JP2004207034A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、導電助剤として比表面積が35〜45m2/gの第1アセチレンブラックと比表面積が65〜75m2/gの第2アセチレンブラックを備えるとともに、第1のアセチレンブラックおよび第2のアセチレンブラックは正極活物質の質量に対してそれぞれ1〜2質量%含有した正極を備えるようにしている。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、非水系電解質とを備えた非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、リチウムイオンを吸蔵・放出できる合金もしくは炭素材料などを負極活物質とし、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質とする非水電解質二次電池が、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として実用化されるようになった。
【0003】
上述したコバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質に用いた正極においては、フッソ樹脂系結着剤に導電助剤としてカーボンブラックを添加して、導電性を向上させるようにしている。ところで、上述した非水電解質二次電池においては、正極の負荷性能や正極のサイクル性能を向上させること、および正極活物質の充填性や電解液の注液性能を向上させることは、高容量化や高性能化にとっての必須の課題となっている。
【0004】
そこで、導電性に優れた比表面積が800m2/gの人造黒鉛を正極の導電助剤として使用されるようになったが、比表面積が800m2/gの人造黒鉛は嵩密度が小さいために正極活物質と均一に混合できにくくて、単位体積当たりの充填容量(mAh/cm3)が小さくなるという問題を生じた。逆に、比表面積が20m2/gの人造黒鉛を正極の導電助剤として使用した場合、単位体積当たりの充填容量(mAh/cm3)が大きくなる反面、嵩密度が大きいために活物質間の導電性が低下して、放電利用率が低下したり、電池の内部抵抗が増大するという問題を生じた。
【0005】
そこで、特許文献1(特開昭63−218161号公報)において、導電助剤として、比表面積が300m2/gの人造黒鉛と、比表面積が10m2/gの人造黒鉛を混合して用いることが提案されるようになった。この特許文献1においては、比表面積が300m2/gと大きい人造黒鉛により活物質間の電導ネットワークを確保し、比表面積が10m2/gと小さい人造黒鉛により充填容量を増大させるようにしている。
【特許文献1】
特開昭63−218161号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、人造黒鉛は粒状構造であるために嵩密度が大きくて、電子伝導性や吸液性に劣るという問題があった。また、比表面積が300m2/gの人造黒鉛は粒径が小さすぎるため、正極合剤中での人造黒鉛の分散性が低下して、活物質間に充分な電導ネットワークを形成できなく、充分な負荷性能およびサイクル性能が得られないという問題があった。一方、比表面積が10m2/gの人造黒鉛は粒径が大きすぎるため、電解液の吸液性が低下して、充分な負荷性能が得られないという問題があった。したがって、比表面積が300m2/gの人造黒鉛と比表面積が10m2/gの人造黒鉛を混合して用いても、充分な負荷性能およびサイクル性能が得られないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に基づいてなされたものであって、炭素微粒子の鎖状構造が発達したアセチレンブラックを正極の導電助剤として用いることにより、電子伝導性や電解液の吸液性を改善して、充分な負荷性能およびサイクル性能が得られる非水電解質二次電池を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の非水電解質二次電池は、導電助剤として比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックと、比表面積が65m2/g以上で75m2/g以下の第2アセチレンブラックを備えるとともに、第1アセチレンブラックおよび第2アセチレンブラックは正極活物質の質量に対してそれぞれ1質量%以上で2質量%以下含有した正極を備えるようにしている。
【0009】
ここで、アセチレンブラックは炭素微粒子の鎖状構造が発達している点で、他のカーボンブラックと異なっており、嵩密度が低くて、電子伝導性や吸液性に優れている。そして、比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックは分散性が優れるため、高充填時の圧縮圧が低くくなる。このため、固練り(高粘度での混練)によらなくとも正極の表面抵抗が下がり易くなる。反面、吸液時間が長くなって吸液性が大きく低下するため、電池作製時の電解液の注液性が低下するとともに、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)が低下する。
【0010】
一方、比表面積が65〜75m2/gの第2アセチレンブラックは吸液性が良好なために吸液時間が短くなって、電池作製時の電解液の注液性が向上するとともに、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)も向上する。反面、分散性が悪いため、高充填時の圧縮圧が高いとともに、固練りによっても導電ネットワークが形成され難い。このため、正極の表面抵抗が増加するようになって、サイクル性能(300サイクル容量維持率)の低下を招来することとなる。
