JPH0610286A - 微細繊維状セルロースの製造方法 - Google Patents
微細繊維状セルロースの製造方法Info
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- JPH0610286A JPH0610286A JP16581892A JP16581892A JPH0610286A JP H0610286 A JPH0610286 A JP H0610286A JP 16581892 A JP16581892 A JP 16581892A JP 16581892 A JP16581892 A JP 16581892A JP H0610286 A JPH0610286 A JP H0610286A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 水保持力が210%以上の微細繊維状セルロ
ースを得ることを目的とする。 【構成】 繊維状セルロースの不活性媒体懸濁液、例え
ば水懸濁液をガラス、アルミナ、ジルコニア等の材質の
ビーズ又はボールを粉砕媒体として用いる振動ミル粉砕
機で湿式粉砕処理することにより水保持力210%以上
の微細繊維状セルロースを効率良く製造する方法であ
る。
ースを得ることを目的とする。 【構成】 繊維状セルロースの不活性媒体懸濁液、例え
ば水懸濁液をガラス、アルミナ、ジルコニア等の材質の
ビーズ又はボールを粉砕媒体として用いる振動ミル粉砕
機で湿式粉砕処理することにより水保持力210%以上
の微細繊維状セルロースを効率良く製造する方法であ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低濃度懸濁液でも高い
粘性を有し、水保持力の高い微細繊維状セルロース繊維
を製造する方法に関するものである。
粘性を有し、水保持力の高い微細繊維状セルロース繊維
を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロース繊維を機械的に粉砕して微小
なセルロース粒子を製造する方法として、回転型ミルや
ジェットミルのような高速衝撃粉砕法、ロールクラッシ
ャー法などが主に使用されている。しかしながら、セル
ロースは有機物で柔らかいため機械的な粉砕処理のみで
は微小なセルロース粒子を得ることが難しく、微小なセ
ルロース粒子を得るためには、化学的処理と機械的粉砕
を組み合わせた方法が一般的に使用されている。
なセルロース粒子を製造する方法として、回転型ミルや
ジェットミルのような高速衝撃粉砕法、ロールクラッシ
ャー法などが主に使用されている。しかしながら、セル
ロースは有機物で柔らかいため機械的な粉砕処理のみで
は微小なセルロース粒子を得ることが難しく、微小なセ
ルロース粒子を得るためには、化学的処理と機械的粉砕
を組み合わせた方法が一般的に使用されている。
【0003】化学的処理と機械的粉砕を組み合わせた方
法としては、パルプを軽度に酸加水分解し、濾過水洗
後、乾燥、粉砕して一部非結晶領域を含むセルロース微
粒子の製造方法、または精製パルプを塩酸または硫酸で
加水分解して結晶領域のみを残して微粉化したものが知
られている(紙パルプ技術タイムス昭和60年8月号5
〜11頁参照)。
法としては、パルプを軽度に酸加水分解し、濾過水洗
後、乾燥、粉砕して一部非結晶領域を含むセルロース微
粒子の製造方法、または精製パルプを塩酸または硫酸で
加水分解して結晶領域のみを残して微粉化したものが知
られている(紙パルプ技術タイムス昭和60年8月号5
〜11頁参照)。
【0004】微小な繊維幅の繊維状セルロースの製造方
法としては、繊維状セルロースの水懸濁液を少なくとも
3000psiの圧力差で小径オリフィスを高速度で通
過させる方法、すなわち高圧均質化装置(高圧ホモジナ
イザー)により繊維状セルロース懸濁液を処理する方法
が知られている(特公昭60−19921号、特公昭6
3−44763号参照)。
法としては、繊維状セルロースの水懸濁液を少なくとも
3000psiの圧力差で小径オリフィスを高速度で通
過させる方法、すなわち高圧均質化装置(高圧ホモジナ
イザー)により繊維状セルロース懸濁液を処理する方法
