JP2014186940A - 電解液 - Google Patents

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Tomokazu Fukuzuka
友和 福塚
Kohei Miyazaki
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Ryohei Yasui
亮平 安井
Yoshiharu Uchimoto
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Abstract

【課題】取り扱いが容易であり、実用性に優れ、しかも充放電反応を効率よく行なうことができる電解液およびその用途を提供する。
【解決手段】マグネシウムカチオンと1価のアニオンとからなるマグネシウム塩と、R1−O(CH2CH2O)−R2(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)で表わされるポリエーテル化合物とを含む溶液からなる電解液、前記電解液を備えるマグネシウム二次電池、前記電解液を用いる金属マグネシウムの製法および金属マグネシウム膜の形成法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解液に関する。さらに詳しくは、本発明は、マグネシウム金属二次電池用の電解液、マグネシウムめっき用の電解液などとして有用な電解液、当該電解液が用いられた電池、前記電解液を用いる金属マグネシウムの製造方法および前記電解液を用いるマグネシウムめっき方法に関する。
本発明の電解液は、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができることから、マグネシウム二次電池、金属マグネシウムの製造、部材の表面への金属マグネシウム膜の形成などの電解液として用いることができ、ポータブル機器、コードレス機器などの機器や、電気自動車などの二次電池の開発、低コストで、かつ高強度の構造部材の開発などに利用されることが期待されるものである。
ポータブル機器、コードレス機器などの機器や、電気自動車などの発展に伴い、これらの機器や自動車などをより長時間駆動させることが望まれている。これらの機器用の電池として、例えば、リチウムイオン電池、リチウム金属二次電池などの高エネルギー密度を有する電池が用いられている。しかしながら、高性能化などに伴って前記機器の消費電力が増加しているため、二次電池のさらなる高容量化が求められている。また、前記リチウムイオン電池、リチウム金属二次電池などの電池は、熱暴走が生じることがあることから、安全性に優れた二次電池が求められている。
金属マグネシウムは、金属リチウムと比べて酸化還元反応の際に移動する電子の数がより多く、高エネルギー密度が期待され、しかも地球上に多く存在する。したがって、金属マグネシウムの析出溶解反応を負極反応として利用することが考えられる。ところが、金属マグネシウムは、表面に不動態皮膜を形成しやすいことから、形成された不動態皮膜によって電気化学的な析出溶解反応の進行が妨げられるおそれがある。そこで、電解液としてグリニャール試薬であるフェニルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液が用いられたマグネシウム二次電池が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、非特許文献1に記載されたマグネシウム二次電池には、反応性が極めて高いグリニャール試薬と沸点が比較的低いテトラヒドロフランとが用いられているため、取り扱いが困難であり、実用性に欠けるという欠点がある。
ところで、金属マグネシウムは、高強度であり、軽量であることから、ポータブル機器、自動車部品などの構造材などに広く用いられている。しかし、従来、金属マグネシウムの製造は、酸化マグネシウムに還元剤を添加して得られた混合物を減圧下で高温に加熱して製錬する熱還元法などによって行なわれており、多くのエネルギーを消費することから、低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造する方法が求められている。また、金属マグネシウムは、耐食性に優れており、軽量かつ高強度であることから、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させる方法が求められている。
オレン・ミズラヒ(Oren MIZRAHI)ら、「充電式マグネシウム電池用の広い電気化学窓を有する電解質溶液(Electrolyte Solutions with a Wide Electrochemical Window for Rechargeable Magnesium Batteries)」、ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサエティ(Journal of The Electrochemical Society)、2008年発行、第155巻、A103−A109
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができる電解液およびその用途を提供することを課題とする。具体的には、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができる電解液を提供することを1つの課題とする。また、本発明は、高いエネルギー密度を有し、しかも安全性および実用性に優れ、効率よく充放電反応を行なうことができるマグネシウム二次電池を提供することを他の課題とする。また、本発明は、低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造することができる金属マグネシウムの製造方法を提供することを他の課題とする。さらに、本発明は、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させることができる金属マグネシウム膜の形成方法を提供することを他の課題とする。
本発明は、
(1)マグネシウムカチオンと、1価のアニオンと、式(I):
