JP6464796B2 - 複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラム - Google Patents

複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムに関し、詳しくは、複合材料の分子状態の変化の解析が可能な複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムに関する。
従来、自動車用タイヤなどに用いられる変性ポリマーとフィラーとを含む複合材料のモデルの作成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このモデルの作成方法では、変性ポリマーとフィラーとの間の相互作用を他の粒子間の相互作用より大きくして変性ポリマーとフィラーとを複合材料中に分散させる。そして、変性ポリマーとフィラーとの間の相互作用を他の粒子間の相互作用より小さくして、変性ポリマーの末端とフィラーとを反応させることにより、複合材料の材料特性の解析が可能な解析用モデルを作成する。
特開2012−177609号公報
ところで、ポリマー及びフィラーを含むゴムなどの2種類以上の物質を含有する複合材料においては、フィラーの周囲に存在するポリマーの分子運動がコンパウンドの材料特性に大きな影響を与えることが予測される。このような複合材料の材料特性の発現のメカニズムを解明するためには、コンパウンドの変形に伴う分子配向及び分子の広がりなどの分子状態の変化を正確に解析することが望ましい。
しかしながら、従来の複合材料の解析モデルを用いた解析では、架橋後の大きいポリマーの分子毎にポリマーの運動を評価しているので、架橋後のポリマーの分子全体の分子状態の変化しか評価できない。このため、従来の解析では、例えば、ポリマー分子におけるフィラー近傍の領域の状態変化及びフィラーから離れた領域のポリマーの分子状態の状態変化などのポリマー分子の局所的な状態変化を正確に解析して評価することはできない実情がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の解析及び評価が可能な複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
本発明の複合材料の解析方法は、コンピュータを用いて分子動力学法により作成した複合材料の解析用モデルを用いた複合材料の解析方法であって、ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する第1ステップと、前記ポリマーモデルを架橋解析により架橋させる第2ステップと、架橋後の前記ポリマーモデルに含まれるポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、解析対象とする複数のセグメントを特定したセグメントリストを作成する第3ステップと、前記複合材料の解析用モデルに相互作用を設定して数値解析により特定したセグメント毎に前記ポリマーモデルの分子状態を解析する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の複合材料の解析方法によれば、架橋後のポリマーモデルのセグメント毎に設定された相互作用に応じた数値解析が可能となるので、ポリマーモデルのセグメント毎にポリマーモデルの分子状態を解析することが可能となる。これにより、複合材料の解析方法は、フィラーモデル近傍の領域のポリマーモデルの分子状態の状態変化とフィラーモデルから離れた領域のポリマーモデルの分子状態とをそれぞれ解析することが可能となるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析用コンピュータプログラムは、上記複合材料の解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の複合材料の解析用コンピュータプログラムによれば、架橋後のポリマーモデルのセグメント毎に設定された相互作用に応じた数値解析が可能となるので、ポリマーモデルのセグメント毎にポリマーモデルの分子状態を解析することが可能となる。これにより、複合材料の解析用コンピュータプログラムは、フィラーモデル近傍の領域のポリマーモデルの分子状態の状態変化とフィラーモデルから離れた領域のポリマーモデルの分子状態とをそれぞれ解析することが可能となるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法は、コンピュータを用いて分子動力学法により作成した複合材料の解析用モデルを用いて解析した複合材料の解析結果の評価方法であって、ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する第1ステップと、前記ポリマーモデルを架橋解析により架橋させる第2ステップと、架橋後の前記ポリマーモデルに含まれるポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、評価対象とする複数のセグメントを特定したセグメントリストを作成する第3ステップと、ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルに相互作用を設定し、数値解析により特定したセグメント毎に前記ポリマーモデルの分子状態を解析して評価する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法によれば、架橋後のポリマーモデルのセグメント毎に設定された相互作用に応じた数値解析が可能となるので、ポリマーモデルのセグメント毎にポリマーモデルの分子状態を解析して評価することが可能となる。これにより、複合材料の解析結果の評価方法は、フィラーモデル近傍の領域のポリマーモデルの分子状態の状態変化とフィラーモデルから離れた領域のポリマーモデルの分子状態とをそれぞれ解析することが可能となるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の評価が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおいて、前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を算出することが好ましい。