JP6060832B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、エンジンの駆動軸及び従動軸とそれぞれ連動して回転する回転体同士の相対位相を変化させることにより吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置が知られている。この相対位相を変化させる駆動力として、油圧を用いるものや電動モータのトルクを用いるものがある。
一般に電動バルブタイミング調整装置では、モータトルクによって歯車機構を駆動し、駆動軸に対する従動軸の位相を調整する。最遅角位置及び最進角位置では、従動軸に連動する突き当て部を駆動軸に連動するストッパ部に当接させることで位相可変限界を機械的に制限している。そのため、位相を最遅角位置又は最進角位置へ急激に変化させたとき、突き当てによる衝撃トルクにより突き当て部やストッパ部が破損したり、歯車同士が噛み込んでロック状態になったりするおそれがある。
そこで、特許文献1には、バルブタイミング調整装置の位相を最遅角位置及び最進角位置に変化させるとき、突き当て部がストッパ部に突き当たる手前でブレーキをかけ、位相変化速度を所定速度以下に制限する「速度制限制御」の技術が開示されている。
特開2004−156461号公報
環境保護や燃費向上を目的としたアイドリングストップシステム(以下、「ISS」という)では、車両が信号待ち等で停車するとき、停止要求信号を受信してからエンジン停止までの時間をできるだけ短縮することが求められる。したがって、バルブタイミング調整装置では、走行時に最遅角と最進角との中間にあったカム軸位相を、停止要求後、速やかに最遅角位置に移行させることが求められる。
しかし、特許文献1による制御を実行すると、最遅角位置の手前で位相変化の速度が制限され、停止要求後エンジン停止までの時間が長くなる。その結果、燃費やISS商品性を十分に向上させることができないという問題が生ずる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、最遅角位置での突き当て時の衝撃トルクによる破損を防止しつつ、ISS停止要求からエンジン停止までの時間を短縮するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
本発明のバルブタイミング調整装置は、エンジンの駆動軸と従動軸との位相を変化させることによって従動軸が開閉駆動する吸気弁又は排気弁の開閉タイミングを調整し、駆動軸に対する従動軸の最遅角位置及び最進角位置で、従動軸に連動する突き当て部が駆動軸に連動するストッパ部に突き当たるように構成されている。
このバルブタイミング調整装置は、シャフト、第1カバー、第2カバー、第1プラネタリ及び第2プラネタリを備える。
シャフトは、モータの出力軸と共に回転する。第1カバーは、シャフトの径外方向にシャフトと同軸に設けられ、駆動軸と連動して回転する。第2カバーは、シャフトの径外方向に第1カバーと軸方向にずれて設けられ、シャフトの回転が減速されて従動軸と連動して回転する。
第1プラネタリは、シャフトと第1カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する。第2プラネタリは、シャフトと第2カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する。
「トラクションドライブ」とは、与圧によって高粘度となった油の薄膜内に発生するせん断力を介したトルク伝達方法である。第1プラネタリ及び第2プラネタリは、周方向に配置された複数の円筒状のローラ、又は複数のボールによって構成される。
また、シャフトにおける第1プラネタリと当接する外径を第1シャフト外径A、シャフトにおける第2プラネタリと当接する外径を第2シャフト外径A’、第1カバーにおける第1プラネタリと当接する内径を第1カバー内径C、第2カバーにおける第2プラネタリと当接する内径を第2カバー内径C’とすると、
AC’−A’C>0
の関係を満たすように各寸法が設定されている。これは、駆動側から従動側へ同方向に減速するための前提条件である。
本発明のバルブタイミング調整装置は、圧接された回転体間に介在する油膜に発生するせん断力を介したトラクションドライブによってトルクを伝達する。そこで、突き当て部をストッパ部に突き当てた時に許容値以上の衝撃トルクがかかった場合、第2プラネタリと第2カバーとの間が滑るように与圧力を調整することが好ましい。これにより、最遅角位置及び最進角位置での突き当て時に第2プラネタリと第2カバーとの当接部が滑り、突き当て部及びストッパ部に許容値以上の衝撃トルクがかかることを防止する。
したがって、駆動軸に対する従動軸の位相を最遅角位置に変化させるとき、歯車機構を用いる従来技術のように、最遅角位置の手前で速度制限制御を実行する必要がない。よって、ISS停止要求からエンジンが停止するまでの時間を短縮することができる。その結果、燃費やISS商品性を向上させることができる。
また、本発明では、トラクションドライブのためのトラクションオイルが回転部分の潤滑用としても機能するため、従来技術に対して、潤滑用のオイル供給量を低減することができる。その結果、エンジンのオイルポンプ容量を小さくすることができ、燃費を向上させることができる。
