JP5083556B2 - リビングラジカル重合開始剤及び重合体の製造方法 - Google Patents

リビングラジカル重合開始剤及び重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、テルル原子を含有する化合物からなるビングラジカル重合開始剤、および該重合開始剤を使用するビニル重合体の製造方法に関するものである。
ラジカル重合は、その簡便性、経済性から工業的によく利用されているが、その活性種が中性であり停止反応を制御できないため分子量分布や分子構造をよくデザインされた高分子を合成することが難しいという欠点を有していた。一方、近年、ラジカル重合においても末端の活性種が生き続けて生長するというリビングラジカル重合法が開発された。エッジオ・リザルドらにより安定なニトロオキサイドラジカルをもちいたリビングラジカル方法が初めて報告された(特許文献1)。また、マイケルジョージスらによってTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシ)を開始剤として用いたリビングラジカル重合法が報告されている(特許文献2)。これらの方法は、ラジカル重合にリビング性をもたらしたという意味では画期的方法であったが、重合できるモノマーは限定的であった。また分子量分布も汎用のラジカル重合法に比べては分布が狭いが十分なものではなかった。
有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)がMatyjaszewskiらによって1995年に報告された。(特許文献3、4)。この方法は、得られたリビングポリマーの末端に官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を有し、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法として優れている。しかし、遷移金属による着色が著しく濃く、安全性の面からも金属を取り除く必要があり高コストになる。また、カルボン酸等の酸性化合物存在下では重合できない欠点を有する。
特許文献5には、β置換ニトロキシキシラジカルによるリビング重合方法が報告されている。この方法ではアクリレートなどもリビング重合でき、TEMPO(特許文献2)より使用できるモノマー範囲が広がっている。例えばアクリル酸等も重合できる。しかしながら、分子量分布は、まだ十分に狭くなく満足できるものではない。また、メタクリレート類のモノマーは重合可能ではあるが、リビング重合といえる制御はできないという欠点を有し、十分に制御された種々のブロック共重合体や末端反応性を有するポリマーを合成するには困難がある。
特許文献6には、テルル金属を用いた開始剤を使用するリビング重合が報告されている。この方法ではモノマーの選択範囲が広く、スチレン、様々な(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルピロリドン等多くのビニルモノマーをリビング重合できる点で優れている。しかしながら、特許文献に開示された開始剤は1官能のものであり、ABA型、ABCBA型等のブロックポリマーを合成する際、一方向から生長させる必要があり、製造工程が多くなるばかりでなく、モノマーの順番に制限を受けたり、反応時間が長くなり失活成分が多くなることにより、分子量分布が広がりやすい等の欠点を有する。さらに、硬化性の樹脂に有用である両末端に反応性基を有するテレケリックポリマーの合成等も1官能開始剤では困難である。また、星型ポリマー等の複数本のアームを有するポリマーの合成も困難である欠点を有していた。
特開昭60−89452号公報 特開平6−199916号公報 特表2000−500516号公報 特表2000−514479号公報 特表平9−511786号公報 再公表04−14848号公報
本発明の目的は、高分子量にいたる領域まで精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)の制御を可能とし、種々のブロックポリマー、両末端に反応性基を有するポリマーを効率よく製造する方法を提供することにある。
式(1)で表される機テルル化合物からなるラジカル重合開始剤を用いてビニルモノマーを重合させることにより上記課題を達成した。
ビニルモノマーを温和な条件下で重合させ、高分子量にいたる領域まで精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)の制御を可能とし、種々のブロックポリマー、両末端に反応性基を有するポリマーを効率よく製造することができた。
本発明のビングラジカル重合開始剤は、下記の式(1)に示す構造式で表され
るテルル含有化合物からなるものである。
Figure 0005083556
式(1)において、R1 は炭素数1〜18である2価の炭化水素基である。具体的には、R1 は炭素数1〜18のアルキレン基(環状アルキレン基またはアリーレン基を含んでもよい)またはフェニレン基を意味する。
