JP2005298768A - 新規化合物及び新規高分子化合物 - Google Patents

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JP2005298768A JP2004120933A JP2004120933A JP2005298768A JP 2005298768 A JP2005298768 A JP 2005298768A JP 2004120933 A JP2004120933 A JP 2004120933A JP 2004120933 A JP2004120933 A JP 2004120933A JP 2005298768 A JP2005298768 A JP 2005298768A
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Abstract

【課題】 同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する化合物を単量体として使用し、ポリマーブラシ型の高分子化合物を提供する。
【解決手段】 式(I)、式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物や、式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として用いることによって得られる高分子化合物。式中、R1、R2、R4、R5は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、置換基を有していてもよいアルコキシ基等を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7、R8は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子等を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。
【化1】

Description

本発明は、新規化合物及び新規高分子化合物に関し、より詳細には、同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する新規化合物、及びそれを用いた新規高分子化合物で、分散度が低い(狭分散)高分子化合物に関する。
2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)エチルアクリレート等の同一分子内にラジカル重合が可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する化合物を、遷移金属触媒の存在下にラジカル重合を行うと、自己縮合し、ハイパーブランチポリマーが得られることが知られている(非特許文献1〜3)。また、ポリマーブラシ型の高分子化合物を合成する方法として、ラジカル重合が可能な基を有する化合物を、ラジカル重合させて得られた高分子化合物にリビングラジカル重合の開始剤となりうる基を導入し、その後、適当なラジカル重合が可能な基を有する化合物とリビングラジカル重合を行うことで目的とするポリマーブラシ型の高分子化合物を得る方法が知られている(非特許文献4〜6)。
Macromol. Rapid Commun. 19, 665-670 (1998) Macromolecules 1997, 30, 7034-7041 Macromolecules 1997, 30, 5192-5194 Macromolecules 1998, 31, 9413-9415 Macromolecules 1998, 36, 1843-1849 Macromolecules 2003, 36, 6746-6755
しかしながら、これまでは(メタ)アクリル基をラジカル重合可能な基とする化合物を単量体としてポリマーブラシ型の高分子化合物を得るためには、リビングラジカル重合の開始剤となりうる基を同一分子内に有していると、自己縮合しハイパーブランチポリマーが得られるため、ラジカル重合により得られた高分子化合物(以下、ラジカル重合高分子化合物という。)を生成した後、得られたラジカル重合高分子化合物に、リビングラジカル重合の開始剤となりうる基を導入する必要があった。
本発明の課題は、同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する化合物を単量体として使用し、ポリマーブラシ型の高分子化合物を得ることにある。
本発明者らは、同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する新規な化合物を合成し、この新規な化合物を単量体として用いて、特定の重合条件、即ち、アルコキシアミン類の存在下にラジカル重合を行うと、リビングラジカル重合の開始剤となりうる基は反応しないが、ラジカル重合可能な基のみがラジカル重合反応した、繰り返し単位中にリビングラジカル重合の開始剤となりうる基をそのまま温存した高分子化合物が得られることを見い出した。得られた高分子化合物はリビングラジカル重合の開始剤となりうる基を繰り返し単位中に有しているので、適当なラジカル重合可能な基を有する化合物とのリビングラジカル重合を行うことでポリマーブラシ型の高分子化合物を合成することができることの知見を得、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、式(I)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される化合物(請求項1)や、式(II)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(請求項2)や、リビングラジカル重合の開始剤として、式(II)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を用い、金属触媒の存在下、ラジカル重合可能な化合物をリビングラジカル重合して得られる高分子化合物(請求項3)や、ラジカル重合可能な化合物が、式(III)
[式中、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R16は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は下記式
(式中、R17は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基、又は下記式
(式中、R18及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を表し、R20は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアシル基、又は、置換基を有していてもよいシリル基を表し、m2は、1〜100のいずれかの整数を表す。)を表す。)を表す。]で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載の高分子化合物(請求項4)や、式(I)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される化合物を、アルコキシアミン類の存在下に、ラジカル重合させることを特徴とする式(II)
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法(請求項5)に関する。
本発明の前記式(I)で表される化合物は、同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有していて、ラジカル重合の条件によりラジカル重合可能な基のみを選択的に重合でき、得られた前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、リビングラジカル重合の開始剤となりうる基を有しているので、ラジカル重合が可能な化合物とリビングラジカル重合を行うことにより、様々な種類のポリマーブラシ型の高分子化合物を合成することができる。
本発明の前記式(I)で表される化合物は、同一分子内にラジカル重合が可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有しており、かつラジカル重合の重合条件の違いにより2段階でリビングラジカル重合が可能な化合物であり、様々な種類のポリマーブラシ型の新規な高分子化合物を合成することができる。
前記式(I)及び前記式(II)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の置換基を有していてもよいC1〜C10の炭化水素基を表す。