が知られている(特公昭60−19921号、特公昭6
3−44763号参照)。
【0005】また、紙の紙力強度を強める働きをする微
細繊維化パルプの製造法として、パルプの水懸濁液をサ
ンドミルで軽度に処理する方法が知られている(特開平
4−18186号参照)。
細繊維化パルプの製造法として、パルプの水懸濁液をサ
ンドミルで軽度に処理する方法が知られている(特開平
4−18186号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】本発明が解決しよう
とする問題は、前記高圧均質化装置による方法では繊維
状セルロース懸濁液に高圧をかけて細いオリフィスを通
す必要があるため処理効率が低い、またサンドミル処理
でも試料を何回もサンドミル処理する必要があるため処
理効率が低い問題が有る。本発明は処理効率の改良され
た生産性の高い微細繊維状セルロースの製造方法を提供
することにある。
とする問題は、前記高圧均質化装置による方法では繊維
状セルロース懸濁液に高圧をかけて細いオリフィスを通
す必要があるため処理効率が低い、またサンドミル処理
でも試料を何回もサンドミル処理する必要があるため処
理効率が低い問題が有る。本発明は処理効率の改良され
た生産性の高い微細繊維状セルロースの製造方法を提供
することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明の微細繊維状セ
ルロースは、振動ミル粉砕装置により繊維状セルロース
の懸濁液を湿式粉砕処理することにより、水保持力21
0%以上の微細繊維状セルロースが得られる。
ルロースは、振動ミル粉砕装置により繊維状セルロース
の懸濁液を湿式粉砕処理することにより、水保持力21
0%以上の微細繊維状セルロースが得られる。
【0008】本発明者らは、上記高圧均質化装置による
繊維状セルロースの微小化の作用機構(解繊作用)、特
に剪断作用、切断作用、摩擦作用に注目して検討した結
果、振動ミル粉砕装置の粉砕媒体(ビーズまたはボー
ル)の相互間及び粉砕容器壁面で生じる剪断作用、衝撃
作用により効率的に微細化できる湿式粉砕方法を見い出
した。
繊維状セルロースの微小化の作用機構(解繊作用)、特
に剪断作用、切断作用、摩擦作用に注目して検討した結
果、振動ミル粉砕装置の粉砕媒体(ビーズまたはボー
ル)の相互間及び粉砕容器壁面で生じる剪断作用、衝撃
作用により効率的に微細化できる湿式粉砕方法を見い出
した。
【0009】本発明方法に用いられる振動ミル粉砕装置
は、粉砕容器を振動させることにより、粉砕容器に充填
した粉砕媒体(ビーズまたはボール)を運動させ試料に
剪断力、衝撃力、摩擦力等を与えて粉砕する装置であ
る。本発明に用いられる粉砕機は、振動ミル粉砕装置で
あれば円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル等どの装
置でも使用可能である。
は、粉砕容器を振動させることにより、粉砕容器に充填
した粉砕媒体(ビーズまたはボール)を運動させ試料に
剪断力、衝撃力、摩擦力等を与えて粉砕する装置であ
る。本発明に用いられる粉砕機は、振動ミル粉砕装置で
あれば円形振動ミル、旋動振動ミル、遠心ミル等どの装
置でも使用可能である。
【0010】粉砕媒体(ビーズまたはボール)の材質と
しては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、ス
チール、チタニア等が使用可能である。また粉砕媒体の
粒径は、平均粒径が0.5mmの微小のものから、平均
粒径30mmの大粒径のものが使用可能であるが、粉砕
機の性能により制限を受け、好ましくは1mmから8m
mの範囲である。これらメディアの種類、平均粒径、粉
砕装置の回転数および処理濃度等の条件は、粉砕試料で
ある繊維状セルロース原料及び要求される微細繊維状セ
ルロースの物性により適宜選択することが可能である。
しては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、ス
チール、チタニア等が使用可能である。また粉砕媒体の
粒径は、平均粒径が0.5mmの微小のものから、平均
