JP2015041600A - リチウムイオン二次電池用のリチウム含有複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用のリチウム含有複合酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量及び充放電効率が高く、かつ、高い出力特性を有して、インピーダンスが低く、かつ、充放電サイクルによるインピーダンスの増加を抑制したリチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物の製造方法を提供する。
【解決手段】所定の組成を有するリチウム含有複合酸化物の製造方法であり、平均粒径D50が10μm以下で、タップ密度が0.5〜2.0g/cmで、かつ、タップ密度を前記平均粒径D50で除した値(タップ密度/D50)が0.3以下である上記Lを含む化合物の粉末と、リチウムを含む化合物の粉末とを混合して混合粉末を得た後、該混合粉末を800〜1000℃で熱処理する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物の製造方法に関する。
近年、電子機器のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、小型・軽量でかつ高容量・高エネルギー密度を有する非水電解液二次電池に対する要求が高まっている。非水電解液二次電池用の正極活物質には、LiCoO、LiNiO、LiNi0.8Co0.2、LiMn及びLiMnOなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物が広く知られている。
なかでも、リチウム含有複合酸化物を正極活物質として用い、リチウム合金や、グラファイト、カーボンファイバー、ケイ素合金などを負極として用いたリチウム二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として広く使用されている。
一方、民生用途や車載用途向けの非水電解液二次電池では、放電容量及び充放電効率の向上と共に、出力特性をさらに向上させるために、電池のインピーダンス(本明細書において、内部抵抗ということがある)の低減と、充放電サイクルによるインピーダンスの増加の抑制が求められている。これらの要求を満たすために、特許文献1乃至特許文献3のような検討がなされている。
特許文献1においては、焼成時の粒成長や焼結を抑制する添加剤を加えることで出力特性が向上した活物質が得られることが記載されている。
特許文献2においては、正極活物質に炭素皮膜を形成することで電子伝導性を改善し、内部抵抗を低減できることが記載されている。
特許文献3においては、液相法により結晶成長させた、粒径が均一で外殻部を有する前駆体を用いることで、高出力かつサイクル特性が良好な正極材料の製造方法が記載されている。
特開2011−003551号公報 特開2012−133888号公報 特許第4894969号公報
上記のとおり、従来、電池のインピーダンスを低減するために、種々の検討がなされているが、目標とする出力特性とその他の電池特性を両立させたリチウムイオン二次電池の正極活物質は得られていない。
例えば、特許文献1には、添加剤を含む正極活物質が記載されているが、添加剤を含むことで製造コストが増加して、かつ放電容量が低下する傾向がある。
特許文献2の正極活物質は、水熱合成した前駆体と有機化合物とボールミルにて混合し、得られた溶液を噴霧乾燥した後に焼成する製造方法で合成されており、工程が多く煩雑であり、製造コストが増加する傾向がある。また、ボールミルの混合工程を含み、不純物が混入して放電容量が低下することがある。
特許文献3に記載の方法で得られる正極活物質は、液相法により高度に結晶成長させた前駆体粒子を用いているが、粒子の形状などが限定され、その製造方法も煩雑であり、製造コストが増加する傾向がある。さらに、正極活物質は外殻部を有しているために、粒子の形状が脆く、電極に加工した際に粒子が潰れると考えられ、充放電を繰り返すに伴い、インピーダンスが増加し、かつ、充放電サイクルにより劣化が進み、放電容量が減少する傾向がある。
そこで、本発明では、リチウムイオン二次電池用正極活物質用の、放電容量、及び充放電効率が高く、かつ、高い出力特性を有し、インピーダンスが低く、かつ、充放電サイクルによるインピーダンスの増加を抑制したリチウム含有複合酸化物の製造方法の提供を目的とする。
本発明者は、鋭意研究を続けた結果、下記を要旨とする発明により、上記の課題が良好に達成されることを見出した。
(1)一般式LiLM2-(y/2)(但し、LはNiCoMnで表される元素の組み合わせである。MはNi、Co及びMn以外の遷移金属、Al、Sn、Ge並びに第2族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。x、y、a、b、c及びdは、0.95≦x≦1.3、0≦y≦0.05、0<a<1、0<b<1、0<c<1、0≦d≦0.05、x+a+b+c+d=2の範囲を表す。)で表されるリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、
前記Lを含む化合物の粉末の平均粒径D50が10μm以下で、タップ密度が0.5〜2.0g/cmで、かつ、前記タップ密度を前記平均粒径D50で除した値(タップ密度/D50)が0.3以下である前記Lを含む化合物の粉末と、リチウムを含む化合物の粉末を混合して混合粉末を得た後、該混合粉末を800〜1000℃で熱処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(2)前記Lを含む化合物の粉末が、2m/g以上の細孔表面積を有する前記(1)に記載の製造方法。