1−O(CH2CH2O)−R2 (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)
で表わされるポリエーテル化合物とを含有する溶液からなる電解液、
(2)マグネシウムカチオンと1価のアニオンとからなるマグネシウム塩と、式(I):
1−O(CH2CH2O)−R2 (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)
で表わされるポリエーテル化合物とを溶解させてなる電解液、
(3)前記1価のアニオンが、ハロゲンアニオンまたは式(II):
(式中、R3およびR4はそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基または炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基)
で表わされるスルホニルアミドアニオンである前記(1)または(2)に記載の電解液、
(4)前記マグネシウム塩が塩化マグネシウムであり、
前記塩化マグネシウムと錯体を形成する錯形成剤をさらに配合してなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電解液、
(5)マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出する正極と、前記正極とセパレータを介して対向して配置され、負極活物質として金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む負極と、電解液とを備え、
前記電解液が前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電解液であることを特徴とするマグネシウム二次電池、
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電解液を用いて金属マグネシウムを電析させることを特徴とする金属マグネシウムの製造方法、ならびに
(7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電解液中にワークを浸漬させて電解めっきを施し、当該ワークの表面に金属マグネシウム膜を形成させることを特徴とする金属マグネシウム膜の形成方法
に関する。
本発明によれば、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができる電解液およびその用途を提供することができる。本発明の電解液は、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができるという優れた効果を奏する。また、本発明のマグネシウム二次電池は、高いエネルギー密度を有し、しかも安全性および実用性に優れ、効率よく充放電反応を行なうことができるという優れた効果を奏する。また、本発明の金属マグネシウムの製造方法によれば、低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造することができるという優れた効果が奏される。さらに、本発明の金属マグネシウム膜の形成方法によれば、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させることができるという優れた効果が奏される。
実施例などで用いられる三電極式セルの構成を示す概略説明図である。 試験例1において、実施例1で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 試験例1において、実施例2で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 試験例1において、実施例3で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 試験例1において、実施例4で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例5で得られた析出物を目視にて観察した結果を示す図面代用写真である。 実施例5で得られた析出物のエネルギー分散X線分析の結果を示すグラフである。 実施例5で得られた析出物のX線回折図である。 試験例2において、実施例3で得られた電解液を用いた場合の電位窓を調べた結果を示すグラフである。 試験例3において、実施例6で得られた電解液を用いた場合の電位窓を調べた結果を示すグラフである。
(電解液)
本発明の電解液は、1つの側面では、マグネシウムカチオンと、1価のアニオンと、式(I):
1−O(CH2CH2O)−R2 (I)
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)
で表わされる少なくとも−50℃で液状のポリエーテル化合物とを含有する溶液からなる電解液である。本発明の電解液は、本発明の電解液は、マグネシウムカチオンと、1価のアニオンと、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とを含有する溶液からなるので、式(I)で表わされるポリエーテル化合物が用いられていることから、取り扱いが容易であり、安全性および実用性に優れ、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができることから、例えば、マグネシウム二次電池の電解液、金属マグネシウムの製造、金属マグネシウム膜の形成用の電解液(メッキ浴)などに好適に用いることができる。
式(I)で表わされるポリエーテル化合物は、少なくとも−50℃で液体である化合物である。式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基である。式(I)で表わされるポリエーテル化合物は、例えば、従来のマグネシウム二次電池などにおける金属マグネシウムの析出溶解反応に用いられているテトラヒドロフランを含有する電解液と比べて引火点および沸点が高いことから、かかるポリエーテル化合物を含有する本発明の電解液は、使用環境温度に対する汎用性が高く、取り扱いが容易であり、安全性および実用性に優れている。