2 は炭素数1〜18のアルキル基(環状アルキル基を含んでもよい)またはフェニル基を意味し、R3 は、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を意味し、R4 は1価の有機基であり、フェニル基、エステル基を含む1価の有機基、アミド基を含む1価の有機基、イミド基を含む1価の有機基、ニトリル基、水素原子または炭素数1〜18のアルキル基(環状アルキル基を含んでもよい)を意味する。Teはテルル原子を意味する。
式(1)で示されるテルル含有化合物は、たとえば次のように合成される。
まず、式(2)の化合物を合成する。また、式(3)の反応式に示すように例えばアルキルリチウムと金属テルルを反応させることにより式(3)の右辺に記載されている化合物「RTeM」を合成する。式(2)で表される化合物と式(3)の右辺に記載されている化合物「RTeM」を反応させることによって式(1)で表される化合物を製造することが出来る。
Figure 0005083556

式(2)においてXはハロゲン原子を意味する。
Figure 0005083556

式(3)においてMはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、Teはテルル金属を意味する。
Xで示される基としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素等のハロゲン原子を挙げることができる。好ましくは、塩素、臭素が良い。
式(2)の具体的な化合物としては、1,4−ジフェニル−1,4−ジブロモブタン、1,5−ジフェニル−1,5−ジブロモヘプタン、1,6−ジフェニル−1,6−ジブロモヘキサン、ジブロモキシレン、1,4−ジフェニル−1,4−ジクロロブタン、1,5−ジフェニル−1,5−ジクロロヘプタン、1,6−ジフェニル−1,6−ジクロロヘキサン、ジクロロキシレン等を挙げることができる。特に1,4−ジフェニル−1,4−ジブロモブタン、1,5−ジフェニル−1,5−ジブロモヘプタン、1,6−ジフェニル−1,6−ジブロモヘキサンが好ましい。
上記、式(3)に用いられるR2Mは、具体的にはメチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられる。
式(1)のルル含有化合物の製造方法について具体例を挙げて説明する。
窒素雰囲気下、金属テルルを溶媒THFに懸濁させて氷浴で冷却する。そこへアルキルリチウムエーテル溶液をゆっくり添加する。反応液は黒褐色から緑黄色の均一溶液に変化する。滴下終了後、氷浴をはずして室温で攪拌し、再び氷浴で冷却して、式(2)のTHF溶液をゆっくり加える。添加終了後、氷浴をはずして、室温で1−24時間攪拌する。合成された式(1)の化合物は、窒素雰囲気下、水洗精製したあと脱水、減圧乾燥を経て回収される。
本発明で使用するビニルモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸セカンダリーブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル。アクリル酸グリシジル、アクリル酸アルコキシアルキル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸ポリアルキレングリコール、アクリル酸ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、アクリル酸ジアルキルアミノアルキル、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン等のアクリル酸エステル。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル。メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アルコキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ポリアルキレングリコール、メタクリル酸ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン等のメタクリル酸エステルが挙げられる。
なお、アクリル酸エステルをアクリレートと、メタクリル酸エステルをメタクリレートということもある。
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和モノマー、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸のモノエステルおよびジエステル、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミン含有不飽和モノマー、N−2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−メタクリロイルアミノエチル−N,N,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有不飽和モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンp−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等の芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール等のヘテロ環含有不飽和モノマー、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のカルボニル基含有不飽和モノマー、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルモノマー、(メタ)アリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー、塩化ビニル等を挙げることができる。
