JP3971390B2 - 家畜用代用乳の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、代用乳の製造に関するものであり、更に詳細には、植物性油脂のエステル交換油を使用することによって、0℃以下の低温、例えば−10℃〜−20℃以下の低温でも、保存中に固結することなく、良好な流動性を示す一方、これを水又は湯に溶解した場合、良好な分散性及び溶解性を示すだけでなく、油分の分離のない優れた代用乳の製造に関するものである。
子牛、子豚、子山羊等の子畜類の生産やその他の幼動物の飼育に当たっては、人工的につくられた代用乳を給与して飼育することが広く行われている。この代用乳は、脱脂粉乳、乾燥ホエーなどのような乳成分を主原料とし、これに油脂類、糖類、穀類、ビタミン、ミネラル、抗生物質などを配合して製造され、実際の使用に当たっては、代用乳を水又は湯に溶解ないしは乳化分散させて、給与している。
このような代用乳に求められる品質特性は、次のとおりである。
(1)粉状がよいこと。
サラサラとした流動性があり、保存しても固結しないこと。
自動哺乳機で給与できること。
(2)水や温水に溶解した時、分散性、溶解性がよく、油分の分離、浮上、凝集、付着、などが起きないこと。
(1)と(2)は、原料油脂の性質から見ると相反する性質であり、両方の良い性質を兼ね備えている油脂として牛脂が選ばれ、コスト面からももっぱら牛脂が使われてきた。
しかしながら、BSE(牛海綿状脳症:いわゆる狂牛病)の発生以来、その原因のひとつが牛脂を使用した代用乳である可能性が指摘されており、使用に当って厳格な制約が設けられている。そこで本発明者らは、牛脂等動物性油脂を使用することなく、植物性油脂のみを用いて代用乳の製造を試みたが、植物性油脂では、単品で(1)と(2)の性質を同時に満たすことは困難であることがわかり、更に研究の結果、2種類以上の併用でしかもSFC(固体油脂含有率)という新しいファクターを取り入れることにより、これに対処することにはじめて成功した(特許文献1)。
この方法は、動物性油脂(牛脂)を使用することなく物性のすぐれた代用乳を低コストで製造する方法として、非常に有効であるが、まだ改良すべき余地が残されており、例えば、温暖地の場合には特に問題はないが、寒冷地においてはこれを保存しておくと固結してしまい、特に自動哺乳機で使用することが困難となることがしばしばである。
特開2003−189799号公報
従来より、代用乳の製造は、コスト面からの要請もあり、乳成分を主としてなる粉末原料に油脂を噴霧して造粒するか、予め噴霧乾燥した粉末油脂を混合して造粒することによって行われてきた。これらの方法では、上記(1)と(2)の好ましい性質を兼備した油脂の使用が必要であるが、天然の植物性油脂そのものの使用では希望する条件を満たすのに限界がある。
そこで本発明者らは、先に、2種以上の植物性油脂を特定のSFC域で混合することによってこの問題を解決するのに成功したが、実際にこの新規代用乳を使用している内に当初想定していない別の問題点が新たに浮上してきた。実際、低温、例えば0℃以下の低温での保存では、代用乳の固結を完全に防止することが困難で、冬期の北海道や東北地方における作業性に重大な支障をきたしているのである。本発明は、これらの点に鑑み、牛脂を使用することなく上記(1)と(2)の好ましい性質を兼備した油脂として植物性油脂のみを使用し、しかもコスト面から、スプレードライ法によることなく造粒法も可能な、低温での固結も防止された新しい代用乳の製造法を開発する目的でなされたものである。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、植物性油脂のみを用いて、低温での固結防止のほかすぐれた物性を有し、且つ造粒法によっても製造可能な代用乳を創設するため、各方面から検討を行ったが成功に至らなかった。そこで本発明者らは、発想を転換して、植物性油脂に着目し、天然の植物性油脂では限界があるとの観点にたち、加工処理した植物性油脂によって上記課題を解決することとした。
そこで先ずはじめに硬化油に着目した。油脂の物性を水素添加で変えた硬化油が、広く食品の分野では利用されている。しかし、この硬化油は、脂肪酸自体が修飾されて変化していることから、わが国の飼料業界では、TDN(total digestible nutrients:可消化養分総量)にカウントできないこととしているので、主要な油脂原料としての使用は難しい。
