JP6027481B2 - 撓み噛合い式歯車装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撓み噛合い式歯車装置に関する。
特許文献1に、起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該起振体と該外歯歯車との間に配置される起振体軸受と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置が開示されている。
特開2009−299765号公報
特許文献1で示すような撓み噛合い式歯車装置においては、製造誤差や初期摩耗を考慮し、外歯歯車と内歯歯車との間に与圧が付与されることがあり、当該与圧に起因するロスが発生する。その上、歯車装置の運転開始初期の段階では温度が低く、封入された潤滑剤の粘度が高いため、大きな始動トルクが必要となる。外歯歯車と内歯歯車との間の与圧を小さくする、あるいはゼロとすれば、与圧によるロスを低減して、始動トルクを低減できる。しかし、その場合には、運転開始初期の段階から時間が経過し定常運転となった段階で、外歯歯車と内歯歯車との間の与圧を小さくした結果生じるバックラッシで位置決め精度が悪化してしまうおそれが出てくる。
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべくなされたもので、定常運転の段階の位置決め精度の悪化を抑制しつつ、始動トルクを低減可能な撓み噛合い式歯車装置を提供することを課題とする。
本発明は、起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該起振体と該外歯歯車との間に配置される起振体軸受と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、前記起振体の線膨張係数が、前記内歯歯車の線膨張係数よりも大きく、温度上昇に伴って、該外歯歯車と該内歯歯車の間の与圧が大きくなることにより、前記課題を解決したものである。
本発明では、起振体の線膨張係数が、内歯歯車の線膨張係数よりも大きくされている。即ち、温度上昇により生じる内歯歯車の熱膨張量よりも起振体の熱膨張量の方が大きくなり、その結果外歯歯車の膨張量も大きくできる。このため、外歯歯車と内歯歯車との間に付与する与圧を小さく、あるいはゼロとしても、定常運転の段階では運転開始初期の段階に比べて内歯歯車に対して外歯歯車を相対的に径方向外側に押し出すことができ、外歯歯車と内歯歯車との間に適切な与圧を付与できる。このため、運転開始初期の段階においては、外歯歯車と内歯歯車との間の与圧によるロスを低減して始動トルクを低減できる。しかも、定常運転の段階では、外歯歯車と内歯歯車との間に適切な与圧を付与できるので、バックラッシによる位置決め精度の悪化も抑制できる。
本発明によれば、定常運転の段階の位置決め精度の悪化を抑制しつつ、始動トルクを低減することが可能となる。
本発明の実施形態に係る撓み噛合い式歯車装置の全体構成の一例を示す斜視図 図1の軸心を含む断面図 図2の矢視III−III線に沿う起振体及び起振体軸受の断面図 与圧を説明するための模式図 図1の無負荷状態における運転開始初期の噛合状態を示す断面模式図(全体概略図(A)、慣らし運転前の外歯歯車と出力用内歯歯車との噛合い図(B)、慣らし運転後の外歯歯車と出力用内歯歯車との噛合い図(C)) 図1の無負荷状態における定常運転の噛合状態を示す断面模式図(全体概略図(A)、慣らし運転後の外歯歯車と出力用内歯歯車との噛合い図(B))
以下、図1〜図6を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
最初に、本実施形態の全体構成について、概略的に説明する。
撓み噛合い式歯車装置100は、図1、図2に示す如く、起振体104と、起振体104の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車120と、起振体104と外歯歯車120との間に配置される起振体軸受110と、外歯歯車120が内接噛合する剛性を有した内歯歯車130と、を備える。ここで、起振体104の線膨張係数α1は、内歯歯車130の線膨張係数α4よりも大きく、撓み噛合い式歯車装置100の温度上昇に伴って、外歯歯車120と内歯歯車130の間の与圧(後述)が大きくなる構成とされている。
以下、各構成要素について詳細に説明を行う。