【0011】
そこで、正極活物質(LiCoO2)の質量に対して、比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックを1〜2質量%(1質量%以上で2質量%以下)混合するとともに、比表面積が65〜75m2/gの第2アセチレンブラックを1〜2質量%(1質量%以上で2質量%以下)混合した正極を用いることにより、正極の表面抵抗の低減(充分な導電パスの形成)と圧縮圧の低減(良好な導電材の分散)、吸液性の確保(保液性の向上によるイオン導電性の確保)が改善されるようになる。
【0012】
この場合、正極活物質としては、一般式がLiCo1-xMxO2(但し、MはMg,V,Cr,Fe,Mn,Ni,Al,Ti,Zrから選択される少なくとも一種で、0≦x<1)で表されるリチウム含有コバルト複合酸化物、一般式がLi1+xMn2-yMxO4(但し、MはB,Mg,Si,V,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.54≦((1+x)+z)/(2−y)≦0.62で、−0.15≦x≦0.15,y≦0.5,0≦z≦0.1)で表されるリチウム含有マンガン複合酸化物、一般式がLiNixM1-xO2(但し、MはLi,B,Mg,Co,Mn,Ti,Zr,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.3≦x≦0.9)で表されるリチウム含有ニッケル複合酸化物のいずれかから選択して用いるのが望ましい。
【0013】
また、アセチレンブラックはアセチレンガスの自己発熱分解により生成されたものであって、比表面積が65m2/g以上で75m2/g以下の第2アセチレンブラックは比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックの自己発熱分解の反応温度よりも高温で生成されたものであるのが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
1.アセチレンブラックの比表面積の検討
(1)正極の作製
まず、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意し、コバルト源の出発原料として四酸化三コバルト(Co3O4)を用意した後、これらをリチウムとコバルトのモル比が1:1になるように秤量した後、これらを混合した。ついで、得られた混合物を空気雰囲気下で焼成(例えば、850℃の温度で、20時間)して、コバルト酸リチウム(LiCoO2)の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が10μmになるまで粉砕して、正極活物質とした。
【0016】
ついで、導電助剤としての比表面積が40m2/gのアセチレンブラックが1,3,4質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、上述のように得た正極活物質(LiCoO2)が94〜91質量%となるように混合して正極合剤α1(アセチレンブラックが1質量%のもの),α2(アセチレンブラックが3質量%のもの),α3(アセチレンブラックが4質量%のもの)を調製した。なお、アセチレンブラックの比表面積(m2/g)はBET法により測定した値であり、以下の比表面積(m2/g)においても同様である。
【0017】
また、比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを用いたこと以外は上述と同様にして、正極合剤α4(アセチレンブラックが1質量%のもの),α5(アセチレンブラックが3質量%のもの),α6(アセチレンブラックが4質量%のもの)を調製した。さらに、比表面積が100m2/gのアセチレンブラックを用いたこと以外は上述と同様にして、正極合剤α7(アセチレンブラックが1質量%のもの),α8(アセチレンブラックが3質量%のもの),α9(アセチレンブラックが4質量%のもの)を調製した。
【0018】
ついで、得られた正極合剤α1〜α9を用いて、これらにN−メチルピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。ついで、この正極スラリーを厚みが20μmの正極集電体(アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の充填密度(3.7g/cm3)になるまで圧延し、所定寸法(幅が55mmで、長さが500mm)に切断した。
【0019】
これにより、正極x1(合剤α1を用いたもの),x2(合剤α2を用いたもの),x3(合剤α3を用いたもの),x4(合剤α4を用いたもの),x5(合剤α5を用いたもの),x6(合剤α6を用いたもの),x7(合剤α7を用いたもの),x8(合剤α8を用いたもの),x9(合剤α9を用いたもの)をそれぞれ作製した。
【0020】
(2)正極の物性値の測定
ついで、上述のようにして作製した各正極x1〜x9の圧縮圧力、表面抵抗および吸液時間について、以下のようにして測定した。ここで、圧縮圧力においては、上述のように各正極x1〜x9を作製する際に、正極合剤が所定の充填密度(3.7g/cm3)に到達するのに必要な圧縮圧力を測定すると、下記の表1に示すような結果が得られた。なお、表1においては、比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを1質量%添加して作製して正極x4の圧縮圧力を1とし、他の正極はこれとの相対圧で示している。