この中でも好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、3級アミン含有不飽和モノマー、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、カルボニル基含有不飽和モノマー、アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドが良い。特に好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、カルボニル基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系モノマーが良い。
好ましい(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートともいう)が挙げられる。特に好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルである。好ましい3級アミン含有不飽和モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
好ましいスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、p−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。特に好ましくは、スチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレンが良い。
尚、上記の「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の総称である。また、多官能のビニルモノマーを使用してもよい。例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートやジビニルベンゼンが挙げられる。
本発明は、式(1)で表されるテルル含有化合物からなるビングラジカル重合開始剤を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングラジカルポリマーの製造方法、及びそれより得られるリビングラジカルポリマーを含む。式(1)で表されるテルル含有化合物は1種を使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(1)のR1 で示される基は炭素数1〜18である2価の炭化水素基である。詳しくは炭素数1〜18(C1 〜C18 )のアルキレン基(環状アルキレン基またはアリーレン基を含んでもよい)またはフェニレン基であり、具体的には次の通りである。
1 〜C18 のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、、n−ラウリレン基、n−ステアリレン基等の炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基を挙げることができる。好ましいアルキレン基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、より好ましくはメチレン基又はエチレン基が良い。また、キシリレン基もR1 として好ましい基である。
式(1)のR2 で示される基は、炭素数1〜18(C1 〜C18 )のアルキル基(環状アルキル基をふくんでもよい)またはフェニル基であり、具体的には次の通りである。
1 〜C18 のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、、n−ラウリル基、、n−ステアリル基等の炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基が良い。
3 で示される基は、水素原子、炭素数1〜2(C1 〜C2 )のアルキル基である。R4 で示される基は1価の有機基であり、フェニル基、エステル基を含む1価の有機基、アミド基を含む1価の有機基、イミド基を含む1価の有機基、ニトリル基、水素原子または炭素数1〜18のアルキル基(環状アルキル基を含んでもよい)をあげることができる。特にフェニル基、エステル基を含む1価の有機基、水素原子が好ましい。
本発明のリビングラジカルポリマーの製造方法について、詳細に説明する。