1およびR2において、置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基の炭素数は、1以上であり、取り扱いが容易な溶解度、粘性および融点を確保する観点から、12以下、好ましくは8以下である。置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換基を有していてよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有していてよい炭素数7〜12のアラルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの直鎖または分岐のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式アルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜12のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、メチルベンジル基、ナフチルメチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有する炭素数1〜12の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜12のハロゲン化アルケニル基、炭素数2〜12のヒドロキシアルケニル基、炭素数6〜12のハロゲン化アリール基、炭素数6〜12のヒドロキシアリール基、炭素数7〜12のハロゲン化アラルキル基、炭素数7〜12のヒドロキシアラルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基のなかでは、取り扱いが容易な粘性および融点を確保する観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換基を有していてよい炭素数6〜12のアリール基および置換基を有していてよい炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基がより好ましく、メチル基およびエチル基がさらに好ましく、メチル基がより一層好ましい。
式(I)で表わされるポリエーテル化合物の具体例としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの対称グリコールジエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(I)で表わされるポリエーテル化合物のなかでは、マグネシウムが析出した際にマグネシウムの析出物の表面における不動態被膜の形成を効果的に抑制して金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なう観点から、対称グリコールジエーテルが好ましく、グライム、ジグライム、トリグライムおよびテトラグライムがより好ましく、ジグライム、トリグライムおよびテトラグライムがさらに好ましい。また、本発明の電解液を高温(例えば、80℃以上)環境下で用いられるマグネシウム金属二次電池の電解液として用いる場合、式(I)で表わされるポリエーテル化合物のなかでは、高温環境下での取り扱いの容易性を確保するとともに、充放電反応を効率よく行ない、電圧のロスを抑制する観点から、ジグライム、トリグライムおよびテトラグライムが好ましく、ジグライムおよびトリグライムがより好ましい。
前記1価のアニオンとしては、例えば、ハロゲンアニオン、式(II):
(式中、R3およびR4はそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基または炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基)
で表わされるスルホニルアミドアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ハロゲンアニオンとしては、例えば、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲンアニオンのなかでは、当該アニオンの供給源の存在量が多く、取り扱いおよび入手が容易であることから、塩素アニオンが好ましい。
式(II)において、R3およびR4は、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基または炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基である。R3およびR4は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
3およびR4において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子のなかでは、適切な電気陰性度を確保する観点から、フッ素原子が好ましい。
3およびR4において、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基の炭素数は、1以上であり取り扱いが容易な溶解度、粘性および融点を確保する観点から、8以下である。炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基などの炭素数1〜8のフルオロアルキル基;パークロロメチル基、パークロロエチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘプチル基、パークロロオクチル基などの炭素数1〜8のクロロアルキル基;パーブロモメチル基、パーブロモエチル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘプチル基、パーブロモオクチル基などの炭素数1〜8のブロモアルキル基;パーヨードメチル基、パーヨードエチル基、パーヨードプロピル基、パーヨードブチル基、パーヨードペンチル基、パーヨードヘプチル基、パーヨードオクチル基などの炭素数1〜8のヨードアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基のなかでは、取り扱いが容易な溶解度、粘性および融点を確保する観点から、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロメチル基がより好ましい。