【0021】
また、表面抵抗においては、各正極x1〜x9の表面に、一対の測定電極を1cmの間隔を隔てて配置した後、この一対の測定電極間に1mAの電流を印加して、その際の抵抗値を測定したものであって、下記の表1に示すような結果が得られた。さらに、吸液時間については、圧延後の各正極x1〜x9の表面に3マイクロリットル(3μl)の電解液を滴下し、滴下された電解液が完全に各正極x1〜x9内に吸液されるまでの時間を測定したものであって、下記の表1に示すような結果が得られた。
【0022】
(3)負極の作製
天然黒鉛粉末が95質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合した後、これをN−メチルピロリドン(NMP)溶液と混合して負極スラリーを調製した。この後、得られた負極スラリーを厚みが18μmの負極集電体(銅箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の厚み(例えば155μm)になるまで圧延し、所定寸法(例えば幅が57mmで、長さが550mm)に切断して、負極を作製した。
【0023】
(4)非水電解質二次電池の作製
ついで、上述のように作製した各正極x1〜x9と、上述のようにして作製した負極とをそれぞれ用い、これらの間にポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータを介在させて積層した後、これらを渦巻状にそれぞれ巻回して渦巻状電極群とした。これらをそれぞれ円筒状の金属製外装缶に挿入した後、各集電体から延出する集電タブを各端子に溶接し、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等体積混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解した非水電解液を注入した。
【0024】
この後、外装缶の開口部に正極蓋を取り付けて封口して、設計容量が1800mAhの非水電解質二次電池X1〜X9をそれぞれ作製した。なお、正極x1を用いたものを電池X1とし、正極x2を用いたものを電池X2とし、正極x3を用いたものを電池X3とした。また、正極x4を用いたものを電池X4とし、正極x5を用いたものを電池X5とし、正極x6を用いたものを電池X6とした。さらに、正極x7を用いたものを電池X7とし、正極x8を用いたものを電池X8とし、正極x9を用いたものを電池X9とした。
【0025】
(6)電池特性の測定
ついで、これらの各電池X1〜X9を用いて、室温(約25℃)で、1800mA(1It:Itは定格容量(mA)/1h(時間)で表される数値)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した後、電池電圧が4.2Vの定電圧で終止電流が36mAになるまで定電圧充電した。この後、1800mA(1It)の放電電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させ、これを1サイクル目の充放電として、放電時間から1サイクル目の放電容量を求めた。
【0026】
続いて、室温(約25℃)で、1800mA(1It)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した後、電池電圧が4.2Vの定電圧で終止電流が36mAになるまで定電圧充電した。この後、5400mA(3It)の放電電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させ、これを2サイクル目の充放電として、放電時間から2サイクル目の放電容量を求めた。ついで、求めた1サイクル目の放電容量に対する2サイクル目の放電容量の割合をハイレート放電容量維持率(ハイレート放電容量維持率(%)=(2サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100)として算出すると、下記の表1に示すような結果となった。なお、表1においては、ハイレート放電容量維持率を負荷性能(%)として示している。
【0027】
また、室温(約25℃)で、1800mA(1It)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した後、電池電圧が4.2Vの定電圧で終止電流が36mAになるまで定電圧充電した。この後、1800mA(1It)の放電電流で電池電圧が3.2Vになるまで放電させ、これを1サイクル目の充放電として、放電時間から1サイクル目の放電容量を求めた。2サイクル以降の放電は5400mA(3It)の放電電流で電池電圧が3.2Vになるまで放電させた。このような充放電サイクルを300サイクル繰り返し、300サイクル目の放電容量を求めた。ついで、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を300サイクル容量維持率(300サイクル容量維持率(%)=(300サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量)×100)として算出すると、下記の表1に示すような結果となった。なお、表1においては、300サイクル容量維持率をサイクル性能(%)として示している。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1の結果から以下のことが明らかになった。