不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと式(1)で示されるリビングラジカル重合開始剤とラジカル重合開始剤を混合する。次に、上記混合物を撹拌しながら適切な温度で重合する。反応温度、反応時間は、得られるリビングラジカルポリマーの分子量或いは分子量分布やモノマー等により適宜選択されればよいが、通常、反応温度は30〜180℃、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜120℃、最も好ましくは60℃から100℃がよい。反応温度が30℃より低いと反応時間がかかりすぎ、生産効率が悪くなる。また、開始反応が遅いことから分子量分布が広くなる。反応温度が180℃より高いと重合が制御できなくなり、分子量分布が広くなったり、2分子停止反応や連鎖移動反応や切断反応が起こり、末端が失活したポリマーを多く生成しリビング重合性を失う。反応時間は0.5〜100時間撹拌するのが良い。より好ましくは1〜50時間、さらに好ましくは2〜20時間がよい。反応時間が0.5時間より短いと、反応が完結せず分子量をコントロールできない。また、重合時間が100時間より長いと2分子停止反応や連鎖移動反応等の停止反応が起こり、生長末端のリビング重合性が失われる。重合時の圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。
反応終了後、常法により使用溶媒や残存モノマーを減圧下除去して目的ポリマーを取り出したり、目的ポリマー不溶溶媒を使用して再沈澱処理により目的物を単離する。また、残存モノマーを重合反応で消費し、そのまま製品として使用することもできる。反応処理については、目的物に支障がなければどのような処理方法でも行う事が出来る。上記重合は、無溶媒でも行うが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒を使用しても構わない。使用できる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン、アルコール類等が挙げられる。また、水性溶媒も使用でき、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。また、上記溶媒を複数混合してもよい。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、例えば、ビニルモノマー100質量部に対して、溶媒を1〜1000質量部、好ましくは、5〜200質量部、特に好ましくは10〜100質量部がよい。溶媒量が多いと溶媒への連鎖移動反応や2分子停止反応がおこり生長末端の活性が失われる。溶媒を使用しなくても反応自体に問題はないが、粘度が高すぎて攪拌できなくなる等の問題が生じる。
上述の不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。ビングラジカル重合開始剤は酸素で失活するので系内は十分に不活性ガスで置換されるのがよい。その方法は十分に原料および重合反応器内が不活性ガスで置換される方法であればなんでもよい。例えば、バブリング法や減圧-置換の繰り返しなどがあげられる。
ビニルモノマーと式(1)で示されるビングラジカル重合開始剤の使用量としては、得られるリビングラジカルポリマーの分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、式(1)で示されるビングラジカル重合開始剤1molに対して、ビニルモノマーを5〜10,000mol、好ましくは30〜5,000molとするのが良い。より好ましくは50〜500がよい。10000molより多いと2分子停止反応が生じリビング末端が失活する。5molより少ないと分子量分布が広がる欠点がある。
上記リビング重合では、式(1)に示す構造式で表されるテルル含有化合物からなるビングラジカル重合開始剤以外のラジカル重合開始剤を併用するのが好ましいが、使用しなくてもい。使用しない場合は反応温度を高く設定する必要があり、反応時間も長くなる。ラジカル重合開始剤は、一般のラジカル発生剤であればなんでもいが、炭素ラジカルを発生させるものが好ましい。酸素ラジカルは活性末端を失活させる。具体的にはアゾ系の開始剤が好ましい。例えば2,2−アゾビス(イソバレロニトリル)(AIVN)、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
これらのアゾ開始剤は反応温度や反応溶媒に応じて適宜選択するのが好ましい。反応温度が低ければ、低温分解のアゾ開始剤、反応温度が高温であれば高温分解型のアゾ開始剤が好ましい。また重合系が有機溶媒であれば油溶性アゾ開始剤、水系であれば水溶性開始剤を選択するのがよいがこの限りではない。
本発明のリビングラジカルポリマーの製造プロセスは、安全にポリマーを製造できればどんなプロセスでもよく、バッチプロセス(回分式)でも連続プロセスでもどちらでもよい。バッチプロセスでは反応速度が速い場合は温度を制御しやすくするためにモノマーをフィードするセミバッチプロセスがより好ましい。連続式では管式、塔式、連続攪拌槽式(CSTR)およびそれらを組み合わせたものでもよい。好ましいのは管式、塔式が分子量分布、組成分布を狭くでき好ましい。
