JP6759733B2 - 凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム - Google Patents

凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム Download PDF

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本発明は、凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムに関し、例えば、フィラー及びポリマーを含む複合材料を解析可能な凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムに関する。
従来、分子動力学を用いた高分子材料のシミュレーション方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に記載された高分子材料のシミュレーション方法では、フィラーをモデル化したフィラーモデル及びポリマーをモデル化したポリマーモデルを用いた分子動力学計算により高分子材料モデルを設定した後、設定した高分子材料モデルに基づいて、有限個の要素でモデル化した有限要素モデルを用いて変形解析を実施する。また、特許文献2に記載の高分子材料のシミュレーション方法では、高分子材料を用いた粗視化モデルとフィラーの外面を含むフィラーモデルとを用いて分子動力学計算を実施した後、粗視化モデルが配置された空間を複数の微小領域に区分して緩和弾性率を計算する。
特開2015−056002号公報 特開2014−203262号公報
ところで、低燃費タイヤの開発を加速するためには、タイヤ変形に伴うエネルギーロス(ヒステリシス)とタイヤナノ構造との関係を明らかにすることが有効である。低燃費タイヤの開発に用いられる複合材料の材料特性は、フィラーの配置及び構造の影響を強く受けることが予測される。このため、複合材料の材料開発ではフィラーの配置及び構造と複合材料の力学応答との関係を解析することが有効である。
しかしながら、従来の複合材料のシミュレーション方法では、複合材料中でフィラーが凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析することは困難であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明の凝集塊モデルの作成方法は、コンピュータを用いた分子動力学法によりポリマーをモデル化した複数のポリマーモデル及びフィラーをモデル化した複数のフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデル中のフィラーモデルを凝集させた凝集塊モデルの作成方法であって、前記フィラーモデルと前記ポリマーモデルとの間に相互作用を設定して数値解析を実行する第1ステップと、数値解析実行後の前記フィラーモデルのモデル間距離を算出し、算出したモデル間距離に基づいて凝集塊モデルを作成する第2ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の凝集塊モデルの作成方法によれば、複合材料の解析用モデルの数値解析の実行中にフィラーモデルのモデル間距離が減少するので、複合材料中でフィラーモデルが凝集してフィラー凝集塊となる。これにより、凝集塊モデルの作成方法は、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデルを作成することが可能となる。
本発明の凝集塊モデルの作成方法においては、前記相互作用が、所定値以下の斥力であることが好ましい。この方法により、数値解析時にフィラーモデルが相互に接近しやすくなるので、フィラー間距離を小さくすることが容易となり、効率良く凝集塊モデルを作成することができる。
本発明の凝集塊モデルの作成方法においては、前記数値解析の実行時に、前記モデル間距離を算出して、前記凝集塊モデルの有無を判定することが好ましい。この方法により、凝集塊モデルの作成方法は、複合材料の数値解析時に効率良くフィラー凝集塊の形成を判定することが可能となる。
本発明の凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラムは、上記凝集塊モデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラムによれば、複合材料の解析用モデルの数値解析の実行中にフィラーモデルのモデル間距離が減少するので、複合材料中でフィラーモデルが凝集してフィラー凝集塊となる。これにより、凝集塊モデルの作成方法は、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデルを作成することが可能となる。
本発明の複合材料の解析方法は、上記凝集塊モデルの作成方法で作成した凝集塊モデルを用いて分子動力学法による運動解析を実行して物理量を取得することを特徴とする。
本発明の複合材料の解析方法によれば、フィラー凝集塊を含有する凝集塊モデルを用いて運動解析できるので、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる。
本発明の複合材料の解析方法においては、前記運動解析が、前記フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した緩和解析であることが好ましい。この方法により、複合材料の解析方法は、引力が作用した状態で応力緩和されるので、フィラーモデルが凝集したフィラー凝集塊の平衡構造を得ることができる。