この方法により、セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を定量的に評価することが可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第3ステップにおいて、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとの間の距離を前記セグメントリストに追加して、前記第4ステップにおいて、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとの間の距離と前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を評価することが好ましい。この方法により、フィラーモデルからの距離とポリマーモデルの特定のセグメントの状態変化との関係を評価することが可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおいて、前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を複数の解析時間で算出し、算出した数値と解析時間との関係を評価することが好ましい。この方法により、解析時間毎に変化する特定のセグメントと物理量との関係を評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおいて、セグメントの状態変化を表す数値とひずみ又は解析時間との関係を評価することが好ましい。この方法により、解析時間毎に変化する特定のセグメントにおけるポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度とひずみ又は解析時間との関係を評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおいて、前記第4ステップにおいて、変圧解析を実行してセグメントの状態変化を表す数値と圧力又は解析時間との関係を評価することが好ましい。この方法により、解析時間毎に変化する特定のセグメントにおけるポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度と圧力又は解析時間との関係を評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおいて、変温解析を実行してセグメントの状態変化を表す数値と温度又は解析時間との関係を評価することが好ましい。この方法により、解析時間毎に変化する特定のセグメントにおけるポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度と温度又は解析時間との関係を評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価方法においては、前記第4ステップにおける数値解析結果に基づいて前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントを可視化することが好ましい。この方法により、特定のセグメントを可視化するので、ポリマーモデルの特性のセグメントの状態変化を描写して評価することができる。そして、例えば、可視化した結果を解析時間毎に連続して表示することにより、特定のセグメントの状態変化を動画として評価することも可能となる。
本発明の複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムは、上記複合材料の解析結果の評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明の複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムによれば、架橋後のポリマーモデルのセグメント毎に設定された相互作用に応じた数値解析が可能となるので、ポリマーモデルのセグメント毎にポリマーモデルの分子状態を解析して評価することが可能となる。これにより、複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムは、フィラーモデル近傍の領域のポリマーモデルの分子状態の状態変化とフィラーモデルから離れた領域のポリマーモデルの分子状態とをそれぞれ解析することが可能となるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の評価が可能な複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムを実現できる。
本発明によれば、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の解析及び評価が可能な複合材料の解析方法、複合材料の解析用コンピュータプログラム、複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムを実現できる。
図1は、本実施の形態に係る複合材料の解析方法で用いられる解析用モデルの一例を示す概念図である。 図2Aは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデル近傍の領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図2Bは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデル近傍の領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図2Cは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデル近傍の領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図3は、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデル近傍の領域のポリマー粒子をセグメントとして伸張解析後に可視化した例を示す図である。 