重合するビニルモノマーは複数使用することができる。例えば、2種以上のビニルモノマーを同時に反応させるとランダム共重合体を得ることができる。該ランダム共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの比率(モル比)通りのポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを同時に反応させランダム共重合体を得るとほぼ原料比(モル比)通りのものを得ることができる。また、2種のビニルモノマーを順次反応させるとブロック共重合体を得ることができる。該ブロック共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの順番によるポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを順番に反応させブロック共重合体を得ると、反応させる順番によりB−A−Bのものも、A−B−Aのものを得ることができる。特許文献6にある単官能開始剤ではトリブロック以上のブロック共重合体を得るためには、ビニルモノマーAを反応させ、反応を完結又はモノマー除去を行い、次にビニルモノマーBを反応させ、反応を完結又はモノマー除去を行い、さらにビニルモノマーAを順番に反応させる必要がある。この方法では、工程が多くかつ長くなり、同分子量のトリブロック共重合を得るためには、本発明の多官能リビング重合開始剤の2倍以上の反応時間を要し、2分子停止反応等の副反応を起こし分子量分布は広くなる。また、例えばモノマーAがリビング性が乏しいものの場合、単官能リビング重合開始剤の場合、A−B−A,B−A−Bのトリブロック共重合体の合成は難しい。一方、多官能リビング重合開始剤の場合、A−B−Aのトリブロック共重合体の合成は可能である。式(1)の2官能開始剤ではトリブロック共重合体をはじめとする直鎖の(2(n−1)+1)ブロック共重合体を得ることが出来る。
請求項6などに記載されている第1工程、第2工程、・・・、第n工程において重合に供されるビニルモノマーは、それぞれ1種であっても2種以上であってもよい。
本発明の多官能リビング重合開始剤をもちいれば、末端官能基を有する末端反応性ポリマーを合成できる。特許文献6の単官能リビング重合開始剤では、片末端にしか反応性基を導入できず、反対側の末端には官能基が導入されない。反応させても一方のみ反応するだけで架橋構造はとれない。式(1)の2官能リビング開始剤を用いれば両末端に反応性基を持ったテレケリックポリマーを合成することが出来、架橋、硬化させて使用した場合、高強度で高伸びの靭性の高い架橋を得ることが出来る。また、ブロック共重合体の末端に反応性基を入れることも出来る。
反応性基の導入方法は、様々な方法があり何でもよい。例えば。重合後、アルキルリチウムで末端をアニオン化した後、二酸化炭素を反応させると末端にカルボン酸を導入できる。また、2酸化炭素の代わりにエポキシ基、グリシジル基を反応させ、水でクエンチするとOH基が導入できる。また、Te末端に酸素を反応させるとOH基が導入される。
導入する反応性基としては、COOH基、OH基、アミノ基、イミン基、アミン期、グリシジル基、オキセタン基、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシアルキルシリル基、モノアルコキシジアルキルシリル基、イソシアネート基、オキサゾリン基、不飽和結合基等がある。
本発明のリビングラジカル重合開始剤は、優れた分子量制御及び分子量分布制御を非常に温和な条件下で行うことができる。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量は、反応時間、リビングラジカル重合開始剤の量、反応させるビニルモノマー量により調整可能であるが、数平均分子量500〜1,000,000のリビングラジカルポリマーを得ることができる。特に数平均分子量1,000〜500,000のリビングラジカルポリマー、更には数平均分子量2,000〜50,000のリビングラジカルポリマーを得るのに好適である。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量分布(PD=Mw/Mn)は、1.05〜2.0の間で制御される。更に、分子量分布1.05〜1.80、更には1.05〜1.50、更には1.05〜1.30より狭いリビングラジカルポリマーを得ることができる。
特開2006−299278に開示されているように、モノマーの種類、条件によってはリビング制御できない場合がある。式(4)で表される化合物を併用するとリビング重合性は増大する。しかし、十分にリビング重合性可能なモノマーのとっては重合速度を極端に遅くする欠点も有する。本多官能開始剤を用いたリビング重合にも式(4)の化合物を併用してもよい。その際に、例えば、併用したほうがよいモノマーとしては(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。一方、スチレンの場合重合速度を遅くする傾向がある。

(R’Te) 式(4)