粒径30mmの大粒径のものが使用可能であるが、粉砕
機の性能により制限を受け、好ましくは1mmから8m
mの範囲である。これらメディアの種類、平均粒径、粉
砕装置の回転数および処理濃度等の条件は、粉砕試料で
ある繊維状セルロース原料及び要求される微細繊維状セ
ルロースの物性により適宜選択することが可能である。
【0011】粉砕容器の中に入れる粉砕媒体の量は、粉
砕容器容積の20%〜90%である。充填率が低いと、
試料が十分粉砕されずに粉砕容器から出てくるいわゆる
ショートパスを起こす。また充填率を高めると一般に処
理効率は良好であるが、高めすぎると試料が通り難くな
る問題が生じるため50%〜80%が適当である。
砕容器容積の20%〜90%である。充填率が低いと、
試料が十分粉砕されずに粉砕容器から出てくるいわゆる
ショートパスを起こす。また充填率を高めると一般に処
理効率は良好であるが、高めすぎると試料が通り難くな
る問題が生じるため50%〜80%が適当である。
【0012】粉砕処理時における繊維状セルロース懸濁
液の濃度は、繊維状セルロース試料の性質により異なる
が、0.1%〜10%程度の範囲で調節することが可能
である。これら処理濃度、粉砕媒体の種類、平均粒径及
び粉砕機の振幅幅、回転数等の処理条件は、要求される
微細繊維状セルロースの物性により適宜選択することが
可能である。また、処理方法としては、バツチ式あるい
は連続式の方法でも良いし、数台の装置を直列に接続し
て、第一段で粗く処理し、後の段で微細に処理すること
も可能である。
液の濃度は、繊維状セルロース試料の性質により異なる
が、0.1%〜10%程度の範囲で調節することが可能
である。これら処理濃度、粉砕媒体の種類、平均粒径及
び粉砕機の振幅幅、回転数等の処理条件は、要求される
微細繊維状セルロースの物性により適宜選択することが
可能である。また、処理方法としては、バツチ式あるい
は連続式の方法でも良いし、数台の装置を直列に接続し
て、第一段で粗く処理し、後の段で微細に処理すること
も可能である。
【0013】また、本発明の振動ミル粉砕装置に供する
繊維状セルロースとしては、針葉樹、広葉樹の漂白また
は未漂白化学パルプ、機械パルプ、溶解パルプ、古紙パ
ルプ、また麻等非木質系パルプ、更にはコットン等繊維
状セルロースであれば何れでも使用できる。
繊維状セルロースとしては、針葉樹、広葉樹の漂白また
は未漂白化学パルプ、機械パルプ、溶解パルプ、古紙パ
ルプ、また麻等非木質系パルプ、更にはコットン等繊維
状セルロースであれば何れでも使用できる。
【0014】処理する懸濁液の媒体としては、水が基本
であるが、処理工程で化学的に不活性で、且つセルロー
スの担体となり得るような流動性を有する低級アルコー
ル、エチレングリコールあるいはグリセリンの如き有機
溶媒または水との混合溶媒が使用できる。
であるが、処理工程で化学的に不活性で、且つセルロー
スの担体となり得るような流動性を有する低級アルコー
ル、エチレングリコールあるいはグリセリンの如き有機
溶媒または水との混合溶媒が使用できる。
【0015】繊維状セルロースとして広葉樹漂白クラフ
トパルプを使用した例で、繊維形態の変化を示す。未処
理パルプと本発明による微細繊維状セルロース生成物を
光学顕微鏡及び電子顕微鏡観察した。未処理パルプの繊
維幅は20〜30μ、長さ加重平均繊維長は約0.8m
m、形は平滑で偏平な円筒形をなし、さらによじれたり
屈曲したりしている。本発明による振動ミル粉砕装置に
て湿式粉砕処理したパルプは、処理初期では繊維表面に
ヒゲ状の細い繊維の毛羽立ちが起こり、その後いわゆる
ルーメンを持った木材繊維の構造が破壊され、繊維幅2
〜4μmの繊維同士或いは繊維と未粉砕部分が相互に数
本から数十本、一部で結合ないし絡み合った状態にな
る。更に湿式粉砕処理を行うと繊維幅は1μm以下、更
には0.7μm以下の微細な繊維状セルロースになる。
トパルプを使用した例で、繊維形態の変化を示す。未処
理パルプと本発明による微細繊維状セルロース生成物を
光学顕微鏡及び電子顕微鏡観察した。未処理パルプの繊
維幅は20〜30μ、長さ加重平均繊維長は約0.8m
m、形は平滑で偏平な円筒形をなし、さらによじれたり