(3)前記Lを含む化合物の粉末が、0.1cm/g以上の細孔容積を有する前記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記Lを含む化合物の粉末が、細孔分布曲線において細孔径0.005〜1μmにピークを有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記一般式における、a、b及びcの範囲が、0.2≦a≦0.8、0.1≦b≦0.6及び0.1≦c≦0.6である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(6)前記Lを含む化合物が、水酸化物及びオキシ水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(7)前記Lを含む化合物が、ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む水溶液に、アルカリ金属水酸化物水溶液と、アンモニウム化合物を加えることで得られる、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む共沈体である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(8)リチウム含有複合酸化物の比表面積が1m/g以下である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(9)リチウム含有複合酸化物が、0.1m/g以上の細孔表面積を有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で得られるリチウム含有複合酸化物、導電剤、バインダー、及び溶媒を混合し、得られるスラリーを金属箔に塗布し、次いで、加熱により溶媒を除去して得られる正極に、セパレータ及び負極を積層し、これを電池ケースに収納した後、電解液を注入するリチウムイオン二次電池の製造方法。
本発明の製造方法によれば、放電容量及び充放電効率が高く、インピーダンスが低く、かつ、充放電サイクルによるインピーダンスの増加を抑制したリチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物が提供される。
本発明の製造方法により何故に上記の優れた特性のリチウム含有複合酸化物が得られるかは必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
すなわち、リチウム含有複合酸化物の原料であるLを含む化合物の粉末の平均粒径とタップ密度が、本発明で規定する上記の特定の関係を満足する場合には、粒子内部に適度に空隙を有する粉末となり、この粉末を原料に用いることで、得られるリチウム含有複合酸化物の粒子内部も同様に適度な空隙が維持されたものが得られるためと考えられる。かかる粒子内部に適度な空隙を有するリチウム含有複合酸化物は、該リチウム含有複合酸化物を用いるリチウムイオン二次電池において、空隙に電解液が均一に侵入して、電解液とリチウム含有複合酸化物との接触面積が増加するため、リチウムイオンの内部拡散の距離が短くなり、リチウムイオンが移動しやすくなる結果、インピーダンスが低いリチウムイオン二次電池が得られると考えられる。また、平均粒径とタップ密度が前記の関係にあるとき、平均粒径とタップ密度の数値のバランスが良く、その結果、充填性、放電容量などの電池特性にも優れたリチウム含有複合酸化物が得られると考えられる。
さらに、本発明の製法で得られたリチウム含有複合酸化物は、充放電サイクル後においても、粒子内部の空隙が崩れることなく、空隙が強固に保持されるため、充放電サイクル後においても、インピーダンスの増加を抑制して、低いインピーダンスを維持できるものと推定される。
実施例1で得られた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線A、実施例2で得られた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線B、及び比較例1で得られた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線Cを示す。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物の製造方法では、上記したように、所定の平均粒径D50と、タップ密度、及び平均粒径D50とタップ密度の関係を満たす、前記Lを含む化合物の粉末(本明細書では、原料粉末ともいう。)、すなわち、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む化合物の粉末が用いられる。
原料粉末の平均粒径D50(本明細書では、単に、平均粒径又はD50ともいう。)は、10μm以下であり、8μm以下が好ましい。また前記の平均粒径D50は特に限定されないが、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が特に好ましい。
原料粉末の平均粒径及び粒度分布は、得られるリチウム含有複合酸化物の粒度分布に影響を及ぼす。そのため、前記した平均粒径が小さい粒子を使用することで、粒子内のリチウムイオンの移動距離が短く、かつ比表面積が比較的大きくなり、電解液との接触面積が大きくなり、得られるリチウム含有複合酸化物のインピーダンスが低くなる傾向がある。また、一般的には、平均粒径が小さいほど、充填密度が低くなる傾向があるが、本発明で規定する平均粒径の範囲では、粒子が小さ過ぎず、適度な大きさであるため、高い充填密度を有しており、放電容量、すなわち容積当たりの電池容量が高くなる傾向がある。
本発明において、前記の平均粒径D50は、レーザー散乱粒度分布測定装置(例えば、日機装社製マイクロトラックHRAX−100などを用いる)により得られた体積粒度分布の累積50%となる値を意味する。
原料粉末のタップ密度は、0.5〜2.0g/cmである。タップ密度は、1.8g/cm以下が好ましく、1.5g/cm以下がより好ましく、1.3g/cm以下がさらに好ましい。一方、生産性の観点から、0.8g/cm以上であると好ましいことがある。前記のようなタップ密度が低い原料を用いる場合、粒子間に電解液が浸透しやすくなり、電解液との接触面積が大きくインピーダンスが低いリチウム含有複合酸化物が得られるため好ましい。タップ密度が0.5g/cm以上であると、リチウム含有複合酸化物の生産性が向上するので好ましい。
