JP6758367B2 - 全脂粉乳および全脂粉乳の造粒方法 - Google Patents

全脂粉乳および全脂粉乳の造粒方法 Download PDF

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Description

本発明は、全脂粉乳および全脂粉乳の造粒方法に関する。
近年、水や湯を添加するだけで本格的な飲料を再現することができるインスタント飲料が市場に流通している。インスタント飲料に求められる性能としては、携帯性、保存性、再現性などが挙げられる。
携帯性に優れたインスタント飲料としては、例えば、スティック状の包装体や小型カップ(いわゆる、ポーション)に封入されたインスタント飲料が良く知られている。また、保存性に優れたインスタント飲料にとしては、例えば、水分含量を低くするために水分を揮散させた乾燥物が良く知られている。さらに、再現性に優れたインスタント飲料としては、例えば、希釈して用いる濃縮液体が知られている。
一方、インスタント飲料の中には、見た目、味または香りなどが再現しにくいものも存在する。例えば、全脂粉乳で牛乳を再現しようとした場合、全脂粉乳を作る過程で発生する加熱臭が問題となる。また、全脂粉乳は溶解性が悪く、風味や乳脂肪感も劣るため、再現した飲料は牛乳様水溶液と言わざるを得ないような出来であった。さらに、全脂粉乳は保存性が悪いといった問題もある。
これらの問題を解決するために、特許文献1では、牛乳などの獣乳に特定の粉末化剤を添加した後、粉末化する方法が開示されている。
特開2007−275029号
しかしながら、粉末化の段階でシクロデキストリンを用いた粉乳は、同量の全脂粉乳と比べて牛乳の占める割合が少ない。そのため、水に添加して再現しようとした場合、コク(乳脂肪感)が減ってしまうといった問題がある。また、牛乳の占める割合を増やすために水に添加する粉乳量を増やすと、デキストリンによる異味を呈するといった問題がある。
そこで本発明は、水に溶解させた際に異味を呈さず、元の牛乳本来のコクが再現できる全脂粉乳および全脂粉乳の造粒方法を提供することを課題とする。また、水への溶解性が高い全脂粉乳および全脂粉乳の造粒方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、全脂粉乳の造粒方法であって、全脂粉乳にエタノールを添加する添加工程と、前記添加したエタノールを揮散させる乾燥工程と、前記乾燥物に油脂と乳化剤を添加して混合する混合工程と、前記混合物を造粒する造粒工程と、からなる全脂粉乳の造粒方法である。
このような構成によると、溶解性を改善することができるため、従来の全脂粉乳よりも素早く冷水に溶解させることができる。また、乳脂肪感および風味を改善することができるため、より牛乳に近づけた溶液を再現することができる。
前記した全脂粉乳の造粒方法は、前記造粒工程においてDE5〜12のデキストリンを用いた流動層造粒であることが望ましい。
このような構成によると、デキストリンによる異味を抑えることができる。また、流動層造粒とすることで、加熱臭や加工臭を抑えつつ造粒することができる。
前記した全脂粉乳の造粒方法は、前記混合工程において用いる油脂と乳化剤があらかじめ混合されていることが望ましい。
このような構成によると、全脂粉乳に万遍なく油脂を添加することができる。
前記課題を解決する本発明は、水温4℃の水38gに造粒した全脂粉乳12g加え、1000rpmで20秒撹拌した後、42メッシュで濾過した溶液のBrix値が11以上となる造粒された全脂粉乳である。
このような全脂粉乳は、冷水に対して短時間で溶解することができる。
本発明によれば、水に溶解させた際に、異味を呈さず、元の牛乳本来のコクが再現できる全脂粉乳を提供することができる。
造粒前の全脂粉乳の電子顕微鏡写真(×3000倍)であって、(a)は未処理のもの、(b)はエタノール処理したもの、(c)は油脂を添加したもの、(d)はエタノール処理した後に油脂を添加したもの、である。 造粒後の全脂粉乳の電子顕微鏡写真(×3000倍)であって、(a)は未処理の全脂粉乳を造粒したもの、(b)はエタノール処理した全脂粉乳を造粒したもの、(c)は油脂を添加した全脂粉乳を造粒したもの、(d)はエタノール処理した後に油脂を添加した全脂粉乳を造粒したもの、である。
次に、本発明の一実施形態に係る全脂粉乳およびその造粒方法について説明する。
本実施形態の造粒方法は、全脂粉乳にアルコールを添加する添加工程と、添加したアルコールを揮散させる乾燥工程と、乾燥物に油脂と乳化剤を添加して混合する混合工程と、混合物を造粒する造粒工程からなる。
<添加工程>
