以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法、本開示のマグネシウム二次電池用負極、及び、本開示のマグネシウム二次電池、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法、本開示のマグネシウム二次電池用負極、及び、本開示のマグネシウム二次電池)
3.実施例2(本開示の第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法)
4.実施例3(本開示のマグネシウム二次電池の変形)
5.実施例4(本開示のマグネシウム二次電池の変形及び電気化学デバイス)
6.実施例5(実施例1〜実施例4のマグネシウム二次電池の応用例)
7.その他
〈本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法、本開示のマグネシウム二次電池用負極、及び、本開示のマグネシウム二次電池、全般に関する説明〉
本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法における化学メッキ法は、置換法とも呼ばれ、更には、浸漬メッキ法とも呼ばれる。
本開示の第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法にあっては、第(n+1)番目の下地層を、電気メッキ法あるいは電解析出法(電析法)に基づき形成する形態とすることができる。また、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法において、金属は、リチウム(Li)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びナトリウム(Na)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属である形態とすることができ、より好ましくはリチウム(Li)である形態とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法において、負極活物質層のBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上である形態とすることができる。ここで、負極活物質層のBET比表面積の測定は、負極活物質層の表面に吸着占有面積が周知のガス分子を吸着させ、ガス分子の吸着量から負極活物質層の比表面積を測定する方法に基づき行うことができる。
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法(以下、これらを総称して、『本開示の方法』と呼ぶ場合がある)にあっては、下地層(第1の下地層を含み、これらの下地層を総称して、以下、『下地層等』と呼ぶ場合がある)を集電体表面に形成する方法として、例えば、集電体表面に下地層等を圧着する方法、集電体表面に下地層等を電気メッキ法に基づき形成する方法、化学メッキ法に基づき形成する方法、化学メッキ法と電気メッキ法との組合せに基づき形成する方法、電解析出法(電析法)に基づき形成する方法を例示することができる。下地層等の厚さは、本質的に任意であるが、例えば、20μm乃至50μmを挙げることができる。
本開示の第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法におけるNの値は、本質的に任意であり、最終的に要求されるマグネシウム層の厚さに基づき決定すればよい。第(n+1)番目の下地層の厚さも、最終的に要求されるマグネシウム層の厚さに基づき決定すればよい。
集電体を構成する材料として、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等の金属箔や合金箔(金属板や合金箔を含む)といった箔状材料あるいは板状材料を挙げることができる。負極活物質層(マグネシウム層)は、集電体の片面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。負極活物質層(マグネシウム層)の形成は、回分式(バッチ式)にて行うこともできるし、連続的に(所謂ロール・ツー・ロール方式にて)行うこともできる。
化学メッキ法(無電解メッキ法とも呼ばれる)に基づきマグネシウム層を形成するが、マグネシウム層の形成におけるメッキ液を構成する組成として、マグネシウム塩を挙げることができる。即ち、具体的には、MgX2(但し、Xは、ハロゲンであり、望ましくは、塩素(Cl)又は臭素(Br))を挙げることができる。あるいは又、R2−Mgを挙げることができ、ここで、Rとして、アルキル基、ジアルキルボロン基、ジアリールボロン基、アルキルカルボニル基(例えば、メチルカルボニル基)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基)、アルキルスルホニル基(例えば、トリフルオロメチルスルホニル基)を挙げることができる。あるいは又、R’−Mg−Xを挙げることができ、ここで、R’として、炭素数1乃至10の直鎖型あるいは分枝型のアルキル基やアリール基、アミノ基を挙げることができ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基、アニリン基を挙げることができ、また、Xは上記のとおりである。あるいは又、メッキ液を構成する組成として、Mg(ClO4)2を挙げることができる。そして、これらの組成物を、単独で使用することができるし、2種以上を混合して使用することもできる。また、溶媒として、エチル−n−プロピルスルホン(EnPS)等のスルホン系、トリグライム、THF等のエーテル系の溶媒を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、上記のマグネシウム塩を溶解し、マグネシウムを析出することができるもの(マグネシウムを溶媒から離すことができるもの)であれば、如何なる溶媒も使用可能である。
電気メッキ法に基づき、例えば、リチウム(Li)から成る下地層を形成する場合、リチウムイオン二次電池で使用されるLiが析出可能な電解液であれば、どのような電解液でもメッキ液として使用することができる。具体的には、メッキ液を構成する組成として、例えば、1モル/リットルのLiPF6を含む、EC(エチレンカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)の混合溶媒(混合比は体積比で1:1)を挙げることができる。
本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法によって得られたマグネシウム層を電極に用いることで、空気電池、燃料電池を構成することもできる。
本開示のマグネシウム二次電池、本開示の第1の態様〜第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法によって得られたマグネシウム二次電池、あるいは又、本開示のマグネシウム二次電池用負極を備えたマグネシウム二次電池を、以下、総称して、『本開示におけるマグネシウム二次電池等』と呼ぶ。
また、本開示におけるマグネシウム二次電池等において、例えば、硫黄(S)、フッ化黒鉛((CF)n)、各種の金属[例えば、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)等]の酸化物やハロゲン化物、硫化物、セレナイド等を正極活物質として用いた正極を用いることができるが、これに限定するものではない。正極は、例えば、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された構造とすることができる。但し、正極は、正極集電体を備えず、正極活物質層のみから成る構造とすることもできる。正極集電体は、例えば、アルミニウム箔等の金属箔から成る。正極活物質層は、必要に応じて導電助剤及び結着剤の内の少なくとも1種を含んでいてもよい。
導電助剤として、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。炭素繊維として、例えば、気相成長炭素繊維(Vapor Growth Carbon Fiber:VGCF)等を用いることができる。カーボンブラックとして、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を用いることができる。カーボンナノチューブとして、例えば、シングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWCNT)等のマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)等を用いることができる。導電性が良好な材料であれば、炭素材料以外の材料を用いることもでき、例えば、Ni粉末のような金属材料、導電性高分子材料等を用いることもできる。結着剤として、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)系樹脂等の高分子樹脂を用いることができる。また、結着剤として導電性高分子を用いてもよい。導電性高分子として、例えば、置換又は無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、及び、これらから選ばれた1種又は2種から成る(共)重合体等を用いることができる。
正極と負極とは、両極の接触による短絡を防止しつつ、マグネシウムイオンを通過させる無機セパレータあるいは有機セパレータによって分離されている。セパレータは、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、芳香族ポリアミドといった合成樹脂から成る多孔質膜;セラミック等の多孔質膜;ガラス繊維;液晶ポリエステル繊維や芳香族ポリアミド繊維、セルロース系繊維から成る不織布、セラミック製の不織布等から構成されているが、中でも、ポリプロピレン、ポリエチレンの多孔質フィルム、多孔質膜が、短絡防止効果に優れ、且つ、シャットダウン効果による二次電池の安全性向上を図ることができるといった観点から好ましい。あるいは又、セパレータを2種類以上の多孔質膜が積層された積層膜から構成することもできるし、無機物層が塗布されたセパレータや、無機物含有セパレータとすることもできる。セパレータの厚さは、5μm以上、50μm以下であることが好ましく、7μm以上、30μm以下であることがより好ましい。セパレータは、厚すぎると活物質の充填量が低下して電池容量が低下すると共に、イオン伝導性が低下して電流特性が低下する。逆に薄すぎると、セパレータの機械的強度が低下する。