本発明の複合材料の解析方法においては、前記運動解析が、前記フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した変形解析であることが好ましい。この方法により、複合材料の解析方法は、引力が作用した状態で変形されるので、複合材料のコンパウンドの力学特性を解析可能となる。
本発明の複合材料の解析用コンピュータプログラムは、上記複合材料の解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の複合材料の解析用コンピュータプログラムによれば、フィラー凝集塊を含有する凝集塊モデルを用いて運動解析できるので、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる。
本発明によれば、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムを実現できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の概略を示すフロー図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法で作成される凝集塊モデルの一例を示す概念図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の一例を示す説明図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の一例を示す説明図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の一例を示す説明図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の一例を示す説明図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の解析時間とモデル間距離との関係を示す概念図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法及び複合材料の解析方法を実行する解析装置の機能ブロック図である。 図9は、本発明の実施例に係る伸長解析の応力歪曲線を示す図である。 図10は、本発明の実施例に係る伸長解析時のフィラー構造を示す図である。 図11は、本発明の実施例に係る伸長解析時のフィラー構造を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の概略を示すフロー図である。図1に示すように、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法は、コンピュータを用いた分子動力学法によるポリマーをモデル化した複数のポリマーモデル及びフィラーをモデル化した複数のフィラーモデルを含む複合材料中の解析用モデル中のフィラーを凝集させた凝集塊モデルの作成方法である。この凝集塊モデルの作成方法は、フィラーモデルとポリマーモデルとの間に相互作用を設定して数値解析を実行する第1ステップST11と、数値解析実行後のフィラーモデルのモデル間距離を算出し、算出したモデル間距離に基づいて凝集塊モデルを作成する第2ステップST12とを含む。以下、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法について詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法で作成される凝集塊モデル1の一例を示す概念図である。図2に示すように、本実施の形態に係る凝集塊モデル1は、例えば、一辺の長さが距離Lの略立方体形状の仮想空間であるモデル作成領域A内でモデル化される。この凝集塊モデル1は、複数のフィラー粒子11aがモデル化されてなる4つのフィラーモデル11A,11B,11C,11Dと、複数のポリマー粒子21a及び結合鎖21bがモデル化されてなる複数のポリマーモデル21とを有する。凝集塊モデル1は、モデル作成領域A内で相互に所定間隔離れてモデル化された4つのフィラーモデル11A,11B,11C,11Dを凝集させたものである。
なお、本実施の形態では、解析対象となる複合材料がフィラー及び高分子材料であるポリマーを含有する例について説明するが、本発明は、2種類の以上の物質を含有する複合材料にも適用可能である。また、図2に示す例では、凝集塊モデル1が、4つのフィラーモデル11A,11B,11C,11Dと、複数のポリマーモデル21とを有する例について説明したが、5つ以上のフィラーモデルを配置してもよい。また、図2に示す例では、凝集塊モデル1が、4つのポリマーモデル21を有する例を示しているが、ポリマーモデル21は、複数のポリマーモデル21がモデル作成領域A内の全域に亘って存在している。さらに、図2に示す例では、モデル作成領域Aが、略立方体形状の仮想空間である例について示しているが、球状、楕円状、直方体形状、多面体形状など任意の形状であってもよい。
フィラーモデル11A,11B,11C,11Dは、複数のフィラー粒子11aがそれぞれ略球状体に集合した状態でモデル化される。また、フィラーモデル11A,11B,11C,11Dは、相互に凝集した状態となっており、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dのモデル間距離が所定値以下となっている。
フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどが含まれる。フィラー粒子11aは、複数のフィラーの原子が集合されてモデル化される。また、フィラー粒子11aは、複数のフィラー粒子11aが集合してフィラー粒子群を構成する。フィラー粒子11aは、複数のフィラー粒子11a間の結合鎖(不図示)によって相対位置が特定されている。この結合鎖(不図示)は、フィラー粒子11a間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各フィラー粒子11a間を拘束している。結合鎖は、フィラー粒子11aの相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。このフィラーモデル11A,11B,11C,11Dは、フィラーを分子動力学で取り扱うための数値データ(フィラー粒子11aの質量、体積、直径及び初期座標などを含む)である。フィラーモデル11の数値データは、コンピュータに入力される。
ポリマーとしては、例えば、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどが含まれる。ポリマー粒子21aは、複数のポリマーの原子が集合されてモデル化される。また、ポリマー粒子21aは、複数のポリマー粒子21aが集合してポリマー粒子群を構成する。ポリマーには、フィラーとの親和性を高める変性剤が必要に応じて配合される。この変性剤としては、例えば、水酸基、カルボニル基、及び原子団の官能基などが含まれる。ポリマーモデル21は、複数のポリマー原子及び複数のポリマー原子の集合体であるポリマー粒子21aがモデル作成領域A内に所定密度で充填されてモデル化される。ポリマー粒子21aは、複数のポリマー粒子21a間の結合鎖21bによって結合されて相対位置が特定されている。この結合鎖21bは、ポリマー粒子21a間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各ポリマー粒子21a間を拘束している。結合鎖21bは、ポリマー粒子21aの相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。また、結合鎖21bは、複数のポリマー粒子が直列状に連結されてなるポリマーモデル21間にも架橋結合(不図示)として結合されている。このポリマーモデル21は、ポリマーを分子動力学で取り扱うための数値データ(ポリマー粒子21aの質量、体積、直径及び初期座標などを含む)である。ポリマーモデル21の数値データは、コンピュータに入力される。
次に、図3〜図6を参照して、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法について詳細に説明する。図3〜図6は、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法の一例を示す説明図である。なお、図4〜図6においては、図3の平面図をも指摘的に示している。
図3に示すように、凝集塊モデルの作成方法では、複数のフィラーモデル11A,11B,11C,11D及び複数のポリマーモデル21がモデル作成領域A内にモデル化された複合材料の解析用モデル2を用いる。この複合材料の解析用モデル2では、複数のフィラーモデル11A,11B,11C,11Dは、相互に所定距離離れた状態で、モデル作成領域A内に分散して配置される。複数のポリマーモデル21は、複数のフィラーモデル11A,11B,11C,11D間に分散して配置される。
第1ステップST11では、フィラーモデル11A,11B,11C,11Dとポリマーモデル21との間に相互作用を設定して数値解析を実行する。このように相互作用を設定して数値解析を実行することにより、各フィラーモデル11A,11B,11C,11D及びポリマーモデル21間に引力及び斥力などが作用してフィラーモデル11A,11B,11C,11Dがモデル作成領域A内でそれぞれ移動する。
フィラーモデル11A,11B,11C,11Dとポリマーモデル21との間の相互作用は、フィラー粒子間、ポリマー粒子間及びフィラー粒子とポリマー粒子との間に設定されるものであり、必ずしも全てのフィラー粒子11a及びポリマー粒子21aに設定する必要はない。フィラーモデル11とポリマーモデル21との間の相互作用としては、例えば、分子間力及び水素結合などの引力及び斥力などの化学的な相互作用、及び共有結合などの物理的な相互作用が挙げられる。また、ポリマーモデル21が複数の種類のポリマー粒子21aで構成されている場合には、複数の種類のポリマー粒子21aにそれぞれ相互作用を設定してもよい。また、複数の種類の各ポリマー粒子21aとフィラーモデル11との相互作用は同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、ポリマー粒子Aとフィラー粒子の相互作用とポリマー粒子Bとフィラー粒子の相互作用とは異なる相互作用を設定してもよい。
数値解析としては、変温解析、変圧解析、伸張解析及びせん断解析などの変形解析、緩和解析などの各種数値解析が挙げられる。