そこで、本発明者らは、使用する油脂内のトリグリセリドに結合している脂肪酸の位置を変えるだけで、脂肪酸の質そのものに変化がないことを特徴とするエステル交換油に着目し、その利用を考えた。そして鋭意検討した結果、エステル交換油を使って、代用乳の物性を改善し且つ更に低温での固結を防止できるとの新規着想を得、更に研究の結果、遂に本発明の完成に至ったものである。
以下、本発明について詳述する。
本発明においては、油脂としてエステル交換した植物性油脂を使用する点を特徴とするが、エステル交換自体は常法にしたがえばよく、例えば、真空下で脱水した油脂に、触媒としてアルコキシドを添加し、例えば70〜90℃(好適には80℃程度)で反応させればよい。その後、アルコキシドは、中和処理と精製工程によって完全に除去されるので、不純物として残留することはない。なお、アルコキシドとしては、アルコールの水酸基の水素を金属(Na、K、Ca、Al等)で置換して得た化合物が適宜使用されるが、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等が例示され、通常、ナトリウムメチラート(ナトリウムメトキシド)が使用される。
エステル交換油を用いて、代用乳の物性を改善するのに成功したという知見は皆無であり、ましてや、低温の固結防止にも成功したという知見は更に無く、本発明が最先である。また、天然の植物性油脂は、2位に結合している飽和脂肪酸が少ないために、エネルギー効率の高い飽和酸の吸収が不利となっているが、エステル交換によれば、ランダム化によって2位に結合する飽和酸を増加させることができるので、本発明はこの点においてもすぐれている。
植物性油脂は、二種以上の性質の異なった油脂の混合油、特に脂肪酸組成の異なった油脂の混合油をエステル交換するのがよい。例えば、パーム系のパームステアリンとラウリン系のヤシ油を一定の比率で混合したものをエステル交換することによって、各々の油脂が持っていたマイナスの性質を改善し、代用乳に求められる性状の油脂にすることができる。
次に、エステル交換油使用による代用乳の性状改善効果について、説明する。
パームステアリンとヤシ油の8:2の混合油を、エステル交換すると、元の混合油に比べて低温領域でのSFC(固体脂含量)の上昇は僅かであるが、代用乳の粉状はサラついて良くなる。実際に、代用乳の物性の改善効果は、SFCの変動以上に顕著である。
さらに、高温領域でのSFCは下がり、融点も下がるので、代用乳の溶解性、洗浄性が良くなる。
上記のように、パームステアリンとヤシ油の混合油をエステル交換して代用乳に使用すると、元の混合油を使用した時に比べて、融点が低くなるにも拘わらず、サラつきのある粉状となる。そのメカニズムの詳細は今後の研究にまたねばならないが、現時点では次のように考えられる。すなわち、エステル交換により、トリグリセリドの結晶型がエステル交換をしないものに比べて、より準安定なβ’型になり易くなり、粉状がサラつくようになったと考えられる。また、エステル交換のランダム化により、脂肪酸の種類、脂肪酸の結合位置の異なる多くのトリグリセリドができ、粗大結晶ができにくくなったと考えられる。これらの性質の発現により、本発明品では、「従来のような、保存中にトリグリセリドがβ型の粗大結晶となり固結する」という現象が起きにくくなったと考えられる。これにより、冬期(特に、0℃以下)における固結防止を図ることができるのである。
本発明にしたがってエステル交換した油脂を用いて製造した代用乳は、各種性状が改善される。その例を以下に示す。
(1)流動性の改善
パームステアリン:ヤシ油=8:2の場合のエステル交換有無における各指数は、下記表1のとおりであって、エステル交換油脂(エステル交換油ということもある。)を使用した場合には流動性が良くなることが確認された。

(表1)
――――――――――――――――――――――――――――――
指 数 安息角 圧縮度 スパチュラ角 流動性
――――――――――――――――――――――――――――――
エステル交換なし 16.0 16.0 12.0 44.0
エステル交換あり 19.5 18.0 16.0 53.5
――――――――――――――――――――――――――――――
(2)溶解性・洗浄性の向上
パームステアリン:ヤシ油=8:2の場合のエステル交換有無における油脂の融点は、下記表2に示すとおりであって、40〜50℃で代用乳を溶かした時、対照(エステル交換なし)では、泡が濁り、洗浄性が悪いが、一方、エステル交換油使用の代用乳では、油脂の融点が溶解温度以下となり、溶解性・洗浄性が良いことが確認された。
(表2)
――――――――――――――――
融点(℃)
――――――――――――――――
エステル交換なし 51.5
エステル交換あり 42.8
――――――――――――――――