前記式(I)及び前記式(II)中、R3は、OR9を示し、R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を示す。R9が示すC1〜C10アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等を挙げることができる。C1〜C10アルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等のハロゲン原子や、ヒドロキシル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、アシル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル、アセチル基、メトキシ基等を例示することができ、C1〜C10アルキル基のいずれの炭素原子における置換基であってもよい。かかる置換基を有するC1〜C10アルキル基としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、2−アミノエチル基、2−(メチルアミノ)エチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル、エポキシメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、1−(t−ブトキシカルボニル)エチル基、2−(t−ブトキシカルボニル)プロピル基等を例示することができる。
また、R9が示すC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基におけるC3〜C10脂環式骨格としては、シクロヘキサン等の単環式のみならず、ノルボルナンやビシクロ[4.4]デカン等の双環式、アダマンタン等三環式の脂環骨格を挙げることができ、R9が示すC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基としては、かかるC3〜C10シクロアルキル基であっても、また、これらのシクロアルキル基を有するアルキル基等であってもよい。C3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基の置換基としては、特に限定されるものではなく、アルキル基の他、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。また、R9が示すヘテロ環基としては、テトラヒドロピランや、ピリジン等を有する基を挙げることができ、これらヘテロ環基の置換基として、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基や、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基や、オキソ基などを挙げることができる。
かかるC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基や、ヘテロ環としては、具体的に、下記式
に例示する基を挙げることができる。
更に、式(I)中、R3は、NR1011を表し、R10及びR11は、独立して、水素原子や、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R10及びR11が示すC1〜C10炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
前記式(I)及び前記式(II)中、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R4及びR5が示すC1〜C10炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
前記式(I)及び前記式(II)中、R6は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
前記式(I)及び前記式(II)中、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R7及びR8が示すC1〜C10炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
前記式(I)及び前記式(II)中、Xは、酸素原子、又はNR12を示し、R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R12が示すC1〜C10炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができる。
前記式(I)及び前記式(II)中、R1、R2、R4、R5、R7、R8、R3が示すN R1011におけるR10、R11、及びXが示すNR12におけるR12がそれぞれ表すC1〜C10炭化水素基において、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基の他、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等のハロゲン原子や、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基や、メトキシ基、エトキシ等のアルコキシ基や、フェノキシ基等のアリールオキシ基や、ニトリル基、ニトロ基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基などを例示することができる。
本発明の前記式(I)で表される化合物は、式(IV)
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、X及びm1は、前記と同じものを表す。]で表される化合物と式(V)
[式中、R6、R7及びR8は、前記と同じものを表し、Yは、塩素原子又は臭素原子を表す。]で表される化合物とを、有機溶媒中、塩基の存在下に反応させることにより得ることができる。
前記有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;などを挙げることができる。また、これらの有機溶媒は1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
前記塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;などを挙げることができる。また、これらの塩基は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
このようにして合成することができる前記式(I)で表される化合物のうち、特に好ましい化合物を表1に示す。
本発明の前記式(I)で表される化合物は、同一分子内にラジカル重合可能な基とリビングラジカル重合の開始剤となりうる基とを有する化合物であるが、金属触媒を用いて本発明の式(I)で表される化合物のラジカル重合反応を行っても反応が進行せず、高分子化合物を得ることができない。しかしながら、重合条件としてアルコキシアミン類をラジカル重合開始剤として用いることにより、前記式(I)で表される化合物のリビングラジカル重合の開始剤となりうる基は反応に関与せず、ラジカル重合可能な基のみがラジカル重合反応に関与し、前記式(II)で表される、繰り返し単位中にリビングラジカル重合の開始剤となりうる基を温存した高分子化合物を得ることができる。
前記ラジカル重合開始剤として用いるアルコキシアミン類としては、分解してフリーラジカルを生成する化合物であれば特に制限されず公知の化合物を挙げることができ、例えば、ラジカル重合ハンドブック、107頁(1999年)エヌティエス社、J.Am.Chem.Soc.,121,3904(1999)等に記載されている化合物を例示することができる。なかでも、下記に示す化合物が好ましい。
また、アルコキシアミン類を用いてラジカル重合を行う際には、安定フリーラジカルを添加してもよく、安定フリーラジカルとは、室温又は重合条件下で単独で安定な遊離基として存在し、また重合反応中は生長末端ラジカルと反応して再解離可能な結合を生成することができるものである。このような安定フリーラジカルの具体例としては、2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペルジニルオキシ、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4,4'−ジメチル−1,3−オキサゾリン−3−イルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2−ジ(4−t−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジル、2,2,5−トリメチル−4−(ジエトキシホスホリル)−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド等のニトロキシドラジカルやヒドラジニルラジカルを1個以上生成する化合物等を挙げることができる。
