JP6748043B2 - セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙 - Google Patents

セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙 Download PDF

Info

Publication number
JP6748043B2
JP6748043B2 JP2017172774A JP2017172774A JP6748043B2 JP 6748043 B2 JP6748043 B2 JP 6748043B2 JP 2017172774 A JP2017172774 A JP 2017172774A JP 2017172774 A JP2017172774 A JP 2017172774A JP 6748043 B2 JP6748043 B2 JP 6748043B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
freeness
cellulose nanofibers
mass
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017172774A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019048924A (ja
Inventor
篤 田村
篤 田村
彰太 福島
彰太 福島
渓詩 谷藤
渓詩 谷藤
光次 田中
光次 田中
純司 根本
純司 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokuetsu Corp
Original Assignee
Hokuetsu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokuetsu Corp filed Critical Hokuetsu Corp
Priority to JP2017172774A priority Critical patent/JP6748043B2/ja
Publication of JP2019048924A publication Critical patent/JP2019048924A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6748043B2 publication Critical patent/JP6748043B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

本開示は、パルプ繊維を主たる成分とする繊維原料などから効率よく、また異物の混入が少ないセルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙に関する。
セルロースナノファイバーの製造方法として化学的解繊と機械的解繊に大別できる。化学的解繊の製法としてはTEMPO酸化法やリン酸エステル化法、酵素加水分解法などが提案されている。一方、機械的解繊の製法としてはグラインダー方式、ホモジナイザー方式、水中対向衝突方式などが提案されている。化学的解繊は繊維を解しやすくは出来るが前処理の位置づけであり、その後、機械的解繊を行うことが一般的である。化学的解繊処理は時間を要するだけでなく薬品コストが掛かり、また洗浄などによる脱薬品工程などが必要となるため、結果として歩留りが低くなる傾向にある。更には使用薬品によっては安全性の確保が課題となる。
繊維原料をセルロースミクロフィブリル化する方法としては、砥粒板に使用する砥粒を規定し、まず、5番以上60番未満の砥粒を使用した砥粒板で処理し、その後60番以上150番以下の砥粒を使用した砥粒板によって処理する法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
改質微細フィブリル化セルロースを得る製造方法として過ヨウ素酸または過ヨウ素酸塩によって化学的変性を施す、または叩解処理を施したパルプを16番〜120番の砥粒を使用した砥粒板により微細化する方法が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
超微細セルロース繊維の製造方法としてディスクリファイナーで10回以上処理をする、更には30〜90回処理する方法が提案されている。(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2007−100246号公報 特開2002−194691号公報 WO2004/9902号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では必ず砥粒の異なる砥粒板で処理しなければならないため、処理の途中で砥粒板を交換する必要がある。80番以上の砥石を多く配合すると砥石と砥石が接する面が高温となり、その熱が各所に伝熱し、処理しているセルロースナノファイバーが乾燥しフィルムとなり異物となり混入する弊害も発生する。
また、特許文献2に記載の方法では、薬品処理工程若しくは叩解工程が必要であり、更には高圧ホモジナイザーでの処理をも施す提案であり、装置自体が重装備となり、セルロースナノファイバーを製造するにはコスト的にも現実的では無い。
