持部105aに軸方向から貫通配置されて、各先端面が一対のスリップリング148a,148bに摺接して給電される周方向内外2つの給電用ブラシである第1ブラシ123a,123bと、樹脂ホルダ122の内周側に内方へ進退自在に保持されて、円弧状の先端部がコミュテータ120の外周面に摺接する通電切換用ブラシである第2ブラシ124a,124bと、から主として構成されている。
第1ブラシ123a,123bと第2ブラシ124a,124bは、ピッグテールハーネス25a,25bによって接続されていると共に、それぞれに弾接した捩りばね126a,127aのばね力によってスリップリング148a,148b側やコミュテータ120側へそれぞれ付勢されている。
モータ出力軸113は、図11に示すように、従動部材109の円筒部109bの外周側に設けられたニードルベアリング128と、カムボルト110の座面部110c側の軸部110bの外周側に設けられた第3ボールベアリング135と、によってカムボルト110に回転自在に支持されている。また、モータ出力軸113のカムシャフト102側の後端部には、減速機構108の一部を構成する円筒状の偏心回転体である偏心軸部130が一体に設けられている。
ニードルベアリング128は、図12に示すように、偏心軸部130の内周面に圧入された円筒状のリテーナ128aと、このリテーナ128aの内部に回転自在に保持された複数のニードルローラ128bとから構成されている。このニードルローラ128bは、従動部材109の円筒部109bの外周面を転動している。
第3ボールベアリング135は、内輪135aが従動部材109の円筒部109bの前端縁とカムボルト110の座面部110cとの間に挟持状態に固定されている。一方、外輪135bがモータ出力軸113の内周に形成された段差部と抜け止めリングであるスナップリング136との間に軸方向から挟持された状態で位置決め支持されている。
また、モータ出力軸113の外周面とプレート106の内周面との間には、減速機構108の内部から電動モータ112内への潤滑油のリークを阻止する第2オイルシール132が設けられている。この第2オイルシール132は、シール機能の他に、内周部がモータ出力軸113の外周面に弾接していることによって、このモータ出力軸113の回転に対して摩擦抵抗を付与するようになっている。
コントローラ121は、クランク角センサやカム角センサ、エアフロメータ、水温センサ、アクセル開度センサなど各種のセンサ類から情報信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して、点火時期や燃料噴射量などを制御している。クランク角センサはクランクシャフトの回転位置を検出し、カム角センサはカムシャフト102の回転位置を検出し、エアフロメータは吸入空気を検出する。
また、コントローラ121は、クランク角センサとカム角センサから出力された検出信号によってクランクシャフトとカムシャフト102の相対回転角度位相を検出する。そして、これらの検出信号に基づいて電動モータ112の電磁コイル118に通電してモータ出力軸113の正逆回転制御を行い、減速機構108を介してスプロケット101に対するカムシャフト102の相対回転位相を制御する。
減速機構108は、図11、図12に示すように、偏心軸部130、第1ボールベアリング133、ローラ134、保持器141及び従動部材109を有している。偏心軸部130は、偏心回転運動を行う部材であり、第1ボールベアリング133は、偏心軸部130の外周に設けられた回転部材である。ローラ134は、第1ボールベアリング133の外周に複数設けられた転動体であり、保持器141は、ローラ134を転動方向に保持しつつ径方向の移動を許容する部材である。従動部材109は、保持器141に一体的に設けられている。
偏心軸部130は、円筒状に形成されて、外周面に形成されたカム面の軸心Yがモータ出力軸113の軸心Xから径方向へ僅かに偏心している。
第1ボールベアリング133は、大径状に形成されて、ニードルベアリング128の径方向位置で全体がほぼオーバラップする状態に配置されている。また、第1ボールベアリング133においては、内輪133aと外輪133bとの間に複数のボール33cが転動自在に支持され、内輪133aが偏心軸部130の外周面に圧入固定されていると共に、外輪133bの外周面にはローラ134が常時当接している。また、外輪133bの外周側には、図12にも示すように、三日月円環状の隙間Cが形成されて、この隙間Cを介して第1ボールベアリング133全体が偏心軸部130の偏心回転に伴って径方向へ移動可能、つまり偏心動可能になっている。そして、第1ボールベアリング133と偏心軸部130が偏心回転体として構成されている。
