JP6754124B2 - 多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマー - Google Patents

多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマー Download PDF

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Description

本発明は、多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマーに関する。
多分岐ポリマーは、デンドロン(樹枝状)やデンドリマーに代表される数多くの枝分かれ構造を持つポリマーである。多分岐ポリマーは直鎖状ポリマーに比べ流体力学半径が小さいことから、溶解性が大きく向上、粘度が大きく低下、ガラス転移温度が大きく変化する等の特徴を有している。そのため、医療業界、化学業界等において、その利用方法が広く検討されている。
多分岐ポリマーの合成法としてこれまで二つが知られている。一つは、デンドリマーの合成法であり、AB型モノマー(A及びBは、互いに異なる官能基a及びbを有する有機基であり、官能基a及びbは、互いに化学的に縮合反応や、付加反応を起こすことができるものである。)を段階的に反応させる方法(下記スキーム1参照)である。これにより核となる分子を中心に樹枝状分岐した構造を持つポリマーが得られるが、モノマー、オリゴマー、ポリマー同士が互いに反応することにより、分岐構造が不均一であるとともに、多分散のポリマーが得られる。規則正しく完全に樹枝状分岐した構造を持つ単分散のポリマーが得られる方法も知られているが、その製造工程は非常に煩雑である。このため、デンドリマーが実用化された例はこれまでない。
スキーム1:AB型モノマーを使用する方法
Figure 0006754124
もう一つが、イニマーと呼ばれる同一分子内に重合性官能基及び重合開始基を有するモノマーを用いた多分岐ポリマーの合成法(下記スキーム2参照。スキーム2中、Bは重合開始基である。)である。例えば、特許文献1が開示されている。
スキーム2:イニマーを使用する方法
Figure 0006754124
特開2013−148798号公報
特許文献1のように、イニマーを用いる製造方法は容易であるが、重合性官能基と重合開始基との反応性が連動しないため重合の制御が困難である。そのため、モノマー、オリゴマー及びポリマー同士が互いに反応することにより、分岐構造が不均一であるとともに、多分散で分子量分布の広いポリマーが生成してしまうという問題がある。また、イニマーを別に製造してから多分岐ポリマーを製造する必要がある。
本発明の目的は、イニマーの問題点を解決し、分子量分布の幅が狭い多分岐ポリマーを、ワンポットで製造することができる、多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマーを提供することにある。
本発明は、以下の多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマーを提供する。
項1 ビニル結合のα位に重合開始基を有する第一のビニルモノマーと、ビニル結合のα位に重合開始基を有さない第二のビニルモノマーとをリビングラジカル重合する工程を備える、多分岐ポリマーの製造方法。
項2 前記リビングラジカル重合が、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)若しくは下記一般式(8)で表される有機テルル化合物、又は前記有機テルル化合物から得られるマクロ連鎖移動剤を連鎖移動剤として用いるリビングラジカル重合であることを特徴とする、項1に記載の多分岐ポリマーの製造方法。
Figure 0006754124
Figure 0006754124
Figure 0006754124
Figure 0006754124
〔一般式(5)〜(8)において、Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基又はプロパルギル基を表す。Rは、炭素数1〜18のアルキレン基を表す。Xは、酸素原子又は−NZ−を表し、Nは窒素原子を表し、Zは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。一般式(6)においてXは2価の有機基を表し、一般式(7)においてXは3価の有機基を表し、一般式(8)においてXは4価の有機基を表す。〕
項3 前記第一のビニルモノマーが下記一般式(9)で表されるビニルモノマーであることを特徴とする、項1又は2に記載の多分岐ポリマーの製造方法。
Figure 0006754124
〔一般式(9)において、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、シリル基又はフッ素原子を表す。〕
項4 前記第一のビニルモノマーと前記第二のビニルモノマーとの使用比率(第一のビニルモノマー:第二のビニルモノマー)がモル比で、0.01:99.99〜50:50であることを特徴とする、項1〜3のいずれか一項に記載の多分岐ポリマーの製造方法。
項5 項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、多分岐ポリマー。
項6 ビニル結合のα位に重合開始基を有する第一のビニルモノマーに由来する構造単位と、ビニル結合のα位に重合開始基を有さない第二のビニルモノマーに由来する構造単位とを含む、多分岐ポリマー。
項7 GPC法により測定される分子量分布(PDI)が2.5未満であることを特徴とする、項6に記載の多分岐ポリマー。
項8 絶対分子量が1,000〜3,000,000であることを特徴とする、項6又は7に記載の多分岐ポリマー。
本発明によれば、分子量分布の幅が狭い多分岐ポリマーを、ワンポットで製造することができる、多分岐ポリマーの製造方法及び多分岐ポリマーを提供することができる。
図1は、実施例1で得られた多分岐ポリマーの分子構造を示す模式図である。 図2は、実施例1における経時的なGPCトレースを示す図である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示である。本発明は以下の実施形態に何ら限定されない。
<製造方法>
本発明の製造方法は、ビニル結合のα位に重合開始基を有する第一のビニルモノマーと、ビニル結合のα位に重合開始基を有さない第二のビニルモノマーとをリビングラジカル重合する工程を備える、製造方法である。なお、本発明において、「ビニル結合」とはラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合のことをいい、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。
第一のビニルモノマーとしては、ビニル結合のα位にリビングラジカル重合の重合開始部位として機能する官能基(重合開始基)を有するビニルモノマーであれば特に限定されないが、下記一般式(1)が好ましく用いられる。
Figure 0006754124
〔一般式(1)において、Zは重合開始基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。〕
として表される基は、上記のように、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、シリル基又はフッ素原子であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。また、上記アルキル基はヘテロ元素官能基が置換していてもよい。好ましくは炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR111112(R111、R112は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、−COOR12(R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基がよい。
シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等を挙げることができる。