起振体104は、図2、図3に示す如く、断面が非円形の略柱形状であり、中央に図示せぬ入力軸が挿入される入力軸孔106が形成されている。図3に示す起振体104の短軸Y部分では、外歯歯車120と内歯歯車130との間に隙間が生じ、非噛合状態が実現される。一方で、起振体104の長軸X部分では、外歯歯車120と内歯歯車130との噛合状態が実現される。入力軸が挿入され回転した際に、起振体104が入力軸と一体で回転するように、入力軸孔106にはキー溝108が設けられている。起振体104の素材は、主成分がアルミニウムであり、軽くかつその線膨張係数α1(=23×10-6/K)が比較的大きくされている。なお、起振体104の素材は、アルミニウムに限定されず、銅、青銅、黄銅(線膨張係数17×10-6/K)などであってもよいし、一般の鉄系の鋼材(線膨張係数12×10-6/K以下)に比べて線膨張係数の大きなSUS304(18×10-6/K)などのステンレスであってもよい。
起振体軸受110(110A、110B)は、図1、図2に示す如く、軸方向Oに2つ並べて配置されている。起振体軸受110A、110Bはともに、同一の構成であり、内輪112はどちらにも共通とされている。このため、以下、起振体軸受110Aについて説明し、起振体軸受110Bについての説明は基本的に省略する。なお、起振体軸受110の素材は、鉄系の鋼材であり、その線膨張係数α2は起振体104の線膨張係数α1に比べて小さくされている(α2≒10〜12×10-6/K<α1)。
起振体軸受110Aは、図1〜図3に示す如く、内輪112と、リテーナ114A、転動体としてのころ116Aと、外輪118Aと、から構成される。なお、理論噛合い範囲となる起振体104の長軸X側では、内輪112ところ116Aとの間、及びころ116Aと外輪118Aとの間には隙間が存在しない、つまり起振体軸受110Aの内部には隙間がない状態とされている(ただし、起振体104の短軸Y側では当該隙間があってもよい)。即ち、起振体軸受110Aが撓んでも、理論噛合い範囲となる起振体104の長軸X側では、少なくともころ116Aは内輪112と外輪118Aとに隙間を有することなく当接した状態を保つ。このため、起振体軸受110Aは、内輪112が径方向外側に押し広げられると、直接的に内輪112に対応して外輪118Aも径方向外側に押し広げられる構成となっている。
内輪112は、可撓性の素材で形成されている。内輪112は起振体104の外側に配置され、内輪112の内周面は起振体104と当接して、内輪112は起振体104と一体で回転する。リテーナ114Aは、ころ116Aを収容し、ころ116Aの周方向における位置及び姿勢を規制する。ころ116Aは、円柱形状(ニードル形状を含む)である。このため、転動体が球である場合に比べて、ころ116Aが内輪112及び外輪118Aと接触する部分を増加させている。つまり、ころ116Aを用いることにより、起振体軸受110Aの伝達トルクを増大させ、かつ長寿命化させることができる。外輪118Aは、ころ116A及びリテーナ114Aの外周に配置される。外輪118Aも、可撓性の素材で形成されている。外輪118Aは、その外周に配置される外歯歯車120Aと共に起振体104の回転により撓み変形する。
外歯歯車120(120A、120B)は、図1、図2に示す如く、起振体軸受110A、110Bに対応して軸方向Oに2つ並べて配置されている。なお、外歯歯車120の素材も、鉄系の鋼材であり、その線膨張係数α3も起振体104の線膨張係数α1に比べて小さくされている(α3≒10〜12×10-6/K<α1)。外歯歯車120Aは、図1、図2に示す如く、減速用内歯歯車130Aと内接噛合する。外歯歯車120Aは、基部材122と、外歯124Aとから構成される。基部材122は、外歯124Aを支持する可撓性を有した筒状部材であり、起振体軸受110の外周に配置され起振体104の回転により撓み変形する。外歯124Aは、理論噛合を実現するようにトロコイド曲線に基づいて歯形が決定されている。
外歯歯車120Bは、図1、図2に示す如く、出力用内歯歯車130Bと内接噛合する。そして、外歯歯車120Bは、外歯歯車120Aと同様に、基部材122と、外歯124Bとから構成される。外歯124Bは、外歯124Aとは軸方向Oで分離されているものの、外歯124Aと同一の数、同一の形状で構成されている。ここで、基部材122は、外歯124Aと外歯124Bとを共通に支持する。このため、起振体104の偏心量は、同位相で外歯124Aと外歯124Bに伝えられる。