即ち、比表面積が40m2/gのアセチレンブラックを用いると、導電助剤の分散性が優れるため、高充填時の圧縮圧が低くくなる。このため、固練りによらなくとも正極の表面抵抗が下がり易くなる。但し、吸液時間が長くなって吸液性が大きく低下するため、電池作製時の電解液の注液性が低下するとともに、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)が低下する。一方、比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを用いると、導電助剤の分散性が悪いため、高充填時の圧縮圧が高いとともに、固練りによっても導電ネットワークが形成され難い。このため、正極の表面抵抗が増加するようになって、サイクル性能(300サイクル容量維持率)の低下を招来することとなる。反面、吸液性が良好なために吸液時間が短くなって、電池作製時の電解液の注液性が向上するとともに、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)も向上する。
【0030】
なお、比表面積が100m2/gのアセチレンブラックを用いると、比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを用いた場合以上の性能の向上は見られず、逆に分散性が悪いことに起因して、圧縮圧が増加するようになる。また、何れの比表面積のアセチレンブラックであっても、その添加量が1質量%では導電ネットワークが形成され難いため、表面抵抗が高く、負荷性能およびサイクル性能が共に低下するようになる。そこで、比表面積が40m2/gのアセチレンブラックと比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを混合して使用することを以下に検討した。
【0031】
2.アセチレンブラックの混合使用についての検討
導電助剤としての比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1,2,3質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、上述のように得た正極活物質(LiCoO2)が93〜91質量%となるように混合して正極合剤β1(第2アセチレンブラックが1質量%のもの),β2(第2アセチレンブラックが2質量%のもの),β3(第2アセチレンブラックが3質量%のもの)を調製した。
【0032】
また、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が2質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1,2,3質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、上述のように得た正極活物質(LiCoO2)が92〜90質量%となるように混合して正極合剤β4(第2アセチレンブラックが1質量%のもの),β5(第2アセチレンブラックが2質量%のもの),β6(第2アセチレンブラックが3質量%のもの)を調製した。
【0033】
さらに、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が3質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1,2質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、上述のように得た正極活物質(LiCoO2)が91〜90質量%となるように混合して正極合剤β7(第2アセチレンブラックが1質量%のもの),β8(第2アセチレンブラックが2質量%のもの)を調製した。
【0034】
ついで、得られた正極合剤β1〜β8を用いて、これらにN−メチルピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。ついで、この正極スラリーを厚みが20μmの正極集電体(アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の充填密度(3.7g/cm3)になるまで圧延し、所定寸法(幅が55mmで、長さが500mm)に切断した。
【0035】
これにより、正極a1(合剤β1を用いたもの),a2(合剤β2を用いたもの),a3(合剤β3を用いたもの),a4(合剤β4を用いたもの),a5(合剤β5を用いたもの),a6(合剤β6を用いたもの),a7(合剤β7を用いたもの),a8(合剤β8を用いたもの)をそれぞれ作製した。ついで、これらの各正極a1〜a8を用いて、上述と同様に各正極a1〜a8の圧縮圧力、表面抵抗および吸液時間を測定すると、下記の表2に示すような結果が得られた。
【0036】
ついで、上述のように作製した各正極a1〜a8を用いて、上述と同様に設計容量が1800mAhの非水電解質二次電池A1〜A8をそれぞれ作製した。なお、正極a1を用いたものを電池A1とし、正極a2を用いたものを電池A2とし、正極a3を用いたものを電池A3とした。また、正極a4を用いたものを電池A4とし、正極a5を用いたものを電池A5とし、正極a6を用いたものを電池A6とした。さらに、正極a7を用いたものを電池A7とし、正極a8を用いたものを電池A8とした。
【0037】
ついで、これらの各電池A1〜A8を用いて、上述と同様に1サイクル目の放電容量と2サイクル目の放電容量を求めた後、1サイクル目の放電容量に対する2サイクル目の放電容量の割合をハイレート放電容量維持率(負荷性能)として算出すると、下記の表2に示すような結果となった。また、300サイクル目の放電容量求めた後、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を300サイクル容量維持率(サイクル性能)として算出すると、下記の表2に示すような結果となった。