また、安定フリーラジカルを添加する場合における、アルコキシアミン類と安定フリーラジカルの配合割合は、アルコキシアミン類1molに対して安定フリーラジカルが、通常、0.001〜0.3mol、好ましくは、0.01〜0.2mol、より好ましくは、0.02〜0.1molの範囲である。
本発明の前記式(I)で表される化合物のラジカル重合法としては、公知の各種重合法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が採用でき、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、重合温度は50〜200℃、好ましくは100〜150℃で行う方法を挙げることができる。上記溶液重合を行う場合の有機溶媒としては、特に制限されず、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール誘導体類などを例示することができる。
また、本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の重合体鎖中、又は各重合体鎖間には、必要に応じて、他の繰り返し単位を含めることができ、そのような繰り返し単位として、下記単量体から誘導される繰り返し単位を例示することができる。また、これらの繰り返し単位は、1種単独で、また、2種以上を混合して用いることができ、繰り返し単位として、具体的に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ノルボルナン、(メタ)アクリル酸メンチル 、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸メバロニックラクトン等の(メタ)アクリル酸誘導体を挙げることができる。
更に、繰り返し単位として、具体的に、1,3−ブタジエン、イソプレン、2、3−ジメチル−1、3−ブタジエン、1、3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1、3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4、5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1、3−オクタジエン、クロロプレンなどの共役ジエン類、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のα,β−不飽和カルボン酸イミド類、(メタ)アクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類や、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の芳香族誘導体等を挙げることができる。
本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、繰り返し単位中にリビングラジカル重合の開始剤となりうる基を有しているので、金属触媒の存在下、前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として用い、ラジカル重合可能な化合物をリビングラジカル重合反応させることにより、ポリマーブラシ型の高分子化合物を得ることができる。また、前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物中、R7及び/又はR8がハロゲン原子の場合は、反応点を2つ又は3つ有することになるが、その場合は2つ又は3つの反応点で反応が進行した高分子化合物が合成できる。
本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物にラジカル重合可能な化合物としては、前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として、リビングラジカル重合する化合物であれば特に制限はされないが、具体的には、分子内にスチリル基、アクリル基等を有する化合物であり、前記式(III)で表される化合物を好ましく例示することができる。
式(III)中、R13、R14及びR15は、ぞれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R13、R14及びR15が示すC1〜C10炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができ、R16は、置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基、置換基を有していてもよい、2−ピリジル基、4−ピリジル基等のヘテロアリール基;又は下記式で表され、
式中、R17は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を示し、R17が示すC1〜C10炭化水素基としては、;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等を挙げることができ、又は下記式を表し、
式中、R18及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を表し、m2は、1〜100のいずれかの整数を表し、5〜100のいずれかの整数を示すことが好ましく、8〜100のいずれかの整数を示すことがより好ましい。各繰り返し単位におけるm2の値は、同一でも相異なっていてもよく、R18同士及びR19同士は、同一でも、相異なっていてもよい。式中、R20は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアシル基や、置換基を有していてもよいシリル基を表し、R20が表す炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基等を、;R20が表すアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等を、;R20が表すシリル基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等を挙げることができる。
式中、R13、R14、R15が表すC1〜C10炭化水素基や、R16が表すアリール基、ヘテロアリール基、又はカルボニルオキシ基を示す式中のR17が示すC1〜C10炭化水素基、更にR17が示す式中のR18、R19が示すメチル基や、R20が示す炭化水素基、アシル基、シリル基において、適当な炭素原子上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として具体的には、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭化水素基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基;ニトリル基、ニトロ基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基などを例示することができる。
前記式(III)で表される化合物としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、4−カルボキシスチレン、ビニルアニソール、ビニル安息香酸、ビニルアニリン、ビニルナフタリン、9−ビニルアントラセン等のアリール基;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン、2−ビニルチオフェン、4−ビニルチオフェン等のヘテロアリール基;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数は2〜100)(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「ブレンマーPMEシリーズ」〔下記式において
3=2〜90に相当する単量体〕(日本油脂製)、アセチルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−ブチルジメチチルシリルオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールシクロヘキセン−1−カルボキシレート、メトキシポリエチレングリコール−シンナメートなどを挙げることができる。また、これらのラジカル重合可能な化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として用いることによって得られる高分子化合物の製造方法は、特に制限はされないが、遷移金属錯体を触媒とするリビングラジカル重合法を好ましく例示することができる。この方法によれば、構造が制御された本発明の高分子化合物を、簡便かつ効率よく製造することができる。