内歯歯車130を構成する減速用内歯歯車130A、出力用内歯歯車130Bは、図1、図2に示す如く、起振体軸受110A、110Bそれぞれに対応して軸方向Oに並べて配置されている。内歯歯車130は剛性を有した部材で形成され、その素材も、鉄系の鋼材であり、その線膨張係数α4も起振体104の線膨張係数α1に比べて小さくされている(α4≒10〜12×10-6/K<α1)。減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aの外歯124Aの歯数よりもi(iは2以上)多い歯数の内歯128Aを備える。内歯128Aは、トロコイド曲線に基づいた外歯124Aに理論噛合するように成形されている(内歯128Bも同様)。減速用内歯歯車130Aは、外歯歯車120Aと噛合することによって、起振体104の回転を減速する。なお、減速用内歯歯車130Aは、例えば図示せぬ固定壁にボルト孔132Aを介して固定されている。
一方、出力用内歯歯車130Bは、外歯歯車120Bの外歯124Bの歯数と同一の歯数の内歯128Bを備える。出力用内歯歯車130Bからは、外歯歯車120Bの自転と同一の回転が外部に出力される。なお、出力用内歯歯車130Bは、例えば図示せぬ出力装置にボルト孔132Bを介して固定されている。
なお、撓み噛合い式歯車装置100には、潤滑剤が封入されている。そして、その潤滑剤は、外歯歯車120と内歯歯車130との噛合う部分などを潤滑している。
次に、外歯歯車120と内歯歯車130の間の与圧について説明する。
本実施形態における与圧(与圧量ともいう)は、内歯歯車130に拘束されない状態で、外歯歯車120の内歯歯車130への「めり込み量」に対応して求められる。図4で詳しく説明するならば、与圧量は、外歯歯車120の外歯124が本来の噛合位置(本実施形態では理論噛合位置)Pbtよりも内歯歯車130側の位置Pbsへ設置されたときに、内歯歯車130の内歯128の実体がないと仮定した場合の内歯歯車130への「めり込み量」で規定する。このため、例えば「与圧量がゼロ」とは、外歯歯車120が内歯歯車130にめり込まずにゼロタッチして理論噛合をしている状態をいう。当該「めり込み量(最大でも10μm程度)」が大きければ、与圧量は大きな値となる。「めり込み量」は、例えば、図4に示す径方向の量Aで定義しても良いし、歯面の法線方向の量Bで定義しても良い。
本実施形態においては、撓み噛合い式歯車装置100の温度上昇に伴って、外歯歯車120と内歯歯車130の間の与圧が大きくなるようにされている。即ち、起振体104、起振体軸受110、外歯歯車120、及び内歯歯車130の素材の線膨張係数α1、α2、α3、α4の関係(α1>α2〜α4)を考慮して、温度が低い(例えば室温レベル)運転開始初期の段階では外歯歯車120と内歯歯車130の間の歯面間に相応の隙間を設けておく。そして、温度が高くなる定常運転の際には必ず理論噛合の状態とする。即ち、定常運転が50度(70〜80度)で行われる際には、その50度(70〜80度)の手前の温度で理論噛合、即ち与圧がゼロとなるように調整され、50度(70〜80度)で若干の与圧がかかるように設定する。なお、定常運転で50度となるのは、例えばロボットアームなどの用途では、溶接などを行う比較的にゆっくりした動作が想定できる。また、定常運転で70〜80度となるのは、例えばロボットアームなどの用途では、連続して高速に動く動作が想定できる。
具体的に、外歯歯車120と内歯歯車130との間の相応の隙間及び与圧の一例を算出する。例えば、仮に、外歯歯車120と内歯歯車130との噛合ピッチ円を50mmとし、温度上昇を50度(運転開始初期が室温25度とする場合には、温度上昇で定常運転が75度となる)とすると、鉄系の鋼材を素材とする起振体軸受110、外歯歯車120、及び内歯歯車130(線膨張係数α2、α3、α4=11×10-6/K)は、熱膨張することによって噛合ピッチ円が径方向に27.5μm膨らむこととなる(50mm×50度×0.000011=0.0275mm)。一方、起振体104の長軸X部分(噛合部)の径方向直径を30mmとし、起振体104の素材をアルミニウム(α1=23×10-6/K)とすると、起振体104は周りの部材(起振体軸受110、外歯歯車120、内歯歯車130)より18μm膨らむ(30mm×50度×(0.000023−0.000011)=0.018mm)。従って、径方向の量Aで例えば5μmの与圧を付与しようとすると、径方向の量Aで4μm(=18−5×2)/2の隙間(相応の隙間)を外歯歯車120と内歯歯車130との間に最初に与えておくことができる。
次に、撓み噛合い式歯車装置100の動作について、主に図1、図2を用いて説明する。