Zで表される基は、重合開始基であり、リビングラジカル重合の重合開始部位として機能する官能基(重合開始基)であれば特に制限はないが、該重合開始基としては−Te−R、−Cl、−Br、−I、−SC(=S)R、−SC(=S)OR、−S(C=S)NR 等が挙げられる。これらのなかでも使用できるモノマーの多様性の観点から、重合開始基としては、好ましくは−Te−Rがよい。
として表される基は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
本発明で用いる第一のビニルモノマーは、例えば、下記一般式(2)で表される化合物の場合、該化合物におけるC−TeMeの結合解離エネルギーは分子軌道計算により216kJ/molと算出される。そして、例えば、下記一般式(3)におけるC−TeMeの結合解離エネルギーは160kJ/molと算出され、下記一般式(4)は有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合法(TERP法)の連鎖移動剤であり、C−TeMeの結合解離エネルギーは154kJ/molと算出される。
Figure 0006754124
この計算結果から、第一のビニルモノマーの重合開始基は、sp炭素と直接結合している(ビニル結合のα位にある)ため、このままでは重合開始基として機能しないが、第一のビニルモノマーのビニル結合がラジカル重合によりsp炭素との結合になることで、はじめて重合開始基として機能すると考えられる。そのため、重合性官能基(ビニル結合)と重合開始基の反応性が連動するものと考えられ、本発明で使用する第一のビニルモノマー(以下、ブランマーともいう。)を、連鎖移動剤を用いてリビングラジカル重合(下記スキーム3参照。Bは重合開始基である。)すると、分岐構造が均一に制御できるものと考えられる。これに後述する第二のビニルモノマーを併用することで、分子量、分岐度等が高度に制御された多分岐ポリマーを製造できる。
スキーム3:ブランマーを使用する方法
Figure 0006754124
第二のビニルモノマーとしては、前述の第一のビニルモノマーに示される重合開始基をビニル結合のα位に有さないビニルモノマーであって、ラジカル重合可能なものであればよいが、好ましくは分子内に重合開始基を有さないことがよい。具体的には下記のビニルモノマーを挙げることができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及びメタクリルの少なくとも一方」をいい、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」をいい、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方」をいう。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレート。
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の脂環族アルキル基を有する(メタ)アクリレート。
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香環基を有する(メタ)アクリレート。
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基を有する(メタ)アクリレート。
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート。
スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、1−ビニルナフタレン等の芳香族ビニルモノマー。
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー等のカルボキシル基を有するビニルモノマー。
スチレンスルホン酸、ジメチルプロピルスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スルホン酸エチル(メタ)アクリレート、スルホン酸エチル(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニルモノマー。
メタクリロイロキシエチルリン酸エステル等のリン酸基を有するビニルモノマー。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド。
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミン含有不飽和モノマー。
N−2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−メタクリロイルアミノエチル−N,N,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基含有不飽和モノマー。
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有不飽和モノマー。
2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のヘテロ環含有不飽和モノマー。
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド。
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン。
ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン類。
(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン。
これらのなかでも、好ましくは脂肪族アルキル基を有する(メタ)アクリレート、脂環族アルキル基を有する(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミド、3級アミン含有不飽和モノマー、ヘテロ環含有不飽和モノマーがよい。
リビングラジカル重合は、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、使用する連鎖移動剤も異なる。例えば、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法)、硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法)、有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)、有機ヨウ素化合物を用いる方法等を挙げることができる。これらのなかでも使用できるモノマーの多様性の観点からTERP法が好ましい。
本発明の製造方法において、重合の連鎖移動剤に対する第一のビニルモノマーの使用量を制御することで生成するデンドリマー状構造を持つ多分岐ポリマーの平均分岐数を制御できる。すなわち、N世代のデンドリマーを合成するには、連鎖移動剤1molに対して第一のビニルモノマーを(2−1)mol用いればよい。世代Nは1以上の任意の世代を製造することができ、好ましくはN=1〜15であり、より好ましくはN=3〜10である。
本発明で製造されるデンドリマー状構造を持つ多分岐ポリマーの分岐鎖の平均数は〔2(N+1)−1〕となることから、本発明の製造方法における連鎖移動剤1molに対する第二のビニルモノマーの使用量は、連鎖移動剤1molに対して〔2(N+1)−1〕molを超える量を用いることが好ましく、その量は所望するデンドリマー状構造により任意に選択することができる。さらに好ましくは、連鎖移動剤1molに対する第二のビニルモノマーの使用量が、平均分子鎖数の1〜10,000倍量であり、より好ましくは5〜1,000倍量である。
本発明の製造方法における、第二のビニルモノマーの使用量としては、例えば連鎖移動剤1molに対して、第二のビニルモノマーを10〜50,000molとすることができ、好ましくは25〜10,000molであり、より好ましくは50〜5,000molであり、さらに好ましくは75〜1,000molである。
本発明の製造方法における第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率(第一のビニルモノマー:第二のビニルモノマー)は、例えば、第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率がモル比で、0.01:99.99〜50:50とすることができ、好ましくは0.1:99.9〜25:75であり、より好ましくは0.1:99.9〜20:80であり、さらに好ましくは0.5:99.5〜15:85である。