図4Aは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデルから離れた領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図4Bは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデルから離れた領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図4Cは、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデルから離れた領域のポリマー粒子をセグメントとして可視化した例を示す図である。 図5は、架橋後のポリマーモデル分子中のフィラーモデルから離れた領域のポリマー粒子をセグメントとして伸張解析後に可視化した例を示す図である。 図6は、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法のフロー図である。 図7Aは、未架橋のポリマーモデルの概念図である。 図7Bは、架橋後のポリマーモデルの概念図である。 図8Aは、セグメントの一例を示す図である。 図8Bは、セグメントの一例を示す図である。 図8Cは、セグメントの一例を示す図である。 図8Dは、セグメントの一例を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料のシミュレーション方法を実行する解析装置の機能ブロック図である。 図10は、フィラーからの距離と慣性半径との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。
本実施の形態に係る複合材料の解析方法は、コンピュータを用いて分子動力学法により作成した複合材料の解析用モデルを用いた複合材料の解析方法であって、ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する第1ステップと、ポリマーモデルを架橋解析により架橋させる第2ステップと、架橋後のポリマーモデルに含まれるポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、解析対象とする複数のセグメントを特定したセグメントリストを作成する第3ステップと、複合材料の解析用モデルに相互作用を設定して数値解析により特定したセグメント毎にポリマーモデルの分子状態を解析する第4ステップと、を含む。また、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法は、本実施の形態に係る複合材料の解析方法を用いたポリマー分子の局所的な分子状態変化の評価方法である。まず、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法に用いられる複合材料の解析用モデルの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法で用いられる解析用モデル1の一例を示す概念図である。図1に示すように、本実施の形態に係る複合材料の解析用モデル1は、一辺の長さが距離L1の略立方体状の仮想空間であるモデル作成領域A内に2つのフィラーモデル11及び複数のポリマーモデル12が配置された解析対象となる複合材料がモデル化されている。なお、本実施の形態では、解析対象となる複合材料がフィラー及びポリマーを含有する例について説明するが、本発明は、2種類の物質を含有する複合材料以外にも各種複合材料に適用可能である。
この複合材料の解析用モデル1では、フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどが含まれる。フィラーモデル11は、複数のフィラー原子及び複数のフィラー原子の集合体としてのフィラー粒子11aが集合した略球状体としてモデル化される。フィラー粒子11aは、複数のフィラー粒子11a間の結合鎖(不図示)によって相対位置が特定されている。この結合鎖(不図示)は、フィラー粒子11a間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各フィラー粒子11a間を拘束している。結合鎖は、フィラー粒子11aの相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。このフィラーモデル11は、フィラーを分子動力学で取り扱うための数値データ(フィラー粒子11aの質量、体積、直径及び初期座標などを含む)である。フィラーモデル11の数値データは、コンピュータに入力される。
ポリマーとしては、例えば、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどが含まれる。ポリマーには、フィラーとの親和性を高める変性剤が必要に応じて配合される。この変性剤としては、例えば、水酸基、カルボニル基、及び原子団の官能基などが含まれる。ポリマーモデル12は、複数のポリマー原子及び複数のポリマー原子の集合体であるポリマー粒子12aがモデル作成領域A内に所定密度で充填されてモデル化される。ポリマー粒子12aは、複数のポリマー粒子12a間の結合鎖12bによって相対位置が特定されている。この結合鎖12bは、ポリマー粒子12a間の結合距離である平衡長とばね定数とが定義されたバネとしての機能を有し、各ポリマー粒子12a間を拘束している。結合鎖12bは、ポリマー粒子12aの相対位置及び捻り、曲げなどによって力が発生するポテンシャルが定義されているボンドである。このポリマーモデル12は、ポリマーを分子動力学で取り扱うための数値データ(ポリマー粒子12aの質量、体積、直径及び初期座標などを含む)である。ポリマーモデル12の数値データは、コンピュータに入力される。
次に、図2Aから図5を参照して、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法について詳細に説明する。本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法においては、架橋後のポリマーモデル12分子中の一部をポリマーモデル12のセグメントとして特定して解析して評価する。図2Aから図2Cは、架橋後のポリマーモデル12分子中のフィラーモデル近傍の領域のポリマー粒子12aをセグメント121として可視化した例を示す図であり、図3は、架橋後のポリマーモデル12分子中のフィラーモデル11近傍の領域のポリマー粒子12aをセグメント121として伸張解析後に可視化した例を示す図である。図4Aから図4Cは、架橋後のポリマーモデル12分子中のフィラーモデル11から離れた領域のポリマー粒子12aをセグメント122として可視化した例を示す図であり、図5は、架橋後のポリマーモデル12分子中のフィラーモデル11から離れた領域のポリマー粒子12aをセグメント122として伸張解析後に可視化した例を示す図である。なお、図2A及び図4Aにおいては、フィラー粒子11a及びポリマー粒子12aのX方向から見た状態を示し、図2B及び図4Bにおいては、フィラー粒子11a及びポリマー粒子12aのY方向から見た状態を示し、図2C、図3、図4C及び図5においては、フィラー粒子11a及びポリマー粒子12aのZ方向から見た状態を示している。