さらに、特許文献3に記載の方法では、実施例の図2に示される濾水度とDDRパス回数とのグラフでは100cc前後までのデータしかなく、処理回数を増やした場合の濾水度が不明であるが、図3、図4にDDRパス回数と数平均繊維長の推移を見るとDDRパス回数10回以上としても平衡状態となっており、濾水度も平衡となることが推測できる。また、LBKP1kg当りの電力原単位は、実施例1では最終30回パスで2.4kwh/kg、実施例2では最終80回パスで2.2kwh/kgであり、かつ提示するグラフでも各最終パス段階では数平均繊維長も完全に平衡に達しており、これ以上電力を使用しDDR処理をしても全く無駄であることを示している。なお、後述する本実施形態にある必要な電力量には全く届いていない。またDDR処理では、セルロースナノファィバーとしては極めて粗大なレベルであり、実用に即さないことを意味する。
本開示は、上記課題を解決するものであり、パルプ繊維を主たる成分とする繊維原料などから、効率よく、また異物の混入が少ないセルロースナノファイバーを製造する方法を提供する。
本発明者等は、鋭意検討した結果、セルロースナノファイバーを石臼式摩砕機を用いて所定の条件にて機械的な解繊をすることで、上記の諸目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るセルロースナノファイバーの製造方法は、パルプ繊維を石臼式摩砕機によって機械的な解繊によるセルロースナノファイバーの製造方法であって、1)前記石臼式摩砕機に使用する砥石の砥粒が「JISR6001:1998研削といし用研磨材の粒度」に規定するF14以上F80以下の砥粒であり、2)前記石臼式摩砕機に使用する砥石板を一種類で処理し、3)前記石臼式摩砕機によってパルプ繊維1kg当り5kwh以上100wh以下の電力量で前記パルプ繊維を摩砕する、ことを特徴とする。
本発明に係るセルロースナノファイバーの製造方法では、石臼式摩砕法による解繊をする前の前記パルプ繊維は、化学的解繊工程の前処理がなされておらず、かつ石臼式摩砕法以外の機械的解繊の前処理がなされていないことが好ましい。このことによって無駄な工程が無く効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。
本発明に係るセルロースナノファイバーの製造方法では、石臼式摩砕法による解繊をする前の前記パルプ繊維をパルプスラリーとし、該パルプスラリーの初期濃度を1.5〜5.0質量%としたことが好ましい。フロックの形成を抑制しつつ、効率的に解繊の処理を進めることができる。
本発明に係るセルロースナノファイバーは、機械的解繊セルロースナノファィバーであって、JIS P8121−2:2012パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠し測定したフリーネス値が600cc↑〜900cc↑であり、セルロースナノファイバーがフィルム化した異物の混入量がセルロースナノファィバー全体の固形分に対して0.1質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係るセルロースナノファイバーは、機械的解繊セルロースナノファィバーであって、JIS P8121−2:2012パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠し、ふるい板の代わりに83メッシュ金網を用いて測定したフリーネス値が50cc↑〜880cc↑であり、セルロースナノファイバーがフィルム化した異物の混入量がセルロースナノファィバー全体の固形分に対して0.1質量%以下であることを特徴とする。
本発明に係るセルロースナノファイバーでは、条件1で測定したBET比表面積が70〜250g/mであることが好ましい。
(条件1)固形分1.5質量%〜2.5質量%の範囲に入るようにセルロースナノファイバー水分散液を調製し、該セルロースナノファイバー水分散液にt−ブチルアルコール:蒸留水を、t−ブチルアルコール:蒸留水=3:7の混合溶媒比率となるように各溶媒を加えて1質量%混合溶媒液としたものを凍結乾燥させ、測定用サンプルとして測定を行う。セルロースナノファイバーを紙に内添する若しくは紙表面に塗布すること、平滑性が向上し、また、透気抵抗度が上がりバリア性が向上するという効果を発揮させやすくできる。
本発明に係る紙は、本発明に係るセルロースナノファイバーを含むことを特徴とする。
本開示によれば、パルプ系繊維を主たる成分とする繊維原料などから効率よく、また異物の混入が少ないセルロースナノファイバーを製造することができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態で用いるパルプ繊維とは、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ又はケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプである。これらは、単独で使用するか、又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。さらに、合成繊維を品質に支障がでない範囲において使用してもよい。また、環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプを用いることがより好ましい。特に好ましくは、LBKP、NBKPである。リグニン、ヘミセルロースなどの不純物が少なく解繊に好適である。
本実施形態において、パルプ繊維の処理濃度は、初期段階では1.5質量%〜5.0質量%が好ましい。より好ましくは1.5質量%〜3.5質量%である。5.0質量%を超えるとパルプ繊維同士が絡み合いやすくフロックを形成しやすい。そのためフロックと離水した水とが混在した状態となり、水だけが排出されフロックが砥石板内部に蓄積され、結果として空擦りや原料詰まりとなり処理することができない。1.5質量%未満では負荷が掛からずセルロースナノファィバーを製造することができない。処理が進むに従いパルプスラリー粘度が上昇するため適宜水を追加し最終的には1.5〜2.5質量%程度とすることが好ましい。