(重合方法(TERP法))
有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)は、連鎖移動剤として下記の一般式(5)、一般式(6)、一般式(7)若しくは一般式(8)で表される有機テルル化合物、又は該有機テルル化合物から得られるマクロ連鎖移動剤(以下、これらを総称して単に有機テルル化合物という)等を連鎖移動剤とするリビングラジカル重合である。また、TERP法において、連鎖移動剤は有機テルル化合物の中から1種を選択して使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マクロ連鎖移動剤とは、ビニルモノマーを下記の一般式(5)、一般式(6)、一般式(7)若しくは一般式(8)で表される有機テルル化合物を用いてリビングラジカル重合して得られるビニル重合体であり、ビニル共重合体の成長末端がテルル化合物由来の−TeR(式中、Rは下記と同じである)の形態であることから、リビングラジカル重合の連鎖移動剤として用いることができる。ビニルモノマーは、求める多分岐ポリマーの構造から、例えば、第二のビニルモノマーのなかから任意に選択することができる。
Figure 0006754124
Figure 0006754124
Figure 0006754124
Figure 0006754124
〔一般式(5)〜(8)において、Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基又はプロパルギル基を表す。Rは、炭素数1〜18のアルキレン基を表す。Xは、酸素原子又は−NZ−を表し、Nは窒素原子を表し、Zは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。一般式(6)においてXは2価の有機基を表し、一般式(7)においてXは3価の有機基を表し、一般式(8)においてXは4価の有機基を表す。〕
上記のように、Rで表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
及びRで表される基は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
で表される基は、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基又はプロパルギル基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。好ましくはフェニル基である。
置換アリール基としては、置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等を挙げることができる。上記置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−COR61で示されるカルボニル含有基(R61は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はアリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、1個又は2個置換しているのがよい。
芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR621622(R621、R622は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)を挙げることがきる。
オキシカルボニル基としては、−COOR63(R63は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基がよい。
アリル基としては、−CR641642−CR643=CR644645(R641、R642は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R643、R644、R645は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基であり、それぞれの置換基が環状構造で繋がっていてもよい)等を挙げることができる。
プロパルギル基としては、−CR651652−C≡CR653(R651、R652は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、R653は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又はシリル基)等を挙げることができる。
として表される基は炭素数1〜18のアルキレン基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜18のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、1−メチル−n−ブチレン基、2−メチル−n−ブチレン基、3−メチル−n−ブチレン基、1,1−ジメチル−n−プロピレン基、1,2−ジメチル−n−プロピレン基、2,2−ジメチル−n−プロピレン基、1−エチル−n−プロピレン基、n−ヘキシレン基、1−メチル−n−ペンチレン基、2−メチル−n−ペンチレン基、3−メチル−n−ペンチレン基、4−メチル−n−ペンチレン基、1,1−ジメチル−n−ブチレン基、1,2−ジメチル−n−ブチレン基、1,3−ジメチル−n−ブチレン基、2,2−ジメチル−n−ブチレン基、2,3−ジメチル−n−ブチレン基、3,3−ジメチル−n−ブチレン基、1−エチル−n−ブチレン基、2−エチル−n−ブチレン基、1,1,2−トリメチル−n−プロピレン基、1,2,2−トリメチル−n−プロピレン基、1−エチル−1−メチル−n−プロピレン基、1−エチル−2−メチル−n−プロピレン基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基又はエチレン基である。
として表される基は、酸素原子又は−NZ−である。Nは窒素原子であり、Zは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基である。好ましくは−NH−である。
して表される基は多価の有機基であり、複数のRをつなぐものであれば特に制限はない。一般式(6)においてXは2価の有機基を表し、一般式(7)においてXは3価の有機基を表し、一般式(8)においてXは4価の有機基を表す。一般式(6)におけるXは、−NH−、−CH−、−O−等で表される基が挙げられる。一般式(7)におけるXは、−N<、−CH<等で表される基が挙げられる。一般式(8)におけるXは、>C<等で表される基が挙げられる。
一般式(5)で示される有機テルル化合物は、具体的には(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート、(2−トリメチルシロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート、(3−トリメチルシリルプロパルギル)−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネート等を挙げることができる。
リビングラジカル重合がTERP法である場合、第一のビニルモノマーとしては、一般式(9)で表されるビニルモノマーであることが好ましい。
Figure 0006754124
〔一般式(9)において、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基シリル基又はフッ素原子を表す。Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。〕
上記のように、Rとして表される基は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR111112(R111、R112は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、−COOR12(R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基がよい。
シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等をあげることができる。
として表される基は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
一般式(9)で表されるビニルモノマーとしては、具体的には2−メチルテラニルプロペン、2−ブチルテラニルプロペン、2−フェニルテラニルプロペン、2−メチルテラニルブテン、2−ブチルテラニルブテン等を挙げることができる。
TERP法は、ビニルモノマーの種類に応じ反応促進、分子量の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤及び/又は一般式(10)で表される有機ジテルル化合物を加えて重合を行ってもよい。
具体的には、第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとを、下記(a)〜(d)のいずれかを用いて重合し、ビニル重合体を製造する方法が挙げられる。
(a)有機テルル化合物。
(b)有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤との混合物。
(c)有機テルル化合物と有機ジテルル化合物との混合物。
(d)有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と有機ジテルル化合物との混合物。
(RTe) (10)
〔一般式(10)において、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。〕
一般式(10)で示される有機ジテルル化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−s−ブチルジテルリド、ジ−t−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等を挙げることができる。
アゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限なく使用することができる。例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等を挙げることができる。
重合工程は、不活性ガスで置換した容器で、第一のビニルモノマー、第二のビニルモノマーと有機テルル化合物とに、ビニルモノマーの種類に応じ反応促進、分子量の制御等の目的で、さらにアゾ系重合開始剤及び/又は有機ジテルル化合物を混合する。このとき、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素がよい。
上記(a)、(b)、(c)及び(d)における第二のビニルモノマーの使用量としては、目的とするビニル重合体の構造により適宜調節することができる。例えば、有機テルル化合物1molに対して、第二のビニルモノマーを10〜50,000molとすることができ、好ましくは25〜10,000molであり、より好ましくは50〜5,000molであり、さらに好ましくは75〜1,000molである。
上記(a)、(b)、(c)及び(d)における第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率は、目的とするビニル共重合体の分岐度により適宜調節することができる。例えば、第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率(第一のビニルモノマー:第二のビニルモノマー)がモル比で0.01:99.99〜50:50とすることができ、好ましくは0.1:99.9〜25:75であり、より好ましくは0.1:99.9〜20:80であり、さらに好ましくは0.5:99.5〜15:85である。
有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、有機テルル化合物1molに対して、アゾ系重合開始剤を0.01〜1molとすることができ、好ましくは25〜5,000であり、より好ましくは50〜1,000である。
有機テルル化合物と有機ジテルル化合物を併用する場合、有機ジテルル化合物の使用量としては、通常、有機テルル化合物1molに対して、有機ジテルル化合物を0.1〜10molとすることができる。
有機テルル化合物と有機ジテルル化合物とアゾ系重合開始剤とを併用する場合、アゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、有機テルル化合物と有機ジテルル化合物の合計1molに対して、アゾ系重合開始剤を0.01〜10molとすることができる。
重合工程は、無溶剤でも行うことができるが、ラジカル重合で一般に使用される溶媒(非プロトン性溶媒又はプロトン性溶媒)を使用し、上記混合物を撹拌して行われる。
使用できる非プロトン性溶媒としては、特に限定はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
使用できるプロトン性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
溶媒の使用量としては、適宜調節すればよく、例えば、ビニルモノマー1gに対して、通常0.001〜50mlの範囲であり、好ましくは0.01〜10mlの範囲であり、より好ましくは0.02〜3mlの範囲である。
反応温度及び反応時間は、目的とするビニル重合体の分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよく、通常、0℃〜150℃の範囲で、1分〜150時間撹拌する。
重合工程により得られるビニル共重合体の成長末端は、有機テルル化合物由来の−TeR(式中、Rは上記と同じである)及び−TeR(式中、Rは上記と同じである)の形態であることから、成長末端に様々な置換基・官能基を導入しビニル重合体の機能向上が可能である。また、マクロ連鎖移動剤として用いることもできる。
重合工程の終了後、重合溶液から使用溶媒や残存モノマーを減圧下除去して目的とするビニル重合体を取り出したり、不溶溶媒を使用して再沈殿処理により目的とするビニル重合体を単離することができる。
重合工程終了後の空気中の操作により、得られたビニル重合体の成長末端は失活していくが、テルル原子が残存する場合がある。テルル原子が末端に残存したビニル重合体は着色したり、熱安定性に劣ることから、トリブチルスタンナン又はチオール化合物等を用いるラジカル還元方法、さらに活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、モレキュラーシーブス及び高分子吸着剤等で吸着する方法、イオン交換樹脂等で金属を吸着する方法や、また過酸化水素水や過酸化ベンゾイル等の過酸化物を添加したり、空気や酸素を系中に吹き込むことでビニル重合体末端のテルル原子を酸化分解させ、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留テルル化合物を除去する液−液抽出法や固−液抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限界ろ過等の溶液状態での精製方法を用いることができ、また、これらの方法を組み合わせることもできる。
(重合方法(ATRP法))
遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法)は、遷移金属錯体からなるレッドクス触媒の存在下、有機ハロゲン化合物、又は該有機ハロゲン化合物から得られるマクロ連鎖移動剤(以下、これらを総称してATRP開始剤という)を連鎖移動剤とするリビングラジカル重合法である。また、ATRP法において、連鎖移動剤は、有機ハロゲン化合物の中から1種を選択して使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