(3)消化吸収性の向上
パームステアリン:ヤシ油=8:2の場合のエステル交換有無における油脂中のOPO(2−パルミトイル−1,3−ジオレイルグリセロール)含量は、下記表3に示すとおりであって、エステル交換油使用の代用乳では、トリグリセリドの2位に結合する飽和脂肪酸が増加するため、消化吸収性が向上することが確認された。
(表3)
――――――――――――――――――――――――――――――――
2位パルミチン酸含量(%) OPO含量(%)
――――――――――――――――――――――――――――――――
エステル交換なし 19 1.3
エステル交換あり 52.3 4.9
――――――――――――――――――――――――――――――――
(4)固結抑制その他
パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油を使用して製造した場合と、これをエステル交換して得たエステル油を使用して製造した場合の代用乳について、−20〜40℃で10週間保存した場合、詳細は後記するが、本発明品(エステル油)は固結の発生を認めなかったが、対照品(混合油)は−20℃では完全に固結してしまい、使用することはできなかった。一方、20〜40℃でも固結はしなかったが、本発明品よりは固結抑制効果は低いことが確認された。また、溶解性及び油脂の安定性についても、本発明品は非常にすぐれていたのに対して、対照品はやや劣ることが確認された。
以上、代表例として、パームステアリン:ヤシ油の8:2の混合油について述べたが、本発明に使用するエステル交換油の調製に利用できる油脂は、パーム系油脂とラウリン系油脂を2種以上併用するのがよいが、これらの油脂を含めて、次に例示するような油脂を併用することもできる。
植物性油脂例:
大豆油、菜種油、綿実油、落花生油、オリーブ油、ひまわり油、コーン油、サフラワー油、米ぬか油、カポック油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂など。
加工度を高めた植物性油脂例:
パームステアリン、パーム中部油、パーム硬化油、パームオレインなど。
油脂を2種以上混用する場合、脂肪酸組成が相異なるものを混用すると有効である。例えば、パーム系油脂(パームステアリン、パーム中部油、パーム硬化油、パームオレインの少なくともひとつ)とラウリン系油脂(ヤシ油、精製ヤシ油、パーム核油等)を9:1〜6:4の比率で混用することができる。パームステアリン(又は硬化パーム油):ヤシ油(又は精製ヤシ油)の場合、特に8:2〜6:4の比率で混用すると好適であり、他の油脂の場合においてもこれに準じて混合比率を適宜設定すればよい。
油脂として植物性油脂のみを使用した場合について説明したが、所望するのであれば安全性が確認された牛脂等の動物性油脂の併用も可能である。また、エステル交換も、上記したように化学反応によって行うことができるほか、リパーゼを用いる生化学反応によって行うこともでき、例えば、動植物性油脂(例えば、トリパルミチンや2位にパルミチン酸を多く含む油脂)に強化しようとする脂肪酸(又はそのエステル:例えば、オレイン酸、そのエステル)を加え、これにリパーゼ(例えばリゾプス・デレマー由来のリパーゼ:生化学工業(株)製品)を作用させて、目的とするエステル交換(例えば、2−パルミトイル−1,3−ジオレイルグリセロールに富む油脂の製造)を行うことも可能である。
本発明を実施するには、乳成分を主としてなる粉末原料に、エステル交換油を80℃以下、好ましくは75℃以下の温度で噴霧して造粒する。この造粒は、従来のシステムをそのまま使うことができる。例えば、粉末原料にエステル交換油を噴霧添加し、高速回転のパドルミキサーで混合し、次いで振動造粒装置で造粒して製造することができる。本発明によれば、高コストのスプレードライ法によることなく、低コストで代用乳の製造が可能となったので、合理化が特に重要視されている当業界において、本発明はきわめて多大な貢献をなすものである。
粉末原料としては、乳成分を主としてなり、これに必要に応じて、大豆ミール、濃縮大豆蛋白質、カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、グルテンなどの蛋白質又はその変性物;並びにこれらの加水分解物(例えば;カゼイン、グルテン、大豆蛋白質、アルブミン、ホエー蛋白質等の蛋白質分解酵素、酸、アルカリ等を使用して部分的に分解して得られるペプチド混合物等)などの蛋白質の1種又は2種以上を含み、これに油脂類、糖類、ビタミン、ミネラルなどの栄養素材、場合によっては調味料や香辛料などを適宜配合することができる。