石臼式摩砕機に使用する砥石板の砥粒が「JISR6001:1998研削といし用研磨材の粒度」に規定するF14以上F80以下の砥粒を使用し、好ましくはF36以上F80以下である。この範囲の砥粒を使用することによりパルプ繊維の微細化が効率よく進む。F80を超える砥粒を使用した砥石板を使用すると砥石板同士が接する接面温度が高くなり、セルロースナノファイバーの乾燥によって発生するフィルム状異物が発生してしまい、結果としてセルロースナノファイバー完成品への異物混入が発生し、製品としての価値が低くなる。F14未満の砥粒を使用した砥石を使用すると排出時間が異常に速くなり、且つ砥粒も粗いことから全く負荷を掛けることができず微細化が進まない。尚、F14〜F80の砥粒に、本実施形態に支障が無いレベルで別の砥粒を混合することができる。好ましくはF14〜F80の砥粒を砥粒全体の50質量%以上90質量%未満とすることが好ましい。特にF80は本実施形態における最も細かい砥粒であるため、F80よりも細かい砥粒を混合する際は20質量%未満が好ましい。ここで示す砥粒の配合比率は質量比率である。ここで石臼式摩砕機の代表機種としてはスーパーマスコロイダー(増幸産業製)であり、その他にグローミル(グローエンジニアリング製)などが挙げられる。
F80を超える砥石を使用した場合、フィルム状異物が発生してしまい、結果としてセルロースナノファイバー完成品への異物混入が発生するため、やや重装備となるが除塵装置が必要となる。除塵装置としてはパルパーフィニッシャ(国産精工社製)などが好ましく、ホールスクリーンタイプがより好ましく、スクリーンホールの開口経はφ0.5〜1.5mmが好ましい。スリットタイプではフィルムが通過しやすく、かつセルロースナノファィバーの粘度が高いため詰まりが発生しやすい。メッシュタイプの除塵の場合は5〜30メッシュ程度が好ましく、10〜20メッシュがより好ましい。5メッシュ未満では異物が通過しやすく、30メッシュ以上ではセルロースナノファィバーの粘度が高いため詰まりが発生しやすい。本実施形態では、フィルム状異物の混入量はセルロースナノファイバー全体の固形分に対して0.1質量%以下であることが好ましい。
本実施形態では、石臼式摩砕機に使用する砥石板を一種類とする。石臼式摩砕機による解繊の工程において、砥石板を交換せずに行う。砥石板の入れ替え作業が発生しないため、時間的効率が高くなり、セルロースナノファイバーの収率も高くなる。
前記石臼式摩砕機に使用するパルプ繊維は化学的解繊工程の前処理が無く、かつ石臼摩砕法以外の機械的解繊の前処理が無いことが好ましい。このことによって無駄な工程が無く効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。石臼式摩砕機の処理条件を規定することによって、具体的には砥石の種類、砥石板のクリアランス、砥石板の回転数、パルプ繊維に掛ける電力負荷量を規定することによって化学的解繊工程、石臼式摩砕式以外の機械的解繊工程は不要となる。
前記石臼式摩砕機によってパルプ繊維1kg当り5kwh以上100wh以下の電力量を与え微細化することが好ましい。10kwh以上80kwhがより好ましい。石臼式摩砕機による処理回数や処理時間よりも、パルプ繊維へ与える電力量の方が微細化に観点では重要である。5kwh未満では解繊不足であり、100kwhを超えてもそれ以上解繊が進まず、また繊維の短繊維化すなわちアスペクト比が小さくなり品質的にも好ましくない。
本実施形態におけるセルロースナノファイバーの品質評価として「JIS P8121−2:2012 パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法」を用いて測定したフリーネス値(以降、フリーネスということもある。)があり、600cc↑〜900cc↑とすることが好ましい。より好ましくは700cc↑〜890cc↑、更に好ましくは750cc↑〜890cc↑である。解繊前のフリーネス値は600〜800cc程度であるが、パルプ繊維の微細化を進めると0ccとなり、更に微細化を進めるとフリーネスターの網目を通過するようになりフリーネスは再上昇する。ここでのフリーネスは後者の再上昇したフリーネス値である。フリーネスが低下し0ccに向かっている時は「○○cc↓」、更に微細化が進み0ccを通過し上昇している時は「○○cc↑」と表現する(但し、〇〇は数値である)。セルロースナノファイバーを紙に内添する若しくは紙表面に塗布することによって平滑性が向上する、若しくは透気抵抗度が上がりバリア性が向上するなどの特徴があるが、フリーネスが600cc↑未満ではその効果が低く、所望する性能が得られない。水単体のフリーネスは大凡880〜900ccであるため実質微細化の物理的な限界であり、900cc↑が上限となる。
なお、セルロースナノファィバーの品質評価として改良フリーネス値(以降、フリーネスと区別して、改良フリーネスということもある。)を測定してもよい。この方法は「JIS P8121−2:2012」で使用するふるい板の代わりに83メッシュ相当の金網を使用する。ふるい板は0.50mmの穴を表面1cm当たり97個もつものであり、83メッシュ相当の金網と比較して1つの穴の大きさが大きいため解繊が十分でなくても通過してしまい、結果として○○cc↑の値が全体に大きくなり、差異が見いだしにくい面がある。例えば83メッシュで測定した改良フリーネスが0cc〜500cc程度のパルプ繊維であっても、ふるい板を使用するとフリーネスが全て750cc↑以上となってしまう場合がある。なお、83メッシュ金網の目開きは0.180mmである。改良フリーネスについては50cc↑〜880cc↑が好ましく、より好ましくは500cc↑〜880cc↑である。