図示しない入力軸の回転により、起振体104が回転すると、その回転状態に応じて、起振体軸受110Aを介して、外歯歯車120Aが撓み変形する。このとき、外歯歯車120Bも、起振体軸受110Bを介して、外歯歯車120Aと同位相で撓み変形する。
外歯歯車120A、120Bが起振体104で撓み変形することにより、外歯歯車120Aの外歯124Aが減速用内歯歯車130Aの内歯128Aに噛合する。同様に、外歯歯車120Bの外歯124Bが出力用内歯歯車130Bの内歯128Bに噛合する。
外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとの噛合位置は、起振体104の長軸X部分の移動に伴い、回転移動する。ここで、起振体104が1回転すると、外歯歯車120Aは減速用内歯歯車130Aとの歯数差だけ、回転位相が遅れる。つまり、減速用内歯歯車130Aによる減速比は((外歯歯車120Aの歯数−減速用内歯歯車130Aの歯数)/外歯歯車120Aの歯数)で求めることができる。具体的な数値による減速比は((100−102)/100=−1/50)となる。ここで、「−」は入出力が逆回転の関係となることを示している。
外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは共に歯数が同一であるので、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとは互いに噛合する部分が移動することなく、同一の歯同士で噛合することとなる。このため、出力用内歯歯車130Bから外歯歯車120Bの自転と同一の回転が出力される。結果として、出力用内歯歯車130Bからは起振体104の回転を(−1/50)に減速した出力を取り出すことができる。
ここで、無負荷の状態における運転開始初期の噛合状態を図5に示す。なお、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aの噛合状態は、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの噛合状態と同様なので、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの噛合状態のみを図5に示す。そして、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの関係について主に説明する(図6も同様)。なお、図5は外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの噛合状態を模式的に示したにすぎず、実際の歯形、歯数、及び歯の位置を忠実に示したものではない(図6も同様)。図5(A)は、起振体104の軸方向Oに垂直な断面を想定した際の外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの全体概略図を示している。このとき、外歯歯車120Bの歯形と出力用内歯歯車130Bの歯形との位置関係は、長軸Xと短軸Yのそれぞれに対して対称となる。即ち、図5(A)の第1〜第4象限で示す破線で囲まれた領域は、互いに外歯歯車120Bの歯形と出力用内歯歯車130Bの歯形とが等しい位置関係を示している。このため、図5(A)の第1、第4象限については省略し、第2、第3象限の破線で囲まれた領域の互いの歯形の位置関係を図5(B)、(C)に示す(図6(B)も同様)。図5(C)に示す如く、運転開始初期では、低い温度(第1の温度)とされているので起振体104が熱膨張しておらず、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの歯面間には相応の隙間がある。このため、出力用内歯歯車130Bに対して外歯歯車120Bが時計回りと反時計回りの両方向に、その相応の隙間に応じて自由に回転可能(バックラッシの存在)とされている。しかし、図5(C)に示す如く、起振体104の断面における第2象限では反時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの距離が近く、第3象限では時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの距離が近くされている。即ち、図5(C)において、運転開始初期では、出力用内歯歯車130Bに対して外歯歯車120Bが時計回りに回転すると、第3象限だけで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触する(第3象限で外歯124Bの右歯面が内歯128Bと接触する)構成となっている。