乳成分としては、脱脂粉乳、全脂粉乳、乾燥ホエー、ホエー蛋白質誘導体から選ばれる少なくとも1つが使用される。ホエー蛋白質誘導体としては、スイートホエー、カゼインホエー等のホエー蛋白質を精製してなるホエー蛋白質精製物、例えばホエーを脱乳糖、脱ミネラルして蛋白質を固形分当たり75%程度まで濃縮したホエー蛋白質濃縮物(Whey Protein Concentrate、WPC)、あるいは、WPCをさらに電機透析により脱ミネラルして精製し、蛋白質濃度を90%以上まで高め逆に脂肪や炭水化物は低下せしめてなるホエー蛋白質単離物(Whey Protein Isolate、WPI)等が使用できる。また、これらのホエー蛋白質精製物を酵素処理して得られる酵素分解物も同様に使用することができ、本発明においては、ホエー蛋白質から誘導される物質が広く包含される。
乳成分は、本発明に係わる代用乳の主成分を構成するものであって、70〜85%、好適には77〜82%程度使用する。
このようにして調整した主として乳成分からなる粉末原料に植物性油脂を噴霧して造粒するか、予め噴霧乾燥した植物性粉末油脂を混合して代用乳を製造しているが、本発明においては、従来用いられてきた脂肪酸のトリグリセリドヘの結合状態が天然のままである植物性油脂の代わりに、脂肪酸の種類と量を変えずに脂肪酸のトリグリセリドに結合している場所のみを換えた植物性油脂(エステル交換油)を使用することにより、従来品より、低温保存時での固結性、水や温水での溶解性と容器の洗浄性などの点で、著しく品質が優れた代用乳の製造を可能にした。
本発明者らが先に開発した特許文献1(特願2001−398346)では、パームステアリンとヤシ油の混合比率は、1:0.3〜1、好ましくは1:0.4〜0.8としている。この際の植物性油脂の添加量は、10〜25%、好ましくは15〜20%にするのが良いとしている。混合する油脂の比率、油脂の使用量を厳しく制約している。たしかに、この先願に係る代用乳は良好な各種物性を示し、すぐれた植物性油脂のみを原料とした代用乳であり、温暖地での使用及び寒冷地でも夏期の使用では何の支障も生じない。しかしながら、寒冷地で使用する場合、特に、パームステアリンとヤシ油の混合油を使用した場合、その代用乳を0℃以下に保存すると、固結が起き易いという欠点がある。実際に、パームステアリン:ヤシ油=8:2で製造した代用乳は、−20℃の保存で固結し、温水での分散性、溶解性も良くない。サラつきも少なく、造粒も良くないが、本発明はエステル交換油という技術思想を新たに導入することにより、これらの問題点を一挙に解決するのにはじめて成功したものである。
エステル交換油は、これを乳化するために乳化剤を使用するのがよい。乳化剤としては、レシチンとポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを使用する。乳化剤は、代用乳を水または温水で溶解あるいは乳化分散させるとき、その特異な乳化作用によって脂肪球の径を小さくし且つ均一なものにすることができ、これによって、油脂の分離などが生じ難くなって、代用乳における安定性が向上する。しかも子畜類などの幼動物に給与した場合に、消化吸収性を高めて下痢などの消化不良の発生を抑える作用を示す。
本発明の代用乳におけるレシチン及びポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの合計含有量は、代用乳の重量に基づいて、0.5〜3.0重量%であるのが好ましく、1.0〜2.0重量%であるのがより好ましい。また、本発明の代用乳におけるレシチン:ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの好ましい含有割合は、1:1.6〜2.3(重量比)であるのが好ましく、1:2(重量比)であるのがより好ましい。
レシチンとしては、植物油、卵等より抽出される天然レシチンや、これらのレシチンに精製、もしくは水素添加、酵素分解等の処理を施したものなどのいずれもが適宜使用できる。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルは、酸化エチレンが付加重合したグリセリンの脂肪酸エステルであって、特にそのモノエステル、ジエステルのような部分エステル化物が好ましい。ポリオキシエチレン鎖は、特に制限はないが15モル以上であるものが好ましい。また、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸成分としては、通常、炭素数6〜24程度の脂肪酸が用いられる。脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれでもよく、その脂肪酸は直鎖型のものに限定されず、分岐型のものでよい。さらに、脂肪酸、任意に水酸基等の置換基を有してもよいし、また必ずしも一塩基酸に限定されず、二塩基酸等であってもよい。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレングリセリルラウレート、ポリオキシエチレングリセリルステアレート、ポリオキシエチレングリセリルオレエートなどを挙げるととができる。