【0038】
【表2】
【0039】
上記表2の結果から明らかになように、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が正極活物質(LiCoO2)の質量に対して1〜2質量%(1質量%以上で2質量%以下)混合された合剤に、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)を添加した場合、第2アセチレンブラックの添加量が1質量%から2質量%に増加すると、相対圧縮圧力および吸液時間が若干増加する反面、表面抵抗が低下して負荷性能およびサイクル性能が向上することが分かる。
【0040】
しかしながら、第2アセチレンブラックの添加量が3質量%に増加すると、相対圧縮圧力および吸液時間が増加し、しかも表面抵抗が殆ど低下せず、かつサイクル性能が向上せず、負荷性能が低下していることが分かる。また、第1アセチレンブラックが正極活物質(LiCoO2)の質量に対して3質量%混合された合剤にあっては、吸液時間が増加して負荷性能が低下していることが分かる。
【0041】
以上のことから、正極活物質(LiCoO2)の質量に対して比表面積が40m2/gのアセチレンブラックを1〜2質量%混合するとともに、比表面積が70m2/gのアセチレンブラックを1〜2質量%混合した正極を用いることにより、正極の表面抵抗の低減(充分な導電パスの形成)と圧縮圧の低減(良好な導電材の分散)、吸液性の確保(保液性の向上によるイオン導電性の確保)が改善されることが分かる。このため、第1アセチレンブラックおよび第2アセチレンブラックの添加量は、正極活物質(LiCoO2)の質量に対して1〜2質量%とするのが望ましいということができる。
【0042】
3.アセチレンブラックの比表面積の裕度についての検討
ついで、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)と、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)の比表面積の裕度について検討した。
【0043】
(1)第1アセチレンブラック(比表面積40m2/g)の比表面積の裕度
まず、比表面積が40m2/gの第1アセチレンブラックの比表面積の裕度について検討するため、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック以外に、比表面積が35m2/gのアセチレンブラック、比表面積が45m2/gのアセチレンブラックおよび比表面積が50m2/gのアセチレンブラックをそれぞれ用意した。この場合、アセチレンガスの自己発熱分解の反応温度を変化させて、比表面積が35m2/g,45m2/g,50m2/gと異なるアセチレンブラックを作製した。なお、自己発熱分解の反応温度が高温になるに伴って比表面積が増大するので、自己発熱分解の反応温度を変化させることにより、比表面積が異なるアセチレンブラックを作製できる。
【0044】
ついで、比表面積が35m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤γ1を調製した。
【0045】
また、比表面積が45m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤γ2を調製した。さらに、比表面積が50m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤γ3を調製した。
【0046】
ついで、得られた正極合剤γ1〜γ3を用いて、これらにN−メチルピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。ついで、この正極スラリーを厚みが20μmの正極集電体(アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の充填密度(3.7g/cm3)になるまで圧延し、所定寸法(幅が55mmで、長さが500mm)に切断した。
【0047】
これにより、正極b1(合剤γ1を用いたもの),b2(合剤γ2を用いたもの),b3(合剤γ3を用いたもの)をそれぞれ作製した。ついで、これらの各正極b1〜b3を用いて、上述と同様に各正極b1〜b3の圧縮圧力、表面抵抗および吸液時間を測定すると、下記の表3に示すような結果が得られた。ついで、各正極b1〜b3を用いて、上述と同様に設計容量が1800mAhの非水電解質二次電池B1〜B3をそれぞれ作製した。なお、正極b1を用いたものを電池B1とし、正極b2を用いたものを電池B2とし、正極b3を用いたものを電池B3とした。
【0048】
ついで、これらの各電池B1〜B3を用いて、上述と同様に1サイクル目の放電容量と2サイクル目の放電容量を求めた後、1サイクル目の放電容量に対する2サイクル目の放電容量の割合をハイレート放電容量維持率(負荷性能)として算出すると、下記の表3に示すような結果となった。また、300サイクル目の放電容量求めた後、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を300サイクル容量維持率(サイクル性能)として算出すると、下記の表3に示すような結果となった。なお、表3には電池A1(比表面積が40m2/gの第1アセチレンブラックを用いたもの)の結果も併せて示している。