図2Aから図2Cに示す例では、ポリマーモデル12は、複数のポリマーモデル12が結合鎖12bで架橋結合されたポリマーモデル12分子全体の中の一部である2つのフィラーモデル11近傍の領域のポリマー粒子12aのセグメント121のみが可視化されている。図3に示すように、伸張解析後には2つのフィラーモデル11間の距離が拡大され、2つのフィラーモデル11の近傍の領域のポリマー粒子12aのセグメント121は、フィラーモデル11との間の相互作用によりフィラーモデル11近傍の2つのフィラーモデル11間の領域に集合した状態となる。
図4Aから図4Cに示す例では、ポリマーモデル12は、複数のポリマーモデル12が結合鎖12bで架橋結合されたポリマーモデル12分子全体の中の一部である2つのフィラーモデル11から離れた領域のポリマー粒子12aのセグメント121のみが可視化されている。図5に示すように、図3に示した例と同様に伸張解析を実施すると、2つのフィラーモデル11から離れた領域のポリマー粒子12aのセグメント122は、フィラーとの間の相互作用が図3に示した例に対して相対的に小さく、2つのフィラーモデル11間で分散した状態となる。
このように、本実施の形態においては、複数のポリマーモデル12が結合鎖12bにより架橋結合された大きなポリマーモデル12分子全体における一部のポリマー粒子12aをセグメント121,122として解析するので、フィラーモデル11とポリマーモデル12との間の距離などに応じた相互作用によるポリマーモデル12分子全体の中の一部の分子状態の配向及び広がりなどの変化を評価することが可能となる。これにより、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法は、コンパウンドの材料特性に与える影響を与える一因となるコンパウンドの変形に伴うポリマーの分子状態の変化を正確に解析して評価することが可能となる。なお、上述した実施の形態では、ポリマー粒子12aをセグメントとして特定する例について説明したが、結合鎖12bをセグメントとして特定してもよい。
次に、図6を参照して、本実施の形態に係る複合材料の解析方法及び複合材料の解析結果の評価方法についてより詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法のフロー図である。
図6に示すように、第1ステップでは、未架橋のポリマーモデル12を作成すると共にフィラーモデル11を作成する(ステップST11及びステップST12)。図7Aは、未架橋のポリマーモデル12の概念図である。図7Aに示すように、未架橋のポリマーモデル12−1,12−2は、複数のポリマー粒子12aが結合鎖12bによって連結されてなるものである。次に、これらのフィラーモデル11中に図1に示したように、ポリマーモデル12−1,12−2を配置して複合材料の解析用モデル1を作成する(ステップST13)。
次に、第2ステップでは、複合材料の解析用モデル1中のポリマーモデル12−1,12−2を架橋解析により架橋点を作成する(ステップST14)。図7Bは、架橋後のポリマーモデル12−1,12−2の概念図である。図7Bに示すように、架橋解析では、未架橋のポリマーモデル12−1,12−2の中の所定のポリマー粒子12a−1,12a−2を特定して架橋点12b−1を作成する。これにより、複合材料の解析用モデル1は、複数のポリマーモデル12によって架橋後の大きなポリマーモデル12が作成される。なお、ここでの架橋とは、3つ以上の結合鎖12bが接続してなるポリマー粒子12aを含むポリマーモデル12を形成することをいう。
次に、第3ステップでは、架橋後のポリマーモデル12のポリマー原子、ポリマー粒子12a及び結合鎖12bからなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、評価対象とする複数のセグメント毎に特定したセグメントリストを作成する。次に、評価対象とする評価セグメント毎のポリマー分子リストを作成する(ステップST15)。次に、作製したポリマー分子リストから評価するセグメントを選別する(ステップST16)。図8Aから図8Cは、セグメントの一例を示す図である。図8Aに示すように、セグメントは、架橋前のポリマーモデル12−1,12−2の全体をそれぞれ1つのセグメントS1,S2として特定してもよい。また、図8Bに示すように、セグメントは、架橋後のポリマーモデル12−1,12−2の架橋点12b−1と架橋点12b−2との間をそれぞれ4つのセグメントS3〜S6として特定してもよい。また、図8Cに示すように、セグメントは、架橋後のポリマーモデル12−1,12−2の架橋点12b−1,12b−2を含む範囲を6つのセグメントS7〜S12として特定してもよい。また、図8Dに示すように、セグメントは、架橋後のポリマーモデル12−3の架橋点12a−5及び自由末端12cを含むセグメントS13として特定してもよく、自由末端のみをセグメントとして特定してもよい。なお、自由末端とはセグメントの一端のみが架橋点であるものである。さらに、セグメントは、架橋点12a−6及び架橋点12a−6にループ状に結合している結合鎖12dをセグメントS14として特定してもよく、結合鎖12dのみをセグメントとして特定してもよい。なお、セグメントリストには、セグメント番号とそのセグメントを構成するポリマー粒子番号及び結合鎖番号の少なくとも1種が含まれる。粒子番号またはボンド番号だけでも良い。