第1ステップST11では、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dとポリマーモデル21との間の相互作用が、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dが相互に接近する所定値以下の弱い引力又は斥力が作用するように設定することが好ましい。このように相互作用を設定することにより、数値解析時に各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dが、引力によって各フィラーモデル11A,11B,11C,11D間に介在するポリマーモデル21を押しのけて接近しやすくなるので、効率良く各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dを凝集させることができる。また、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dとポリマーモデル21との間の相互作用は、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dとポリマーモデル21との間に斥力が作用するように設定することがより好ましい。このように相互作用を設定することにより、各フィラーモデル11A,11B,11C,11D間に介在するポリマーモデル21が、斥力によって押し出されるので、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dがより接近しやすくなり、より効率良く各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dを凝集させることができる。
次に、第2ステップST12では、図4に示すように、複数のフィラーモデル11A,11B,11C,11Dのモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDを算出する。本実施の形態では、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDは、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dの中心点PA,PB,PC,PD間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dABは、フィラーモデル11Aの中心点PAとフィラーモデル11Bの中心点PBとの間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dACは、フィラーモデル11Aの中心点PAとフィラーモデル11Cの中心点PCとの間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dADは、フィラーモデル11Aの中心点PAとフィラーモデル11Dの中心点PDとの間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dBCは、フィラーモデル11Bの中心点PBとフィラーモデル11Cの中心点PCとの間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dBDは、フィラーモデル11Bの中心点PBとフィラーモデル11Dの中心点PDとの間の中心点間距離に基づいて算出する。モデル間距離dCDは、フィラーモデル11Cの中心点PCとフィラーモデル11Dの中心点PDとの間の中心点間距離に基づいて算出する。なお、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDは、各フィラーモデル11A,11B,11C,11D間の距離を算出できれば必ずしも中心間距離に基づいて求める必要はなく、例えば、図5に示すように、各フィラーモデル11A,11B,11C,11D間の表面間距離に基づいて算出してもよい。この場合、表面間距離は、例えば、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dの最外フィラー粒子11a間の距離に基づいて算出する。
続いて、第2ステップST12では、算出した各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dのモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDと予め設定した所定の閾値Sとを対比し、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDが所定の閾値S以下であるか否かを判定する。ここでは、図6に示すように、第1ステップST11で各フィラーモデル11A,11B,11C,11D及びポリマーモデル21に設定した相互作用によって、数値解析時に各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dが相互に接近して、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDが減少する。第2ステップST12では、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDを所定解析時間毎に算出する。そして、算出したモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDと予め設定した所定の閾値Sとを対比し、モデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDが所定の閾値S以下となったか否かを判定することにより、凝集塊モデル1を作成する。