本発明の代用乳の製造に当たっては、従来から採用されている既知の方法を任意に使用できるが、例えば、次の方法によって製造するのが好ましい。すなわち、乳成分を主体とする約70〜85%の粉体に、乳化剤をエステル交換油に溶解して得た油脂混合物を80℃以下、好ましくは75℃以下の温度で液状を保ちながらスプレーし、高速回転するバトルミキサーで混合、次いで振動造粒装置で造粒すればよい。
この方法による場合は、80℃以下の低温で造粒を行うことによって、蛋白質の変性、ビタミンの破壊等を抑制することができ、必要な栄養素の分解、変性、劣化のない栄養価の高い代用乳を得ることができる。その際に、エステル交換油混合物の噴霧を、乳成分などから主としてなる粉末原料を適当な手段で緩く攪拌、転動、流動、または揺動しながら行うと、サラサラとしていて流動性に優れる、微粒状の乾燥した代用乳を円滑に得ることができる。
さらに、次のような方法で代用乳を製造することも可能である。まず、エステル交換油に乳化剤などを混合して、常法により噴霧乾燥して粉末油脂を製造する。この粉末油脂を主としてなる粉末原料に混合して造粒し、代用乳を製造する。
そして、上記した本発明の代用乳を、水または温水、好ましくは温水に溶解又は分散させることによって、子畜類などの幼動物に給与するための液状代用乳が調製される。
温水を用いる場合は40〜55℃、好ましくは45〜50℃のものを用いるのが、代用乳を円滑に溶解又は分散させてダマの発生を防止でき、しかも熱による栄養成分の変性などが生じない点から好ましい。代用乳を調製する際の水又は温水による希釈倍率は、幼動物の種類、日令(月令)、代用乳の組成などによって調整し得るが、一般に、代用乳の約4〜12重量倍の水又は温水を用いて希釈し、液状代用乳を調整するのが好ましい。
仔牛の場合、生後4日までは初乳を給与し、その後、代用乳(500g/day)を40〜55℃、好ましくは45〜50℃の温水に溶解し、生後6〜9週齢まで給与する。
本発明によれば、混合した植物性油脂をエステル交換して使用することにより、すぐれた造粒性および溶解性を持ち、特に、0℃以下に保存しても固結しない代用乳を製造することができる。しかも本発明によれば、牛脂を使用することなく、植物性油脂のみを使用しても、牛脂を使用して製造する従来法による代用乳とそん色のない代用乳を低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の配合例1及び2にしたがって原料を配合し、先に述べた本発明にしたがい、それぞれ、代用乳を製造した。
(配合例1)
配合(%)
脱脂粉乳 52.5
ホエーパウダー 1.5
濃縮ホエー蛋白 15.0
プレミックス(ビタミン、ミネラル類) 10.2
パームステアリン:精製ヤシ油=8:2のエステル交換油 19.0
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル 1.2
レシチン 0.6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
100.0
(配合例2)
配合(%)
脱脂粉乳 52.5
ホエーパウダー 1.5
濃縮ホエー蛋白 15.0
プレミックス(ビタミン、ミネラル類) 10.2
パームステアリン:精製ヤシ油=6:4のエステル交換油 19.0
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル 1.2
レシチン 0.6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
100.0
(1)試験試料
試験1:配合例1で製造した、パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油の代用乳と、パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油をエステル交換して使用した代用乳について、以下の試験を行った。