【0049】
【表3】
【0050】
上記表3の結果から明らかなように、比表面積70m2/gの第2アセチレンブラックが1質量%と、比表面積50m2/gの第1アセチレンブラックが1質量%混合された正極活物質を用いた電池B3においては、表面抵抗が増加するとともに吸液時間が長くなり、かつ、サイクル性能が低下していることが分かる。一方、比表面積70m2/gの第2アセチレンブラックが1質量%と、比表面積35m2/g〜45m2/gの第1アセチレンブラックが1質量%混合された場合、これらの間に性能差は認められなかった。
これらのことから、比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の範囲内の第1アセチレンブラックであれば、その効果は比表面積が40m2/gの第1アセチレンブラックと同等の効果が得られると考えることができる。
【0051】
(2)第2アセチレンブラック(比表面積70m2/g)の比表面積の裕度
ついで、比表面積が70m2/gの第2アセチレンブラックの比表面積の裕度について検討するため、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック以外に、比表面積が60m2/gのアセチレンブラック、比表面積が65m2/gのアセチレンブラック、比表面積が75m2/gのアセチレンブラックおよび比表面積が80m2/gのアセチレンブラックをそれぞれ用意した。この場合、アセチレンガスの自己発熱分解の反応温度を変化させて、比表面積が60m2/g,65m2/g,75m2/g,80m2/gと異なるアセチレンブラックを作製した。
【0052】
ついで、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が60m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤δ1を調製した。また、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が65m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤δ2を調製した。
【0053】
また、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が75m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤δ3を調製した。さらに、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が80m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%で、正極活物質(LiCoO2)が93質量%となるように混合して正極合剤δ4を調製した。
【0054】
ついで、得られた正極合剤δ1〜δ4を用いて、これらにN−メチルピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。ついで、この正極スラリーを厚みが20μmの正極集電体(アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の充填密度(3.7g/cm3)になるまで圧延し、所定寸法(幅が55mmで、長さが500mm)に切断した。
【0055】
これにより、正極c1(合剤δ1を用いたもの),c2(合剤δ2を用いたもの),c3(合剤δ3を用いたもの),c4(合剤δ4を用いたもの)をそれぞれ作製した。ついで、これらの各正極c1〜c4を用いて、上述と同様に各正極c1〜c4の圧縮圧力、表面抵抗および吸液時間を測定すると、下記の表4に示すような結果が得られた。ついで、各正極c1〜c4を用いて、上述と同様に設計容量が1800mAhの非水電解質二次電池C1〜C4をそれぞれ作製した。なお、正極c1を用いたものを電池C1とし、正極c2を用いたものを電池C2とし、正極c3を用いたものを電池C3とし、正極c4を用いたものを電池C4とした。
【0056】
ついで、これらの各電池C1〜C4を用いて、上述と同様に1サイクル目の放電容量と2サイクル目の放電容量を求めた後、1サイクル目の放電容量に対する2サイクル目の放電容量の割合をハイレート放電容量維持率(負荷性能)として算出すると、下記の表4に示すような結果となった。また、300サイクル目の放電容量求めた後、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を300サイクル容量維持率(サイクル性能)として算出すると、下記の表4に示すような結果となった。なお、表4には電池A1(比表面積が70m2/gの第2アセチレンブラックを用いたもの)の結果も併せて示している。
【0057】
【表4】
【0058】
上記表4の結果から明らかなように、比表面積40m2/gの第1アセチレンブラックが1質量%と、比表面積80m2/gの第2アセチレンブラックが1質量%混合された正極活物質を用いた電池C4においては、相対圧縮圧力が増加するとともに表面抵抗も増加し、かつ吸液時間が長くなって、サイクル性能が低下していることが分かる。一方、比表面積40m2/gの第1アセチレンブラックが1質量%と、比表面積65m2/g〜75m2/gの第2アセチレンブラックが1質量%混合された場合、これらの間に性能差は認められなかった。
【0059】
これらのことから、比表面積が65m2/g以上で75m2/g以下の範囲内の第2アセチレンブラックであれば、その効果は比表面積が70m2/gの第2アセチレンブラックと同等の効果が得られると考えることができる。