本発明において、タップ密度は、タップデンサー(セイシン企業社製「タップデンサー KYT−4000など)を用い、目開き710μmの篩を通して200mlのシリンダに粉体を入れてすり切り、シリンダに入った粉体の重量と、そのシリンダを20mmのクリアランスで700回タップしたときの粉体の容積から計算して得られる。
原料粉末のタップ密度を前記平均粒径D50で除した値(タップ密度/D50)は0.3以下であり、0.25以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。(タップ密度/D50)は特に限定されないが、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
上記の(タップ密度/D50)は、原料粉末中に形成される空隙の程度を反映しており、前記の範囲にあるとき、平均粒径に対してタップ密度が小さいため、粒子の内部に多数の空隙が存在し、前記の原料粉末からリチウム含有複合酸化物を製造すると、電解液が浸透しやすく、インピーダンスが低いものが得られる。さらに、前記の範囲においては、タップ密度とD50のバランスが良く、充填密度が高くなり、放電容量、すなわち容積当たりの電池容量が高くなる傾向がある。
本発明において、原料粉末の細孔表面積は、2m/g以上が好ましく、5m/g以上がより好ましく、8m/g以上が更に好ましく、10m/g以上が特に好ましい。また原料粉末の細孔表面積の上限は特に限定されないが、なかでも、100m/gが好ましく、50m/gがより好ましく、20m/gが特に好ましい。
本発明において、原料粉末の細孔容積は、0.1cm/g以上が好ましく、0.12cm/g以上がより好ましく、0.14cm/g以上が更に好ましい。また原料粉末の細孔容積の上限は特に限定されないが、なかでも10cm/gが好ましく、5cm/gがより好ましい。
本発明において、原料粉末の細孔表面積が2m/g以上であり、かつ原料粉末の細孔容積が0.1cm/g以上であることがより好ましい。
また、原料粉末は、細孔径0.1μm以下に多くの細孔を有することが好ましい。
本発明において、原料粉末の細孔容積及び細孔表面積は、細孔径の範囲が0.004〜1.0μmにおける値を意味する。
原料粉末に含まれる粒子の内部に細孔が存在する場合、細孔容積及び細孔表面積が大きいと、粉末中の粒子と電解液の接触面積が大きく、かつリチウムイオンの内部拡散の距離が短くなり、インピーダンスが低くなる傾向がみられるため好ましい。また、同一の細孔容積である場合、より多くの小さい細孔が存在していると、細孔表面積が増加する傾向が見られるため好ましい。
なお、前記の細孔容積、細孔表面積及び細孔径分布は、0.1kPa〜400MPaの圧力で水銀を原料粉末中に圧入する水銀ポロシメーター(カルロ・エルバ社製のPascal140及びPascal440など)を用いて測定できる。
さらに、前記Lを含む化合物の原料粉末の細孔分布曲線において細孔径が0.005〜1μmにピークを有すると好ましく、なかでも、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましい。また、前記の細孔分布曲線のピークにおける細孔径は、0.007μm以上がより好ましい。細孔分布曲線は、水銀ポロシメーターの測定で得られた積算細孔容積を細孔直径で微分した値であるdV/dDを細孔の直径Dに対してプロットすることで得られ、ある直径の細孔がもつ細孔表面積の分布を表している。
前記のように、粒子に細孔が存在する場合、粉末中の粒子と電解液との接触面積が大きくなるため好ましく、なかでも、細孔の直径が小さい場合、同じ細孔容積でも細孔表面積が大きくなるため、より好ましい。なお、細孔の直径は、ある程度の大きさであると好ましく、この場合、細孔内におけるリチウムイオンの移動抵抗が小さくなり、また電解液が適度に浸透し易くなることから、細孔分布曲線においては、前記範囲に細孔径のピークを有すると好ましい。
本発明において、前記Lを含む化合物の粉末とは、NiCoMn(但し、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c≦1かつx+a+b+c+d=2の範囲である。)で表される元素の組み合わせを有する化合物からなる粉末を意味する。前記Lを含む化合物の粉末に含まれるNi、Co及びMnを含む化合物は、複数の化合物の混合物、及び1種類の化合物のいずれであってもよいが、下記のように、1種類の化合物であるのが好ましい。
原料粉末に用いる化合物は特に限定されないが、例えば、ニッケル化合物、コバルト化合物及びマンガン化合物の混合粉末、又は、ニッケル、コバルト及びマンガンの共沈複合化合物が使用される。なかでも、原料粉末は、粉末の平均粒径や空隙の均一性、ニッケル、コバルト及びマンガンの元素の均一性から、ニッケル、コバルト及びマンガンの共沈複合化合物がより好ましい。また、原料粉末としては、水酸化物、炭酸塩、オキシ水酸化物及び酸化物からなる群から選ばれる1種の化合物が好ましく、なかでも、水酸化物及びオキシ水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく、オキシ水酸化物が更に好ましい。
前記のニッケル、コバルト及びマンガンの共沈複合化合物の製造方法は、特に限定されない。例えば、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む水溶液と、アルカリ金属水酸化物水溶液と、錯化剤としてアンモニウムイオン供給体とを、水溶液のpHが10〜13の範囲の一定のpHになるように連続的もしくは間欠的に反応槽に供給し、反応槽のスラリーを撹拌し、共沈水酸化物を析出させる。反応中は、反応槽の温度を30〜70℃の範囲内の一定の温度に制御する。得られた共沈スラリーをろ過、水洗し、乾燥することで共沈水酸化物を得ることができる。原料粉末に用いる化合物としては、なかでも、ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む水溶液に、アルカリ金属水酸化物水溶液と、アンモニウム化合物を加えることで得られる、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む共沈体が好ましい。