本開示におけるマグネシウム二次電池は電解液を含んでいる。ここで、電解液は、スルホン、及び、スルホンに溶解したマグネシウム塩を含んでおり、マグネシウム塩は、マグネシウムのハロゲン化物から成る形態とすることができる。マグネシウムのハロゲン化物として、MgX2(X=Cl,Br,I)、具体的には、塩化マグネシウム(MgCl2)、臭化マグネシウム(MgBr2)、ヨウ化マグネシウム(MgI2)を挙げることができる。あるいは又、マグネシウム塩として、過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO4)2)、テトラフルオロホウ酸マグネシウム(Mg(BF4)2)、ヘキサフルオロリン酸マグネシウム(Mg(PF6)2)、ヘキサフルオロヒ酸マグネシウム(Mg(AsF6)2)、パーフルオロアルキルスルホン酸マグネシウム((Mg(Rf1SO3)2)、但し、Rf1はパーフルオロアルキル基)、テトラフェニルホウ酸マグネシウム(Mg(B(C6H5)4)2)、及び、パーフルオロアルキルスルホニルイミド酸マグネシウム(Mg((Rf2SO2)2N)2、但し、Rf2はパーフルオロアルキル基)から成る群より選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。尚、上記の塩化マグネシウムからパーフルオロアルキルスルホニルイミド酸マグネシウムまでに挙げたマグネシウム塩を、便宜上、『マグネシウム塩−A』と呼ぶ。そして、マグネシウム塩−Aにおいて、マグネシウム塩に対するスルホンのモル比は、例えば、4以上、35以下とすることが好ましく、6以上、16以下とすることがより好ましく、7以上、9以下とすることが一層好ましいが、これらに限定されるものではない。
あるいは又、マグネシウム塩として、水素化ホウ素マグネシウム(Mg(BH4)2)を挙げることができる。このように、使用するマグネシウム塩が、水素化ホウ素マグネシウム(Mg(BH4)2)から成り、ハロゲン原子を含まないと、マグネシウム二次電池を構成する各種部材を耐食性の高い材料から作製する必要が無くなる。尚、このような電解液は、水素化ホウ素マグネシウムをスルホンに溶解させることによって製造することができる。水素化ホウ素マグネシウム(Mg(BH4)2)から成るマグネシウム塩を、便宜上、『マグネシウム塩−B』と呼ぶ。このような電解液は、スルホンから成る溶媒にマグネシウム塩−Bが溶解したマグネシウムイオン含有非水系電解液である。電解液中のマグネシウム塩−Bに対するスルホンのモル比は、例えば、50以上、150以下であり、典型的には、60以上、120以下であり、好ましくは、65以上、75以下であるが、これに限定するものではない。
そして、スルホンを、R1R2SO2(但し、R1、R2はアルキル基を表す)で表されるアルキルスルホン又はアルキルスルホン誘導体とすることができる。R1、R2の種類(炭素数及び組み合わせ)は特に限定されず、必要に応じて選ばれる。R1、R2の炭素数は、いずれも、好ましくは4以下であるが、これに限定するものではない。また、R1の炭素数とR2の炭素数との和は、好ましくは、4以上、7以下であるが、これに限定するものではない。R1、R2として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基を挙げることができる。
アルキルスルホンとして、具体的には、ジメチルスルホン(DMS)、メチルエチルスルホン(MES)、メチル−n−プロピルスルホン(MnPS)、メチル−i−プロピルスルホン(MiPS)、メチル−n−ブチルスルホン(MnBS)、メチル−i−ブチルスルホン(MiBS)、メチル−s−ブチルスルホン(MsBS)、メチル−t−ブチルスルホン(MtBS)、エチルメチルスルホン(EMS)、ジエチルスルホン(DES)、エチル−n−プロピルスルホン(EnPS)、エチル−i−プロピルスルホン(EiPS)、エチル−n−ブチルスルホン(EnBS)、エチル−i−ブチルスルホン(EiBS)、エチル−s−ブチルスルホン(EsBS)、エチル−t−ブチルスルホン(EtBS)、ジ−n−プロピルスルホン(DnPS)、ジ−i−プロピルスルホン(DiPS)、n−プロピル−n−ブチルスルホン(nPnBS)、n−ブチルエチルスルホン(nBES)、i−ブチルエチルスルホン(iBES)、s−ブチルエチルスルホン(sBES)及びジ−n−ブチルスルホン(DnBS)から成る群より選ばれた少なくとも1種類のアルキルスルホンを挙げることができる。また、アルキルスルホン誘導体として、エチルフェニルスルホン(EPhS)を挙げることができる。そして、これらのスルホンの内でも、EnPS、EiPS、EsBS及びDnPSから成る群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
電解液には、必要に応じて、更に、添加剤が含有されていてもよい。添加剤として、例えば、金属イオンが、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びランタン(La)から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子又は原子団の陽イオンから成る塩を挙げることができる。あるいは又、添加剤として、水素、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ベンジル基、アミド基、フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)、ヨウ化物イオン(I-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF6 -)、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン(Rf1SO3 -、但し、Rf1はパーフルオロアルキル基)及びパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオン((Rf2SO2)2N-、但し、Rf2はパーフルオロアルキル基)から成る群より選ばれた少なくとも1種の原子、有機基、又は、陰イオンから成る塩を挙げることができる。このような添加剤の添加により、電解液のイオン伝導度の向上を図ることができる。
マグネシウム塩−Aを用いる電解液は、例えば、
マグネシウム塩−Aが可溶な低沸点溶媒にマグネシウム塩−Aを溶解させた後、
低沸点溶媒にマグネシウム塩−Aを溶解させた溶液にスルホンを溶解させ、次いで、
スルホンを溶解させた溶液から低沸点溶媒を除去する、
各工程に基づき製造することができる。
マグネシウム塩−Aが可溶な低沸点溶媒として、マグネシウム塩−Aが可溶な溶媒の内、選択するスルホンよりも沸点の低い溶媒であれば、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれるが、好適にはアルコールが用いられる。アルコールは、一価アルコールでも多価アルコールでもよく、飽和アルコールでも不飽和アルコールでもよい。アルコールとして、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、1−ブタノール、2−ブタノール(sec−ブタノール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブタノール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)、1−ペンタノール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アルコールとして、脱水アルコールを用いることが好ましい。
具体的には、先ず、アルコールにマグネシウム塩−Aを溶解させる。マグネシウム塩−Aとして、好適には、無水マグネシウム塩を用いることができる。通常、マグネシウム塩−Aは、スルホンには溶解しないが、アルコールには良く溶解する。こうして、アルコールにマグネシウム塩−Aを溶解させると、マグネシウムにアルコールが配位する。次に、マグネシウム塩−Aを溶解したアルコールにスルホンを溶解させる。その後、この溶液を減圧下で加熱することによってアルコールを除去する。こうしてアルコールを除去する過程で、マグネシウムに配位したアルコールがスルホンと交換(あるいは置換)する。以上により、電解液を製造することができる。
このように、非エーテル系溶媒であるスルホンを用いて、金属マグネシウムに対して使用可能で、室温で電気化学的に可逆なマグネシウムの析出溶解反応を示すマグネシウムイオン含有非水系電解液を得ることができる。
あるいは又、電解液は、スルホン及び非極性溶媒から成る溶媒、並びに、溶媒に溶解したマグネシウム塩−Aを有する。
非極性溶媒は、必要に応じて選ばれるが、好適には、誘電率及びドナー数がいずれも20以下である非水系溶媒である。非極性溶媒として、より具体的には、例えば、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル及び鎖状炭酸エステルから成る群より選ばれた少なくとも1種の非極性溶媒を挙げることができる。芳香族炭化水素として、例えば、トルエン、ベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1−メチルナフタレン等を挙げることができる。エーテルとして、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。ケトンとして、例えば、4−メチル−2−ペンタノン等を挙げることができる。エステルとして、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等を挙げることができる。鎖状炭酸エステルとして、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等を挙げることができる。