3およびR4において、炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基の炭素数は、2以上であり取り扱いが容易な溶解度、粘性および融点を確保する観点から、8以下である。炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基としては、例えば、パーフルオロビニル基、パーフルオロアリル基、パーフルオロブテニル基、パーフルオロペンテニル基などの炭素数2〜8のフルオロアルケニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基のなかでは、取り扱いが容易な溶解度、粘性および融点を確保する観点から、炭素数2〜8のフルオロアルケニル基が好ましく、フルオロアリル基がより好ましい。
式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンの具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンのなかでは、取り扱いが容易な溶解度を確保する観点から、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオンおよびビス(フルオロスルホニル)アミドアニオンが好ましい。
電解液の粘性を低減させて金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことが求められる場合、これらの1価のアニオンのなかでは、式(II)で表わされるスルホニルアミドアニオンが好ましい。また、当該1価のアニオンの取り扱いおよび入手の容易性が求められる場合、これらの1価のアニオンのなかでは、ハロゲンアニオンが好ましく、塩素アニオンがより好ましい。
本発明の電解液において、マグネシウムカチオンと1価のアニオンとの比(マグネシウムカチオン/1価のアニオン)は、通常、1/2である。本発明の電解液におけるマグネシウムカチオン1モルあたりの式(I)で表わされるポリエーテル化合物の量は、取り扱いが容易な粘性を確保する観点から、好ましくは5モル以上、より好ましくは10モル以上であり、取り扱いが容易な融点を確保する観点から、好ましくは50モル以下、より好ましくは20モル以下である。
本発明の電解液は、他の側面では、マグネシウムカチオンと1価のアニオンとからなるマグネシウム塩と、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とを溶解させることによって得られる電解液である。マグネシウムカチオン、1価のアニオンおよび式(I)で表わされるポリエーテル化合物は、前記と同じである。
マグネシウム塩としては、例えば、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムのスルホニルアミド塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。電解液の粘性を低減させて金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことが求められる場合、これらのマグネシウム塩のなかでは、マグネシウムのスルホニルアミド塩が好ましい。また、当該1価のアニオンの取り扱いおよび入手の容易性が求められる場合、これらのマグネシウム塩のなかでは、ハロゲン化マグネシウムが好ましく、塩化マグネシウムがより好ましい。
前記1価のアニオンが塩素アニオンである場合、すなわち、前記マグネシウム塩が塩化マグネシウムである場合、式(I)で表わされるポリエーテル化合物に対する塩化マグネシウムを十分に溶解させるとともに、効率的にカチオンを生じさせる観点から、本発明の電解液は、塩化マグネシウムと錯体を形成可能な錯形成剤をさらに含むことが好ましい。この錯体には、ポリエーテル化合物が含まれていてもよい。
前記錯形成剤としては、例えば、式(III):
AlX3 (III)
(式中、Xはハロゲン原子を示す)
で表わされるアルミニウム化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
式(III)において、Xは、ハロゲン原子である。Xにおいて、ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン原子のなかでは、式(I)で表わされるポリエーテル化合物に対する塩化マグネシウムを十分に溶解させるとともに、効率的にカチオンを生じさせる観点から、塩素原子が好ましい。
式(III)で表わされるアルミニウム化合物の具体例としては、塩化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルミニウム化合物のなかでは、式(I)で表わされるポリエーテル化合物に対する塩化マグネシウムを十分に溶解させるとともに、効率的にカチオンを生じさせる観点から、ハロゲン化アルミニウムが好ましく、塩化アルミニウムがより好ましい。
(本発明の電解液の用途)
1.マグネシウム二次電池
本発明の電解液は、前記したように、取り扱いが容易であり、安全性および実用性に優れ、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができることから、マグネシウム二次電池用の電解液として好適である。したがって、本発明の電解液が用いられたマグネシウム二次電池も本発明に包含される。
本発明のマグネシウム二次電池は、マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出する正極と、前記正極とセパレータを介して対向して配置され、負極活物質として金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む負極と、電解液とを備え、電解液が本発明の電解液であることを特徴としている。このように、本発明のマグネシウム二次電池は、電解液として、前述した本発明の電解液が用いられているため、高いエネルギー密度を有し、しかも安全性および実用性に優れ、効率よく充放電反応を行なうことができる。