例えば、メタクリレート−アクリレート−メタクリレートのトリブロック共重合体を合成する場合、メタクリレートの重合時に式(4)の化合物を併用すると、単官能リビング重合開始剤では、アクリレート重合時に多大な時間を要する。しかし、本発明の式(1)の化合物を用いれば、1段目でアクリレート、2段目で式(4)存在下でメタクリレートを反応させれば、反応時間は短くトリブロックポリマーを合成できる。
本発明で使用する式(4)で表される化合物は、次の通りである。
好ましい式(4)で示される化合物としては、R’がC〜Cのアルキル基、フェニル基が良い。式(4)で示される化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルテルリド、ジシクロブチルテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが良い。特に好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリドが良い。
本発明で示される式(1)の化合物のRはエステル基やエーテル基などの極性基を含まず、炭素数1〜18のアルキル基(環状アルキル基を含んでもよい)またはフェニル基からなるので、耐加水分解性、耐熱性、耐薬品性に富む。顔料分散剤、接着剤、シーリング材、コーティング剤、高分子分散剤、粘着剤で優れた耐候性、耐久性を示す。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例及び合成例は以下の方法で行った。
合成例1:1,4ジフェニルブタンの合成
滴下漏斗、リービッヒ冷却管、温度計、メカニカルスターラーを備えた1L4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、ヨウ化銅(3.81g,20mmol)、1,4−ジブロモブタン(24ml,200mmol)を無水テトラヒドロフラン(THF,500ml)に加えて氷浴で0℃に冷却した。この懸濁液に3Mフェニルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液(アルドリッチ社製,167ml,500mmol)を10℃以下を保ちながら2時間かけて滴下した。滴下終了後氷浴をはずし、室温で1終夜攪拌し、さらに3時間加熱還流した。反応液に蒸留水(10ml)を加えて反応を停止し、溶媒を減圧留去した。濃縮物はジエチルエーテル(500ml)に溶解し、1N塩酸(3×300ml)、1N水酸化ナトリウム(2×500ml)、蒸留水(300ml)、飽和食塩水(500ml)の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過、溶媒を減圧留去した後、ヘキサンより再結晶して、1,4−ジフェニルブタンを29.4g得た(収率70%)。
合成例2:1,4−ジフェニル−1,4−ジブロモブタンの合成
ジムロート冷却管、メカニカルスターラーを備えた500ml4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、1,4−ジブロモブタン(10.52g,50mmol)を四塩化炭素(120ml)に懸濁させ、N−ブロモスクシミド(19.58g,110mmol)とベンゾイルパーオキシド(日本油脂製ナイパーBW,1.0g,4mmol)を加えて、4時間加熱還流した。反応液はカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム)にて精製した後、ヘキサン/THF=10/1(v/v)より再結晶して、1,4−ジブロモ−1,4−ジフェニルブタンを6.4g得た(収率35%)。
合成例3:1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタン(式(5))の合成
窒素雰囲気下、マグネチックスターラー、100ml滴下漏斗を備えた200mlの4口フラスコに金属テルル(2.86g,22.5mmol)にTHF(25ml)を加えて懸濁させて、氷浴で冷却した。滴下漏斗からメチルリチウムエーテル溶液(1.09M,22.9ml,25mmol)を60分かけて滴下した。反応液は黒褐色から緑黄色の均一溶液に変化した。滴下終了後、氷浴をはずして、室温で30分攪拌した。再び氷浴で冷却して、滴下漏斗から1,4−ジフェニル−1,4−ジブロモブタン(4.14g,11.25mmol)のTHF(15ml)溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴をはずして、室温で3時間攪拌した。
この反応溶液を水洗、ろ過し、溶媒を減圧留去しオレンジ色の固体の1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタンを得た。該化合物は式(5)で表される構造を有する。式(5)においてMeはメチル基を意味し、Phはフェニル基を意味する。
Figure 0005083556

上記によって得られた1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタンについて、重水素化クロロホルムを溶媒としてH−NMR測定した。チャートを図1に示す。