各ローラ134は、金属材からなる中実な円柱状に形成され、後述する予め外径の異なる複数形成されている中から特定のものから選択されている。また、各ローラ134は、内周面が第1ボールベアリング133の外輪133bの外周面に偏心動に伴って所定の領域のものが当接すると共に、外周側が環状部材119の内歯119aに一部が嵌入している。また、第1ボールベアリング133の偏心動に伴って径方向へ移動しつつすると共に、保持器141の各突起部141aによって周方向にガイドされつつ径方向へ揺動運動するようになっている。
保持器141は、前述したように、周方向へ一定の間隔をもって設けられた複数の突起部141aを有し、この各突起部141aの軸方向の一端側、つまり従動部材109側が閉塞されている。保持器141においては、従動部材109とは反対側が開口されていて、この開口部141bがボルト107によって共締めされた際に、プレート106によって閉塞されるようになっている。
そして、各ローラ134は、図12の下部に示すように、第1ボールベアリング133の偏心位置によっては一部が環状部材119の各内歯119aに嵌合していない。この場合、各ローラ134は、各内歯119aから外れて各内歯119a間の山頂部に位置しているか、あるいは不完全な嵌合状態になっている。また、図12の上部に示すように、各内歯119aに完全に嵌合している状態にある領域でも、内歯119aの内面19bとローラ134の外周面との間に、微小なクリアランスが形成されている。これにより、各ローラ134の転動性やVTCの騒音の低減化、制御応答性などを確保している。
減速機構108の内部には、潤滑油供給手段によって潤滑油が供給されるようになっている。この潤滑油供給手段は、図11に示すように、油供給通路145、油供給孔146、油溝146a、オイル供給孔146bを有している。油供給通路145は、シリンダヘッドの軸受144に軸受されるカムシャフト102のジャーナルの外周に形成された円環溝状の通路である。油供給孔146は、カムシャフト102の内部軸方向に形成されて、油供給通路145に連通している。油溝146aは、カムシャフト102の先端面に形成されて、油供給孔146の下流端に接続されている。オイル供給孔146bは、従動部材109の内部軸方向に貫通形成されて、一端が油溝146aに開口し、他端がニードルベアリング128と第1ボールベアリング133の付近に開口した小径な孔である。また、潤滑油供給手段は図示しない3つのオイル排出孔を有しており、オイル排出孔は、従動部材109に貫通形成された大径な孔である。
油供給通路145は、シリンダヘッドの内部に形成された図示しないメインオイルギャラリーを介してオイルポンプから潤滑油が常時供給されるようになっている。したがって、ニードルベアリング128や第1ボールベアリング133及び環状部材119の内歯119a、各ローラ134、保持器141の各突起部141aなどには常時十分な潤滑油が供給されるようになっている。
以下、本実施形態におけるバルブタイミング調整装置100の基本的な作動について説明する。まず、機関のクランクシャフトが回転駆動するとタイミングチェーン142を介してスプロケット101が回転する。そして、その回転力が環状部材119とプレート106を介して電動モータ112のハウジング105に伝達されて永久磁石114,115やステータ116が同期回転する。一方、環状部材119の回転力が、ローラ134から保持器141及び従動部材109を経由してカムシャフト102に伝達される。これによって、カムシャフト102は、クランクシャフトの1/2の回転速度で回転しつつ外周側のカムが吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる。
そして、機関始動後の通常運転時には、コントローラ121の制御信号によってバッテリー電源からスリップリング148a,148bなどを介して電動モータ112の電磁コイル118に通電される。これによって、モータ出力軸113が正逆回転制御され、この回転力が減速機構108を介してカムシャフト102に伝達されてスプロケット101に対する相対回転位相が制御されるようになっている。
すなわち、モータ出力軸113の回転に伴い偏心軸部130が偏心回転すると、各ローラ134がモータ出力軸113の1回転毎に保持器141の各突起部141aの側面で径方向へガイドされる。これらローラ134は、ガイドされながら環状部材119の一の内歯119aを乗り越えて隣接する他の内歯119aに転動しながら移動し、これを順次繰り返しながら円周方向へ転接する。この各ローラ134の転接によってモータ出力軸113の回転が減速されつつ従動部材109を介してカムシャフト102に回転力が伝達される。このときの減速比は、ローラ134の個数などによって任意に設定することが可能であり、ローラ134の数を多くすれば減速比は小さくなり、少なくすれば大きくなる。