反応は、バッチ法とスラリーを連続的もしくは間欠的に抜き出す連続法のどちらでもよく、なかでも、連続法は生産性が良いため好ましい。
共沈オキシ水酸化物又は共沈酸化物を共沈水酸化物から得る場合は、例えば、得られた共沈水酸化物を空気酸化する方法、共沈スラリーに酸化剤を加えて反応させる方法などがある。空気酸化させる場合は、得られた水酸化物を空気中で100℃〜500℃で2時間以上熱処理し酸化させる。乾燥後の共沈水酸化物粉末を酸化処理してもよいし、乾燥と酸化処理を同時に行ってもよい。酸化剤を使用する場合は、共沈スラリー中に次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素水、過硫酸カリ、臭素及び空気の少なくとも1種以上の酸化剤を供給し、10℃〜60℃で5〜20時間反応させ、共沈オキシ水酸化物又は共沈酸化物とした後、スラリーをろ過、水洗し乾燥させる。いずれの方法においても、水酸化物と酸化剤の比率、温度、時間等の反応条件を制御することで酸化状態を制御して、共沈オキシ水酸化物と共沈酸化物とを作り分けることができる。酸化状態は、X線回折分析などで確認することができる。
本発明の前記Lを含む化合物の粉末は、一次粒子が多数凝集した二次粒子であるのが好ましい。かかる二次粒子は、前記共沈法において、pH,温度等の共沈条件を制御することにより、二次粒子の凝集状態を制御できる。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物は、前記の原料粉末とリチウムを含む化合物を混合して混合粉末を得た後、得られた混合粉末を熱処理することで得られる。
前記のリチウムを含む化合物としては、水酸化リチウム又は炭酸リチウムが好ましく、炭酸リチウムがより好ましい。リチウムを含む化合物の粉末の平均粒径は、D50として、3〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。
また、リチウム含有複合酸化物に元素Mが含まれる場合、元素Mを含む化合物の粉末を原料粉末とリチウムを含む化合物の粉末とともに混合してもよく、また、原料粉末に含まれるニッケル、コバルト及びマンガンの複合化合物に共沈で添加される形で含まれていてもよい。元素Mを含む化合物としては、酸化物、水酸化物、炭酸塩及び有機酸塩などが使用できる。
また、リチウム含有複合酸化物にフッ素が含まれる場合も同様であり、フッ素を含む化合物の粉末を原料粉末とリチウムを含む化合物の粉末とともに混合してもよく、また、原料粉末に含まれるニッケル、コバルト及びマンガンの複合化合物に共沈で添加される形で含まれていてもよい。フッ素を含む化合物としては、LiF、MgF及びAlFなどが使用できる。
前記の混合粉末の熱処理温度は800〜1000℃であり、なかでも850〜1000℃がより好ましく、850〜950℃が更に好ましい。また、熱処理は、酸素含有雰囲気下で処理されることが好ましく、大気中で処理されることが更に好ましい。また、熱処理時間は、5〜48時間が好ましく、10〜20時間が更に好ましい。熱処理に用いる装置は、特に限定されないが、通常のロータリーキルン、ローラーハースキルン、シャトルキルン及びバッチ電気炉等が採用される。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の組成は、一般式LiLM2-(y/2)で表される。LはNiCoMnで表される元素の組み合わせである。MはNi、Co及びMn以外の遷移金属、Al、Sn、Ge並びに第2族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
x、y、a、b、c及びdは、0.95≦x≦1.3、0≦y≦0.05、0<a<1、0<b<1、0<c<1、0≦d≦0.05、x+a+b+c+d=2の範囲を表す。
上記の一般式において、xは1.0≦x≦1.2が好ましく、1.0≦x≦1.1がさらに好ましく、1.01≦x≦1.08が特に好ましい。aは0.2≦a≦0.8がより好ましく、0.2≦a≦0.6がさらに好ましく、0.3≦a≦0.6が特に好ましい。bは0.1≦b≦0.6がより好ましく、0.1≦b≦0.5がさらに好ましく、0.2≦b≦0.5が特に好ましい。cは0.1≦c≦0.6がより好ましく、0.1≦c≦0.5がさらに好ましく0.2≦c≦0.5が特に好ましい。
元素Mは、上記のとおり、Ni、Co及びMn以外の遷移金属元素、Al、Sn、Ge並びに第2族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、なかでも、Al、Mg、Zr、Ti及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Al及びZrの少なくともいずれかの元素がより好ましい。
リチウム含有複合酸化物がフッ素を含む場合、発熱開始温度が向上して、安全性がさらに向上する傾向が見られる。そのため、安全性を重視する場合、yは、0<y≦0.05が好ましく、0.0005≦y≦0.03がより好ましく、0.001≦y≦0.01が特に好ましい。一方、y=0の場合、すなわちリチウム含有複合酸化物がフッ素を含まない場合、放電容量が高くなる傾向がある。そのため、容量を重視する時はy=0が好ましい。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の平均粒径D50は、3〜10μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。またリチウム含有複合酸化物のタップ密度は1.5〜2.5g/cmが好ましい。タップ密度が低いと充填性が低くなり容積当たりの電池容量が低くなる傾向がある。その一方、タップ密度が高いと粒子内に空隙が少なくなりインピーダンスが増加する傾向がある。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の比表面積は1m/g以下であることが好ましく、0.3〜0.9m/gであることがより好ましく、0.5〜0.9m/gであることがより好ましい。