図1において、δ(ppm)が7.34−7.06に式(5)に存在する2箇所のPh基のH10個がmultiplet(以下mと略す)として、4.46−4.25に2箇所の3級CH基のH2個がmとして、2.26−1.94に2箇所のCHのH4個がmとして、1.66に2箇所のTe−CHのメチル基のH6個がsinglet(以下sと略す)として観察され、目的物の構造であることが確認された。
合成例4:ジメチルテラニルキシレン(式(6))の合成
窒素雰囲気下、マグネチックスターラー、100ml滴下漏斗を備えた300mlの4口フラスコに金属テルル(Aldrich Tellrium Powder −30mesh 99.997%) 5.72gにTHF(和光純薬 脱水グレード)を加えて懸濁させて、氷浴で冷却した。滴下漏斗からメチルリチウムエーテル溶液(関東化学 1.09M) 45.9mlを30分かけて滴下した。反応液は黒褐色から緑黄色の均一溶液に変化した。滴下終了後、氷浴をはずして、室温で30分攪拌した。再び氷浴で冷却して、滴下漏斗からジブロモキシレン 8.73gを含むTHF溶液 5mlを30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴をはずして、室温で3時間攪拌した。この反応溶液を水洗、ろ過し、溶媒を減圧留去しジメチルテラニルキシレンを得た。
Figure 0005083556
上記によって得られたジメチルテラニルキシレンについて、重水素化クロロホルムを溶媒としてH−NMR測定した。チャートを図2に示す。
図2において、δ(ppm)が7.12に式(6)に存在するベンゼン環のH4個がsとして、3.95に2箇所のCH基のH4個がsとして、1.83に2箇所のTe−CHのメチル基のH6個がsとして観察され、目的物の構造であることが確認された
実施例1
50mlの2つ口フラスコにトリフルオロメチルベンゼン8.0g、メタクリル酸メチル(メチルアクリレート)10.0g、アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)0.17gをとり混合し、アルゴンガス雰囲気にする。合成例3で製造した1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタン0.20gを2gのトリフルオロメチルベンゼンでアルゴンガス雰囲気下で溶解し、シリンジで添加する。オイルバスに浸し、反応液温が60℃になるようにバス温度を調整し5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフ(GC)で残存するメチルアクリレートを測定し反応率を計算した。反応率は98.9%であった。ついでポリマーをヘキサンで沈殿精製し乾燥し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で分子量を測定した。理論Mn24800に対し、Mw=22600、Mn=19100、Mw/Mn=1.18と分子量分布の狭い2官能リビングポリマーが得られた。
実施例2
50mlの2つ口フラスコにテトラヒドロフラン(THF)9.4g、メタクリル酸2−エチルヘキシル(2エチルヘキシルアクリレート)(HA)4.2g、アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)0.15gをとり混合し、アルゴンガス雰囲気にする。合成例3で製造した1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタン0.20gを2gのTHFでアルゴンガス雰囲気下で溶解し、シリンジで添加する。オイルバスに浸し、反応液温が60℃になるようにバス温度を調整し4時間反応させた。少量をサンプリングし、GCで残存する2エチルヘキシルアクリレートを測定し反応率を計算した。反応率は95.0%であった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で分子量を測定した。理論Mn10000に対し、Mw=9600、Mn=7700、Mw/Mn=1.25と分子量分布の狭い2官能リビングポリマーが得られた。
HAを重合した反応液にひきつづいてメチルアクリレート(MA)2.2gをアルゴンガスで脱気・置換後、シリンジで添加し、60℃のオイルバスに浸し4時間反応させた。反応終了−冷却後、GCで残存するメチルアクリレートを測定し反応率を計算した。MAの反応率は97.0%であった。ついでポリマーをゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で分子量を測定した。理論Mn15800に対し、Mw=14500、Mn=11500、Mw/Mn=1.26と分子量分布の狭いMA−HA−MAのトリブロックリビングポリマーが得られた。
実施例3
50mlの2つ口フラスコにトリフルオロメチルベンゼン12.0g、アクリル酸n−ブチル(ブチルアクリレート)12.0g、アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)0.20gをとり混合し、アルゴンガス雰囲気にする。別途、合成例4で製造したジメチルテラニルキシレン0.20gを1.8gの有機合成用テトラヒドロフラン(THF)でアルゴンガス雰囲気下、溶解し、シリンジで先の50mlの2つ口フラスコに添加した。