これにより、カムシャフト102がスプロケット101に対して正逆相対回転して相対回転位相が変換されて、吸気弁の開閉タイミングを進角側あるいは遅角側に変換制御するのである。
スプロケット101に対するカムシャフト102の正逆相対回転の最大位置規制は、前述したように、ストッパ突部101dの各端縁101f,101gがストッパ溝102bの各対向縁102c,102dのいずれか一方に当接することで行われる。
つまり、カムシャフト102と共に回転する従動部材109が、偏心軸部130の偏心回動に伴って、図13に矢印で示すように、スプロケット101の回転方向と同方向に回転する。これにより、ストッパ突部101dの他方の端縁101fにストッパ溝102bの他方側の対向縁102cが当接してそれ以上の同方向の回転が規制される。この結果、カムシャフト102は、スプロケット101に対する相対回転位相が進角側へ最大に変更される。
一方、従動部材109がスプロケット101の回転方向と逆方向に回転することによって、ストッパ突部101dの一方の端縁101gにストッパ溝102bの一方側の対向縁102dが当接してそれ以上の同方向の回転が規制される。これにより、カムシャフト102は、スプロケット101に対する相対回転位相が遅角側へ最大に変更される。
この結果、吸気弁の開閉タイミングが進角側あるいは遅角側へ最大に変換されて、機関の燃費や出力の向上が図れる。
このように、ストッパ突部101dとストッパ溝102bのストッパ機構によってカムシャフト102の相対回転位置を確実に規制することができる。
バルブタイミング調整装置100においては、上記第1実施形態のバルブタイミング調整装置10と同様に、各部品が熱膨張することが考えられる。本実施形態では、各部品の線膨張係数として、ローラ134の線膨張係数βa、第1ボールベアリング133の線膨張係数βb、環状部材119の線膨張係数βc、保持器141の線膨張係数βdが設定されている。第1ボールベアリング133については、外輪133bの線膨張係数を第1ボールベアリング133の線膨張係数βbとしている。本実施形態では、線膨張係数の大きさが、βb>βd>βcの関係、及びβa>βdの関係に設定されている。環状部材119及び保持器141は、SUS440C等の鋼材により形成されており、第1ボールベアリング133の外輪133b及びローラ134は、環状部材119及び保持器141とは異なるSUJ2等の鋼材により形成されている。
図16に示すように、ローラ134は、直径としての外径Baを有しており、環状部材119は、ピッチ円直径であるピッチ円内径Bcを有している。第1ボールベアリング133の外径Bbは、外輪133bの外径であり、環状部材119のピッチ円内径Bcに比べて小さくなっている。本実施形態では、保持器141においては、複数の突起部141aの各中心を結んだ仮想円M(図19参照)の直径を保持径Bdと称する。この保持径Bdは、第1ボールベアリング133の外径Bbに比べて大きい一方で、環状部材119のピッチ円内径Bcに比べて小さくなっている。ここでは、第1ボールベアリング133の外径Bbと環状部材119のピッチ円内径Bcとの差異を径差ΔB1としている。なお、仮想円Mは、各突起部141aの内周側端部を結んだ円とされていてもよく、外周側端部を結んだ円とされていてもよい。
ここで、環状部材119及び第1ボールベアリング133が熱膨張した場合には、径差ΔB1が変化すると考えられる。本実施形態では、環状部材119及び第1ボールベアリング133の温度上昇に伴って径差ΔB1が小さくなるように、これら第1ボールベアリング133の線膨張係数βbと、環状部材119の線膨張係数βcとが設定されている。図17に示すように、第1ボールベアリング133の外径Bbの増加率が環状部材119のピッチ円内径Bcの増加率に比べて大きくなっており、温度上昇に伴って径差ΔB1が小さくなる。
また、保持器141の保持径Bdの増加率が、第1ボールベアリング133の外径Bbの増加率より大きく、環状部材119のピッチ円内径Bcの増加率より小さくなっている。このため、第1ボールベアリング133に比べて保持器141が熱膨張しなさ過ぎて、外径Bbと保持径Bdとの差異が小さくなり過ぎて保持器141と第1ボールベアリング133との相対的な回転が阻害される、ということが抑制される。また、環状部材119に比べて保持器141が熱膨張し過ぎて、ピッチ円内径Bcと保持径Bdとの差異が小さくなり過ぎて保持器141と環状部材119との相対的な回転が阻害される、ということが抑制される。