さらに、シャフト、第1カバー及び第2カバーにおける第1プラネタリ又は第2プラネタリと当接する部分のうちいずれか2つ以上の材質について、当該バルブタイミング調整装置が使用される所定温度範囲において温度に対して所望の減速比特性が得られるように、線膨張係数が互いに異なる材質が用いられることが好ましい。この場合、具体的には、第1カバーを構成する材質の線膨張係数をαr、第2カバーを構成する材質の線膨張係数をαr’とすると、当該バルブタイミング調整装置が使用される所定温度範囲において、
αr>αr’
となるように材質を選定することが好ましい。これにより、低温時には減速比を相対的に小さくして応答性を向上させ、高温時には減速比を相対的に大きくして作動停止後の位相保持性を確保することができる。
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置の軸方向断面図である。 バルブタイミング調整装置が適用されたエンジンの概略構成図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図であり、カムシャフトの最遅角位置を示す。 (a)第1実施形態によるローラキャリアの周方向展開図である。(b)与圧によってローラキャリアに発生する応力を説明する説明図である。 トラクションドライブの原理を説明する説明図である。 (a)従来技術、(b)本発明のバルブタイミング調整装置のアイドリングストップ時の作用を示すタイムチャートである。 第1カバー及び第2カバーの熱膨張特性図である。 本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置の軸方向断面図である。 ボルトの締付力による与圧の調整を説明する説明図である。 (a)第2実施形態によるボールキャリアの周方向展開図である。(b)第2実施形態の変形例によるボールキャリアの周方向展開図である。 従来技術のバルブタイミング調整装置の軸方向断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置について図1〜図8を参照して説明する。このバルブタイミング調整装置は、モータにより駆動され、車両のエンジンにおいて吸気弁の開閉タイミングを調整する装置として適用される。
まず、エンジン90のシステム全体の概略構成について図2を参照して説明する。クランク軸91の動力は、タイミングチェーン92によって、吸気側についてはスプロケット34を介してカム軸93に伝達され、排気側についてはスプロケット97を介してカム軸95に伝達される。吸気側のカム軸93は吸気弁94を開閉駆動し、排気側のカム軸95は排気弁96を開閉駆動する。クランク軸91は特許請求の範囲に記載の「駆動軸」に相当し、カム軸93、95は同じく「従動軸」に相当する。
吸気側のカム軸93には、モータ駆動式のバルブタイミング調整装置101が設けられている。このバルブタイミング調整装置101によって、クランク軸91に対する吸気側カム軸93の回転位相を変更することで、吸気弁94の開閉タイミングを調整する。
クランク軸91の径外側には、所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ98が取り付けられている。また、吸気側カム軸93の径外側には、所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサ99が取り付けられている。クランク角センサ98からのクランク角信号、及び、カム角センサ99からのカム角信号は、制御部85に入力される。
制御部85は、マイクロコンピュータを主体として構成され各種のエンジン制御プログラムを実行するECU、及び、ECUが指令した目標回転に応じた駆動電流をモータ80(図1参照)に通電するEDU等から構成されている。
次に、バルブタイミング調整装置101の構成について、図1、図3〜図5を参照して説明する。バルブタイミング調整装置101は、シャフト11、第1カバー21、スプロケット34、リアプレート38、第2カバー41、複数の第1ローラプラネタリ51及び第2ローラプラネタリ52、ローラキャリア53等を備えている。
シャフト11は、主筒部13、外筒部12、及び主筒部13と外筒部12とを径方向に連結する連結部14を含む。主筒部13の内壁16には係合溝161が形成されている。モータ80の出力軸81に固定されたジョイント82が係合溝161に係合することで、モータ80の出力軸81の回転がシャフト11に伝達される。
主筒部13、外筒部12及び連結部14によって区画された環状溝部15にはオイルシール19が収容されている。
第1カバー21は、バルブタイミング調整装置101のモータ80側において、シャフト11の径方向外側の外郭を構成する。スプロケット34は、クランク軸91の回転がタイミングチェーン92を介して伝達されるギア35が外周壁に設けられている。また、スプロケット34は、径内側に収容室36が形成されている。リアプレート38は、バルブタイミング調整装置101のカム軸93側の外郭を構成する。
第1カバー21、スペーサ33、スプロケット34及びリアプレート38は、ノックピン32で位置決めされつつ、ボルト31で一体に締結されており、「駆動軸」であるクランク軸91と連動して回転する。
第2カバー41は、底部43を有する筒状に形成され、スプロケット34の収容室36に収容されている。第2カバー41は、底部43に形成されたボルト穴44を通してカム軸93に螺着されるボルト89によって、カム軸93の先端部に同軸に締結されており、「従動軸」であるカム軸93と共に回転する。回転時にリアプレート38と摺動する底部43の端面にはシールリング49が装着されている。