次に、第4ステップでは、ポリマーモデル12及びフィラーモデル11を含む複合材料の解析用モデルに相互作用を設定する(ステップST17)。ここでの相互作用としては、例えば、フィラー粒子11a間、ポリマー粒子12a間、フィラー粒子11aとポリマー粒子12aとの間の相互作用及びフィラー粒子11aとポリマー粒子12aとが結合鎖で結合した状態の相互作用が挙げられるが、これらの全てに設定する必要はない。また、ポリマーモデル12が、複数種類のポリマーモデルを含有する場合には、各ポリマーモデル12を構成するポリマー粒子12aとフィラー粒子11a及びポリマー粒子12aとの間に設定してもよい。さらに、この場合にあっては、作成するポリマーモデル12の種類に応じて例えば、第1のポリマーモデル12を構成するポリマー粒子12aAとフィラー粒子11aとの間の第1相互作用と第2のポリマーモデル12を構成するポリマー粒子12aBと当該フィラー粒子11aとの間の第2相互作用とを異なる相互作用として設定してもよい。
次に、数値解析を実行して、特定したセグメント毎にポリマーモデル12の分子状態を解析して評価する(ステップST18)。ここでの数値解析としては、例えば、解析時間毎に変化する解析時間毎の物理量を評価する。これにより、解析時間毎に変化する解析用モデル全体の物理量を評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。また、数値解析としては、例えば、変形解析、変圧解析、及び変温解析などが挙げられる。この数値解析により、解析時間毎に変化する解析用モデル全体のポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度、架橋点間と自由末端の速度又は結合長、配向などの物理量などのセグメントの状態変化を表す数値とひずみとの関係、解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と圧力又は解析時間との関係、及び解析時間毎に変化するポリマー分子の結合長及びポリマー粒子速度などのセグメントの状態変化を表す数値と温度又は解析時間との関係などを評価できるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化のより詳細な解析が可能となる。また、ここでは、複数のポリマー分子のセグメントの平均をとって評価してもよい。この場合、例えば、ポリマーモデル12の自由末端のセグメントの平均を評価対象としてもよく、ポリマーモデル12全体の架橋点間のセグメントの一部又は全てを評価対象としてもよい。
最後に、選別したポリマーモデル12のセグメントを評価して解析結果の評価を終了する(ステップST19)。ここでは、例えば、評価セグメント毎のポリマー分子リストのポリマーモデル12のセグメント中でも、例えば、架橋後のポリマーモデル12のフィラーモデル11近傍の領域を選別したポリマー粒子12aのセグメント121とフィラーモデル11から離れた領域を選別したポリマー粒子12aのセグメント122とをそれぞれ評価することにより、図3及び図5に示したフィラーモデル11近傍の領域及びフィラーモデル11から離れた領域におけるポリマーモデル12のポリマー粒子12aの分子運動をそれぞれ評価することが可能となる。
第4ステップにおいては、作成したセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を算出することができる。ここでの算出する数値としては、セグメントリストに含まれるポリマー粒子12aのセグメントの配向、慣性半径、平均二乗変位、末端間距離、平均ボンド長、加速度、及び速度などが挙げられる。このように数値を算出することにより、セグメントリストに含まれる特定のセグメントに属するポリマー粒子12aの状態変化を定量的に評価することが可能となる。
また、第4ステップにおいては、第3ステップで予め算出したポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離をセグメントリストに追加して、ポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離とセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を評価してもよい。この場合にあっては、例えば、ポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離とセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を表にして評価してもよく、グラフとして評価してもよい。図10に、フィラーからの距離とセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値の一例としての慣性半径との関係を示す。図10に示す例では、慣性半径は、フィラーからの距離が近い範囲では大きくなるのに対し、フィラーからの一定の距離が離れると急速に減少することが分かる。このように、評価することにより、フィラーからの距離とポリマーの特定のセグメントの状態変化との関係を評価することが可能となる。
ここで、下記表1を参照して架橋後のポリマーモデル12及びフィラーモデル11を含む複合材料の解析用モデル1を伸張解析により200%伸長した際の慣性半径について説明する。なお、下記表1の実施例1は、架橋後の大きな1分子のポリマーモデル12に含まれるフィラーモデル11近傍の領域の架橋前の状態のポリマーモデル12の1分子をセグメントとして慣性半径を評価した例を示している。下記表1の実施例2は、架橋後の大きな1分子のポリマーモデル12に含まれるフィラーモデル11から離れた領域の架橋前の状態のポリマーモデル12の1分子をセグメントとして慣性半径を評価した例を示している。下記表1の比較例は、架橋後の大きな1分子のポリマーモデル12全体の慣性半径を評価した例を示している。
Figure 0006464796
表1から分かるように、架橋前の状態のポリマーモデル12の1分子をセグメントとして慣性半径を評価した場合には、伸張解析による変形前後の慣性半径の値が、架橋後の大きな1分子のポリマーモデル12全体の慣性半径を評価した場合に対して大きく異なることが分かる(実施例1、2及び比較例)。そして、伸張解析による変形前後の慣性半径の値は、フィラーモデル11から離れた領域の架橋前の状態のポリマーモデル12の1分子をセグメントとした場合と(実施例1)、フィラーモデル11近傍の領域の架橋前の状態のポリマーモデル12の1分子をセグメントとした場合との間でも大きく異なることが分かる(実施例2)。これらの結果から、架橋後のポリマーモデル12全体の慣性半径を評価した場合には、複合材料の解析用モデル1の全体の変形に伴う架橋後の大きなポリマーモデル12の1分子全体の慣性半径しか評価できていないことが分かる。そして、架橋前のポリマーモデル12の1分子をセグメントとして慣性半径を評価することにより、フィラーモデル11とポリマーモデル12との間の距離に応じたポリマー分子の局所的な広がり(変形)をそれぞれ評価できることが分かる。