つまり、図5(A)から明らかなように、第1象限と第3象限のみで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触する(噛合う)構成となっている(このとき、外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとは、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとの関係とは異なり、逆の歯面で接触する。即ち、第2象限と第4象限のみで外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとが接触する(噛合う)構成となっている)。なお、この場合は、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが「正面側」のみで噛合う状態ともいう。
なお、図5(B)は、撓み噛合い式歯車装置100を組み立てて出荷時点などで初めて行う運転(慣らし運転と称する)の運転開始初期の状態を示したものである。この慣らし運転では、外歯歯車120Bや出力用内歯歯車130Bの出来や組み合わせによるばらつきなどを均一化するために、負荷をかけて運転を行い(定格回転数で運転することで負荷をかけずに運転してもよい)、あえて初期摩耗(慣じみ)をさせるようにしている。このときには、運転開始初期でも、第2象限では反時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの間の隙間がなく(第2象限で外歯124Bの左歯面が内歯128Bと接触する)、第3象限では時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの間の隙間がない(第3象限で外歯124Bの右歯面が内歯128Bと接触する)。このため、出力用内歯歯車130Bに接触させずに外歯歯車120Bが回転することはできない状態とされている(なお、慣じみを考慮して、適宜、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの間に与圧を与えるようにする)。なお、この慣らし運転における定常運転の際には、一旦は運転開始初期の際の噛合数よりも増加する。つまり、慣らし運転においても、温度上昇に伴って、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの噛合数が増加するようにされている。そして、慣らし運転終了時には、図5(C)の実線で示すように、歯面が摩耗することで、歯面間に相応の隙間ができバックラッシも可能となる(即ち、図5(C)で示す破線は慣らし運転前の歯形を示している)。なお、図5(B)で示される状態は、第1〜第4象限の全てで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触する構成を示している(同様に、第1〜第4象限の全てで外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとが接触する構成となっている)。このため、この場合は、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが「正面側」と「背面側」の両方で噛合う状態(単に、「背面側」でも噛合う状態ともいう)ともいう。
次に、無負荷の状態における定常運転の噛合状態を図6に示す。図6(A)は、起振体104の軸方向Oに垂直な断面を想定した際の外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの全体概略図を示している。図6(B)に示す如く、定常運転では、高い温度(第2の温度)とされているので起振体104が熱膨張して、白抜き矢印で示す如く、起振体軸受110を介して出力用内歯歯車130Bに比べて相対的に外歯歯車120Bが径方向外側に押し広げられる。このため、バックラッシが存在せず、第2象限では反時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの間の隙間がなく、第3象限では時計回りで外歯124Bから内歯128Bまでの間の隙間がなくなり、第2象限と第3象限の両方で噛合が実現される。