図4に示すように、第2カバー41の周内壁42には、複数の第2ローラプラネタリ52が当接している。また、第2カバー41の外周に、径外方向へ吐出する凸部45が形成されている。凸部45は、特許請求の範囲に記載の「従動軸に連動する突き当て部」に相当する。本実施形態では、凸部45は周方向に4箇所形成されている。
スプロケット34の収容室36の内壁には、第2カバー41の凸部45に対応する凹部37が周方向に複数形成されている。凹部37は、第2カバー41の凸部45の回動範囲を規制する。第2カバー41がスプロケット34に対して遅角方向に相対回転したとき、凸部45の遅角側端面451が凹部37のストッパ部371に突き当たる位置、すなわち図4に示す位置が最遅角位置となる。一方、第2カバー41がスプロケット34に対して進角方向に相対回転したとき、凸部45の進角側端面452が凹部37のストッパ部372に突き当たる位置が最進角位置となる。ストッパ部371、372は、特許請求の範囲に記載の「駆動軸に連動するストッパ部」に相当する。
第1ローラプラネタリ51及び第2ローラプラネタリ52は、本発明の特徴的構成であるトラクションドライブ機構の「プラネタリ」を構成する部材である。第1実施形態では、円筒状のローラによって構成されたローラプラネタリ51、52が周方向に等間隔に複数配置されている。図3、図4には、ローラプラネタリ51、52を周方向に8個ずつ配置した例を示している。
第1ローラプラネタリ51は、シャフト11の外筒部12の周外壁121と第1カバー21の周内壁22との間に圧入されており、第2ローラプラネタリ52は、シャフト11の外筒部12の周外壁122と第2カバー41の周内壁42との間に圧入されている。
ローラプラネタリ51、52とシャフト11及びカバー21、41との間には、後述するようにトラクションオイルの油膜が存在する。ローラプラネタリ51、52がシャフト11とカバー21、41との間に圧入され互いに当接することで、当該当接部において径方向の押付力が与圧として作用し、この与圧によってトラクション力が発生する。
そして、第1ローラプラネタリ51は、シャフト11と第1カバー21との間に与圧力Nを与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する。第2ローラプラネタリ52は、シャフト11と第2カバー41との間に与圧力Nを与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する。以下の説明では、トルク伝達に関与するシャフト11、第1カバー21、第2カバー41、第1ローラプラネタリ51及び第2ローラプラネタリ52を総括して「トルク伝達部材」という。
図5(a)に示すように、ローラプラネタリ51、52は、ローラキャリア53の枝部56、57にそれぞれ回転可能に軸支されている。ローラキャリア53は、環状の幹部55、及び、幹部55から軸方向の一方側に突出する枝部56、及び、軸方向の他方側に突出する枝部57が一体に形成されている。これにより、複数の第1ローラプラネタリ51及び第2ローラプラネタリ52は、互いに連動しつつ回転する。
本実施形態では、枝部56の軸B1と枝部57の軸B2とは同一直線上に形成されているが、軸B1と軸B2とを径方向又は周方向にずらして形成してもよい。
図5(b)では、第2カバー41側について、トルク伝達部材の構成を簡略化し、且つ第2ローラプラネタリ52の数を4つに省略して示す。径方向の与圧力Nによって、ローラキャリア53の枝部57には与圧力Nの方向と直交する周方向に曲げ応力σが発生する。したがって、枝部57の強度は、この曲げ応力σに耐えるように設定されている。
また、図1、図3、図4にて、シャフト11の外筒部12の周外壁121の外径A、周外壁122の外径A’、第1カバー21の周内壁22の内径C、及び、第2カバー41の周内壁42の内径C’を図示している。ここで結論を先に述べると、駆動側から従動側へ同方向に減速するため、次式(1)の関係を成立するように4箇所の寸法を設定することが必須要件となる。
AC’−A’C>0 ・・・(1)
式(1)の根拠については、後で詳しく述べる。
以上の構成によるバルブタイミング調整装置101の作動を説明する。
制御部85は、基本的に、吸気側カム軸93をクランク軸91の回転速度の半分の回転速度で回転駆動する。そして、クランク軸91に対する吸気側カム軸93の位相(以下、「カム軸位相」という。)を調整する場合には、クランク軸91と連動して回転する第1カバー21の回転速度に対してモータ80の回転速度を変化させる。すると、モータ80の出力軸81に連結されたシャフト11の回転速度が変化する。
シャフト11の回転は、第2ローラプラネタリ52を介して第2カバー41に減速して伝達される。すると、第1カバー21、スプロケット34及びリアプレート38に対する第2カバー41の位相が進角又は遅角する。これにより、第2カバー41に連結された吸気側カム軸93のクランク軸91に対する位相が進角又は遅角する。よって、吸気側カム軸93に開閉駆動される吸気弁94の開閉タイミングが調整される。
次に、トラクションドライブの原理について図6を参照して説明する。図6は、第2ローラプラネタリ52と第2カバー41との当接部分を拡大して示した模式図である。