電解液との接触面積が増加することによりリチウムイオンが移動しやすくなり抵抗が低下するが、一方で電解液と接触することによりの表面から変質や劣化が起き、サイクル劣化の要因となりうる。そのため、比表面積は前記の範囲であることが好ましい。本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の比表面積とは、窒素吸着法(BET法ともいう。)で測定した値を意味する。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の細孔表面積が0.1m/g以上であることが好ましく、0.12m/g以上であることがさらに好ましい。また、本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の細孔表面積は、3m/g以下であることが好ましく、1m/g以下であることがさらに好ましい。リチウム含有複合酸化物の細孔表面積が0.1m/g以上であると、該リチウム含有複合酸化物を用いるリチウムイオン二次電池において、電解液とリチウム含有複合酸化物との接触面積が増加するため、リチウムイオンの内部拡散の距離が短くなり、リチウムイオンが移動しやすくなる結果、インピーダンスが低いリチウムイオン二次電池が得られると考えられる。
本発明で得られるリチウム含有複合酸化物の細孔表面積は、細孔径の範囲が0.004〜1.0μmにおける値を意味する。
本発明で得られる正極活物質からリチウムイオン二次電池用の正極を製造する場合には、まず、正極活物質の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチェンブラックなどのカーボン系導電材と結合材を混合する。前記結合材には、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。本発明により得られる正極活物質の粉末、導電材及び結合材を溶媒、又は分散媒を使用して、スラリー又は混練物とせしめる。これをアルミニウム箔、ステンレス箔などの正極集電体に塗布した後、加熱により溶媒を除去することによりリチウムイオン二次電池用の正極が製造される。
本発明で得られる正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、セパレータとしては、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンのフィルムなどが使用される。また、電池の電解質溶液の溶媒としては、種々の溶媒が使用できるが、なかでも炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)などが例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが例示される。
本発明では、上記炭酸エステルを単独で、又は2種以上を混合して使用できる。また、他の溶媒と混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合がある。
また、本発明で得られる正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池においては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えば、アトケム社製:商品名カイナー)又はフッ化ビニリデン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体を含むゲルポリマー電解質を電解質に用いてもよい。上記の電解質溶媒又はポリマー電解質に添加される溶質としては、ClO 、CFSO 、BF 、PF 、AsF 、SbF 、CFCO 、(CFSOなどをアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上が好ましく使用される。電解質溶媒又はポリマー電解質に含有されるリチウム塩の濃度は、0.2〜2.0mol/l(リットル)が好ましく、0.5〜1.5mol/lが特に好ましい。この濃度範囲の場合、イオン伝導度が大きく、電解質の電気伝導度が増大する。
本発明で得られる正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池において、負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料が用いられる。この負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、又は15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物などが挙げられる。炭素材料としては、種々の熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛などを使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔などが用いられる。かかる負極は、上記活物質を有機溶媒と混練してスラリーとし、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることにより好ましくは製造される。
本発明で得られる正極活物質を用いたリチウム電池の形状には特に制約はない。シート状、フィルム状、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形などが用途に応じて選択される。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
[実施例1]