第2ステップST12では、算出したモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDの全てが所定の閾値Sを超える場合には(ステップST12:No)、再び相互作用の設定及び数値解析を実行する(ステップST11)。また、モデル間距離dABが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Aとフィラーモデル11Bとが凝集したと判定する。モデル間距離dACが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Aとフィラーモデル11Cとが凝集したと判定する。モデル間距離dADが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Aとフィラーモデル11Dとが凝集したと判定する。モデル間距離dBCが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Bとフィラーモデル11Cとが凝集したと判定する。モデル間距離dBDが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Bとフィラーモデル11Dとが凝集したと判定する。モデル間距離dCDが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Cとフィラーモデル11Dとが凝集したと判定する。第2ステップST12では、算出したモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDの少なくとも1つが所定の閾値S以下となった場合に凝集塊モデル1が作成されたと判定して凝集塊モデル1の作成を終了する。
図7は、第2ステップST12における解析時間とモデル間距離との関係を示す概念図である。ここでは、3つのモデル間距離dAB,dAC,dADの例について説明する。図7に示すように、第2ステップST12では、第1ステップST11で設定した相互作用により、各フィラーモデル11A,11B,11C,11Dが相互に接近してモデル間距離dAB(実線L1参照),dAC(点線L2参照),dAD(一点鎖線L3参照)がそれぞれ減少する。図7に示す例では、モデル間距離dAB、モデル間距離dAC、モデル間距離dADがこの順で予め設定した所定の閾値S以下となる。そこで、図7に示す例では、3つのモデル間距離dAB,dAC,dADがそれぞれ所定の閾値S以下となった解析時間Tの時点でフィラーモデル11A,11B,11C,11Dが凝集したと判定して凝集塊モデル1の作成を終了する。
以上説明したように、上記実施の形態に係る凝集塊モデル1の作成方法によれば、複合材料の解析用モデル2の数値解析の実行中にフィラーモデル11A,11B,11C,11Dのモデル間距離dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCDが減少するので、複合材料中でフィラーモデル11A,11B,11C,11Dが凝集したフィラー凝集塊となる。これにより、凝集塊モデル1の作成方法は、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデル1を作成することが可能となる。
次に、本実施の形態に係る複合材料の解析方法について説明する。本実施の形態に係る複合材料の解析方法は、上記各実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法で作成した凝集塊モデルを用いて分子動力学法による運動解析を実行して物理量を取得するものである。運動解析としては、例えば、伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などが挙げられる。これらの運動解析で取得する物理量は、運動解析の結果得られた変位などの値を用いてもよく、所定の演算処理を実行した歪みであってもよい。これらの中でも、運動解析としては、複合材料のコンパウンドの力学特性を解析可能となる観点から、変形解析が好ましい。
複合材料の解析方法では、数値解析の実行時に、モデル間距離を算出して、凝集塊モデルの有無を判定することが好ましい。凝集塊モデルの有無の判定は、例えば、モデル間距離が所定の閾値Sを超える場合には、凝集塊モデルが破壊されたと判定し、モデル間距離が所定の閾値S以下の場合には、凝集塊モデルが残存している又は形成されたと判定する。また、凝集塊モデルの有無の判定は、例えば、フィラーモデルのモデル間距離がフィラーモデルの半径の2倍を超えた場合には、凝集塊モデルが破壊されたと判定し、モデル間距離がフィラーモデルの半径の2倍以下の場合には、凝集塊モデルが残存している又は形成されたと判定する。このように判定することにより、複合材料の解析方法は、複合材料の数値解析の実行時に効率良くフィラー凝集塊の変形及び破壊を判定することが可能となる。
また、複合材料の解析方法では、運動解析が、フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した緩和解析又は変形解析であることが好ましい。これにより、複合材料の解析方法は、引力が作用した状態で応力緩和又は変形されるので、フィラーモデルが凝集したフィラー凝集塊が壊れにくくなり、フィラー凝集塊の平衡構造を得ることができる。引力は、例えば、レナード・ジョーンズポテンシャルなどに基づいて作用させてもよく、フィラー粒子11a間に結合を作成して作用させてもよい。フィラー粒子11a間に結合を作成し、緩和解析後に伸長解析などの変形解析を実行する場合には、作成した結合を削除することが好ましい。これにより、凝集塊モデルの平衡構造からの変形解析を精度良く実行することが可能となる。