屈曲したりしている。本発明による振動ミル粉砕装置に
て湿式粉砕処理したパルプは、処理初期では繊維表面に
ヒゲ状の細い繊維の毛羽立ちが起こり、その後いわゆる
ルーメンを持った木材繊維の構造が破壊され、繊維幅2
〜4μmの繊維同士或いは繊維と未粉砕部分が相互に数
本から数十本、一部で結合ないし絡み合った状態にな
る。更に湿式粉砕処理を行うと繊維幅は1μm以下、更
には0.7μm以下の微細な繊維状セルロースになる。
【0016】また繊維長の変化は、ある程度の粉砕であ
れば繊維長の短繊維化は余り起こらず、水保持力300
%位まで粉砕を進めると長さ加重平均繊維長は0.4m
m位になるが、繊維長については、使用する繊維状セル
ロース原料によって初期繊維長が異なるため、用途によ
り繊維長の長いものが必要であれば繊維長の長い原料を
使用すればよいし、短い繊維長のものが必要であれば繊
維長の短い原料を使用すればよい。
れば繊維長の短繊維化は余り起こらず、水保持力300
%位まで粉砕を進めると長さ加重平均繊維長は0.4m
m位になるが、繊維長については、使用する繊維状セル
ロース原料によって初期繊維長が異なるため、用途によ
り繊維長の長いものが必要であれば繊維長の長い原料を
使用すればよいし、短い繊維長のものが必要であれば繊
維長の短い原料を使用すればよい。
【0017】本発明による微細繊維状セルロース生成物
は、粉砕初期のものであれば叩解を進めたパルプに近い
性質をもっているが、粉砕を進めたものはパルプ繊維と
は全く異なる特性を持っている。振動ミル粉砕装置でパ
ルプを湿式粉砕処理すると、繊維状セルロースが微細化
されるにつれ表面積が増大し、水との親和性が増して粘
性が高くなり、また水を保持する能力(水保持力)が高
くなる。
は、粉砕初期のものであれば叩解を進めたパルプに近い
性質をもっているが、粉砕を進めたものはパルプ繊維と
は全く異なる特性を持っている。振動ミル粉砕装置でパ
ルプを湿式粉砕処理すると、繊維状セルロースが微細化
されるにつれ表面積が増大し、水との親和性が増して粘
性が高くなり、また水を保持する能力(水保持力)が高
くなる。
【0018】水保持力の測定は、低部に穴の開いた円筒
状の遠心管にG3のガラスフィルターを取付け、300
0Gで15分間の遠心処理により脱水処理し、その後処
理試料を取り出しセルロース試料の重量の測定を行っ
た。その後この試料を105℃で少なくとも5時間にわ
たって乾燥させた試料の乾燥重量を測定した。水保持力
は、遠心処理後の湿った状態の試料重量から乾燥試料重
量を減算し、これを乾燥試料重量で除算し、これに10
0を乗算して得た値である。
状の遠心管にG3のガラスフィルターを取付け、300
0Gで15分間の遠心処理により脱水処理し、その後処
理試料を取り出しセルロース試料の重量の測定を行っ
た。その後この試料を105℃で少なくとも5時間にわ
たって乾燥させた試料の乾燥重量を測定した。水保持力
は、遠心処理後の湿った状態の試料重量から乾燥試料重
量を減算し、これを乾燥試料重量で除算し、これに10
0を乗算して得た値である。
【0019】但し、遠心処理する供試試料については、
粉砕処理生成物の水の保持力が高いので、そのまま水保
持力測定をすると脱水が困難になり水相が試料上部に残
るため、前処理として濾過等により予め予備脱水して固
形部濃度8%〜12%にして、水保持力測定に供した。
得られた微細繊維状セルロースは、相当多く水を保持す
る能力をもっており、水保持力210%以上、条件によ
っては300%以上にも達する。
粉砕処理生成物の水の保持力が高いので、そのまま水保
持力測定をすると脱水が困難になり水相が試料上部に残
るため、前処理として濾過等により予め予備脱水して固
形部濃度8%〜12%にして、水保持力測定に供した。
得られた微細繊維状セルロースは、相当多く水を保持す
る能力をもっており、水保持力210%以上、条件によ
っては300%以上にも達する。
【0020】通常のパルプの叩解における水保持力を比
較すると、広葉樹漂白クラフトパルプ(未処理フリーネ
ス620ml、水保持力105%)を処理濃度2%でリ
ファイナーにて叩解し、フリーネス(TAPPIスタン