添加工程はアルコールで全脂粉乳の表面を処理するために行う。この処理を行うことで、全脂粉乳が脱水され、後述する混合工程において、全脂粉乳に油脂が付着しやすくなる。
アルコールの添加方法は特に制限されず、全脂粉乳に対してアルコールを添加したり、アルコール中に全脂粉乳を浸漬したりする方法などが挙げられる。アルコールを添加する場合には、一度にアルコールを添加しても良いし、数回に分けて添加しても良い。また、添加しながらかき混ぜることが好ましい。これにより、全脂粉乳の表面にアルコールを万遍なく行きわたらせることができる。全脂粉乳に添加されるアルコール量としては、全脂粉乳に万遍なくアルコールが行きわたる量であることが好ましい。
添加工程で用いられるアルコールとしては、一級アルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。また、用いるアルコールの温度に特に制限はないが、取り扱いの観点から常温のものを用いることが好ましい。
<乾燥工程>
乾燥工程は全脂粉乳に添加したアルコールを揮散させるために行う。
乾燥方法としては、常温乾燥、真空乾燥、吸引乾燥などが挙げられる。一方、加熱乾燥など熱を加える乾燥は、全脂粉乳に加熱臭がついてしまうため、避けることが好ましい。
乾燥時間は特に制限されない。また、乾燥時に撹拌しながら乾燥させることが好ましい。アルコールを添加した全脂粉乳からアルコールが揮散すると、全脂粉乳が硬く固まってしまう。そのため、乾燥するときは、撹拌するか、塊を砕きながら乾燥させることが好ましい。塊のままだと、内部が乾燥しにくいためである。また、後述する混合工程において、内部にまで油脂が浸みこまず、全脂粉乳を万遍なく処理することができないためである。
<混合工程>
混合工程はアルコールで処理された全脂粉乳の表面に油膜を張るために行う。上述の添加工程でアルコール処理した全脂粉乳の表面は凹凸が形成される。そのため、全脂粉乳に油脂を添加すると、全脂粉乳の表面に油膜が形成しやすくなるものと考えられる。
全脂粉乳に添加する油脂としては、生乳の脂肪酸組成に近づけることができるものが好ましく、植物性油脂がより好ましい。植物性油脂としては、大豆油、菜種油、パーム油、ヤシ油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、胡麻油などが挙げられる。このうち、パーム油またはヤシ油が特に好ましい。油脂の添加量としては、全脂粉乳の重量に対して1〜5重量%の範囲が好ましい。5重量%より多いと風味が低下したり、粒子の物性が悪化(べたべたした状態)したりする。
添加する油脂はあらかじめ乳化剤を用いて乳化されていることが好ましい。乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。このうち、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。また、乳化剤は油脂への添加を考慮し、HLBが1〜9であることが好ましい。このうち、HLBが4〜7であることが特に好ましい。乳化剤によって油脂を予め乳化しておくことで、冷水に溶かした時に分散しやすいといったメリットがある。油脂に添加する乳化剤の量としては、油脂100gに対して、乳化剤が1gであることが好ましい。
油脂の添加方法は特に制限されず、一度に油脂を添加しても良いし、数回に分けて油脂を添加しても良い。なお、油脂が万遍なく全脂粉乳にいきわたるように、よく混合することが好ましい。
本発明に用いる油脂は、様々な風味をつけたシーズニングオイルや油溶性のフレーバーなどで着香することも可能である。
<造粒工程>
造粒工程は、全脂粉乳を顆粒にするために行う。顆粒にすることで水に対する溶解性をより向上させることができる。
造粒方法としては、転動造粒、流動層造粒、押し出し造粒等の湿式造粒を用いることができる。このうち、ポーラスで溶解性の高い顆粒を形成することができる流動層造粒が好ましい。なお、このとき流動層造粒に用いる温度は、50℃以下であることが好ましい。あまり高温だと、加熱臭が付着するためである。
造粒工程に用いられるバインダーとしては、DE5〜12であることが好ましい。DEが5未満だと粘度が高くなってしまう。DEが12より大きいと甘さが増してしまう。
造粒した顆粒を用いて、さらに繰り返し造粒しても良い。これにより、顆粒を大きくすることができる。このとき、一度造粒したものは10分間乾燥させた後、5分間冷却してから用いることが望ましい。バインダーを完全に乾燥させ、全脂粉乳に加熱臭がつかないようにするためである。