従って、図6(A)から明らかなように、定常運転の状態では、第1〜第4象限の全てで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触する構成となっている(同様に、第1〜第4象限の全てで外歯歯車120Aと減速用内歯歯車130Aとが接触する構成となっている)。この場合も、外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが「正面側」と「背面側」の両方で噛合う状態とされている。つまり、温度上昇に伴って、第1、第3象限のみであった外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bの噛合が第1〜第4象限の全てで行われるようになり、その噛合数が増加する構成とされている。なお、図6(B)の破線で示す出力用内歯歯車130Bの歯形は、慣じみのよる摩耗および熱膨張で径方向外側に移動する前の状態を示している。
このように、本実施形態では、起振体104の線膨張係数α1が、内歯歯車130の線膨張係数α4よりも大きくされている。即ち、温度上昇により生じる内歯歯車130の熱膨張量よりも起振体104の熱膨張量の方が大きくなり、その結果外歯歯車120の膨張量も大きくできる。このため、外歯歯車120と内歯歯車130との間に付与する与圧を小さく、あるいはゼロとしても、定常運転の段階では運転開始初期の段階に比べて内歯歯車130に対して外歯歯車120を相対的に径方向外側に押し出すことができ、外歯歯車120と内歯歯車130との間には適切な与圧を付与できる。このため、運転開始初期の段階においては、外歯歯車120と内歯歯車130との間の与圧によるロスを低減して始動トルクを低減することができる。しかも、定常運転の段階では、外歯歯車120と内歯歯車130との間に適切な与圧を付与できるので、バックラッシによる位置決め精度の悪化も抑制することができる。
また、本実施形態では、起振体104の線膨張係数α1が、内歯歯車130の線膨張係数α4よりも大きくされている。そして、起振体104自体が起振体軸受110や外歯歯車120に比べても大きく熱膨張する。つまり、熱膨張については起振体104が担うので、起振体軸受110や外歯歯車120は線膨張係数に制限されない。即ち、起振体軸受110や外歯歯車120に対しては自身にかかる荷重を最適に受け止め得る素材を選択し設計できる。一方、起振体104に対しては、起振体軸受110や外歯歯車120に比べて素材に対する制約が少ない。このため、起振体104の線膨張係数α1を最適化することができる。なお、本発明はこれに限らず、内歯歯車の内側にある外歯歯車および起振体軸受の線膨張係数α2、α3が、内歯歯車の線膨張係数α4よりも大きくされていてもよい。そのような構成であれば、外歯歯車を熱膨張で径方向外側により効果的に押し広げることができ、外歯歯車と内歯歯車の間の与圧を大きくすることが可能となる。
また、本実施形態においては、温度上昇に伴って、外歯歯車120と内歯歯車130の噛合数が増加するようにされている。このため、定常運転の段階の外歯歯車120及び内歯歯車130に対するねじり剛性を高くでき、且つバックラッシを排除し、伝達トルクを増大させることができる。なお、これに限らず、温度上昇が生じても、外歯歯車と内歯歯車の噛合数が増加せずに、一定であってもよい。
また、本実施形態においては、慣らし運転以降で、起振体104の軸方向Oに垂直な断面を想定したとき、無負荷の状態において、運転開始初期の段階の低い温度においては起振体104の断面における第1象限と第3象限のみで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触し(噛合い)、定常運転の段階の高い温度においては第1〜第4象限の全てで外歯歯車120Bと出力用内歯歯車130Bとが接触して(噛合って)いる。このため、運転開始初期の際には、確実に歯面間の摩擦損失を低減できる。そして、定常運転の段階の外歯歯車120及び内歯歯車130に対するねじり剛性を周方向に偏りなく高くでき、且つバックラッシを排除し、伝達トルクを安定して増大させることができる。なお、これに限らず、慣らし運転以降であっても、第1〜第4象限の全てで外歯歯車と内歯歯車とが噛合う構成であってもよい。
また、本実施形態においては、理論噛合い範囲となる起振体104の長軸X側では、起振体軸受110の内部に隙間が存在しない。このため、起振体104の熱膨張で直接的に外歯歯車120を径方向外側に押し広げることができる。即ち、起振体104の線膨張係数α1に基づいて結果的に外歯歯車120の膨張量を正確に見積もることができ、定常運転の段階の外歯歯車120と内歯歯車130との間の与圧を正確に定めることができる。なお、これに限らず、起振体が熱膨張することで外歯歯車と内歯歯車の間に与圧を与える構成において、起振体軸受の内部に隙間があっても、起振体の熱膨張が外歯歯車に相応に伝えることが可能であれば、そのような隙間は存在してもよい。