図17、図18に示すように、温度上昇に伴って、第1ボールベアリング133の外径Bbと環状部材119のピッチ円内径Bcとの径差ΔB1が小さくなる一方で、ローラ134の外径Baが大きくなる。すなわち、温度上昇に伴って、第1ボールベアリング133と環状部材119との間において、これら第1ボールベアリング133及び環状部材119とローラ134との離間距離が小さくなる。この場合、第1ボールベアリング133と環状部材119との間にローラ134が挟み込まれた状態になってそのローラ134の回転が阻害されるほどに径差ΔB1が小さくなると、減速機構108が適正に動作しない可能性が高くなる。
本実施形態では、径差ΔB1が小さくなり過ぎてローラ13の回転が阻害されるという状態にならない範囲で径差ΔB1の極力小さい値を限界値ΔBz1と称し、径差ΔB1が限界値ΔBz1まで小さくなる温度を限界温度Tz1と称する。バルブタイミング調整装置100においては、内燃機関の通常の運転において環状部材119、第1ボールベアリング133及びローラ134が到達し得る温度(例えば130℃)よりも限界温度Tz1が高くなるように、これらの鋼材や材料が選択されている。すなわち、バルブタイミング調整装置100の潤滑油が到達し得る温度よりも限界温度Tz1が高くなるように、環状部材119、第1ボールベアリング133、ローラ134及び保持器141の鋼材や材料が選択されている。
本実施形態では、限界温度Tz1よりも低い温度を基準温度Tqと称し、この基準温度Tqについて、第1ボールベアリング133の外径Bbを基準径Bbqと称する。また、この基準温度Tqについて、環状部材119のピッチ円内径Bcを基準径Bcqと称し、保持器141の保持径Bdを基準径Bdqと称し、ローラ134の外径Baを基準径Baqと称する。この場合、ローラ134の線膨張係数βaと、第1ボールベアリング133の外輪133bの線膨張係数βbと、環状部材119の線膨張係数βcとを用いると、
Baq×βa+Bbq×βb>Bcq×βc…(3)
という関係が成り立つ。すなわち、基準径Baqと線膨張係数βaとの積と、基準径Bbqと線膨張係数βbとの積との和が、基準径Bcqと線膨張係数βcとの積に比べて大きい、という関係になっている。なお、基準温度Tqは、例えば20℃等の常温とされる。
図19に示すように、保持器141において隣り合う突出部134aの離間距離である保持距離L1が、ローラ134の外径Baに比べて大きくなっている。隣り合う突出部134aにおいては、互いに対向する対向面において仮想円Mが通る点同士の直線距離を保持距離L1としている。ここでは、保持距離L1とローラ134の外径Baとの差異を寸法差ΔB2(図22、図23参照)としている。
図20、図21に示すように、ローラ134及び保持器141の温度上昇に伴って寸法差ΔB2が小さくなるように、ローラ134の線膨張係数βaと、保持器141の線膨張係数βdとが設定されている。ローラ134の外径Baの増加率が保持器141の保持距離L1の増加率に比べて大きくなっており、温度上昇に伴って寸法差ΔB2が小さくなる。このため、ローラ134が保持器141に比べて熱膨張し過ぎて、隣り合う突出部134aの間にローラ134が挟み込まれてローラ134の回転が阻害される、ということが抑制される。
本実施形態では、隣り合う突出部134aの間に挟みこまれてローラ134の回転が阻害されるという状態にならない範囲で寸法差ΔB2が極力小さい値を限界値ΔBz2と称し、寸法差ΔB2まで小さくなる温度を限界温度Tz2と称する。バルブタイミング調整装置100においては、ローラ134及び保持器141が到達し得る温度(例えば130℃)よりも限界温度Tz2が高くなるように、これらローラ134及び保持器141の鋼材や材料が選択されている。
上記基準温度Tqは、限界温度Tz1だけでなく限界温度Tz2よりも低い温度であり、この基準温度Tqについて、ローラ134の外径Baを基準径Baqと称し、保持器141の保持距離L1を基準距離L1qと称する。この場合、ローラ134の線膨張係数βaと、保持器141の線膨張係数βdとを用いると、
Baq×βa>L1q×βd…(4)
という関係が成り立つ。すなわち、基準径Baqと線膨張係数βaとの積が基準距離L1qと線膨張係数βdとの積に比べて大きい、という関係になっている。
また、基準温度Tqにおいては、保持器141の径方向での突起部141aの幅寸法がローラ134の外径Baより小さくなっている。この場合、ローラ134が第1ボールベアリング133や環状部材119に確実に接触する構成が実現されるため、ローラ134が第1ボールベアリング133や環状部材119に接触せずに減速機構108が適正に動作しないということを抑制できる。