かかる遷移金属錯体を構成する中心金属としては、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、銅等の周期律表第7〜11族元素(日本化学会編「化学便覧基礎編I改訂第4版」(1993年)記載の周期律表による。)を好ましいものとして挙げることができる。なかでもルテニウム又は銅が好ましい。
また、これらの金属に配位して錯体を形成する配位子としては、特に限定されないが、トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等の炭素数18〜54のトリアリールホスフィン;トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等の炭素数3〜18のトリアルキルホスフィン;トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルホスフィノエタン;ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン原子;一酸化炭素;水素原子;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン、インデン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;ベンゼン、シメン、フェノール、4−イソプロピルトルエン、シクロペンタジエニルトルエン、インデニルトルエン、サリシリデン、フラン等の芳香族化合物;2−メチルペンテン、2−ブテン、アレン等のオレフィン類;カルボン酸;などを好ましい例として挙げることができる。また、含窒素系配位子やカルコゲナイドも有用である。
以上例示した配位子のうち、炭化水素配位子は、種々の置換基、例えば、メチル基、エチル基等のC1〜C4アルキル基等のアルキル基、;ビニル基、アリル基等のC2〜C5等のアルケニル基、;アルキニル基、;アルコキシ基、;メトキシ基等のC1〜C4等のアルコキシ基、;メトキシカルボニル基等のC1〜C4等のアルコキシカルボニル基等、;アセチル基等のC2〜C5等のアシル基、;ホルミル基、アセチルオキシ基等のC2〜C5等のアシルオキシ基、;カルボキシル基、;ヒドロキシル基、;アミノ基、;アミド基、;イミノ基、;ニトロ基、;シアノ基、;チオエステル基、;チオケトン基、;チオエーテル基、;塩素、臭素等のハロゲン原子などを有していてもよい。かかる置換基を有する炭化水素配位子としては、例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニル等の1〜5個のメチル基で置換されていてもよい環状炭化水素配位子などを例示することができる。
また、遷移金属錯体は、前記例示した配位子以外に、水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチルアセトナート等のβ−ジケトン基;アセチルアセテート等のβ−ケトエステル基;CN、チオシアナート(SCN)、セレノシアナート(SeCN)、テルロシアナート(TeCN)、SCSN3、OCN、ONC、アジド(N3)等の擬ハロゲン基;酸素原子;H2O;NH3、NO、NO2、NO3、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリブチルアミン、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン、ピリジン、フェナントロリン、ジフェナントロリンや置換フェナントロリン、2,2’,6’,2”−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン、4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、チオシアネート、O,S,Se,Teの配位したビピリジン、アルキルイミノピリジン、アルキルビピリジニルアミン、アルキル置換トリピリジン、ジ(アルキルアミノ)アルキルピリジン、エチレンジアミンジピリジン、トリ(ピリジニルメチル)アミン等の窒素含有化合物などを有していてもよい。
本発明のリビングラジカル重合において使用する遷移金属錯体として、銅化合物を用いる場合には、触媒活性を高める配位子として、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、アルキルアミン(トリブチルアミン等)、ポリアミン(テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルエチレンジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等)などを添加することができる。
本発明のリビングラジカル重合において使用する遷移金属錯体として、具体的には、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、酢酸第一銅、過塩素酸第一銅、ジフェナンスロリンや置換フェナンスロリン、2,2’,6’,2”−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン等による銅錯塩、アセチル[4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]銅、六フッ化ホスフィン−ジ[4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]銅、チオシアネート銅、O,S,Se,Teの配位したビピリジン銅、アルキルビピリジニルアミンやアルキル置換トリピリジンやジ(アルキルアミノ)アルキルピリジンやイミノジピリジンやエチレンジアミンジピリジンやトリ(ピリジニルメチル)アミン等が配位した銅などによる銅錯体;
ジ(トリフェニルホスフィン)二塩化鉄、ジ(トリブチルアミノ)二塩化鉄、トリフェニルホスフィン三塩化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリエトキシホスフィン−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリフェニルホスフィン−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−[4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリ−n−ブチルアミノ−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリ−n−ブチルホスフィン−二臭化鉄、トリ−n−ブチルホスフィン−二臭化鉄、[4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]二臭化鉄、テトラアルキルアンモニウム三ハロゲン化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル臭化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル塩化鉄(II)、ジカルボニルインデニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルインデニル臭化鉄(II)、ジカルボニルインデニル塩化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニル臭化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニル塩化鉄(II)、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン塩化鉄、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン臭化鉄などの鉄錯体を挙げることができる。
また、本発明に用いる遷移金属錯体として、その他、具体的に、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(トリアルキルホスフィン)p−シメンルテニウム、ジクロロ−ジ(トリシメンホスフィン)スチリルルテニウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロベンゼンルテニウム、ジクロロp−シメンルテニウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)ルテニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドロテトラ(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等を挙げることができ、特にジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムまたはクロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル塩化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニル塩化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニル塩化ルテニウム(II)ジクロロ−ジ−2、6−ビス[(ジメチルアミノ)−メチル](μ−N2)ピリジンルテニウム(II)等のルテニウム錯体;
カルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル臭化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル塩化ニッケル(II)、カルボニルインデニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルインデニル臭化ニッケル(II)、カルボニルインデニル塩化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニル臭化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニル塩化ニッケル(II)、o,o’−ジ(ジメチルアミノメチル)フェニルハロゲン化ニッケル、ジ−トリフェニルホスフィン二臭化ニッケル、ジ(トリn−ブチルアミノ)二臭化ニッケル、1,3−ジアミノフェニル臭化ニッケル、ジ(トリn−ブチルホスフィン)二臭化ニッケル、テトラ(トリフェニルホスフィン)ニッケル等のニッケル錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル臭化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル塩化モリブデン(II)、ジNアリール−ジ(2−ジメチルアミノメチルフェニル)リチウムモリブデン、ジNアリール−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−メチル−リチウムモリブデン、ジNアリール−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−トリメチルシリルメチル−リチウムモリブデン、ジNアリール−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−p−トリル−リチウムモリブデン等のモリブデン錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化タングステン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル臭化タングステン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル塩化タングステン(II)等のタングステン錯体;
ジカルボニルシクロペンタジエニルコバルト(I)等のコバルト錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルマンガン(I)、トリカルボニル(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)等のマンガン錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルレニウム(I)、ジオキソビス(トリフェニルホスフィン)ヨウ化レニウム等のレニウム錯体;
トリ(トリフェニルホスフィン)塩化ロジウム等のロジウム錯体;
トリフェニルホスフィンジアセチルパラジウム等のパラジウム錯体;
(1−エトキシカルボニル−1−メチルエチル)メチルテルル、(1−シアノ−1−メチルエチル)メチルテルル、α−メチルベンジルメチルテルル、ベンジルメチルテルル、メチルベンゾイルテルル等のテルル錯体;などが挙げられる。
これらの遷移金属錯体は1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物は、それ自身がリビングラジカル重合の開始剤となりうるが、必要に応じて有機ハロゲン化合物を開始剤として併用することもできる。このような有機ハロゲン化合物は、1〜4個又はそれ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を含み、遷移金属錯体と作用してラジカル種を発生させることにより重合を開始させるものである。かかる有機ハロゲン化合物としては、特に制限されず種々の化合物が使用できるが、例えば、下記式(VI)で表されるハロゲン化炭化水素、ハロゲン化エステル(ハロゲン含有エステル)、ハロゲン化ケトン(ハロゲン含有ケトン)、ハロゲン含有ニトリル、下記式(VII)で表されるスルホニルハライド(ハロゲン化スルホニル化合物)、ヘテロ原子を有する他のハロゲン化合物等を挙げることができる。
式(VI)中、R21、R22は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロ原子を含む有機基を示し、式(VII)中、R23は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロ原子を含む有機基を示す。R21〜R23が示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はヘテロ原子を含む有機基は置換基を有していてもよい。Z1、Z3は、ハロゲン原子又はハロゲン原子を含む有機基を示し、Z2は、前記Z1及び前記R21で示した基と同じ基を表す。R21〜R23が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などのC1〜C12アルキル基等を例示することができ、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のC4〜C12シクロアルキル基、好ましくはC4〜C8シクロアルキル基等を例示することができ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のC6〜C12アリール基などを例示することができ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等のC7〜C14アラルキル基などを例示することができる。
式(VI)、(VII)中、R21〜R23が示すヘテロ原子を含む有機基としては、少なくとも1つの、窒素、酸素または硫黄等のヘテロ原子を含む有機基、例えば、[メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の脂肪族C1〜C10等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のC6〜C12アリールオキシカルボニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の脂肪族C2〜C10等のアシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のC6〜C12アリールカルボニルオキシ基等]のエステル基、[ホルミル基、アセチル基等の脂肪族C1〜C10等のアシル基、;ベンゾイル基等のC6〜C12アリール−カルボニル基等]のケトン基、[メトキシ基、エトキシ基等の脂肪族C1〜C10等のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等のC6〜C12アリールオキシ基等]のエーテル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、シアノ基、ニトロ基、チオエステル基、チオケトン基;硫化アルキル基、硫化アリール基等のチオエーテル基などを例示することができる。式(VI)、(VII)中、Z1〜Z3が示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示でき、特に、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