レドックス触媒として用いられる遷移金属錯体は、周期表第8族〜第11族から選ばれる金属元素の錯体である。遷移金属錯体は、遷移金属、及び有機配位子からなる。遷移金属の具体例としては、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄である。これらの中でも、反応制御やコストの観点から銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などが挙げられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合制御の観点から好ましい。より安定で取扱いの容易な塩化第二銅、臭化第二銅に還元剤を加え、重合系中で塩化第一銅、臭化第一銅を発せさせ、重合を行うこともできる。
また、遷移金属とともに錯体を形成する有機配位子としては、2座以上の窒素配位子が好ましく、例えば、2,2’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、トリス[2−(ピリジル)メチル]アミンなどが挙げられる。
上記遷移金属の塩と有機配位子とは、別々に添加して重合系中で遷移金属錯体を生成させてもよいし、予め遷移金属の塩と有機配位子とから調製した遷移金属錯体を重合系中へ添加してもよい。遷移金属が銅である場合には前者の方法が好ましく、ルテニウム、鉄、ニッケルの場合は後者の方法が好ましい。
有機ハロゲン化合物としては、分子内に1個以上の炭素−ハロゲン結合(但し、ハロゲンはフッ素以外とする)を有する種々の有機化合物が使用でき、脂肪族炭化水素系ハロゲン化物、芳香族系炭化水素系ハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ハロゲン化物の具体例としては、2−クロロプロピオンアミド、2−ブロモプロピオンアミド、2−クロロアセトアミド、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモプロピオン酸t−ブチル、2−ブロモイソ酪酸メチル、2−ブロモイソ酪酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
芳香族系炭化水素系ハロゲン化物の具体例としては、ベンザルクロリド、ベンジルブロミド、4−ブロモベンジルブロミド、ベンゼンスルホニルクロリド等が挙げられる。
リビングラジカル重合がATRP法である場合、第一のビニルモノマーとしては、一般式(11)で表されるビニルモノマーであることが好ましい。
Figure 0006754124
〔一般式(11)において、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、シリル基又はフッ素原子を表す。Zは塩素又はヨウ素を表す。〕
上記のように、Rとして表される基は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基であり、具体的には次の通りである。
炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基等を挙げることができる。好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基が酸素原子に結合した基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tet−ブトキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基、ヘプチロキシ基、オクチロキシ基等を挙げることができる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、−CONR111112(R111、R112は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、−COOR12(R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基)で表される基が好ましく、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が挙げられる。
シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等をあげることができる。
重合工程では、容器で、第一のビニルモノマーと、第二のビニルモノマーと、遷移金属錯体と、ATRP開始剤とを混合する。混合時、混合後の反応は、副反応を抑制するため窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
第二のビニルモノマーの使用量としては、目的とするビニル重合体の物性により適宜調節することができる。例えば、ATRP開始剤1molに対して、第二のビニルモノマーを10〜50,000molとすることができ、好ましくは25〜10,000molであり、より好ましくは50〜5,000molであり、さらに好ましくは75〜1,000molである。
第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率は、目的とするビニル共重合体の分岐度により適宜調節することができる。例えば、第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率(第一のビニルモノマー:第二のビニルモノマー)がモル比で0.01:99.99〜50:50とすることができ、好ましくは0.1:99.9〜25:75であり、より好ましくは0.1:99.9〜20:80であり、さらに好ましくは0.5:99.5〜15:85ある。
遷移金属錯体の使用量は、ATRP開始剤1molに対して0.03〜3mol、好ましくは0.1〜2molの割合で用いられる。また、有機配位子の使用量は、遷移金属1molに対し、通常1〜5mol、好ましくは1〜3molである。
重合工程は、無溶剤でも行うことができるが、ATRP法で使用される溶媒を使用し、上記混合物を攪拌して行うこともできる。
反応温度及び反応時間は、目的とするビニル重合体の分子量あるいは分子量分布により適宜調節すればよく、通常、0〜150℃の範囲で、1分〜150時間攪拌する。
重合工程により得られるビニル重合体の成長末端には重合開始基を有していることから、成長末端に様々な置換基・官能基を導入しビニル重合体の機能向上が可能である。また、マクロ連鎖移動剤として用いることもできる。
重合工程の終了後、重合溶液から使用溶媒や残存モノマーを減圧下除去して目的とするビニル重合体を取り出したり、不溶溶媒を使用して再沈殿処理により目的とするビニル重合体を単離したりすることができる。
<多分岐ポリマー>
本発明の多分岐ポリマーは、ビニル結合のα位に重合開始基を有する第一のビニルモノマーに由来する構造単位と、ビニル結合のα位に重合開始基を有さない第二のビニルモノマーに由来する構造単位とを含む、ビニル重合体である。本発明の多分岐ポリマーは、例えば、上述した製造方法により得ることができる。
本発明の製造方法で得られるビニル重合体(多分岐ポリマー)の絶対分子量は、反応時間及び連鎖移動剤等の量により適宜調整可能であるが、1,000〜3,000,000であることが好ましく、3,000〜1,000,000であることがより好ましく、5,000〜500,000であることが更に好ましい。
本発明において、ビニル重合体(多分岐ポリマー)の絶対分子量は、核磁気共鳴スペクトル(以下「NMR」という)法又はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)/多角度光散乱(MALLS)法により測定される数平均分子量であり、得られるビニル重合体の特性に適した測定方法を選択すればよい。また、GPC/MALLS法の数平均分子量(Mn(MALLS))は、実測したGPC/MALLS法により得られる重量平均分子量(Mw(MALLS))と、GPC法により測定される分子量分布(PDI)により算出してもよい。
多分岐ポリマーは線状ポリマーに比べて流体力学半径が小さいため、GPC法で得られる分子量は絶対分子量よりも小さく見積もられる。そのため、多分岐ポリマーの分岐度は、GPC法に得られる分子量と絶対分子量との差により判断することも可能である。
本発明の製造方法で得られるビニル重合体(多分岐ポリマー)のGPC法により測定される分子量分布(PDI)は2.5未満に制御することができ、好ましくは2.3未満であり、より好ましくは2.0未満である。PDIとは、(ビニル重合体の重量平均分子量(Mw(GPC)))/(ビニル重合体の数平均分子量(Mn(GPC)))によって求められるものであり、PDIは小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろったビニル重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。反対に、PDIが大きいほど設計したビニル重合体の分子量に比べて、分子量が小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