正極は、マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出する正極活物質を含む正極材料を集電体に担持させた電極である。正極は、例えば、前記正極合材を集電体に塗布することなどによって作製することができる。
前記正極材料は、正極活物質、必要により、導電助剤およびバインダを含有する。集電体は、正極でのマグネシウムカチオンを介する反応に際して電気化学的に安定な物質からなる集電体であればよい。かかる集電体を構成する物質としては、例えば、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。正極活物質は、マグネシウムを可逆的に保持および放出することが可能な物質であればよい。かかる正極活物質としては、例えば、マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出することができる硫化物、マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出することができる酸化物、マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出することができる有機化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる正極活物質の具体例としては、例えば、硫化モリブデン、酸化マンガンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンブラックなどの炭素材料の粉体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中における導電助剤の含有率は、正極活物質の種類、導電助剤の種類などによって異なることから、正極活物質の種類、導電助剤の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
前記バインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中におけるバインダの含有率は、正極活物質の種類、バインダの種類などによって異なることから、正極活物質の種類、バインダの種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
負極は、負極活物質として金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む電極である。マグネシウム合金としては、例えば、マグネシウムとアルミニウムとの合金、マグネシウウムと亜鉛との合金、マグネシウムとマンガンとの合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかる負極は、集電体に金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を担持させた電極であってもよく、金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を電極に適した形状(例えば、板状など)に成形して得られた電極であってもよい。
セパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持することができるものであればよい。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ガラス、セラミックスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
2.金属マグネシウムの製造方法
本発明の電解液は、金属マグネシウムの析出反応を効率よく行なうことができることから、金属マグネシウムを電析によって製造する際の電解液として好適である。したがって、本発明の電解液を用いた金属マグネシウムの析出方法も本発明に包含される。
本発明の金属マグネシウムの製造方法は、前述した本発明の電解液を用いて金属マグネシウムを電析させることを特徴とする。本発明の金属マグネシウムの製造方法によれば、金属マグネシウムの電析を行なう際に本発明の電解液を用いるので、従来の金属マグネシウムの製造に用いられている熱還元法のように、高温環境下で金属マグネシウムの生成を行なう必要がないので、低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造することができる。
金属マグネシウムの電析は、例えば、電解槽に本発明の電解液を入れ、当該電解液中に陰極および陽極を挿入し、両極に通電することなどによって行なうことができる。陽極としては、例えば、マグネシウム、マグネシウム合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、陰極としては、例えば、白金、金、銀、モリブデン、炭素などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
マグネシウムを電析させる際の陰極電位は、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などによって異なることから、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。前記陰極電位は、例えば、1価のアニオンが塩素アニオンである電解液を用いる場合、すなわち、マグネシウム塩として塩化マグネシウムが用いられた電解液を用いる場合には、電解液を用いる場合には、エネルギー効率の観点から、マグネシウム金属からなる参照電極に対して0V以下であることが好ましく、電析効率を高める観点から−0.5V以上であることが好ましい。
また、電解液に通電する際の電流密度は、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などによって異なることから、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
また、電析を行なう際の電解液の温度は、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などによって異なることから、本発明の電解液に用いられる1価のアニオンまたはマグネシウム塩の種類、式(I)で表わされるポリエーテル化合物の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。通常、前記温度は、室温(25℃)〜200℃である。