トラクションドライブでは、互いに押付力(与圧力)Nで圧接された回転体間に介在するトラクションオイルOtの油膜によって、駆動側回転体から従動側回転体へトルクが伝達される。回転体間には微小な相対速度差が存在し、油膜をせん断するためのトラクション力Fが発生する。トラクション力Fは、トラクション係数をμtとすると、式(2)のとおり、押付力(与圧力)Nにトラクション係数μtを乗じた値となる。
F=μt×N ・・・(2)
つまり、トラクションドライブとは、与圧によって高粘度となった油の薄膜内に発生するせん断力を介したトルク伝達方法である。なお、トラクションオイルにかかるせん断力によるトルク伝達時には必ず「微小滑り」が発生する。
一般に、歯車やベアリングを用いる動力伝達方法に対し、トラクションドライブでは、歯車やベアリングを使用せず、形状が単純なローラやボールを伝達部材として使用する。また、バックラッシが無いという点が特長である。
例えば特許第4859827号公報等にはトラクションドライブ式の減速機が開示されている。このようなトラクションドライブ式の減速機では、歯車式の減速機に比べ、歯車やベアリングを用いずバックラッシが無いことから、ノイズを低減し、ロック現象を回避することができる。また、粘性抵抗の小さいオイルを使用することができるため、低温での応答性が向上する。
本実施形態では、トラクションドライブを車両のバルブタイミング調整装置に応用することにより、特にISS停止要求からエンジン停止までの時間を短縮するという作用効果が得られる。この点について、従来技術の遊星歯車式のバルブタイミング調整装置と対比しつつ、図7を参照して説明する。
図7は、エンジン回転中にISS停止要求があったときのエンジン回転数、及び、バルブタイミング調整装置101によるカム軸位相の経時変化を示すタイムチャートであり、特許文献1に記載された従来技術(a)と本実施形態(b)との挙動を対比して示す。
図7のカム軸位相の単位[°CA]は、回転数がクランク軸91の半分の値となるカム軸93の回転角度を表す。また、カム軸位相は最遅角位置で最小であり、進角側ほど大きくなる。
ここで、従来技術のバルブタイミング調整装置について、図12を参照して本実施形態との相違点のみを簡単に説明する。本実施形態の構成(図1)と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
従来技術のバルブタイミング調整装置109のトルク伝達機構は、主に、偏心シャフト71、駆動側回転体72、スプロケット73、従動側回転体74、遊星回転体75、及び、2つのベアリング77、78から構成されている。
偏心シャフト71は、ベアリング77を介してカバー部材721と同軸に回転可能に軸支されており、モータ80の出力軸81の回転がジョイント82によって伝達されて回転する。遊星回転体75は、偏心シャフト71の軸に対し偏心して取り付けられたベアリング78を介して偏心して回転する。
駆動側回転体72のカバー部材721、内歯車部材723、及びスプロケット73は、ボルトにより一体に固定され。クランク軸912と共に回転する。従動側回転体74は、カム軸93と共に回転する。遊星回転体75は、内歯車部材723及び従動側回転体74の径内側に設けられ、大径部753の駆動側外歯車部754が内歯車部材723の駆動側内歯車部724と噛み合い、小径部755の従動側外歯車部756が従動側回転体74の従動側内歯車部746と噛み合う。これにより、差動歯車減速機構が構成される。モータ80の回転速度を駆動側回転体72の回転速度に対して変化させることで、カム軸93の位相を調整する。
このような歯車機構を用いたバルブタイミング調整装置では、最遅角位置及び最進角位置において従動側回転体74が衝突するときのストッパ部の破損や、歯車の噛み込みによるロック状態を防止するため、特許文献1に記載のように、最遅角位置又は最進角位置の突き当て手前でブレーキをかけることで、位相の変化速度を所定速度以下に制限する速度制限制御を行う必要がある。
以下では、特にエンジンを停止する場面を想定し、「最進角位置」についての言及を省略し、「最遅角位置」側についてのみ説明することとする。
図7(a)に示すように、従来技術において、エンジン回転数Ne0、カム軸位相θ0でエンジン回転中の時刻t0にISS停止要求があると、カム軸位相は、θ0から最遅角位相θrに向かって変化する。ところが、カム軸位相が最進角位相θrの手前のブレーキ位相θbまで変化した時刻tbで速度制限制御が働き、位相変化速度が60°CA/s以下に制限されるため、位相変化の傾きが緩やかになる。
時刻tr’でカム軸位相が最遅角位相θrに達すると、エンジン回転数がNe0から低下し始め、時刻te’で0となり、エンジン停止する。したがって、ISS停止要求からエンジンが停止するまでに時間Ts’を要することとなる。
一方、トラクションドライブ機構を用いた本実施形態は、最遅角位置の突き当て時に第2カバー41の凸部45がスプロケット34のストッパ部371に衝突し許容値以上の衝撃トルクがかかった場合には、第2ローラプラネタリ52と第2カバー41との当接部が滑り、それ以上のトルクがかからないようになっている。このときの「滑り」は、トルク伝達時に必ず発生する「微小滑り」とは異なり、伝達可能なトルク容量の限界をオーバーしたときに生じる滑りである。
言い換えれば、凸部45又はストッパ部371の破損を防止するための許容値以上の衝撃トルクがかかったとき、第2ローラプラネタリ52と第2カバー41との当接部が確実に滑るように、適正な圧入代が設定されている。