本発明の製造方法で得られるビニル重合体(多分岐ポリマー)は、第一のビニルモノマーが多分岐ポリマーの分岐部になるものと考えられ、多分岐ポリマーの分岐度は、第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーとの使用比率により適宜調節することがでる。
本発明の製造方法は、上述のようにワンポットで行うことができ簡便な製造方法で分子量分布の幅が狭い多分岐ポリマーを得ることができる方法あり、工業的に有利な方法である。また、本発明の製造方法で得られる多分岐ポリマーは、高度に分岐が制御されており、またポリマー末端も適宜置換基、官能基を導入することが可能であり、例えば診断や薬物輸送システム等の医療用途、電池等の環境材料、触媒の担持体、潤滑油添加剤、航空燃料への添加剤等で好適に用いることができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(合成例1)
2−メチルテラニルプロペン(以下、VT1という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
50mLの滴下ロートと還流管を装着し乾燥した100mLの三ツ口フラスコに、金属マグネシウム(0.27g、11mol)とヨウ素をひとかけら加え窒素置換し、THF(5mL)を加えた。そこに、2−ブロモプロペン(0.9mL、10mmol)を20mLのTHFに溶解した溶液を滴下ロートからゆっくりと滴下した後、2時間室温で撹拌し、−78℃に冷却した。別途用意した乾燥、窒素置換した50mLの二口フラスコにジメチルジテルリド(1.43g、5mmol)と20mLのTHFを加え、さらにそこに臭素(0.26mL,5mmol)を0℃で加え、30分撹拌した。その溶液を、カニュラを用いて先に調製した溶液に加えた。この温度で30分撹拌した後、溶液を300mLの氷水にあけて反応を停止した。有機相を30mLのペンタンを用い抽出し、この操作を計5回行った。集めた有機相を20mLの水で10回洗浄したのち、有機相をMgSOで乾燥した後、ろ過した。溶媒を注意深く留去した後、減圧蒸留(51〜53℃/33mmHg)により生成物0.79gを得た。収率43%。
H−NMR、13C−NMR、IRより、2−メチルテラニルプロペンであることを確認した。
(合成例2)
2−メチルテラニル−1−デセン(以下、VT2という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素雰囲気下、ジメチルジテルリド(0.72g、2.5mol)の入った三ツ口フラスコに水素化ジイソブチルアルミニウム3.5mL(1.0Mトルエン溶液、5.3mmol)を室温にて加えた後、30分間80℃で撹拌した。そこに、1−デシン(2.5mL、13mmol)を加えた後、46時間80℃で撹拌した。脱気した酒石酸ナトリウム水溶液50mL(0.12M水溶液、5.9mmol)を加え、反応を停止した。20mLのヘキサンを用い抽出し、この操作を計5回行った。有機相をMgSOで乾燥、減圧留去、分取用GPCを用いた精製により生成物0.58gを得た。収率48%。
H−NMR、13C−NMR、IRより、2−メチルテラニル−1−デセンであることを確認した。
(合成例3)
ヘキシルテラニルエテン(以下、VT3という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、金属テルル1.3g(10.1mmol)をTHF10mLに懸濁させ、ビニルマグネシウムブロミド10mL(1.0Mテトラヒドロフラン溶液、10mmol)を室温で加え、1時間撹拌した。1−ブロモヘキサン2.4mL(17.2mmol)を0℃で加え、2時間撹拌した。脱気した水50mLを加え、ジエチルエーテル10mLを用い抽出し、この操作を計5回行った。有機相をMgSOで乾燥、減圧留去した。得られた混合物を減圧蒸留(7.8Torr、82〜83℃)することにより生成物1.1gを得た。収率45%。
H−NMRより、ヘキシルテラニルエテンであることを確認した。
(合成例4)
エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート(以下、Int1という。)を以下の方法で合成した。
窒素ガス雰囲気下、金属テルル〔Aldrich社製、商品名:Tellurium(−40mesh)〕6.38g(50mmol)をTHF50mLに懸濁させ、これにメチルリチウム52.9mL(1.04Mジエチルエーテル溶液、55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物(6.53g、収率51%)を得た。
H−NMR、13C−NMR、HRMS、IRより、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネートであることを確認した。
(合成例5)
下記式に示す化合物(以下、Int2という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに、Int1(3.5μL、10mmol)、アクリル酸メチル(以下、MAという。0.9mL、10mmol)を仕込み、白色LED(6W)照射下、60℃で15分間撹拌した。MAの消費の経時変化(重合率)はH−NMRにより追跡し、最終的にはそれぞれ32%であった。
得られたInt2を、5mLのTHFに溶解し、BuSnH(100μL、0.4mmol)を加え、白色LED(6W)照射下、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を100mLのヘキサンに加えてポリマーを再沈殿(2回)することで得られたポリマーについて、GPC法による数平均分子量(Mn(GPC))が15,100、及びPDIが1.12であった。
(合成例6)
下記式に示す化合物(以下、Int3という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、2−メチル−2−(メチルテラニル)プロパン酸(0.55g、2.5mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.85mL、5.0mmol)のDMF(10mL)溶液に(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロフォスフェート(COMU、1.1g、2.5mmol)を加え、室温下で30分間撹拌した後、ジエチレントリアミン(0.14mL、1.3mmol)を加え、室温下で3時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテル(25mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)にて3回洗浄、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗浄した後、有機相をMgSOとセライトにて濾過し、溶媒を減圧留去することでInt3を収率90%で得た。
(合成例7)
下記式に示す化合物(以下、Int4という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、2−メチル−2−(メチルテラニル)プロパン酸(0.55g、2.5mmol)、DIEA(0.85mL、5.0mmol)のDMF(10mL)溶液にCOMU(1.1g、2.5mmol)を加え、室温下30分間撹拌した後、トリス(2−アミノエチル)アミン(0.11mL、0.75mmol)を加え、室温下3時間撹拌した。反応溶液にジエチルエーテル(25mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)にて3回洗浄、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗浄した後、有機相をMgSOとセライトにて濾過し、溶媒を減圧留去することでInt4を収率92%で得た。
