JP2007222131A - 幼畜用代用乳組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 代用乳原料中に、0.1〜10重量%のトレハロースを含有させることによって、温水に溶解する際の水への沈降性、分散性が非常に優れた幼畜用代用乳組成物が得られる。この代用乳組成物は、温水に溶解して給与するに当たって、代用乳組成物が温水に速やかに沈降、分散、溶解するので、特に大型の哺育農家の場合、哺育作業の手間と労働力を大幅に短縮、軽減することができる。
【添付図】 なし。
Description
この代用乳組成物は、通常、脱脂粉乳、乾燥ホエー、ホエー蛋白質濃縮物(WPC)等の乳成分を主原料とし、これに油脂類、糖類、穀類、ミネラル、ビタミン、抗生物質などを配合した粉末或いは顆粒状の固形物であり、使用に当たって、水又は温水に溶解或いは乳化分散させて給与されている。
実施例1
表1に粉末油脂AおよびBの配合割合を、表2−1および表2−2に各実施例を、表3に比較例の配合割合を示す。
粉末油脂Aの配合割合を表1に示した。まず粉末油脂重量に対して33%のパームオレイン油(ニチユソリューション株式会社製)、15.4%のパーム核油(ニチユソリューション株式会社製)を混合し、60℃に加熱した後、レシチン1.0%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5%、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.1%を加え、よく混和し、レシチンと乳化剤を含む油脂混合物を調製した。
一方、脱脂粉乳50%を60℃の温水100重量部に混合溶解し、さらに上に調製した60℃の植物性混合油脂組成物を加え、60℃に保持しながらモーター攪拌機にて均一になるまで混合し、O/W混合乳化溶液を調製した。
均質化処理した混合乳化液は、デンマーク、ニロ社製スプレードライヤー・モバイル・マイナー(Niro Co.Ltd.Mobile Minor)を用いて180℃の熱風にて噴霧乾燥処理を行った。
噴霧乾燥後に得られた粉体はバットに薄く広げ、室温で一晩放冷し、粗蛋白質含有率が17%、脂肪含有率が49%である粉末油脂を製造した。粉末油脂の性状はサラサラした白色の粉末状となった。
調製した混合粉末6kgを、流動層造粒機(MGD−0.5、株式会社大川原製作所製)に投入し、90℃の熱風で混合粉末を流動させながら、常温(約25℃)の水を50g/分の噴霧速度で噴霧し造粒を行った。噴霧した水の総量は450g、すなわち混合粉末の重量に対して7.5%となるまで噴霧した。水噴霧終了後、10分間追加乾燥した後流動層から排出した。
得られた造粒物はバットに薄く広げ、4℃の冷蔵庫にて1時間冷却した後、目開き1.4mmのふるいにて篩分し、篩下したものを代用乳組成物とした。代用乳組成物の外観性状はサラサラした顆粒状を呈しており、レーザー粒度分布測定器(シスメックス株式会社製)による平均粒径(50%径)は195μmであった。
沈降性の評価方法を以下に述べる。1リットルビーカーに、45℃の温水700mlを入れ、その上に、製造した代用乳組成物100gを静かに入れた。その後、90秒間室温にて放置し、90秒後に液面に露出している代用乳組成物の割合を、液面全体を100%として目視評価した。すなわち、得られる結果のパーセントが小さいほど沈降性が良く、大きいほど沈降性が悪いことになる。
実施例1の代用乳組成物の沈降性は40%となり、60%の代用乳組成物が水面下に沈むことがわかった。
比較例1
実施例2
実施例3
実施例4
調製した混合粉末5.91kgを、流動層造粒機(MGD−0.5、株式会社大川原製作所製)に投入し、90℃の熱風で混合粉末を流動させながら、先に調製した16.7%トレハロース水溶液を50g/分の噴霧速度で噴霧し造粒を行った。水溶液噴霧終了後、10分間追加乾燥した後流動層から排出した。造粒物を常温で30分放冷後、目開き1.4mmのフルイにて篩分し、篩下したものを代用乳組成物とした。代用乳組成物の外観性状は実施例1と同じサラサラした顆粒状を呈しており、トレハロースを添加することによる外観性状の変化は全く認められなかった。レーザー粒度分布測定器による平均粒径(50%径)は191μmであった。
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は20%となり、対照区である比較例1と比べて沈降性が明らかに向上していることが確認された。
このように、トレハロースの添加方法は、粉末自体に混合する場合、水に溶解して水溶液として添加する場合、いずれの方法においても得られた代用乳組成物の沈降性を高めることが分かった。
実施例5
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は20%と良好であることが分かった。
比較例2
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は100%となった。すなわち、温水に浮かべた代用乳組成物はほとんど沈降せず、90秒間静置している間に若干下層の粉末が沈降するのがビーカー側面から観察されたものの、液面は完全に代用乳組成物に占められている状態であった。
このように、実施例5と比較例2の試験結果から、トレハロースによる沈降性向上効果は、単に配合原料をミキサーで混合しただけでも顕著に表れることが分かった。
実施例6
粉末油脂Bの配合割合を表1に示した。使用原料は全て粉末油脂Aと同じものを使用した。まず粉末油脂重量に対して33%のパームオレイン油、15.4%のパーム核油を混合し、60℃に加熱した後、レシチン1.0%、ソルビタン脂肪酸エステル0.5%、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル0.1%を加え、よく混和し、レシチンと乳化剤を含む油脂混合物を調製した。
一方、脱脂粉乳42.5%、およびトレハロース7.5%を60℃の温水100%に混合溶解し、さらに上に調製した60℃の植物性混合油脂組成物を加え、60℃に保持しながらモーター攪拌機にて均一になるまで混合し、O/W混合乳化溶液を調製した。その後、混合乳化液は粉末油脂Aと同様の方法で均質化処理及び噴霧乾燥を行った。得られた粉末油脂Bは、粉末油脂Aと同様、サラサラの粉末状であった。