スルホン及びマグネシウム塩−Aについては、上述したとおりである。また、必要に応じて、電解液に上述した添加剤を加えてもよい。そして、マグネシウム塩−Aに対するスルホンのモル比は、例えば、4以上、20以下とすることがより好ましく、6以上、16以下とすることがより好ましく、7以上、9以下とすることが一層好ましいが、これらに限定されるものではない。
マグネシウム塩−A及び非極性溶媒を用いる電解液は、例えば、
マグネシウム塩−Aが可溶な低沸点溶媒にマグネシウム塩−Aを溶解させた後、
低沸点溶媒にマグネシウム塩−Aを溶解させた溶液にスルホンを溶解させ、次いで、
スルホンを溶解させた溶液から低沸点溶媒を除去した後、
低沸点溶媒を除去した溶液に非極性溶媒を混合する、
各工程に基づき製造することができる。
具体的には、先ず、アルコールにマグネシウム塩−Aを溶解させる。これによって、マグネシウムにアルコールが配位する。マグネシウム塩−Aとして、好適には、無水マグネシウム塩を用いることができる。次に、マグネシウム塩を溶解したアルコールにスルホンを溶解させる。その後、この溶液を減圧下で加熱することによってアルコールを除去する。こうしてアルコールを除去する過程で、マグネシウムに配位したアルコールがスルホンと交換(あるいは置換)する。次に、アルコールを除去した溶液に非極性溶媒を混合する。以上により、電解液を製造することができる。
あるいは又、溶媒として、その他、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトンを挙げることができ、これらの内、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
あるいは又、一般的に使用されるTHF(テトラヒドロフラン)のようなエーテル系溶媒を用いることもできる。
電解質層を、電解液、及び、電解液を保持する保持体から成る高分子化合物から構成することができる。高分子化合物は、電解液によって膨潤されるものであってもよい。この場合、電解液により膨潤された高分子化合物はゲル状であってもよい。高分子化合物として、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリカーボネートを挙げることができる。特に、電気化学的な安定性の点から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。電解質層を、固体電解質層とすることもできる。
以上に説明した構成を有するマグネシウム二次電池(マグネシウムイオン二次電池)の概念図を図11に示すように、充電時、マグネシウムイオン(Mg2+)が正極から電解液を通って負極に移動することにより電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄電する。放電時には、負極から電解液を通って正極にマグネシウムイオンが戻ることにより電気エネルギーを発生させる。
本開示におけるマグネシウム二次電池において、正極、セパレータ及び負極によって構成される電極構造体は、正極、セパレータ、負極及びセパレータが捲回された状態であってもよいし、正極、セパレータ、負極及びセパレータがスタックされた状態であってもよい。帯状の電極構造体あるいは捲回電極構造体は、捲回された状態で電極構造体収納部材に収納されている形態とすることができるし、帯状の電極構造体は、スタックされた状態で電極構造体収納部材に収納されている形態とすることができる。そして、これらの場合、電極構造体収納部材の外形形状は、円筒型又は角型(平板型)である形態とすることができる。マグネシウム二次電池の形状、形態として、コイン型、ボタン型、円盤型、平板型、角型、円筒型、ラミネート型(ラミネートフィルム型)を挙げることができる。
円筒型のマグネシウム二次電池を構成する電極構造体収納部材(電池缶)の材料として、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等、あるいは、これらの合金、ステンレス鋼(SUS)等を挙げることができる。電池缶には、二次電池の充放電に伴う電気化学的な腐食を防止するために、例えばニッケル等のメッキが施されていることが好ましい。ラミネート型(ラミネートフィルム型)の二次電池における外装部材は、プラスチック材料層(融着層)、金属層及びプラスチック材料層(表面保護層)の積層構造を有する形態、即ち、ラミネートフィルムである形態とすることが好ましい。ラミネートフィルム型の二次電池とする場合、例えば、融着層同士が電極構造体を介して対向するように外装部材を折り畳んだ後、融着層の外周縁部同士を融着する。但し、外装部材は、2枚のラミネートフィルムが接着剤等を介して貼り合わされたものでもよい。融着層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン、これらの重合体等のオレフィン樹脂のフィルムから成る。金属層は、例えば、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、ニッケル箔等から成る。表面保護層は、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等から成る。中でも、外装部材は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。但し、外装部材は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレン等の高分子フィルムでもよいし、金属フィルムでもよい。
スポット溶接又は超音波溶接に基づき、正極リード部を正極集電体に取り付けることができる。正極リード部は金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的及び化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくともよい。正極リード部の材料として、例えば、アルミニウム(Al)等を挙げることができる。また、スポット溶接又は超音波溶接に基づき、負極集電体に負極リード部を取り付けることができる。負極リード部は金属箔、網目状のものが望ましいが、電気化学的及び化学的に安定であり、導通がとれるものであれば金属でなくともよい。負極リード部の材料として、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を挙げることができる。
本開示におけるマグネシウム二次電池は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、各種表示装置、PDA(Personal Digital Assistant)を含む携帯情報端末、携帯電話機、スマートフォン、コードレス電話の親機や子機、ビデオムービー(ビデオカメラやカムコーダ)、デジタルスチルカメラ、電子書籍(電子ブック)や電子新聞等の電子ペーパー、電子辞書、音楽プレーヤ、携帯音楽プレイヤー、ラジオ、携帯用ラジオ、ヘッドホン、ヘッドホンステレオ、ゲーム機、ナビゲーションシステム、メモリカード、心臓ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコンディショナー、テレビジョン受像機、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥機、室内灯等を含む照明機器、各種電気機器(携帯用電子機器を含む)、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機、鉄道車両、ゴルフカート、電動カート、電気自動車(ハイブリッド自動車を含む)等の駆動用電源又は補助電源として使用することができる。また、住宅をはじめとする建築物又は発電設備用の電力貯蔵用電源等に搭載し、あるいは、これらに電力を供給するために使用することができる。電気自動車において、電力を供給することにより電力を駆動力に変換する変換装置は、一般的にはモータである。車両制御に関する情報処理を行う制御装置としては、二次電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う制御装置等が含まれる。
また、マグネシウム二次電池を、所謂スマートグリッドにおける蓄電装置において用いることもできる。このような蓄電装置は、電力を供給するだけでなく、他の電力源から電力の供給を受けることにより蓄電することができる。他の電力源としては、例えば、火力発電、原子力発電、水力発電、太陽電池、風力発電、地熱発電、燃料電池(バイオ燃料電池を含む)等を用いることができる。
二次電池、二次電池に関する制御を行う制御手段、及び、二次電池を内包する外装部材を有する電池パックにおける二次電池に、上記の各種の好ましい形態を含む本開示におけるマグネシウム二次電池を適用することができる。この電池パックにおいて、制御手段は、例えば、二次電池に関する充放電、過放電又は過充電の制御を行う。
二次電池から電力の供給を受ける電子機器における二次電池に、上記の各種の好ましい形態を含む本開示におけるマグネシウム二次電池を適用することができる。
二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置、及び、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置を有する電動車両における二次電池に、上記の各種の好ましい形態を含む本開示におけるマグネシウム二次電池を適用することができる。この電動車両において、変換装置は、典型的には、二次電池から電力の供給を受けてモータを駆動させ、駆動力を発生させる。モータの駆動には、回生エネルギーを利用することもできる。また、制御装置は、例えば、二次電池の電池残量に基づいて車両制御に関する情報処理を行う。この電動車両には、例えば、電気自動車、電動バイク、電動自転車、鉄道車両等の他、所謂ハイブリッド車が含まれる。