本実施形態では、フリーネスが600cc↑〜900cc↑の範囲にあるか、または改良フリーネスが50cc↑〜880cc↑の範囲にあることが好ましく、フリーネスが600cc↑〜900cc↑の範囲にあり、かつ改良フリーネスが50cc↑〜880cc↑の範囲にあることがより好ましい。
セルロースナノファイバーの品質評価としてBET比表面積があり、70〜250g/mであり、好ましくは140〜230m/gである。セルロースナノファイバーを紙に内添する若しくは紙表面に塗布することにより平滑性が向上する、若しくは透気抵抗度が上がりバリア性が向上するなどの特徴があるが、BET比表面積が70g/m未満ではその効果が低く、所望する性能が得られない。250g/mを超えるとほぼ平衡状態となり、かつパルプ繊維1kg当り100kwhを超える電力量で摩砕する必要があり、効率面でも不利になる。
石臼式摩砕機に使用する砥石の一方を固定、他方を回転させた場合においてその回転速度を1000rpm以上とすることが好ましい。1500rpm以上がより好ましく、1700rpm以上が更によい。1000rpm未満では所望する品質に到達する時間が非常に掛かるだけでなく、砥石板の接面にパルプ繊維の滞留時間が長くなることと熱によって水分が無い状態となり砥石板が削れる空擦りと呼ばれる現象になり、摩砕を継続出来なくなる。3000rpm以上では排出が早すぎ、解繊が進まないだけなく接面での滞留時間のばらつきが大きくなり、出来上がるセルロースナノファイバー品質もばらつきが大きく、具体的には微細化が進行したものと進行しないものが混在することとなる。よって所望する品質に到達できないため3000rpmが実質上限となる。ここまでは回転数で示したが砥石板の最大半径における周速としては470m/分以上が好ましく、710m/分以上がより好ましく、800m/分以上が更に好ましい。実質の上限は1410m/分となる。砥石を上下両方動かすときは、上記回転数又は上記周速は、相対的な回転数又は相対的な周速を意味する。
ここで石臼式摩砕機とは、互いに対向する砥粒板を備え、少なくとも一方の砥粒板を回転させることによって砥粒板間に供給される被摩砕物が磨砕されるように構成された摩砕機を指すが、砥粒板のクリアランスはパス回数1〜3回目は200μm〜100μmの間で徐々に狭めていくことが好ましい。初期段階ではパルプ繊維が長いためフロックを形成し存在している。そのためフロックと離水した水とが混在した状態となっており、100μm未満に狭めると水だけが排出され、フロックが砥石板内部に蓄積され、結果として空擦りや原料詰まりとなり処理することができない。4回目以降は1回あたり0μmから30μ程度ずつ狭めていくことが好ましい。なお4回目以降は1回あたり0μmを含んでいる理由として同一クリアランスで2回以上繰り返す場合もあるためである。最終的には70μm〜0μmとすることが好ましい。運転前にゼロ点調整後、空転させ徐々に砥石板のクリアランスを狭め音が出始める段階を「軽接」と呼ぶが、上記クリアランス範囲はこの軽接が200μmの時の事例である。軽接が200μmよりも狭ければ全体に狭める設定となり、逆に広ければ全体に広げる設定となる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
実施例又は比較例のセルロースナノファイバーについて次の評価を行った。評価結果を表1に示す。また、評価方法については次に示す。
<BET比表面積>
固形分1.5質量%〜2.5質量%の範囲に入るようにセルロースナノファイバー水分散液を調製し、セルロースナノファイバー水分散液にt−ブチルアルコール:蒸留水=3:7となるように混合溶媒を加え、1%混合溶媒液としたものを凍結乾燥させ、トライスターII3020(島津製作所製)を使用しBET比表面積を測定した。
<フリーネス>
JIS P8121−2:2012パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠し測定した。
<改良フリーネス>
「JIS P8121−2:2012」で使用するふるい板の代わりに83メッシュ相当の金網を使用する。
<フィルム化した異物の混入量>
セルロースナノファイバー中にフィルム化した異物がある場合は、流水下で100メッシュ篩を用いて水洗、分別し、セルロースナノファイバー全体の固形分に対して異物の質量%を求めた。判断は次の通りとした。
0.1%以下:異物の混入について問題なし。
0.1%超:異物の混入について問題あり。
(実施例1)
LBKPのパルプシート(約50%水分)を2%濃度に離解したパルプスラリーをスーパーマスコロイダーMKCA6−5J型(砥石板直径:6インチ、増幸産業社製)を用いて処理を行った。砥粒としてF80を60%配合、F320を40%配合した砥石を使用した。回転数は1800rpm、周速848m/分で一律運転とした。クリアランスは1回目160μm、2回目150μm、3回目140μm、4回目130μm、5回目120μmとして、繰り返し処理した(5回パス)。最終品の電力原単位は9kwh/kg、BET比表面積は130m/g、フリーネス730cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例2)
実施例1の5回目品を用いてクリアランス6回目110μm、7回目100μmとして引き続き処理を行った。最終品の電力原単位は20kwh/kg、BET比表面積は195m/g、フリーネス750cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例3)
実施例2の7回目品を用いてクリアランス8回目90μm、9回目80μmとして引き続き処理を行った。最終品の電力原単位は30kwh/kg、BET比表面積は200m/g、フリーネス780cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例4)