また、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法においては、第4ステップにおける数値解析結果に基づいてセグメントリストに含まれる特定のセグメントを可視化することが好ましい。特定のセグメントを可視化する場合にあっては、当該特定のセグメントのみを可視化して表示してもよく、当該特定のセグメントを他のセグメントとは色を変えて表示してもよい。また、特定のセグメントを可視化する場合には、当該特定のセグメントをフィラー及び他のポリマーなどの異なる材料と共に可視化して表示してもよい。また、特定のセグメントを可視化する場合には、算出したセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値に応じてコンター表示してもよい。このように、特定のセグメントを可視化することにより、ポリマー粒子12aの状態変化を描写して評価することができる。また、解析時間毎にポリマー粒子12aの状態変化を可視化して連続して表示することにより、ポリマー粒子12aの状態変化を動画とすることも可能となる。
次に、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラムについて詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料のシミュレーション方法を実行する解析装置の機能ブロック図である。
図9に示すように、本実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法及び複合材料のシミュレーション方法は、処理部52と記憶部54とを含むコンピュータである解析装置50が実現する。この解析装置50は、入力手段53を備えた入出力装置51と電気的に接続されている。入力手段53は、複合材料の解析用モデルの作成対象であるポリマー及びフィラーの各種物性値、ポリマー及びフィラーを含有する複合材料を用いた伸張試験結果の実測結果、及び解析における境界条件などを処理部52又は記憶部54へ入力する。入力手段53としては、例えば、キーボード、マウスなどの入力デバイスが用いられる。
処理部52は、例えば、中央演算装置(CPU:CentraL1 Processing Unit)及びメモリを含む。処理部52は、各種処理を実行する際にコンピュータプログラムを記憶部54から読み込んでメモリに展開する。メモリに展開されたコンピュータプログラムは、各種処理を実行する。例えば、処理部52は、記憶部54から予め記憶された各種処理に係るデータを必要に応じて適宜メモリ上の自身に割り当てられた領域に展開し、展開したデータに基づいて複合材料の解析用モデルの作成及び複合材料の解析用モデルを用いた複合材料のシミュレーションに関する各種処理を実行する。
処理部52は、モデル作成部52aと、条件設定部52bと、解析部52cとを含む。モデル作成部52aは、予め記憶部54に記憶されたデータに基づき、分子動力学法により複合材料の解析用モデル1を作成する際のフィラー及びポリマーなどの複合材料の粒子数、分子数、分子量、分子鎖長、分子鎖数、分岐、形状、大きさ、反応時間、反応条件及び作成する解析用モデルに含まれる分子数である目標分子数などの構成要素の配置、設定及び計算ステップ数などの粗視化モデルの設定、分子鎖間などの相互作用などの各種計算パラメーターの初期条件の設定を行う。
フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子12a間の相互作用を調整する計算パラメーターとしては、下記式(1)で表されるレナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを用い、これらが調整される。ポテンシャルを計算する上限距離(カットオフ距離)を大きくすることで、遠距離まで働いた引力、斥力を調整できる。なお、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子12a間の相互作用が一定値になるまで順次、フィラー粒子11a間の相互作用及びポリマー粒子12a間の相互作用のパラメーターを小さくすることが好ましい。レナード・ジョーンズポテンシャルのσ、εを大きな値から徐々に本来の値に近づけることにより、分子を不自然な状態に導かない穏やかな速度で粒子の接近を行うことができる。また、カットオフ距離も徐々に小さくすることにより、適正な範囲で引力、斥力を調整できる。
Figure 0006464796
モデル作成部52aは、初期条件の設定の後、平衡化計算を行う。平衡化計算では、所定の温度、密度及び圧力で、初期設定後の各種構成要素が平衡状態に到達する所定の時間、分子動力学計算を行う。そして、モデル作成部52aは、初期条件の設定及び平衡化の計算処理後に、計算領域内に設定した複合材料の解析用モデルを作成するモデル作成領域A内にポリマー粒子12a及び結合鎖12bを含むポリマーモデル12及びフィラー粒子11aを含むフィラーモデル11を作成する。また、モデル作成部52aは、必要に応じてポリマーにフィラーとの親和性を高める水酸基、カルボニル基、及び原子団の官能基などの変性剤を配合してもよい。
モデル作成部52aは、架橋解析により複合材料の解析用モデル中の未架橋のポリマーモデル12の中の所定のポリマー粒子12aを特定して架橋点を作成し、3つ以上の結合鎖12bが接続してなるポリマー粒子12aを含むポリマーモデル12を作成する。
条件設定部52bは、モデル作成部52aで作成した複合材料の解析用モデル1を用いた分子動力学法による運動シミュレーション(解析)を実行するための各種条件を設定する。条件設定部52bは、入力手段53からの入力及び記憶部54に記憶されている情報に基づいて各種条件を設定する。各種条件としては、解析を実行するフィラーモデル11の位置及び数、フィラー原子、フィラー原子団、フィラー粒子11a及びフィラー粒子群の位置及び数、フィラー粒子11a番号、ポリマーの分子鎖の位置及び数、ポリマー原子、ポリマー原子団、ポリマー粒子12a及びポリマー粒子群の位置及び数、ポリマー粒子番号、結合鎖12b及び結合鎖12bの位置及び数、結合鎖12b番号、予め設定した物理量履歴である応力ひずみ曲線及び条件を変更しない固定値などが含まれる。