(合成例8)
下記式に示す化合物(以下、Int5という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに、Int1(4.4μL、0.025mmol)、スチレン(以下、Stという。0.72mL、6.5mmol)を仕込み、100℃で42時間撹拌した。Stの消費の経時変化(重合率)はH−NMRにより追跡し、最終的には86%であった。
得られたInt5を、5mLのTHFに溶解し、BuSnH(100μL、0.4mmol)を加え、白色LED(6W)照射下、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を100mLのヘキサンに加えてポリマーを再沈殿(2回)することで得られたポリマーについて、GPC法による数平均分子量(Mn(GPC))が14,972、及びPDIが1.17であった。
(合成例9)
下記式に示す化合物(以下、Inimer1という。)を以下の方法で合成した。
Figure 0006754124
窒素ガス雰囲気下、金属テルル0.39g(3.1mmol)をTHF3mLに懸濁させ、これにメチルリチウム1.7mL(1.75Mペンタン溶液、3.0mmol)を0℃で加え、15分間撹拌した。さらに4−ビニルベンジルクロライド0.4mL(2.8mmol)を0℃で加え、15分間撹拌した後、脱気した飽和アンモニア水50mL中に加え、ジエチルエーテル40mLを用い抽出した。有機相を脱気した水20mLで4回洗浄した。有機相をMgSOで乾燥、減圧留去、分取用GPCを用いた精製により生成物0.43gを得た。収率60%。
H−NMR、13C−NMRより、Inimer1であることを確認した。
(実施例1)
攪拌機を備えたフラスコに、第二のビニルモノマーとしてMA(0.45mL、5mmol)、AIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)、内部標準としてヒドロキノンジメチルエーテル(3.0mg、0.022mmol)を仕込み、窒素置換後、連鎖移動剤としてInt1(1.8μL、0.01mmol)と第一のビニルモノマーとしてVT1(19.5μL、0.15mmol)を加え、60℃の温度で暗所にて24時間撹拌した。VT1及びMAの消費の経時変化(重合率)はH−NMRにより追跡し、最終的にはそれぞれ99%以上、89%であった。
生成したポリマーを5mLのTHFに溶解し、BuSnH(100μL、0.4mmol)を加え、白色LED(6W)照射下、60℃で1時間撹拌した。反応溶液を100mLのヘキサンに加えてポリマーを再沈殿(2回)することで、0.41gのポリマーを得た。
得られたポリマー(ビニル重合体)について、GPC法により数平均分子量(Mn(GPC))及びPDIを求めた。また、GPC/MALLS法により重量平均分子量(Mw(MALLS))を求め、Mw(MALLS)とPDIから数平均分子量(Mn(MALLS))を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。また、得られたポリマーの固有粘度は粘度計により求め0.0143L/gであった。
なお、得られた多分岐ポリマーの分子構造を図1に示す。
(実施例2)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例3)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例4)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。また、得られたポリマーの固有粘度は粘度計により求め0.0213L/gであった。
(実施例5)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。また、得られたポリマーの固有粘度は粘度計により求め0.0284L/gであった。
(実施例6)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例7)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例8)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更し、重合時工程の攪拌が24時間経過した時点でAIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を追加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例9)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更し、重合時工程の攪拌が24時間経過した時点でAIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を追加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーの絶対分子量であるMn(MALLS)、Mn(GPC)及びPDIを表1に示す。
(実施例10)
連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更し、重合時工程の攪拌が11時間及び71時間経過した時点でAIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を追加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例11)
第一のビニルモノマーをVT1からVT2に変更し、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例12)
重合開始剤をInt1からInt2に変更し、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とし、結果を表1に示す。
(実施例13)
重合開始剤をInt1からInt3に変更し、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更し、重合時工程の攪拌が12時間経過した時点でAIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を追加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例14)
重合開始剤のInt1からInt4に変更し、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更し、重合時工程の攪拌が72時間経過した時点でAIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を追加した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例15)
重合開始剤のInt1からInt5に変更し、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーについて、NMR法により数平均分子量(Mn(NMR))を求め、Mn(NMR)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例16)
第二のビニルモノマーをアクリル酸(AA)に変更したこと、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMn(NMR)を求め、Mn(NMR)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例17)
第二のビニルモノマーをN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)に変更、連鎖移動剤、第一のビニルモノマー及び第二のビニルモノマーの量比及び反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMn(NMR)を求め、Mn(NMR)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(実施例18)