実施例3の9回目品を用いてクリアランス10回目70μm、11回目60μmとして引き続き処理を行った。最終品の電力原単位は50kwh/kg、BET比表面積は205m/g、フリーネス800cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例5)
実施例4の11回目品を用いてクリアランス12回目60μm、13回目60μmとして引き続き処理を行った。最終品の電力原単位は70kwh/kg、BET比表面積は210m/g、フリーネス830cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例6)
実施例5の13回目品を用いてクリアランス14回目50μm、15回目50μmとして引き続き処理を行った。最終品の電力原単位は95kwh/kg、BET比表面積は215m/g、フリーネス860cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例7)
回転数を1000rpm、周速471m/分とした以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は30kwh/kg、BET比表面積は190m/g、フリーネス800cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例8)
回転数を1500rpm、周速707m/分とした以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は20kwh/kg、BET比表面積は175m/g、フリーネス750cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例9)
回転数を2500rpm、周速1178m/分とした以外は実施例6に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は70kwh/kg、BET比表面積は190m/g、フリーネス830cc↑であった。処理時間は実施例6合計の約1/2倍となった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例10)
砥粒としてF46を90%配合、F32とF320を5%ずつ配合した砥石板を使用した以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は6kwh/kg、BET比表面積は110m/g、フリーネス700cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例11)
砥粒としてF46を90%配合、F32とF320を5%ずつ配合した砥石板を使用した以外は実施例6に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は40kwh/kg、BET比表面積は180m/g、フリーネス790cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(実施例12)
砥粒としてF36を100%配合した砥石板を使用した以外は実施例6に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は30kwh/kg、BET比表面積は150m/g、フリーネス750cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(比較例1)
実施例1の処理回数(パス数)を3回とし、各々のクリアランスは1回目160μm、2回目140μm、3回目120μmとした(4回目以降は行わない)以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は3kwh/kg、BET比表面積は50m/g、フリーネス400cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった
(比較例2)
砥粒としてF90を100%配合した砥石板に変更した以外は実施例1に準じて処理を行った。しかし砥石のクリアランスを水だけが通過、パルプが通過せず、砥石内部にパルプが濃縮され、詰まりが発生し、セルロースナノファィバーを製造することができなかった。
(比較例3)
比較例1で処理したパルプスラリーに、砥粒としてF90を100%配合した砥石板を用いて更に処理を行った。回転数は1800rpm、周速848m/分で一律運転とし、クリアランスは1回目160μm、2回目150μm、3回目140μm、として繰り返し処理した(3回パス)。最終品の電力原単位は60kwh/kg、BET比表面積は200m/g、フリーネス820cc↑であった。しかしフィルム状異物の混入が多く製品にならなかった。フィルム化した異物の混入量はセルロースナノファィバー全体の固形分に対して0.34%であった。
(比較例4)
実施例1の回転数を1800rpm、周速848m/分から3000rpm、周速1413m/分とした以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は2kwh/kg、BET比表面積は40m/g、フリーネス300cc↑であった。フィルム状異物の混入はなかった。
(比較例5)
砥粒としてF12を100%配合した砥石板に変更した以外は実施例1に準じて処理を行った。最終品の電力原単位は4kwh/kg、BET比表面積は35m/g、フリーネス200cc↑であった。
表1に結果を示す。改良フリーネスの結果も表1に示した。
Figure 0006748043