前記式(VI)で表される前記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、[塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、ヨウ化t−ブチル等のC1〜C12アルキルモノハライド;ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジブロモエタン、1,1−ジヨードエタン、1−ブロモ−1−クロロエタン、2,2−ジクロロプロパン、2,2−ジブロモプロパン、2,2−ジヨードプロパン、2−クロロ−2−ヨードプロパン、2−ブロモ−2−ヨードプロパン等のジハロC1〜C12アルカン;シクロヘキシルクロライド、シクロオクチルクロライド等のC5〜C10シクロアルキルハライド等のハロゲン化シクロアルキル等]のハロアルカン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化C6〜C14アリール等のハロゲン化アリール;塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ベンズヒドリル、臭化ベンズヒドリル、1−フェニルエチルクロリド、1−フェニルエチルブロミド、1−フェニルエチルヨージド、キシリレンジクロリド、キシリレンジブロミド、キシリレンジヨージド、ジクロロフェニルメタン、ジクロロジフェニルメタン等のC7〜C14アラルキルハライド等のハロゲン化アラルキルなどを挙げることができる。
前記式(VI)で表されるハロゲン含有エステルとしては、例えば、ジクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸メチル、α−ブロモフェニル酢酸メチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ブロモ−プロピオン酸ヒドロキシエチル、2−ブロモ−プロピオン酸グリシジルメチル、2−ブロモ−プロピオン酸プロペニル、クロロ酢酸ビニル、ブロモラクトン、2−ブロモ−プロピオン酸−p−カルボキシルフェノルエチル、2−クロロイソ酪酸メチル、2−クロロイソ酪酸エチル、2−ブロモイソ酪酸メチル、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ヨードイソ酪酸メチル、2−ヨードイソ酪酸エチル等のハロゲン含有C2〜C12モノカルボン酸の、C1〜C10アルキルエステルや置換アルキルエステルやアルケニルエステルなど(好ましくはハロゲン含有C4〜C8モノカルボン酸のC1〜C4アルキルエステル等);2−クロロ−2−メチルマロン酸ジメチル、2−クロロ−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジメチル、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ヨード−2−メチルマロン酸ジメチル、2−ヨード−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ブロモ−2,4,4,トリメチル−グルタル酸ジメチル等のハロゲン含有C1〜C14多価カルボン酸のC1〜C10アルキルエステル(好ましくはハロゲン含有C2〜C8ジカルボン酸のジC1〜C4アルキルエステル等)、ジクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、2−クロロイソ酪酸、2−ブロモイソ酪酸等のハロゲン含有C2〜C12カルボン酸などを例示することができる。
前記式(VI)で表されるハロゲン含有ケトンとしては、例えば、2−クロロアセトン、1,1−ジクロロアセトン、エチルクロロメチルケトン、1−ブロモエチルエチルケトン等のハロゲン化C1〜C10アルキル−C1〜C10アルキルケトン;2,2−ジクロロアセトフェノン、2−ブロモイソブチロフェノン等のハロゲン化C1〜C10アルキル−C6〜C12アリールケトン等を例示することができ、ハロゲン含有ニトリルとしては、2−ブロモプロピオニトリルを例示することができ、その系列としてベンジルチオシアネートも使用できる。
前記式(VII)で表されるスルホニルハライドとしては、例えば、塩化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、ヨウ化メタンスルホニル、塩化クロロメタンスルホニル、臭化クロロメタンスルホニル、ヨウ化クロロメタンスルホニル、塩化ジクロロメタンスルホニル、臭化ジクロロメタンスルホニル、ヨウ化ジクロロメタンスルホニル、塩化ブロモメタンスルホニル、臭化ブロモメタンスルホニル、ヨウ化ブロモメタンスルホニル、塩化ジブロモメタンスルホニル、臭化ジブロモメタンスルホニル、ヨウ化ジブロモメタンスルホニル、塩化ヨードメタンスルホニル、臭化ヨードメタンスルホニル、ヨウ化ヨードメタンスルホニル、塩化ジヨードメタンスルホニル、臭化ジヨードメタンスルホニル、ヨウ化ジヨードメタンスルホニル、塩化トリクロロメタンスルホニル等の脂肪族スルホニルハライド(このうち特に、メタンスルホニルハライド等のアルカンスルホニルハライドが好ましい。);塩化ベンゼンスルホニル、臭化ベンゼンスルホニル、ヨウ化ベンゼンスルホニル、塩化p−メチルベンゼンスルホニル、臭化p−メチルベンゼンスルホニル、ヨウ化p−メチルベンゼンスルホニル、塩化p−クロロベンゼンスルホニル、臭化p−クロロベンゼンスルホニル、ヨウ化p−クロロベンゼンスルホニル、塩化p−メトキシベンゼンスルホニル、臭化p−メトキシベンゼンスルホニル、ヨウ化p−メトキシベンゼンスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、臭化p−ニトロベンゼンスルホニル、ヨウ化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化p−フッ化ベンゼンスルホニル、塩化p−カルボキシルベンゼンスルホニル、塩化p−アミノジアゾベンゼンスルホニル、塩化−2,5ジクロロベンゼンスルホニル、塩化−2,5ジメトキシベンゼンスルホニル、塩化−2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンゼンスルホニル、塩化−1−ナフタレンスルホニル、塩化−2−ナフタレンスルホニル、塩化(5−アミノ−2−ナフタレン)スルホニル、塩化1,4−ジスルホニルベンゼン、二臭化1,4−ジスルホニルベンゼン、二ヨウ化1,4−ジスルホニルベンゼン、二塩化2,6−ジスルホニルナフタレン、二臭化2,6−ジスルホニルナフタレン、二ヨウ化2,6−ジスルホニルナフタレン等の芳香族スルホニルハライドなどを例示することができる。
さらに、前記式(VII)で表されるヘテロ原子を有する他のハロゲン化合物には、2,2−ジクロロエタノール、2,2−ジブロモエタノール等の脂肪族、脂環族又は芳香族ハロゲン化C1〜C10アルコール等のハロゲン化アルコール;ジクロロアセトニトリル、ジブロモアセトニトリル等のハロゲン化アセトニトリル等のハロゲン化ニトリル;ハロゲン化アルデヒド、ハロゲン化アミド等を例示することができる。このような有機ハロゲン化合物は1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明のリビングラジカル重合の開始剤として用いる式(II)で表される高分子化合物と併用することができる開始剤として、前記式(VI)、(VII)で表されるハロゲン化合物の他に、3〜4個のハロゲン原子を含む有機ハロゲン化合物も用いることもできる。3個のハロゲン原子を含むものとしては、クロロホルム等のトリハロC1〜C12アルカン;トリクロロフェニルメタン等のC7〜C14アラルキルハライド;アセチルトリ塩化メタン等のハロゲン含有C2〜C12モノカルボン酸のC1〜C10アルキルエステル;1,1,1−トリクロロアセトン等のハロゲン化C1〜C10アルキル−C1〜C10アルキルケトンなどを例示することができ、4個のハロゲン原子を含むものとして、四塩化炭素、ブロモトリ塩化メタン等のテトラハロC1〜C12アルカンを例示することができ、更に、トリフルオロトリ塩化エタンのような4個を超えるハロゲン原子を含むものも用いることができる。
本発明の式(II)で表される高分子化合物を用いたリビングラジカル重合法においては、さらに、遷移金属錯体に作用することにより、ラジカル重合を促進させる活性化剤として、ルイス酸および/またはアミン類を使用することができる。ルイス酸の種類は特に制限されず、種々のルイス酸、例えば、下記式(VIII)又は式(IX)で表される化合物等を使用することができる。
式(VIII)中、M1は周期表3族元素又は周期表13族元素を示し、前記M1として、具体的には、周期表3族元素のスカンジウムSc、イットリウムY等、周期表13族元素のホウ素B、アルミニウムAl、ガリウムGa、インジウムIn等を例示することができ、これらのうち、Sc、B、Al、Sc、Alが好ましい。式(IX)中、M2は周期表4族元素又は周期表14族元素を示し、M2として、具体的には、周期表4族元素のチタンTi、ジルコニウムZr、ハフニウムHf等、周期表14族元素のケイ素Si、スズSn、鉛Pb等を例示することができ、このうち、Ti、Zr、Snが好ましい。