二次電池から電力の供給を受け、及び/又は、電力源から二次電池に電力を供給するように構成された電力貯蔵システム(あるいは電力供給システム)における二次電池に、上記の各種の好ましい形態を含む本開示におけるマグネシウム二次電池を適用することができる。この電力貯蔵システムは、およそ電力を使用するものである限り、どのような電力貯蔵システムであってもよく、単なる電力装置も含む。この電力貯蔵システムは、例えば、スマートグリッド、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)、車両等を含み、蓄電も可能である。
二次電池を有し、電力が供給される電子機器が接続されるように構成された電力貯蔵用電源における二次電池に、上記の各種の好ましい形態を含む本開示におけるマグネシウム二次電池を適用することができる。この電力貯蔵用電源の用途は問わず、基本的にはどのような電力システム又は電力装置にも用いることができるが、例えば、スマートグリッドに用いることができる。
実施例1は、本開示のマグネシウム二次電池及びマグネシウム二次電池用負極、並びに本開示の第1の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法に関する。
実施例1におけるマグネシウム二次電池10を分解した状態の模式図を図1Aに示し、化学メッキ処理前後におけるマグネシウム二次電池用負極の模式的な一部断面図を図1B及び図1Cに示す。ここで、実施例1のマグネシウム二次電池用負極25は、集電体25A、及び、集電体25Aの表面に形成されたマグネシウムから成る負極活物質層25Bを備えている。そして、負極活物質層25BのBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上である。尚、負極活物質層25Bは、集電体25Aの片面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。図示した例では、負極活物質層25Bは、集電体25Aの片面に形成されている。実施例1のマグネシウム二次電池は、実施例1のマグネシウム二次電池用負極を備えている。
以下に説明する方法で、マグネシウム二次電池用負極を製造した。即ち、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属(具体的には、リチウム,Li)を含む下地層25Cが表面に形成された集電体25Aを準備する。より具体的には、厚さ10μmの銅箔(集電体25A)の片面に厚さ50μmのリチウム箔(下地層25C)を圧着することで、銅箔/リチウム箔が積層された積層箔を準備する(図1B参照)。積層箔を直径15mmに打ち抜いた。そして、下地層を素材として、化学メッキ法によって、マグネシウム層から成る負極活物質層を集電体上に形成した。あるいは又、化学メッキ法に基づき、下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、マグネシウム層から成る負極活物質層25Bを集電体25A上に形成した(図1C参照)。
具体的には、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)製の容器内において、積層箔1枚当たり1.5ミリリットルのメッキ液に積層箔を浸漬した。メッキ液は、MgCl2:EnPS=1モル/リットル:8モル/リットルの組成を有する。そして、150時間、積層箔をメッキ液に浸漬した。その後、積層箔からメッキ液を除去し、新たなメッキ液で積層箔を洗浄し、更に、メッキ液を除去した。
化学メッキ処理前後の積層箔の写真を図2に示す。化学メッキ処理前は銀色の金属光沢(写真の表面はリチウム箔)が確認された。また、化学メッキ液への浸漬処理後には黒色の析出物で覆われていることが確認された。メッキ液への浸漬を開始してから2時間後にはリチウム箔の表面に変色が生じたことから、2時間経過後には、リチウムがマグネシウムと置換されることによってマグネシウムが析出される現象が進み、非常に短時間で化学メッキが終了する可能性が示唆された。
化学メッキ処理後の析出物を銅箔から掻き落とし、析出物をICP質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP−MS)に基づく元素分析を行った結果、マグネシウムが99質量%、リチウムが1質量%といった結果が得られた。即ち、元素分析の結果、ほぼ全てのリチウムがマグネシウムに置換されていることが明らかとなった。尚、1質量%のリチウムは、メッキ液由来(溶出したリチウム)である可能性が高い。実施例1にあっては、下地層を構成する金属(リチウム)をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、マグネシウム層を集電体上に形成した。即ち、下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、マグネシウム層を形成することができた。このように、化学メッキ処理により、通電等の処理を一切行うことなく、非常に高純度のマグネシウム層を形成できることが実証された。
更には、BET比表面積測定を行った。その結果、負極活物質層(マグネシウム層)1グラム当たり、41.8m2との結果が得られた。尚、金属マグネシウム板のBET比表面積は0.01m2であった。即ち、化学メッキ処理により、大きな比表面積を有するマグネシウム層を形成することができることが確認された。
実施例1において、正極に硫黄(S)を含み、陰極にマグネシウムを含むマグネシウム二次電池(コイン電池CR2016タイプ)を作製した。具体的には、マグネシウム(Mg)を負極、硫黄(S)を正極として、コイン電池を作製した。実施例1のマグネシウム二次電池(具体的には、コイン電池10)を分解した状態を図1Aの模式図に示す。コイン電池10の組立にあっては、コイン電池缶21にガスケット22を載せ、硫黄から成る正極23、ポリプロピレン製の多孔質膜から成るセパレータ24、直径1.5mm、負極25(厚さ10μmのCu板から成る負極集電体25A、及び、負極集電体25A上に形成された負極活物質層25B)、厚さ0.2μmのステンレス鋼板から成るスペーサ26、コイン電池蓋27の順に積層した後、コイン電池缶21をかしめて封止した。スペーサ26はコイン電池蓋27に予めスポット溶接しておいた。セパレータ24には電解液が含まれている。
正極23は、正極合剤シートがニッケル製のメッシュに埋め込まれた構造(ペレット正極構造)を有する。ここで、正極合剤シートは、硫黄(S8)を10質量%含有し、更に、導電助剤としてケッチェンブラックを65質量%含有し、結着剤としてPTFEを25質量%含有する。正極合剤シートは、これらの材料をアセトンに分散させ、圧縮成型した後、真空雰囲気、70゜C、12時間、乾燥させることで、得ることができた。
電解液は、スルホン、及び、スルホンに溶解したマグネシウム塩(具体的には、マグネシウムのハロゲン化物であり、より具体的には、MgX2(X=Cl,Br,I)、より一層具体的には、MgCl2)を含んでいる。スルホンは、R1R2SO2(但し、R1、R2はアルキル基を表す)で表されるアルキルスルホンから成り、具体的には、エチル−n−プロピルスルホン(EnPS)から成る。より具体的には、電解液は、MgCl2:EnPS=1:8(モル比)から成る。
比較例1のマグネシウム二次電池にあっては、金属マグネシウム板から負極を構成した。具体的には、厚さ0.25mmの金属マグネシウム板を直径15mmの円形に打ち抜き、アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内でサンドペーパーで入念に研磨し、表面の酸化被膜除去を行った。以上の点を除き、また、スペーサ26を使用していない点を除き、比較例1のマグネシウム二次電池を実施例1のマグネシウム二次電池と同様にして組み立てた。
そして、以下の表1に示す試験条件に基づき充放電試験を行った。
〈表1〉
放電条件 :0.1ミリアンペア/カットオフ電圧0.7ボルト
充電条件 :0.1ミリアンペア/カットオフ電圧2.5ボルト
試験環境 :25゜C
実施例1のマグネシウム二次電池及び比較例1のマグネシウム二次電池の放電曲線を図3に示す。尚、横軸の放電率は、実施例1及び比較例1のマグネシウム二次電池の最大放電容量を100%として規格化した値である。また、図3中、「A」は実施例1の結果を示し、「B」は比較例1の結果を示す。比較例1のマグネシウム二次電池に比べて、実施例1のマグネシウム二次電池では放電時のセル電圧が大きく上昇していることが分かる。平均放電電圧は、比較例1のマグネシウム二次電池が0.92ボルトであるのに対して、実施例1のマグネシウム二次電池は1.30ボルトであり、約0.4ボルト上昇した。また、サイクル特性を比較すると、比較例1のマグネシウム二次電池のサイクル劣化率を「100%」としたとき、実施例1のマグネシウム二次電池では90%となり、10%のサイクル特性向上効果が見られた。尚、サイクル劣化率は、以下で表される。
サイクル劣化率
={1−(充放電4サイクル後の放電容量/初回放電容量)}×100(%)
以上に説明したように、化学メッキ法に基づき形成された負極活物質層を備えたマグネシウム二次電池(具体的には、マグネシウム−硫黄二次電池)は、負極に金属マグネシウム板を用いたマグネシウム二次電池と比較して、放電電圧が大きく向上するし、サイクル特性も向上する。化学メッキ法に基づき形成されたマグネシウム層は、金属マグネシウム板と比較して、非常に大きな比表面積を有しているため、負極活物質と電解液との間の反応界面が増大する結果、放電時の過電圧が大きく抑制されたものと推測される。また、サイクル特性の向上についても、同様の理由により、充放電反応時の負荷が低減され、しかも、副反応等が低減したためであると考えられる。従って、化学メッキ法に基づきマグネシウム層から成る負極活物質層を形成することで、高性能、且つ、製造コストを低減し得るマグネシウム二次電池を実現することができる。また、化学メッキ法に基づくマグネシウム層(負極活物質層)の形成コストは、圧延法によるマグネシウム箔の製造はもとより、電気メッキ法や蒸着法でのマグネシウム層の形成よりも安価であるし、高い安全性を有する。
実施例2は、本開示の第2の態様に係るマグネシウム二次電池用負極の製造方法に関する。
リチウムは延性に優れているため、下地層であるリチウム層の厚さを変えることで、所望の厚さのマグネシウム層を容易に作製することができる。一方、化学メッキ法に基づき下地層を構成する金属をマグネシウムと置換するとき、下地層の厚さは、一般に数十μm程度が限界とされる。