以上説明したように、上記実施の形態に係る複合材料の解析方法によれば、フィラーモデル11A,11B,11C,11Dが凝集したフィラー凝集塊を含む凝集塊モデル1を用いて運動解析することができるので、複合材料中で凝集したフィラー凝集塊の変形及び破壊が材料特性へ及ぼす影響を解析できる凝集塊モデルを作成することが可能となる。
次に、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラムについてより詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法及び複合材料の解析方法を実行する解析装置の機能ブロック図である。
図8に示すように、本実施の形態に係る複合材料の解析方法は、処理部52と記憶部54とを含むコンピュータである解析装置50が実現する。この解析装置50は、入力手段53を備えた入出力装置51と電気的に接続されている。入力手段53は、複合材料の解析用モデルの作成対象であるポリマー及びフィラーの各種物性値、ポリマー及びフィラーを含有する複合材料を用いた伸張試験結果の実測結果、及び解析における境界条件などを処理部52又は記憶部54へ入力する。入力手段53としては、例えば、キーボード、マウスなどの入力デバイスが用いられる。
処理部52は、例えば、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)及びメモリを含む。処理部52は、各種処理を実行する際にコンピュータプログラムを記憶部54から読み込んでメモリに展開する。メモリに展開されたコンピュータプログラムは、各種処理を実行する。例えば、処理部52は、記憶部54に予め記憶された各種処理に係るデータを必要に応じて適宜メモリ上の自身に割り当てられた領域に展開し、展開したデータに基づいて複合材料の解析用モデルの作成及び複合材料の解析用モデルを用いた複合材料の解析に関する各種処理を実行する。
処理部52は、モデル作成部52aと、条件設定部52bと、解析部52cとを含む。モデル作成部52aは、予め記憶部54に記憶されたデータに基づき、分子動力学法により複合材料の解析用モデル2を作成する際のフィラー及びポリマーなどの複合材料の粒子数、分子数、分子量、分子鎖長、分子鎖数、分岐、形状、大きさ、反応時間、反応条件及び作成する解析用モデル2に含まれる分子数である目標分子数などの構成要素の配置、設定及び計算ステップ数などの粗視化モデルの設定、分子鎖間などの相互作用などの各種計算パラメーターの初期条件の設定を行う。また、モデル作成部52aは、ポリマーモデル21の架橋による架橋結合の作成などの架橋解析、フィラーモデル11とポリマーモデルとの間への相互作用の設定、相互作用を設定した複合材料の解析用モデル2の変温解析、変圧解析、伸張解析及びせん断解析などの変形解析、緩和解析などの各種数値解析などを実行する。これらにより、モデル作成部52aは、複合材料の解析用モデル2から凝集塊モデル1を作成する。
フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用を調整する計算パラメーターとしては、下記式(1)で表されるレナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを用い、これらが調整される。ポテンシャルを計算する上限距離(カットオフ距離)を大きくすることで、遠距離まで働いた引力、斥力を調整できる。なお、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用が一定値になるまで順次、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子21a間の相互作用のパラメーターを小さくすることが好ましい。レナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを大きな値から徐々に本来の値に近づけることにより、分子を不自然な状態に導かない穏やかな速度で粒子の接近を行うことができる。また、カットオフ距離も徐々に小さくすることにより、適正な範囲で引力、斥力を調整できる。
Figure 0006759733
条件設定部52bは、変温解析及び変圧解析などの数値解析及び伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などの運動解析などの各種解析条件を設定する。
解析部52cは、条件設定部52bによって設定された解析条件に基づいてポリマーモデル21の架橋解析及び解析用モデル2の各種数値解析を実行する。また、解析部52cは、モデル作成部52aによって作成された凝集塊モデル1を用いて分子動力学法による運動解析を実行して物理量を取得する。ここでは、解析部52cは、運動解析としては、伸張解析、せん断解析などの変形解析及び緩和解析などを実行する。また、解析部52cは、運動解析の結果得られた変位などの値又は得られた値に所定の演算処理を実行した歪みなどの物理量を取得する。
記憶部54は、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ及びCD−ROMなどの読み出しのみが可能な記録媒体である不揮発性のメモリ、並びに、RAM(Random Access Memory)のような読み出し及び書き込みが可能な記録媒体である揮発性のメモリが適宜組み合わせられる。