ダード T227m−58に準じて測定)440ml、
125ml、33mlまで処理したのものの水保持力は
それぞれ139%、174%、194%であった。ま
た、機械パルプの場合、加圧型グランドウッドパルプで
フリーネス60ml、水保持力145%であった。
較すると、広葉樹漂白クラフトパルプ(未処理フリーネ
ス620ml、水保持力105%)を処理濃度2%でリ
ファイナーにて叩解し、フリーネス(TAPPIスタン
ダード T227m−58に準じて測定)440ml、
125ml、33mlまで処理したのものの水保持力は
それぞれ139%、174%、194%であった。ま
た、機械パルプの場合、加圧型グランドウッドパルプで
フリーネス60ml、水保持力145%であった。
【0021】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例について説明
する。実施例1 広葉樹の漂白クラフトパルプの1.5重量%水懸濁液1
300mlを実験用振動ミ ル(中央化工機(株)製、
MB−1型、容量3400ml)の粉砕容器に入れ、ま
た平均粒径5mmのガラスビーズ1600mlを容器に
入れて20分、40分、60分、80分とパルプをバッ
チ式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は
8mm、回転数は1200rpmで行った。また粉砕容
器の冷却用循環水の温度調節により処理温度約20℃で
行った。
する。実施例1 広葉樹の漂白クラフトパルプの1.5重量%水懸濁液1
300mlを実験用振動ミ ル(中央化工機(株)製、
MB−1型、容量3400ml)の粉砕容器に入れ、ま
た平均粒径5mmのガラスビーズ1600mlを容器に
入れて20分、40分、60分、80分とパルプをバッ
チ式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は
8mm、回転数は1200rpmで行った。また粉砕容
器の冷却用循環水の温度調節により処理温度約20℃で
行った。
【0022】表1に処理時間、長さ加重平均繊維長、水
保持力、粘度及び顕微鏡写真観察による繊維幅との関係
を示す。なお、長さ加重平均繊維長は、フィンランドK
AJAANI社製FS−200型繊維長測定装置で測定
した。粘度の測定は、(株)東京計器 DVL−B型粘
度計を用い、水懸濁液濃度1重量%、20℃、ローター
回転数30rpmで行った。
保持力、粘度及び顕微鏡写真観察による繊維幅との関係
を示す。なお、長さ加重平均繊維長は、フィンランドK
AJAANI社製FS−200型繊維長測定装置で測定
した。粘度の測定は、(株)東京計器 DVL−B型粘
度計を用い、水懸濁液濃度1重量%、20℃、ローター
回転数30rpmで行った。
【0023】処理時間を長くするに従い水保持力は上昇
するが、繊維長は短くなることが判る。繊維幅について
は、未処理パルプ繊維は約20μmであるが、粉砕処理
時間20分のものは、繊維の一部が破壊され繊維幅2〜
4μmの微細繊維が繊維表面からヒゲ状に出てきた。こ
の時のパルプ繊維の顕微鏡で観察した破壊率は約60%
であった。粉砕処理時間40分のものは、繊維の細胞壁
が更に壊れ、繊維幅2〜4μmのフィブリルが多くな
り、これらの繊維同士或いは繊維幅の広いものととが相
互に数本から数十本、一部で結合ないし絡み合った形状
になっていた。更に粉砕処理を進めると光学顕微鏡では
繊維幅2〜4μmの繊維が数十本、一部で結合した形状
に見えるが走査電子顕微鏡で観察すると繊維幅2〜4μ
mの繊維が、更に繊維幅0.05〜0.7μmの微細な
繊維物となっているのが判った。粘度については、粉砕
処理を進め水保持力が高い試料ほど粘度も高くなった。
するが、繊維長は短くなることが判る。繊維幅について
は、未処理パルプ繊維は約20μmであるが、粉砕処理
時間20分のものは、繊維の一部が破壊され繊維幅2〜
4μmの微細繊維が繊維表面からヒゲ状に出てきた。こ
の時のパルプ繊維の顕微鏡で観察した破壊率は約60%
であった。粉砕処理時間40分のものは、繊維の細胞壁
が更に壊れ、繊維幅2〜4μmのフィブリルが多くな
り、これらの繊維同士或いは繊維幅の広いものととが相