造粒の出来としては、30メッシュを用いて確認することが好ましい。このとき、30メッシュパス品の割合が30重量%以下となることが好ましい。30メッシュパス品の割合が30%を超えると、採算性が悪い。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
まず、以下に示す方法で、実施例、比較例1〜3に係る組成物を作製した。
<実施例1>
全脂粉乳(よつ葉乳業株式会社製:よつ葉北海道全脂粉乳)490gに対して、99%以上のエタノール(日本アルコール販売株式会社製:特定アルコール トレーサブル99l級)を計4回、合計45ml添加した。このとき、全脂粉乳を撹拌しながらエタノールを添加した。次に、パームオレイン油(不二精油株式会社製)9.88gとトコフェロール(理研ビタミン株式会社製)0.02gに乳化剤(三菱化学株式会社製:リョートーポリグリエステルO−50−D)を0.1g加え、あらかじめ乳化させた油脂を10g添加し、全脂粉乳とよく混合した。次に、油脂と混合した全脂粉乳をOKAWARA社製の造粒装置(FLOW COATER)に投入し、造粒を行った。バインダーとして、DE10のデキストリン(松谷化学工業株式会社製:パインデックス#2)を用いた。バインダーの噴霧量は粉末原料の20重量%とした。得られた全脂粉乳の粒を、45℃で10分間乾燥させた後、40℃で5分間冷却した。冷却した粒を再びOKAWARA社製の造粒装置(FLOW COATER)に投入し、造粒、乾燥、冷却を繰り返し3回(合計4サイクル)行い、全脂粉乳の顆粒を得た。
<比較例1(全脂粉乳そのまま)>
実施例1で用いた全脂粉乳(未処理)である。
<比較例2(混合工程なし)>
実施例1において、エタノール処理(添加・乾燥工程)後の全脂粉乳を用いて造粒したこと以外は、実施例1と同じである。
<比較例3(添加・乾燥工程なし)>
実施例1において、エタノール処理(添加・乾燥工程)を行わずに、全脂粉乳に油脂を添加して造粒を行ったこと以外は、実施例1と同じである。
<実験1:電子顕微鏡写真>
実施例1および比較例1〜3において、造粒前後における各全脂粉乳の表面状態を、電子顕微鏡(日本電子株式会社製:JCM−6000)を用いて観察した。なお、比較例1の造粒は、実施例1と同条件で造粒を行った。
図1(a)から明らかなように、何の加工処理も施していない造粒前の全脂粉乳の表面は、多少ひび割れたような溝はあるものの、全体的に表面荒れが少ないことがわかる。また、図1(c)から明らかなように、全脂粉乳に油脂を添加しても、表面構造に目立った変化は認められない。ただ、強いてあげるのであれば、油脂を添加した全脂粉乳の表面は溝が浅く、滑らかになっているようにも見える。そのため、全脂粉乳の表面が油脂によっていくらか膨潤しているものと考えられる。これに対して、図1(b)から明らかなように、エタノール処理をした全脂粉乳は、未処理の全脂粉乳に比べて全体的にしぼんだような形状をしており、表面が非常に凸凹していることがわかる。また、よく見ると、円柱体状の物体が表面に無数に付着しているようにも見える。この円柱体状の物質が何なのかは、現時点では不明である。次に、エタノール処理した全脂粉乳に油脂を混合すると、全脂粉乳の表面が図1(b)に比べて幾分滑らかな形状になっていることがわかる。また、図1(d)で認められた円柱体状の物体が膨潤してくっつきあっているようにも見える。
これらのことから、全脂粉乳に油脂を添加すると全脂粉乳の表面が膨化し、表面が滑らかになるものと考えられる。
次に、造粒後の全脂粉乳の表面構造について考察する。図2(d)に示すように、本発明に係る造粒物の表面は、漆喰壁のように多少凹凸はあるものの、比較的滑らかな形状である。これは、デキストリンによって表面が皮膜されたためと考えられる。このような表面構造は、比較例1および比較例2でも認められた(図2(a)、(b)参照)。このうち、比較例1の造粒物については、表面に小さい気泡のようなものが認められた。また、図示しない別の写真からは、造粒物の中に無数の空隙が形成されていることが確認できた。これは、未処理の全脂粉乳を造粒処理することで、全脂粉乳から水分が揮散し、それによって空隙が形成されるためと考えられる。
次に、比較例2の造粒物について観察する。エタノール処理した全脂粉乳は表面構造が荒れていた(図1(b)参照)が、造粒物は表面に多少の凹凸が残っているものの、比較的滑らかであった。また、比較例1の造粒物のように、造粒物の表面に気泡は認められなかった。これは、エタノール処理によって脱水されたことにより、造粒の際に水分揮散が起こらなかったためと考えられる。