実施例2のマグネシウム二次電池用負極の製造方法にあっては、
マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第1の下地層が表面に形成された集電体を準備し、
(A)第1の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成し、次いで、
(B)第n番目(但し、n=1,2,・・・,N−1であり、Nは2以上の整数)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目の下地層を形成した後、第(n+1)番目の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する工程を、nを1から(N−1)まで繰り返し、以て、マグネシウム層が積層されて成る負極活物質層を集電体上に形成する、
各工程を備えている。
あるいは又、実施例2にあっては、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第1の下地層が表面に形成された集電体を準備し、
(A)化学メッキ法に基づき、第1の下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成し、次いで、
(B)第n番目(但し、n=1,2,・・・,N−1であり、Nは2以上の整数)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目の下地層を形成した後、化学メッキ法に基づき、第(n+1)番目の下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する工程を、nを1から(N−1)まで繰り返し、あるいは又、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する工程を、nを1から(N−1)まで繰り返し、以て、マグネシウム層が積層されて成る負極活物質層を集電体上に形成する、
各工程を備えている。
ここで、実施例2のマグネシウム二次電池用負極の製造方法にあっては、第(n+1)番目の下地層を電気メッキ法に基づき形成する。
具体的には、先ず、実施例1と同様に、厚さ10μmの銅箔上に厚さ50μmのリチウム箔が積層された積層箔を準備する。そして、実施例1と同様に、化学メッキ法に基づき、第1の下地層を構成する金属(具体的には、リチウム)をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成する。あるいは又、第1の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成する。
次いで、第n番目(但し、n=1であり、第1番目)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属(具体的には、リチウム)を含む第(n+1)番目(=第2番目)の下地層(第2番目のリチウム層)を形成した後、化学メッキ法に基づき、第(n+1)番目の下地層(第2番目)を構成する金属(リチウム)をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、第n番目(=第1番目)のマグネシウム層上に第(n+1)番目(=第2番目)のマグネシウム層を形成する。あるいは又、第n番目(=第1番目)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目(=第2番目)の下地層を形成した後、第(n+1)番目の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する。N=2とする場合には、以上の工程によってマグネシウム層(負極活物質層)の形成が完了する。
N=3とする場合、次いで、第n番目(但し、n=2であり,第2番目)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属(具体的には、リチウム)を含む第(n+1)番目(=第3番目)の下地層(第3番目のリチウム層)を形成した後、化学メッキ法に基づき、第(n+1)番目の下地層(第3番目)を構成する金属(リチウム)をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、第n番目(=第2番目)のマグネシウム層上に第(n+1)番目(=第3番目)のマグネシウム層を形成する。あるいは又、第n番目(=第2番目)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目(=第3番目)の下地層を形成した後、第(n+1)番目の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する。N=3とする場合には、以上の工程によってマグネシウム層(負極活物質層)の形成が完了する。
このように、実施例2のマグネシウム二次電池用負極の製造方法にあっては、第n番目の下地層の厚さ及びNの値を規定することで、所望の厚さを有するマグネシウム層を得ることができる。
実施例3にあっては、円筒型の二次電池及び平板型のラミネートフィルム型の二次電池を説明する。
マグネシウム二次電池100は、円筒型の二次電池から成る。円筒型のマグネシウム二次電池100の模式的な断面図を図4に示す。また、二次電池を構成する電極構造体の長手方向に沿った模式的な一部断面図を図5に示す。ここで、図5は、正極リード部及び負極リード部が配されていない部分の模式的な一部断面図であり、図面の簡素化のために電極構造体を平坦に示すが、実際には、電極構造体は捲回されているので、湾曲している。
マグネシウム二次電池100にあっては、ほぼ中空円柱状の電極構造体収納部材111の内部に、電極構造体121及び一対の絶縁板112,113が収納されている。電極構造体121は、例えば、セパレータ126を介して正極122と負極124とを積層して電極構造体を得た後、電極構造体を捲回することで作製することができる。
電極構造体収納部材(電池缶)111は、一端部が閉鎖され、他端部が開放された中空構造を有しており、鉄(Fe)やアルミニウム(Al)等から作製されている。電極構造体収納部材111の表面にはニッケル(Ni)等がメッキされていてもよい。一対の絶縁板112,113は、電極構造体121を挟むと共に、電極構造体121の捲回周面に対して垂直に延在するように配置されている。電極構造体収納部材111の開放端部には、電池蓋114、安全弁機構115及び熱感抵抗素子(PTC素子、Positive Temperature Coefficient 素子)116がガスケット117を介してかしめられており、これによって、電極構造体収納部材111は密閉されている。電池蓋114は、例えば、電極構造体収納部材111と同様の材料から作製されている。安全弁機構115及び熱感抵抗素子116は、電池蓋114の内側に設けられており、安全弁機構115は、熱感抵抗素子116を介して電池蓋114と電気的に接続されている。安全弁機構115にあっては、内部短絡や、外部からの加熱等に起因して内圧が一定以上になると、ディスク板115Aが反転する。そして、これによって、電池蓋114と電極構造体121との電気的接続が切断される。大電流に起因する異常発熱を防止するために、熱感抵抗素子116の抵抗は温度の上昇に応じて増加する。ガスケット117は、例えば、絶縁性材料から作製されている。ガスケット117の表面にはアスファルト等が塗布されていてもよい。
電極構造体121の捲回中心には、センターピン118が挿入されている。但し、センターピン118は、捲回中心に挿入されていなくともよい。正極122には、アルミニウム等の導電性材料から作製された正極リード部123が接続されている。具体的には、正極リード部123は正極集電体122Aに取り付けられている。負極124には、銅等の導電性材料から作製された負極リード部125が接続されている。具体的には、負極リード部125は負極集電体124Aに取り付けられている。負極リード部125は、電極構造体収納部材111に溶接されており、電極構造体収納部材111と電気的に接続されている。正極リード部123は、安全弁機構115に溶接されていると共に、電池蓋114と電気的に接続されている。尚、図4に示した例では、負極リード部125は1箇所(捲回された電極構造体の最外周部)であるが、2箇所(捲回された電極構造体の最外周部及び最内周部)に設けられている場合もある。
電極構造体121は、正極集電体122A上に(具体的には、正極集電体122Aの両面に)正極活物質層122Bが形成された正極122と、負極集電体124A上に(具体的には、負極集電体124Aの両面に)負極活物質層124Bが形成された負極124とが、セパレータ126を介して積層されて成る。正極リード部123を取り付ける正極集電体122Aの領域には、正極活物質層122Bは形成されていないし、負極リード部125を取り付ける負極集電体124Aの領域には、負極活物質層124Bは形成されていない。
負極集電体124A上における負極活物質層124Bは、実施例1〜実施例2において説明した方法に基づき形成される。
実施例3のマグネシウム二次電池100の仕様を以下の表2に例示するが、これらに限定されるものではない。
〈表2〉
正極集電体122A 厚さ20μmのアルミニウム箔
正極活物質層122B 片面当たり厚さ50μm
正極リード部123 厚さ100μmのアルミニウム(Al)箔
負極集電体124A 厚さ20μmの銅箔
負極活物質層124B 片面当たり厚さ50μm
負極リード部125 厚さ100μmのニッケル(Ni)箔
マグネシウム二次電池100は、例えば、以下の手順に基づき製造することができる。
即ち、先ず、上述したとおり、正極集電体122Aの両面に正極活物質層122Bを形成し、負極集電体124Aの両面に負極活物質層124Bを形成する。