フラスコをオイルバスに浸し、反応液温が60℃になるようにバス温度を調整し6.5時間反応させた。反応終了冷却後、少量のサンプリング反応液の残存ブチルアクリレート量をGCで測定し反応率を求めた。反応率は95.8%であった。GPCによる分子量はMw=18300、Mn=23300、Mw/Mn=1.22であった。理論Mnは22800とほぼ一致し2官能性リビングポリマーであることを示唆した。
つづいて、十分にアルゴンガスで置換しておいたメチルアクリレートを6.0gをシリンジでフラスコヘ添加。60℃で6時間反応させた。反応終了後、GCで残存するメチルアクリレートを測定し反応率を計算した。反応率は95.0%であった。ついでGPCで分子量を測定した。理論Mn35100に対し、Mw=39000、Mn=32500、Mw/Mn=1.20と分子量分布の狭いメチルアクリレート/ブチルアクリレート/メチルアクリレートのトリブロックリビングポリマーが得られた。
本発明によれば、温和な条件下で、精密な分子量及び分子量分布制御を可能とするリビングラジカルポリマーの製造方法を提供する。また、本発明の重合方法により得られるリビングラジカルポリマーは、トリブロックポリマーをはじめとするマルチブロックポリマー、末端基を他の官能基へ変換することによるテレケリックポリマーをはじめとする末端反応性ポリマーの製造が容易であり、さらに、マクロモノマーの合成、架橋点としての利用、相容化剤、ブロックポリマーの原料等として用いることができる。また、2つのリビング官能基をつなぐ部分に官能基による接合部がなく、耐加水分解性、耐薬品性、耐候性、耐久性の高いリビングラジカルポリマーを提供できる。
1,4−ジフェニル−1,4−ジメチルテラニルブタン(式(5))のH−NMRチャートである。 ジメチルテラニルキシレン(式(6))ののH−NMRチャートである。

Claims (9)

  1. 下記式(1)に示す構造式で表されるテルル含有化合物からなるビングラジカル重合開始剤(a)。
    Figure 0005083556
    (式(1)において、R1 は炭素数1〜18である2価の炭化水素基を意味し、R2 は炭素数1〜18のアルキル基またはフェニル基を意味し、R3 は水素原子または炭素数1〜2のアルキル基を意味し、R4 はフェニル基、エステル基を含む1価の有機基、アミド基を含む1価の有機基、イミド基を含む1価の有機基、ニトリル基、水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を意味し、Teはテルル原子を意味する。)
  2. 請求項1に記載したビングラジカル重合開始剤(a)を必須に使用してビニルモノマーを重合させることを特徴とするビニル重合体の製造方法。
  3. 請求項1に記載したビングラジカル重合開始剤(a)、またはビングラジカル重合開始剤(a)とその他のラジカル重合開始剤(b)を併用してビニルモノマーを重合させる、請求項2に記載のビニル重合体の製造方法。
  4. その他のラジカル重合開始剤(b)がジテルリドである請求項3に記載のビニル重合体の製造方法。
  5. ビニル重合体がブロック重合体である請求項2〜4のいずれかに記載のビニル重合体の製造方法。
  6. 請求項5に記載したブロック重合体の製造方法であって、重合用反応槽に、請求項1に記載したビングラジカル重合開始剤(a)またはビングラジカル重合開始剤(a)とその他のラジカル重合開始剤(b)の併用、第1のビニルモノマーを仕込み第1のビニルモノマーを重合させる第1工程、および第(n−1)工程の後に第nのビニルモノマーを仕込み第nのビニルモノマーを重合させる第n工程を備える(2(n−1)+1)ブロック共重合体の製造方法(ただし、nは2以上の整数であり、第2工程から第n工程の間には順に第3工程、…、第(n−1)工程が存在する。)
  7. 請求項1に記載したビングラジカル重合開始剤(a)を使用してビニルモノマーを重合させる請求項2〜6のいずれかに記載された製造方法でビニル重合体を得た後に、該製造方法で生成した重合体の末端に有するリビング重合活性基に変性剤を反応させて上記重合体の末端に反応性基を導入する工程を備える、末端に反応性基を有するビニル重合体の製造方法。
  8. 反応性基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシアルキルシリル基、アルコキシジアルキルシリル基、グリシジル基またはイソシアネート基である請求項7に記載の末端に反応性基を有するビニル重合体の製造方法。
  9. ビニルモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマー、アルコキシシリル基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミドまたは(メタ)アクリルジアルキルアミドである、請求項2〜8のいずれかに記載のビニル重合体の製造方法。
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