そして、以上の表3及び表4の結果より、比表面積が65〜75m2/g(65m2/g以上で75m2/g以下)の第2アセチレンブラックを1質量%以上で2質量%以下、かつ比表面積が35〜45m2/g(35m2/g以上で45m2/g以下)の第1アセチレンブラックを1質量%以上で2質量%以下、混合した正極を用いることにより、導電性・充填性・吸液性が両立し、さらに負荷性能とサイクル性能を両立させることができると考えることができる。
【0060】
4.正極活物質材料についての検討
上述した例においては、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用い、これに比表面積が異なる第1アセチレンブラックと第2アセチレンブラックを混合する例について説明したが、他の正極活物質についても検討した。そこで、まず上述したコバルト酸リチウム(LiCoO2)以外に、コバルトの一部がZrで置換されたリチウム含有コバルト複合酸化物(LiCo0.9Zr0.1O2)、マンガンの一部がLiとMgで置換されたリチウム含有マンガン複合酸化物(Li1.07Mn1.89Mg0.04O4)、ニッケルの一部がCoとMnで置換されたリチウム含有ニッケル複合酸化物(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)を用意した。
【0061】
ついで、コバルトの一部がZrで置換されたリチウム含有コバルト複合酸化物(LiCo0.9Zr0.1O2)を用い、LiCo0.9Zr0.1O2が94質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤ε1を調製した。また、LiCo0.9Zr0.1O2が93質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤ε2を調製した。
【0062】
また、マンガンの一部がLiとMgで置換されたリチウム含有マンガン複合酸化物(Li1.07Mn1.89Mg0.04O4)を用い、Li1.07Mn1.89Mg0.04O4が94質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤ζ1を調製した。また、Li1.07Mn1.89Mg0.04O4が93質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤ζ2を調製した。
【0063】
さらに、ニッケルの一部がCoとMnで置換されたリチウム含有ニッケル複合酸化物(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)を用い、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2が94質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤η1を調製した。また、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2が93質量%で、比表面積が40m2/gのアセチレンブラック(第1アセチレンブラック)が1質量%で、比表面積が70m2/gのアセチレンブラック(第2アセチレンブラック)が1質量%で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量%となるように混合して正極合剤η2を調製した。
【0064】
ついで、得られた正極合剤ε1,ε2、ζ1,ζ2、η1,η2を用いて、これらにN−メチルピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。ついで、この正極スラリーを厚みが20μmの正極集電体(アルミニウム箔あるいはアルミニウム合金箔)の両面にドクターブレード法により塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ロールを用いて所定の充填密度(3.7g/cm3)になるまで圧延し、所定寸法(幅が55mmで、長さが500mm)に切断した。
【0065】
これにより、正極y1(合剤ε1を用いたもの),d1(合剤ε2を用いたもの),y2(合剤ζ1を用いたもの),d2(合剤ζ2を用いたもの),y3(合剤η1を用いたもの),d3(合剤η2を用いたもの)をそれぞれ作製した。ついで、上述のように作製した各正極y1,d1,y2,d2,y3,d3を用いて、上述と同様に設計容量が1800mAhの非水電解質二次電池Y1,D1,Y2,D2,Y3,D3をそれぞれ作製した。なお、正極y1を用いたものを電池Y1とし、正極d1を用いたものを電池D1とした。また、正極y2を用いたものを電池Y2とし、正極d2を用いたものを電池D2とした。また、正極y3を用いたものを電池Y3とし、正極d3を用いたものを電池D3とした。
【0066】
ついで、これらの各電池Y1,D1,Y2,D2,Y3,D3を用いて、上述と同様に1サイクル目の放電容量と2サイクル目の放電容量を求めた後、1サイクル目の放電容量に対する2サイクル目の放電容量の割合をハイレート放電容量維持率(負荷性能)として算出すると、下記の表5に示すような結果となった。また、300サイクル目の放電容量求めた後、1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合を300サイクル容量維持率(サイクル性能)として算出すると、下記の表5に示すような結果となった。なお、表5には上述した電池A1(正極a1を用いたもの)、電池X1(正極x1を用いたもの)の結果も併せて示している。