その後、溶接法等を用いて、正極集電体122Aに正極リード部123を取り付ける。また、溶接法等を用いて、負極集電体124Aに負極リード部125を取り付ける。次に、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムから成るセパレータ126を介して正極122と負極124とを積層し、捲回して、(より具体的には、正極122/セパレータ126/負極124/セパレータ126の電極構造体(積層構造体)を捲回して)、電極構造体121を作製した後、最外周部に保護テープ(図示せず)を貼り付ける。その後、電極構造体121の中心にセンターピン118を挿入する。次いで、一対の絶縁板112,113で電極構造体121を挟みながら、電極構造体121を電極構造体収納部材(電池缶)111の内部に収納する。この場合、溶接法等を用いて、正極リード部123の先端部を安全弁機構115に取り付けると共に、負極リード部125の先端部を電極構造体収納部材111に取り付ける。その後、減圧方式に基づき有機電解液あるいは非水系電解液を注入して、有機電解液あるいは非水系電解液をセパレータ126に含浸させる。次いで、ガスケット117を介して電極構造体収納部材111の開口端部に電池蓋114、安全弁機構115及び熱感抵抗素子116をかしめる。
次に、平板型のラミネートフィルム型の二次電池を説明する。二次電池の模式的な分解斜視図を図6及び図7Aに示し、図7Aに示す電極構造体(積層構造体)の矢印A−Aに沿った模式的な拡大断面図(YZ平面に沿った模式的な拡大断面図)を図7Bに示す。更には、図7Bに示す電極構造体の一部を拡大した模式的な一部断面図(XY平面に沿った模式的な一部断面図)は、図5に示したと同様である。
この二次電池にあっては、ラミネートフィルムから成る外装部材200の内部に、基本的に前述したと同様の電極構造体221が収納されている。電極構造体221は、セパレータ226及び電解質層228を介して正極222と負極224とを積層した後、この積層構造体を捲回することで作製することができる。正極222には正極リード部223が取り付けられており、負極224には負極リード部225が取り付けられている。電極構造体221の最外周部は、保護テープ229によって保護されている。
正極リード部223及び負極リード部225は、外装部材200の内部から外部に向かって同一方向に突出している。正極リード部223は、アルミニウム等の導電性材料から形成されている。負極リード部225は、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性材料から形成されている。
外装部材200は、図6に示す矢印Rの方向に折り畳み可能な1枚のフィルムであり、外装部材200の一部には、電極構造体221を収納するための窪み(エンボス)が設けられている。外装部材200は、例えば、融着層と、金属層と、表面保護層とがこの順に積層されたラミネートフィルムである。二次電池の製造工程では、融着層同士が電極構造体221を介して対向するように外装部材200を折り畳んだ後、融着層の外周縁部同士を融着する。但し、外装部材200は、2枚のラミネートフィルムが接着剤等を介して貼り合わされたものでもよい。融着層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムから成る。金属層は、例えば、アルミニウム箔等から成る。表面保護層は、例えば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等から成る。中でも、外装部材200は、ポリエチレンフィルムと、アルミニウム箔と、ナイロンフィルムとがこの順に積層されたアルミラミネートフィルムであることが好ましい。但し、外装部材200は、他の積層構造を有するラミネートフィルムでもよいし、ポリプロピレン等の高分子フィルムでもよいし、金属フィルムでもよい。具体的には、ナイロンフィルム(厚さ30μm)と、アルミニウム箔(厚さ40μm)と、無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)とが外側からこの順に積層された耐湿性のアルミラミネートフィルム(総厚100μm)から成る。
外気の侵入を防止するために、外装部材200と正極リード部223との間、及び、外装部材200と負極リード部225との間には、密着フィルム201が挿入されている。密着フィルム201は、正極リード部223及び負極リード部225に対して密着性を有する材料、例えば、ポリオレフィン樹脂等、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂から成る。
図7Bに示すように、正極222は、正極集電体222Aの片面又は両面に正極活物質層222Bを有している。また、負極224は、負極集電体224Aの片面又は両面に負極活物質層224Bを有している。
負極集電体224A上における負極活物質層224Bは、実施例1〜実施例2において説明した方法に基づき形成される。
実施例4は、実施例1〜実施例2の変形である。実施例4の電気化学デバイスは、模式的な断面図を図8Aに示すように、キャパシタから成り、電解液が含浸されたセパレータ303を介して、正極301及び負極302が対向して配置されている。参照番号304,305は集電体を示し、参照番号306はガスケットを示す。負極302及び集電体305を構成する集電体及び負極活物質は、実施例1〜実施例2において説明した集電体及び負極活物質から構成されている。
あるいは又、実施例4の電気化学デバイスは、概念図を図8Bに示すように、空気電池から成る。この空気電池は、例えば、水蒸気を透過し難く酸素を選択的に透過させる酸素選択性透過膜407、導電性の多孔質材料から成る空気極側集電体404、この空気極側集電体404と多孔質正極401の間に配置され導電性材料から成る多孔質の拡散層406、導電性材料と触媒材料を含む多孔質正極401、水蒸気を通過し難いセパレータ及び電解液(又は、電解液を含む固体電解質)405、マグネシウムイオンを放出する負極402、負極側集電体403、及び、これらの各層が収納される外装体408から構成されている。
酸素選択性透過膜407によって空気(大気)409中の酸素410が選択的に透過され、多孔質材料から成る空気極側集電体404を通過し、拡散層406によって拡散され、多孔質正極401に供給される。酸素選択性透過膜407を透過した酸素の進行は空気極側集電体404によって部分的に遮蔽されるが、空気極側集電体404を通過した酸素は拡散層406によって拡散され、広がるので、多孔質正極401全体に効率的に行き渡るようになり、多孔質正極401の面全体への酸素の供給が空気極側集電体404によって阻害されることがない。また、酸素選択性透過膜407によって水蒸気の透過が抑制されるので、空気中の水分の影響による劣化が少なく、酸素が多孔質正極401全体に効率的に供給されるので、電池出力を高くすることが可能となり、安定して長期間使用可能となる。
実施例5においては、本開示の適用例について説明する。
実施例1〜実施例4において説明した本開示におけるマグネシウム二次電池は、二次電池を駆動用・作動用の電源又は電力蓄積用の電力貯蔵源として利用可能な機械、機器、器具、装置、システム(複数の機器等の集合体)に対して、特に限定されることなく、適用することができる。電源として使用されるマグネシウム二次電池(具体的には、マグネシウム−硫黄二次電池)は、主電源(優先的に使用される電源)であってもよいし、補助電源(主電源に代えて、又は、主電源から切り換えて使用される電源)であってもよい。マグネシウム二次電池を補助電源として使用する場合、主電源はマグネシウム二次電池に限られない。
本開示におけるマグネシウム二次電池(具体的には、マグネシウム−硫黄二次電池)の用途として、具体的には、ビデオカメラやカムコーダ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、テレビジョン受像機、各種表示装置、コードレス電話機、ヘッドホンステレオ、音楽プレーヤ、携帯用ラジオ、電子ブックや電子新聞等の電子ペーパー、PDAを含む携帯情報端末といった各種電子機器、電気機器(携帯用電子機器を含む);玩具;電気シェーバ等の携帯用生活器具;室内灯等の照明器具;ペースメーカや補聴器等の医療用電子機器;メモリカード等の記憶用装置;着脱可能な電源としてパーソナルコンピュータ等に用いられる電池パック;電動ドリルや電動鋸等の電動工具;非常時等に備えて電力を蓄積しておく家庭用バッテリシステム等の電力貯蔵システムやホームエネルギーサーバ(家庭用蓄電装置)、電力供給システム;蓄電ユニットやバックアップ電源;電動自動車、電動バイク、電動自転車、セグウェイ(登録商標)等の電動車両;航空機や船舶の電力駆動力変換装置(具体的には、例えば、動力用モータ)の駆動を例示することができるが、これらの用途に限定するものではない。
中でも、本開示におけるマグネシウム二次電池は、電池パック、電動車両、電力貯蔵システム、電力供給システム、電動工具、電子機器、電気機器等に適用されることが有効である。電池パックは、本開示におけるマグネシウム二次電池を用いた電源であり、所謂組電池等である。電動車両は、本開示におけるマグネシウム二次電池を駆動用電源として作動(走行)する車両であり、二次電池以外の駆動源を併せて備えた自動車(ハイブリッド自動車等)であってもよい。電力貯蔵システム(電力供給システム)は、本開示におけるマグネシウム二次電池を電力貯蔵源として用いるシステムである。例えば、家庭用の電力貯蔵システム(電力供給システム)では、電力貯蔵源である本開示におけるマグネシウム二次電池に電力が蓄積されているため、電力を利用して家庭用の電気製品等が使用可能となる。電動工具は、本開示におけるマグネシウム二次電池を駆動用の電源として可動部(例えばドリル等)が可動する工具である。電子機器や電気機器は、本開示におけるマグネシウム二次電池を作動用の電源(電力供給源)として各種機能を発揮する機器である。
以下、本開示におけるマグネシウム二次電池の幾つかの適用例について具体的に説明する。尚、以下で説明する各適用例の構成は、あくまで一例であり、構成は適宜変更可能である。
電池パックは、1つの本開示におけるマグネシウム二次電池を用いた簡易型の電池パック(所謂ソフトパック)であり、例えば、スマートフォンに代表される電子機器等に搭載される。あるいは又、2並列3直列となるように接続された6つの本開示におけるマグネシウム二次電池から構成された組電池を備えている。尚、マグネシウム二次電池の接続形式は、直列でもよいし、並列でもよいし、双方の混合型でもよい。