ニッケル、コバルト及びマンガンの原子比がNi:Co:Mn=50:20:30となるように硫酸ニッケルと硫酸コバルトと硫酸マンガンを溶解した水溶液に、水溶液のpHが11.0、温度が55℃になるように、硫酸アンモニウム水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液とを、撹拌しながら連続的に供給して、共沈水酸化物を析出させた。反応は連続式で実施した。共沈水酸化物を析出させた共沈スラリーをろ過、水洗し、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合水酸化物を得た。得られた複合水酸化物を大気中120℃で12時間熱処理して空気を用いて酸化させて、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合オキシ水酸化物(Ni0.5Co0.2Mn0.3OOH)の粉末を得た。
得られたニッケル、コバルト及びマンガンを含む複合オキシ水酸化物の平均粒径D50は6.0μm、タップ密度は1.14g/cm、タップ密度/D50は0.19、水銀ポロシメーターで測定した細孔表面積は11.2m/g、細孔容積は0.14cm/gであり、細孔分布曲線の細孔径0.005〜1μmの範囲において0.012μmにピークを有していた。得られた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線を図1のAに示した。得られた複合オキシ水酸化物粒子の粉末は、一次粒子が多数凝集して二次粒子を形成していた。
このニッケル・コバルト・マンガン複合オキシ水酸化物と炭酸リチウムを、リチウムとニッケル・コバルト・マンガンの合計に対して原子比が1.03となるように混合し、大気雰囲気中900℃で8時間焼成し、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を得た。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98、平均粒径D50は5.8μm、タップ密度は1.7g/cm、比表面積は0.78m/g、細孔表面積は0.12m/g、細孔容積は0.02cm/gであった。
上記正極活物質の粉末と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン粉末とを80/12/8の質量比で混合し、N−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製し、これを厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面塗工した。得られたアルミニウムシートを乾燥し、ロールプレス圧延を行うことによりリチウム電池用の正極体シートを作製した。
次に、前記の正極体シートを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを用い、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF/EC+DEC(1:1)溶液(LiPFを溶質とする、ECとDECとの体積比(1:1)の混合溶液を意味する。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で組み立てた。
上記簡易密閉セル型リチウム電池を、25℃にて正極活物質1gにつき180mAの電流で上限電圧4.3Vとし、CCCVモード3時間(180mAの一定電流で充電を行い、電池電圧が上限電圧に達した後は上限電圧の一定電圧で充電を行った。合計の充電時間を3時間とする。)で充電した後、正極活物質1gにつき37.5mAの電流値で2.75Vまで放電して、初期充放電容量を求めた。その結果、25℃、2.75〜4.3Vにおける正極活物質の初期放電容量は169mAh/gであり、初回の充電容量と放電容量の比率である、初回充放電効率は、87.5%であった。
この電池について、初回と同じ条件で充電と放電を繰り返し、充放電サイクル試験を6回行い6回目の放電が完了した電池と、更に充放電サイクルを24回行い24回目の放電が完了した電池において、初回と同じ条件で充電した後、交流インピーダンス測定を実施した。測定条件は、充電が完了した後の開回路電圧の状態で、測定周波数100キロヘルツから1ミリヘルツの範囲で現れる2つの円弧のうち、低周波数側に現れる2つめの円弧の大きさをインピーダンスの大きさとして測定した。
その結果、6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは5Ωであり、さらに24回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは13Ωであった。
[実施例2]
平均粒径D50が6.0μm、タップ密度が1.07g/cm、タップ密度/D50が0.18、細孔表面積が13.4m/g、細孔容積が0.18cm/gである複合オキシ水酸化物の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。原料に用いた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線を図1のBに示した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98、平均粒径D50は5.6μm、タップ密度は1.71g/cm、比表面積は0.76m/g、細孔表面積は0.18m/g、細孔容積は0.02cm/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は168mAh/gであり、初回充放電効率は88.0%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは4Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは12Ωであった。
[実施例3]
平均粒径D50が8.5μm、タップ密度が1.70/cm、タップ密度/D50が0.20である複合オキシ水酸化物の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98、平均粒径D50は9.4μm、タップ密度は2.36g/cm、比表面積は0.39m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は168mAh/gであり、初回充放電効率は87.7%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは5Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは18Ωであった。