ここまで説明した本実施形態によれば、第1ボールベアリング133の外輪133bの線膨張係数βbが環状部材119の線膨張係数βcに比べて大きくなっているため、バルブタイミング調整装置100での温度上昇に伴って、径差ΔB1が小さくなる。すなわち、第1ボールベアリング133及び環状部材119の間において、ローラ134が第1ボールベアリング133の径方向に移動可能な想定距離CL3が小さくなる。想定距離CL3,CL2は、互いに噛み合っている環状部材119の内歯119aとローラ134とが離間するように、第1ボールベアリング133と環状部材119とを径方向に仮想的に移動させた場合に、噛み合っていた内歯119aとローラ134との離間距離である。
想定距離CL3について、図22、図23を参照しつつ説明する。仮想的に移動させる前の状態では内歯119aとその内歯119aの底部に接触していたローラ134とについて、仮想的に移動させた後の図22、図23において内歯119aの底部とローラ134との最短距離を想定距離CL3としている。図22には、内燃機関の冷間始動時などバルブタイミング調整装置100の潤滑油等の温度が十分に低下している場合の想定距離CL3が示されている。この場合、潤滑油の粘度が大きいことで第1ボールベアリング133とローラ134と環状部材119との相対的な移動が潤滑油によって規制されやすい。このため、想定距離CL3がある程度大きくても、第1ボールベアリング133や環状部材119とローラ134とが衝突する際の勢いが大きくなりにくい。
一方、図23には、内燃機関が運転中でバルブタイミング調整装置100の潤滑油等の温度が高温になった場合の想定距離CL3が示されている。この場合の想定距離CL3は、第1ボールベアリング133の外輪133bの線膨張係数βbが環状部材119の線膨張係数βcに比べて大きいことに起因して、冷間始動時の想定距離CL3に比べて小さくなっている。このため、温度上昇に伴って潤滑油の粘度が小さくなっていても、ローラ134が第1ボールベアリング133や環状部材119に衝突する際の移動距離が小さく、その衝突の勢いが大きくなりにくい。したがって、バルブタイミング調整装置100の温度が低い場合でも高い場合でも、第1ボールベアリング133や環状部材119にローラ134が衝突する際の打音を低減することができる。
本実施形態によれば、第1ボールベアリング133の温度上昇に伴う外径Bbの増加率が、環状部材119の温度上昇に伴うピッチ円内径Bcの増加率に比べて大きい。このように、第1ボールベアリング133及び環状部材119について、線膨張係数βb,βcに加えて、外径Bbやピッチ円内径Bcが考慮されているため、温度上昇に伴って想定距離CL3が小さくなる構成を実現できる。
本実施形態によれば、ローラ134の外径Baの増加率が、環状部材119のピッチ円内径Bcと第1ボールベアリング133の外径Bbとの差である径差ΔB1の増加率に比べて大きい。また、上記(3)の関係が成り立っている。これら場合、第1ボールベアリング133と環状部材119との間の離間空間でのローラ134の移動態様が、ローラ134の膨張度合いまで含めて考慮されているため、温度上昇に伴って想定距離CL1が小さくなる構成をより確実に実現できる。
本実施形態によれば、第1ボールベアリング133の線膨張係数βbと環状部材119の線膨張係数βcとの比を適正に設定することで、第1ボールベアリング133や環状部材119の寸法を従来から変更しなくても、上記(3)の関係を満たすことができる。このため、バルブタイミング調整装置100の設計段階において、寸法の変更を行うという必要がなくなることで、設計変更についてのコスト負担の増加を抑制することができる。
本実施形態によれば、ローラ134の線膨張係数βaが保持器141の線膨張係数βdに比べて大きくなっているため、バルブタイミング調整装置100での温度上昇に伴って、寸法差ΔB2が小さくなる。ここで、寸法差ΔB2は、保持器141の隣り合う突起部141aの間において、ローラ134が仮想円Mの周方向に移動可能な距離である。
図22に示すように、潤滑油の熱が十分に放出された状態においては、潤滑油の粘度が大きいことで保持器141の突起部141aとローラ134との相対的な移動が潤滑油によって規制されやすい。このため、寸法差ΔB2がある程度大きくても、突起部141aとローラ134とが衝突する際の勢いが大きくなりにくい。