式(IX)、(VIII)中、R24〜R27は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基またはアラルキルオキシ基を表す。R24〜R27が表す基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等のC1〜C12アルキル基、;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のC4〜C12シクロアルキル基、;フェニル、トリル、ナフチル基等のC6〜C12アリール基、;ベンジル、フェネチル基等のC7〜C14アラルキル基、;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基、;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基を例示することができる。R24〜R27が前記ハロゲン原子以外の置換基を表す場合、かかる置換基は前記炭化水素配位子の置換基と同様の置換基などを有していてもよい。例えば、アリールオキシ基は、芳香環上に置換基、例えばC1〜C5アルキル基等を一つまたはそれ以上有していてもよく、このような置換アリールオキシ基の具体例としては、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基等を挙げることができる。かかるR24〜R27が表す好ましい置換基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基などを挙げることができる。
前記式(VIII)で表されるルイス酸としては、[アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド、アルミニウムトリフェノキシド等のアルミニウムのC1〜C4アルコキシド又はアリールオキシド;メチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリールオキシド]などのアルミニウムアルコキシド、[三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウム等のアルミニウムトリハライド]などのアルミニウムハライドなどのアルミニウム系ルイス酸、前記アルミニウム系ルイス酸に対応する、スカンジウムトリイソプロポキシド等のスカンジウムアルコキシドや、三塩化スカンジウム、三臭化スカンジウム、三ヨウ化スカンジウム等のスカンジウムハライドなどのスカンジウム系ルイス酸などを例示することができる。
前記式(IX)で表されるルイス酸としては、[チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、クロロチタントリイソプロポキシド、ジクロロチタンジイソプロポキシド、トリクロロチタンイソプロポキシド]などのチタンアルコキシド、[四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等]のチタンハライドなどのチタン系ルイス酸や、前記チタン系ルイス酸に対応する、[ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド等のジルコニウムアルコキシド、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム等のジルコニウムハライド]などのジルコニウム系ルイス酸;前記チタン系ルイス酸に対応する、[スズテトライソプロポキシド等のスズアルコキシド、四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のスズハライド]などのスズ系ルイス酸などを例示することができる。
これらの中でも、好ましいルイス酸としては、アルミニウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム及びスズから選択された金属化合物(特に金属アルコキシド等)を挙げることができる。例えば、アルミニウムアルコキシド(アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド等)、スカンジウムアルコキシド(スカンジウムトリイソプロポキシド等)、チタンアルコキシド(チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトラフェノキシド等)、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムテトライソプロポキシド等)、スズアルコキシド(スズテトライソプロポキシド等)などを例示することができる。
また、リビングラジカル重合法において反応を促進させる活性化剤として、使用されるアミン類としては、2級アミン、3級アミン、含窒素芳香族複素環化合物等、含窒素化合物であれば、特に制限されない。なかでも、2級アミン、3級アミンが好ましい。2級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、モルホリン等を例示することができる。3級アミンとは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ−7−セン等を例示することができる。アミン類として、同一分子内に、1級アミン部分、2級アミン部分、および3級アミン部分から選ばれる少なくとも2つ以上を有する化合物も使用することができる。そのような化合物として、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、4−(2−アミノエチル)ピペリジン等を挙げることができる。
前記ルイス酸及びアミン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。遷移金属錯体とルイス酸またはアミン類との割合は、前者/後者が、0.05/1〜10/1(モル比)、好ましくは0.1/1〜5/1(モル比)程度である。
本発明における式(II)で表される高分子化合物を用いるリビングラジカル重合法としては、特に制限されず、慣用の方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、または乳化重合等を採用することができるが、溶液重合が特に好ましい。上記溶液重合を行う場合、溶媒としては特に制限されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等多価アルコール誘導体類;などを使用することができる。このような溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。
また、本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として合成した本発明のポリマーブラシ型の高分子化合物をアルカリで加水分解を行うと、エステル部位又はアミド部位が加水分解した化合物になる。例えば、本発明の前記式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物のうち、R7及びR8が、それぞれ独立して、水素原子、又はC1〜C10炭化水素基を表す高分子化合物をリビングラジカル重合の開始剤として使用し、前記式(III)で表される化合物をラジカル重合可能な化合物として使用して得られた、本発明のポリマーブラシ型の高分子化合物をアルカリで加水分解を行うと、式(X)
[式中、R1、R2、R4、R5、m1及びXは、前記と同じものを表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物と、式(XI)
[式中、R6、R13、R14、R15及びR16は、前記と同じものを表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1〜C10炭化水素基を表し、m4は、1以上の整数を表す。]で表される高分子化合物に加水分解される。本発明のポリマーブラシ型の高分子化合物においては、完全に加水分解するのに長期間を要することから、アーム部位が非常に蜜になっている高分子化合物であることが認められる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[エチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート(化合物No.1)の合成]