[実施例4]
平均粒径D50が9.4μm、タップ密度が1.74/cm、タップ密度/D50が0.19である複合オキシ水酸化物の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98、平均粒径D50は9.9μm、タップ密度は2.35g/cm、比表面積は0.37m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は166mAh/gであり、初回充放電効率は86.7%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは5Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは17Ωであった。
[実施例5]
実施例1において、原料を混合した混合粉末として、例1で得られたニッケル・コバルト・マンガン複合オキシ水酸化物、酸化ジルコニウム及び炭酸リチウムを混合した混合粉末を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.4995Co0.1998Mn0.2997Zr0.0010.98、平均粒径D50は5.5μm、タップ密度は1.72g/cm、比表面積は0.84m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は168mAh/gであり、初回充放電効率は88.0%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは3Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは11Ωであった。
[実施例6]
実施例1において、原料を混合した混合粉末として、例1で得られたニッケル・コバルト・マンガン複合オキシ水酸化物、水酸化アルミニウム及び炭酸リチウムを混合した混合粉末を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.4995Co0.1998Mn0.2997Al0.0010.98、平均粒径D50は6.0μm、タップ密度は1.72g/cm、比表面積は0.76m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は166mAh/gであり、初回充放電効率は87.2%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは4Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは11Ωであった。
[実施例7]
実施例1において、原料を混合した混合粉末として、例1で得られたニッケル・コバルト・マンガン複合オキシ水酸化物、酸化ゲルマニウム及び炭酸リチウムを混合した混合粉末を原料に使用したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.4995Co0.1998Mn0.2997Ge0.0010.98、平均粒径D50は5.8μm、タップ密度は1.72g/cm、比表面積は0.73m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は167mAh/gであり、初回充放電効率は87.7%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは4Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは9Ωであった。
[実施例8]
原料の混合粉末として、平均粒径D50が6.3μm、タップ密度が1.06/cm、タップ密度/D50が0.17である複合水酸化物と、炭酸リチウムを混合した混合粉末を用いて、その混合粉末を大気雰囲気中550℃で4時間仮焼した後、続けて大気雰囲気中900℃で8時間焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98、平均粒径D50は5.6μm、タップ密度は1.68g/cm、比表面積は0.76m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は169mAh/gであり、初回充放電効率は88.9%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは5Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは15Ωであった。
[実施例9]
原料の混合粉末として、ニッケル、コバルト及びマンガンの原子比がNi:Co:Mn=35:35:30、平均粒径D50が3.8μm、タップ密度が0.95/cm、タップ密度/D50が0.25である複合オキシ水酸化物と、炭酸リチウムを混合した混合粉末を用いて、その混合粉末を大気雰囲気中950℃で8時間焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成はLi1.02(Ni0.35Co0.35Mn0.300.98、平均粒径D50は4.0μm、タップ密度は1.50g/cm、比表面積は0.97m/gであった。また、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は167mAh/gであり、初回充放電効率は91.9%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは3Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは10Ωであった。
[比較例1]