このように、最遅角位置の突き当て時に第2ローラプラネタリ52と第2カバー41との当接部が滑り、許容値以上の衝撃トルクがかかるおそれがないため、歯車機構を用いる従来技術のように、凸部45又はストッパ部371の破損を防止する目的で速度制限制御を実行する必要がない。
なお、最遅角位置及び最進角位置以外の中間位置において目標位相手前でブレーキをかける通常の位相制御については、本発明の解決課題とは関係ない。
そのため、図7(b)に示すように、ISS停止要求があると、カム軸位相は、θ0から最遅角位相θrに向かって変化し、時刻trでカム軸位相が最遅角位相θrに達する。時刻trの後、エンジン回転数がNe0から0まで低下し、時刻teでエンジン停止するまでの時間は、従来技術と同等とする。本実施形態では、ISS停止要求からエンジンが停止するまでの時間はTsで示される。
つまり、本実施形態では、従来技術に対し、最遅角位置の突き当て時におけるブレーキを不要とした分、ISS停止要求からエンジンが停止するまでの時間をTs’からTsに短縮することができる。その結果、燃費やISS商品性を向上させることができる。
また本実施形態では、トラクションドライブのためのトラクションオイルが回転部分の潤滑用としても機能するため、従来技術に対して、潤滑用のオイル供給量を低減することができる。その結果、エンジンのオイルポンプ容量を小さくすることができ、燃費を向上させることができる。なお、トラクションオイルに代えてグリスを用いてもよい。
次に、トラクションドライブ機構による減速比の計算式について説明した上で、本実施形態を構成する部材の材質を線膨張特性に着目して最適に選定した場合にさらに得られる作用効果について説明する。
本実施形態では、ローラプラネタリ51、52を介するトルク伝達機構の減速比について、遊星歯車機構の2K−H複合型の計算式を適用する。すなわち、シャフト11がサンギア、第1カバー21及び第2カバー41がリングギア、第1ローラプラネタリ51及び第2ローラプラネタリ52がプラネタリギアに相当するとみなす。なお、後述するカバーの線膨張係数について記号αrの添え字として用いた「r」は、「リング」を意味するものである。
前にも述べたとおり、図1、図3、図4に示すように、シャフト11、第1カバー21及び第2カバー41の寸法について以下のように用語及び記号を定義する。
第1シャフト外径A:シャフト11における第1ローラプラネタリ51と当接する外筒部12の周外壁121の外径
第2シャフト外径A’:シャフト11における第2ローラプラネタリ52と当接する外筒部12の周外壁122の外径
第1カバー内径C:第1カバー21における第1ローラプラネタリ51と当接する周内壁22の内径
第2カバー内径C’:第2カバー41における第2ローラプラネタリ52と当接する周内壁42の内径
減速比εは、次式(3)のように表される。
Figure 0006060832
ここで、A、A’、C、C’は当然に正の値であるから、同方向減速の条件として減速比εを正とするためには、上記の式(1)(AC’−A’C>0)を満たすことが必須である。なお、本実施形態では、A>A’且つC<C’となっている。
また、式(3)のAを変数とみなし、εをAで偏微分すると、次式(4)が得られる。式(4)の「偏微分した値<0」の部分は、2乗値である分母が正であり、分子が負であることから、偏微分した値が負であると判定している。
Figure 0006060832
式(4)は、変数A以外のA’、C、C’を定数とみなしたとき、Aとεとが負の相関を有することを意味する。このように、A、A’、C、C’のいずれかを変数として変化させたとき、減速比εの変化に与える影響は以下のようになる。
(a)第1シャフト外径Aを小さくすると減速比εが大きくなる。
(b)第2シャフト外径A’ を大きくすると減速比εが大きくなる。
(c)第1カバー内径C、を大きくすると減速比εが大きくなる。
(d)第2カバー内径C’ 小さくすると減速比εが大きくなる。
また、上記の(a)、(b)から(e)が、(c)、(d)から(f)が導かれる。
(e)第1シャフト外径から第2シャフト外径を引いた差(A−A’)を小さくすると減速比εが大きくなる。
(f)第2カバー内径から第1カバー内径を引いた差(C’−C)を小さくすると減速比εが大きくなる。
続いて、線膨張係数から検討した、第1カバー21及び第2カバー41の好ましい材質特性について図8を参照して説明する。本実施形態のバルブタイミング調整装置101が使用される温度範囲は、−40℃〜140℃である。この温度範囲において、高温時には作動停止後の位相保持性確保のため、減速比εをできるだけ大きくすることが好ましい。一方、低温時には応答性を向上するため減速比εを比較的小さくすることが好ましい。
そこで、各部材を構成する材質の線膨張係数をどのように設定すればよいか検討する。
ただし、シャフト11を単一の材質で製作する前提では、第1シャフト外径Aの部分の線膨張係数αsと第2シャフト外径A’の部分の線膨張係数αs’とは当然に等しい。そのため、高温になる程シャフト外径の差(A−A’)が小さくなるという(e)の関係は成り立たない。したがって、第1カバー21及び第2カバー41の内径についての(f)に着目することとする。
第1カバー21を構成する材質の線膨張係数をαr、第2カバー41を構成する材質の線膨張係数をαr’とする。−40℃から140℃までの範囲でαr及びαr’は、温度に対し正の相関を持つ一定値であると仮定すると、第1カバー内径C及び第2カバー内径C’は、それぞれ傾きをαr及びαr’とする右上がりの直線で示される。そこで、線膨張係数の好ましい条件は、式(5)で示される。