300mlの反応容器に、エチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート19.52g(0.15mol)、ジクロロメタン150ml、及びトリエチルアミン19.73g(0.195mol)を加え、均一に混合し、0℃に冷却した。この混合溶液に、ジクロロメタン20mlに2−ブロモイソブチリルブロマイド37.94g(0.165mol)を溶解させた溶液を反応温度が5℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、室温で12時間攪拌した。析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、ろ液を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去して得られる残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=1:1)により精製して、目的とするエチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート30.27g(収率72%)を無色透明液体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.29−1.33(−OCH2CH3,t,3H),δ1.95(CH3,s,6H),δ4.24−4.29(−OCH2CH3,m,2H),δ4.91(−CH2−,s,2H),δ5.92(−CH=CH2,s,1H),6.40(−CH=CH2,s,1H)ppm
[アルコキシアミン類を用いたリビングラジカル重合]
20mlの反応容器に、実施例1で得られたエチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート2.79g(10mmol)、2,2,5−トリメチル−3−(1’−フェニルエトキシ)−4−フェニル−3−アザヘキサン32.5mg(0.1mmol)、及び2,2,5−トリメチル−4−フェニル−3−アザヘキサン−3−ニトロキシド1.1mg(0.005mmol)を加え、均一に混合した後、水流アスピレーターを用いて内部を脱気した。反応系を窒素置換後、反応容器を密閉し、予め120℃に設定したオイルバス中で2時間攪拌した。反応溶液を0℃に冷却し、THFに溶解させ、メタノールで再沈殿し、ろ過により得られた固体を60℃で5時間減圧乾燥することにより、白色固体として1.43g(収率65%)として得た。得られた高分子化合物の重量平均分子量は、多角度光散乱検出法(以下、GPC−MALS法と略す。)で分析を行ったところ、Mw=23,000(Mw/Mn=1.18)であり、単分散ポリマーであった。
ユニット数:82
1H−NMR(CDCl3):δ1.15−1.35(−OCH2CH3,3H),δ1.80−2.30(−CH3,−CH2−,8H),δ3.85−4.45(−OCH2CH3,−CH2−OC=O−,4H)ppm
[ポリ(エチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート)を開始剤としたリビングラジカル重合−1]
100mlの反応容器に、実施例2で得られたポリ(エチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート)0.14g(0.5mmol)、スチレン26.04g(250mmol)、CuBr0.036g(0.25mmol)、及びトルエン6.5gを加え、均一に混合した後、水流アスピレーターを用いて内部を脱気し、反応系を窒素置換した。更に、脱気して窒素置換したN,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン0.043g(0.25mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。得られた反応溶液を100℃に加温して4時間攪拌した。その後、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。スチレンの重合率は12%であった。反応溶液をカラムにかけ、金属錯体を除去した。溶媒を除去後、THFに溶解させ、メタノールで再沈殿し、ろ過により得られた固体を50℃で3時間減圧乾燥し、白色結晶3.58gを得た。GPC−MALLS法で分析を行ったところ、Mw=1,240,000(Mw/Mn=1.36)であり、単分散ポリマーであった。
[ポリ(エチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート)を開始剤としたリビングラジカル重合−2]
200mlの反応容器に、実施例2で得られたポリ(エチル 2−(ブロモイソブチロイルオキシメチル)アクリレート)0.14g(0.5mmol)、ブレンマーPME−400(日本油脂製)24.83g(50mmol)、及びトルエン74.9gを加え、均一に混合した後、水流アスピレーターを用いて内部を脱気し、反応系を窒素置換した。この反応溶液にジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.24g(0.25mmol)を加え、均一に混合し、さらにジ−n−ブチルアミン0.13g(1.0mmol)を加え、得られた反応溶液を80℃に加温し、3時間攪拌した。その後、反応溶液を0℃に冷却することにより、重合反応を停止させた。反応液をカラムにかけ、金属錯体と未反応モノマーを除去した。溶媒を減圧濃縮し、60℃で5時間減圧乾燥したところ、緑色粘稠体14.5gを得た。GPC−MALLS法で分析を行ったところ、Mw=5,434,000(Mw/Mn=2.11)であり、単分散ポリマーであった。
[アルカリ加水分解]
50mlの反応容器に、実施例3で得られた高分子化合物0.31g、ナトリウムエトキシド0.068g、及びTHF12gを加え、50℃でアルカリ加水分解を行ったところ、完全に加水分解が終了するのに2週間を要した。GPC分析により、アームポリマーは、Mn=10,000(Mw/Mn=1.09)であった。

Claims (5)

  1. 式(I)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される化合物。
  2. 式(II)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
  3. リビングラジカル重合の開始剤として、式(II)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を用い、金属触媒の存在下、ラジカル重合可能な化合物をリビングラジカル重合して得られる高分子化合物。
  4. ラジカル重合可能な化合物が、式(III)
    [式中、R13、R14、R15は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R16は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は下記式
    (式中、R17は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基、又は下記式
    (式中、R18及びR19は、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を表し、R20は、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアシル基、又は、置換基を有していてもよいシリル基を表し、m2は、1〜100のいずれかの整数を表す。)を表す。)を表す。]で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載の高分子化合物。
  5. 式(I)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される化合物を、アルコキシアミン類の存在下にラジカル重合させることを特徴とする式(II)
    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R3は、OR9(R9は、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10アルキル基、置換基を有していてもよいC3〜C10脂環式骨格を有する炭化水素基、又は置換基を有していてもよいヘテロ環基を表す。)、又はNR1011(R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、R6は、ハロゲン原子を表し、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表し、Xは、酸素原子、又はNR12(R12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいC1〜C10炭化水素基を表す。)を表し、m1は、1〜6のいずれかの整数を表す。]で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。
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