記憶部54には、入力手段53を介して解析対象となる複合材料の解析用モデルを作成するためのデータであるゴムカーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどのフィラーのデータ、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどのポリマーのデータ、予め設定した物理量履歴である応力歪み曲線及び本実施の形態に係る複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料の解析方法を実現するためのコンピュータプログラムなどが格納されている。このコンピュータプログラムは、コンピュータ又はコンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施の形態に係る複合材料の解析方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)及び周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
表示手段55は、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。なお、記憶部54は、データベースサーバなどの他の装置内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52及び記憶部54にアクセスするものであってもよい。
次に、再び図1を参照して、本実施の形態に係る複合材料の解析用モデルの作成方法についてより詳細に説明する。
図1に示すように、モデル作成部52aが、所定のモデル作成領域A内にポリマー粒子21a及び結合鎖21bを含む未架橋のポリマーモデル21を作成すると共にフィラー粒子11aを含むフィラーモデル11を作成する。未架橋のポリマーモデル21は、図2に示したように、複数のポリマー粒子21aが結合鎖21bによって連結されてなるものである。ここでは、モデル作成部52aは、必要に応じて複数のフィラーモデル11及び複数のポリマーモデル21を作成する。次に、モデル作成部52aは、作成したフィラーモデル11中に未架橋のポリマーモデル21を配置して複合材料の解析用モデル2を作成する。ここでは、モデル作成部52aは、初期条件の設定の後、平衡化計算を行う。平衡化計算では、所定の温度、密度及び圧力で、初期設定後の各種構成要素が平衡状態に到達する所定の時間、分子動力学計算を行う。そして、モデル作成部52aは、初期条件の設定及び平衡化の計算処理後に、計算領域内に設定した複合材料の解析用モデル2を作成するモデル作成領域A内に、ポリマーモデル21及びフィラーモデル11を作成する。また、モデル作成部52aは、必要に応じてポリマーにフィラーとの親和性を高める水酸基、カルボニル基、及び原子団の官能基などの変性剤を配合してもよい。また、モデル作成部52aは、作成したポリマーモデル21に架橋解析により架橋結合を導入してもよい。
次に、モデル作成部52aは、フィラーモデル11とポリマーモデル21との間に相互作用を設定して数値解析を実行する(ステップST11)。ここでは、モデル作成部52aは、フィラーモデル11とポリマーモデルとの間への相互作用を設定し、相互作用を設定した複合材料の解析用モデル2の変温解析、変圧解析、伸張解析及びせん断解析などの変形解析、緩和解析などの各種数値解析などを実行する。また、モデル作成部52aは、フィラーモデル11とポリマーモデルとの間の相互作用として、例えば、所定値以下の引力を設定する。
次に、モデル作成部52aは、数値解析実行後のフィラーモデル11のモデル間距離を算出し、算出したモデル間距離に基づいて凝集塊モデル1を作成する(ステップST12)。ここでは、モデル作成部52aは、例えば、算出したモデル間距離と予め設定した所定の閾値Sとを対比し、算出したモデル間距離が所定の閾値Sを超える場合には(ステップST12:No)、相互作用の設定及び数値解析を実行する。また、モデル間距離dABが所定の閾値S以下となった場合には(ステップST12:Yes)、フィラーモデル11Aとフィラーモデル11Bとが凝集したと判定する。
次に、条件設定部52bが、モデル作成部52aで作成した複合材料の解析用モデル2を用いた分子動力学法による架橋解析、数値解析及び運動解析(シミュレーション)を実行するための各種条件を設定する。条件設定部52bは、入力手段53からの入力及び記憶部54に記憶されている情報に基づいて各種条件を設定する。各種条件としては、解析を実行するフィラーモデル11の位置及び数、フィラー原子、フィラー原子団、フィラー粒子11a及びフィラー粒子群の位置及び数、フィラー粒子11a番号、ポリマーの分子鎖の位置及び数、ポリマー原子、ポリマー原子団、ポリマー粒子21a及びポリマー粒子群の位置及び数、ポリマー粒子番号、結合鎖21bの位置及び数、結合鎖21bの番号、予め設定した物理量履歴である応力歪み曲線及び条件を変更しない固定値などが含まれる。
次に、解析部52cが、凝集塊モデル1に相互作用を設定して変温解析、変圧解析などの各種数値解析を実施する。解析部52cは、必要に応じて、例えば、フィラー粒子11a間、ポリマー粒子21a間、フィラー粒子11aとポリマー粒子21aとの間の相互作用及びフィラー粒子11aとポリマー粒子21aとが結合鎖で結合した状態の相互作用などを設定する。次に、解析部52cは、凝集塊モデル1を用いた分子動力学法による緩和解析、伸張解析、及びせん断解析などの変形解析などの各種運動解析を実行する。また、解析部52cは、数値解析による運動解析の結果得られる運動変位及び公称応力又は運動変位を演算して得られる公称歪みなどの各種物理量を取得する。このような数値解析及び運動解析により、解析時間毎に変化する解析用モデル全体のポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度、架橋点間と自由末端の速度又は結合長、配向などの物理量などのセグメントの状態変化を表す数値と歪みとの関係、解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と圧力又は解析時間との関係、及び解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と温度又は解析時間との関係などを評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。次に、解析部52cは、解析した複合材料の解析結果を記憶部54に格納する。