互に数本から数十本、一部で結合ないし絡み合った形状
になっていた。更に粉砕処理を進めると光学顕微鏡では
繊維幅2〜4μmの繊維が数十本、一部で結合した形状
に見えるが走査電子顕微鏡で観察すると繊維幅2〜4μ
mの繊維が、更に繊維幅0.05〜0.7μmの微細な
繊維物となっているのが判った。粘度については、粉砕
処理を進め水保持力が高い試料ほど粘度も高くなった。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 針葉樹の漂白クラフトパルプの2重量%水懸濁液130
0mlを実験用振動ミル(中央化工機(株)製、MB−
1型、容量3400ml)の粉砕容器に入れ、また平均
粒径2mmのジルコニアビーズ1800mlを容器に入
れて30分、60分、90分、80分とパルプをバッチ
式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は8
mm、回転数は1200rpmであり、また粉砕容器の
冷却用循環水の温度調製により処理温度を60℃に保ち
ながら処理した。
0mlを実験用振動ミル(中央化工機(株)製、MB−
1型、容量3400ml)の粉砕容器に入れ、また平均
粒径2mmのジルコニアビーズ1800mlを容器に入
れて30分、60分、90分、80分とパルプをバッチ
式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は8
mm、回転数は1200rpmであり、また粉砕容器の
冷却用循環水の温度調製により処理温度を60℃に保ち
ながら処理した。
【0026】表2に処理時間と水保持力との関係を示
す。表2から判るように処理時間が長くなるに従い水保
持力は上昇し、処理時間60分で針葉樹パルプでも30
0%以上に達するものが得られた。
す。表2から判るように処理時間が長くなるに従い水保
持力は上昇し、処理時間60分で針葉樹パルプでも30
0%以上に達するものが得られた。
【0027】
【表2】
【0028】実施例3 パルプとして機械パルプ(加圧式グランドウッドパル
プ)または古紙パルプを使用し、それぞれ別々に2重量
%水懸濁液1000mlを実験用振動ミル(中央化工機
(株)製、MB−1型、容量3400ml)容器に入
れ、また平均粒径5mmのガラスビーズ2500mlを
容器に入れて30分、60分とパルプをバッチ式にて湿
式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は8mm、回
転数は1200rpmで行った。また粉砕容器の冷却用
循環水の温度調節により処理温度約20℃で行った。
プ)または古紙パルプを使用し、それぞれ別々に2重量
%水懸濁液1000mlを実験用振動ミル(中央化工機
(株)製、MB−1型、容量3400ml)容器に入
れ、また平均粒径5mmのガラスビーズ2500mlを
容器に入れて30分、60分とパルプをバッチ式にて湿
式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅は8mm、回
転数は1200rpmで行った。また粉砕容器の冷却用
循環水の温度調節により処理温度約20℃で行った。
【0029】表3、表4にそれぞれ機械パルプ、古紙パ
ルプの処理時間と水保持力との関係を示す。表3、表4
から判るように処理時間が長くなるに従い水保持力は高
くなった。
ルプの処理時間と水保持力との関係を示す。表3、表4
から判るように処理時間が長くなるに従い水保持力は高
くなった。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】実施例5 広葉樹漂白クラフトパルプを処理する懸濁液としてエチ
レングリコールエを使用して、パルプ濃度2重量%に調
製したもの1300mlを実験用振動ミル(中央化工機
(株)製、MB−1型、容量3400ml)粉砕容器に
入れ、また平均粒径5mmのガラスビーズ1800ml
Lを容器に入れて30分、60分、90分とパルプをバ
ッチ式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅
は8mm、回転数は1200rpmで行った。また粉砕