表1の結果から以下のことが示されている。実施例1〜12のセルロースナノファイバーは比較的簡単に効率よく製造するために石臼式摩砕機による製造とし、ここに使用する砥石板は1種類としたため入れ替え作業が発生せず、十分に微細化し、フリーネス値は600cc↑以上、より具体的にはフリーネス値を700cc↑〜900cc↑となり、フィルム状の異物の混入もなく製造することができた。
一方、比較例1では処理回数が少ないため必要な電力量に達しておらず、フリーネス値が低く微細化が不十分である。比較例2で当該砥石板1種類の使用ではセルロースナノファイバーを製造することができなかった。比較例3ではF90の砥粒を使用したため下刃を受ける金属製プレートが高温となり、セルロースナノファイバーがフィルム化し脱落、結果として最終製品に当該フィルムが混入し製品として不適となった。比較例4では回転数が高いためパルプ繊維の排出が早く必要な電力原単位に達しておらず、結果として微細化不足となり所望するフリーネス値にならなかった。比較例5では砥粒F12を使用した砥石板を使用したため、負荷が掛からず必要な電力原単位に達しておらず、結果として微細化不足となり所望するフリーネス値にならなかった。
実施例1や実施例10はJISで規定しているフリーネス値と改良フリーネス値は差異が大きい。前者は0.50mm孔のふるい板を使用、後者は代わりに83メッシュ相当(目開き0.18mm)の金網を用いているためセルロースナノファイバーの細かさをより明確に示している。なお、比較例1の改良フリーネスの50↑ccと比較例4及び5の改良フリーネスの100↓ccは、本実施形態での範囲である50cc↑〜880cc↑の下限の50cc↑よりも微細化不足となっている。

Claims (7)

  1. パルプ繊維を石臼式摩砕機によって機械的な解繊によるセルロースナノファイバーの製造方法であって、
    1)前記石臼式摩砕機に使用する砥石の砥粒が「JISR6001:1998研削といし用研磨材の粒度」に規定するF14以上F80以下の砥粒であり、
    2)前記石臼式摩砕機に使用する砥石板を一種類で処理し、
    3)前記石臼式摩砕機によってパルプ繊維1kg当り5kwh以上100wh以下の電力量で前記パルプ繊維を摩砕する、ことを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 石臼式摩砕法による解繊をする前の前記パルプ繊維は、化学的解繊工程の前処理がなされておらず、かつ石臼式摩砕法以外の機械的解繊の前処理がなされていないを特徴とする請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  3. 石臼式摩砕法による解繊をする前の前記パルプ繊維をパルプスラリーとし、該パルプスラリーの初期濃度を1.5〜5.0質量%としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバーの製造方法。
  4. 機械的解繊セルロースナノファィバーであって、JIS P8121−2:2012パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠し測定したフリーネス値が600cc↑〜900cc↑であり、セルロースナノファイバーがフィルム化した異物の混入量がセルロースナノファィバー全体の固形分に対して0.1質量%以下であることを特徴とするセルロースナノファイバー。
  5. 機械的解繊セルロースナノファィバーであって、JIS P8121−2:2012パルプ−ろ水度試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に準拠し、ふるい板の代わりに83メッシュ金網を用いて測定したフリーネス値が50cc↑〜880cc↑であり、セルロースナノファイバーがフィルム化した異物の混入量がセルロースナノファィバー全体の固形分に対して0.1質量%以下であることを特徴とするセルロースナノファイバー。
  6. 条件1で測定したBET比表面積が70〜250g/mであることを特徴とする請求項4又は5に記載のセルロースナノファイバー。
    (条件1)固形分1.5質量%〜2.5質量%の範囲に入るようにセルロースナノファイバー水分散液を調製し、該セルロースナノファイバー水分散液にt−ブチルアルコール:蒸留水を、t−ブチルアルコール:蒸留水=3:7の混合溶媒比率となるように各溶媒を加えて1質量%混合溶媒液としたものを凍結乾燥させ、測定用サンプルとして測定を行う。
  7. 請求項4〜6のいずれか一つに記載のセルロースナノファイバーを含む紙。

JP2017172774A 2017-09-08 2017-09-08 セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙 Active JP6748043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017172774A JP6748043B2 (ja) 2017-09-08 2017-09-08 セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017172774A JP6748043B2 (ja) 2017-09-08 2017-09-08 セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019048924A JP2019048924A (ja) 2019-03-28
JP6748043B2 true JP6748043B2 (ja) 2020-08-26

Family