本開示におけるマグネシウム二次電池を電池パックに適用した場合の回路構成例を示すブロック図を図9に示す。電池パックは、セル(組電池)1001、外装部材、スイッチ部1021、電流検出抵抗器1014、温度検出素子1016及び制御部1010を備えている。スイッチ部1021は、充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024を備えている。また、電池パックは、正極端子1031及び負極端子1032を備えており、充電時には正極端子1031及び負極端子1032は、それぞれ、充電器の正極端子、負極端子に接続され、充電が行われる。また、電子機器使用時には、正極端子1031及び負極端子1032は、それぞれ、電子機器の正極端子、負極端子に接続され、放電が行われる。
セル1001は、複数の本開示におけるマグネシウム二次電池1002が直列及び/又は並列に接続されることで、構成される。尚、図9では、6つのマグネシウム二次電池1002が、2並列3直列(2P3S)に接続された場合を示しているが、その他、p並列q直列(但し、p,qは整数)のように、どのような接続方法であってもよい。
スイッチ部1021は、充電制御スイッチ1022及びダイオード1023、並びに、放電制御スイッチ1024及びダイオード1025を備えており、制御部1010によって制御される。ダイオード1023は、正極端子1031からセル1001の方向に流れる充電電流に対して逆方向、負極端子1032からセル1001の方向に流れる放電電流に対して順方向の極性を有する。ダイオード1025は、充電電流に対して順方向、放電電流に対して逆方向の極性を有する。尚、例ではプラス(+)側にスイッチ部を設けているが、マイナス(−)側に設けてもよい。充電制御スイッチ1022は、電池電圧が過充電検出電圧となった場合に閉状態とされて、セル1001の電流経路に充電電流が流れないように制御部1010によって制御される。充電制御スイッチ1022が閉状態となった後には、ダイオード1023を介することによって放電のみが可能となる。また、充電時に大電流が流れた場合に閉状態とされて、セル1001の電流経路に流れる充電電流を遮断するように、制御部1010によって制御される。放電制御スイッチ1024は、電池電圧が過放電検出電圧となった場合に閉状態とされて、セル1001の電流経路に放電電流が流れないように制御部1010によって制御される。放電制御スイッチ1024が閉状態となった後には、ダイオード1025を介することによって充電のみが可能となる。また、放電時に大電流が流れた場合に閉状態とされて、セル1001の電流経路に流れる放電電流を遮断するように、制御部1010によって制御される。
温度検出素子1016は例えばサーミスタから成り、セル1001の近傍に設けられ、温度測定部1015は、温度検出素子1016を用いてセル1001の温度を測定し、測定結果を制御部1010に送出する。電圧測定部1012は、セル1001の電圧、及びセル1001を構成する各マグネシウム二次電池1002の電圧を測定し、測定結果をA/D変換して、制御部1010に送出する。電流測定部1013は、電流検出抵抗器1014を用いて電流を測定し、測定結果を制御部1010に送出する。
スイッチ制御部1020は、電圧測定部1012及び電流測定部1013から送られてきた電圧及び電流を基に、スイッチ部1021の充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024を制御する。スイッチ制御部1020は、マグネシウム二次電池1002のいずれかの電圧が過充電検出電圧若しくは過放電検出電圧以下になったとき、あるいは又、大電流が急激に流れたときに、スイッチ部1021に制御信号を送ることにより、過充電及び過放電、過電流充放電を防止する。充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024は、例えばMOSFET等の半導体スイッチから構成することができる。この場合、MOSFETの寄生ダイオードによってダイオード1023,1025が構成される。MOSFETとして、pチャネル型FETを用いる場合、スイッチ制御部1020は、充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024のそれぞれのゲート部に、制御信号DO及び制御信号COを供給する。充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024は、ソース電位より所定値以上低いゲート電位によって導通する。即ち、通常の充電及び放電動作では、制御信号CO及び制御信号DOをローレベルとし、充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024を導通状態とする。そして、例えば過充電若しくは過放電の際には、制御信号CO及び制御信号DOをハイレベルとし、充電制御スイッチ1022及び放電制御スイッチ1024を閉状態とする。
メモリ1011は、例えば、不揮発性メモリであるEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等から成る。メモリ1011には、制御部1010で演算された数値や、製造工程の段階で測定された各マグネシウム二次電池1002の初期状態におけるマグネシウム二次電池の内部抵抗値等が予め記憶されており、また、適宜、書き換えが可能である。また、マグネシウム二次電池1002の満充電容量を記憶させておくことで、制御部1010と共に例えば残容量を算出することができる。
温度測定部1015では、温度検出素子1016を用いて温度を測定し、異常発熱時に充放電制御を行い、また、残容量の算出における補正を行う。
次に、電動車両の一例であるハイブリッド自動車といった電動車両の構成を表すブロック図を図10Aに示す。電動車両は、例えば、金属製の筐体2000の内部に、制御部2001、各種センサ2002、電源2003、エンジン2010、発電機2011、インバータ2012,2013、駆動用のモータ2014、差動装置2015、トランスミッション2016及びクラッチ2017を備えている。その他、電動車両は、例えば、差動装置2015やトランスミッション2016に接続された前輪駆動軸2021、前輪2022、後輪駆動軸2023、後輪2024を備えている。
電動車両は、例えば、エンジン2010又はモータ2014のいずれか一方を駆動源として走行可能である。エンジン2010は、主要な動力源であり、例えば、ガソリンエンジン等である。エンジン2010を動力源とする場合、エンジン2010の駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置2015、トランスミッション2016及びクラッチ2017を介して前輪2022又は後輪2024に伝達される。エンジン2010の回転力は発電機2011にも伝達され、回転力を利用して発電機2011が交流電力を発生させ、交流電力はインバータ2013を介して直流電力に変換され、電源2003に蓄積される。一方、変換部であるモータ2014を動力源とする場合、電源2003から供給された電力(直流電力)がインバータ2012を介して交流電力に変換され、交流電力を利用してモータ2014を駆動する。モータ2014によって電力から変換された駆動力(回転力)は、例えば、駆動部である差動装置2015、トランスミッション2016及びクラッチ2017を介して前輪2022又は後輪2024に伝達される。
図示しない制動機構を介して電動車両が減速すると、減速時の抵抗力がモータ2014に回転力として伝達され、その回転力を利用してモータ2014が交流電力を発生させるようにしてもよい。交流電力はインバータ2012を介して直流電力に変換され、直流回生電力は電源2003に蓄積される。
制御部2001は、電動車両全体の動作を制御するものであり、例えば、CPU等を備えている。電源2003は、実施例1〜実施例4において説明した1又は2以上のマグネシウム二次電池(図示せず)を備えている。電源2003は、外部電源と接続され、外部電源から電力供給を受けることで電力を蓄積する構成とすることもできる。各種センサ2002は、例えば、エンジン2010の回転数を制御すると共に、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御するために用いられる。各種センサ2002は、例えば、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサ等を備えている。
尚、電動車両がハイブリッド自動車である場合について説明したが、電動車両は、エンジン2010を用いずに電源2003及びモータ2014だけを用いて作動する車両(電気自動車)でもよい。
次に、電力貯蔵システム(電力供給システム)の構成を表すブロック図を図10Bに示す。電力貯蔵システムは、例えば、一般住宅及び商業用ビル等の家屋3000の内部に、制御部3001、電源3002、スマートメータ3003、及び、パワーハブ3004を備えている。
電源3002は、例えば、家屋3000の内部に設置された電気機器(電子機器)3010に接続されていると共に、家屋3000の外部に停車している電動車両3011に接続可能である。また、電源3002は、例えば、家屋3000に設置された自家発電機3021にパワーハブ3004を介して接続されていると共に、スマートメータ3003及びパワーハブ3004を介して外部の集中型電力系統3022に接続可能である。電気機器(電子機器)3010は、例えば、1又は2以上の家電製品を含んでいる。家電製品として、例えば、冷蔵庫、エアコンディショナー、テレビジョン受像機、給湯器等を挙げることができる。自家発電機3021は、例えば、太陽光発電機や風力発電機等から構成されている。電動車両3011として、例えば、電動自動車、ハイブリッド自動車、電動オートバイ、電動自転車、セグウェイ(登録商標)等を挙げることができる。集中型電力系統3022として、商用電源、発電装置、送電網、スマートグリッド(次世代送電網)を挙げることができるし、また、例えば、火力発電所、原子力発電所、水力発電所、風力発電所等を挙げることもできるし、集中型電力系統3022に備えられた発電装置として、種々の太陽電池、燃料電池、風力発電装置、マイクロ水力発電装置、地熱発電装置等を例示することができるが、これらに限定するものではない。