従って、本実施形態においては、定常運転の段階の位置決め精度の悪化を抑制しつつ、始動トルクを低減することが可能である。
本発明について上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでも無い。
上記実施形態においては、起振体軸受110が内輪112及び外輪118を有していたが、本発明はこれに限定されず、起振体の外周部分が内輪とされていてもよい。また、外輪を有する必要もなく、例えば、ころが直接的に外歯歯車を回転可能に支持して外歯歯車の内周部分が外輪とされていてもよい。
また、上記実施形態においては、外歯をトロコイド曲線に基づいた歯形としたが、本発明はこれに限定されない。外歯は、円弧歯形でもよいし、その他の歯形を用いてもよい。
また、上記実施形態では、対象が出力用内歯歯車130Bから減速された出力を取り出す筒型の撓み噛合い式歯車装置100であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、起振体軸受と外歯歯車とがそれぞれ1つとされ、出力用内歯歯車を用いずに、当該外歯歯車の軸方向片側の側部が解放されたいわゆるカップ型(若しくはシルクハット型)の撓み変形する外歯歯車を有する撓み噛合い式歯車装置に適用しても構わない。
上記実施形態では、(慣らし運転後には)外歯歯車120と内歯歯車130との間に予め隙間を設けておき(与圧ゼロ)、運転後(定常運転の段階)の温度上昇により外歯歯車120と内歯歯車130との間に与圧が発生するようにした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、運転開始初期の段階から外歯歯車と内歯歯車との間に隙間がない状態(与圧ゼロでも与圧が付与されていてもよい)とし、運転後の温度上昇により、適切な与圧が付与されるようにしてもよい。
本発明は、筒型、カップ型、若しくはシルクハット型の外歯歯車を備える撓み噛合い式歯車装置に対して広く適用可能である。
100…撓み噛合い式歯車装置
104…起振体
110、110A、110B…起振体軸受
112…内輪
114A、114B…リテーナ
116A、116B…ころ
118A、118B…外輪
120、120A、120B…外歯歯車
122…基部材
124、124A、124B…外歯
128、128A、128B…内歯
130、130A、130B…内歯歯車
O…軸方向
X…起振体の長軸
Y…起振体の短軸
α1〜α4…線膨張係数

Claims (5)

  1. 起振体と、該起振体の回転により撓み変形される可撓性を有した外歯歯車と、該起振体と該外歯歯車との間に配置される起振体軸受と、該外歯歯車が内接噛合する剛性を有した内歯歯車と、を備えた撓み噛合い式歯車装置において、
    前記起振体の線膨張係数は、前記内歯歯車の線膨張係数よりも大きく、
    温度上昇に伴って、該外歯歯車と該内歯歯車の間の与圧が大きくなる
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  2. 請求項1において、
    前記外歯歯車および前記起振体軸受の線膨張係数が、前記内歯歯車の線膨張係数よりも大きい
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  3. 請求項1または2において、
    温度上昇に伴って、前記外歯歯車と前記内歯歯車の噛合数が増加する
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記起振体の軸方向に垂直な断面を想定したとき、
    無負荷の状態において、第1の温度においては前記断面における第1象限と第3象限のみで前記外歯歯車と前記内歯歯車とが噛合い、前記第1の温度よりも高い第2の温度においては前記断面における第1〜第4象限の全てで前記外歯歯車と前記内歯歯車とが噛合う
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記起振体軸受の内部に隙間が存在しない
    ことを特徴とする撓み噛合い式歯車装置。
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