ID=65905720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017172774A Active JP6748043B2 (ja) 2017-09-08 2017-09-08 セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6748043B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4905178B2 (ja) * 2007-02-27 2012-03-28 コニカミノルタホールディングス株式会社 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、及びそれを用いた偏光板、液晶ディスプレイ
JP4845129B2 (ja) * 2007-03-28 2011-12-28 国立大学法人京都大学 フレキシブル基板およびその製造方法
JP5386866B2 (ja) * 2008-06-30 2014-01-15 国立大学法人京都大学 ナノファイバーシート
JP2010194790A (ja) * 2009-02-24 2010-09-09 Konica Minolta Opto Inc フィルム基板
JP5895834B2 (ja) * 2012-12-26 2016-03-30 王子ホールディングス株式会社 微細セルロース繊維の製造方法
JP2015041600A (ja) * 2013-08-23 2015-03-02 Agcセイミケミカル株式会社 リチウムイオン二次電池用のリチウム含有複合酸化物の製造方法
JP6785081B2 (ja) * 2016-07-15 2020-11-18 大王製紙株式会社 セルロースナノファイバー含有乾燥体及びその製造方法並びにセルロースナノファイバー含有乾燥体分散液の製造方法
JP7378198B2 (ja) * 2017-05-15 2023-11-13 大王製紙株式会社 セルロース微細繊維及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019048924A (ja) 2019-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7187601B2 (ja) ナノフィブリルセルロースゲルを製造する方法
TWI529279B (zh) 用於製造奈米纖維狀纖維素懸浮液之方法及所獲得之懸浮液
FI127682B (en) Process for manufacturing microfibrillated cellulose
JP6283370B2 (ja) 乾燥セルロースフィラメント及び同フィラメントを作る方法
JP5862345B2 (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JP4302794B2 (ja) 微小繊維状セルロース及びその製造方法
JP6783078B2 (ja) セルロースナノファイバーの製造方法及びセルロースナノファイバーの製造装置
JP2012036508A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JP3036354B2 (ja) 微細フィブリル化セルロースの製造方法
US20130000856A1 (en) Method for improving the properties of a paper product and forming an additive component and the corresponding paper product and additive component and use of the additive component
JP2018048235A (ja) セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法
WO2019151040A1 (ja) 撥水撥油剤及びその製造方法、並びに撥水撥油性製品及びその製造方法
JP2007100246A (ja) セルロースミクロフィブリル化の前処理方法
JP6748043B2 (ja) セルロースナノファイバー、その製造方法及びそれを含む紙
JP7194503B2 (ja) セルロースナノファイバーの製造方法
JP2013087132A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JP6280593B2 (ja) セルロースナノファイバーの製造方法
JP5731493B2 (ja) 紙の作製方法
JP5825125B2 (ja) 古紙パルプの製造方法
JPH0610286A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JPH06212587A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JP2012057268A (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
CN200985470Y (zh) 造纸打浆机磨片和精浆机定子转子
JP6482995B2 (ja) 微細化セルロース繊維の製造方法
JP7365796B2 (ja) セルロース繊維の成形体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200728

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200806

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6748043

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250