金属マグネシウムの電析に要する時間は、電解槽の大きさ、陰極電位などによって異なることから、金属マグネシウムの電析の終点は、電解槽中で金属マグネシウムが十分に析出するまでとすることができる。
3.金属マグネシウム膜の形成方法
本発明の電解液は、金属マグネシウムの析出反応を効率よく行なうことができることから、ワークの表面に金属マグネシウム膜を形成させる際の電解液として好適である。したがって、本発明の電解液を用いた金属マグネシウム膜の形成方法も本発明に包含される。
本発明の金属マグネシウム膜の形成方法は、電解液中にワークを浸漬させて電解めっきを施し、当該ワークの表面に金属マグネシウム膜を形成させることを特徴とする。本発明の金属マグネシウム膜の形成方法によれば、ワークの表面における金属マグネシウム膜の形成に際して、本発明の電解液が用いられているので、ワークの表面における金属マグネシウムの析出反応を効率よく行なうことができる。したがって、本発明の金属マグネシウム膜の形成方法によれば、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させることができる。
ワークを構成する材料として、導電性金属、導電性合金などの導電性を有する材料および非導電性プラスチックなどの非導電性材料のいずれをも用いることができる。非導電性プラスチックなどの非導電性材料をワークの材料として用いる場合には、例えば、当該非導電性材料からなるワークに非電解めっきを施して予め導電性を付与することなどによって、その表面に金属マグネシウム膜を形成させることが可能となる。
電解めっきは、電解液中にワークを浸漬させ、電圧をかけることによって行なうことができる。
以上説明したように、本発明の電解液は、安全性および実用性に優れ、取り扱いが容易であり、しかも金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができることから、従来のリチウム二次電池などと比べて本発明の高いエネルギー密度を有し、しかも安全性および実用性に優れ、効率よく充放電反応を行なうことができるマグネシウム二次電池、従来の熱還元法による金属マグネシウムの製造方法と比べて低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造することができる金属マグネシウムの製造方法、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させることができる金属マグネシウム膜の形成方法などが可能になる。したがって、本発明の電解液は、ポータブル機器、コードレス機器などの機器や、電気自動車などの二次電池の開発、低コストで、かつ高強度の構造部材の開発などに利用されることが期待されるものである。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
露点が−76℃以下のアルゴン雰囲気に保たれたグローブボックス内で、マグネシウムカチオンおよび1価のアニオンからなるマグネシウム塩である塩化マグネシウム0.05モルと、塩化マグネシウムに対する錯形成剤である塩化アルミニウム0.05モルとを、式(I)で表わされるポリエーテル化合物〔式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが1である化合物(グライム)〕100mLに加え、マグネチックスターラーを用いて撹拌することによって溶解させた。得られた溶液に水分吸着剤(和光純薬(株)製、商品名:モレキュラーシブス4A)を加えて脱水を行ない、静地法によって上澄みを回収することにより、電解液を得た。得られた電解液の含水量は、カールフィッシャー水分計を用いて測定したところ、100ppm以下であった。
実施例2
実施例1において、式(I)で表わされるポリエーテル化合物として、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが1である化合物(グライム)を用いる代わりに、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが2である化合物(ジグライム)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、電解液を得た。
実施例3
実施例1において、式(I)で表わされるポリエーテル化合物として、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが1である化合物(グライム)を用いる代わりに、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが3である化合物(トリグライム)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、電解液を得た。
実施例4
実施例1において、式(I)で表わされるポリエーテル化合物として、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが1である化合物(グライム)を用いる代わりに、式(I)において、RおよびRがメチル基であり、nが4である化合物(テトラグライム)を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、電解液を得た。
試験例1
露点が−76℃以下のアルゴン雰囲気に保たれたグローブボックス内で、実施例1で得られた電解液、実施例2で得られた電解液、実施例3で得られた電解液または実施例4で得られた電解液と、鏡面研磨した白金板からなる作用極11と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる参照極12と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる対極13とが用いられたテフロン(登録商標)製の三電極式セル(図1参照)を構築した。電気化学測定装置を用い、走査速度:1mV/s、走査範囲:擬マグネシウム電極基準で−1.0〜2.0Vの条件で、2.0Vから−1.0Vおよび−1.0Vから2.0Vの範囲の走査を1サイクルとする5サイクルでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。