制御部3001は、電力貯蔵システム全体の動作(電源3002の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPU等を備えている。電源3002は、実施例1〜実施例4において説明した1又は2以上のマグネシウム二次電池(図示せず)を備えている。スマートメータ3003は、例えば、電力需要側の家屋3000に設置されるネットワーク対応型の電力計であり、電力供給側と通信可能である。そして、スマートメータ3003は、例えば、外部と通信しながら、家屋3000における需要・供給のバランスを制御することで、効率的で安定したエネルギー供給が可能となる。
この電力貯蔵システムでは、例えば、外部電源である集中型電力系統3022からスマートメータ3003及びパワーハブ3004を介して電源3002に電力が蓄積されると共に、独立電源である自家発電機3021からパワーハブ3004を介して電源3002に電力が蓄積される。電源3002に蓄積された電力は、制御部3001の指示に応じて電気機器(電子機器)3010及び電動車両3011に供給されるため、電気機器(電子機器)3010の作動が可能になると共に、電動車両3011が充電可能になる。即ち、電力貯蔵システムは、電源3002を用いて、家屋3000内における電力の蓄積及び供給を可能にするシステムである。
電源3002に蓄積された電力は、任意に利用可能である。そのため、例えば、電気料金が安価な深夜に集中型電力系統3022から電源3002に電力を蓄積しておき、電源3002に蓄積しておいた電力を電気料金が高い日中に用いることができる。
以上に説明した電力貯蔵システムは、1戸(1世帯)毎に設置されていてもよいし、複数戸(複数世帯)毎に設置されていてもよい。
次に、電動工具の構成を表すブロック図を図10Cに示す。電動工具は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料等から作製された工具本体4000の内部に、制御部4001及び電源4002を備えている。工具本体4000には、例えば、可動部であるドリル部4003が回動可能に取り付けられている。制御部4001は、電動工具全体の動作(電源4002の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPU等を備えている。電源4002は、実施例1〜実施例4において説明した1又は2以上のマグネシウム二次電池(図示せず)を備えている。制御部4001は、図示しない動作スイッチの操作に応じて、電源4002からドリル部4003に電力を供給する。
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではなく、種々の変形が可能である。実施例において説明したマグネシウム二次電池用負極及びその製造方法、マグネシウム二次電池は例示であり、適宜、変更することができる。電極構造体は、捲回された状態の他、スタックされた状態であってもよい。下地層(第1の下地層を含む)を集電体表面に形成する方法として、実施例において説明した集電体表面に下地層等を圧着する方法だけでなく、集電体表面に下地層等を電気メッキ法に基づき形成する方法、化学メッキ法に基づき形成する方法、化学メッキ法と電気メッキ法との組合せに基づき形成する方法、電解析出法(電析法)に基づき形成する方法とすることもできる。
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《二次電池用負極の製造方法・・・第1の態様》
マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む下地層が表面に形成された集電体を準備し、
下地層を素材として、化学メッキ法によって、マグネシウム層から成る負極活物質層を集電体上に形成するマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[A02]《二次電池用負極の製造方法・・・第2の態様》
マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第1の下地層が表面に形成された集電体を準備し、
(A)第1の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成し、次いで、
(B)第n番目(但し、n=1,2,・・・,N−1であり、Nは2以上の整数)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目の下地層を形成した後、第(n+1)番目の下地層を素材として、化学メッキ法によって、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する工程を、nを1から(N−1)まで繰り返し、以て、マグネシウム層が積層されて成る負極活物質層を集電体上に形成する、
各工程を備えたマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[A03]第(n+1)番目の下地層を、電気メッキ法あるいは電解析出法(電析法)に基づき形成する[A02]に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[A04]金属は、リチウム、カリウム、カルシウム及びナトリウムから成る群から選択された少なくとも1種類の金属である[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[A05]金属はリチウムである[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[A06]負極活物質層のBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上である[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[B01]マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む下地層が表面に形成された集電体を準備し、
化学メッキ法に基づき、下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、マグネシウム層から成る負極活物質層を集電体上に形成するマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[B02]《二次電池用負極の製造方法・・・第2の態様》
マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第1の下地層が表面に形成された集電体を準備し、
(A)化学メッキ法に基づき、第1の下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、以て、第1番目のマグネシウム層を集電体上に形成し、次いで、
(B)第n番目(但し、n=1,2,・・・,N−1であり、Nは2以上の整数)のマグネシウム層上に、マグネシウムよりもイオン化傾向が大きい金属を含む第(n+1)番目の下地層を形成した後、化学メッキ法に基づき、第(n+1)番目の下地層を構成する金属をマグネシウムと置換することでマグネシウムを析出させ、第n番目のマグネシウム層上に第(n+1)番目のマグネシウム層を形成する工程を、nを1から(N−1)まで繰り返し、以て、マグネシウム層が積層されて成る負極活物質層を集電体上に形成する、
各工程を備えたマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[B03]第(n+1)番目の下地層を、電気メッキ法あるいは電解析出法(電析法)に基づき形成する[B02]に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[B04]金属はリチウムである[B01]乃至[B03]のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[B05]負極活物質層のBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上である[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載のマグネシウム二次電池用負極の製造方法。
[C01]《二次電池用負極》
集電体、及び、集電体の表面に形成されたマグネシウムから成る負極活物質層を備えており、
負極活物質層のBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上であるマグネシウム二次電池用負極。
[D01]《二次電池》
集電体、及び、集電体の表面に形成されたマグネシウムから成る負極活物質層を備え、負極活物質層のBET比表面積の値は、負極活物質層1グラム当たり、1m2以上、好ましくは10m2以上であるマグネシウム二次電池用負極を備えているマグネシウム二次電池。
[E01]《電池パック》
二次電池、二次電池に関する制御を行う制御手段、及び、二次電池を内包する外装を有する電池パックであって、
二次電池は、[D01]に記載のマグネシウム二次電池から成る電池パック。
[E02]《電子機器》
二次電池から電力の供給を受ける電子機器であって、
二次電池は、[D01]に記載のマグネシウム二次電池から成る電子機器。
[E03]《電動車両》
二次電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置、及び、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置を有する電動車両であって、
二次電池は、[D01]に記載のマグネシウム二次電池から成る電動車両。
[E04]《電力システム》
二次電池から電力の供給を受け、及び/又は、電力源から二次電池に電力を供給するように構成された電力システムであって、
二次電池は、[D01]に記載のマグネシウム二次電池から成る電力システム。
[E05]《電力貯蔵用電源》
二次電池を有し、電力が供給される電子機器が接続されるように構成された電力貯蔵用電源であって、
二次電池は、[D01]に記載のマグネシウム二次電池から成る電力貯蔵用電源。