一方、油脂添加処理のみを行った全脂粉乳を造粒した場合、図2(d)に示すように、もともと全脂粉乳に見られた溝が残っている。しかし、その溝はデキストリンで埋められており、だいぶ浅くなっているようにも見える。また、溝以外の部分はデキストリンによって皮膜されたためか、とても滑らかである。さらに、比較例1の造粒物に見られたような気泡は認められなかった。
<実験2:溶解度試験>
実施例1および比較例1〜3の冷水に対する溶解度を測定した。
実施例1、比較例2および比較例3の全脂粉乳の顆粒と、比較例1の全脂粉乳とを、全脂粉乳の量が12g含まれるように計量した。
各計量した顆粒または全脂粉乳を、4℃に冷却した水38mlに添加した。添加した水を、マグネットスターラーを用いて1000rpmで10,20,40,80秒撹拌した。撹拌後、42Mフィルターを通過させ、通過した溶液のBrix値をAbbemat200 自動屈折計(Anton Paar社製)を用いて測定した。そして、上記試験を3回行い、平均値を求めた。
ここで、Brix値とは、糖度に用いられる物理量である。全脂粉乳の溶解度が高いほどBrix値は上昇する。これは、全脂粉乳の溶解度と糖度には相関関係があるためである。また、溶解度が高いほど濁度は濃くなる。このことから、本発明では濁度の指標としてBrix値を用いることとした。
溶解度試験の結果を表2に示す。結果は平均した値を記載する。
Figure 0006758367
表1から明らかなように、実施例1はすべての時間において最も溶解度が高い結果となった。また、溶解度は撹拌時間が長くなるほど増加し、約40秒の撹拌でBrix値はほぼ最大値に達した。そのため、各比較例に比べて約半分の時間で溶解していることがわかる。
これに対して、比較例1は溶解度が低く、80秒間撹拌しても20秒間撹拌した実施例と同程度の溶解度しかなかった。また、40秒経過後は、撹拌時間を長くしても、溶解度がさほど上がってないことがわかる。
次に、比較例2について考察すると、比較例2は比較例1よりも初期段階(10秒撹拌時)の溶解度が上昇していることがわかる。また、それ以外の撹拌時間においても、比較例1よりも溶解度が上昇していることがわかる。しかし、40秒経過後は、ほとんど溶解度が上昇していない。この原因については、不明である。
比較例3について考察すると、比較例3では他の比較例に比べて初期段階での溶解度が最も高いものであった。40秒経過後の溶解度は比較例2とさほど大差のない結果となった。ただし、他の比較例同様、40秒経過後は、溶解度がほとんど上昇していないことがわかる。
比較例1〜3について比較すると、全脂粉乳は未処理(比較例1)のものに比べて何かしら加工処理を施している方(比較例2,3)が、初期段階の溶解度を向上させられることが確認された。これは、加工処理によって全脂粉乳の表面構造変化が起因していると考えられる。全脂粉乳の表面構造に変化が生じたことで、最終的な造粒物も変化し、結果、溶解度が上昇したものと考えられる。比較例2と比較例3を比べると、比較例3の方が初期段階では溶解度が高かった。このことから、初期段階の溶解度には、エタノールよりも油脂が起因するものと考えられる。
<実験3:官能評価>
実施例1および比較例1〜3の官能評価を行った。なお、比較例1の造粒は、実施例1と同条件で造粒を行った。
実施例1、比較例1〜3の全脂粉乳の顆粒を、全脂粉乳の量が12g含まれるように計量した。各計量した顆粒または全脂粉乳を、4℃に冷却した水38mlに添加した。添加した水を、マグネットスターラーを用いて1000rpmで80秒撹拌した。得られた溶液を5名のパネラーにブラインド条件下で試飲してもらい、下記評価に基づいて評価してもらった。この時、比較例1の全脂粉乳(未造粒)12gを上記同様に水に添加し撹拌したものをコントロールとした。
<評価(見た目)>
5:コントロールよりも非常に優れている
4:コントロールよりも優れている
3:コントロールと遜色がない
2:コントロールよりも劣っている
1:コントロールよりも非常に劣っている
<評価(乳脂肪感)>
5:コントロールよりも非常に優れている
4:コントロールよりも優れている
3:コントロールと遜色がない
2:コントロールよりも劣っている
1:コントロールよりも非常に劣っている
<評価(風味)>
5:コントロールよりも非常に優れている
4:コントロールよりも優れている
3:コントロールと遜色がない
2:コントロールよりも劣っている
1:コントロールよりも非常に劣っている
官能評価の結果を表2に示す。なお、結果は5人の評価を平均したものを記載している。
Figure 0006758367