試験例1において、実施例1で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図2、実施例2で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図3、実施例3で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図4、実施例4で得られた電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図5に示す。
図2〜5に示された結果から、式(I)で表わされるポリエーテル化合物であるグライム、ジグライム、トリグライムおよびテトラグライムが用いられた実施例1〜4で得られた電解液を用いた場合、いずれにおいても、金属マグネシウムの析出溶解反応が行なわれていることがわかる。また、いずれの電解液を用いた場合にも、2回目以降のサイクルにおいても、ほぼ0Vの電位付近で、電流の値が+または−に変わることが示されているため、これらの電解液を用いた場合には、充電のときに余分なエネルギーを要さず電圧のロスが極めて少ないことがわかる。したがって、これらの結果から、マグネシウムカチオンおよび1価のアニオンからなるマグネシウム塩と、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とが用いられた電解液によれば、金属マグネシウムの析出溶解反応を効率よく行なうことができ、効率のよい充放電反応を行なうことができることがわかる。
実施例5
試験例1で構築された実施例1で得られた電解液が用いられた三電極式セルを用い、−1.5Vで2時間定電位保持を行なうことにより、白金板からなる作用極上に析出物を生成させた。得られた析出物を白金板から採取し、目視にて観察した。さらに、得られた析出物のエネルギー分散X線分析およびX線回折測定を行なった。なお、X線回折測定では、析出物を導電性銀テープに貼り付けて行なった。
実施例5で得られた析出物を目視にて観察した結果を図6、実施例5で得られた析出物のエネルギー分散X線分析の結果を図7、実施例5で得られた析出物のX線回折図を図8に示す。
図6〜8に示された結果から、実施例1で得られた電解液を用いることによって得られた析出物は、金属マグネシウムであることがわかる。
試験例2
試験例1で構築された実施例3で得られた電解液が用いられた三電極式セルを用い、開回路電位から擬マグネシウム電極基準で4.0Vまで、走査速度を1mV/sとしてリニアースイープボルタンメトリー測定で行なうことにより、電位窓を調べた。
試験例2において、実施例3で得られた電解液を用いた場合の電位窓を調べた結果を図9に示す。
図9に示された結果から、実施例3で得られた電解液を用いた場合、3.5Vという高い電位まで電気化学測定を行なうことができることがわかる。かかる結果から、マグネシウムカチオンおよび1価のアニオンからなるマグネシウム塩と、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とが用いられた電解液によれば、広い電位範囲で、充放電反応を行なうことができることがわかる。
実施例6
実施例3において、塩化マグネシウム0.05モルおよび塩化アルミニウム0.05モルを用いる代わりに、マグネシウムカチオンとTFSAアニオンとからなるマグネシウム塩であるMg(TFSA)2 0.05モルを用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、電解液を得た。
試験例3
露点が−76℃以下のアルゴン雰囲気に保たれたグローブボックス内で、実施例6で得られた電解液と、鏡面研磨した白金板からなる作用極11と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる参照極12と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる対極13とが用いられたテフロン(登録商標)製の三電極式セル(図1参照)を構築した。
つぎに、得られた三電極式セルを用い、開回路電位から擬マグネシウム電極基準で4.0Vまで、走査速度を1mV/sとしてリニアースイープボルタンメトリー測定で行なうことにより、電位窓を調べた。
試験例3において、実施例6で得られた電解液を用いた場合の電位窓を調べた結果を図10に示す。
図10に示された結果から、実施例3で得られた電解液を用いた場合、3.6Vという高い電位まで電気化学測定を行なうことができることがわかる。かかる結果から、マグネシウム塩として塩化マグネシウムの代わりに、マグネシウムのTFSA塩を用いた場合にも、広い電位範囲で、充放電反応を行なうことができることがわかる。これらの結果から、マグネシウムカチオンおよび1価のアニオンからなるマグネシウム塩と、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とが用いられた電解液によれば、広い電位範囲で、充放電反応を行なうことができることがわかる。
実験例1
露点が−76℃以下のアルゴン雰囲気に保たれたグローブボックス内で、環状エーテル化合物(例えば、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンカーボナートなど)、イオン液体(例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド)などが用いられた電解液と、鏡面研磨した金属マグネシウム板からなる作用極11と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる参照極12と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる対極13とが用いられたテフロン(登録商標)製の三電極式セルを構築した。前記電解液として、表1に示される電解液を用いた。表中、THFはテトラヒドロフラン、2−MeTHFは2−メチルテトラヒドロフラン、3−MeTHFは3−メチルテトラヒドロフラン、Mg(OEt)はマグネシウムエトキシド、PCはプロピレンカーボナート、Mg(TFSA)はマグネシウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、DEMETFSAはN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドを示す。