試験2:配合例2で製造した、パームステアリン:ヤシ油=6:4の混合油の代用乳と、パームステアリン:ヤシ油=6:4の混合油をエステル交換して使用した代用乳について、試験1と同様に、以下の試験を行った。
(2)試験方法
固結抑制効果:低温から高温(−20〜40℃)で10週間保存した時に、固結の発生を認めないこと。
溶解性:45℃の温水に溶解した時、分散性が良いことと、500ミクロンの篩に残る残渣量が少ないこと。
油脂の安定性:60℃の温水に溶解して60分経過しても、黄色い油脂が浮上しないことと、表面の冷えた泡が軟らかく洗浄し易いこと。
(3)結果
得られた結果を下記の表4、表5に示したが、すべての項目において本発明品は非常に優れていた。なお、表中、×は劣る、△はやや劣る、○はすぐれている、◎は非常にすぐれている、を示す。
(表4)
試験1の評価
―――――――――――――――――――――――――――――――――
固結抑制効果 溶解性 油脂の安定性
−20℃ 20℃ 40℃
―――――――――――――――――――――――――――――――――
対照品 × ○ ○ △ △
本発明品 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記結果から明らかなように、パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油の使用では、満足できる代用乳を製造することはできないが、パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油をエステル交換したものの使用では、著しく品質の優れた代用乳を製造することができる。パームステアリン:ヤシ油=8:2の混合油使用のように、満足すべき品質の代用乳が得られなかったパームステアリンとヤシ油の使用比率でも、本発明に従えば、良質の代用乳を製造することが可能である。
さらに、下記表5に示した結果から明らかなように、従来から採用されてきたパームステアリン:ヤシ油=7:3あるいは6:4などの使用比率でも、これと同じ使用比率のエステル交換油を使用すれば、従来品に比べて、さらに品質がよくなる。また、従来法では、代用乳の物性上の理由から、代用乳中での油脂使用量も20%を上限としていたが、エステル交換油使用では、25%までの使用が可能となる。
(表5)
試験2評価
―――――――――――――――――――――――――――――――――
固結抑制効果 溶解性 油脂の安定性
−20℃ 20℃ 40℃
―――――――――――――――――――――――――――――――――
対照品 × ◎ ○ ○ ◎
本発明品 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本発明によれば、すぐれた造粒性があって、−20〜40℃の保存で固結することもなく、且つ溶解性、洗浄性のすぐれた代用乳を低コストで製造することができる。

Claims (4)

  1. 油脂として、天然の植物性油脂のみを用い、且つ、該植物性油脂として、パームステアリンとヤシ油を8:2〜6:4の比率で混合した油脂をエステル交換し、得られたエステル交換油脂を乳成分を主としてなる粉末原料に噴霧して造粒すること、を特徴とする−20℃の低温に保存しても固結することなく、良好な流動性を示し、且つ、これを40〜55℃の温水に溶解した場合には良好な分散性及び溶解性を示すだけでなく油分の分離が生じることのない、造粒した家畜代用乳の製造方法。
  2. 油脂として、天然の植物性油脂のみを用い、且つ、該植物性油脂として、パームステアリンとヤシ油を8:2〜6:4の比率で混合した油脂をエステル交換し、得られたエステル交換油脂を噴霧乾燥して粉末とした後、この粉末油脂を乳成分を主としてなる粉末原料に混合して造粒すること、を特徴とする−20℃の低温に保存しても固結することなく、良好な流動性を示し、且つ、これを40〜55℃の温水に溶解した場合には良好な分散性及び溶解性を示すだけでなく油分の分離が生じることのない、造粒した家畜代用乳の製造方法。
  3. 該エステル交換油脂が、トリグリセリドに結合している脂肪酸の位置が変わっただけで、脂肪酸の質そのものには変化がないこと、を特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で製造してなり、−20℃の低温に保存しても固結することがなく良好な流動性を示し、且つ、これを40〜55℃の温水に溶解した場合には良好な分散性及び溶解性を示すだけでなく油分の分離が生じないものであること、を特徴とする造粒した代用乳。
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