【0067】
【表5】
【0068】
上記表5の結果から明らかになように、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)に代えて、コバルトの一部がZrで置換されたリチウム含有コバルト複合酸化物(LiCo0.9Zr0.1O2)、マンガンの一部がLiとMgで置換されたリチウム含有マンガン複合酸化物(Li1.07Mn1.89Mg0.04O4)、ニッケルの一部がCoとMnで置換されたリチウム含有ニッケル複合酸化物(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)を用いても、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)およびサイクル性能(300サイクル容量維持率)がそれほど変わらないことが分かる。
このことから、リチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質として用い、これに導電助剤として第1アセチレンブラックと第2アセチレンブラックを混合して用いれば、負荷性能(ハイレート放電容量維持率)およびサイクル性能(300サイクル容量維持率)が向上することが分かる。
【0069】
なお、リチウム含有遷移金属酸化物としては、上述したLiCo0.9Zr0.1O2、Li1.07Mn1.89Mg0.04O4、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2以外には、LiCo1-xMxO2(但し、MはMg,V,Cr,Fe,Mn,Ni,Al,Ti,Zrから選択される少なくとも一種で、0≦x<1)で表されるリチウム含有コバルト複合酸化物、Li1+xMn2-yMxO4(但し、MはB,Mg,Si,V,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.54≦((1+x)+z)/(2−y)≦0.62で、−0.15≦x≦0.15,y≦0.5,0≦z≦0.1)で表されるリチウム含有マンガン複合酸化物、LiNixM1-xO2(但し、MはLi,B,Mg,Co,Mn,Ti,Zr,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.3≦x≦0.9)で表されるリチウム含有ニッケル複合酸化物のいずれかあるいはこれらの混合物から選択して用いるようにするのが望ましい。
【0070】
【発明の効果】
上述したように、本発明においては、正極活物質の質量に対して、比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックを1〜2質量%混合するとともに、比表面積が65〜75m2/gの第2アセチレンブラックを1〜2質量%混合した正極を用いることにより、正極の表面抵抗の低減(充分な導電パスの形成)と圧縮圧の低減(良好な導電材の分散)、吸液性の確保(保液性の向上によるイオン導電性の確保)が改善されるようになる。
Claims (3)
- リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を有する正極と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質を有する負極と、非水系電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極は導電助剤として比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックと、比表面積が65m2/g以上で75m2/g以下の第2アセチレンブラックとを備えるとともに、
前記第1アセチレンブラックおよび前記第2アセチレンブラックは前記正極活物質の質量に対してそれぞれ1質量%以上で2質量%以下含有していることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 前記リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質は、
一般式がLiCo1-xMxO2(但し、MはMg,V,Cr,Fe,Mn,Ni,Al,Ti,Zrから選択される少なくとも一種で、0≦x<1)で表されるリチウム含有コバルト複合酸化物、
一般式がLi1+xMn2-yMxO4(但し、MはB,Mg,Si,V,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.54≦((1+x)+z)/(2−y)≦0.62で、−0.15≦x≦0.15,y≦0.5,0≦z≦0.1)で表されるリチウム含有マンガン複合酸化物、
一般式がLiNixM1-xO2(但し、MはLi,B,Mg,Co,Mn,Ti,Zr,Cr,Fe,Al,Znから選択される少なくとも一種で、0.3≦x≦0.9)で表されるリチウム含有ニッケル複合酸化物のいずれかから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。 - 前記アセチレンブラックはアセチレンガスの自己発熱分解により生成されたものであって、
前記比表面積が65m2/g以上で75m2/g以下の第2アセチレンブラックは前記比表面積が35m2/g以上で45m2/g以下の第1アセチレンブラックの自己発熱分解の反応温度よりも高温で生成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
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