平均粒径D50が5.2μm、タップ密度が1.77g/cm、タップ密度/D50が0.34、細孔表面積が0.93m/g、細孔容積が0.08cm/gである複合オキシ水酸化物の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。原料に用いた複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線を図1のCを示した。該複合オキシ水酸化物の細孔分布曲線の細孔径0.005〜1μmの範囲において、ピークは観察されなかった。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成は、Li1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98であった。また、得られたリチウム含有複合酸化物の平均粒径D50は7.3μm、タップ密度は2.2g/cm、比表面積は0.65m/g、細孔表面積は0.07m/g、細孔容積は0.01cm/gであった。さらに、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は165mAh/gであり、初回充放電効率は87.4%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは12Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは52Ωであった。
[比較例2]
平均粒径D50が15.6μm、タップ密度が2.13g/cm、タップ密度/D50が0.14である複合オキシ水酸化物の粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、リチウム含有複合酸化物の正極活物質を合成して、各特性を測定した。
得られたリチウム含有複合酸化物の組成は、Li1.02(Ni0.5Co0.2Mn0.30.98であった。また、得られたリチウム含有複合酸化物の平均粒径D50は15.6μm、タップ密度は2.7g/cm、比表面積は0.24m/gであった。さらに、実施例1と同様の方法で、得られた正極活物質の電池性能評価を行った結果、初期放電容量は163mAh/gであり、初回充放電効率は85.0%であった。6回充放電サイクル後の交流インピーダンスの大きさは9Ωであり、さらに24回充放電サイクル後サイクル後の交流インピーダンスの大きさは30Ωであった。
本発明の製造方法により製造されたリチウム含有複合酸化物は、リチウムイオン二次電池用正極活物質用の正極活物質として、リチウムイオン二次電池に広く利用される。

Claims (10)

  1. 一般式LiLM2-(y/2)(但し、LはNiCoMnで表される元素の組み合わせである。MはNi、Co及びMn以外の遷移金属、Al、Sn、Ge並びに第2族の元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。x、y、a、b、c及びdは、0.95≦x≦1.3、0≦y≦0.05、0<a<1、0<b<1、0<c<1、0≦d≦0.05、x+a+b+c+d=2の範囲を表す。)で表されるリチウム含有複合酸化物の製造方法であって、
    前記Lを含む化合物の粉末の平均粒径D50が10μm以下で、タップ密度が0.5〜2.0g/cmで、かつ、前記タップ密度を前記平均粒径D50で除した値(タップ密度/D50)が0.3以下である前記Lを含む化合物の粉末と、リチウムを含む化合物の粉末を混合して混合粉末を得た後、該混合粉末を800〜1000℃で熱処理することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極活物質用のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  2. 前記Lを含む化合物の粉末が、2m/g以上の細孔表面積を有する請求項1に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  3. 前記Lを含む化合物の粉末が、0.1cm/g以上の細孔容積を有する請求項1又は2に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  4. 前記Lを含む化合物の粉末が、細孔分布曲線において細孔径0.005〜1μmにピークを有する請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  5. 前記一般式における、a、b及びcの範囲が、0.2≦a≦0.8、0.1≦b≦0.6及び0.1≦c≦0.6である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  6. 前記Lを含む化合物が、水酸化物及びオキシ水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  7. 前記Lを含む化合物が、ニッケル塩、コバルト塩及びマンガン塩を含む水溶液に、アルカリ金属水酸化物水溶液と、アンモニウム化合物を加えることで得られる、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む共沈体である請求項1〜6のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  8. リチウム含有複合酸化物が、1m/g以下の比表面積を有する請求項1〜7のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  9. リチウム含有複合酸化物が、0.1m/g以上の細孔表面積を有する請求項1〜8のいずれかに記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法で得られるリチウム含有複合酸化物、導電剤、バインダー、及び溶媒を混合し、得られるスラリーを金属箔に塗布し、次いで、加熱により溶媒を除去して得られる正極に、セパレータ及び負極を積層し、これを電池ケースに収納した後、電解液を注入するリチウムイオン二次電池の製造方法。
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