αr>αr’ ・・・(5)
式(5)を満足する材質を選定すれば、カバー内径の差(C’−C)は、温度が低いほど大きく、温度が高いほど小さくなる。
したがって、(f)の関係により、減速比εは低温時に相対的に小さくなり、高温時に相対的に大きくなる。よって、バルブタイミング調整装置101は、低温時には応答性を向上させ、高温時には作動停止後の位相保持性を確保するという好ましい特性を実現することができる。
なお、図8における減速比εの特性については、温度が高いほど大きくなることを示しているに過ぎず、直線的に変化するかどうかは不明である。
(効果)
以上説明した本実施形態のバルブタイミング調整装置101の効果についてまとめる。
(1)本実施形態は、トラクションドライブ機構を用いてトルク伝達を行うため、最遅角位置での突き当て時に第2ローラプラネタリ52と第2カバー41との当接部が滑り、凸部45及びストッパ部371に許容値以上の衝撃トルクがかかることを防止する。
したがって、カム軸位相を最遅角位置に変化させるとき、歯車機構を用いる従来技術のように、最遅角位置の手前で速度制限制御を実行する必要がない。よって、ISS停止要求からエンジンが停止するまでの時間を短縮することができる。その結果、燃費やISS商品性を向上させることができる。
(2)本実施形態では、トラクションドライブのためのトラクションオイルが回転部分の潤滑用としても機能するため、従来技術に対して、潤滑用のオイル供給量を低減することができる。その結果、エンジンのオイルポンプ容量を小さくすることができ、燃費を向上させることができる。
(3)第1カバー21の材質の線膨張係数αr、及び、第2カバー41の材質の線膨張係数αr’について、−40℃から140℃までの範囲でαr>αr’となるように材質を選定することで、低温時には減速比εを相対的に小さくして応答性を向上させ、高温時には減速比εを相対的に大きくして作動停止後の位相保持性を確保することができる。
(4)本実施形態では、トラクションドライブ機構を構成する「プラネタリ」としてローラを用いるため、シャフト11の外径、及び、カバー21、41の内径と線接触する。したがって、ボールを用いる形態と比べて与圧力を受ける面圧(単位面積当たりの応力)が小さくなるため、体格が同等の場合にはトルク容量を大きくすることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のバルブタイミング調整装置について図9〜図11を参照して説明する。第2実施形態は、トラクションドライブ機構を構成する「プラネタリ」として、複数のローラでなく、複数のボールを用いる点が第1実施形態と異なる。第2実施形態において第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
図9に示すように、第2実施形態のバルブタイミング調整装置102の構成は基本的に第1実施形態と類似している。第1実施形態との相違点は、複数のボールによって、第1ボールプラネタリ61及び第2ボールプラネタリ62が構成されている点、並びに、シャフト17、第1カバー27及び第2カバー47におけるボールプラネタリ61、62と当接する部分の形状が異なる点である。
図10に拡大して示すように、第1カバー27の第1周内壁28及び第2カバー47の第2周内壁48は、軸方向において互いに接近する側に拡径するテーパ状に形成されている。また、シャフト17の外筒部18の第1周外壁181及び第2周外壁182は、ボールプラネタリ61、62に外接する凹曲面状に形成されている。
第1ボールプラネタリ61及び第2ボールプラネタリ62は、図11(a)の周方向展開図に示すように、帯状のボールキャリア63の軸方向両側にそれぞれ回転可能に保持されている。
図10を参照し、第1カバー27とリアプレート38との間にボルト31を締め付けたときにボールプラネタリ61、62を介して作用する力について説明する。
ボルト31の締付軸力Fzによって、第1カバー27の軸方向位置が移動する距離を締付けストローク量zとする。このとき第1カバー27には軸方向の力Fr1が作用し、これにより、第1ボールプラネタリ61の中心を通る第1周内壁28の法線方向(D1)に力Fp1が伝達される。そして、第1周外壁181におけるシャフト17と第1ボールプラネタリ61との接点において、軸方向の力Fs1が作用する。
これと対称に、第2周外壁182におけるシャフト17と第2ボールプラネタリ62との接点において、力Fs1と反対向きの反力Fs2が作用する。この反力Fs2に対応し、第2ボールプラネタリ62の中心を通る第2周内壁48の法線方向(D2)に力Fp2が伝達される。第2カバー47には、第1カバー27に作用する力Fr1と同等の軸方向の力Fr2が作用し、リアプレート38がこの力Fr2を受ける。
シャフト17において、第1ボールプラネタリ61からの力Fs1と第2ボールプラネタリ62からの反力Fs2とが釣り合うと、シャフト17の軸方向位置が安定する。
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1)〜(3)を共有することに加え、ボールによってプラネタリを構成したことにより、以下の効果(5)〜(7)を奏する。