解析部52cは、モデル作成部52aにより作成されたフィラーモデル11及びポリマーモデル12を含む複合材料の解析用モデル1を用いた分子動力学法による緩和計算、伸張解析、せん断解析などの変形解析などの運動シミュレーションを実行して各種物理量を取得する。ここでの物理量としては、シミュレーションの結果得られる運動変位及び公称応力又は運動変位を演算して得られる公称ひずみなどが挙げられる。
また、解析部52cは、架橋解析により架橋された架橋後のポリマーモデル12を用いて分子動力学法を用いた計算を実行する。また、解析部52cは、解析したフィラーとポリマーとの間の相互作用を用いて分子動力学法を用いた計算を実行する。
解析部52cは、架橋後のポリマーモデル12のポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、評価対象とする複数のセグメント毎に特定したセグメントリストを作成する。ここでは、解析部52cは、架橋前のポリマーモデル12の全体をそれぞれ1つのセグメントとして特定してもよく、架橋後のポリマーモデル12の架橋点12b間をそれぞれセグメントとして特定してもよく、架橋後のポリマーモデル12の架橋点12bを含む範囲をセグメントとして特定してもよい。ここでは、解析部52cは、セグメント番号とそのセグメントを構成するポリマー粒子番号及び結合鎖番号の少なくとも1種を評価対象とする複数のセグメント毎に特定したセグメントリストを作成する。また、解析部52cは、評価対象とする評価セグメント毎のポリマー分子リストを作成する。
また、解析部52cは、ポリマーモデル12及びフィラーモデル11を含む複合材料の解析用モデル1に相互作用を設定する。ここでは、解析部52cは、フィラー粒子11a間、ポリマー粒子12a間、フィラー粒子11a及びポリマー粒子12a間などに相互作用を設定する。また、解析部52cは、ポリマーモデル12が、複数種類のポリマーモデルを含有する場合には、各ポリマーモデル12を構成するポリマー粒子12aとフィラー粒子11a及びポリマー粒子12aとの間に設定する。
さらに、解析部52cは、数値解析を実行して、特定したセグメント毎にポリマーモデル12の分子状態を解析して評価する。また、解析部52cは、選別したポリマーモデル12のセグメントを評価する。ここでは、解析部52cは、評価セグメント毎のポリマー分子リスト中のセグメントとして、例えば、架橋後のポリマーモデル12のフィラーモデル11近傍の領域を選別したポリマー粒子12aのセグメントとフィラーモデル11から離れた領域を選別したポリマー粒子12aのセグメントとをそれぞれ評価することにより、フィラーモデル11近傍の領域及びフィラーモデル11から離れた領域におけるポリマーモデル12のポリマー粒子12aの分子運動をそれぞれ評価することが可能となる。
また、解析部52cは、作成したセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を算出する。ここでは、解析部52cは、セグメントリストに含まれるポリマー粒子12aのセグメントの配向、慣性半径、平均二乗変位、末端間距離、平均ボンド長、加速度、及び速度などの数値を算出する。
さらに、解析部52cは、予め算出したポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離をセグメントリストに追加して、ポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離とセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を評価する。ここでは、解析部52cは、ポリマーモデル12とフィラーモデル11との間の距離とセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を表及びグラフなどとして評価する。
また、解析部52cは、数値解析結果に基づいてセグメントリストに含まれる特定のセグメントを可視化する。ここでは、解析部52cは、特定のセグメントを可視化する場合には、当該特定のセグメントのみを可視化しての表示又は当該特定のセグメントを他のセグメントとは色を変えて表示する。また、解析部52cは、特定のセグメントを可視化する場合には、当該特定のセグメントをフィラー及び他のポリマーなどの異なる材料と共に可視化して表示する。また、解析部52cは、特定のセグメントを可視化する場合には、算出したセグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値に応じてコンター表示する。また、解析部52cは、解析した複合材料の解析結果を記憶部54に格納する。
記憶部54は、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ及びCD−ROMなどの読み出しのみが可能な記録媒体である不揮発性のメモリ、並びに、RAM(Random Access Memory)のような読み出し及び書き込みが可能な記録媒体である揮発性のメモリが適宜組み合わせられる。
記憶部54には、入力手段53を介して解析対象となる複合材料の解析用モデルを作成するためのデータであるゴムカーボンブラック、シリカ、及びアルミナなどのフィラーのデータ、ゴム、樹脂、及びエラストマーなどのポリマーのデータ、予め設定した物理量履歴である応力ひずみ曲線及び本実施の形態に係る複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料のシミュレーション方法及び複合材料の解析結果の評価方法を実現するためのコンピュータプログラムなどが格納されている。このコンピュータプログラムは、コンピュータ又はコンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本実施の形態に係る複合材料のシミュレーション方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)及び周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