一方、図23に示すように、潤滑油の温度が高温になった場合、寸法差ΔB2は、ローラ134の線膨張係数βaが保持器141の線膨張係数βdに比べて大きいことに起因して、冷間始動時の寸法差ΔB2に比べて小さくなっている。このため、温度上昇に伴って潤滑油の粘度が小さくなっていても、ローラ134が突起部141aに衝突する際の移動距離が小さく、その衝突の勢いが大きくなりにくい。したがって、バルブタイミング調整装置100の温度が低い場合でも高い場合でも、保持器141の突起部141aにローラ134が衝突する際の打音を低減することができる。
本実施形態によれば、ローラ134の温度上昇に伴う外径Baの増加率が、保持器141の温度上昇に伴う保持距離L1の増加率に比べて大きい。また、上記(4)の関係が成り立っている。これらの場合、ローラ134及び保持器141について、線膨張係数βa,βdに加えて、外径Baや隣り合う突起部141aの保持距離L1が考慮されているため、温度上昇に伴って寸法差ΔB2が小さくなる構成を実現できる。
本実施形態によれば、ローラ134の線膨張係数βaと保持器141の線膨張係数βdとの比を適正に設定することで、ローラ134や保持器141の寸法を従来から変更しなくても、上記(4)の関係を満たすことが可能になる。このため、バルブタイミング調整装置100の設計段階において、寸法の変更を行うという必要がなくなることで、設計変更についてのコスト負担の増加を抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、上記第1実施形態において、内歯車部37,38の線膨張係数αb1,αb2が同じ値になっているのではなく、これら線膨張係数αb1,αb2は異なる値になっていてもよい。すなわち、駆動側内歯車部37と従動側内歯車部38とが異なる鋼材により形成されていてもよい。同様に、外歯車部50,51の線膨張係数αa1,αabが同じ値になっていたが、これら線膨張係数αa1,αabは異なる値になっていてもよい。すなわち、駆動側外歯車部50と従動側外歯車部51とが異なる鋼材により形成されていてもよい。これらの場合でも、駆動側及び従動側のそれぞれについて、外歯車部50,51の線膨張係数αa1,αa2が内歯車部37の線膨張係数αb1,αb2に比べて大きくなっていればよい。
変形例2として、上記第1実施形態において、従動側についての限界径差ΔDy2が駆動側についての限界径差ΔDy1より小さくなっていなくてもよい。例えば、これら限界径差ΔDy1,ΔDy2が同じ値である構成とする。この構成では、もし歯車部37,38,50,51が限界温度Tyに到達した場合に、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38との衝突と、駆動側外歯車部50と従動側内歯車部38との衝突とが同じ度合いで発生すると考えられる。
また、駆動側についての限界径差ΔDy1が従動側についての限界径差ΔDy2より小さい構成とする。この構成では、もし歯車部37,38,50,51が限界温度Tyに到達すると、駆動側外歯車部50と従動側内歯車部38との衝突の方が、従動側外歯車部51と従動側内歯車部38との衝突に比べて発生しやすい。外歯車部50,51と内歯車部37,38との衝突に伴う打音を抑制するためには、駆動側及び従動側のうち駆動側について歯車部50,37の熱膨張を管理すれば済むことになる。
変形例3として、上記第1実施形態において、駆動側及び従動側のうち一方について、外歯車部50,51の線膨張係数αa1,αa2が内歯車部37の線膨張係数αb1,αb2に比べて大きくなっていなくてもよい。例えば、駆動側について、駆動側外歯車部50の線膨張係数αa1と駆動側内歯車部37の線膨張係数αb1とが同じ値になっている構成とする。
変形例4として、上記第2実施形態において、環状部材119の線膨張係数βcと保持器141の線膨張係数βdとが同じ値になっているのではなく、これら線膨張係数βc,βdは異なる値になっていてもよい。すなわち、環状部材119と保持器141とは異なる鋼材により形成されていてもよい。また、ローラ134の線膨張係数βaと第1ボールベアリング133の線膨張係数βbとが同じ値になっていなくてもよい。すなわち、ローラ134と第1ボールベアリング133の外輪133bとは異なる鋼材により形成されていてもよい。これらの場合でも、第1ボールベアリング133の線膨張係数βbが環状部材119の線膨張係数βcより大きくなっていればよい。まだ、ローラ134の線膨張係数βaが保持器141の線膨張係数βdより大きくなっていればよい。
変形例5として、上記第1,2実施形態について、バルブタイミング調整装置は、吸気弁のバルブタイミングを調整するのではなく、排気弁のバルブタイミングを調整してもよい。