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに、連鎖移動剤としてInt1(1.8μL、0.01mmol)、第一のビニルモノマーとしてVT3(32.5μL、0.15mmol)、第二のビニルモノマーとしてメタクリル酸メチル(以下、MMAという。0.53mL、5mmol)、AIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を加え、60℃の温度で暗所にて15時間撹拌した。H−NMRによりVT3及びMMAの重合率の経時変化を追跡し、GPC法により得られたポリマーの数平均分子量(Mn(GPC))及びPDIの経時変化を追跡した。その結果を表2に示した。
(比較例1)
第一のビニルモノマーを使用せず、反応時間を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリマーのMn(GPC)及びPDIを表1に示す。また、得られたポリマーのMw(MALLS)とPDIよりMn(MALLS)を算出し、Mn(MALLS)を絶対分子量とした。結果を表1に示す。
(比較例2)
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに、連鎖移動剤としてInt1(1.8μL、0.01mmol)、Inimer1(25μL、0.15mmol)、第二のビニルモノマーとしてMA(0.45mL、5mmol)、AIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を加え、60℃の温度で暗所にて56時間撹拌した。H−NMRによりInimer1及びMAの重合率の経時変化を追跡し、GPC法により得られたポリマーの数平均分子量(Mn(GPC))及びPDIの経時変化を追跡した。結果を表2に示す。
(比較例3)
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに、Inimer1(25μL、0.15mmol)、第二のビニルモノマーとしてMA(0.45mL、5mmol)、AIBNのベンゼン溶液(12μL、0.002mmol)を加え、60℃の温度で暗所にて56時間撹拌した。H−NMRによりInimer1及びMAの重合率の経時変化を追跡し、GPC法により得られたポリマーの数平均分子量(Mn(GPC))及びPDIの経時変化を追跡した。結果を表2に示す。
Figure 0006754124
Figure 0006754124
図2は、実施例1の経時的なGPCトレースを示す図である。図2に示すように、重合の間、GPCトレースは常に単峰であり、分岐が制御されていることがわかる。
表1に示す実施例1、4、5、及び7〜9の結果から、第一のビニルモノマーの使用量の増加にともないMn(GPC)は小さくなる傾向にあるが、絶対分子量は大きな変化がみられない。このことから、第一のビニルモノマーの使用量の増加により分岐度が大きくなっていることがわかる。実施例1〜3の結果から、第二のビニルモノマーの使用量の増加にともないMn(GPC)及び絶対分子量が大きくなることから第二のビニルモノマーの使用量の増加により分子量が大きくなることがわかる。また、実施例1、4及び5の結果から分岐度が上がるにつれて固有粘度が低下することがわかる。
表2に示すイニマーを用いた比較例2、3の結果から、第二のビニルモノマーの消費に比べてイニマーの消費が圧倒的に早く起こり、最初は分岐度が大きいが、直ぐに分岐がなくなることが分かる。それに対し、第一のビニルモノマーを用いた実施例18は、PDIが常に2.5以下であり、さらに第一のビニルモノマーと第二のビニルモノマーの消費がほぼ同じ速度で起こることから、分岐密度が一定のポリマーが得られていることがわかる。

Claims (6)

  1. ビニル結合のα位にリビングラジカル重合の重合開始部位として機能する官能基である重合開始基を有する第一のビニルモノマーと、ビニル結合のα位に前記重合開始基を有さない第二のビニルモノマーとをリビングラジカル重合する工程を備え
    前記リビングラジカル重合が、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)若しくは下記一般式(8)で表される有機テルル化合物、又は前記有機テルル化合物から得られるマクロ連鎖移動剤を連鎖移動剤として用いるリビングラジカル重合であり、
    前記第一のビニルモノマーが下記一般式(9)で表されるビニルモノマーである、多分岐ポリマーの製造方法。
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    〔一般式(5)〜(8)において、R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基又はプロパルギル基を表す。R は、炭素数1〜18のアルキレン基を表す。X は、酸素原子又は−NZ−を表し、Nは窒素原子を表し、Zは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。一般式(6)においてX は2価の有機基を表し、一般式(7)においてX は3価の有機基を表し、一般式(8)においてX は4価の有機基を表す。〕
    Figure 0006754124
    〔一般式(9)において、R は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、シリル基又はフッ素原子を表す。〕
  2. 前記第一のビニルモノマーと前記第二のビニルモノマーとの使用比率(第一のビニルモノマー:第二のビニルモノマー)がモル比で、0.01:99.99〜50:50であることを特徴とする、請求項1に記載の多分岐ポリマーの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、多分岐ポリマー。
  4. ビニル結合のα位にリビングラジカル重合の重合開始部位として機能する官能基である重合開始基を有する第一のビニルモノマーに由来する構造単位と、ビニル結合のα位に前記重合開始基を有さない第二のビニルモノマーに由来する構造単位とを含み、リビングラジカル重合により重合されたビニル重合体である多分岐ポリマーであって、
    前記リビングラジカル重合が、下記一般式(5)、下記一般式(6)、下記一般式(7)若しくは下記一般式(8)で表される有機テルル化合物、又は前記有機テルル化合物から得られるマクロ連鎖移動剤を連鎖移動剤として用いるリビングラジカル重合であり、
    前記第一のビニルモノマーが下記一般式(9)で表されるビニルモノマーである、多分岐ポリマー。
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    Figure 0006754124
    〔一般式(5)〜(8)において、R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基又は芳香族ヘテロ環基を表す。R 及びR は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基、シアノ基、アリル基又はプロパルギル基を表す。R は、炭素数1〜18のアルキレン基を表す。X は、酸素原子又は−NZ−を表し、Nは窒素原子を表し、Zは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基を表す。一般式(6)においてX は2価の有機基を表し、一般式(7)においてX は3価の有機基を表し、一般式(8)においてX は4価の有機基を表す。〕
    Figure 0006754124
    〔一般式(9)において、R は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を表す。R は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、芳香族ヘテロ環基、シリル基又はフッ素原子を表す。〕
  5. GPC法により測定される分子量分布(PDI)が2.5未満であることを特徴とする、請求項に記載の多分岐ポリマー。
  6. 絶対分子量が1,000〜3,000,000であることを特徴とする、請求項又はに記載の多分岐ポリマー。
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