実施例1と比較例1〜3を比べると、実施例1は乳脂肪感および風味が優れていることがわかる。特に乳脂肪感は、油脂を添加していない比較例1と比較例2よりも評価が高かった。このことから、油脂の添加が乳脂肪感の再現に必要であると考えられる。また、実施例1は油脂を添加して造粒した比較例3よりも高い評価となった。このことから、油脂の添加以外にも乳脂肪感の付与に関与しているものがあると推察された。
風味においては、エタノール処理した比較例2と同等の評価となった。しかし、油脂を添加した比較例3では、風味がコントロールよりもやや劣ると言う結果となった。このことから、風味は全脂粉乳に対して何も処理をしないかエタノール処理をすることで強化されると考えられる。
一方、比較例2は見た目において高い評価となった。ここで、見た目とは、溶解後の溶液の色やコップの壁面に付く溶液の跡(粉っぽさなど)を意味する。これは、エタノールで処理した全脂粉乳は細かく分散しやすい傾向にあり、コップの壁面に付着しても粉っぽさが出なかったためと考えられる。
<実験4:DE値による効果の差>
DE値による効果の差について、溶解度試験及び官能評価で確認を行った。まず、実施例1に基づき、実施例2および比較例4を作成した。
<実施例2(DE8)>
実施例1において、DE8のデキストリンを用いて造粒したこと以外は、実施例1と同じである。
<比較例4(DE15)>
実施例1において、DE15のデキストリンを用いて造粒したこと以外は、実施例1と同じである。
上記実験2と同じ手法により、実施例1,2および比較例4の溶解度試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006758367
表3から明らかなように、実施例1(DE10)及び実施例2(DE8)は、比較例4と比べて溶解度が高い結果となった。溶解度は撹拌時間が長くなるほど増加し、約40秒の撹拌でBrix値はどちらもほぼ最大値に達した。また、実施例1と実施例2を比べると、実施例1の方が実施例2よりも溶解度が高いという結果となった。
一方、比較例4(DE15)では、実施例1及び実施例2よりも溶解度が低下していることがわかる。また、実施例1及び実施例2では約40秒の撹拌でBrix値はどちらもほぼ最大値に達したが、比較例4では継続して上昇しており、溶解するのに時間がかかっていることがわかる。また、今回の実験結果から、デキストリンはDE10で最も効果があり、DE10から遠ざかるにつれて効果が弱まるものと考えられる。さらに、実施例2および比較例4の結果から、DE値が大きい方(DE値>10)に向かうほど、より効果が失われやすいものと考えられる。
次に、上記実験3と同じ手法により、実施例1,2および比較例1,4の溶解度試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006758367
表4の結果から明らかなように、実施例1,2は比較例1,2と比べて乳脂肪感および風味が優れていることがわかる。ここで、注目すべき点として、表4の結果と表3の結果とが似ていることが挙げられる。すなわち、実施例1と実施例2を比較すると、実施例1の方が官能評価の結果が良いことがわかる。次に、実施例2と比較例4を比較すると、見た目や脂肪感はほぼ同じ評価が得られているが、風味に際しては比較例4の結果が急激に下がっていることがわかる。この傾向は、表3の考察で指摘した通り、DE10から遠ざかるにつれて効果が弱まる傾向と一致する。また、DE値が大きい方(DE値>10)に向かうほど、より効果が失われやすい傾向とも一致する。これらの結果から、本願発明で用いるデキストリンのDE値は、牛乳に近づけた溶液の再現に少なからず影響を与えているものと考えられる。
以上説明したように、本願発明にかかる全脂粉乳の造粒方法は、溶解性が良く、しかも乳脂肪感に優れるものであった。

Claims (4)

  1. 全脂粉乳の造粒方法であって、
    全脂粉乳にエタノールを添加する添加工程と、
    前記添加したエタノールを常温で揮散させる乾燥工程と、
    前記乾燥物に油脂と乳化剤を添加して混合する混合工程と、
    前記混合物を45℃以下で造粒する造粒工程と、
    からなる全脂粉乳の造粒方法。
  2. 前記造粒工程がDE5〜12のデキストリンを用いた流動層造粒である請求項1記載の造粒方法。
  3. 前記混合工程において用いる油脂と乳化剤があらかじめ混合されている請求項1または2に記載の造粒方法。
  4. 水温4℃の水38gに造粒した全脂粉乳12g加え、1000rpmで20秒撹拌した後、42メッシュで濾過した溶液のBrix値が11以上となる造粒された全脂粉乳。
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