得られた代用乳組成物の沈降性を実施例1と同様の方法で評価したところ、沈降性は30%となり、対照区である比較例1と比べて沈降性が明らかに向上していることを確認した。
実施例7
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は0%となった。つまり、代用乳組成物を温水に浮かべ、90秒を待たずに全てが水面下に沈降した。沈降時間は、代用乳投入から約40秒であった。
比較例3
まず、代用乳重量に対して14%のパームオレイン油、6%のパーム核油を混合し、60℃に加熱した後、レシチン0.5%、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル0.5%を加え、よく混和し、実施例7と同様のレシチンと乳化剤を含む油脂混合物を調製した。次に、代用乳組成物重量に対して20%の水を60℃まで加熱した後、先に調製した油脂混合物を水溶液中に少しずつ入れながら良く混合して、乳化水溶液を調製した。その後、実施例7と同様に、粉末原料を流動層造粒機に入れて乳化水溶液を噴霧し、造粒した。ただし、乳化液の噴霧速度は95g/分とした。得られた代用乳組成物の外観性状は、実施例7と全く同様であった。レーザー粒度分布測定器による平均粒径(50%径)は203μmであった。
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は60%となった。
実施例8
まず、代用乳重量に対して14%のパームステアリン(ニチユソリューション株式会社製)、6%のパーム核油を混合し、60℃に加熱した後、レシチン0.5%、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル0.5%を加え、よく混和し、レシチンと乳化剤を含む油脂混合物を調製した。一方、脱脂粉乳63%、濃縮ホエー蛋白質5%、ブドウ糖7%、ビタミン・ミネラル1%、トレハロース3%を攪拌造粒機(FM−VG−10、株式会社パウレック製)に投入し、攪拌しながら先に調製した油脂混合物を流しいれ、30秒間造粒を行った。その後、流動層(NFLO−1、フロイント産業株式会社製)に造粒物を入れ、70℃の熱風で3分乾燥させた後、バットに薄く広げ、4℃の冷蔵庫で1時間冷却した。
冷却した造粒物を目開き1.4mmのフルイにて篩分し、篩下したものを代用乳組成物とした。この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は0%となった。つまり90秒を待たずに全てが水面下に沈降した。沈降時間は、代用乳投入から約30秒であった。
比較例4は実施例8の対照区となるように実施した。比較例4の配合割合を表3に示した。表に示したとおり、比較例4は実施例8のトレハロースをブドウ糖に全て置換した配合割合を用いて製造した。製造方法も実施例8と全く同様の方法で製造した。得られた代用乳組成物の外観性状は、実施例8と全く同様であった。
この代用乳組成物について、実施例1と同様の沈降性評価方法にて評価したところ、沈降性は75%となった。
なお、実施例1〜8および比較例1〜3で沈降性を確認した代用乳溶液について、薬さじで20回〜25回攪拌し、1分間静置した後、目開き0.5mmのフルイに溶液を通して残渣を確認したところ、いずれの溶液でも残渣はほとんど認められなかった。また、1分間静置後の油脂分離なども観察されず、いずれの実施例および比較例の溶液安定性も良好であることが分かった。すなわち、トレハロース添加は、代用乳の分散性、溶解性、溶液安定性に悪い影響を及ぼさないことが確認された。
これにより、代用乳の沈降性、分散性、溶解性、溶液安定性を合わせて有する幼畜用代用乳組成物を提供することが可能になった。
Claims (9)
- 代用乳原料中に、0.1〜10重量%のトレハロースを含有する、温水に溶解する際の水への沈降性、分散性に優れた幼畜用代用乳組成物。
- トレハロース含量が0.1〜10重量%、植物性油脂の含有量が10〜35重量%、乳成分原料が50〜80重量%、及び糖類、ミネラル、ビタミン類並びに乳化剤の含有量が2〜35重量%からなる代用乳用原料混合物を造粒し、レーザー回折粒度測定器による50%径(メジアン径)が140〜500μmである、水への沈降性に優れるとともに、温水中への分散性にも優れた、請求項1に記載の幼畜用代用乳組成物。
- トレハロース及びその他の代用乳原料をミキサーで混合して製造することを特徴とする請求項1又は2に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 代用乳原料に、水、油脂又は乳化液を噴霧することを特徴とする請求項1〜3に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 攪拌造粒機を用いて造粒することを特徴とする請求項4に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 流動層造粒機を用いて造粒することを特徴とする請求項4に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 代用乳原料に、トレハロースの水溶液を噴霧しながら製造することを特徴とする請求項4〜6に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 代用乳原料に、トレハロース、油脂及び水を含む乳化液を噴霧することを特徴とする請求項4〜6に記載の幼畜用代用乳組成物の製造方法。
- 油脂含量が30〜80%であり、かつトレハロースを0.5%〜20%含み、噴霧乾燥法を用いて製造した、水への沈降性に優れるとともに、温水中への分散性にも優れた粉末油脂をあらかじめ製造し、これを代用乳原料として使用することを特徴とする幼畜用代用乳組成物の給餌方法。
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