容器の冷却用循環水の温度調節により処理温度約20℃
で行った。
レングリコールエを使用して、パルプ濃度2重量%に調
製したもの1300mlを実験用振動ミル(中央化工機
(株)製、MB−1型、容量3400ml)粉砕容器に
入れ、また平均粒径5mmのガラスビーズ1800ml
Lを容器に入れて30分、60分、90分とパルプをバ
ッチ式にて湿式粉砕処理した。この時の振動ミルの振幅
は8mm、回転数は1200rpmで行った。また粉砕
容器の冷却用循環水の温度調節により処理温度約20℃
で行った。
【0033】表5に処理時間と水保持力との関係を示
す。表5から判るようにえたのエチレングリコール溶媒
を使用しても処理時間が長くなるに従い水保持力は高く
なった。
す。表5から判るようにえたのエチレングリコール溶媒
を使用しても処理時間が長くなるに従い水保持力は高く
なった。
【0034】
【表5】
【0035】比較例1 実施例1と同じ広葉樹の漂白クラフトパルプを用いて、
パルプの1.5重量%水懸濁液と平均粒径1mmのガラ
スビーズを実施例1と同じ比率になるようにそれぞれ1
15ml、130mlをアイメックス(株)製6筒式サ
ンドミル(処理容量300ml)の粉砕容器に入れ、撹
拌機の回転数2000rpm、冷却用循環水の温度を調
節することにより処理温度20℃でバッチ式にて、20
分、40分、60分、80分湿式粉砕処理を行った。
パルプの1.5重量%水懸濁液と平均粒径1mmのガラ
スビーズを実施例1と同じ比率になるようにそれぞれ1
15ml、130mlをアイメックス(株)製6筒式サ
ンドミル(処理容量300ml)の粉砕容器に入れ、撹
拌機の回転数2000rpm、冷却用循環水の温度を調
節することにより処理温度20℃でバッチ式にて、20
分、40分、60分、80分湿式粉砕処理を行った。
【0036】表6に処理時間と水保持力との関係を示
す。表6から判るように本発明による製造方法の方が、
サンドミル処理より短い処理時間で水保持力の向上が図
れる。
す。表6から判るように本発明による製造方法の方が、
サンドミル処理より短い処理時間で水保持力の向上が図
れる。
【0037】
【表6】
【0038】
【発明の効果】本発明は、繊維状セルロースを振動ミル
粉砕機にて湿式粉砕処理することにより、水保持力の高
い微細繊維状セルロースを効率的に得ることができる。
粉砕機にて湿式粉砕処理することにより、水保持力の高
い微細繊維状セルロースを効率的に得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 繊維状セルロースの懸濁液を振動ミル粉
砕装置にて湿式粉砕処理を施し、水保持力210%以上
の微細繊維状セルロースを得ることを特徴とする、微細
繊維状セルロースの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16581892A JPH0610286A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16581892A JPH0610286A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0610286A true JPH0610286A (ja) | 1994-01-18 |
Family
ID=15819582
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16581892A Pending JPH0610286A (ja) | 1992-06-24 | 1992-06-24 | 微細繊維状セルロースの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0610286A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1992
- 1992-06-24 JP JP16581892A patent/JPH0610286A/ja active Pending
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