(5)ボルト31の締付けストローク量によって、ボールプラネタリ61、62の当接点に作用する与圧力、すなわちトラクションドライブ機構におけるトルク容量を調整することができる。したがって、ローラプラネタリ51、52をシャフト11とカバー21、41との間に圧入する第1実施形態に比べ、部材の外径、内径等の寸法精度を緩和することができる。
(6)与圧を付与することによるプラネタリのスラスト方向への抜け力をボルト31で抑えることができるため、スラスト軸受けが不要となり、小型化が可能となる。
(7)第1実施形態のような、ローラプラネタリ51、52を軸支するためのローラキャリア53の枝部56、57の構成が不要である。したがって、与圧力Nにより生じる曲げ応力σに対して枝部56、57の強度を確保する(図5(b)参照)必要がなくなる。
(第2実施形態の変形例)
図11(b)に示すように、変形例では、上記のボールキャリア63とは異なる形状のボールキャリア64が用いられる。第1ボールプラネタリ61及び第2ボールプラネタリ62は、少なくとも一部が軸方向に重複するように周方向に交互に配置された状態でボールキャリア64に保持されている。これにより、バルブタイミング調整装置の軸方向の寸法を縮小することができる。
(他の実施形態)
(ア)ローラプラネタリ又はボールプラネタリの数は、上記実施形態で例示した数に限らない。
(イ)第1プラネタリ及び第2プラネタリの回転軸は、同一直線上に配置されなくてもよい。
(ウ)上記実施形態では、最遅角位置及び最進角位置でストッパ部に突き当たる「突き当て部」としての凸部45を第2カバー41、47の径方向に突出するように設けているが、凸部を軸方向に突出するように設けてもよい。また、第2カバー側に「突き当て部」としての凹部を設け、スプロケット又はリアプレート側に「ストッパ部」としての凸部を設けてもよい。周方向の凸部及び凹部の数は、上記実施形態で例示した数に限らない。
(エ)第1実施形態では、第1シャフト外径A、第2シャフト外径A’、第1カバー内径C、及び第2カバー内径C’について、A>A’且つC<C’となるように設定した上で式(1)(AC’−A’C>0)を満たしている。しかし他の実施形態では、式(1)を満たす限り、A≦A’又はC≧C’としてもよい。
(オ)第1実施形態では、トルク伝達部材の材質の検討にあたり、シャフトは単一の材質で製作するという前提の下、第1シャフト外径Aの部分の線膨張係数αsと第2シャフト外径A’の部分の線膨張係数αs’とは等しいと仮定した。しかし、異材質を接合してシャフトを製作する可能性を考慮すれば、第1カバーと第2カバーとの内径差に関する上記の式(5)と同様に、シャフトの外径差に関する次式(6)が得られる。
αs<αs’・・・(6)
式(6)を満足する材質を組み合わせてシャフトを製作すれば、上述の説明のとおり、減速比εを、低温時に相対的に小さくし、高温時に相対的に大きくすることができる。
(カ)さらに他の実施形態では、減速比特性について、例えば、低温時に減速比εを相対的に大きくし、高温時に相対的に小さくするように、線膨張係数の大小関係を第1実施形態と逆にしてもよい。このように、本発明のバルブタイミング調整装置は、シャフト、第1カバー及び第2カバーにおける第1プラネタリ又は第2プラネタリと当接する部分のうちいずれか2つ以上の材質について、使用される所定温度範囲において温度に対して所望の減速比特性が得られるように、線膨張係数が互いに異なる材質が用いられることを特徴とするのであって、「所望の減速比特性」はどのような特性でもよい。
(キ)クランク軸とカム軸との動力を伝達する部材は、タイミングチェーン92のほかタイミングベルト等であってもよい。
(ク)バルブタイミング調整装置は、吸気弁94に限らず、排気弁96の開閉タイミングを調整するものであってもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
101、102・・・バルブタイミング調整装置、
11、17・・・シャフト、
21、27・・・第1カバー、
371、372・・・ストッパ部、
41、47・・・第2カバー、
45 ・・・凸部(突き当て部)、
51 ・・・第1ローラプラネタリ(第1プラネタリ)、
52 ・・・第2ローラプラネタリ(第2プラネタリ)、
61 ・・・第1ボールプラネタリ(第1プラネタリ)、
62 ・・・第2ボールプラネタリ(第2プラネタリ)。

Claims (8)

  1. エンジン(90)の駆動軸(91)と従動軸(93、95)との位相を変化させることによって前記従動軸が開閉駆動する吸気弁(94)又は排気弁(96)の開閉タイミングを調整し、前記駆動軸に対する前記従動軸の最遅角位置及び最進角位置で、前記従動軸に連動する突き当て部(45)が前記駆動軸に連動するストッパ部(371、372)に突き当たるように構成されたバルブタイミング調整装置(101、102)であって、
    モータ(80)の出力軸(81)と共に回転するシャフト(11、17)と、
    前記シャフトの径外方向に前記シャフトと同軸に設けられ、前記駆動軸と連動して回転する第1カバー(21、27)と、
    前記シャフトの径外方向に前記第1カバーと軸方向にずれて設けられ、前記シャフトの回転が減速されて前記従動軸と連動して回転する第2カバー(41、47)と、
    前記シャフトと前記第1カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する第1プラネタリ(51、61)と、