解析部52cは、運動解析時にモデル間距離を算出して、凝集塊モデルの有無を判定してもよい。また、解析部52cは、運動解析として、フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した緩和解析を実行してもよい。
(実施例)
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本発明者らは、上記実施の形態に係る凝集塊モデルの作成方法を用いて凝集塊モデルを作成し、フィラーモデル間に大きさが異なる2つの引力を作用させて変形解析をして力学特性を調べた。以下、本発明者らが調べた内容について説明する。
図9は、本発明の実施例に係る伸長解析の応力歪曲線を示す図であり、図10及び図11は、本発明の実施例に係る伸長解析時のフィラー構造を示す図である。図9に示すように、フィラーモデル間の引力が弱い場合には、歪みと応力との関係が線形にならず、応力の増加量が途中から大幅に増大したが(実線L4参照)、フィラーモデル間の引力が強い場合には、歪みと応力との関係が線形となった(破線L5参照)。この結果は、図10に示すように、フィラーモデル間の引力が弱い場合には、伸長解析を行った際に、応力が所定値以上となると凝集塊の破壊が発生したために、応力の増加量が途中から増大したためと考えられる。また、図11に示すように、フィラーモデル間の引力が強い場合には、伸長解析を行った際に、応力が所定値以上になっても凝集塊の破壊が発生しなかったためと考えられる。
このように、上述した実施例によれば、複合材料中のフィラーの凝集状態の変化を力学特性に反映できる複合材料の凝集塊モデルを実現できることが分かる。
1 凝集塊モデル
2 解析用モデル
11,11A,11B,11C,11D フィラーモデル
11a フィラー粒子
21 ポリマーモデル
21a ポリマー粒子
21b 結合鎖
50 解析装置
51 入出力装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 条件設定部
52c 解析部
53 入力手段
54 記憶部
55 表示手段
A モデル作成領域
dAB,dAC,dAD,dBC,dBD,dCD モデル間距離
PA,PB,PC,PD 中心点

Claims (8)

  1. コンピュータを用いた分子動力学法によりポリマーをモデル化した複数のポリマーモデル及びフィラーをモデル化した複数のフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデル中のフィラーモデルを凝集させた凝集塊モデルの作成方法であって、
    前記フィラーモデルと前記ポリマーモデルとの間に相互作用を設定して数値解析を実行し、前記相互作用で移動した前記フィラーモデル同士、前記ポリマーモデル同士、前記フィラーモデルと前記ポリマーモデルとの相対位置を算出する第1ステップと、
    数値解析実行後の前記フィラーモデルのモデル間距離を算出し、算出したモデル間距離に基づいて凝集塊モデルを作成する第2ステップとを含み、
    前記第1ステップは、フィラーモデルとポリマーモデルの相互作用を、各フィラーモデルが相互に接近する所定値の引力以下の、引力または斥力とすることを特徴とする、凝集塊モデルの作成方法。
  2. 前記相互作用が、所定値以下の斥力である、請求項1に記載の凝集塊モデルの作成方法。
  3. 前記数値解析の実行時に、前記モデル間距離を算出して、前記凝集塊モデルの有無を判定する、請求項1又は請求項2に記載の凝集塊モデルの作成方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の凝集塊モデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする、凝集塊モデルの作成用コンピュータプログラム。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の凝集塊モデルの作成方法で作成した凝集塊モデルを用いて分子動力学法による運動解析を実行して物理量を取得することを特徴とする、複合材料の解析方法。
  6. 前記運動解析が、前記フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した緩和解析である、請求項5に記載の複合材料の解析方法。
  7. 前記運動解析が、前記フィラーモデル間に引力の相互作用を設定した変形解析である、請求項5に記載の複合材料の解析方法。
  8. 請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の複合材料の解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする、複合材料の解析用コンピュータプログラム。
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