電気化学測定装置を用い、走査速度:1mV/s、走査範囲:擬マグネシウム電極基準で−1.0〜3.0Vの条件で、走査を還元方向開始および酸化方向開始としてサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。得られたサイクリックボルタモグラムを用い、金属マグネシウムの析出の有無を調べた。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、環状エーテル化合物(例えば、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンカーボナートなど)、イオン液体(例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド)などが用いられた電解液を用いた場合には、金属マグネシウムが析出しないことがわかる。
実験例2
実施例3において、電解液中における塩化マグネシウム濃度および塩化マグネシウムと塩化アルミニウムとのモル比(塩化マグネシウム/塩化アルミニウム)を種々の条件としたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、電解液を得た。
露点が−76℃以下のアルゴン雰囲気に保たれたグローブボックス内で、前記電解液と、鏡面研磨した金属マグネシウム板からなる作用極11と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる参照極12と、研磨したマグネシウムワイヤーからなる対極13とが用いられたテフロン(登録商標)製の三電極式セルを構築した。電気化学測定装置を用い、走査速度:1mV/s、走査範囲:擬マグネシウム電極基準で−1.0〜3.0Vの条件で、走査を還元方向開始および酸化方向開始としてサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。得られたサイクリックボルタモグラムを用い、金属マグネシウムの析出反応の程度を調べた。その結果を表2に示す。なお、表中、金属マグネシウムの析出反応の程度の評価基準は、以下の通りである。
<評価基準>
○:金属マグネシウムの析出反応が良好に進行する。
△:金属マグネシウムの析出反応が見られる。
×:まったく金属マグネシウムの析出反応が進行しない。
表2に示された結果から、塩化マグネシウムの濃度が0.5Mであり、塩化マグネシウム/塩化アンモニウムのモル比が1/2〜1/1のとき、金属マグネシウムの析出反応が良好に進行することがわかる。
以上の結果から、マグネシウムカチオンおよび1価のアニオンからなるマグネシウム塩と、式(I)で表わされるポリエーテル化合物とが用いられた電解液によれば、金属析出溶解反応を効率よく行なうことができ、充放電反応を効率よく行なうことができることから、リチウム二次電池などと比べて本発明の高いエネルギー密度を有し、しかも安全性および実用性に優れ、効率よく充放電反応を行なうことができるマグネシウム二次電池、従来の熱還元法による金属マグネシウムの製造方法と比べて低エネルギー消費量で、簡便に金属マグネシウムを製造することができる金属マグネシウムの製造方法、簡便に、部材の表面に金属マグネシウム膜を形成させることができる金属マグネシウム膜の形成方法などに好適に用いることができることが示唆される。

Claims (7)

  1. マグネシウムカチオンと、1価のアニオンと、式(I):
    1−O(CH2CH2O)−R2 (I)
    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)
    で表わされるポリエーテル化合物とを含有する溶液からなる電解液。
  2. マグネシウムカチオンと1価のアニオンとからなるマグネシウム塩と、式(I):
    1−O(CH2CH2O)−R2 (I)
    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜8の整数を示す)
    で表わされるポリエーテル化合物とを溶解させてなる電解液。
  3. 前記1価のアニオンが、ハロゲンアニオンまたは式(II):

    (式中、R3およびR4はそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基または炭素数2〜8のハロゲン化アルケニル基)
    で表わされるスルホニルアミドアニオンである請求項1または2に記載の電解液。
  4. 前記マグネシウム塩が塩化マグネシウムであり、
    前記塩化マグネシウムと錯体を形成する錯形成剤をさらに配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の電解液。
  5. マグネシウムカチオンを可逆的に保持および放出する正極と、前記正極とセパレータを介して対向して配置され、負極活物質として金属マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む負極と、電解液とを備え、
    前記電解液が請求項1〜4のいずれかに記載の電解液であることを特徴とするマグネシウム二次電池。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解液を用いて金属マグネシウムを電析させることを特徴とする金属マグネシウムの製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の電解液中にワークを浸漬させて電解めっきを施し、当該ワークの表面に金属マグネシウム膜を形成させることを特徴とする金属マグネシウム膜の形成方法。
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