    前記シャフトと前記第2カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する第2プラネタリ(52、62)と、を備え、
    前記シャフトにおける前記第1プラネタリと当接する外径を第1シャフト外径A、
    前記シャフトにおける前記第2プラネタリと当接する外径を第2シャフト外径A’、
    前記第1カバーにおける前記第1プラネタリと当接する内径を第1カバー内径C、
    前記第2カバーにおける前記第2プラネタリと当接する内径を第2カバー内径C’とすると、
    AC’−A’C>0
    の関係を満たし、
    前記シャフト、前記第1カバー及び前記第2カバーにおける前記第1プラネタリ又は前記第2プラネタリと当接する部分のうちいずれか2つ以上の材質について、
    当該バルブタイミング調整装置が使用される所定温度範囲において温度に対して所望の減速比特性が得られるように、線膨張係数が互いに異なる材質が用いられることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記第1カバーを構成する材質の線膨張係数をαr、
    前記第2カバーを構成する材質の線膨張係数をαr’とすると、
    当該バルブタイミング調整装置が使用される所定温度範囲において、
    αr>αr’
    となっていることを特徴とする請求項に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記突き当て部を前記ストッパ部に突き当てた時に許容値以上の衝撃トルクがかかった場合、前記第2プラネタリと前記第2カバーとの間が滑るように与圧力を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記第1プラネタリ(51)及び前記第2プラネタリ(52)は、周方向に配置された複数の円筒状のローラによって構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置(101)。
  5. 前記第1プラネタリ(61)及び前記第2プラネタリ(62)は、周方向に配置された複数のボールによって構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置(102)。
  6. エンジン(90)の駆動軸(91)と従動軸(93、95)との位相を変化させることによって前記従動軸が開閉駆動する吸気弁(94)又は排気弁(96)の開閉タイミングを調整し、前記駆動軸に対する前記従動軸の最遅角位置及び最進角位置で、前記従動軸に連動する突き当て部(45)が前記駆動軸に連動するストッパ部(371、372)に突き当たるように構成されたバルブタイミング調整装置(102)であって、
    モータ(80)の出力軸(81)と共に回転するシャフト(17)と、
    前記シャフトの径外方向に前記シャフトと同軸に設けられ、前記駆動軸と連動して回転する第1カバー(27)と、
    前記シャフトの径外方向に前記第1カバーと軸方向にずれて設けられ、前記シャフトの回転が減速されて前記従動軸と連動して回転する第2カバー(47)と、
    前記シャフトと前記第1カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する第1プラネタリ(61)と、
    前記シャフトと前記第2カバーとの間に与圧力を与え、トラクションドライブによってトルクを伝達する第2プラネタリ(62)と、を備え、
    前記シャフトにおける前記第1プラネタリと当接する外径を第1シャフト外径A、
    前記シャフトにおける前記第2プラネタリと当接する外径を第2シャフト外径A’、
    前記第1カバーにおける前記第1プラネタリと当接する内径を第1カバー内径C、
    前記第2カバーにおける前記第2プラネタリと当接する内径を第2カバー内径C’とすると、
    AC’−A’C>0
    の関係を満たし、
    前記第1プラネタリ及び前記第2プラネタリは、周方向に配置された複数のボールによって構成されており、
    前記第1プラネタリが当接する前記第1カバーの第1周内壁(28)、及び、前記第2プラネタリが当接する前記第2カバーの第2周内壁(48)は、軸方向において互いに接近する側に拡径するテーパ状に形成されており、
    前記第1カバーと第2カバーとを軸方向に締結するボルト(31)の締付けストローク量によって、前記第1プラネタリ及び前記第2プラネタリに作用する与圧力を調整可能であることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  7. 前記第1プラネタリ及び前記第2プラネタリを回転可能に保持するボールキャリア(64)を備え、
    前記第1プラネタリ及び前記第2プラネタリは、少なくとも一部が軸方向に重複するように周方向に交互に配置された状態で前記ボールキャリアに保持されていることを特徴とする請求項に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記突き当て部を前記ストッパ部に突き当てた時に許容値以上の衝撃トルクがかかった場合、前記第2プラネタリと前記第2カバーとの間が滑るように与圧力を調整することを特徴とする請求項6または7に記載のバルブタイミング調整装置。
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