表示手段55は、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。なお、記憶部54は、データベースサーバなどの他の装置内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52及び記憶部54にアクセスするものであってもよい。
以上説明したように、上記実施の形態に係る複合材料の解析結果の評価方法によれば、架橋後のポリマーモデル12のセグメント毎に設定された相互作用に応じた数値解析が可能となるので、ポリマーモデル12のセグメント毎にポリマーモデル12の分子状態を解析して評価することが可能となる。これにより、複合材料の解析結果の評価方法は、フィラーモデル11近傍の領域のポリマーモデル12の分子状態の状態変化とフィラーモデル11から離れた領域のポリマーモデル12の分子状態とをそれぞれ解析することが可能となるので、ポリマー分子の局所的な分子状態変化の評価が可能な複合材料の解析結果の評価方法を実現できる。
1 解析用モデル
11 フィラーモデル
11a フィラー粒子
12,12−1,12−2 ポリマーモデル
12a,12a−1,12a−2 ポリマー粒子
12b,12b−1,12b−2 架橋点
121,122 セグメント
50 解析装置
51 入出力装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 条件設定部
52c 解析部
53 入力手段
54 記憶部
55 表示手段
A 領域
L1 距離
S1〜S12 セグメント

Claims (11)

  1. コンピュータを用いて分子動力学法により作成した複合材料の解析用モデルを用いた複合材料の解析方法であって、
    ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する第1ステップと、
    前記ポリマーモデルを架橋解析により架橋させる第2ステップと、
    架橋後の前記ポリマーモデルに含まれるポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、解析対象とする複数のセグメントを特定したセグメントリストを作成する第3ステップと、
    前記複合材料の解析用モデルに相互作用を設定して数値解析により特定したセグメント毎に前記ポリマーモデルの分子状態を解析する第4ステップと、
    を含むことを特徴とする、複合材料の解析方法。
  2. 請求項1に記載の複合材料の解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする、複合材料の解析用コンピュータプログラム。
  3. コンピュータを用いて分子動力学法により作成した複合材料の解析用モデルを用いて解析した複合材料の解析結果の評価方法であって、
    ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルを作成する第1ステップと、
    前記ポリマーモデルを架橋解析により架橋させる第2ステップと、
    架橋後の前記ポリマーモデルに含まれるポリマー原子、ポリマー粒子及び結合鎖からなる群から選択された少なくとも1種をセグメントとし、評価対象とする複数のセグメントを特定したセグメントリストを作成する第3ステップと、
    ポリマーモデル及びフィラーモデルを含む複合材料の解析用モデルに相互作用を設定し、数値解析により特定したセグメント毎に前記ポリマーモデルの分子状態を解析して評価する第4ステップと、
    を含むことを特徴とする、複合材料の解析結果の評価方法。
  4. 前記第4ステップにおいて、前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を算出する、請求項3に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  5. 前記第3ステップにおいて、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとの間の距離を前記セグメントリストに追加して、前記第4ステップにおいて、前記ポリマーモデルと前記フィラーモデルとの間の距離と前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値との関係を評価する、請求項4に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  6. 前記第4ステップにおいて、前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントの状態変化を表す数値を複数の解析時間で算出し、算出した数値と解析時間との関係を評価する、請求項4に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  7. 前記第4ステップにおいて、変形解析を実行してセグメントの状態変化を表す数値とひずみ又は解析時間との関係を評価する、請求項6に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  8. 前記第4ステップにおいて、変圧解析を実行してセグメントの状態変化を表す数値と圧力又は解析時間との関係を評価する、請求項6に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  9. 前記第4ステップにおいて、変温解析を実行してセグメントの状態変化を表す数値と温度又は解析時間との関係を評価する、請求項6に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  10. 前記第4ステップにおいて、数値解析結果に基づいて前記セグメントリストに含まれる特定のセグメントを可視化する、請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の複合材料の解析結果の評価方法。
  11. 請求項3から請求項10のいずれか1項に記載の複合材料の解析結果の評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とする、複合材料の解析結果の評価用コンピュータプログラム。
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